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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130361
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】背凭れ、及び椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/46 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A47C7/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040036
(22)【出願日】2023-03-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.販売日 2023年2月22日 販売場所 47株式会社 公開者 株式会社オカムラ 2.販売日 2023年2月23日 販売場所 株式会社東京インテリア家具 本部 公開者 株式会社オカムラ 3.販売日 2023年3月10日 販売場所 株式会社フォーバル・リアルストレート 公開者 株式会社オカムラ
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】石丸 俊介
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084HA06
(57)【要約】
【課題】ランバーサポートを上下方向にスライド移動させる際の操作感を高めることができる背凭れ、及び椅子を提供する。
【解決手段】背凭れ5は、前後方向の第1側を向く前面20fから前後方向の第2側に向けて窪み、かつ上下方向に延びる案内凹部25を有し、着座者の背部からの入力荷重を受ける背シェル5bと、背シェル5bの前後方向の第1側に配置されて左右方向に延びるサポート本体52を有し、背シェル5bに対して上下方向に位置調整可能に設けられるランバーサポート50と、を備え、サポート本体52の左右方向の両端部から前後方向の第2側にそれぞれ突出するとともに、案内凹部25内で前後方向への移動が拘束された状態で上下方向に移動可能とされた挿入凸部と、サポート本体52のうち、左右方向の両端部の挿入凸部のそれぞれに連結され、背シェル5bよりも左右方向の外側に突出した操作部材70と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向の両端部において、前後方向の第1側を向く第1面から前後方向の第2側に向けて窪み、かつ上下方向に延びる案内凹部を有し、着座者の背部からの入力荷重を受ける背凭れ本体と、
前記背凭れ本体の前後方向の第1側に配置されて左右方向に延びるサポート本体を有し、前記背凭れ本体に対して上下方向に位置調整可能に設けられるランバーサポートと、を備え、
前記サポート本体の左右方向の両端部から前後方向の第2側にそれぞれ突出するとともに、前記案内凹部内に挿入され、上下方向に移動可能とされた挿入凸部と、
前記サポート本体のうち、左右方向の両端部の前記挿入凸部のそれぞれに連結され、前記背凭れ本体よりも左右方向の外側に突出した操作部材と、
を備えることを特徴とする背凭れ。
【請求項2】
前記背凭れ本体は、
後方に弾性変形可能に構成されるとともに、着座者の背部を支持する可撓部と、
前記可撓部の少なくとも左右方向の両外側で前記可撓部を支持する、前記可撓部よりも高い剛性を有する支持枠と、を備え、
前記案内凹部は、前記支持枠に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の背凭れ。
【請求項3】
前記挿入凸部は、
前記サポート本体の左右方向の端部から前後方向の第2側に延びる筒状壁部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の背凭れ。
【請求項4】
前記背凭れ本体は、
前記案内凹部の内部で、前記筒状壁部に対して左右方向に対向する位置に設けられ、左右方向で前記筒状壁部に接近する方向に突出する被係合凸部を上下方向に間隔をあけて複数備える位置決め部材を備え、
前記ランバーサポートは、
前記筒状壁部において、左右方向で前記位置決め部材と対向する位置に形成され、後方から見た際に上下方向に延びる側壁部から、左右方向で前記位置決め部材に接近する方向に突出する突起を備え、
前記位置決め部材、及び前記側壁部の少なくとも一方が、左右方向に弾性変形可能に形成されている
請求項3に記載の背凭れ。
【請求項5】
前記操作部材は、
操作者が把持する把持部と、
前記把持部から左右方向の内側に延びる接続片と、を備え、
前記支持枠は、
前記可撓部の左右方向の両外側にそれぞれ形成され、前後方向の第1側を向く面の左右方向の両外側から前後方向の第1側に立ち上がるとともに、左右方向に貫通する案内スリットを備えた外側壁部を備え、
前記案内スリットは、上下方向に延びるとともに、前記案内凹部内に連通し、
前記接続片は、前記案内スリットに挿通され、前記案内凹部内で前記筒状壁部に接続されている
請求項3に記載の背凭れ。
【請求項6】
前記接続片は、左右方向から見た際に、前後方向の厚み寸法よりも、上下方向の高さ寸法が大きい
請求項5に記載の背凭れ。
【請求項7】
前記筒状壁部に形成され、上下方向に延びる係合孔を更に備え、
前記接続片の先端部は、前記係合孔に挿入されている
請求項6に記載の背凭れ。
【請求項8】
前記背凭れ本体には、前記外側壁部を左右方向に貫通するとともに、上下方向に延びる開口部が形成され、
前記開口部に着脱可能に装着されるとともに、前記案内スリットが形成されたガイド部材を更に備えている
請求項5から7の何れか1項に記載の背凭れ。
【請求項9】
前記案内スリットにおいて、前後方向の第1側を向く第1内周面、及び前後方向の第2側を向く第2内周面の各々に形成され、上下方向に延びる突条を更に備え、
前記接続片は、前後方向の第1側を向く第1側面、及び前後方向の第2側を向く第2側面の各々に形成され、上下方向に延びて前記突条に係合する係合溝を備えている請求項5から7の何れか1項に記載の背凭れ。
【請求項10】
請求項1から7の何れか1項に記載の背凭れ、を備える椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背凭れ、及び椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
