(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130368
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】貼合せ基板の位置ずれ量測定装置および該方法ならびに半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20240920BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01B11/00 C
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040047
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000130259
【氏名又は名称】株式会社コベルコ科研
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】西田 洸人
(72)【発明者】
【氏名】古田 洋平
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA07
2F065AA20
2F065AA52
2F065BB17
2F065CC19
2F065FF02
2F065GG21
2F065HH03
2F065HH05
2F065JJ02
2F065JJ03
2F065JJ25
2F065JJ26
2F065LL04
2F065LL28
2F065MM04
2F065PP13
2F065QQ17
2F065QQ18
(57)【要約】
【課題】本発明は、装置全体の大型化および情報処理量の増大を抑制できる貼合せ基板の位置ずれ量測定装置および該方法ならびに前記装置を用いた半導体製造装置を提供する。
【解決手段】本発明は、互いに径が異なる円板状の2組の第1および第2基板を厚さ方向に積層した貼合わせ基板の位置ずれ量を測定する貼合せ基板の位置ずれ量測定装置であって、前記厚さ方向から測定光を前記貼合せ基板に投光して径方向における前記測定光の透過強度分布を測定する測定部1と、前記測定部で測定した測定結果に基づいて前記位置ずれ量を求める位置ずれ量演算部22とを備え、前記測定光は、前記第1および第2基板のうちの径が大きい方を透過可能な波長の光である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに径が異なる円板状の2組の第1および第2基板を厚さ方向に積層した貼合わせ基板の位置ずれ量を測定する貼合せ基板の位置ずれ量測定装置であって、
前記厚さ方向から測定光を前記貼合せ基板に投光して径方向における前記測定光の透過強度分布を測定する測定部と、
前記測定部で測定した測定結果に基づいて前記位置ずれ量を求める位置ずれ量演算部とを備え、
前記測定光は、前記第1および第2基板のうちの径が大きい方を透過可能な波長の光である、
貼合せ基板の位置ずれ量測定装置。
【請求項2】
前記測定部は、前記厚さ方向から前記径方向に沿って線状に測定光を前記貼合せ基板に投光する投光部と、前記投光部に対向する受光部とを備え、
前記投光部と前記受光部との間に前記貼合わせ基板を位置させ、前記投光部および前記受光部と前記貼合せ基板とを相対的に周方向に移動させる移動機構をさらに備える、
請求項1に記載の貼合せ基板の位置ずれ量測定装置。
【請求項3】
前記位置ずれ量演算部は、前記測定部で測定した測定結果に基づいて前記第1および第2基板それぞれの各輪郭形状を求め、前記各輪郭形状の各中心位置間の距離を前記位置ずれ量として求める、
請求項1に記載の貼合せ基板の位置ずれ量測定装置。
【請求項4】
前記測定部は、前記周方向に沿う互いに異なる複数の測定箇所で前記透過強度分布を測定し、
前記位置ずれ量演算部は、前記複数の測定箇所での複数の測定結果を極座標で表し、前記極座標で表された複数の測定結果に最もフィッティングする円形状を求めることによって、前記第1および第2基板それぞれの各輪郭形状を求め、前記各輪郭形状の各中心位置間の距離を前記位置ずれ量として求める、
請求項1に記載の貼合せ基板の位置ずれ量測定装置。
【請求項5】
互いに径が異なる円板状の2組の第1および第2基板を厚さ方向に積層した貼合わせ基板の位置ずれ量を測定する貼合せ基板の位置ずれ量測定方法であって、
前記厚さ方向から測定光を前記貼合せ基板に投光して径方向における前記測定光の透過強度分布を測定する測定工程と、
前記測定工程で測定した測定結果に基づいて前記位置ずれ量を求める位置ずれ量演算工程とを備え、
前記測定光は、前記第1および第2基板のうちの径が大きい方を透過可能な波長の光である、
貼合せ基板の位置ずれ量測定方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の貼合せ基板の位置ずれ量測定装置を備える半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚さ方向に積層されて貼り合わされた2組の基板における前記貼り合わせの位置ずれ量を測定する貼合せ基板の位置ずれ量測定装置および位置ずれ量測定方法ならびに前記貼合せ基板の位置ずれ量測定装置を用いた半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば複数の機能を実現するために、複数の基板を厚さ方向に積層して貼り合わせた貼合せ基板が知られている。例えば、シリコン(Si)基板と石英基板(ガラス基板)との貼合せ基板、シリコンカーバイド(SiC)基板とシリコン基板との貼合せ基板およびサファイヤ基板とシリコン基板との貼合せ基板等がある。このような貼合せ基板では、所望の位置で各基板を貼り合わせる必要がある。このため、前記所望の位置で各基板を貼り合わされているか否かを判定するために、前記貼り合わせの位置ずれ量を測定することが要望されている。このような前記貼り合わせの位置ずれ量を測定する技術として、例えば、特許文献1に開示された貼合わせ基板の位置ズレ検出装置がある。
