(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130354
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】栽培装置および栽培方法
(51)【国際特許分類】
A01G 9/00 20180101AFI20240920BHJP
【FI】
A01G9/00 C
A01G9/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040027
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】新木 輝亮
(72)【発明者】
【氏名】松永 浩司
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢治
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉英
(72)【発明者】
【氏名】八倉 弘
(72)【発明者】
【氏名】松野 勤
(72)【発明者】
【氏名】村田 龍亮
(72)【発明者】
【氏名】町田 高章
(72)【発明者】
【氏名】森 俊和
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327TA04
2B327TA09
2B327TC04
(57)【要約】
【課題】搬送時に保持具の搬送ぶれを抑制できる栽培装置を提供する。
【解決手段】栽培装置は、植物を保持可能な筒状部201を有する保持具20と、間隔をあけて設けられた一対のレール部110とを備える。一対のレール部110上には、一列に並ぶ複数の保持具20が搬送方向に移動可能に配置されている。栽培装置は、保持具20に設けられたガイド機構部203を備える。ガイド機構部203は、レール部110に沿って延びてレール部110に対して摺動可能にガイドする。ガイド機構部203は、保持具20から、一対のレール部110それぞれの外側において下方および搬送方向に延びている壁部を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培対象である植物を保持可能な保持部(201)を有する保持具(20,120,220,320,420,520,620)と、
間隔をあけて設けられた一対のレール部であって、一列に並ぶ複数の前記保持具が搬送方向に移動可能に配置されている一対のレール部(110)と、
前記保持具に設けられて、前記レール部に沿って延びて前記レール部に対して摺動可能にガイドするガイド機構部(203)と、
を備え、
前記ガイド機構部は、前記保持具から一対の前記レール部それぞれの外側において下方および前記搬送方向に延びている壁部を含んでいる栽培装置。
【請求項2】
前記壁部は、前記保持具において前記搬送方向の略全体にわたって設けられて、一対の前記レール部それぞれの外側において下方および前記搬送方向に延びている請求項1に記載の栽培装置。
【請求項3】
前記壁部は、前記保持具において前記搬送方向の一端側と他端側との中間部を除く前記一端側と前記他端側のそれぞれに設けられて、一対の前記レール部それぞれの外側において下方および前記搬送方向に延びている請求項1に記載の栽培装置。
【請求項4】
前記保持具は、前記保持部が一体に設けられている基部(202)と、前記基部に対して上方および下方の少なくとも一方に突出している突出部(204R,204L)とを含み、
前記突出部は、前記保持具において前記搬送方向の一端側と他端側との少なくとも一方に設けられており、前記搬送方向の隣に位置する前記保持具に接触して当該保持具による玉突き搬送時に押される部分である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【請求項5】
前記突出部は、前記保持具において前記搬送方向の一端側と他端側との両方に設けられており、前記搬送方向の隣に位置する前記保持具に接触して当該保持具による玉突き搬送時に押される部分である請求項4に記載の栽培装置。
【請求項6】
植物の栽培に用いられる養液が蓄えられた養液槽(51)を備え、
前記保持具における前記搬送方向の一端(20R)と前記養液槽の壁部との間を覆うカバー部(50)を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【請求項7】
前記レール部とで前記ガイド機構部を横方向に挟むように、前記ガイド機構部よりも外側に設けられた外側レール部(112,114)を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【請求項8】
搬入部および搬出部を除く部位において、前記レール部とで前記ガイド機構部を上下方向に挟むように、前記ガイド機構部よりも上方に設けられた上側レール部(111)を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【請求項9】
ロボット装置(210)によって駆動されて、前記保持部を把握可能な一対の把持部(21)を備え、
前記保持部は、前記把持部によって把握される部分寄りも外径が大きくかつ上方に設けられたストッパ部(2011)を有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【請求項10】
ロボット装置(210)によって駆動されて、前記保持部を把握可能な一対の把持部(21)を備え、
前記保持具は、前記保持部が一体に設けられている基部(202)において、前記ガイド機構部よりも外側に突出する部分であって、前記把持部によって把握可能な一対の被把持部(206)を有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【請求項11】
少なくとも一対のレール部(110)上を搬入部から搬出部まで搬送する過程で、保持具(20,120,220,320,420,520,620)に保持された植物を栽培する栽培方法であって、
前記レール部における前記搬入部に前記保持具を搬入するために、ロボット装置(21,210)が前記保持具を把持する工程と、
前記レール部の前記搬入部に位置している前記保持具の一端側に設けられた突出部(204R)または前記一端側の側壁面(20R)に、前記ロボット装置によって把持された前記保持具の他端側に設けられた突出部(204L)を接触させながら、前記搬入部に位置している前記保持具を定位置まで押すことにより、前記保持具に設けられたガイド機構部(203)が一対の前記レール部それぞれの外側を摺動する工程と、
前記搬入部に位置していた前記保持具を定位置まで押した後、前記ロボット装置が、把持した前記保持具を前記搬入部に配置する工程と、
