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特開2024-130376MEMSデバイス及びMEMSデバイスの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130376
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】MEMSデバイス及びMEMSデバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/08 20060101AFI20240920BHJP
   G01P 15/125 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01P15/08 101Z
G01P15/125 Z
G01P15/08 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040056
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】藤田 有真
(72)【発明者】
【氏名】ヘラー,マーティン ウィルフリード
(72)【発明者】
【氏名】紙西 大祐
(72)【発明者】
【氏名】泉 直希
(57)【要約】
【課題】ゼロ点オフセットを抑制できるMEMSデバイスを提供する。
【解決手段】
MEMSデバイス1は、第1主面11と第2主面12とを有しており第1主面11からZ1側に窪んだキャビティ13を有するデバイス基板10と、キャビティ13内に位置しており単一のアンカー21によってデバイス基板10に対して機械的に接続されると共に電気的に絶縁されたセンサ部20と、センサ部20に電気的に接続されるデバイス配線30と、を有するデバイスウエハ2と、デバイスウエハ2に対して第1主面11側から対向するキャップ基板50と、デバイス配線30に電気的に導通するキャップ配線60とを有するキャップウエハ3と、デバイスウエハ2とキャップウエハ3とを接合する、接合層4とを備え、デバイス配線30は、接合層4に直接に接合されており、接合層4を介してキャップ配線60に電気的に導通している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有しており前記第1主面から第2主面に向かう第1方向に窪んだキャビティを有するデバイス基板と、前記キャビティ内に位置しており単一のアンカーによって前記デバイス基板に対して機械的に接続されると共に電気的に絶縁されたセンサ部と、前記センサ部に電気的に接続されるデバイス配線と、を有するデバイスウエハと、
前記デバイスウエハに対して前記第1主面側から対向するキャップ基板と、前記デバイス配線に電気的に導通するキャップ配線とを有するキャップウエハと、
前記デバイスウエハと前記キャップウエハとを接合する、接合層と
を備え、
前記デバイス配線は、前記接合層に直接に接合されており、前記接合層を介して前記キャップ配線に電気的に導通している、MEMSデバイス。
【請求項2】
前記センサ部は、
前記キャビティの壁面に固定された、前記アンカーと、
前記アンカーに対して第1アイソレーションジョイントを介して機械的に接続されると共に電気的に絶縁されており、前記第1方向に直交する第2方向に延びる、固定電極と、
前記アンカーに対して第2アイソレーションジョイントを介して機械的に接続されると共に電気的に絶縁された、スプリングと、
前記スプリングに対して機械的に連結されると共に電気的に導通する、マスと、
前記マスに対して機械的に連結されると共に電気的に導通しており、前記第2方向に延びており、前記固定電極に対して前記第1方向及び前記第2方向のいずれにも直交する第3方向に対向する、可動電極と、
前記アンカーと、前記固定電極のうち少なくとも前記第1アイソレーションジョイントの近位側に位置する領域と、前記スプリング、前記マスおよび前記可動電極にわたる領域のうち少なくとも前記第2アイソレーションジョイントの近位側に位置する領域とにおいて、前記第1主面側に積層されたデバイス絶縁層と、
を有しており、
前記センサ部のうち前記アンカーを除く部分が、前記キャビティの底面に対して前記第1方向に離間しており、
前記デバイス配線は、
前記デバイス絶縁層に積層されており、前記第1主面側から見て前記固定電極に対応位置しており前記デバイス絶縁層を貫通して前記固定電極に電気的に導通する、固定電極コンタクトから、前記第1アイソレーションジョイントを横断して固定電極接合部まで延びる、固定電極配線と、
前記デバイス絶縁層に積層されており、前記第1主面側から見て前記スプリング、前記マス又は前記可動電極に対応位置しており前記デバイス絶縁層を貫通して前記スプリング、前記マス又は前記可動電極に電気的に導通する、可動電極コンタクトから、前記第2アイソレーションジョイントを横断して可動電極接合部まで延びる、可動電極配線と
を有しており、
前記デバイス配線は、前記固定電極接合部及び前記可動電極接合部において前記接合層を介して前記キャップ配線に接合されており、
前記デバイス配線及び前記キャップ配線は電気的に導通している、
請求項1に記載のMEMSデバイス。
【請求項3】
前記キャップウエハは、
前記キャップ基板に積層された、第1キャップ絶縁層と、
前記第1キャップ絶縁層に対して間に前記キャップ配線を介在させつつ積層されている、第2キャップ絶縁層と、
