(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130365
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】定置式ストレッチフィルム包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 11/06 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B65B11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040041
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】523091981
【氏名又は名称】泉商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098187
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 正司
(72)【発明者】
【氏名】金澤 泰斗
(72)【発明者】
【氏名】中川 竜二
(72)【発明者】
【氏名】鍛治 信一
(72)【発明者】
【氏名】坂井 宏充
(72)【発明者】
【氏名】坂井 良行
【テーマコード(参考)】
3E051
【Fターム(参考)】
3E051AA08
3E051AB09
3E051BA13
3E051CA01
3E051EA04
3E051EB01
3E051FA01
(57)【要約】
【課題】ストレッチフィルムによる包装のやり方の自由度を作業者に与える。
【解決手段】実施例のストレッチフィルム包装機(100)は、ストレッチフィルム(FL)を被包装物(L)に巻き付けるフィルム巻き付け機構(40)と、キャリッジ(30)を上昇させるキャリッジ上昇機構(42)と、フィルム巻き付け機構(40)に連動させてキャリッジ(30)を上昇させる第1動作モードと、フィルム巻き付け機構(40)との連動関係を解除してキャリッジ(30)を同一高さのままにする第2動作モードとを手動又は電動で切り換える動作モード切り換え機構(46)とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を床に定置して運用する定置式ストレッチフィルム包装機において、
旋回部を回転させてストレッチフィルムを被包装物に巻き付けるフィルム巻き付け機構と、
キャリッジを上昇させるキャリッジ上昇機構と、
前記フィルム巻き付け機構に連動させて前記キャリッジを自動上昇させる第1動作モードと、前記フィルム巻き付け機構との連動関係を解除して前記キャリッジを同一高さのままにする第2動作モードとを、作業者の意図的な操作に従って、手動又は電動で切り換える動作モード切り換え機構とを有することを特徴とする定置式ストレッチフィルム包装機。
【請求項2】
請求項1に記載の定置式ストレッチフィルム包装機において、
前記キャリッジ上昇機構は、
相対的な長さをバランスさせる事で弛みを防止しするために、巻き上げドラム部分とカウンタドラム部分を備えたメインドラムと、
第1ドラム部分と第2ドラム部分を備えた補助ドラムと、
前記メインドラムの前記巻き上げドラム部分と、前記キャリッジとに固定された巻き上げワイヤと、
前記キャリッジと、前記補助ドラムの前記第1ドラム部分とに固定された補助ワイヤと、
前記メインドラムの前記カウンタドラム部分と、前記補助ドラムの前記第2ドラム部分とに固定されたカウンタワイヤとを有し、
前記メインドラムの前記巻き上げドラム部分と前記カウンタドラム部分とは逆巻きであり、
前記補助ドラムの第1ドラム部分と前記第2ドラム部分とは逆巻きであり、
更に、前記補助ドラムが、前記キャリッジの自重落下を防止するためにワンウエイクラッチを備えている、ことを特徴とする定置式ストレッチフィルム包装機)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は定置式ストレッチフィルム包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンなどのプラスチックフィルム等からなるストレッチフィルムを使って被包装物を包装するストレッチフィルム包装機が知られている。被包装物の典型例はパレット積みされた複数の段ボール箱である。張力が与えられたストレッチフィルムによって包装することで、荷崩れが防止され、また、雨水等による水濡れが防止される。
【0003】
特許文献1はターンテーブル式包装機を開示している。この包装機は、被包装物を置くターンテーブルと、昇降機構によって上下に移動可能なキャリッジを案内するマストとを有し、キャリッジには、ストレッチフィルムのロール(以下、「フィルムロール」という。)がロール支持機構を介して設置される。