を備える栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、保持具を搬出入する栽培装置および栽培方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、保持具の傾きや倒れを防止する技術を開示している。特許文献1は、保持具が上レール部と下レール部とによって上下から挟み込まれる構成を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/042891号(A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置は、レールで保持具を挟み込む構成であるため、レールの構成が複雑になったり、大型化したりする。特許文献1に記載の技術は、保持具の座屈を抑制する技術に関して、改善の余地がある。
【0005】
この明細書における開示の目的は、搬送時に保持具の搬送ぶれを抑制できる栽培装置および栽培方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
開示された栽培装置の一つは、栽培対象である植物を保持可能な保持部(201)を有する保持具(20,120,220,320,420,520,620)と、間隔をあけて設けられた一対のレール部であって、一列に並ぶ複数の保持具が搬送方向に移動可能に配置されている一対のレール部(110)と、保持具に設けられて、レール部に沿って延びてレール部に対して摺動可能にガイドするガイド機構部(203)と、を備え、
ガイド機構部は、保持具から一対のレール部それぞれの外側において下方および搬送方向に延びている壁部を含んでいる。
【0008】
この栽培装置によれば、一対のレール部上に配置された保持具が搬送方向に移動する際に、ガイド機構部の壁部が各レール部の外側を摺動する。これにより、ガイド機構部の壁部が各レール部の外側をホールドしながら摺動するため、レール部が延びる方向に対して保持具が大きく傾いてぶれることを抑制できる。さらにガイド機構部は、玉突きによる隣の保持具からの外力によって、保持具の搬送方向の端部が上下に変位して保持具が隣の保持具に乗り上げる座屈を防ぐことができる。この技術は、レール部が並ぶ方向および搬送方向について、安定した挙動で保持具を搬送することに寄与する栽培装置を提供できる。したがって、この栽培装置は、搬送時に保持具の搬送ぶれを抑制することに寄与する。
【0009】
開示された栽培方法の一つは、少なくとも一対のレール部(110)上を搬入部から搬出部まで搬送する過程で、保持具(20,120,220,320,420,520,620)に保持された植物を栽培する栽培方法であって、レール部における搬入部に保持具を搬入するために、ロボット装置(21,210)が保持具を把持する工程と、レール部の搬入部に位置している保持具の一端側に設けられた突出部(204R)または一端側の側壁面(20R)に、ロボット装置によって把持された保持具の他端側に設けられた突出部(204L)を接触させながら、搬入部に位置している保持具を定位置まで押すことにより、保持具に設けられたガイド機構部(203)が一対のレール部それぞれの外側を摺動する工程と、搬入部に位置していた保持具を定位置まで押した後、ロボット装置が、把持した保持具を搬入部に配置する工程と、を備える。
【0010】
ロボット装置は、把持した保持具を搬入部に搬入する際に、この保持具の他端側の突出部などを搬入部に位置する保持具の一端側の突出部に接触させながら定位置まで押し込む。この押し込みの工程において、保持具のガイド機構部が一対のレール部それぞれの外側を摺動する。これにより、ガイド機構部の壁部が各レール部の外側をホールドする作用を得ながら摺動する。この作用により、レール部が延びる方向に対して保持具が大きく傾いてぶれることを抑制できる。さらに、搬送方向においても、玉突きによる隣の保持具からの外力に対して、保持具が隣の保持具に乗り上げる座屈を防ぎ、安定した挙動で保持具を搬送できる。さらにロボット装置は、定位置まで保持具を押し込んだ後、把持している保持具を搬入部に配置する。このロボット装置は、搬入部に位置する保持具を把持している保持具によって押し込む際に安定的な搬送を実現でき、保持具の座屈を回避する搬入作業を提供できる。以上により、この栽培方法は、保持具の搬送工程において、保持具の搬送ぶれを抑制することに貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態の栽培装置が適用される可搬式ラックを示す図である。
【
図3】一対のレール部と保持具とを示す平面図である。
【
図4】一対のレール部と保持具とを示す縦断面図である。
【
図5】ロボット装置が苗を保持する保持具を把持する状態を示す図である。
【
図6】ロボット装置が把持した保持具を搬入部の上方に移動する状態を示す図である。
【
図7】ロボット装置が把持した保持具を搬入部に配置した状態を示す図である。
【
図8】保持具の搬入が完了した状態を示す図である。
【
図9】ロボット装置が把持した保持具を搬入部に搬入しようとする状態を示す図である。
【
図10】把持した保持具によって保持具を定位置まで押し込む状態を示す図である。
【
図11】ロボット装置が把持した保持具を搬入部に配置した状態を示す図である。
【
図12】保持具を搬入部に配置し終えた状態を示す図である。
【
図13】ロボット装置が植物を搬出する準備段階を示す図である。
【
図14】ロボット装置が搬出部の保持具を把持した状態を示す図である。
【
図15】ロボット装置が把持した保持具を持ち上げた状態を示す図である。
【
図16】ロボット装置が把持した保持具を搬出した状態を示す図である。
【
図18】第3実施形態の保持具を示す縦断面図である。
【
図19】第4実施形態の保持具を示す縦断面図である。
【
図20】第5実施形態の栽培装置を示す平面図である。
【
図21】第5実施形態の栽培装置を示す縦断面図である。
【
図22】第6実施形態のレール部を示す縦断面図である。
【
図23】第7実施形態のレール部を示す縦断面図である。
【
図24】第8実施形態のレール部を示す縦断面図である。
【
図25】第9実施形態の把持部と保持具とを示す縦断面図である。
【
図26】把持部が培地の把持を解除した状態を示す図である。
【
図27】把持部が上方へ後退する状態を示す図である。
【
図28】第10実施形態の把持部と保持具とを示す縦断面図である。
【
図29】把持部が培地の把持を解除した状態を示す図である。
【
図30】把持部が上方へ後退する状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0013】
第1実施形態
栽培装置の一例を開示する第1実施形態について
図1~