【0003】
この特許文献1に開示された貼合わせ基板の位置ズレ検出装置は、円板状の2組の基板を上下に積層して成る貼合わせ基板において、前記2組の基板間のズレ量を検出する装置であって、前記2組の基板を合わせた全体としての輪郭形状を検出する最外縁部測定手段(その一例の輪郭測定手段3)と、周方向の複数点において、前記貼り合わせ基板の外周縁部の、半径方向の相対的な凹凸を測定し、前記2組の基板間の外周縁の相対的な先端位置関係を測定する先端位置測定手段(その一例のエッジ形状測定手段4)と、前記最外縁部測定手段の検出結果から、いずれか一方の組の基板の輪郭形状データを検出し、他方の組の基板については、その一方の組の基板の輪郭形状データを基準に、前記先端位置測定手段で測定された2組の基板間の前記相対的な先端位置関係から輪郭形状データを求め、前記2組の基板間の輪郭形状データを比較して、該2組の基板間のズレ量を求める演算手段とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、貼合せ基板には、相対的に大径な第1基板と相対的な小径な第2基板とが貼り合わせられることがある。例えば4インチSiC基板と8インチSi基板との貼合せ基板のように、サイズが比較的大きく異なる第1および第2基板を貼り合わせた貼合せ基板の位置ずれ量を測定する場合、前記特許文献1に開示された貼合わせ基板の位置ズレ検出装置では、先端位置測定手段(その一例のエッジ形状測定手段4)を、第1基板と第2基板との両方の端部が撮像できるように測定対象の貼合せ基板に応じて大きくする必要があり、装置全体が大型化してしまう。さらに、前記先端位置測定手段が、周方向の測定点それぞれにおいて画像処理による2つの基板の半径差を求める必要があるため、位置ずれ量を演算する情報処理量が増大してしまう。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、装置全体の大型化および情報処理量の増大を抑制できる貼合せ基板の位置ずれ量測定装置および位置ずれ量測定方法ならびに前記貼合せ基板の位置ずれ量測定装置を用いた半導体製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる貼合せ基板の位置ずれ量測定装置は、互いに径が異なる円板状の2組の第1および第2基板を厚さ方向に積層した貼合わせ基板の位置ずれ量を測定する貼合せ基板の位置ずれ量測定装置であって、前記厚さ方向から測定光を前記貼合せ基板に投光して径方向における前記測定光の透過強度分布を測定する測定部と、前記測定部で測定した測定結果に基づいて前記位置ずれ量を求める位置ずれ量演算部とを備え、前記測定光は、前記第1および第2基板のうちの径が大きい方を透過可能な波長の光である。好ましくは、上述の貼合せ基板の位置ずれ量測定装置において、前記位置ずれ量は、前記第1および第2基板の各中心位置間の距離である。好ましくは、上述の貼合せ基板の位置ずれ量測定装置において、前記測定部は、前記周方向に沿う互いに異なる複数の測定箇所で前記透過強度分布を測定し、前記位置ずれ量演算部は、前記複数の測定箇所での複数の測定結果に基づいて前記第1および第2基板それぞれの各輪郭形状を求め、前記各輪郭形状間のずれ量を前記位置ずれ量として求める。好ましくは、上述の貼合せ基板の位置ずれ量測定装置において、前記透過可能な波長の光に対する前記貼合せ基板の透過率は、前記測定部で有意な透過強度となる値である。好ましくは、上述の貼合せ基板の位置ずれ量測定装置において、前記透過可能な波長の光に対する前記貼合せ基板の透過率は、0ではない値である。
【0008】
このような貼合せ基板の位置ずれ量測定装置は、前記特許文献1に開示された貼合わせ基板の位置ズレ検出装置における先端位置測定手段(その一例のエッジ形状測定手段4)を必要としない。上記貼合せ基板の位置ずれ量測定装置は、第1および第2基板のうちの径が大きい方を透過可能な波長の測定光で、径方向における前記測定光の透過強度を測定するので、前記特許文献1に開示された貼合わせ基板の位置ズレ検出装置における最外縁部測定手段(その一例の輪郭測定手段3)のように、第1および第2基板を合成した端部ではなく、第1基板の端部(外周縁端部)と第2基板の端部(外周縁端部)とを求めることができる。このため、上記貼合せ基板の位置ずれ量測定装置は、装置全体の大型化および情報処理量の増大を抑制できる。
【0009】
なお、本明細書では、2組の基板のうちの一方または両方が多層基板であってもよく、このため、「2枚」と表記せずに「2組」と表記している。
【0010】
他の一態様では、上述の貼合せ基板の位置ずれ量測定装置において、前記測定部は、前記厚さ方向から前記径方向に沿って線状に測定光を前記貼合せ基板に投光する投光部と、前記投光部に対向する受光部とを備え、前記投光部と前記受光部との間に前記貼合わせ基板を位置させ、前記投光部および前記受光部と前記貼合せ基板とを相対的に周方向に移動させる移動機構をさらに備える。
【0011】
このような貼合せ基板の位置ずれ量測定装置は、投光部および受光部と貼合せ基板とを相対的に周方向に移動させるので、周方向に沿う互いに異なる複数の測定箇所で、径方向における前記測定光の透過強度分布を測定できる。
【0012】