椅子の背凭れの前面側に配置され、着座者の腰部を支持するランバーサポートが知られている。着座者の腰部の高さや支えたい位置は人によって異なる。このため、多くのランバーサポートは、背凭れ本体に対して上下方向に位置調整が可能とされている。
【0003】
特許文献1は、背凭れベース本体に形成された案内部により、上下方向にスライド移動するよう案内された、ランバーサポート(アジャスタ)を備える構成が開示されている。この構成において、案内部は、背凭れベース本体の左右方向の中央部寄りに形成されている。ランバーサポートの左右端部は、左右両側方に延び、背凭れベース本体の左右両側部に形成された貫通孔に挿通されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6916693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような構成では、ランバーサポートを上下方向にスライド移動させる場合、利用者は、背凭れベース本体から左右方向両側に突出した、ランバーサポートの左右端部を把持する。ランバーサポートの案内部は、背凭れベース本体の左右方向の中央部寄りに形成されている。ランバーサポートの左右端部は、背凭れベース本体の左右方向の中央部寄りに形成された案内部に係合した部分から、片持ち梁状に延びたような構成となっている。このため、ランバーサポートを上下方向にスライド移動させるため、利用者が背凭れベース本体から左右方向両側に突出した部分を把持して力を加えると、ランバーサポートが撓むことがあり、ダイレクトな操作感が得られない可能性がある。
本発明は、ランバーサポートを上下方向にスライド移動させる際の操作感を高めることができる背凭れ、及び椅子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る背凭れは、左右方向の両端部において、前後方向の第1側を向く第1面から前後方向の第2側に向けて窪み、かつ上下方向に延びる案内凹部を有し、着座者の背部からの入力荷重を受ける背凭れ本体と、前記背凭れ本体の前後方向の第1側に配置されて左右方向に延びるサポート本体を有し、前記背凭れ本体に対して上下方向に位置調整可能に設けられるランバーサポートと、を備え、前記サポート本体の左右方向の両端部から前後方向の第2側にそれぞれ突出するとともに、前記案内凹部内に挿入され、上下方向に移動可能とされた挿入凸部と、前記サポート本体のうち、左右方向の両端部の前記挿入凸部のそれぞれに連結され、前記背凭れ本体よりも左右方向の外側に突出した操作部材と、を備える。
本態様によれば、ランバーサポートに設けられた挿入凸部が、背凭れ本体の案内凹部内に挿入されることで、上下方向に移動可能とされている。挿入凸部は、ランバーサポートのサポート本体の左右方向の両端部に設けられている。また、案内凹部は、背凭れ本体の左右方向の両端部に設けられている。このように、ランバーサポートのサポート本体は、背凭れ本体の左右方向の両端部に設けられた案内凹部により、上下方向に移動可能に支持されている。ランバーサポートを上下方向に移動させる際に利用者が手指で把持する操作部材は、サポート本体の左右方向の両端部に設けられた挿入凸部に連結されている。これにより、利用者がランバーサポートを上下方向に移動させる際に、操作部材を手指で把持して力を加えると、加えられた力は、操作部材を介して、案内凹部内で上下方向に移動可能とされた、ランバーサポートの挿入凸部に伝達される。したがって、ランバーサポートを上下方向に移動させるために加えた力によって、サポート本体が撓むことが抑えられる。その結果、ランバーサポートを上下方向にスライド移動させる際の操作感を高めることができる。
【0007】
(2)上記(1)の態様に係る背凭れにおいて、前記背凭れ本体は、後方に弾性変形可能に構成されるとともに、着座者の背部を支持する可撓部と、前記可撓部の少なくとも左右方向の両外側で前記可撓部を支持する、前記可撓部よりも高い剛性を有する支持枠と、を備え、前記案内凹部は、前記支持枠に形成されていることが好ましい。
本態様によれば、着座者の背部を支持する可撓部が、後方に弾性変形可能であるので、着座者が背凭れに寄りかかった際に、可撓部が弾性変形する。また、可撓部の少なくとも左右方向の両外側は、可撓部よりも高い剛性を有する支持枠によって支持されている。これにより、背凭れ全体としては、支持枠によって剛性感を確保しつつ、可撓部が弾性変形することで、着座者は柔らかな着座感を得ることができる。
さらに、案内凹部が、可撓部よりも高い剛性を有した支持枠に形成されているので、挿入凸部を案内凹部内で上下方向に移動させる際、案内凹部の変形が抑えられる。これにより、ランバーサポートを上下方向にスライド移動させる際の操作感を、より一層高めることができる。
【0008】
(3)上記(2)の態様に係る背凭れにおいて、前記挿入凸部は、前記サポート本体の左右方向の端部から前後方向の第2側に延びる筒状壁部を有することが好ましい。
本態様によれば、挿入凸部が筒状壁部を有することで、挿入凸部の重量増加を抑えつつ、挿入凸部の剛性を容易に確保できる。挿入凸部の剛性を高めることで、ランバーサポートを上下方向にスライド移動させる際の操作感を、より一層高めることができる。
【0009】
(4)上記(3)の態様に係る背凭れにおいて、前記背凭れ本体は、前記案内凹部の内部で、前記筒状壁部に対して左右方向に対向する位置に設けられ、左右方向で前記筒状壁部に接近する方向に突出する被係合凸部を上下方向に間隔をあけて複数備える位置決め部材を備え、前記ランバーサポートは、前記筒状壁部において、左右方向で前記位置決め部材と対向する位置に形成され、後方から見た際に上下方向に延びる側壁部から、左右方向で前記位置決め部材に接近する方向に突出する突起を備え、前記位置決め部材、及び前記側壁部の少なくとも一方が、左右方向に弾性変形可能に形成されていることが好ましい。
本態様によれば、案内凹部の内部に設けられた位置決め部材の被係合凸部と、筒状壁部に形成された突起とが係合することで、ランバーサポートを上下方向に移動させた際に、ランバーサポートの上下方向の位置を位置決めできる。また、位置決め部材、及び側壁部の少なくとも一方が、左右方向に弾性変形可能である。このため、ランバーサポートを上下方向に移動させる際、凸部が被係合凸部を乗り換えるときには、位置決め部材、及び側壁部の少なくとも一方が弾性変形し、ランバーサポートの上下方向への移動を容易に行える。また、凸部が、上下に位置する二つの被係合凸部に入り込むと、弾性変形していた位置決め部材、及び側壁部の少なくとも一方が元の形状に復元する。これにより、凸部が、上下に位置する二つの被係合凸部に入り込んだ状態が維持され、ランバーサポートの上下方向への移動の拘束力が高まる。