図16を参照しながら説明する。以下においては互いに直交の関係にある3方向を、X方向、Y方向、Z方向と示す。この明細書ではX方向とY方向とによって規定される平面が水平面に沿っている。Z方向が鉛直方向に沿っている。
【0014】
明細書に開示する栽培装置は、屋内にて水耕栽培によって苗状態から収穫可能な状態にまで成長した植物3Pを収穫するために、保持具を搬出、搬入する装置である。成長した植物3Pは、例えば
図1に示すような可搬式ラック1に収容されている。可搬式ラック1は、底部に設けられた車輪により搬送可能に構成されている。
【0015】
可搬式ラック1は、上下方向に間隔をあけて設置された複数の棚11を備えている。各棚11には、それぞれ植物3Pを保持する複数の保持具20が設けられている。可搬式ラック1は、保持具20を搬送可能な複数の搬送路を備えている。搬送路は、例えば、互いに平行な一対のレール部110である。このレール部は、円形状または四角形状の断面形状を有している。各棚11は、
図3等に示す一対のレール部110を備えている。一対のレール部110には、レール部110が延びる搬送方向に複数の保持具が移動可能に設けられている。一対のレール部110は、搬送方向に保持具20とスペーサとを移動可能に備えることができる。一対のレール部110は、図面ではX方向に延びているが、Y方向に延びるように設置されている構成でもよい。
【0016】
保持具20およびスペーサは、一対のレール部110から搬出可能であり、一対のレール部110に対して搬入可能な部材である。スペーサには、植物を生育しない、または植物を保持していない保持具20を用いることができる。可搬式ラック1は、搬出入方向について一方部が他方部よりも低く位置するように、傾斜した一対のレール部110を備える構成でもよい。この場合は、例えば搬出側が搬入側よりも低い位置になるように構成することが好ましい。
【0017】
図1に示すように、各棚11は、X方向およびY方向に並ぶ複数の植物3Pを備えている。収穫可能な状態に成長した植物3Pは、植物3Pを保持する保持具20が設けられた棚11と、上方に隣り合う棚11との間に収まるように上方に延びている。
【0018】
図3に示すように、栽培装置は、一対のレール部110および保持具20を備えている。複数の保持具20は、一対のレール部110が延びる搬送方向に沿って一列に並んで配されている。一対のレール部110は、複数の保持具20を搬送方向に移動可能に支持している。
図2に示すように、栽培装置は、把持部21の動作、ハンド部210の動作を制御する制御部100を備えている。
【0019】
把持部21は、ロボット装置のハンド部210における先端部に備えられている。把持部21は、制御部100によって作動が制御される。一対の把持部21は、把持する対象物である物体を両側から挟むように掴む一対のチャック部を含んでいる。ロボット装置は、把持部21とハンド部210とユニット本体部とを備える。ハンド部210は、端部に、保持具20やスペーサを掴む把持部21を備えている。培地は、保持具20の筒状部201内に設けられて植物3Pを保持している。培地は、例えば、寒天等のゲル状培地を用いてもよいし、ウレタン、ロックウール等の固形培地を用いてもよい。ハンド部210は、把持部21によって支持された保持具20の姿勢を変化させることができる装置として機能する。
【0020】
制御部100は、ハンド部210の作動と把持部21の作動とを個別に制御することができる。ハンド部210は、保持具20やスペーサの搬出および搬入を行うように制御される構成でもよい。ユニット本体部は、制御部100を含み、制御部100によってハンド部210を前後方向、左右方向、上下方向に移動させる。ユニット本体部は、ハンド部210を、前後方向、左右方向および上下方向の各方向に移動させるための機構部を有する。各機構部は、例えば、所定方向に伸びるビームと、ビームに従って移動するスライダと、所定方向への駆動源としてのモータ等を含んで構成されている。ユニット本体部は、制御部100によって把持部21を、閉じる方向および開く方向に動作させる。
【0021】
制御部100は、ROMおよびRAM等のメモリとCPUとを含むマイクロコンピュータとその周辺回路とを含んで構成されている。制御部100は、メモリに記憶された収穫制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する。各種制御対象機器には、把持部21、ハンド部210等が含まれる。また、制御部100は、メモリに記憶された栽培制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された制御対象機器の作動を制御する構成でもよい。メモリはコンピュータやプロセッサによって読み取り可能な各種プログラムと各種情報を非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。メモリは揮発性メモリと不揮発性メモリとを有している。
【0022】
図2に示すように、制御部100の入力側には、周辺機器が接続されている。カメラ41は、周辺機器の一例であり、制御部100の出力側に接続されている機器の作動を制御するための制御用センサとして機能する。カメラ41は、保持具20で保持されている植物の生育段階を確認したり、各部材の位置や姿勢などの状態を認識したりするための撮影装置である。
【0023】
制御部100は、ハンド部210、把持部21の作動を制御して、保持具20を掴んで保持具20の搬出と搬入とを実行する搬出入制御部100Aを備える。搬出入制御部100Aは、
図5~
図16に示すように、保持具20を掴んで、一対のレール部110上に一列に並ぶ保持具20をレール部110に沿って移動させる動作を実行する。
【0024】
次に保持具20の構成について説明する。
図3、
図4は、第1実施形態の保持具20を示している。保持具20は、平板状である基部202と、基部202に対して直交する方向に延びる筒状部201と、レール部110に沿って延びるガイド機構部203とを備えている。筒状部201は、基部202に一体に設けられて、栽培対象である植物を保持可能な保持部である。一対のガイド機構部203は、一対のレール部110が並ぶ方向における筒状部201の両側端部よりも外側において基部202から突出する壁部である。ガイド機構部203は、各レール部110の外側においてレール部110に沿うように下方および搬送方向に延びている壁部である。ガイド機構部203は、レール部110に対して平行に延びてレール部110を外側から抱えるように設けられている。一対のガイド機構部203は、一対のレール部110を挟むように両側からガイドしている。ガイド機構部203は、保持具20がレール部110に沿って移動可能なようにガイドしている。
【0025】