他の一態様では、これら上述の貼合せ基板の位置ずれ量測定装置において、前記位置ずれ量演算部は、前記測定部で測定した測定結果に基づいて前記第1および第2基板それぞれの各輪郭形状を求め、前記各輪郭形状の各中心位置間の距離を前記位置ずれ量として求める。
【0013】
これによれば、第1および第2基板それぞれの各輪郭形状の各中心位置間の距離を前記位置ずれ量として求める貼合せ基板の位置ずれ量測定装置が提供できる。
【0014】
他の一態様では、これら上述の貼合せ基板の位置ずれ量測定装置において、前記測定部は、前記周方向に沿う互いに異なる複数の測定箇所で前記透過強度分布を測定し、前記位置ずれ量演算部は、前記複数の測定箇所での複数の測定結果を極座標で表し、前記極座標で表された複数の測定結果に最もフィッティングする円形状を求めることによって、前記第1および第2基板それぞれの各輪郭形状を求め、前記各輪郭形状の各中心位置間の距離を前記位置ずれ量として求める。
【0015】
このような貼合せ基板の位置ずれ量測定装置は、周方向に沿う互いに異なる複数の測定箇所での複数の測定結果を極座標で表すので、輪郭形状を求める演算を簡単化できる。上記貼合せ基板の位置ずれ量測定装置は、最もフィッティングする円形状を輪郭形状として求めるので、より精度よく位置ずれ量を求めることができる。
【0016】
本発明の他の一態様にかかる貼合せ基板の位置ずれ量測定方法は、互いに径が異なる円板状の2組の第1および第2基板を厚さ方向に積層した貼合わせ基板の位置ずれ量を測定する方法であって、前記厚さ方向から測定光を前記貼合せ基板に投光して径方向における前記測定光の透過強度分布を測定する測定工程と、前記測定工程で測定した測定結果に基づいて前記位置ずれ量を求める位置ずれ量演算工程とを備え、前記測定光は、前記第1および第2基板のうちの径が大きい方を透過可能な波長の光である。
【0017】
このような貼合せ基板の位置ずれ量測定方法は、上述の貼合せ基板の位置ずれ量測定装置と同様の作用効果を奏し、装置全体の大型化および情報処理量の増大を抑制できる。
【0018】
本発明の他の一態様にかかる半導体製造装置は、これら上述のいずれかの貼合せ基板の位置ずれ量測定装置を備える。
【0019】
これによれば、前記貼合せ基板の位置ずれ量測定装置を用いた半導体製造装置が提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる貼合せ基板の位置ずれ量測定装置および貼合せ基板の位置ずれ量測定方法は、装置全体の大型化および情報処理量の増大を抑制できる。本発明によれば、前記貼合せ基板の位置ずれ量測定装置を用いた半導体製造装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態における貼合せ基板の位置ずれ量測定装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】測定部およびターンテーブル(移動装置の一例)を説明するための概略斜視図である。
【
図3】第1および第2基板の各輪郭形状を表す各輪郭形状データの演算方法を説明するための図である。
【
図4】一例として、周方向に一周した測定結果を示す図である。
【
図5】
図4に示す測定結果を極座標で表した極座標表示の測定結果を示す図である。
【
図6】位置ずれ量の演算方法を説明するための図である。
【
図7】前記貼合せ基板の位置ずれ量測定装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0023】
実施形態における貼合せ基板の位置ずれ量測定装置は、互いにサイズの異なる円板状の2組の第1および第2基板Ob1、Ob2を厚さ方向に積層した貼合わせ基板Obの位置ずれ量を測定する装置である。なお、本明細書では、上述したように、2組の基板のうちの一方または両方が多層基板であってもよく、このため、「2枚」と表記せずに「2組」と表記している。また、前記円板状は、完全な円形だけでなく、例えば基板の用途上、必要に応じて付与されるオリエンテーションフラット(オリフラ)やノッチ等の切り欠きを含む円形を含み、要は全体として円形であればよい。この貼合せ基板の位置ずれ量測定装置は、測定部と位置ずれ量演算部とを備え、前記測定部は、前記厚さ方向から測定光を前記貼合せ基板に投光して径方向における前記測定光の透過強度分布を測定するものであり、前記位置ずれ量演算部は、前記測定部で測定した測定結果に基づいて前記位置ずれ量を求めるものである。そして、前記測定光は、前記第1および第2基板のうちの径が大きい方を透過可能な波長の光である。以下、このような貼合せ基板の位置ずれ量測定装置およびこれに実装された貼合せ基板の位置ずれ量測定方法について、より具体的に説明する。
【0024】
図1は、実施形態における貼合せ基板の位置ずれ量測定装置の構成を示すブロック図である。
図2は、測定部およびターンテーブル(移動装置の一例)を説明するための概略斜視図である。
図3は、第1および第2基板の各輪郭形状を表す各輪郭形状データの演算方法を説明するための図である。
図3Aは、各部の各長さ間の関係を説明するための側面図であり、
図3Bは、測定結果の一例とし、径方向に対する透過強度分布のグラフである。
図3Bの横軸は、径方向における各位置であり、その縦軸は、透過強度(測定値)である。
図4は、一例として、周方向に一周した測定結果を示す図である。
図4の横軸は、周方向の各位置であり、その縦軸は、測定値(透過強度)である。
図5は、
図4に示す測定結果を極座標で表した極座標表示の測定結果を示す図である。
図5のX軸およびY軸は、ターンテーブルの回転中心からの距離であり、
