(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130367
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ダイヤモンド製造システム、方法、制御装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
C01B 32/26 20170101AFI20240920BHJP
【FI】
C01B32/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040045
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】523028541
【氏名又は名称】大熊ダイヤモンドデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】山口 卓宏
(72)【発明者】
【氏名】星川 尚久
【テーマコード(参考)】
4G146
【Fターム(参考)】
4G146AA04
4G146BA12
4G146BA48
4G146DA03
4G146DA50
(57)【要約】
【課題】再生可能エネルギーを有効活用させることに貢献することができるダイヤモンド製造システム等を提供すること。
【解決手段】ダイヤモンド製造システムは、電力を用いて水を電気分解することにより水素ガスを製造する水素ガス製造装置と、前記水素ガス製造装置で製造された前記水素ガスと、二酸化炭素とを合成することによってメタンガスを製造するメタンガス製造装置と、前記水素ガス製造装置からの前記水素ガスを流量制御する水素ガス流量制御バルブと、前記メタンガス製造装置からの前記メタンガスを流量制御するメタンガス流量制御バルブと、前記水素ガス流量制御バルブ及び前記メタンガス流量制御バルブで流量制御された前記水素ガス及び前記メタンガスを用いてダイヤモンドを製造するダイヤモンド製造装置と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を用いて水を電気分解することにより水素ガスを製造する水素ガス製造装置と、
前記水素ガス製造装置で製造された前記水素ガスと、二酸化炭素とを合成することによってメタンガスを製造するメタンガス製造装置と、
前記水素ガス製造装置からの前記水素ガスを流量制御する水素ガス流量制御バルブと、
前記メタンガス製造装置からの前記メタンガスを流量制御するメタンガス流量制御バルブと、
前記水素ガス流量制御バルブ及び前記メタンガス流量制御バルブで流量制御された前記水素ガス及び前記メタンガスを用いてダイヤモンドを製造するダイヤモンド製造装置と、
を備える、ダイヤモンド製造システム。
【請求項2】
再生可能エネルギーを利用して発電する再生可能エネルギー発電装置を備え、
前記水素ガス製造装置は、前記電力として、前記再生可能エネルギー発電装置で発電された電力を用いる、
請求項1記載のダイヤモンド製造システム。
【請求項3】
再生可能エネルギー発電装置は、太陽光を利用して発電する太陽光発電装置である、
請求項2記載のダイヤモンド製造システム。
【請求項4】
前記水素ガス製造装置で製造された前記水素ガスを貯蔵する水素ガス貯蔵装置と、
前記メタンガス製造装置で製造された前記メタンガスを貯蔵するメタンガス貯蔵装置と、
を備え、
前記水素ガス流量制御バルブは、前記水素ガス貯蔵装置からの前記水素ガスを流量制御し
前記メタンガス流量制御バルブは、前記メタンガス貯蔵装置からの前記メタンガスを流量制御する、
請求項1記載のダイヤモンド製造システム。
【請求項5】
前記水素ガス製造装置で製造された前記水素ガスを純化する水素ガス純化装置と、
前記メタンガス製造装置で製造された前記メタンガスを純化するメタンガス純化装置と、
を備え、
前記水素ガス貯蔵装置は、前記水素ガス純化装置で純化された前記水素ガスを貯蔵し、
前記メタンガス貯蔵装置は、前記メタンガス純化装置で純化された前記メタンガスを貯蔵する、
請求項4記載のダイヤモンド製造システム。
【請求項6】
前記水素ガス製造装置で製造された前記水素ガス中の不純物濃度を検出する水素用不純物検出センサと、
前記メタンガス製造装置で製造された前記メタンガス中の不純物濃度を検出するメタン用不純物検出センサと、
を備え、
前記水素ガス純化装置は、前記水素用不純物検出センサで検出された不純物濃度に応じて前記水素ガスを純化し、
前記メタンガス純化装置は、前記メタン用不純物検出センサで検出された不純物濃度に応じて前記メタンガスを純化する、
請求項5記載のダイヤモンド製造システム。
【請求項7】
商用電源、前記再生可能エネルギー発電装置、及び前記水素ガス製造装置と電気的に接続されるとともに、前記商用電源を制御する商用電源制御装置を備え、
前記商用電源制御装置は、前記再生可能エネルギー発電装置の発電量に応じて、前記商用電源の前記電力を前記水素ガス製造装置に供給する、又は、前記再生可能エネルギー発電装置の前記電力を前記商用電源に供給する、若しくは、前記商用電源を利用しない、ように前記商用電源を制御する、
請求項2記載のダイヤモンド製造システム。
【請求項8】
前記再生可能エネルギー発電装置、及び前記水素ガス製造装置と電気的に接続されるとともに、前記再生可能エネルギー発電装置の電力を蓄電することが可能な蓄電装置を備え、
前記蓄電装置は、前記再生可能エネルギー発電装置の発電量、及び、前記蓄電装置の蓄電量に応じて、前記蓄電装置に蓄電された前記電力を前記水素ガス製造装置に供給する、又は、前記再生可能エネルギー発電装置の前記電力を前記蓄電装置に蓄電する、若しくは、蓄電及び放電しない、ように制御する、
請求項2記載のダイヤモンド製造システム。
【請求項9】
予備水素ガス源と、
予備メタンガス源と、
前記予備水素ガス源からの前記水素ガスを流量制御する予備水素ガス流量制御バルブと、
前記予備メタンガス源からの前記メタンガスを流量制御する予備メタンガス流量制御バルブと、
を備え、
前記ダイヤモンド製造装置は、前記予備水素ガス流量制御バルブ及び前記予備メタンガス流量制御バルブで流量制御された前記水素ガス及び前記メタンガスを用いて前記ダイヤモンドを製造することが可能である、
請求項1記載のダイヤモンド製造システム。
【請求項10】
前記水素ガス製造装置は、前記メタンガス製造装置で副生された水を含む前記水を電気分解することにより前記水素ガスを製造する、
請求項1記載のダイヤモンド製造システム。
【請求項11】
前記水素ガス製造装置で副生された酸素ガス中の不純物濃度を検出する酸素用不純物検出センサと、
前記酸素用不純物検出センサによって検出された酸素ガス中の不純物濃度に応じて、前記水素ガス製造装置で副生された前記酸素ガスを純化する酸素ガス純化装置と、
前記酸素ガス純化装置で純化された前記酸素ガスを貯蔵する酸素ガス貯蔵装置と、
前記酸素ガス貯蔵装置からの前記酸素ガスを流量制御する酸素ガス流量制御バルブと、
を備え、
前記ダイヤモンド製造装置は、前記ダイヤモンド製造装置自身をクリーニングする時に、前記酸素ガス流量制御バルブで流量制御された前記酸素ガスを用いてクリーニングする、
請求項1記載のダイヤモンド製造システム。
【請求項12】
大気、又は、二酸化炭素発生源で排出されたガス、から二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置を備え、
前記メタンガス製造装置は、前記二酸化炭素として、前記二酸化炭素回収装置からの二酸化炭素を用いる、
請求項1記載のダイヤモンド製造システム。
【請求項13】
前記ダイヤモンド製造システムにおける構成要素の全部が1つの所定の敷地内に集約されている、
請求項1記載のダイヤモンド製造システム。
【請求項14】
前記ダイヤモンド製造システムにおける、制御可能な構成要素の全部を制御するように構成されている制御装置を備える、
請求項1乃至13のいずれか一に記載のダイヤモンド製造システム。
【請求項15】
電力を用いて水を電気分解することにより水素ガスを製造する工程と、
製造された前記水素ガスと、二酸化炭素とを合成することによってメタンガスを製造する工程と、
製造された前記水素ガスを流量制御する工程と、
製造された前記メタンガスを流量制御する工程と、
流量制御された前記水素ガス及び前記メタンガスを用いてダイヤモンドを製造する工程と、
を含む、ダイヤモンド製造方法。
【請求項16】
再生可能エネルギーを利用して発電する工程を含み、