【0010】
(5)上記(3)の態様に係る背凭れにおいて、前記操作部材は、操作者が把持する把持部と、前記把持部から左右方向の内側に延びる接続片と、を備え、前記支持枠は、前記可撓部の左右方向の両外側にそれぞれ形成され、前後方向の第1側を向く面の左右方向の両外側から前後方向の第1側に立ち上がるとともに、左右方向に貫通する案内スリットを備えた外側壁部を備え、前記案内スリットは、上下方向に延びるとともに、前記案内凹部内に連通し、前記接続片は、前記案内スリットに挿通され、前記案内凹部内で前記筒状壁部に接続されていることが好ましい。
本態様によれば、操作部材の接続片が、強固な支持枠の外壁部に備えた案内スリットを通し、案内凹部内で筒状壁部に接続されている。これにより、操作部材の接続片は、筒状壁部に接続された部分と、案内スリットに挿通される部分とで、前後方向への変位が拘束される。操作部材を操作する際に、操作者が加えた力によって、操作部材が前後方向に撓むように変形することが抑えられる。
【0011】
(6)上記(5)の態様に係る背凭れにおいて、前記接続片は、左右方向から見た際に、前後方向の厚み寸法よりも、上下方向の高さ寸法が大きいことが好ましい。
本態様によれば、接続片の前後方向の厚み寸法よりも、上下方向の高さ寸法を大きくすることで、接続片の上下方向の力に対する剛性を高めることができる。したがって、ランバーサポートを上下方向に移動させる際、操作者が上下方向の力を加えた場合に、接続片の上下方向への変形が抑えられる。この点においても、ランバーサポートを上下方向にスライド移動させる際の操作感を高めることができる。
【0012】
(7)上記(6)の態様に係る背凭れにおいて、前記筒状壁部に形成され、上下方向に延びる係合孔を更に備え、前記接続片の先端部は、前記係合孔に挿入されていることが好ましい。
本態様によれば、接続片の先端部が、筒状壁部に形成された係合孔に挿入されることで、接続片の先端部の前後方向への変位を抑えつつ、操作部材と挿入凸部とを強固に接続することができる。
【0013】
(8)上記(1)から(7)の何れかの態様に係る背凭れにおいて、前記背凭れ本体には、前記外側壁部を左右方向に貫通するとともに、上下方向に延びる開口部が形成され、前記開口部に着脱可能に装着されるとともに、前記案内スリットが形成されたガイド部材を更に備えていることが好ましい。
本態様によれば、外側壁部に形成された開口部に、案内スリットが形成されたガイド部材を装着することで、操作部材の接続片を挿入するための案内スリットを、外側壁部に容易に備えることができる。
【0014】
(9)上記(1)から(8)の何れかの態様に係る背凭れにおいて、前記案内スリットにおいて、前後方向の第1側を向く第1内周面、及び前後方向の第2側を向く第2内周面の各々に形成され、上下方向に延びる突条を更に備え、前記接続片は、前後方向の第1側を向く第1側面、及び前後方向の第2側を向く第2側面の各々に形成され、上下方向に延びて前記突条に係合する係合溝を備えていることが好ましい。
本態様によれば、案内スリットの第1内周面と第2内周面とに形成された突条と、操作部材の接続片に形成された係合溝とを係合させることで、案内凹部内で筒状壁部に接続された接続片を備えた操作部材が、左右方向の外側に抜けてしまうことが抑えられる。さらに、ランバーサポートを上下方向に移動させる際、操作者が操作部材を把持しながら、操作部材を上下方向に移動させると、係合溝が案内スリットの突条に係合しているので、操作部材がスムーズに案内される。
【0015】
(10)本発明の一態様に係る椅子は、上記(1)から(9)の何れかの態様に係る背凭れ、を備える。
本態様によれば、ランバーサポートを上下方向にスライド移動させる際の操作感を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、ランバーサポートを上下方向にスライド移動させる際の操作感を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態における椅子を前方から見た正面図である。
図2】本発明の実施形態における椅子を斜め後方から見た斜視図である。
図3】本発明の実施形態における背凭れの背シェルを斜め前方から見た斜視図である。
図4】本発明の実施形態におけるランバーサポートのサポート部材を斜め後方から見た斜視図である。
図5】本発明の施形態における挿入凸部、ガイド部材、及び操作部材を、操作部材の上下方向の中心部で上下方向から見た断面図である。
図6】本発明の実施形態における左支持杆に形成された案内凹部の斜視図である。
図7】本発明の実施形態における左支持杆に形成された案内凹部を前側から見た図である。
図8】本発明の実施形態における左支持杆に設けられた案内凹部、ガイド部材及び操作部材の関係を前側から見た図である。
図9】本発明の実施形態における左支持杆に設けられた案内凹部、挿入凸部、ガイド部材及び操作部材の関係を前側から見た断面図である。
図10】本発明の実施形態におけるガイド部材を示す斜視図である。
図11】本発明の実施形態におけるガイド部材を開口部に取り付ける手順を示す図である。
図12】本発明の実施形態における操作部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明による背凭れ、及び椅子を実施するための形態を説明する。しかし、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。
【0019】
図1は、本実施形態の椅子1を前方から見た正面図である。また、図2は、本実施形態の椅子1を斜め後方から見た斜視図である。本実施形態の椅子1は、着座者を着座姿勢の状態で支持する什器であり、例えばオフィスや店舗で用いられる。図1及び図2に示すように、本実施形態の椅子1は、脚部2と、支基3と、座4と、背凭れ5とを備える。
【0020】
なお、以下の説明においては、説明の便宜上、座4に正規姿勢で着座した着座者から見た方向を椅子1の方向とする。例えば、着座者から見て前側は椅子1の前側とする。また、着座者から見て後側は椅子1の後側とする。前側と後側とを結ぶ方向を前後方向とする。本実施形態において、前後方向の第1側は前側である。前後方向の第2側は後側である。また、着座者から見て左側は椅子1の左側とする。また、着座者から見て右側は椅子1の右側とする。左側と右側とを結ぶ方向は左右方向である。着座者から見て、左右方向において、椅子1の中央部側を、左右方向の内側とし、左右方向において椅子1の中央部から離れる側を左右方向の外側とする。また、着座者から見て上側は椅子1の上側とする。また、着座者から見て下側は椅子1の下側とする。上側と下側とを結ぶ方向は上下方向である。