【0004】
特許文献1の包装機は、被包装物がターンテーブルと一緒に回転し、その周りに、所望の張力の下でフィルムロールから引き出されたストレッチフィルムが巻き付けられる。ターンテーブルの回転に連動してキャリッジが上昇して、ストレッチフィルムが螺旋状に被包装物に巻き付けられる。
【0005】
ストレッチフィルム包装機は、上述したターンテーブル式包装機の他に、被包装物を床に定置して運用する定置式包装機が知られている(特許文献2)。特許文献2は、一例として手動式の包装機を開示している。作業者がハンドルを回転すると、この操作力が、傘歯車、プーリ、ベルトを通じて旋回部に伝達され、旋回部が垂直支軸を中心に旋回する。これによりストレッチフィルムが被包装物に巻き付けられる。なお、特許文献2には、キャリッジを上昇させる機構に関する記述はない。
【0006】
実際に販売されている定置式包装機では、作業者のハンドル操作に伴うストレッチフィルムの巻き付けを同一高さ位置で行う機構に限定されている。このことから、フィルム巻き付け位置の変更は、作業者がハンドル操作を一時停止し、キャリッジを手で持ち上げることによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-84648号公報
【特許文献2】特開平3-111214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ストレッチフィルム包装機に関し、ストレッチフィルムを被包装物に巻き付ける動作と、キャリッジの上昇動作とを連動させつつ、キャリッジを上昇させるタイミングや、キャリッジの上昇動作を停止させるタイミングなどストレッチフィルムによる包装のやり方を作業者の意思に委ねて欲しいというニーズがある。本発明の目的は、ストレッチフィルムによる包装のやり方に関し、作業者に自由度を与えることのできるストレッチフィルム包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題は、本発明によれば、
被包装物を床に定置して運用する定置式ストレッチフィルム包装機(100)において、
旋回部(10)を回転させてストレッチフィルム(FL)を被包装物(L)に巻き付けるフィルム巻き付け機構(40)と、
キャリッジ(30)を上昇させるキャリッジ上昇機構(42)と、
前記フィルム巻き付け機構(40)に連動させて前記キャリッジ(30)を自動上昇させる第1動作モードと、前記フィルム巻き付け機構(40)との連動関係を解除して前記キャリッジ(30)を同一高さのままにする第2動作モードとを、作業者の意図的な操作に従って、手動又は電動で切り換える動作モード切り換え機構(46)とを有することを特徴とする定置式ストレッチフィルム包装機(100)を提供することにより達成される。
【0010】
ストレッチフィルムによる包装のやり方に関し、キャリッジを上昇させながらストレッチフィルムを螺旋状に巻き付ける第1動作モードと、同一高さ位置でストレッチフィルムを巻き付ける第2動作モードとを、作業者は、自らの意思に基づく行為によって切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例のストレッチフィルム包装機に含まれる骨格構造体を説明するための図である。
【
図2】実施例の包装機の全体構成の概要を説明するための図である。
【
図3】実施例の包装機において、キャリッジの上昇させる上昇巻き付けに関連する動作の機構のみを説明するための概略的な図である。
【
図4】実施例の包装機において、キャリッジの下降に関連する動作の機構のみを説明するための概略的な図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0012】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
図1は、実施例のストレッチフィルム包装機100の一部を構成する骨格構造体の概略構成図である。
図1を参照して、ストレッチフィルム包装機100は、その骨格構造体2が、基本的には、アルミニウム合金製の閉断面矩形のフレーム構造材で作られている。骨格構造体2は、平面視コ字状のベース部4、ベース部4から起立する支持部6と、支持部6に垂直支軸8を介して軸支された旋回部10とを有し、旋回部10は、垂直支軸8の軸線Axを中心に回転自在である。
【0013】
骨格構造体2で囲まれた空間WSが、被包装物L(
図2)を床の上に置いた状態で包装作業を実施するための作業空間である。すなわち、ストレッチフィルム包装機100は被包装物を床に定置して運用する定置式包装機である。なお、