図4に示す各測定結果は、測定開始点を0[°]としてX軸に割り当て反時計回りにプロットされている。
図6は、位置ずれ量の演算方法を説明するための図である。
【0025】
実施形態における貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dは、例えば、
図1および
図2に示すように、測定部1と、制御処理部2と、ターンテーブル3と、入力部4と、出力部5と、インターフェース部(IF部)6と、記憶部7とを備える。
【0026】
入力部4は、制御処理部2に接続され、例えば、測定開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、端部を判定するための閾値Th等の、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dを動作させる上で必要な各種データを前記貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dに入力する機器であり、例えば、キーボードや、マウスや、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ等である。出力部5は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、入力部4から入力されたコマンドやデータおよび演算結果等を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、LCD(液晶表示装置)および有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0027】
なお、入力部4および出力部5は、タッチパネルより構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部4は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部5は、表示装置である。このタッチパネルでは、表示装置の表示面上に位置入力装置が設けられ、表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置に触れると、位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dが提供される。
【0028】
IF部6は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、例えば、外部の機器との間でデータを入出力する回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、および、USB規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部6は、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等の、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であってもよい。
【0029】
測定部1は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、貼合せ基板Obの厚さ方向tから所定の測定光を貼合せ基板Obに投光して貼合せ基板Obの径方向rにおける前記測定光の透過強度分布を測定する装置である。測定部1は、厚さ方向tから径方向rに沿って線状に測定光を貼合せ基板Obに投光して前記測定光の透過強度分布を測定する。測定部1は、貼合せ基板Obの周方向θに沿う互いに異なる複数の測定箇所で前記測定光の透過強度分布を測定する。
【0030】
このような測定部1は、例えば、
図2に示すように、厚さ方向tから径方向rに沿って線状に測定光を貼合せ基板Obに投光する投光部11と、投光部11から投光された測定光を貼合せ基板Obを介して受光する受光部12と、投光部11と受光部12とを所定の間隔を空けて互いに対向するように保持する保持部13とを備え、これら投光部11、保持部13および受光部12は、側面視にて略コ字形状(E字における中央の“-”を除去した形状)を呈している。したがって、受光部12は、投光部11に対向するように配置される。投光部11は、例えば、光源から放射された光をコリメータレンズで平行光とし、前記平行光を、一方向に長尺な矩形形状のスリット孔を形成した板状部材の前記スリット孔を介して径方向rに沿うスリット光とし、前記スリット光を前記測定光として貼合せ基板Obに投光する装置等を備えて構成され、受光部12は、前記スリット孔より幅広なラインセンサまたはエリアイメージセンサ等を備えて構成される。このような投光部11および受光部12を備える測定部1では、前記一方向に径方向rが沿うように、貼合せ基板Obが測定部1に対して配置される。あるいは例えば、投光部11は、光源から放射されたレーザ光を前記測定光として径方向rに走査させながら貼合せ基板Obに投光する装置であり、受光部12は、前記レーザ光より幅広なラインセンサまたはエリアイメージセンサ等を備えて構成される。このような投光部11および受光部12を備える測定部1では、前記走査の方向に径方向rが沿うように、貼合せ基板Obが測定部1に対して配置される。保持部13は、例えば一方向に延びる柱状部材であり、前記柱状部材の両端部で、前記一方向に直交する方向に延びるように投光部11および受光部12を保持する。
【0031】