前記水素ガスを製造する工程では、前記電力として、前記発電する工程で得られた電力を用いる、
請求項15記載のダイヤモンド製造方法。
【請求項17】
前記工程の全部が1つの所定の敷地内で行われる、
請求項15又は16記載のダイヤモンド製造システム。
【請求項18】
請求項1乃至13のいずれか一に記載のダイヤモンド製造システムにおける、制御可能な構成要素の全部を制御するように構成されている、制御装置。
【請求項19】
請求項1乃至13のいずれか一に記載のダイヤモンド製造システムにおける、制御可能な構成要素を制御する処理を制御装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンド製造システム、方法、制御装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化への対策として、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存在する熱、バイオマス等の再生可能エネルギー(自然エネルギーを含む)の有効活用が必要である。そして、再生可能エネルギーの活用拡大には、再生可能エネルギー発電で得られる電力を受け入れる安定的な需要が求められている。
【0003】
しかしながら、再生可能エネルギー発電で得られる電力は、原子力発電や火力発電のように、集中的に得られず、高出力ではないことから、高価であるため、安定的な需要先が見当たらない。また、再生可能エネルギー発電で得られる電力は、自然環境の影響を受けやすく、供給が安定していないため、再生可能エネルギーに多くを頼ることが困難である。つまり、再生可能エネルギー発電で得られる電力は、需要に見合ったコスト及び安定供給が困難であるため、再生可能エネルギー発電で得られた電力を政府が固定価格で買い取っているのが現状である。さらに、再生可能エネルギー発電の導入が急速に普及することで供給量が需要量よりも上回ってしまうおそれがあるため、再生可能エネルギー発電の出力制限ないし出力抑制が行われており、再生可能エネルギーが有効利用されていないという現状もある。そこで、再生可能エネルギー発電の余剰電力を、蓄電したり、P2G(Power to Gas)により燃料ガス(例えば、水素ガス、メタンガス)に変換(気体変換)して貯蔵し、発電することができないときに、蓄電を利用したり、貯蔵された燃料ガスを用いて発電することが提案されている(例えば、特許文献1~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-189721号
【特許文献1】特開2018-16840号
【特許文献2】特開2020-33284号
【特許文献3】特開2020-63206号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は、本願発明者により与えられる。
【0006】
しかしながら、蓄電やP2Gは採算性が悪いといった問題があり、再生可能エネルギーを有効活用するには至っていないのが現状である。すなわち、蓄電は、技術的に未発展であり、余剰電力を十分に貯蔵できるだけの技術が存在しないのが現状である。P2Gも、技術的に未発展であり、さらに、人件費がかかり、装置が高価であり、大きな発電施設やガス製造施設ほど一般的に都市部から離れた郡部に建設され、製造燃料ガスを消費地に輸送、運搬するためのパイプライン設備や道路整備等に対するコストが大きく、天然燃料ガスよりも高価で不安定な製造燃料ガスでは安定的なガス需要(連続的なガス消費)がなく、製造燃料ガスのコストが販売価格に見合わないのが現状である。以上のようなことから、再生可能エネルギーの有効活用が進まず、実際に余剰電力の4割程度は廃棄されている。
【0007】
本発明の主な課題は、再生可能エネルギーを有効活用させることに貢献することができるダイヤモンド製造システム、方法、制御装置、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の視点に係るダイヤモンド製造システムは、電力を用いて水を電気分解することにより水素ガスを製造する水素ガス製造装置と、前記水素ガス製造装置で製造された前記水素ガスと、二酸化炭素とを合成することによってメタンガスを製造するメタンガス製造装置と、前記水素ガス製造装置からの前記水素ガスを流量制御する水素ガス流量制御バルブと、前記メタンガス製造装置からの前記メタンガスを流量制御するメタンガス流量制御バルブと、前記水素ガス流量制御バルブ及び前記メタンガス流量制御バルブで流量制御された前記水素ガス及び前記メタンガスを用いてダイヤモンドを製造するダイヤモンド製造装置と、を備える。
【0009】
第2の視点に係るダイヤモンド製造方法は、電力を用いて水を電気分解することにより水素ガスを製造する工程と、製造された前記水素ガスと、二酸化炭素とを合成することによってメタンガスを製造する工程と、製造された前記水素ガスを流量制御する工程と、
製造された前記メタンガスを流量制御する工程と、流量制御された前記水素ガス及び前記メタンガスを用いてダイヤモンドを製造する工程と、を含む。
【0010】
第3の視点に係る制御装置は、前記第1の視点に係るダイヤモンド製造システムにおける、制御可能な構成要素の全部を制御するように構成されている。
【0011】
第4の視点に係るプログラムは、前記第1の視点に係るダイヤモンド製造システムにおける、制御可能な構成要素を制御する処理を制御装置に実行させる。
【0012】
なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。また、本開示では、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。プログラムは、コンピュータ装置に入力装置又は外部から通信インタフェイスを介して入力され、記憶装置に記憶されて、プロセッサを所定のステップないし処理に従って駆動させ、必要に応じ中間状態を含めその処理結果を段階毎に表示装置を介して表示することができ、あるいは通信インタフェイスを介して、外部と交信することができる。そのためのコンピュータ装置は、一例として、典型的には互いにバスによって接続可能なプロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェイス、及び必要に応じ表示装置を備える。
【発明の効果】
【0013】
前記第1~第4の視点によれば、再生可能エネルギーを有効活用させることに貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態1に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【
図2】実施形態1に係るダイヤモンド製造システムの制御装置の動作を模式的に示したフローチャート図である。
【
図3】実施形態2に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【
図4】実施形態3に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【
図5】実施形態4に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【
図6】実施形態5に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【
図7】実施形態6に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【
図8】実施形態7に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【
図9】実施形態8に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【
図10】ハードウェア資源の構成を模式的に示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本出願において図面参照符号を付している場合は、それらは、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。また、下記の実施形態は、あくまで例示であり、本発明を限定するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。さらに、本願開示に示す回路図、ブロック図、内部構成図、接続図などにおいて、明示は省略するが、入力ポート及び出力ポートが各接続線の入力端及び出力端のそれぞれに存在する。入出力インタフェイスも同様である。プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェイス、及び必要に応じ表示装置を備え、コンピュータ装置は、通信インタフェイスを介して装置内又は外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、交信可能に構成される。