図2には、被包装物Lとして、パレットPtに積み上げられた複数の段ボール箱Cbが図示されているが、これは例示に過ぎない。包装機100は任意の被包装物の包装に用いることができる。
【0014】
ベース部4は、更に、好ましくは複数のキャスタ16を有し、包装機100は任意の方向に移動可能である。複数のキャスタ16は省いてもよい。支持部6は、鉛直方向延びる支柱20と、支柱20の上端に固定された横支持アーム22とで構成されている。
【0015】
旋回部10は支持部6の内側つまり作業空間WS(
図1)側に配置されている。旋回部10は、垂直方向に延びるガイドレール24と、横方向に延びる回転アーム26とを有し、ガイドレール24は、床面近くから横支持アーム22の近くまで垂直方向上方に延びている。
【0016】
回転アーム26の他端部は、横支持アーム22の自由端部の近傍に且つ下方に位置し、垂直支軸8によって関連付けられている。垂直支軸8は垂直方向に延び、そして、その上端部が横支持アーム22に回転自在に設けられている。垂直支軸8の下端は回転アーム26に固定されている。これにより、垂直支軸8を軸回転させることにより、作業空間WSにおいて、垂直支軸8の軸線Axを中心にして旋回部10を回転させることができる。ここに、垂直支軸8は中空シャフトで構成されている。
【0017】
ガイドレール24にはキャリッジ30が取り付けられる。キャリッジ30はガイドレール24に案内されて昇降可能である。なお、
図2を参照して、キャリッジ30には、従来と同様にロール支持機構(図示せず)を介してフィルムロール32(
図2)が設置され、従来と同様に張力調整機構(図示せず)によって、フィルムロール32から所望の張力の下でストレッチフィルムFLが引き出される。
【0018】
図2を参照して、実施例のストレッチフィルム包装機100に含まれる複数の機構を説明する。包装機100は、前述したとおり定置式包装機であり、次の複数の機構を有している。
【0019】
(1)垂直支軸8を中心に旋回部10をハンドル操作や電動モータ等で一方向に回転させてストレッチフィルムFLを被包装物Lに巻き付けるフィルム巻き付け機構40。
(2)キャリッジ30を昇降させた時、各ワイヤが弛まず、キャリッジ30が自重落下するのを防止する自重落下防止機能を含むキャリッジ上昇機構42。
(3)キャリッジ30の上昇をフィルム巻き付け機構40に連動させてキャリッジ30を自動上昇させる(第1動作モード)か、フィルム巻き付け機構40との連動を解除してキャリッジ30を同一高さのままにする(第2動作モード)か、作業者の意図的な操作、例えばハンドル操作やリモートコントローラの操作に従って手動又は電動で切り換える動作モード切り換え機構46。
【0020】
フィルム巻き付け機構40:
図2を参照して、フィルム巻き付け機構40は、支柱20の内部に配置された主軸シャフト402、横支持アーム22の内部に配置された無端チェーン404、第1スプロケット406、第2スプロケット408、第1傘歯車410、第2傘歯車412、入力シャフト414、操作ハンドル416とで構成され、第2スプロケット408は垂直支軸8に固定されている。操作ハンドル416を作業者が手動操作することにより垂直支軸8を軸回転させることができる。その結果、回転アーム26は、垂直支軸8の軸線Axを中心に一方向に回転し、そしてガイドレール24が回転つまり旋回部10が旋回して、ストレッチフィルムFLを被包装物Lに巻き付けることができる。すなわち、ハンドル操作で垂直支軸8を回転させることで旋回部10が旋回して、ストレッチフィルムFLを被包装物Lに巻き付けることができる。変形例として、垂直支軸8を電動モータで回転させ、リモートコントローラを使った作業者の指令に従って電動モータをON/OFFさせるようにしてもよい。すなわち、電動で旋回部10を旋回させてもよい。
【0021】
自重落下防止機能を含むキャリッジ上昇機構42:
キャリッジ上昇機構42は、メインドラム420と補助ドラム422とを有している。メインドラム420は中間壁420aによって区画された巻き上げドラム部分420bとカウンタドラム部分420cとを有している。
図3を参照して、補助ドラム422は中間壁422aによって区画された第1ドラム部分422bと第2ドラム部分422cとを有している。
【0022】
補助ドラム422はワンウエイクラッチ48を内蔵し且つ旋回部10に軸支されている。ワンウエイクラッチ48は、例えば手動操作によって、ワンウエイクラッチ48をONすると、補助ドラム422の一方向の回転を許容し、逆方向の回転を禁止するクラッチモードとなり、ワンウエイクラッチ48をOFFに切り換えることで、補助ドラム422の自由回転を許容する自由回転モードになる。作業者の手動操作によってワンウエイクラッチ48のモード切り換えを行うようにしてもよいし、電動でモード切り換えを行うようにしてもよい。電動でクラッチモードと自由回転モードとを切り換えるのであれば、リモートコントローラを使った作業者の意図的な操作に基づいてモード切り換え動作を行うようにするのがよい。