ターンテーブル3は、制御処理部2に接続され、貼合せ基板Obを搭載し、制御処理部2の制御に従って、貼合せ基板Obを周方向θに回転する装置である。ターンテーブル3は、その搭載した貼合せ基板Obを測定部1における投光部11と受光部12との間に位置するように、測定部1に対して配置される。ターンテーブル3が貼合せ基板Obを周方向θに回転させることで、測定部1における投光部11および受光部12に対し貼合せ基板Obを周方向に移動させる。ターンテーブル3は、前記投光部と前記受光部との間に前記貼合わせ基板を位置させ、前記投光部および前記受光部と前記貼合せ基板とを相対的に周方向に移動させる移動機構の一例に相当する。なお、本実施形態では、測定部1を静止させ、貼合せ基板Obをターンテーブル3によって移動させたが、貼合せ基板Obを静止させ、測定部1を貼合せ基板Obに対して移動させてもよく、両者を移動させてもよい。
【0032】
そして、本実施形態では、前記測定光は、貼合せ基板Obにおける第1および第2基板Ob1、Ob2のうちの径が大きい方を透過可能な波長の光である。前記透過可能な波長の光に対する貼合せ基板Obの透過率は、前記貼合せ基板Obを介した測定光の透過強度を測定部1で測定できる必要があるので、前記測定部1で有意な透過強度となる値である。すなわち、前記透過可能な波長の光に対する貼合せ基板Obの透過率は、100%である必要は無く、0ではない値である、という意味である。また、測定光は、貼合せ基板Obにおける第1および第2基板Ob1、Ob2の両方を透過可能であってよいが、必ずしも前記両方を透過可能である必要は無く、上記の通り、前記両方のうちの少なくとも径が大きい方を透過可能であればよい。ここで、相対的にサイズの小さい基板が前記測定光に対し遮光する材料で形成される(言い換えれば、相対的にサイズの大きい基板が前記測定光に対し透過可能な材料で形成される)。すなわち、貼合せ基板Obが相対的に大径な第2基板Ob2および前記第2基板Ob2上に厚さ方向tで積層された相対的に小径な第1基板Ob1からなる場合、第1基板Ob1が前記測定光に対し遮光する材料で形成される。
【0033】
このような測定光は、測定対象の貼合せ基板Obの材質に応じた適宜な波長の光が用いられる。例えば、貼合せ基板Obにおける第1および第2基板Ob1、Ob2のうちの径の大きい方がSiC基板である場合、測定光は、波長505[nm]~555[nm]の緑色光の可視光であり、投光部11には、例えば緑色を発光する緑色発光ダイオード(緑色LED)が用いられ、受光部12には、シリコンフォトダイオードが用いられる。あるいは例えば、貼合せ基板Obにおける第1および第2基板Ob1、Ob2のうちの径の大きい方がSi基板である場合、測定光は、波長3[μm]~16[μm]の赤外光であり、投光部11には、例えば赤外レーザ光を発光する量子カスケードレーザ(QCL)やインターバンドカスケードレーザ(ICL)が用いられ、受光部12には、MCT(HgCdTe)の赤外線検出器が用いられる。あるいは例えば、貼合せ基板Obにおける第1および第2基板Ob1、Ob2のうちの径の大きい方がガラス基板である場合、測定光は、波長200[nm]~3000[nm]の紫外光から赤外光であり、投光部11には、例えば中心波長375[nm]~2000[nm]のレーザ光を発光する各種の半導体レーザ素子が用いられ、受光部12には、シリコンフォトダイオードが用いられる。
【0034】
記憶部7は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、例えば、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dの各部1、3~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御する制御プログラムや、測定部1で測定した測定結果に基づいて貼合せ基板の位置ずれ量を求める位置ずれ量演算プログラム等が含まれる。前記各種の所定のデータには、例えば、測定部1の測定結果や演算途中の各種演算結果等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。このような記憶部7は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部7は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部2のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。また、記憶部7は、比較的記憶容量の大きいハードディスク装置を備えて構成されてもよい。
【0035】
制御処理部2は、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dの各部1、3~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、貼合せ基板の位置ずれ量を求めるための回路である。制御処理部2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部2には、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部21および位置ずれ量演算部22が機能的に構成される。
【0036】
制御部21は、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dの各部1、3~7を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dの全体の制御を司るものである。
【0037】