【0021】
脚部2は、床面に接触し、下方から直接的あるいは間接的に支基3、座4及び背凭れ5を支持する。脚部2は、図1及び図2に示すように、多岐脚2aと、脚柱2bとを有する。多岐脚2aは、中央部から放射状に延伸する複数の脚体2a1を有している。各々の脚体2a1の先端部は、キャスタ2a2が設置されている。各々のキャスタ2a2は、床面に対して転動可能に接触する。
【0022】
脚柱2bは、多岐脚2aの中央部に立設されており、多岐脚2aの中央部から上方に向けて延伸している。脚柱2bは、外筒2b1と、内筒2b2とを有している。外筒2b1は、多岐脚2aに固定されている。内筒2b2は、下部が外筒2b1に接続されており、外筒2b1に対して上下方向に移動可能に接続されている。内筒2b2は、脚柱2bの内部に収容された不図示のスプリングによって支持されている。また、内筒2b2の上端部は、支基3に固定されている。このような脚柱2bは、支基3を介して、座4を上下方向に移動可能に支持する。
【0023】
支基3は、脚部2の上方に位置するボックス状の部位である。支基3は、内部に、例えば、座4の昇降機構と、背凭れ5の傾動機構とを備える。支基3は、座4の下方に位置し、座4を下方から支持する。支基3の後部は、背凭れ5が接続される。座4は、着座者が直接的に座る部位であり、上面が着座面である。なお、椅子1は、着座者の肘や腕先が載せ置かれる肘掛けを備えてもよい。このような肘掛けは、例えば、座4の側部に固定される。
【0024】
図3は、本実施形態における背凭れ5の背シェル5bを斜め前方から見た斜視図である。
背凭れ5は、着座者を後側から支持する部位である。図1図3に示すように、背凭れ5は、連結部材5aと、背シェル(背凭れ本体)5b(図3参照)と、表皮材5f(図1図2参照)と、クッション材5c(図1参照)と、ランバーサポート50(図3参照)と、を備える。
【0025】
連結部材5aは、背凭れ5を支基3に接続するための部材である。
図3に示すように、背シェル5bは、着座者の背部からの入力荷重を受け、連結部材5aを介して、支基3や脚部2に伝達する。背シェル5bは、枠部20と、可撓部21と、を有している。背シェル5bは、例えば樹脂の射出成形によって形成される射出成形体である。つまり、枠部20と、可撓部21とは、一体化されている。
【0026】
枠部20は、正面視において枠状に形成された部位であり、可撓部21を可撓部21の周方向の外側から囲う。枠部20は、上支持杆20aと、下支持杆20bと、左支持杆(支持枠)20cと、右支持杆(支持枠)20dとを有している。上支持杆20a、下支持杆20b、左支持杆20c、右支持杆20dの各々は、可撓部21よりも高い剛性を有した強度部材である。枠部20は、前側から見た際に、略矩形状に形成されている。
【0027】
上支持杆20aは、枠部20の上部に位置する。上支持杆20aは、左右方向に沿って延伸する杆状部である。下支持杆20bは、枠部20の下部に位置する。下支持杆20bは、左右方向に沿って延伸する杆状部である。上支持杆20aと下支持杆20bとは、可撓部21の上下方向の両外側で、可撓部21を支持している。
【0028】
左支持杆20cは、枠部20の左部に位置する。左支持杆20cは、上下方向に沿って延伸し、上支持杆20aの左端部と下支持杆20bの左端部とを接続する。右支持杆20dは、枠部20の右部に位置する。右支持杆20dは、上下方向に沿って延伸し、上支持杆20aの右端部と下支持杆20bの右端部とを接続する。左支持杆20c及び右支持杆20dは、可撓部21の左右方向の両外側で可撓部21を支持している。
【0029】
左支持杆20c及び右支持杆20dの各々は、前面(第1面)20fと、外側壁部20wと、を有している。左支持杆20cの前面20fは、可撓部21に対して左側(左右方向の外側)で、前側(前後方向の第1側)を向いて形成されている。左支持杆20cの外側壁部20wは、左支持杆20cのうち前面20fの左側から前側に立ち上がり、左右方向に交差する面に沿って形成されている。左支持杆20cの前面20fは、可撓部21に対して右側(左右方向の外側)で、前側を向いて形成されている。左支持杆20cの外側壁部20wは、右支持杆20dのうち前面20fの右側から前側に立ち上がり、左右方向に交差する面に沿って形成されている。
【0030】
可撓部21は、枠部20で囲われた空間に位置し、枠部20に接続されている。可撓部21は、後方に弾性変形可能である。可撓部21は、着座者の背部を支持する。可撓部21は、複数の棒状開口部21aが上下方向と左右方向とに配列された板状に形成されている。なお、可撓部21の形状は板状でなくてもよい。可撓部21の上端は、上支持杆20aに接続されている。また、可撓部21の下端は、下支持杆20bに接続されている。また、可撓部21の左端は、左支持杆20cに接続されている。また、可撓部21の右端は、右支持杆20dに接続されている。なお、可撓部21は、一部が枠部20に接続されていればよく、上支持杆20a、下支持杆20b、左支持杆20c及び右支持杆20dの全てに必ずしも接続されている必要はない。なお、左支持杆20cと右支持杆20dのみで背シェル5bに十分な剛性を与えられる場合には、上支持杆20aと下支持杆20bとは、省略されることもある。
【0031】
また、本実施形態では、各々の棒状開口部21aは、上下方向に沿って直進状に延伸している。これらの棒状開口部21aは、上下方向に例えば4~5つ(複数)配置されている。また、各々の棒状開口部21aの左右方向の幅寸法は、本実施形態において同一である。ただし、各々の棒状開口部21aの左右方向の幅寸法は、異なってもよい。
【0032】
このような可撓部21は、着座者から荷重を受けた場合に、各々の棒状開口部21aを左右方向に広げるように弾性変形する。また、可撓部21は、着座者から受ける荷重がなくなると、元の形状に復元する。つまり、可撓部21は、着座者から受ける荷重に応じて柔軟に変形する。
【0033】
図1に示すように、クッション材5cは、背シェル5bに対して前側に設けられている。クッション材5cは、背シェル5bを前側から覆うように設けられている。表皮材5fは、背凭れ5の着座者が接触する外表面を形成している。表皮材5fは、材質が特に限定されるものではないが、例えば布材や皮材によって形成できる。表皮材5fは、背シェル5b、及びクッション材5cを覆うように設けられている。
【0034】
図3に示すように、ランバーサポート50は、背凭れ5の上下方向の中間部に位置し、着座者の腰回りを支持する。ランバーサポート50は、サポート部材51と、ガイド部材60と、操作部材70と、を備えている。