【0016】
[実施形態1]
実施形態1に係るダイヤモンド製造システムについて図面を用いて説明する。
図1は、
実施形態1に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【0017】
ダイヤモンド製造システム1は、再生可能エネルギーを利用して発電し、発電によって得られた電力を利用してダイヤモンドの原料となる水素ガス及びメタンガスを製造し、製造された水素ガス及びメタンガスを原料としてダイヤモンドを製造するシステムである(
図1参照)。ダイヤモンド製造システム1は、発電、ガス製造、及びガス消費を1つの所定の敷地内に集約させて、送電コスト及びガス輸送コストを無くす、若しくは、最小限に抑えるように構成されている。ダイヤモンド製造システム1は、再生可能エネルギー発電装置11と、水素ガス製造装置21と、メタンガス製造装置22と、水素用不純物検出センサ23と、メタン用不純物検出センサ24と、水素ガス純化装置25と、メタンガス純化装置26と、水素ガス貯蔵装置31と、メタンガス貯蔵装置32と、水素ガス流量制御バルブ33と、メタンガス流量制御バルブ34と、ダイヤモンド製造装置41と、を備える。ダイヤモンド製造システム1のうち、再生可能エネルギー発電装置11、水素ガス製造装置21及びメタンガス製造装置22は、電力を燃料ガス(ここでは、水素ガス、メタンガス)に変換するP2G(Power to Gas)システムである。
【0018】
再生可能エネルギー発電装置11は、再生可能エネルギーを利用して発電を行う装置である(
図1参照)。再生可能エネルギー発電装置11として、例えば、太陽光発電装置、風力発電装置(洋上風力発電装置を含む)、水力発電装置(海流発電装置、波力発電装置を含む)、地熱発電装置、太陽熱発電装置、大気中の熱その他の自然界に存在する熱発電装置、バイオマス発電装置等を用いることができる。再生可能エネルギー発電装置11は、任意の場所に設置することができるが、自然環境、地形等の条件に応じてエネルギー源が得やすい場所に設置することが好ましく、一般的に需要地(消費地)から遠く離れた場所に設置されることが多い。再生可能エネルギー発電装置11で発電された電力(e)は、主に、水素ガス製造装置21で用いられる。再生可能エネルギー発電装置11で発電された電力が、水素ガス製造装置21の最大消費電力を超えて安定した電力が得られる場合は、超えた余剰電力を、他の装置(メタンガス製造装置22、水素ガス純化装置25、メタンガス純化装置26、ダイヤモンド製造装置41等)で用いるようにしてもよい。余剰電力の他の利用方法については、実施形態2、3(
図3、
図4)を参照されたい。再生可能エネルギー発電装置11は、制御装置50によって制御されるものとすることができる。
【0019】
水素ガス製造装置21は、水素ガス(H
2)を製造する装置である(
図1参照)。水素ガス製造装置21は、原料として水(H
2O)を用い、再生可能エネルギー発電装置11で発電された電力を用いて水を電気分解することによって水素ガスを製造する。水素ガス製造装置21で製造された水素ガスは、管路を通じて、水素用不純物検出センサ23に送られる。水素ガス製造装置21で製造された水素ガスは、主に、ダイヤモンドの原料ガスに用いることができ、メタンガスの原料ガスに用いることができる。水素ガス製造装置21で副生される酸素ガスの利用については、実施形態6(
図7)を参照されたい。水素ガス製造装置21は、再生可能エネルギー発電装置11に合わせて設置することができ、送電コストを無くす、若しくは、最小限にすることができる場所に設置することが好ましい。水素ガス製造装置21は、制御装置50によって制御されるものとすることができる。
【0020】
メタンガス製造装置22は、メタンガス(CH
4)を製造する装置である(
図1参照)。メタンガス製造装置22は、例えば、原料として二酸化炭素(CO
2)及び水素ガス(H
2)を用いて二酸化炭素と水素ガスとを合成することによってメタンガスを製造するようにしてもよい。二酸化炭素は、例えば、大気から直接回収した二酸化炭素や、工場、発電所等が近くにあれば工場、発電所等で排出されたガスから回収した二酸化炭素を用いるようにしてもよい(実施形態7;
図8参照)。水素ガスは、水素ガス貯蔵装置31に貯蔵された水素ガス(水素ガス純化装置25で純化された水素ガスでも可)を用いることができる。メタンガス製造装置22で製造されたメタンガスは、管路を通じて、メタン用不純物検出センサ24に送られる。メタンガス製造装置22で製造されたメタンガスは、ダイヤモンドの原料ガスに用いることができる。メタンガス製造装置22で副生される水の利用については、実施形態5(
図6)を参照されたい。メタンガス製造装置22は、水素ガス製造装置21に合わせて設置することができる。メタンガス製造装置22は、制御装置50によって制御されるものとすることができる。
【0021】
水素用不純物検出センサ23は、水素ガス製造装置21で製造された水素ガス中の不純物濃度を検出するセンサである(
図1参照)。水素用不純物検出センサ23を通過した水素ガスは、管路を通じて、水素ガス純化装置25に送られる。水素用不純物検出センサ23で検出された水素ガス中の不純物濃度のデータは、制御装置50に送信される。
【0022】
メタン用不純物検出センサ24は、メタンガス製造装置22で製造されたメタンガス中の不純物濃度を検出するセンサである(
図1参照)。メタン用不純物検出センサ24を通過したメタンガスは、管路を通じて、メタンガス純化装置26に送られる。メタン用不純物検出センサ24で検出されたメタンガス中の不純物濃度のデータは、制御装置50に送信される。
【0023】
水素ガス純化装置25は、水素ガス製造装置21で製造された水素ガスの純化処理を行う装置である(
図1参照)。水素ガス純化装置25は、制御装置50によって制御されるものとすることができる。水素ガス純化装置25は、水素用不純物検出センサ23によって検出された水素ガス中の不純物濃度に応じて純化処理を行う。水素ガス純化装置25は、水素ガス中の不純物濃度が所定濃度以上の場合(例えば、水素ガス製造装置21の稼働開始時、稼働停止時など)には純化処理を行わないで排気するようにしてもよい。水素ガス純化装置25で純化処理された水素ガスは、管路を通じて、水素ガス貯蔵装置31及びメタンガス製造装置22に送られる。
【0024】
メタンガス純化装置26は、メタンガス製造装置22で製造されたメタンガスの純化処理を行う装置である(
図1参照)。メタンガス純化装置26は、制御装置50によって制御されるものとすることができる。メタンガス純化装置26は、メタン用不純物検出センサ24によって検出されたメタンガス中の不純物濃度に応じて純化処理を行う。メタンガス純化装置26は、メタンガス中の不純物濃度が所定濃度以上の場合(例えば、メタンガス製造装置22の稼働開始時、稼働停止時など)には純化処理を行わないで排気するようにしてもよい。メタンガス純化装置26で純化処理されたメタンガスは、管路を通じて、メタンガス貯蔵装置32に送られる。
【0025】
水素ガス貯蔵装置31は、水素ガスを貯蔵する装置である(
図1参照)。水素ガス貯蔵装置31として、例えば、水素吸蔵物質、高圧圧縮、低温液化、他の物質への変換等を利用した装置を用いることができる。水素ガス貯蔵装置31は、制御装置50によって、制御、貯蔵量管理を行うものとすることができる。水素ガス貯蔵装置31は、水素ガス純化装置25で純化処理された水素ガスを貯蔵する。水素ガス貯蔵装置31で貯蔵された水素ガスは、管路を通じて、水素ガス流量制御バルブ33及びメタンガス製造装置22に送ることが可能である。
【0026】
メタンガス貯蔵装置32は、メタンガスを貯蔵する装置である(