位置ずれ量演算部22は、測定部1で測定した測定結果に基づいて貼合せ基板の位置ずれ量を求めるものである。より具体的には、位置ずれ量演算部22は、例えば、貼合せ基板Obの周方向θに沿う互いに異なる複数の測定箇所での複数の測定結果に基づいて第1および第2基板Ob1、Ob2それぞれの各輪郭形状を求め、前記各輪郭形状間のずれ量(例えば前記各輪郭形状の各中心位置間の距離)を前記位置ずれ量として求める。より詳しくは、位置ずれ量演算部22は、前記複数の測定箇所での複数の測定結果を極座標で表し、前記極座標で表された複数の測定結果に最もフィッティングする円形状を求めることによって、第1および第2基板Ob1、Ob2それぞれの各輪郭形状を求め、前記各輪郭形状の各中心位置間の距離を前記位置ずれ量として求める。
【0038】
例えば、前記複数の測定箇所のうちの1個の測定箇所では、
図3Aに示すように、第1および第2基板Ob1、Ob2を厚さ方向tで積層した貼合せ基板Obを測定部1で測定すると、
図3Bに示すような、測定光の透過強度分布のグラフαが得られる。ここでは、第1および第2基板Ob1、Ob2は、測定光を所定の透過率で透過する材料で形成されており、
図3Bの横軸は、貼合せ基板Ob1の中心側での、貼合せ基板Ob1に対する測定光の投光開始位置を座標原点として外周縁端に向かう径方向の各位置である。前記測定光の透過強度分布のグラフαは、座標原点0では、
図3Aに示すように、測定光が第1および第2基板Ob1、Ob2を透過するので、第1透過強度となり、座標原点0から第1基板Ob1の略外周縁端S1まで、径方向の各位置では、第1透過強度の略一定値となり、第1基板Ob1の外周縁端S1付近では、透過強度が急減して略0となった後に急増して第2透過強度となり、第1基板Ob1の略外周縁端S1から第2基板Ob2の略外周縁端S2まで、径方向の各位置では、第2透過強度の略一定値となり、第2基板Ob2の外周縁端S2付近では、透過強度が急減して略0となった後に急増して測定光の略強度となるプロファイルを持つ。前記第2透過強度は、第2基板Ob2のみを透過するため、第1および第2基板Ob1、Ob2を透過する場合の前記第1透過強度より、大きくなる。第1基板Ob1の外周縁端S1付近や第2基板Ob2の外周縁端S2付近におけるグラフαの急峻な変化は、第1基板Ob1の外周縁端や第2基板Ob2の外周縁端が丸みを帯びているため、測定光が散乱等され、測定光の透過光が受光部12に届きにくくなるために生じると、推察される。前記測定光の透過強度分布のグラフαは、このようなプロファイルを持つため、例えば、位置ずれ量演算部22は、前記測定光の透過強度が、端部を判定するための予め設定された所定の閾値Thとなる2点を求め、この求めた2点の中央位置または前記2点のうちの径方向外側の点の位置を求めることによって、第1基板Ob1の略外周縁端S1や第2基板Ob2の略外周縁端S2を求めることができる。
【0039】
なお、前記測定光が貼合せ基板Obにおける第1および第2基板Ob1、Ob2のうちの径が大きい方を透過可能な波長の光である場合、上述したように第1基板Ob1が前記測定光に対し遮光する材料で形成され、
図3Bにおいて、座標原点0から第1基板Ob1の略外周縁端S1まで、径方向の各位置では、第1透過強度「0」の略一定値となる。
【0040】
ターンテーブル3の回転中心から前記投光開始位置(座標原点0)までの長さをLとすると、ターンテーブル3の回転中心から第1基板Ob1の外周縁端までの第1長さR1は、次式1で与えられ、ターンテーブル3の回転中心から第2基板Ob2の外周縁端までの第2長さR2は、次式2で与えられる。
式1;R1=L+S1
式2;R2=L+S2
したがって、貼合せ基板Obの周方向θに沿う互いに異なる複数の測定箇所それぞれ測定することにより、複数のR1(θ)および複数のR2(θ)が得られ、これら複数のR1(θ)は、第1基板Ob1の輪郭形状を表し、これら複数のR2(θ)は、第2基板Ob2の輪郭形状を表している。その一例が
図4に示されている。なお、測定箇所がいわゆるオリエンテーションフラット(オリフラ)に当たる位置では、外周縁端からターンテーブル3の回転中心までの長さが短くなるため、オリフラ付近の測定箇所では、R1(θ)が他の測定箇所より小さい(短い)値となってR1(θ)のグラフが谷状となり、R2(θ)が他の測定箇所より小さい(短い)値となってR2(θ)のグラフが谷になっている。第1基板Ob1は、2個の第1および第2オリフラ(1stオリフラ、2ndオリフラ)を持つため、そのグラフR2(θ)では、2箇所で谷が形成されている。通常、オリフラの延長方向と基板の径方向とは、直交するので、前記谷の谷底の位置(谷のピークの位置)は、オリフラの延長方向と基板の径方向とが直交する位置に相当する。
【0041】
前記複数の測定箇所における径方向θの間隔は、予め適宜に設定され、例えば、第1よび第2基板Ob1、Ob2のサイズ等に応じて0.02[°]等に設定される。
【0042】
ターンテーブル3は、パルス制御により等角度間隔で駆動するモータにより回転する。ターンテーブルの1回転に要するパルス数は、一定であり、1パルス当たりの回転角は、一定となる。したがって、制御処理部2は、一定のパルス間隔に同期して測定を行うことにより、ターンテーブル3の回転角度を認識しつつ測定を行うことが可能である。
【0043】
位置ずれ量演算部22は、前記複数の測定箇所での複数の測定結果を極座標で表す。極座標は、原点からの距離と一方向(基準方向)からの角度とで点の位置を表す座標系である。より具体的には、輪郭形状を表す測定結果R(θ)が(θ、R(θ))の点にプロットされる。より詳しくは、複数の測定箇所R(θ)のうちの1つR(θ0)をθ=0[°]の起点として複数の測定結果が径方向θ-θ0順に並べられ、R(0)が点(0、R(0))にプロットされ、X軸から反時計回りに、R(θ-θ0)が径方向θ-θ0であってR(θ-θ0)の距離の点にプロットされる。これによって