【0035】
図4は、本実施形態におけるランバーサポート50のサポート部材51を斜め後方から見た斜視図である。
サポート部材51は、着座者の腰回りを支持する板部材である。サポート部材51は、操作部材70を操作することで、上下方向に移動可能である。サポート部材51は、サポート本体52と、一対の挿入凸部53と、を一体に有している。
【0036】
サポート本体52は、背シェル5bの前側に配置されている。サポート本体52は、左右方向に延びている。サポート本体52は、左右方向を長手方向とする板状に形成されている。
【0037】
図5は、本実施形態における挿入凸部53、ガイド部材60、及び操作部材70を、操作部材70の上下方向の中心部で上下方向から見た断面図である。
図4図5に示すように、一対の挿入凸部53は、サポート本体52の左右方向の両端部に設けられている。一対の挿入凸部53は、サポート本体52の後面から後側に向けてそれぞれ突出している。
各挿入凸部53は、筒状壁部53wを有している。筒状壁部53wは、サポート本体52の後面から後方に向けて延びる、中空の有底筒状形状に形成されている。筒状壁部53wは、後方から見た際に、上下方向を長辺方向とする長方形状の断面を有している。筒状壁部53wは、一対の端壁部53w1、53w2と、一対の側壁部53w3、53w4と、を有している。一対の端壁部53w1、53w2は、上下方向に間隔をあけて設けられている。一対の端壁部53w1、53w2の各々は、上下方向に交差する面に沿っている。一対の側壁部53w3、53w4は、左右方向に間隔をあけて設けられている。側壁部53w3は、側壁部53w4に対して左右方向の外側に配置されている。一対の側壁部53w3,53w4は、一対の端壁部53w1,53w2の左右両端部同士を接続している。
なお、筒状壁部53wを、後方から見た際の断面形状は、長方形状に限らず、適宜他の形状としてもよい。
【0038】
筒状壁部53wは、中間壁53w5を更に有している。中間壁53w5は、筒状壁部53wの上下方向の中間部に設けられている。中間壁53w5は、筒状壁部53wの内部に設けられ、上下方向に交差する面に沿っている。この中間壁53w5により、筒状壁部53wの剛性が高められる。
【0039】
各挿入凸部53は、左右方向の外側を向く側壁部53w3に、係合孔55と、突起57と、を備えている。
係合孔55は、側壁部53w3を左右方向に貫通している。係合孔55は、左右方向から見た際に、例えば、上下方向に長い長円形状に形成されている。
【0040】
突起57は、係合孔55に対して、後側に設けられている。本実施形態において、突起57は、上下方向に間隔をあけて二つ設けられている。突起57の数は、二つに限らず、一つ、あるいは三つ以上であってもよい。各突起57は、側壁部53w3から左右方向の外側に突出している。図4に示すように、側壁部53w3は、各突起57に対して上下方向の両側に、一対のスリット58を有している。一対のスリット58の各々は、側壁部53w3の後端から前方に向かって延びている。これにより、側壁部53w3のうち、一対のスリット58間に位置する部分には、後方に向けて片持ちで延びる舌片部59を構成している。各舌片部59の先端部には、それぞれ突起57が形成されている。各突起57は、舌片部59が弾性変形することで、左右方向に変位可能となっている。
【0041】
サポート本体52の左右方向の両端部に設けられた一対の挿入凸部53は、図3に示すように、背シェル5bに形成された案内凹部25内に挿入される。案内凹部25は、背シェル5bの左右方向の両端部にそれぞれ形成されている。一対の案内凹部25の各々は、背シェル5bの左右方向の両端部において、可撓部21に対して左右方向の両外側に位置する左支持杆20c及び右支持杆20dに形成されている。つまり、案内凹部25は、左支持杆20cと右支持杆20dとの各々に設けられている。
【0042】
図6は、本実施形態における左支持杆20cに形成された案内凹部25の斜視図である。図7は、本実施形態における左支持杆20cに形成された案内凹部25を前側から見た図である。
ここで、以下において、左支持杆20cに形成された案内凹部25について説明する。なお、背シェル5bは、左右対称形状であり、右支持杆20dに形成された案内凹部25は、以下に説明する左支持杆20cに形成された案内凹部25と左右対称形状であるため、詳細な説明を省略する。
図5図7に示すように、案内凹部25は、左支持杆20cの前面20f(外周壁部よりも左右方向の内側に位置する部分)から後側に向けて窪んでいる。案内凹部25は、上下方向に沿って直線状に延びている。案内凹部25には、挿入凸部53(図5図7参照)が挿入される。挿入凸部53は、上下方向に延びる溝状の案内凹部25内に挿入されることで、上下方向へのスライド移動が案内される。
【0043】
案内凹部25は、奥面25dを有している。奥面25dは、後方に向けて窪む案内凹部25の底面を形成している。奥面25dは、前後方向に交差する面に沿っている。案内凹部25内に挿入凸部53が挿入された際、挿入凸部53の先端(後端)が奥面25dに突き当たることで、挿入凸部53、すなわち挿入凸部53が設けられたサポート本体52の後方への移動を規制する。
【0044】
案内凹部25内には、位置決め部材27が設けられている。位置決め部材27は、案内凹部25内の内部で、挿入凸部53の筒状壁部53w(側壁部53w3)に対して左右方向に対向する位置に設けられている。本実施形態において、左支持杆20cに形成された案内凹部25の内部で、位置決め部材27は、筒状壁部53wに対して左側に配置されている。
【0045】
本実施形態では、位置決め部材27は、背シェル5bと一体的に設けられている。ただし、位置決め部材27を背シェル5bと別体で形成し、後加工で背シェル5bと接合するようにしてもよい。
位置決め部材27は、案内凹部25内で上下方向に延びている。位置決め部材27は、案内凹部25内で、奥面25dから前側に立ち上がるように形成されている。位置決め部材27は、前後方向において、案内凹部25内に挿入された挿入凸部53の突起57と重なる位置に形成されている。
【0046】
位置決め部材27は、前後方向から見て上下方向に山部と谷部とが繰り返される波形に形成されている。これにより、位置決め部材27のうち、隣り合う谷部間に位置する部分が、上下方向に間隔をあけて形成された、複数の被係合凸部27tを構成している。複数の被係合凸部27tの各々は、右側、つまり左右方向で筒状壁部53w(側壁部53w3)に接近する方向、に突出している。なお、図示の例において、位置決め部材27における上下方向の両端部は、案内凹部25の内面のうち上下方向の両端面に両持ちで接続されている。また、位置決め部材27のうち谷部は、案内凹部25の内面のうち左右方向の内側を向く面に接続されている。したがって、位置決め部材27は、被係合凸部27t(山部)が案内凹部25の内面のうち左右方向の内側を向く面から離間した状態で形成されている。