【0023】
キャリッジ上昇機構42は、巻き上げワイヤ424と補助ワイヤ426とカウンタワイヤ428とを更に有している。
図3などから良く分かるように、巻き上げワイヤ424は、その一端がメインドラム420の巻き上げドラム部分420bに固定され、他端が、旋回部10に定置された第1滑車430を経由してキャリッジ30に固定されている。
【0024】
図3は、キャリッジ30の昇降に関連した概略的な説明図である。なお、メインドラム420から見て、補助ドラム422は説明のために本来の向きとは異なって図示されている。
図3を参照して、補助ワイヤ426は、一端がキャリッジ30に固定され、他端が、補助ドラム422の第1ドラム部分422bに固定されている。キャリッジ30と補助ドラム422との間には、共にガイドレール24に定置された第2滑車432、第1仮想滑車434が介在している。なお、第1仮想滑車434は説明のために図に追加したものであり、第1仮想滑車434の存在は任意である。第2滑車432は、キャリッジ30が作業開始位置SP(
図2)に位置するときに、補助ワイヤ426の一端がキャリッジ30に固定される部位の高さレベルよりも低い位置に配置されている。
【0025】
カウンタワイヤ428は、一端がメインドラム420のカウンタドラム部分420cに固定され、他端が補助ドラム422の第2ドラム部分422cに固定されている。補助ドラム422の第1、第2ドラム部分422b、422cは逆巻きである。メインドラム420の巻き上げドラム部分420bとカウンタドラム部分420cとは逆巻きである。
【0026】
キャリッジ上昇機構42を構成するメインドラム420、補助ドラム422に関連した巻き上げワイヤ424、補助ワイヤ426、カウンタワイヤ428は、各々の相対的な長さをバランスさせることにより、巻き上げワイヤ424、補助ワイヤ426、カウンタワイヤ428の何れにも弛みがない状態となるように設定される。これにより、キャリッジ30を上昇させるプロセスにおいて、巻き上げワイヤ424、補助ワイヤ426、カウンタワイヤ428に弛みが発生するのを防止できる。キャリッジ上昇機構42は、補助ドラム422が内蔵するワンウエイクラッチ48によって、キャリッジ30が自重で落下するのを防止するキャリッジ自重落下機能を有している。すなわち、補助ドラム422にはワンウエイクラッチ48が備えてあるので、ワンウエイクラッチ48がクラッチモードのとき、補助ドラム422の逆回転が禁止されるため、また、上述した相対的な長さをバランスさせている事により、メインドラム420も逆回転が禁止される。これにより、巻き上げワイヤ424はメインドラム420が逆回転しなければ、引き出されないため、キャリッジ30が自重で降下するのを防止できる。
【0027】
動作モード切り換え機構46::
図2を参照して、中空の垂直支軸8の中には垂直シャフト440が回転可能に挿通され、この垂直シャフト440の下端部にメインドラム420に固定されている。
【0028】
動作モード切り換え機構46は、垂直シャフト440の上端に固定されたブレーキデスク460を有し、また、横支持アーム22の自由端の上に支持台462を有する。支持台462には、第1L字状アーム464が揺動可能に配置されている。支持台462の一部は、上方から見たときに、ブレーキデスク460の一部とオーバーラップする位置に位置している。
【0029】
第1L字状アーム464は、支持台462に支持された第1水平軸464aを中心に揺動可能である。第1L字状アーム464の一端部にはブレーキ部材Brが配設されている。ブレーキ部材Brが下降してブレーキデスク460を上方から押圧すると、ブレーキデスク460と支持台462の一部が協働してブレーキデスク460をクランプした状態となる。これにより垂直シャフト440が回転不能になり、その結果、メインドラム420は回転不能の状態になる。
【0030】
第1L字状アーム464は、中継L字状アーム466、第1中継ロッド468、第2中継ロッド470、動作切り換えモード切り換え操作レバー472に連係されている。
【0031】
作業者がモード切り換え操作レバー472を矢印で図示する方向に操作してブレーキ部材Brを下降させることにより、動作モード切り換え機構46を締結(ブレーキON)状態(第1動作モード)にすることができる。他方、作業者が動作切り換えモード切り換え操作レバー472を逆方向に操作すると、動作モード切り換え機構46を解除(ブレーキOFF)してメインドラム420が回転可能な状態(第2動作モード)になる。