図4に示す各測定結果R1(θ)、R2(θ)は、
図5に示すように極座標で表される。
図5に示す極座標では、X軸およびY軸は、ターンテーブル3の回転中心からの長さである。
【0044】
続いて、位置ずれ量演算部22は、このように極座標で表された複数の測定結果R1(θ)に最もフィッティングする円形状を求めることによって、第1基板Ob1の輪郭形状を求め、前記極座標で表された複数の測定結果R2(θ)に最もフィッティングする円形状を求めることによって、第2基板Ob2の輪郭形状を求める。例えば、最小二乗法により前記フィッティングが実施される。より具体的には、中心(a、b)および半径cの円の円周上の点(xi、yi)は、次式3で表され、極座標表示の測定結果(θ-θ0、R(θ-θ0))を用いた最小二乗法(前記式3の二乗誤差の最小値問題)により、a、b、cが求められる。これによって第1および第2基板Ob1、Ob2の各輪郭形状が求められる。
式3;(xi-a)2+(yi-b)2=c2
なお、前記最もフィッティングする円形状を求める際には、オリフラ付近の測定結果(すなわち、前記谷を形成する測定結果)は、円周上にはないため、除外することが好ましい。
【0045】
そして、位置ずれ量演算部22は、このように求めた第1および第2基板Ob1、Ob2の各輪郭形状における各中心位置間の距離を前記位置ずれ量として求める。例えば、第1基板Ob1の中心位置が(a1、b1)であって、第2基板Ob2の中心位置が(a2、b2)である場合、前記各中心位置間の距離(前記位置ずれ量)PDは、次式4で求められる。
式4;PD=((a1-a2)
2+(b1-b2)
2)
1/2
上述のように求めた第1および第2基板Ob1、Ob2の各輪郭形状の一例が
図6に示されている。
図6では、第2基板Ob2の輪郭形状における中心位置が座標原点となるように、上述のように求めた第1および第2基板Ob1、Ob2の各輪郭形状が座標変換されている(x←x-a2、y←y-b2;a=a1-a2、b=b1-b2)。このため、前記各中心位置間の距離(前記位置ずれ量)PDは、(a
2+b
2)
1/2となる(PD=(a
2+b
2)
1/2)。
【0046】
そして、制御部21は、位置ずれ量演算部22で求めた貼合せ基板の位置ずれ量PDを出力部5から出力される。
【0047】
このような貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dにおける制御処理部2、入力部4、出力部5、IF部6および記憶部7は、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。
【0048】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図7は、前記貼合せ基板の位置ずれ量測定装置の動作を示すフローチャートである。
【0049】
このような構成の貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部2には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部21および位置ずれ量演算部22が機能的に構成される。
【0050】
ユーザ(オペレータ)によって測定対象の貼合せ基板Obがターンテーブル3に搭載され、測定開始の入力を受け付けると、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dは、制御処理部2の制御部21によって、ターンテーブル3を回転させながら所定の測定箇所で測定部1で測定することより、貼合せ基板Obの周方向θに沿う互いに異なる複数の測定箇所で透過強度を測定する(S1)。
【0051】
続いて、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dは、制御処理部2の位置ずれ量演算部22によって、処理S1で測定した複数の測定箇所での複数の測定結果に基づいて第1および第2基板Ob1、Ob2それぞれの各輪郭形状を求める(S2)。より具体的には、位置ずれ量演算部22は、上述の式1を用いて第1基板Ob1の輪郭形状を表すR1(θ)を生成し、上述の式2を用いて第2基板Ob2の輪郭形状を表すR2(θ)を生成する。
【0052】
続いて、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dは、位置ずれ量演算部22によって、前記複数の測定箇所での複数の測定結果を極座標で表す(S3)。より具体的には、位置ずれ量演算部22は、輪郭形状を表す測定結果R(θ)を点(θ、R(θ))にプロットする。
【0053】
続いて、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dは、位置ずれ量演算部22によって、上述のように極座標で表された複数の測定結果R1(θ)、R2(θ)それぞれに最もフィッティングする各円形状を求めることによって、第1および第2基板Ob1、Ob2の各輪郭形状を求める(S4)。
【0054】
続いて、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dは、位置ずれ量演算部22によって、上述のように求めた第1および第2基板Ob1、Ob2の各輪郭形状における各中心位置間の距離を前記位置ずれ量PDとして求める(S5)。
【0055】