【0047】
このような位置決め部材27において、各被係合凸部27tは、左右方向に対して弾性変形可能である。図7に示すように、複数の被係合凸部27tには、挿入凸部53に形成された二つの突起57が接触する。各突起57は、筒状壁部53wの側壁部53w3から、左右方向で位置決め部材27に接近する方向に突出している。案内凹部25の内部に挿入された挿入凸部53が、上下方向にスライド移動される際に、突起57が被係合凸部27tを通過する場合には、舌片部59と位置決め部材27の少なくとも一方が左右方向に弾性変形可能に構成されている。これにより、突起57が位置決め部材27に対して相対的に変位することで、突起57が被係合凸部27tを乗り越える。また、突起57が二つの被係合凸部27tの間に位置する場合には、突起57が二つの被係合凸部27tの間の谷部に嵌まり込むことで、突起57を備えた筒状壁部53w、つまりサポート部材51の上下方向への移動が拘束される。
【0048】
図8は、本実施形態における左支持杆20cに設けられた案内凹部25、ガイド部材60及び操作部材70の関係を前側から見た図である。
図5図7図8に示すように、枠部20は、左右方向の両端部に、開口部28をそれぞれ備えている。開口部28は、左支持杆20cの外側壁部20w、及び右支持杆20dの外側壁部20wにそれぞれ形成されている。各開口部28は、外側壁部20wを、左右方向に貫通している。開口部28は、案内凹部25内に連通している。開口部28は、上下方向に延びる長円形状である。図5に示すように、開口部28は、前後方向において、位置決め部材27よりも前側に形成されている。開口部28は、前後方向において、案内凹部25内に挿入された挿入凸部53の係合孔55と重なる位置に形成されている。なお、係合孔55は、開口部28に比べて上下方向及び前後方向の寸法が小さい。
【0049】
図9は、本実施形態における左支持杆20cに設けられた案内凹部25内、挿入凸部53、ガイド部材60及び操作部材70の関係を前側から見た断面図である。図10は、本実施形態におけるガイド部材60を示す斜視図である。
ガイド部材60は、枠部20の左右方向の両端部に設けられている。図5図7図9に示すように、各ガイド部材60は、開口部28に着脱可能に装着される。図5図8図10に示すように、ガイド部材60は、スリーブ部61と、枠部62と、を一体に有している。ガイド部材60は、樹脂により一体成形されている。
【0050】
スリーブ部61は、左右方向に延びる筒状に形成されている。スリーブ部61は、左右方向から見た際に、上下方向を長軸方向とする長円形状の断面を有している。枠部62は、スリーブ部61において、左右方向の外側の基端部61bから、スリーブ部61の径方向の外側に張り出すように形成されている。スリーブ部61は、開口部28内に挿入される。枠部62は、左右方向の外側から、外側壁部20wに突き当たる。
【0051】
スリーブ部61は、第一係止爪61sと、一対の第二係止爪61tとを備えている。第一係止爪61sは、スリーブ部61の上端部に形成されている。第一係止爪61sは、スリーブ部61の左右方向の内側の先端部61aから上側に突出している。一対の第二係止爪61tは、スリーブ部61の下部に形成されている。一対の第二係止爪61tは、スリーブ部61の前後方向の両側に形成されている。各第二係止爪61tは、前後方向に弾性変形可能とされている。
【0052】
図11は、本発明の実施形態におけるガイド部材を開口部に取り付ける手順を示す図である。
図11に示すように、ガイド部材60を開口部28に装着する際には、スリーブ部61の上端部を先に開口部28に挿入し、第一係止爪61sを外側壁部20wに係止させる。その後、スリーブ部61の下端部を開口部28に挿入し、一対の第二係止爪61tを外側壁部20wに対して左右方向の内側から係止させる。これにより、ガイド部材60が開口部28に装着される。
【0053】
このようなガイド部材60において、スリーブ部61の内側は、案内スリット65を構成している。案内スリット65は、ガイド部材60を左右方向に貫通するとともに、上下方向に延びている。案内スリット65は、ガイド部材60を開口部28に装着した状態で、外側壁部20wを左右方向に貫通し、上下方向に延びている。
【0054】
図5図9に示すように、案内スリット65には、突条66が形成されている。突条66は、案内スリット65において、前側を向く後側内周面(第1内周面)61f、及び後側を向く前側内周面(第2内周面)61gの各々に形成されている。各突条66は、上下方向に延びている。後側内周面61fに形成された突条66は、後側内周面61fから前方に突出している。前側内周面61gに形成された突条66は、前側内周面61gから後方に突出している。
【0055】
図1に示すように、操作部材70は、枠部20の左右方向の両端部に設けられている。各操作部材70は、サポート部材51を上下にスライドさせる際に、着座者が操作する部位である。一方の操作部材70は、サポート部材51の左側の端部に設けられた挿入凸部53に接続されている。他方の操作部材70は、サポート部材51の右側の端部に設けられた挿入凸部53に接続されている。
【0056】
図12は、本実施形態における操作部材70を示す斜視図である。
図5図8図9図12に示すように、各操作部材70は、把持部71と、接続片72とを有している。把持部71は、例えば、着座者の手指で摘ままれて操作される部位である。なお、ここで言う操作とは、操作部材70を上下方向に移動させることを意味する。
接続片72は把持部71から左右方向の内側、つまり背シェル5b側に向けて突出している。図12に示すように、接続片72は、金属製の芯材72aと、芯材72aを覆う樹脂部72bとを、インサート成形によって一体に形成したものである。
【0057】
図5図9に示すように、接続片72は、案内スリット65を通して、挿入凸部53の係合孔55に差し込まれる。接続片72を係合孔55に挿入した状態で、接続片72端部は、側壁部53w3から筒状壁部53wの内部に突出している。接続片72の先端部は、係合孔55に差し込まれることで、挿入凸部53に上下方向、及び前後方向で係合している。ここで、接続片72の先端部は、係合孔55に差し込まれるのみで、左右方向においては挿入凸部53に固定されているわけではない。
【0058】