図1参照)。メタンガス貯蔵装置32として、例えば、金属有機構造体吸着、高圧圧縮、低温液化、メタンハイドレート方式等を利用した装置を用いることができる。メタンガス貯蔵装置32は、制御装置50によって、制御、貯蔵量管理を行うものとすることができる。メタンガス貯蔵装置32は、メタンガス純化装置26で純化処理されたメタンガスを貯蔵する。メタンガス貯蔵装置32で貯蔵されたメタンガスは、管路を通じて、メタンガス流量制御バルブ34に送ることが可能である。
【0027】
水素ガス流量制御バルブ33は、水素ガス貯蔵装置31からの水素ガスの流量を制御するバルブである(
図1参照)。水素ガス流量制御バルブ33には、例えば、ソレノイド、モータ等を備えた電動式の流量制御バルブを用いることができる。水素ガス流量制御バルブ33は、制御装置50によって制御される。水素ガス流量制御バルブ33で流量制御された水素ガスは、管路を通じて、メタンガス流量制御バルブ34で流量制御されたメタンガスと合流して混合され、混合された混合ガスがダイヤモンド製造装置41に供給される。
【0028】
メタンガス流量制御バルブ34は、メタンガス貯蔵装置32からのメタンガスの流量を制御するバルブである(
図1参照)。メタンガス流量制御バルブ34には、例えば、ソレノイド、モータ等を備えた電動式の流量制御バルブを用いることができる。メタンガス流量制御バルブ34は、制御装置50によって制御される。メタンガス流量制御バルブ34で流量制御されたメタンガスは、管路を通じて、水素ガス流量制御バルブ33で流量制御されたメタンガスと合流して混合され、混合された混合ガスがダイヤモンド製造装置41に供給される。
【0029】
ダイヤモンド製造装置41は、水素ガス及びメタンガスを用いてダイヤモンド(人工ダイヤモンド)を製造する装置である(
図1参照)。ダイヤモンド製造装置41として、気相合成法を利用した装置を用いることができ、例えば、熱フィラメントCVD(Chemical Vapor Deposition)法、マイクロ波プラズマCVD法、光CVD等のCVD法を利用したCVD装置を用いることができる。ダイヤモンド製造装置41では、水素ガス流量制御バルブ33及びメタンガス流量制御バルブ34からの水素ガスとメタンガスの混合ガスがチャンバ内に供給される。ダイヤモンド製造装置41は、チャンバ内で混合ガスがプラズマ、熱、光などの物理的作用によって化学反応して、チャンバ内の処理物(例えば、基板等)の表面に、化学反応によって合成されたダイヤモンドを成膜したり、チャンバ内のダイヤモンド種結晶にダイヤモンドを成長させることができる。ダイヤモンド製造装置41は、混合ガスのうちダイヤモンドにならなかった排気ガス(副生ガス、副生物等を含む)を集塵して再利用するようにしてもよい。ダイヤモンド製造装置41は、水素ガス流量制御バルブ33及びメタンガス流量制御バルブ34の後の経路で、1台のダイヤモンド製造装置が存在する構成だけでなく、複数台のダイヤモンド製造装置が並列に存在する構成としてもよい。ダイヤモンド製造装置41は、例えば、宝石、半導体素子、加工工具、耐摩工具、ヒートシンク、ボンディングツール、窓材、アンビル等におけるダイヤモンド部分の製造に用いることができる。ダイヤモンド製造装置41は、制御装置50によって制御されるものとすることができる。
【0030】
制御装置50は、再生可能エネルギー発電装置11、水素ガス製造装置21、メタンガス製造装置22、水素用不純物検出センサ23、メタン用不純物検出センサ24、水素ガス純化装置25、メタンガス純化装置26、水素ガス貯蔵装置31、メタンガス貯蔵装置32、水素ガス流量制御バルブ33、メタンガス流量制御バルブ34、及び、ダイヤモンド製造装置41(以下、再生可能エネルギー発電装置11からダイヤモンド製造装置41を「制御対象物」という)を制御する装置である。制御装置50には、コンピュータ機能を備えたものを用いることができ、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ等を用いることができる。制御装置50は、ネットワークを介して制御対象物と通信可能に接続されている。制御装置50は、制御対象物とは離れた遠隔地に設置されたものでもよい。制御装置50は、クラウド上で仮想的に存在するものであってもよい。制御装置50は、記憶された所定のプログラムを実行することにより、仮想的に、生産管理部51、電力制御部52、ガス製造制御部53、ガス純化制御部54、ガス貯蔵制御部55、ガス流量制御部56、及びダイヤモンド製造制御部57を備えた構成とすることができる。
【0031】
生産管理部51は、ダイヤモンド生産計画を取得してダイヤモンド生産量を管理する機能部である(
図1参照)。生産管理部51は、管理者が操作することによって管理者端末60からダイヤモンド生産計画を取得する。ダイヤモンド生産計画は、ダイヤモンドを生産するための計画であり、例えば、ダイヤモンドの種類、ダイヤモンドの生産計画量、ダイヤモンドの販売価格、ダイヤモンドの製造コスト、商用電源の電力価格、売電価格、ガス価格、材料費、労務費、その他経費のデータを含んだものとすることができる。生産管理部51は、ダイヤモンド製造装置41でのダイヤモンドの製造が完了したときに、在庫情報を更新し、今後の生産計画にフィードバックする。
【0032】
電力制御部52は、電源となる再生可能エネルギー発電装置11、商用電源等からの電力を制御する機能部である(
図1参照)。電力制御部52は、生産計画(商用電源の電力価格、売電価格等)に基づいて、再生可能エネルギー発電装置11の発電量に応じて再生可能エネルギー発電装置11で発電された電力の出力先を制御する。例えば、電力制御部52は、再生可能エネルギー発電装置11の発電量が水素ガス製造装置21の最小消費電力量未満の場合、再生可能エネルギー発電装置11で発電された電力を、水素ガス製造装置21に向けて出力しないようにして、売電、蓄電、又は、他の装置の電力に用いるように制御することができる。また、電力制御部52は、再生可能エネルギー発電装置11の発電量が水素ガス製造装置21の最小消費電力量と最大消費電力量の間にある場合、再生可能エネルギー発電装置11で発電された電力を、水素ガス製造装置21に集中的に出力するように制御することができる。さらに、電力制御部52は、再生可能エネルギー発電装置11の発電量が水素ガス製造装置21の最大消費電力量超の場合、再生可能エネルギー発電装置11で発電された電力を、水素ガス製造装置21に向けて出力しつつ、売電、蓄電、又は、他の装置の電力に用いるように制御することができる。
【0033】
ガス製造制御部53は、生産計画及びガス貯蔵量に基づいて、水素ガス製造装置21及びメタンガス製造装置22での水素ガス及びメタンガスの製造を制御する機能部である(
図1参照)。ガス製造制御部53は、生産計画に基づいて、水素ガス貯蔵装置31及びメタンガス貯蔵装置32での各ガス貯蔵量が最適になるように、水素ガス及びメタンガスの各製造量を計算し、計算された製造量に基づいて水素ガス製造装置21及びメタンガス製造装置22を制御する。
【0034】
ガス純化制御部54は、水素用不純物検出センサ23及びメタン用不純物検出センサ24での検出データに基づいて、水素ガス純化装置25及びメタンガス純化装置26を制御する機能部である(
図1参照)。ガス純化制御部54は、水素用不純物検出センサ23又はメタン用不純物検出センサ24で検出されたが不純物濃度が所定濃度以上の場合、水素ガス純化装置25又はメタンガス純化装置26で純化処理を行わないで排気するように制御する。ガス純化制御部54は、水素用不純物検出センサ23又はメタン用不純物検出センサ24で検出されたが不純物濃度が所定濃度未満の場合、水素ガス純化装置25又はメタンガス純化装置26で純化処理を行うように制御する。
【0035】
ガス貯蔵制御部55は、水素ガス貯蔵装置31及びメタンガス貯蔵装置32で貯蔵された水素ガス及びメタンガスの入出力を制御する機能部である(
図1参照)。ガス貯蔵制御部55は、ダイヤモンドの種類ごとに使用するガス濃度が異なるため、生産計画に合わせて水素ガス貯蔵装置31及びメタンガス貯蔵装置32での各貯蔵量を監視する。
【0036】
ガス流量制御部56は、ダイヤモンド製造装置41に供給される混合ガスが、ダイヤモンドの種類に応じた所定の混合比(生産計画におけるダイヤモンドの種類に対応した混合比)となるように、水素ガス流量制御バルブ33及びメタンガス流量制御バルブ34を制御する機能部である(
図1参照)。ガス流量制御部56は、生産計画におけるダイヤモンドの種類に応じて混合比の設定値を変更する。
【0037】
ダイヤモンド製造制御部57は、生産計画(特に、ダイヤモンドの種類)及びガス貯蔵量に応じて、ダイヤモンド製造装置41を制御する機能部である(