ガイド機構部203は、保持具20において搬送方向の略全体にわたって設けられている壁部である。この壁部は、一対のレール部それぞれの外側において基部202の搬送方向長さの全体にわたって搬送方向に延びている。この壁部は、基部202の搬送方向長さの全体にわたって、一対のレール部それぞれの外側を覆っている。この壁部下端は、レール部110の下端と同等または下端よりも下方の位置まで延びている。ガイド機構部203は、保持具20の移動に伴って、一対のレール部110のそれぞれに対して摺動する。ガイド機構部203は、一対のレール部110に対してそれぞれの外側を摺動することにより、レール部110に対して保持具20が傾く姿勢になることを抑制している。ガイド機構部203は、一対のレール部110のそれぞれの外側を摺動することにより、一対のレール部110が並ぶ方向に対して保持具20が傾いた姿勢になることを抑制する。ガイド機構部203は、各レール部110のそれぞれの外側を摺動することにより、保持具20における搬送方向の一端部または他端部が浮くような姿勢になることを抑制する。
【0026】
保持具20は、基部202に対して突出している一対の突出部204R,204Lを備えている。保持具20は、搬送方向の一端側と他端側との両方において基部202に一体に設けられた一対の突出部204R,204Lを備えている。突出部204Rは、筒状部201よりも、保持具20における搬送方向の一端側の側壁面20Rに近い位置から上方に突出している壁部を含む。突出部204Lは、筒状部201よりも、保持具20における搬送方向の他端側の側壁面20Lに近い位置から上方に突出している壁部を含む。突出部204R、突出部204Lのそれぞれは、基部202に対する所定の突出高さと、一対のレール部110が並ぶ方向に所定の幅を持つ起立壁である。
【0027】
各突出部は、搬送方向の隣に位置する保持具20に接触して、保持具20が玉突き搬送される際に押される部分である。例えば、玉突き搬送される際に、突出部204Rは、搬送方向の隣に位置する保持具20の突出部204Lまたは側壁面20Lに接触して他端側に押される部分である。側壁面20Lは、基部202の搬送方向の他端に位置する側壁の表面であり、上下方向および一対のレール部110が並ぶ方向に平行な平面を形成する。例えば、玉突き搬送される際に、突出部204Lは、搬送方向の隣に位置する保持具20の突出部204Rまたは側壁面20Rに接触して一端側に押される部分である。側壁面20Rは、基部202の搬送方向の一端に位置する側壁の表面であり、上下方向および一対のレール部110が並ぶ方向に平行な平面を形成する。
【0028】
突出部204Rは、起立壁における他端側の側面と基部202とを連結する補強壁204aを備えている。この補強壁204aは、突出部204Rの起立壁に対して交差する壁部であり、起立壁が他端側に向けて押された場合の強度を高める作用を有する。突出部204Rは、一対のレール部110が並ぶ方向に並ぶ一対の補強壁204aを備える構成でもよい。突出部204Lは、起立壁における一端側の側面と基部202とを連結する補強壁204aを備えている。この補強壁204aは、突出部204Rの起立壁に対して交差する壁部であり、起立壁が一端側に向けて押された場合の強度を高める作用を有する。突出部204Lは、一対のレール部110が並ぶ方向に並ぶ一対の補強壁204aを備える構成でもよい。
【0029】
また、保持具20は、搬送方向の一端側と他端側との少なくとも一方において突出部を備える構成でもよい。この場合、保持具20は、突出部が設けられていない側の端部である側壁面が隣の保持具20の突出部によって押されることによって、玉突き搬送されることになる。
【0030】
筒状部201は、内部に培地を充填可能な軸方向長さを有している。筒状部201は、上端開口部と下端開口部とを含んでいる。上端開口部と下端開口部は、筒状部201の両端部に開口部を形成しており、同等の開口面積と開口形状に形成されている。保持具20は、筒状部201の上端開口部寄りの部位に、径方向外側に突出するストッパ部2011を備えている。ストッパ部2011は、筒状部201において、ストッパ部2011よりも下方に位置する部分に対して径方向外側に突出している。ストッパ部2011は、例えば、筒状部201の上端開口部の部位に対して、径方向外側に放射状に突出するフランジ形状である。
【0031】
一対の把持部21は、一対のチャック部によって筒状部201を両側から挟んで保持具20を直接掴むように構成されている。一対の把持部21は、ストッパ部2011よりも下方の位置において筒状部201を掴むように制御される。ストッパ部2011は、筒状部201において一対の把持部21が掴んでいる部分よりも径方向外側に突出している。この構成により、把持部21の把持力が低下した場合や適切に把持できない場合には、把持部21がストッパ部2011に接触して保持具20の落下を抑えることに寄与する。
【0032】
次に、植物栽培の工程において、最初に保持具20を搬入部に搬入する例を、
図5~
図8を参照して説明する。
図5は、苗を保持している保持具20をロボット装置が把持した状態を示している。ロボット装置は、
図5に示すように、把持部21によって筒状部201を両側から挟んで保持具20を掴んだ状態でレール部110の搬入部に向けて保持具20を移動させる。ロボット装置は、
図6に示すように、把持した保持具20を搬入部の直上に移動させる。
【0033】
次にロボット装置は、把持した保持具20を直下に移動させて、一対のガイド機構部203が一対のレール部110の外側に位置するように保持具20の位置を設定する。この状態は、
図7に示すように、ロボット装置が、把持した保持具20を搬入部に配置した状態である。このように保持具20の搬入部への配置が完了すると、ロボット装置は、筒状部201を把持する状態を解除して保持具20を搬入部に残し、把持前の所定位置に後退する。
【0034】
次に、植物栽培の工程において、
図8の状態に続いてさらに保持具20を搬入部に搬入する例を、
図9~
図12を参照して説明する。
図9は、ロボット装置が把持した保持具20を搬入部に搬入しようとする状態を示している。
図9に示すように、ロボット装置は、把持した保持具20の他端側の側壁面20Lを、搬入部に位置する保持具20の突出部204Rに接触させる。さらにロボット装置は、
図9に示す状態から、把持した保持具20を他端側に向けて搬入部の直上まで平行移動させる。これにより、搬入部に位置する保持具20は、保持具1個分、他端側に向けてスライドした
図10に示す位置まで移動する。
図9に示す状態から
図10に示す状態にかけて、把持された保持具20の側壁面20Lまたは突出部204Lは、隣の保持具20の突出部204Rを他端側へ向けて押し続ける。搬入部の位置にあった保持具20は、一対のガイド機構部203が一対のレール部110の外側を摺動しながら、保持具1個分、他端側に移動する。この移動において、保持具20は一端部または他端部が上方へ浮き上がったりすることなく、保持具20を安定した挙動でスライドさせることができる。