【0032】
図示の例では、上述したように動作切り換えモード切り換え操作レバー472を作業者が操作することでブレーキ部材Brをブレーキデスク460に係脱させる構成が採用されているが、例えばブレーキ部材Brをアクチュエータで動作させるようにしてもよい。具体的には、アクチュエータの作動ロッドの先端にブレーキ部材Brを取り付けて作動ロッドが伸長することでブレーキON状態を形成し、作動ロッドが短縮することでブレーキOFF状態を形成するようにしてもよい。このアクチュエータは、リモートコントローラを使った作業者の意図的な操作に基づいて動作させるのがよい。
【0033】
包装工程(同一高さ位置巻き付け):
動作モード切り換え機構46はOFF状態つまりブレーキ解除状態(第22動作モード))に設定して、メインドラム420の回転自由の状態の下で、ワンウエイクラッチ48をON状態、つまりクラッチモードに設定する。作業者は操作ハンドル416を一方向に回転させることにより旋回部10が旋回して、巻き上げワイヤ424の他端を固定したキャリッジ30が同じ高さ位置に定置した状態で、ストレッチフィルムFLが同一高さ位置、つまり同一水平面上で被包装物Lに巻き付けられる。すなわち、フィルム巻き付け機構40の主要部を構成する旋回部10が旋回しても、動作モード切り換え機構46がOFF状態である場合、キャリッジ上昇機構42に含まれる巻き上げワイヤ424は、メインドラム420が回転自由状態であるため巻き付かず、キャリッジ30は同じ高さレベルに定置した状態を維持する。
【0034】
包装工程(螺旋巻き付け)(
図3):
キャリッジ30を上昇させて螺旋状にストレッチフィルムFLを巻き付けるのであれば、
図3を参照して、ワンウエイクラッチ48のクラッチモードを継続した状態で、動作モード切り換え機構46をOFF状態からON状態(第1動作モード)に切り換える。これにより、メインドラム420は回転が禁止された状態になる。旋回部10の旋回に伴って巻き上げワイヤ424がメインドラム420の周りを旋回しながらメインドラム420に巻き付く。これによりキャリッジ30は上昇して、ストレッチフィルムFLが被包装物Lに螺旋状に巻き付けられる。キャリッジ30の上昇に伴って、補助ドラム422から補助ワイヤ426が引き出され、補助ドラム422の回転が促される。補助ドラム422の回転によって、カウンタワイヤ428がメインドラム420から補助ドラム422に巻き取られる。すなわち、フィルム巻き付け機構40の主要部を構成する旋回部10が旋回した時、動作モード切り換え機構46がON状態(第1動作モード)である場合、キャリッジ上昇機構42に含まれる巻き上げワイヤ424はメインドラム420が回転禁止状態であるため巻き付くので、旋回部10が旋回に連動してキャリッジ30は上昇を開始する。
【0035】
包装作業の途中で、操作ハンドル416の操作を中断して、例えば作業者が手でキャリッジ30に押し下げる力を加えたとしても、ワンウエイクラッチ48がクラッチモードであることから、メインドラム420、補助ドラム422の逆回転が禁止される。これにより、キャリッジ30が降下するのを防止できる。
【0036】
包装作業が完了する直前に、同一高さ位置巻き付け、つまりストレッチフィルムFLを同一水平面上で被包装物Lに巻き付けるのであれば、動作モード切り換え機構46をOFF状態つまりブレーキ解除状態(第2動作モード)に戻して、メインドラム420を回転自由な状態にすればよい。その場合、キャリッジ30に下降する力が加わるが、ワンウエイクラッチ48がクラッチモードであり、補助ドラム422の逆回転が禁止されるため、相対的な長さをバランスさせている事により、メインドラム420も逆回転が禁止される。これにより、キャリッジ30が下降するのを防止できる。
【0037】
キャリッジの原位置への下降工程(
図4):
動作モード切り換え機構46をOFF状態(ブレーキ解除)に切り換えて、メインドラム420が自由回転できる状態にする。また、ワンウエイクラッチ48をOFF状態に切り換えて自由回転モードに設定する。これにより、メインドラム420及び補助ドラム422は共に自由回転が可能となる。
【0038】
その結果、キャリッジ30は自重で降下することができる。必要であれば、作業者が力Fをキャリッジ30に加えて作業開始位置SPまで押し下げて、ストレッチフィルム包装機100が原位置に戻し、次の包装作業に備える。
【0039】
図4を参照して、キャリッジ30の下降に伴って、メインドラム420から巻き上げワイヤ424が引き出され、このメインドラム420の回転に伴って補助ドラム422からカウンタワイヤ428がメインドラム420に巻き戻される。これに伴う補助ドラム422の回転によって、補助ワイヤ426が補助ドラム422に巻き取られる。