図1参照)。ダイヤモンド製造制御部57は、水素ガス貯蔵装置31又はメタンガス貯蔵装置32で貯蔵された水素ガス又はメタンガスの貯蔵量が不足しているときにダイヤモンド製造装置41を稼働させないように制御する。ダイヤモンド製造制御部57は、水素ガス貯蔵装置31及びメタンガス貯蔵装置32で貯蔵された水素ガス及びメタンガスの各貯蔵量が、生産計画におけるダイヤモンドの生産計画量を満たす貯蔵量以上であるときにダイヤモンド製造装置41を稼働させるように制御する。ダイヤモンド製造制御部57は、ダイヤモンド製造装置41が稼働しているときに、ダイヤモンドの種類に応じた所定の製造パラメータとなるようにダイヤモンド製造装置41を制御する。製造パラメータとして、例えば、ダイヤモンド製造装置41のチャンバ内の温度、圧力、合成時間などが挙げられる。ダイヤモンド製造制御部57は、生産計画におけるダイヤモンドの種類に応じて製造パラメータの設定値を変更する。
【0038】
管理者端末60は、ダイヤモンド製造システム1の管理者が使用する端末である(
図1参照)。管理者端末60として、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等を用いることができる。管理者端末60は、制御装置50と通信可能に接続されている。管理者端末60は、管理者の操作によって、制御装置50内の情報を操作することができる。
【0039】
実施形態1に係るダイヤモンド製造システムの制御装置の動作について図面を用いて説明する。
図2は、実施形態1に係るダイヤモンド製造システムの制御装置の動作を模式的に示したフローチャート図である。なお、ダイヤモンド製造システムの構成については
図1を参照されたい。
【0040】
まず、制御装置50の生産管理部51は、管理者が操作することによって管理者端末60からダイヤモンド生産計画を取得する(ステップA1)。
【0041】
次に、制御装置50の電力制御部52は、生産計画(商用電源の電力価格、売電価格等)に基づいて、再生可能エネルギー発電装置11の発電量に応じて再生可能エネルギー発電装置11で発電された電力の出力先を制御する(ステップA2)。例えば、再生可能エネルギー発電装置11の発電量が、水素ガス製造装置21の最小消費電力量以上であれば、商用電源を用いないで、再生可能エネルギー発電装置11で発電された電力を、水素ガス製造装置21に向けて出力するように制御する。
【0042】
次に、制御装置50のガス製造制御部53は、生産計画及びガス貯蔵量に基づいて、水素ガス製造装置21及びメタンガス製造装置22での水素ガス及びメタンガスの製造を制御する(ステップA3)。
【0043】
次に、制御装置50のガス純化制御部54は、水素用不純物検出センサ23及びメタン用不純物検出センサ24での検出データに基づいて、水素ガス純化装置25及びメタンガス純化装置26を制御する(ステップA4)。
【0044】
次に、制御装置50のガス貯蔵制御部55は、水素ガス貯蔵装置31及びメタンガス貯蔵装置32で貯蔵された水素ガス及びメタンガスの入出力を制御する(ステップA5)。
【0045】
次に、制御装置50のガス流量制御部56は、ダイヤモンド製造装置41に供給される混合ガスが、ダイヤモンドの種類に応じた所定の混合比(生産計画におけるダイヤモンドの種類に対応した混合比)となるように、水素ガス流量制御バルブ33及びメタンガス流量制御バルブ34を制御する(ステップA6)。
【0046】
次に、制御装置50のダイヤモンド製造制御部57は、生産計画(特に、ダイヤモンドの種類)及びガス貯蔵量に応じて、ダイヤモンド製造装置41を制御する(ステップA7)。なお、ステップA2~ステップA7は、制御が開始されると並行して行われる。
【0047】
最後に、制御装置50の生産管理部51は、ダイヤモンド製造装置41でのダイヤモンドの製造が完了したときに、在庫情報を更新し、今後の生産計画にフィードバックし(ステップA8)、その後、終了する。
【0048】
実施形態1によれば、再生可能エネルギーを用いて発電し、発電された電力を用いて水素ガスを製造し、製造された水素ガスを用いてメタンガスを製造し、製造された水素ガス及びメタンガスを用いてダイヤモンドを製造しており、ダイヤモンドは水素ガスの消費量が多く、付加価値が高く、かつ、需要が高まっているので、再生可能エネルギーを有効活用させることに貢献することができる。
【0049】
また、実施形態1によれば、再生可能エネルギーを用いて製造された水素と、二酸化炭素とを用いてメタンを製造し、製造された水素とメタンをダイヤモンドの製造に用いているので、輸送(運搬)コストをかけずに水素とメタンを大量かつ連続的に消費することができ、余剰電力を廃棄しないようにすることに貢献することができる。
【0050】
また、実施形態1によれば、市場規模が急拡大している人工ダイヤモンドの製造においてP2Gによって製造された水素とメタンを大量かつ連続的に消費するので、P2Gの技術発展に貢献し、長期的な再生可能エネルギーの活用を推進することに貢献することができる。
【0051】
また、実施形態1によれば、大気中からの二酸化炭素や、工場、発電所などで排出された二酸化炭素をメタンの原料に用いてダイヤモンドを製造しているので、二酸化炭素排出抑制及び炭素固定が促進され、地球温暖化への対策に貢献することができる。
【0052】
また、実施形態1によれば、再生可能エネルギーによって、付加価値が高くサイズが小さいダイヤモンドを製造しているので、エネルギー価格が変動しても採算性を確保することに貢献することができる。
【0053】
また、実施形態1によれば、発電、ガス製造、ガス消費を1つの所定の敷地内に集約させることができるので、都市部から離れた郡部にダイヤモンド製造システムの施設を建設することができ、パイプライン設備や道路整備等に対するコストがかからないようになり、長期的には、天然燃料ガスを輸送(運搬)して利用する場合よりもコストがかからないようにすることができるので、製造燃料ガスのコストを製品の販売価格に見合ったものにすることに貢献することができる。
【0054】
さらに、実施形態1によれば、生産計画に基づいて、制御装置50により、ダイヤモンド製造システム1全体を管理及び制御しているので、人件費削減や人員確保が難しい中でも生産能力を維持することに貢献することができる。
【0055】
[実施形態2]
実施形態2に係るダイヤモンド製造システムについて図面を用いて説明する。
図3は、実施形態2に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【0056】
実施形態2は、実施形態1の変形例であり、ダイヤモンド製造システム1の電源部に、商用電源を制御する商用電源制御装置12を追加したものである(
図3参照)。商用電源制御装置12は、再生可能エネルギー発電装置11の発電量に応じて、商用電源を制御する。商用電源制御装置12は、商用電源と電気的に接続されており、商用電源の電力を水素ガス製造装置21に供給可能になっている。また、商用電源制御装置12は、再生可能エネルギー発電装置11と電気的に接続されており、再生可能エネルギー発電装置11の余剰電力を商用電源に供給(売電)可能になっている。商用電源制御装置12は、商用電源を利用しないようにすることも可能である。商用電源制御装置12は、制御装置50によって制御される。
【0057】
制御装置50の電力制御部52は、再生可能エネルギー発電装置11が不動作又は不安定な時に、商用電源の電力を水素ガス製造装置21に供給するように、商用電源制御装置12を制御することができる。電力制御部52は、再生可能エネルギー発電装置11の発電量が水素ガス製造装置21の最小消費電力量未満の場合、再生可能エネルギー発電装置11で発電された電力を、水素ガス製造装置21に向けて出力しないようにして、売電に用いるように、商用電源制御装置12を制御することができる。電力制御部52は、再生可能エネルギー発電装置11の発電量が水素ガス製造装置21の最大消費電力量超の場合、再生可能エネルギー発電装置11で発電された電力を、水素ガス製造装置21に向けて出力しつつ、売電に用いるように、商用電源制御装置12を制御することができる。電力制御部52は、生産計画における商用電源の電力価格、売電価格等に応じて、商用電源制御装置12を制御することができる。
【0058】
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0059】