【0035】
次にロボット装置は、把持した保持具20を
図10に示す状態から直下に移動させて、一対のガイド機構部203を一対のレール部110の外側に位置させる。この状態は、
図11に示すように、1個目の保持具20の隣に2個目の保持具20を配置した状態である。2個目の保持具20を搬入部に配置すると、ロボット装置は、
図12に示すように、筒状部201を把持する状態を解除して、把持前の所定位置に後退する。
【0036】
次に、植物栽培の工程において、収穫段階になった植物3Pを保持している保持具20を搬出部から搬出する例を、
図13~
図16を参照して説明する。
図13は、搬出部に位置している保持具20の植物3Pを収穫するために、ロボット装置が待機している状態を示している。
図13に示す収穫可能状態に至るまでに、一対のレール部110上に配置された複数の保持具20は、隣合う突出部204Rと突出部204Lとが接触しながら移動する。搬入部から搬出部まで並ぶ保持具20のすべては、突出部204Lと突出部204Rとが接触しながら、一端部や他端部が上方へ浮き上がったりすることなく移動できる。
【0037】
ロボット装置は、搬出部へ移動して、
図14に示す搬出部の保持具20に対して、把持部21によって筒状部201を両側から挟んで掴む。さらにロボット装置は、
図14に示す状態から
図15に示すように、把持した保持具20を搬出部の直上へ持ち上げて移動させる。これにより、搬入部には、保持具1個分のあきスペースができる。
【0038】
次にロボット装置は、持ち上げた保持具20を搬出部から離れた所定の位置へ、移動させて、植物3Pを収穫する。
図16に示すように、保持具20の搬出が完了すると、ロボット装置は、ロボット装置は、搬出した植物3Pの茎部分をカットして、葉部分を所定の収穫場に集める。
【0039】
この実施形態で開示する栽培装置における栽培方法について説明する。栽培方法は、少なくとも一対のレール部110上を搬入部から搬出部まで搬送する過程で、保持具20に保持された植物を栽培する方法を開示する。栽培方法は、一対のレール部110に並ぶ保持具20を搬入部から搬出部に向けて移動させる場合に、保持具20が浮き上がったりする搬送ぶれを抑制する方法を提供する。この搬送ぶれを抑制する工程は、以下に一例として説明する手順によって実現できる。
【0040】
栽培方法は、レール部110における搬入部に保持具20を搬入するために、ロボット装置が保持具20を把持する工程を備える。栽培方法は、保持具20に設けられたガイド機構部203が一対のレール部110それぞれの外側を摺動する工程を備える。この工程は、レール部110の搬入部に位置している保持具20の一端側に設けられた突出部204Rまたは一端側の側壁面20Rに、ロボット装置によって把持された保持具20の他端側に設けられた突出部204Lを接触させながら、搬入部に位置していた保持具20を定位置まで押すことにより、実施できる。栽培方法は、保持具20を定位置まで押した後、さらにロボット装置が、把持した保持具20を搬入部に配置する工程を備える。
【0041】
ロボット装置は、把持した保持具20を搬入部に搬入する際に、この保持具の他端側の突出部を搬入部に位置する保持具の一端側の突出部に接触させながら定位置まで押し込む。この押し込みの工程において、保持具のガイド機構部203は一対のレール部110のそれぞれの外側を摺動する。この工程により、ガイド機構部203の壁部が各レール部110の外側をホールドする作用を得ながら摺動する。このホールドかつスライド作用により、レール部110が延びる方向に対して保持具20が大きく傾いてぶれることを抑制することに寄与する。さらに搬送方向においても、玉突きによる隣の保持具20からの外力に対して、保持具20が隣の保持具20に乗り上げる等の座屈を防ぐことができる。このため、一対のレール部110上において、隣の保持具20からの外力を受けても、安定的な保持具20の移動を提供でき、保持具20を円滑に搬送できる。さらにロボット装置は、定位置まで保持具20を押し込んだ後に、把持している保持具20を搬入部に配置する。このロボット装置は、搬入部に位置する保持具20を把持した保持具20によって押し込む際に円滑な搬送を実現するので、保持具の座屈を回避する搬入作業を提供できる。
【0042】
第1実施形態の栽培装置は、栽培対象である植物を保持可能な保持部を有する保持具20と、間隔をあけて設けられた一対のレール部110とを備える。一対のレール部110には、一列に並ぶ複数の保持具が搬送方向に移動可能に配置されている。栽培装置は、保持具20に設けられて、レール部110に沿って延びてレール部110に対して摺動可能にガイドするガイド機構部203を備える。ガイド機構部203は、保持具20から一対のレール部110それぞれの外側において下方および搬送方向に延びている壁部を含んでいる。
【0043】
この栽培装置によれば、一対のレール部110上に配置された保持具20が搬送方向に移動する際に、ガイド機構部203の壁部が各レール部の外側を摺動する。これにより、ガイド機構部203の壁部が各レール部110の外側をホールドしながら摺動するため、レール部110が延びる方向に対して保持具が大きく傾いてぶれることを抑制できる。さらにガイド機構部203は、玉突きによる隣の保持具からの外力によって、保持具の搬送方向の端部が上下に変位して保持具が隣の保持具に乗り上げる座屈防止が図れる。この技術は、レール部110が並ぶ方向および搬送方向について、安定した挙動で保持具20を搬送することに寄与する栽培装置を提供できる。
【0044】
ガイド機構部203の壁部は、保持具20において搬送方向の略全体にわたって設けられて、一対のレール部それぞれの外側において下方および搬送方向に延びている。この構成により、保持具20の搬送方向長さの略全体にわたって、一対のレール部110の外側をガイドしながら搬送する保持具20を提供できる。この保持具20によれば、搬送過程において、搬送方向に対する保持具20のぶれ量を最小化することに寄与する。
【0045】
突出部204R,204Lは、保持具20において搬送方向の一端側と他端側との少なくとも一方に設けられている。突出部204R,204Lは、上方および下方の少なくとも一方に突出している。突出部204R,204Lは、搬送方向の隣に位置する保持具20に接触して当該保持具による玉突き搬送時に押される部分である。これによれば、保持具20の突出部に隣の保持具20の端部または突出部を接触させて押すことができるため、確実に保持具20が浮き上がったりする搬送ぶれを抑制できる。
【0046】