そして、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dは、制御処理部2の制御部21によって、上述のように求めた位置ずれ量PDを出力部5から出力し(S6)、本処理を終了する。なお、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dは、必要に応じて、処理S5で求めた位置ずれ量をIF部6を介して外部の機器に出力してもよい。
【0056】
以上説明したように、実施形態における貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dおよびこれに実装された貼合せ基板の位置ずれ量測定方法は、前記特許文献1に開示された貼合わせ基板の位置ズレ検出装置における先端位置測定手段(その一例のエッジ形状測定手段4)を必要としない。上記貼合せ基板の位置ずれ量測定装置は、第1および第2基板のうちの径が大きい方を透過可能な波長の測定光で、径方向における前記測定光の透過強度分布を測定するので、前記特許文献1に開示された貼合わせ基板の位置ズレ検出装置における最外縁部測定手段(その一例の輪郭測定手段3)のように、第1および第2基板を合成した端部ではなく、第1基板の端部(外周縁端部)と第2基板の端部(外周縁端部)とを求めることができる。このため、上記貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dおよび貼合せ基板の位置ずれ量測定方法は、装置全体の大型化および情報処理量の増大を抑制できる。
【0057】
上記貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dおよび貼合せ基板の位置ずれ量測定方法は、投光部11および受光部12と貼合せ基板Obとを相対的に周方向に移動させるので、周方向に沿う互いに異なる複数の測定箇所で、径方向における前記測定光の透過強度分布を測定できる。
【0058】
上記貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dおよび貼合せ基板の位置ずれ量測定方法は、周方向θに沿う互いに異なる複数の測定箇所での複数の測定結果R(θ)を極座標で表すので、輪郭形状を求める演算を簡単化できる。上記貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dおよび貼合せ基板の位置ずれ量測定方法は、最もフィッティングする円形状を輪郭形状として求めるので、より精度よく位置ずれ量を求めることができる。
【0059】
本実施形態によれば、第1および第2基板Ob1、Ob2それぞれの各輪郭形状の各中心位置間の距離を前記位置ずれ量として求める貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dおよび貼合せ基板の位置ずれ量測定方法が提供できる。
【0060】
なお、上述の実施形態における貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dは、適宜な半導体製造装置に用いられてよい。例えば、前記特許文献1に開示されているように、前記半導体製造装置は、貼合せ基板Obに半導体素子を形成する装置であり、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dで測定した位置ずれ量に応答して、前記貼合せ基板Obへの素子形成位置を補正することで、貼合せの位置ずれを考慮して、正確な位置に素子形成を行うことができるようになる。あるいは例えば、特開2005-005318号公報に開示されているように、前記半導体装置は、貼合せ基板を製造する貼合せ装置であり、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dで測定した位置ずれ量に応答して、貼合せ位置を補正することで、より良好な貼合せ基板を製造できるようになる。例えば、前記貼合せ装置は、重ねられた2枚のウェハを水平方向(厚さ方向を法線方向とする水平面内の方向)に押して位置合せを行う押圧板を備え、前記位置合せの前に、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dで位置ずれ量を測定し、この測定した位置ずれ量に応じて前記押圧板の動作を制御して前記位置合せを行うことで、貼合せ基板が製造される。あるいは、例えば、前記貼合せ装置で製造した貼合せ基板をサンプルとして貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dで位置ずれ量を測定し、この測定した位置ずれ量に応じて前記押圧板の動作を予め調整した後に、貼合せ基板が製造される。あるいは例えば、特許第6916877号公報に開示されているように、前記半導体装置は、ウェハを研磨する化学機械研磨装置(CMP装置)であり、貼合せ基板の位置ずれ量測定装置Dで測定した位置ずれ量が大きい場合(前記位置ずれ量が予め設定した閾値を超える場合)には、前記CMP装置で研磨しないように製造ラインから除外することで、製造中に問題を引き起こすことを回避できるようになる。
【0061】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0062】
D 貼合せ基板の位置ずれ量測定装置
Ob 貼合せ基板
Ob1 第1基板
Ob2 第2基板
1 測定部
2 制御処理部
3 ターンテーブル(移動機構の一例)
4 入力部
5 出力部
6 インターフェース部(IF部)
21 制御部
22 位置ずれ量演算部