実施形態2によれば、実施形態1と同様に、再生可能エネルギーを有効活用させることに貢献することができるとともに、再生可能エネルギー発電装置11の余剰電力を、商用電源制御装置12を通じて売電して有効活用させることができる。また、実施形態2によれば、自然環境の影響を受けて再生可能エネルギー発電装置11の発電量が不足又は不安定になっていても、商用電源を利用して水素ガス貯蔵装置31の稼働を継続させることができる。
【0060】
[実施形態3]
実施形態3に係るダイヤモンド製造システムについて図面を用いて説明する。
図4は、実施形態3に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【0061】
実施形態3は、実施形態1の変形例であり、ダイヤモンド製造システム1の電源部に、再生可能エネルギー発電装置11の電力(余剰電力を含む)を蓄電する蓄電装置13を追加したものである。蓄電装置13は、蓄電された電力を水素ガス製造装置21に供給可能になっている。蓄電装置13は、制御装置50によって制御される。蓄電装置13は、再生可能エネルギー発電装置11の発電量、及び、蓄電装置13の蓄電量に応じて、蓄電装置13自身に蓄電された電力を水素ガス製造装置21に供給する、又は、再生可能エネルギー発電装置11の電力を蓄電装置13自身に蓄電する、若しくは、蓄電及び放電しない、ように制御することができる。
【0062】
制御装置50の電力制御部52は、再生可能エネルギー発電装置11が不動作又は不安定な時に、蓄電装置13で蓄電された電力を、水素ガス製造装置21に供給するように、蓄電装置13を制御することができる。電力制御部52は、再生可能エネルギー発電装置11の発電量が水素ガス製造装置21の最小消費電力量未満の場合、再生可能エネルギー発電装置11で発電された電力を、水素ガス製造装置21に向けて出力しないようにして、蓄電に用いるように、蓄電装置13を制御することができる。電力制御部52は、再生可能エネルギー発電装置11の発電量が水素ガス製造装置21の最大消費電力量超の場合、再生可能エネルギー発電装置11で発電された電力を、水素ガス製造装置21に向けて出力しつつ、蓄電に用いるように、蓄電装置13を制御することができる。
【0063】
その他の構成は、実施形態1と同様である。また、実施形態3は、実施形態2に適用してもよい。
【0064】
実施形態3によれば、実施形態1と同様に、再生可能エネルギーを有効活用させることに貢献することができるとともに、再生可能エネルギー発電装置11の余剰電力を蓄電装置13で蓄電して有効活用させることができる。また、実施形態3によれば、自然環境の影響を受けて再生可能エネルギー発電装置11の発電量が不足又は不安定になっていても、蓄電された電力を利用して水素ガス貯蔵装置31の稼働を継続させることができる。
【0065】
[実施形態4]
実施形態4に係るダイヤモンド製造システムについて図面を用いて説明する。
図5は、実施形態4に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【0066】
実施形態4は、実施形態1の変形例であり、水素ガス貯蔵装置31又はメタンガス貯蔵装置32で貯蔵された水素ガス又はメタンガスが不足した場合にもダイヤモンド製造装置41の稼働が継続できるように、予備水素ガス源35、予備メタンガス源36、予備水素ガス流量制御バルブ37、及び予備メタンガス流量制御バルブ38を追加したものである。
【0067】
予備水素ガス源35は、予備用の水素のガス源である。予備メタンガス源36は、予備用のメタンのガス源である。
【0068】
予備水素ガス流量制御バルブ37は、予備水素ガス源35からの水素ガスの流量を制御するバルブである。予備水素ガス流量制御バルブ37には、例えば、ソレノイド、モータ等を備えた電動式の流量制御バルブを用いることができる。予備水素ガス流量制御バルブ37は、制御装置50によって制御される。予備水素ガス流量制御バルブ37で流量制御された水素ガスは、メタンガス流量制御バルブ34又は予備メタンガス流量制御バルブ38で流量制御されたメタンガスと合流して混合され、混合された混合ガスがダイヤモンド製造装置41に供給される。
【0069】
予備メタンガス流量制御バルブ38は、予備メタンガス源36からのメタンガスの流量を制御するバルブである。予備メタンガス流量制御バルブ38には、例えば、ソレノイド、モータ等を備えた電動式の流量制御バルブを用いることができる。予備メタンガス流量制御バルブ38は、制御装置50によって制御される。予備メタンガス流量制御バルブ38で流量制御されたメタンガスは、水素ガス流量制御バルブ33又は予備水素ガス流量制御バルブ37で流量制御されたメタンガスと合流して混合され、混合された混合ガスがダイヤモンド製造装置41に供給される。
【0070】
制御装置50のガス流量制御部56は、ダイヤモンド製造装置41に供給される混合ガスが、ダイヤモンドの種類に応じた所定の混合比(生産計画におけるダイヤモンドの種類に対応した混合比)となるように、水素ガス流量制御バルブ33、メタンガス流量制御バルブ34、予備水素ガス流量制御バルブ37、及び予備メタンガス流量制御バルブ38を制御する
【0071】
その他の構成は、実施形態1と同様である。また、実施形態4は、実施形態2、3に適用してもよい。
【0072】
実施形態4によれば、実施形態1と同様に、再生可能エネルギーを有効活用させることに貢献することができるとともに、予備水素ガス源35及び予備メタンガス源36を備えた構成とすることにより、自然環境の影響を受けて水素ガス貯蔵装置31又はメタンガス貯蔵装置32で貯蔵する水素ガス又はメタンガスが不足しても、ダイヤモンド製造装置41の稼働を継続させることができる。
【0073】
[実施形態5]
実施形態5に係るダイヤモンド製造システムについて図面を用いて説明する。
図6は、実施形態5に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【0074】
実施形態5は、実施形態1の変形例であり、メタンガス製造装置22で副生された水を、水素ガス製造装置21で製造される水素ガスの原料に用いるようにしたものである。メタンガス製造装置22で副生された水の全部又は一部は、純化して水素ガス製造装置21に供給するようにしてもよい。その他の構成は、実施形態1と同様である。また、実施形態5は、実施形態2~4に適用してもよい。
【0075】
実施形態5によれば、実施形態1と同様に、再生可能エネルギーを有効活用させることに貢献することができるとともに、メタンガス製造装置22で副生された水も有効活用させることができる。
【0076】
[実施形態6]
実施形態6に係るダイヤモンド製造システムについて図面を用いて説明する。
図7は、実施形態6に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【0077】
実施形態6は、実施形態1の変形例であり、水素ガス製造装置21で副生された酸素を、ダイヤモンド製造装置41(チャンバ)のクリーニングガスとして用いるように、酸素用不純物検出センサ27、酸素ガス純化装置28、酸素ガス貯蔵装置39、及び酸素ガス流量制御バルブ40を追加したものである。
【0078】
酸素用不純物検出センサ27は、水素ガス製造装置21で副生された酸素ガス中の不純物濃度を検出するセンサである。酸素用不純物検出センサ27を通過した酸素ガスは、管路を通じて、酸素ガス純化装置28に送られる。酸素用不純物検出センサ27で検出された酸素ガス中の不純物濃度のデータは、制御装置50に送信される。
【0079】
酸素ガス純化装置28は、水素ガス製造装置21で副生された酸素ガスの純化処理を行う装置である。酸素ガス純化装置28は、制御装置50によって制御されるものとすることができる。酸素ガス純化装置28は、酸素用不純物検出センサ27によって検出された酸素ガス中の不純物濃度に応じて酸素ガスの純化処理を行う。酸素ガス純化装置28は、酸素ガス中の不純物濃度が所定濃度以上の場合(例えば、水素ガス製造装置21の稼働開始時、稼働停止時など)には純化処理を行わないで排気するようにしてもよい。酸素ガス純化装置28で純化処理された酸素ガスは、管路を通じて、酸素ガス貯蔵装置39に送られる。
【0080】