突出部204R,204Lは、保持具20において搬送方向の一端側と他端側との両方に設けられている。これらの突出部は、搬送方向の隣に位置する保持具20に接触して当該保持具による玉突き搬送時に押される部分である。この構成によれば、保持具20における搬送方向の両端部において、隣の保持具が押す力を活用して、安定した挙動の搬送を実現できる。
【0047】
栽培装置は、ロボット装置によって駆動されて、保持部を把握可能な一対の把持部21を備える。保持具20の保持部は、把持部21によって把握される部分よりも外径が大きくかつ上方に設けられたストッパ部2011を有する。この構成により、把持部21の把持力が低下した場合やロボット装置が適切に把持できない場合に、把持部21がストッパ部2011に引っかかる。これにより、保持具20の落下を防止することに寄与する。
【0048】
第2実施形態
第2実施形態について
図17を参照して説明する。第2実施形態の栽培装置は、
図17に示す保持具120を備える点が、第1実施形態に対して相違する。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
【0049】
図17において第1実施形態と同様の符号を付した構成要素に関する説明は、第1実施形態に記載にしたがうものとする。
図17に示す保持具120は、保持具20に対してガイド機構部1203の構成が相違する。保持具120は、基部202と、基部202に対して直交する方向に延びる筒状部201と、レール部110に沿って延びるガイド機構部1203とを備えている。一対のガイド機構部1203は、一対のレール部110が並ぶ方向における筒状部201の両側端部よりも外側において基部202から突出する壁部である。
【0050】
ガイド機構部1203は、保持具120において搬送方向の両端部に設けられている壁部である。
図17に示すように、この壁部は、保持具120において、搬送方向の一端側と他端側との中間部を除く一端側と他端側のそれぞれに設けられている。ガイド機構部1203は、各レール部110の外側においてレール部110に沿うように下方および搬送方向に所定長さ延びている壁部である。ガイド機構部1203は、レール部110に対して平行に延びてレール部110を外側から抱えるように設けられている。一対のガイド機構部1203は、一対のレール部110を挟むように両側からガイドしている。ガイド機構部1203は、保持具20がレール部110に沿って移動可能なようにガイドしている。
【0051】
ガイド機構部1203の壁部下端は、レール部110の下端と同等または下端よりも下方の位置まで延びている。ガイド機構部1203は、保持具120の移動に伴って、一対のレール部110のそれぞれに対して摺動する。ガイド機構部1203は、一対のレール部110に対してそれぞれの外側を摺動することにより、レール部110に対して保持具120が傾く姿勢になることを抑制する。ガイド機構部1203は、一対のレール部110が並ぶ方向に対して保持具120が傾いた姿勢になることを抑制する。ガイド機構部1203は、保持具120における搬送方向の一端部または他端部が浮くような姿勢になることを抑制する。
【0052】
第3実施形態
第3実施形態について
図18を参照して説明する。第3実施形態の栽培装置は、
図18に示す保持具220を備える点が、第1実施形態に対して相違する。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
【0053】
図18において第1実施形態と同様の符号を付した構成要素に関する説明は、第1実施形態に記載にしたがうものとする。
図18に示す保持具220は、保持具20に対して一対の突出部205を備える点が相違する。
【0054】
図18に示すように、一対の突出部205は、一対のレール部110が並ぶ方向における筒状部201の両側端部よりも外側において基部202よりも突出する壁部である。一対の突出部205は、第1実施形態の突出部204Rや突出部204Lと同様の作用を奏する。突出部205は、レール部110の外側に沿って延びるガイド機構部に対して、反対側である上方に延びる部分であってもよい。突出部205は、保持具220においてガイド機構部が設けられている部位から、上方に延びる構成でもよい。突出部205を備えることにより、レール部110の高さ位置や、植物の栽培に用いられる養液が蓄えられた養液槽の上端部を高く設定することができる。これにより、地震などが発生した場合に、養液が養液層から溢れる事態を抑えることに寄与する。
【0055】
第4実施形態
第4実施形態について
図19を参照して説明する。第4実施形態の栽培装置は、
図19に示す保持具320を備える点が、第1実施形態に対して相違する。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
【0056】
図19において第1実施形態と同様の符号を付した構成要素に関する説明は、第1実施形態に記載にしたがうものとする。
図19に示す保持具320は、保持具20に対して、把持部21によって把握可能な被把持部206を備える点が相違する。
【0057】
図19に示すように、一対の被把持部206は、一対のレール部110が並ぶ方向における基部202の両側端部から外側に突出する部分である。一対の被把持部206は、一対のガイド機構部203よりも外側に突出している部分である。一対の被把持部206は、基部202の両側端部において、搬送方向の一部に設けられている構成でもよいし、搬送方向の全体に設けられている構成でもよい。一対の被把持部206を備えることにより、ロボット装置が把持可能な構成を筒状部201の他にも提供することができ、ロボット装置の稼働選択範囲を拡大できる。
【0058】
第5実施形態
第5実施形態について
図20~
図21を参照して説明する。第4実施形態の栽培装置は、
図20~
図21に示すカバー部50を備える点が、第1実施形態に対して相違する。第5実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
【0059】
図20~
図21において第1実施形態と同様の符号を付した構成要素に関する説明は、第1実施形態に記載にしたがうものとする。各図に示す栽培装置は、養液槽51と保持具20の基部202との間に設けられたカバー部50を備える点が相違する。栽培装置は、養液槽51と栽培用の光源とを備えている。養液槽51は、植物の栽培に用いられる養液が蓄えられている容器である。養液槽51は、一対のレール部110の下方において一対のレール部110に沿うよう延びている。養液槽51に蓄えられた養液は、一対のレール部110を搬送方向に移動する過程で、植物の根に養分を供給する。
【0060】