図5図9図12に示すように、接続片72は、左右方向から見た際に、前後方向の厚み寸法Tよりも、上下方向の高さ寸法Hが大きい板状に形成されている。接続片72において、前方を向く第1側面72fと、後側を向く第2側面72gの各々には、係合溝77が形成されている。係合溝77は、上下方向に延びている。係合溝77は、接続片72を案内スリット65内に挿入した際、対応する突条66に左右方向で係合する。これにより、案内スリット65は、ガイド部材60に対する操作部材70の前後方向の移動を制限した上で、上下方向の移動を案内する。
ここで、係合溝77と突条66との左右方向におけるガタは、側壁部53w3から筒状壁部53wの内部への接続片72の突出量よりも小さい。これにより、ガイド部材60に対する操作部材70左右方向の移動を制限することで、接続片72の係合孔55からの脱落を抑えている。
【0059】
このようにして、操作部材70は、ガイド部材60の突条66に係合溝77が係合することによって、前後方向、および左右方向への移動が拘束された状態で、案内スリット65に沿って上下方向に移動自在に支持されている。また、操作部材70の接続片72は、挿入凸部53の係合孔55に単に挿入された構成となっている。
【0060】
このようなランバーサポート50において、各々の挿入凸部53は、枠部20に設けられた案内凹部25に差し込まれている。このように、各々の挿入凸部53が各々の案内凹部25に差し込まれたサポート部材51は、上下方向に移動可能とされている。
ランバーサポート50は、着座者が操作部材70の把持部71を把持して上下方向に移動させることで、サポート部材51の上下方向の位置を変更できる。このため、着座者が自らの着座姿勢や体型に応じて、快適に感じる位置にサポート部材51を配置することが可能となる。
【0061】
着座者が操作部材70の把持部71を把持してランバーサポート50を上下方向に移動させる際、把持部71に加えられた操作力は、接続片72を介し、接続片72が接続された挿入凸部53に伝達される。このようにして伝達された操作力によって、案内凹部25内で挿入凸部53が上下方向に移動することで、挿入凸部53と一体に、サポート部材51が上下方向に移動する。
案内凹部25内で挿入凸部53を上下方向に移動させると、突起57が被係合凸部27tを乗り換えるときには、位置決め部材27、及び側壁部53w3が弾性変形する。そして、突起57が被係合凸部27tを乗り換えた後、上下に位置する二つの被係合凸部27tの間に入り込むと、弾性変形していた位置決め部材27、及び側壁部53w3が元の形状に復元する。これにより、着座者が、サポート部材51を上下方向に移動させて好みの位置とし、突起57を上下に位置する二つの被係合凸部27tの間に入り込ませた状態とすることで、サポート部材51が上下方向において位置決めされる。
【0062】
このように、本実施形態において、ランバーサポート50に設けられた挿入凸部53が、背シェル5bの案内凹部25内に挿入されることで、上下方向に移動可能とされている。挿入凸部53は、ランバーサポート50のサポート本体52の左右方向の両端部に設けられている。また、案内凹部25は、背シェル5bの左右方向の両端部に設けられている。
この構成によれば、ランバーサポート50のサポート本体52は、背シェル5bの左右方向の両端部に設けられた案内凹部25により、上下方向に移動可能に支持されている。ランバーサポート50を上下方向に移動させる際に利用者が手指で把持する操作部材70は、サポート本体52の左右方向の両端部に設けられた挿入凸部53に連結されている。これにより、利用者がランバーサポート50を上下方向に移動させる際に、操作部材70を手指で把持して力を加えると、加えられた力は、操作部材70を介して、案内凹部25内で上下方向に移動可能とされた、ランバーサポート50の挿入凸部53に伝達される。したがって、ランバーサポート50を上下方向に移動させるために加えた力によって、サポート本体52が撓むことが抑えられる。その結果、ランバーサポート50を上下方向にスライド移動させる際の操作感を高めることができる。
【0063】
本実施形態において、可撓部21の少なくとも左右方向の両外側で可撓部21を支持する、可撓部21よりも高い剛性を有する左支持杆20c、右支持杆20dを備え、案内凹部25は、左支持杆20c、右支持杆20dに形成されている構成とした。
この構成によれば、着座者の背部を支持する可撓部21が、後方に弾性変形可能であるので、着座者が背凭れ5に寄りかかった際に、可撓部21が弾性変形する。また、可撓部21の少なくとも左右方向の両外側は、可撓部21よりも高い剛性を有する左支持杆20c、右支持杆20dによって支持されている。これにより、背凭れ5全体としては、左支持杆20c、右支持杆20dによって剛性感を確保しつつ、可撓部21が弾性変形することで、着座者や柔らかな着座感を得ることができる。
さらに、案内凹部25が、可撓部21よりも高い剛性を有した左支持杆20c、右支持杆20dに形成されているので、挿入凸部53を案内凹部25内で上下方向に移動させる際、案内凹部25の変形が抑えられる。これにより、ランバーサポート50を上下方向にスライド移動させる際の操作感を、より一層高めることができる。
【0064】
本実施形態において、挿入凸部53が筒状壁部53wを有する構成とした。
この構成によれば、挿入凸部53の重量増加を抑えつつ、挿入凸部53の剛性を容易に確保できる。挿入凸部53の剛性を高めることで、ランバーサポート50を上下方向にスライド移動させる際の操作感を、より一層高めることができる。
【0065】
本実施形態において、案内凹部25の内部に設けられた位置決め部材27の被係合凸部27tと、筒状壁部53wに形成された突起57とが係合する構成とした。
この構成によれば、ランバーサポート50を上下方向に移動させた際に、ランバーサポート50の上下方向の位置を位置決めできる。また、位置決め部材27、及び側壁部53w3の少なくとも一方が、左右方向に弾性変形可能である。このため、ランバーサポート50を上下方向に移動させる際、突起57が被係合凸部27tを乗り換えるときには、位置決め部材27、及び側壁部53w3の少なくとも一方が弾性変形し、ランバーサポート50の上下方向への移動を容易に行える。また、突起57が、上下に位置する二つの被係合凸部27tに入り込むと、弾性変形していた位置決め部材27、及び側壁部53w3の少なくとも一方が元の形状に復元する。これにより、突起57が、上下に位置する二つの被係合凸部27tに入り込んだ状態が維持され、ランバーサポート50の上下方向への移動の拘束力が高まる。
【0066】