酸素ガス貯蔵装置39は、酸素ガスを貯蔵する装置である。酸素ガス貯蔵装置39として、例えば、酸素吸蔵物質、高圧圧縮、低温液化、他の物質への変換等を利用した装置を用いることができる。酸素ガス貯蔵装置39は、制御装置50によって、制御、貯蔵量管理を行うものとすることができる。酸素ガス貯蔵装置39は、酸素ガス純化装置28で純化処理された酸素ガスを貯蔵する。酸素ガス貯蔵装置39で貯蔵された酸素ガスは、管路を通じて、酸素ガス流量制御バルブ40に送ることが可能である。
【0081】
酸素ガス流量制御バルブ40は、酸素ガス貯蔵装置39からの酸素ガスの流量を制御するバルブである。酸素ガス流量制御バルブ40には、例えば、ソレノイド、モータ等を備えた電動式の流量制御バルブを用いることができる。酸素ガス流量制御バルブ40は、制御装置50によって制御される。酸素ガス流量制御バルブ40で流量制御された酸素ガスは、ダイヤモンド製造装置41に供給される。
【0082】
制御装置50のガス純化制御部54は酸素用不純物検出センサ27での検出データに基づいて、酸素ガス純化装置28を制御する。ガス純化制御部54は、酸素用不純物検出センサ27で検出されたが不純物濃度が所定濃度以上の場合、酸素ガス純化装置28で純化処理を行わないで排気するように制御する。ガス純化制御部54は、酸素用不純物検出センサ27で検出されたが不純物濃度が所定濃度未満の場合、酸素ガス純化装置28で純化処理を行うように制御する。
【0083】
制御装置50のガス貯蔵制御部55は、酸素ガス貯蔵装置39で貯蔵された酸素ガスの入出力を制御する。
【0084】
制御装置50のガス流量制御部56は、ダイヤモンド製造装置41に供給される酸素ガスが、所定の流量となるように、酸素ガス流量制御バルブ40を制御する。
【0085】
制御装置50のダイヤモンド製造制御部57は、ダイヤモンド製造装置41の稼働を停止してダイヤモンド製造装置41をクリーニングするときに、クリーニング用パラメータに設定してダイヤモンド製造装置41を制御する。クリーニング用パラメータとして、例えば、ダイヤモンド製造装置41のチャンバ内の温度、圧力、クリーニング時間などが挙げられる。
【0086】
酸素ガス流量制御バルブ40で流量制御された酸素ガスは、ダイヤモンド製造装置41のチャンバに供給され、酸素プラズマを発生させ、発生した酸素プラズマと、チャンバ内壁等に付着した炭素等とを化学反応させて炭素等を除去してダイヤモンド製造装置41から排出される。
【0087】
その他の構成は、実施形態1と同様である。また、実施形態6は、実施形態2~5に適用してもよい。
【0088】
実施形態6によれば、実施形態1と同様に、再生可能エネルギーを有効活用させることに貢献することができるとともに、水素ガス製造装置21で副生された酸素も有効活用させることができる。
【0089】
[実施形態7]
実施形態7に係るダイヤモンド製造システムについて図面を用いて説明する。
図8は、実施形態7に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【0090】
実施形態7は、実施形態1の変形例であり、大気から回収、又は、工場、発電所等の二酸化炭素発生源で排出されたガス、から二酸化炭素を回収してメタンガス製造装置22に供給する二酸化炭素回収装置29を追加したものである。二酸化炭素回収装置29は、制御装置50によって制御されるようにすることができる。制御装置50のガス製造制御部53は、生産計画及びガス貯蔵量に基づいて、二酸化炭素回収装置29での二酸化炭素の回収を制御する。
【0091】
その他の構成は、実施形態1と同様である。また、実施形態7は、実施形態2~6に適用してもよい。
【0092】
実施形態7によれば、実施形態1と同様に、再生可能エネルギーを有効活用させることに貢献することができるとともに、大気中からの二酸化炭素や、工場、発電所などで排出された二酸化炭素を回収してメタンの原料に用いてダイヤモンドを製造しているので、二酸化炭素排出抑制及び炭素固定が促進され、地球温暖化への対策に貢献することができる。
【0093】
[実施形態8]
実施形態8に係るダイヤモンド製造システムについて図面を用いて説明する。
図9は、実施形態8に係るダイヤモンド製造システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【0094】
ダイヤモンド製造システム1は、電力を利用してダイヤモンドの原料となる水素ガス及びメタンガスを製造し、製造された水素ガス及びメタンガスを原料としてダイヤモンドを製造するシステムである。ダイヤモンド製造システム1は、水素ガス製造装置21と、メタンガス製造装置22と、水素ガス流量制御バルブ33と、メタンガス流量制御バルブ34と、ダイヤモンド製造装置41と、を備える。
【0095】
水素ガス製造装置21は、電力を用いて水を電気分解することにより水素ガスを製造する。メタンガス製造装置22は、水素ガス製造装置21で製造された水素ガスと、二酸化炭素とを合成することによってメタンガスを製造する。水素ガス流量制御バルブ33は、水素ガス製造装置21からの水素ガスを流量制御する。
メタンガス流量制御バルブ34は、メタンガス製造装置22からのメタンガスを流量制御する。ダイヤモンド製造装置41は、水素ガス流量制御バルブ33及びメタンガス流量制御バルブ34で流量制御された水素ガス及びメタンガスを用いてダイヤモンドを製造する。
【0096】
実施形態8によれば、電力を用いて水素ガスを製造し、製造された水素ガスを用いてメタンガスを製造し、製造された水素ガス及びメタンガスを用いてダイヤモンドを製造しており、ダイヤモンドは水素ガスの消費量が多く、付加価値が高く、かつ、需要が高まっているので、電力として、再生可能エネルギーを利用して発電された電力を用いることにより、再生可能エネルギーを有効活用させることに貢献することができる。
【0097】
なお、実施形態1~7に係る制御装置は、いわゆるハードウェア資源(情報処理装置、コンピュータ)により構成することができ、
図10に例示する構成を備えたものを用いることができる。例えば、ハードウェア資源100は、内部バス104により相互に接続される、プロセッサ101、メモリ102、ネットワークインタフェイス103等を備える。
【0098】
なお、
図10に示す構成は、ハードウェア資源100のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。ハードウェア資源100は、図示しないハードウェア(例えば、入出力インタフェイス)を含んでもよい。あるいは、装置に含まれるプロセッサ101等のユニットの数も
図10の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のプロセッサ101がハードウェア資源100に含まれていてもよい。プロセッサ101には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等を用いることができる。
【0099】
メモリ102には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等を用いることができる。
【0100】
ネットワークインタフェイス103には、例えば、LAN(Local Area Network)カード、ネットワークアダプタ、ネットワークインタフェイスカード等を用いることができる。
【0101】
ハードウェア資源100の機能は、上述の処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ102に格納されたプログラムをプロセッサ101が実行することで実現される。また、そのプログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。即ち、上記処理モジュールが行う機能は、何らかのハードウェアにおいてソフトウェアが実行されることによって実現できればよい。
【0102】
上記実施形態の一部または全部は以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0103】
[付記1]
電力を用いて水を電気分解することにより水素ガスを製造する水素ガス製造装置と、
前記水素ガス製造装置で製造された前記水素ガスと、二酸化炭素とを合成することによってメタンガスを製造するメタンガス製造装置と、
前記水素ガス製造装置からの前記水素ガスを流量制御する水素ガス流量制御バルブと、
前記メタンガス製造装置からの前記メタンガスを流量制御するメタンガス流量制御バルブと、