カバー部50は、保持具20における搬送方向の一端である側壁面20Rと養液槽51の壁部との間を覆う部材である。養液槽51の壁部は、例えば養液槽を形成する縦壁である。カバー部50は、一体のレール部110における保持具20の搬出部または搬出部において、レール部110とレール部110の間で養液の上方空間に設置されている。カバー部50は、搬入部または搬出部に位置する保持具20がカバー部50の上方をスライドできる範囲に設けられている。第5実施形態によれば、カバー部50は、養液が栽培用の光源に暴露されることを抑制することに寄与する。このため、養液や養液槽51に藻が繁殖することを抑制できる栽培装置を提供できる。したがって、第5実施形態によれば、藻を除去する手間や、養液槽51内を清掃することを軽減できる栽培装置を提供できる。
【0061】
第6実施形態
第6実施形態について
図22を参照して説明する。第6実施形態の栽培装置は、
図22に示す一対の上側レール部111を備える点が、第1実施形態に対して相違する。第6実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
【0062】
図22において第1実施形態と同様の符号を付した構成要素に関する説明は、第1実施形態に記載にしたがうものとする。
図22に示すように、一対の上側レール部111は、一対のレール部110とで保持具20を上下で挟むように、レール部110の上方に設けられている。一対の上側レール部111は、搬入部および搬出部を除く部位において設けられている。したがって、栽培装置は、保持具20が搬入される部位と保持具20が搬出される部位とにはレール部110しか設けられていない。この構成により、栽培の過程で、搬入部と搬出部とにおいて保持具を搬入および搬出可能にでき、かつ、それ以外の範囲では保持具の浮き上がりを抑制する効果が高まる。
【0063】
第7実施形態
第7実施形態について
図23を参照して説明する。第7実施形態の栽培装置は、
図23に示す一対の外側レール部112を備える点が、第1実施形態に対して相違する。第7実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
【0064】
図23において第1実施形態と同様の符号を付した構成要素に関する説明は、第1実施形態に記載にしたがうものとする。
図23に示すように、一対の外側レール部112は、一対のレール部110とで保持具20を横方向に挟むように、レール部110の外側に設けられている。一対の外側レール部112は、一対のレール部110の外側に平行に設けられている。一対の外側レール部112と一対のレール部110は、同一の部材に一体に設けられている。この構成により、搬入部から搬出部との間で保持具が移動する過程で、保持具が、一端部と他端部が逆方向に変位するように搬送方向に対して傾く姿勢になることを抑制できる。
【0065】
第8実施形態
第8実施形態について
図24を参照して説明する。第8実施形態の栽培装置は、
図24に示す一対のレール部113と一対の外側レール部114とを備える点が、第1実施形態に対して相違する。第8実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
【0066】
図24において第1実施形態と同様の符号を付した構成要素に関する説明は、第1実施形態に記載にしたがうものとする。
図24に示すように、レール部113、外側レール部114は、それぞれ断面形状が円形状である。レール部113、外側レール部114は、中実の部材で構成されてもよいし、中空の部材で構成されてもよい。一対のレール部113は、第1実施形態に記載されている一対のレール部110と同様の機能を奏する。一対の外側レール部114は、一対のレール部113とで保持具20を横方向に挟むように、レール部113の外側に設けられている。一対の外側レール部114は、一対のレール部113の外側に平行に設けられている。第8実施形態によれば、搬入部から搬出部との間で保持具が移動する過程で、第7実施形態と同様に、保持具が搬送方向に対して傾く姿勢になることを抑制できる。
【0067】
第9実施形態
第9実施形態について
図25~
図27を参照して説明する。第9実施形態の栽培装置は、
図25などに示す保持具520を備える点が、第1実施形態に対して相違する。第9実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
【0068】
図25~
図27において第1実施形態と同様の符号を付した構成要素に関する説明は、第1実施形態に記載にしたがうものとする。
図25などに示す保持具520は、保持具20に対して、第9実施形態の把持部21による把持に関わる構成が相違する。
【0069】
第9実施形態の一対の把持部21は、筒状部201内の培地22を把持する一対の第1の把持部21aと、筒状部201を把持する一対の第2の把持部21bとを含む。一対の第1の把持部21aは、筒状部201内の培地22を外側から挟んで直接掴む部分であり、搬出入制御部100Aによって作動が制御される。一対の第2の把持部21bは、筒状部201を外側から挟んで掴む部分であり、搬出入制御部100Aによって作動が制御される。
【0070】
保持具520の筒状部201は、上端開口部と、下端開口部と、一対の側壁開口部201aとを含んでいる。側壁開口部201aは、筒状部201を径方向に貫通する貫通孔を形成し、かつ側壁開口部201aの上端が開口した形状である。一対の側壁開口部201aは、筒状部201において互いに向かい合う位置に形成されている。側壁開口部201aの上端は、筒状部201の上端開口部の一部をなしている。側壁開口部201aは、第1の把持部21aが挿通可能な大きさに形成されている。
【0071】
図25は、一対の把持部21が培地22と筒状部201とを把持している状態を示している。一対の第1の把持部21aは、一対の側壁開口部201aに挿入された状態で培地22を掴み、一対の第2の把持部21bは筒状部201を掴むよう制御される。
【0072】
搬出入制御部100Aは、一対の把持部21を、
図25に示す把持状態から、把持を解除する状態に制御する。
図26は、一対の把持部21が培地22と筒状部201との把持を解除した状態を示している。搬出入制御部100Aは、一対の把持部21を、
図26に示す状態から、把持部21を上方へ移動させるように制御する。
図27は、一対の把持部21が上方へ後退する状態を示している。
【0073】
第10実施形態
第10実施形態について
図28~
図30を参照して説明する。第10実施形態の栽培装置は、
図28などに示す保持具620を備える点が、第1実施形態に対して相違する。第10実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については、前述の実施形態と同様であり、以下、異なる点について説明する。