本実施形態において、操作部材70の接続片72が、強固な左支持杆20c、右支持杆20dの外壁部に備えた案内スリット65を通し、案内凹部25内で筒状壁部53wに接続されている構成とした。
この構成によれば、操作部材70の接続片72は、筒状壁部53wに接続された部分と、案内スリット65に挿通される部分とで、前後方向への変位が拘束される。操作部材70を操作する際に、操作者が加えた力によって、操作部材70が前後方向に撓むように変形することが抑えられる。
【0067】
本実施形態において、接続片72の前後方向の厚み寸法Tよりも、上下方向の高さ寸法Hを大きくする構成とした。
この構成によれば、接続片72の上下方向の力に対する剛性を高めることができる。したがって、ランバーサポート50を上下方向に移動させる際、操作者が上下方向の力を加えた場合に、接続片72の上下方向への変形が抑えられる。この点においても、ランバーサポート50を上下方向にスライド移動させる際の操作感を高めることができる。
【0068】
本実施形態において、接続片72の先端部が、筒状壁部53wに形成された係合孔55に挿入される構成とした。
この構成によれば、接続片72の先端部の前後方向への変位を抑えつつ、操作部材70と挿入凸部53とを強固に接続することができる。
【0069】
本実施形態において、外側壁部20wに形成された開口部28に、案内スリット65が形成されたガイド部材60を装着する構成とした。
この構成によれば、操作部材70の接続片72を挿入するための案内スリット65を、外側壁部20wに容易に備えることができる。
【0070】
本実施形態において、案内スリット65の第1内周面と第2内周面とに形成された突条66と、操作部材70の接続片72に形成された係合溝77とを係合させる構成とした。
この構成によれば、案内凹部25内で筒状壁部53wに接続された接続片72を備えた操作部材70が、左右方向の外側に抜けてしまうことが抑えられる。さらに、ランバーサポート50を上下方向に移動させる際、操作者が操作部材70を把持しながら、操作部材70を上下方向に移動させると、係合溝77が案内スリット65の突条66に係合しているので、操作部材70がスムーズに案内される。
【0071】
本実施形態において、椅子1は、上記の背凭れ5、を備える。
この構成によれば、ランバーサポート50を上下方向にスライド移動させる際の操作感を高めることができる。
【0072】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、上述した実施形態では、可撓部21が棒状開口部21aを有する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、可撓部21が棒状開口部21aを備えない構成を採用することも可能である。例えば、可撓部21の厚さ寸法を背シェル5bの他の部位と比較して薄くすることで、可撓部21に可撓性を付与することも可能である。
【0073】
上述した実施形態では、背凭れ5は、背シェル5bと、クッション材5cと、表皮材5fとを備えるようにしたが、これに限られない。背凭れ5は、背凭れ5の外周形状に沿って設けられたフレームと、フレームの内側に設けられたメッシュ状の張材とを備えたものであってもよい。
【0074】
上述した実施形態では、ランバーサポート50を、背凭れ本体である背シェル5bの前側に配置するようにしたが、ランバーサポート50は、背凭れ本体の後側に配置してもよい。この場合、前後方向の第1側が後側、第2側が前側となる。
【0075】
また、上述した実施形態では、挿入凸部53が筒状壁部53wを有する構成としたが、これに限られない。挿入凸部53の形状は、板状、ブロック状等、適宜変更可能である。
【0076】
また、上述した実施形態では、係合孔55は、左右方向から見た際に、上下方向に長い長円形状としたが、これに限られず、適宜他の形状としてもよい。
また、上述した実施形態では、係合孔55が側壁部53w3を左右方向に貫通しているようにしたが、これに限られない。係合孔55に代えて、側壁部53w3を左右方向に貫通しない凹部を形成してもよい。この場合、接続片72は、凹部に嵌まり込むことで、挿入凸部53に上下方向、及び前後方向で係合するようにしてもよい。
【0077】
また、上述した実施形態では、案内凹部が、可撓部よりも高い剛性を有する支持枠に形成されているようにしたが、これに限られない。
例えば、背凭れ本体が均一な肉厚で形成され、背凭れ本体の中央部の領域には棒状開口部(スリット)が形成され、中央部の領域に対して、少なくとも左右方向の両外側が高い剛性を有しているようにしても良い。この場合も、高い剛性を有した、左右方向の両外側の部分に、案内凹部を形成するのが好ましい。
また、背凭れ本体の中央部の領域と、その少なくとも左右方向の両外側の領域とで、中央部の領域を、スリットを形成せず、左右方向の両外側の領域よりも肉厚を小さくしてもよい。このような構成においても、中央部の領域に対して、少なくとも左右方向の両外側が高い剛性を有することになる。この場合も、高い剛性を有した、左右方向の両外側の部分に、案内凹部を形成するのが好ましい。
【0078】
また、上述した実施形態では、開口部28にガイド部材60が装着され、ガイド部材60の案内スリット65に、操作部材70の接続片72が挿入された構成であるが、これに限られない。開口部28を案内スリット65とし、操作部材70を開口部28に直接挿入する構成としてもよい。
【0079】
また、操作部材70は、ガイド部材60によって、前後方向、および左右方向への移動が拘束された状態で、案内スリット65に沿って上下方向に移動自在に支持され、接続片72は挿入凸部53の係合孔55に単に挿入された構成となっているが、これに限られない。操作部材70は、挿入凸部53に固定的に接続されていてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 椅子
5 背凭れ
5b 背シェル(背凭れ本体)
20c 左支持杆(支持枠)
20d 右支持杆(支持枠)
20f 前面(第1面)
20w 外側壁部
21 可撓部
27 位置決め部材
27t 被係合凸部
28 開口部
50 ランバーサポート
52 サポート本体
53 挿入凸部
53w 筒状壁部
53w3 側壁部
55 係合孔
57 突起
60 ガイド部材
61f 後側内周面(第1内周面)
61g 前側内周面(第2内周面)
65 案内スリット
66 突条
70 操作部材
71 把持部
72 接続片
72f 第1側面
72g 第2側面
77 係合溝
H 高さ寸法
T 厚み寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12