前記水素ガス流量制御バルブ及び前記メタンガス流量制御バルブで流量制御された前記水素ガス及び前記メタンガスを用いてダイヤモンドを製造するダイヤモンド製造装置と、
を備える、ダイヤモンド製造システム。
[付記2]
再生可能エネルギーを利用して発電する再生可能エネルギー発電装置を備え、
前記水素ガス製造装置は、前記電力として、前記再生可能エネルギー発電装置で発電された電力を用いる、
付記1記載のダイヤモンド製造システム。
[付記3]
再生可能エネルギー発電装置は、太陽光を利用して発電する太陽光発電装置である、
付記2記載のダイヤモンド製造システム。
[付記4]
前記水素ガス製造装置で製造された前記水素ガスを貯蔵する水素ガス貯蔵装置と、
前記メタンガス製造装置で製造された前記メタンガスを貯蔵するメタンガス貯蔵装置と、
を備え、
前記水素ガス流量制御バルブは、前記水素ガス貯蔵装置からの前記水素ガスを流量制御し
前記メタンガス流量制御バルブは、前記メタンガス貯蔵装置からの前記メタンガスを流量制御する、
付記1乃至3のいずれか一に記載のダイヤモンド製造システム。
[付記5]
前記水素ガス製造装置で製造された前記水素ガスを純化する水素ガス純化装置と、
前記メタンガス製造装置で製造された前記メタンガスを純化するメタンガス純化装置と、
を備え、
前記水素ガス貯蔵装置は、前記水素ガス純化装置で純化された前記水素ガスを貯蔵し、
前記メタンガス貯蔵装置は、前記メタンガス純化装置で純化された前記メタンガスを貯蔵する、
付記4記載のダイヤモンド製造システム。
[付記6]
前記水素ガス製造装置で製造された前記水素ガス中の不純物濃度を検出する水素用不純物検出センサと、
前記メタンガス製造装置で製造された前記メタンガス中の不純物濃度を検出するメタン用不純物検出センサと、
を備え、
前記水素ガス純化装置は、前記水素用不純物検出センサで検出された不純物濃度に応じて前記水素ガスを純化し、
前記メタンガス純化装置は、前記メタン用不純物検出センサで検出された不純物濃度に応じて前記メタンガスを純化する、
付記5記載のダイヤモンド製造システム。
[付記7]
商用電源、前記再生可能エネルギー発電装置、及び前記水素ガス製造装置と電気的に接続されるとともに、前記商用電源を制御する商用電源制御装置を備え、
前記商用電源制御装置は、前記再生可能エネルギー発電装置の発電量に応じて、前記商用電源の前記電力を前記水素ガス製造装置に供給する、又は、前記再生可能エネルギー発電装置の前記電力を前記商用電源に供給する、若しくは、前記商用電源を利用しない、ように前記商用電源を制御する、
付記2乃至6のいずれか一に記載のダイヤモンド製造システム。
[付記8]
前記再生可能エネルギー発電装置、及び前記水素ガス製造装置と電気的に接続されるとともに、前記再生可能エネルギー発電装置の電力を蓄電することが可能な蓄電装置を備え、
前記蓄電装置は、前記再生可能エネルギー発電装置の発電量、及び、前記蓄電装置の蓄電量に応じて、前記蓄電装置に蓄電された前記電力を前記水素ガス製造装置に供給する、又は、前記再生可能エネルギー発電装置の前記電力を前記蓄電装置に蓄電する、若しくは、蓄電及び放電しない、ように制御する、
付記2乃至7のいずれか一に記載のダイヤモンド製造システム。
[付記9]
予備水素ガス源と、
予備メタンガス源と、
前記予備水素ガス源からの前記水素ガスを流量制御する予備水素ガス流量制御バルブと、
前記予備メタンガス源からの前記メタンガスを流量制御する予備メタンガス流量制御バルブと、
を備え、
前記ダイヤモンド製造装置は、前記予備水素ガス流量制御バルブ及び前記予備メタンガス流量制御バルブで流量制御された前記水素ガス及び前記メタンガスを用いて前記ダイヤモンドを製造することが可能である、
付記1乃至8のいずれか一に記載のダイヤモンド製造システム。
[付記10]
前記水素ガス製造装置は、前記メタンガス製造装置で副生された水を含む前記水を電気分解することにより前記水素ガスを製造する、
付記1乃至9のいずれか一に記載のダイヤモンド製造システム。
[付記11]
前記水素ガス製造装置で副生された酸素ガス中の不純物濃度を検出する酸素用不純物検出センサと、
前記酸素用不純物検出センサによって検出された酸素ガス中の不純物濃度に応じて、前記水素ガス製造装置で副生された前記酸素ガスを純化する酸素ガス純化装置と、
前記酸素ガス純化装置で純化された前記酸素ガスを貯蔵する酸素ガス貯蔵装置と、
前記酸素ガス貯蔵装置からの前記酸素ガスを流量制御する酸素ガス流量制御バルブと、
を備え、
前記ダイヤモンド製造装置は、前記ダイヤモンド製造装置自身をクリーニングする時に、前記酸素ガス流量制御バルブで流量制御された前記酸素ガスを用いてクリーニングする、
付記1乃至10のいずれか一に記載のダイヤモンド製造システム。
[付記12]
大気、又は、二酸化炭素発生源で排出されたガス、から二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置を備え、
前記メタンガス製造装置は、前記二酸化炭素として、前記二酸化炭素回収装置からの二酸化炭素を用いる、
付記1乃至11のいずれか一に記載のダイヤモンド製造システム。
[付記13]
前記ダイヤモンド製造システムにおける構成要素の全部が1つの所定の敷地内に集約されている、
付記1乃至12のいずれか一に記載のダイヤモンド製造システム。
[付記14]
前記ダイヤモンド製造システムにおける、制御可能な構成要素の全部を制御するように構成されている制御装置を備える、
付記1乃至13のいずれか一に記載のダイヤモンド製造システム。
[付記15]
電力を用いて水を電気分解することにより水素ガスを製造する工程と、
製造された前記水素ガスと、二酸化炭素とを合成することによってメタンガスを製造する工程と、
製造された前記水素ガスを流量制御する工程と、
製造された前記メタンガスを流量制御する工程と、
流量制御された前記水素ガス及び前記メタンガスを用いてダイヤモンドを製造する工程と、
を含む、ダイヤモンド製造方法。
[付記16]
再生可能エネルギーを利用して発電する工程を含み、
前記水素ガスを製造する工程では、前記電力として、前記発電する工程で得られた電力を用いる、
付記15記載のダイヤモンド製造方法。
[付記17]
前記程の全部が1つの所定の敷地内で行われる、
付記15又は16記載のダイヤモンド製造システム。
[付記18]
付記1乃至13のいずれか一に記載のダイヤモンド製造システムにおける、制御可能な構成要素の全部を制御するように構成されている、制御装置。
[付記19]
付記1乃至13のいずれか一に記載のダイヤモンド製造システムにおける、制御可能な構成要素を制御する処理を制御装置に実行させるプログラム。
【0104】
なお、上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択(必要により不選択)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、本願に記載の数値及び数値範囲については、明記がなくともその任意の中間値、下位数値、及び、小範囲が記載されているものとみなされる。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本願発明の趣旨に則り、本願発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれる(属する)ものと、みなされる。
【符号の説明】
【0105】
1 ダイヤモンド製造システム
11 再生可能エネルギー発電装置
12 商用電源制御装置
13 蓄電装置
21 水素ガス製造装置
22 メタンガス製造装置
23 水素用不純物検出センサ
24 メタン用不純物検出センサ
25 水素ガス純化装置
26 メタンガス純化装置
27 酸素用不純物検出センサ
28 酸素ガス純化装置
29 二酸化炭素回収装置
31 水素ガス貯蔵装置
32 メタンガス貯蔵装置
33 水素ガス流量制御バルブ
34 メタンガス流量制御バルブ
35 予備水素ガス源
36 予備メタンガス源
37 予備水素ガス流量制御バルブ
38 予備メタンガス流量制御バルブ
39 酸素ガス貯蔵装置
40 酸素ガス流量制御バルブ
41 ダイヤモンド製造装置
50 制御装置
51 生産管理部
52 電力制御部
53 ガス製造制御部
54 ガス純化制御部
55 ガス貯蔵制御部
56 ガス流量制御部
57 ダイヤモンド製造制御部
60 管理者端末
100 ハードウェア資源
101 プロセッサ
102 メモリ
103 ネットワークインタフェイス
104 内部バス