【0074】
図28~
図30において第1実施形態と同様の符号を付した構成要素に関する説明は、第1実施形態に記載にしたがうものとする。
図28などに示す保持具620は、保持具20に対して、第10実施形態の把持部121aによる把持に関わる構成が相違する。
【0075】
第10実施形態の一対の把持部121aは、筒状部201内の培地22を把持する。一対の把持部121aは、筒状部201内の培地22を外側から挟んで直接掴む部分であり、搬出入制御部100Aによって作動が制御される。
【0076】
保持具620の筒状部201は、上端開口部と、下端開口部と、一対の側壁開口部1201aとを含んでいる。側壁開口部1201aは、筒状部201を径方向に貫通する貫通孔である。側壁開口部1201aは、把持部121aが挿通可能な大きさに形成されている。
【0077】
図28は、一対の把持部121aが培地22を把持している状態を示している。一対の把持部121aは、搬出入制御部100Aによって一対の側壁開口部1201aに挿入された状態で筒状部201内の培地22を直接掴むよう制御される。
【0078】
搬出入制御部100Aは、一対の把持部121aを、
図28に示す把持状態から、把持を解除する状態に制御する。
図29は、一対の把持部121aが培地22の把持を解除した状態を示している。搬出入制御部100Aは、一対の把持部121aを、
図29に示す状態から、把持部21を上方へ移動させるように制御する。
図30は、一対の把持部121aが上方へ後退する状態を示している。
【0079】
<他の実施形態>
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0080】
図2~
図4、
図17~
図30等に示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散、統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散、統合して構成することが可能である。
【0081】
本開示に記載の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つないしは複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置およびその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置およびその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0082】
技術的思想の開示
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0083】
(技術的思想1)
栽培対象である植物を保持可能な保持部(201)を有する保持具(20,120,220,320,420,520,620)と、
間隔をあけて設けられた一対のレール部であって、一列に並ぶ複数の前記保持具が搬送方向に移動可能に配置されている一対のレール部(110)と、
前記保持具に設けられて、前記レール部に沿って延びて前記レール部に対して摺動可能にガイドするガイド機構部(203)と、
を備え、
前記ガイド機構部は、前記保持具から一対の前記レール部それぞれの外側において下方および前記搬送方向に延びている壁部を含んでいる栽培装置。
【0084】
(技術的思想2)
前記壁部は、前記保持具において前記搬送方向の略全体にわたって設けられて、一対の前記レール部それぞれの外側において下方および前記搬送方向に延びている技術的思想1に記載の栽培装置。
【0085】
(技術的思想3)
前記壁部は、前記保持具において前記搬送方向の一端側と他端側との中間部を除く前記一端側と前記他端側のそれぞれに設けられて、一対の前記レール部それぞれの外側において下方および前記搬送方向に延びている技術的思想1に記載の栽培装置。
【0086】
(技術的思想4)
前記保持具は、前記保持部が一体に設けられている基部(202)と、前記基部に対して上方および下方の少なくとも一方に突出している突出部(204R,204L)とを含み、
前記突出部は、前記保持具において前記搬送方向の一端側と他端側との少なくとも一方に設けられており、前記搬送方向の隣に位置する前記保持具に接触して当該保持具による玉突き搬送時に押される部分である技術的思想1から技術的思想3のいずれか一項に記載の栽培装置。
【0087】
(技術的思想5)
前記突出部は、前記保持具において前記搬送方向の一端側と他端側との両方に設けられており、前記搬送方向の隣に位置する前記保持具に接触して当該保持具による玉突き搬送時に押される部分である技術的思想4に記載の栽培装置。
【0088】
(技術的思想6)
植物の栽培に用いられる養液が蓄えられた養液槽(51)を備え、
前記保持具における前記搬送方向の一端(20R)と前記養液槽の壁部との間を覆うカバー部(50)を備える技術的思想1から技術的思想5のいずれか一項に記載の栽培装置。
【0089】
(技術的思想7)
前記レール部とで前記ガイド機構部を横方向に挟むように、前記ガイド機構部よりも外側に設けられた外側レール部(112,114)を備える技術的思想1から技術的思想6のいずれか一項に記載の栽培装置。
【0090】
(技術的思想8)
搬入部および搬出部を除く部位において、前記レール部とで前記ガイド機構部を上下方向に挟むように、前記ガイド機構部よりも上方に設けられた上側レール部(111)を備える技術的思想1から技術的思想6のいずれか一項に記載の栽培装置。
【0091】
(技術的思想9)
ロボット装置(210)によって駆動されて、前記保持部を把握可能な一対の把持部(21)を備え、
前記保持部は、前記把持部によって把握される部分寄りも外径が大きくかつ上方に設けられたストッパ部(2011)を有する技術的思想1から技術的思想8のいずれか一項に記載の栽培装置。
【0092】
(技術的思想10)
ロボット装置(210)によって駆動されて、前記保持部を把握可能な一対の把持部(21)を備え、
前記保持具は、前記保持部が一体に設けられている基部(202)において、前記ガイド機構部よりも外側に突出する部分であって、前記把持部によって把握可能な一対の被把持部(206)を有する技術的思想1から技術的思想8のいずれか一項に記載の栽培装置。
【符号の説明】
【0093】
20,120,220,320,420,520,620…保持具
20R…側壁面(一端)、 21…把持部
50…カバー部、 51…養液槽、 110,113…レール部
111…上側レール部、 112,114…外側レール部、 201…筒状部(保持部)
202…基部、 203…ガイド機構部、 204R,204L…突出部
206…被把持部、 210…ハンド部(ロボット装置)、 2011…ストッパ部