前記第2キャップ絶縁層に積層されており、前記第2キャップ絶縁層を貫通する接合電極コンタクトを介して前記キャップ配線に電気的に導通する、接合電極と
をさらに有しており、
前記キャップウエハは、前記接合電極において前記接合層を介して前記固定電極接合部及び前記可動電極接合部に接合されている、
請求項2に記載のMEMSデバイス。
【請求項4】
前記固定電極接合部及び/又は前記可動電極接合部は、前記第1方向から見て前記アンカーに対応位置している、
請求項2に記載のMEMSデバイス。
【請求項5】
前記デバイス配線は、前記第1方向から見て前記アンカーを横断しており、
前記固定電極接合部及び/又は前記可動電極接合部は、前記第1方向から見て前記アンカーに位置しない、
請求項2に記載のMEMSデバイス。
【請求項6】
前記キャップウエハは、外部配線が接続可能な電極パッドを有しており、
前記電極パッドは、前記キャップ配線の前記接合電極とは反対側の端部に電気的に接続されている、
請求項3に記載のMEMSデバイス。
【請求項7】
前記電極パッドと前記キャップ配線とは、前記キャップウエハのうち同一レイヤに位置しており同一材料である、
請求項6に記載のMEMSデバイス。
【請求項8】
前記接合層は、アルミニウムゲルマニウム合金製である、
請求項1に記載のMEMSデバイス。
【請求項9】
前記デバイス配線は、前記接合層に対して、濡れ性を有すると共に共晶の拡散が生じない、材料製である、
請求項1に記載のMEMSデバイス。
【請求項10】
前記デバイス配線は、ポリシリコン、ポリサイド合金、窒化チタン合金、チタンタングステン合金からなる群から選択される、導電性を有する材料製である、
請求項9に記載のMEMSデバイス。
【請求項11】
前記接合電極は、アルミニウム合金製である、
請求項3に記載のMEMSデバイス。
【請求項12】
前記アンカーは、前記キャビティの底壁から前記第1方向に延びている、
請求項1に記載のMEMSデバイス。
【請求項13】
前記アンカーは、前記キャビティの側壁に固定されて前記第1方向に直交する面内方向に延びており、前記キャビティの底壁に対して前記第1方向に離間している、
請求項1に記載のMEMSデバイス。
【請求項14】
前記デバイスウエハは、前記キャビティの周囲にデバイス外周接合層を有しており、
前記キャップウエハは、前記接合層を介して前記デバイス外周接合層に接合されるキャップ外周接合層を有している、
請求項3に記載のMEMSデバイス。
【請求項15】
前記デバイス外周接合層は、前記デバイスウエハのうち前記デバイス配線と同一レイヤに位置しており且つ同一材料である、
請求項14に記載のMEMSデバイス。
【請求項16】
前記キャップ外周接合層は、前記キャップウエハのうち前記接合電極と同一レイヤに位置しており且つ同一材料である、
請求項14に記載のMEMSデバイス。
【請求項17】
前記デバイス外周接合層と前記キャップ外周接合層とは、前記接合層を介して導通可能である、
請求項14に記載のMEMSデバイス。
【請求項18】
前記キャップウエハは、
前記キャップ外周接合層に電気的に接続される、外周接合配線と、
前記外周接合配線に接続されており、外部配線が接続可能な、電極パッドと
を有している、
請求項17に記載のMEMSデバイス。
【請求項19】
前記デバイス外周接合層は、前記デバイス絶縁層を貫通するデバイス外周コンタクトを介して前記デバイス基板に電気的に導通しており、
前記キャップ外周接合層は、前記第1キャップ絶縁層を貫通するキャップ外周コンタクトを介して前記キャップ基板に電気的に導通している、
請求項18に記載のMEMSデバイス。
【請求項20】
第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有しており前記第1主面から第2主面に向かう第1方向に窪んだキャビティを有するデバイス基板と、前記キャビティ内に位置しており単一のアンカーによって前記デバイス基板に対して機械的に接続されると共に電気的に絶縁されたセンサ部と、前記センサ部に電気的に接続されるデバイス配線と、を有するデバイスウエハを形成すること、
前記デバイスウエハに対して前記第1主面側から対向するキャップ基板と、前記デバイス配線に電気的に導通するキャップ配線とを有するキャップウエハを形成すること、
前記デバイスウエハと前記キャップウエハとを接合層を介して接合する
ことを含み、
前記接合では、前記デバイス配線を、前記接合層に直接に接合して、前記接合層を介して前記キャップ配線に電気的に導通させる、MEMSデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、MEMSデバイス及びMEMSデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体微細加工技術を用いて製造されるMEMS(Micro Electro Mechanical System)センサが知られている。MEMSセンサとして、特許文献1には加速度センサが開示されている。特許文献1の加速度センサは、固定電極と可動電極とを有するコンデンサ部を備え、作用する加速度に応じた可動電極の変位に応じたコンデンサ部における静電容量の変化を検出することによって加速度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-217473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のMEMSセンサは、固定電極と可動電極とがそれぞれ異なるアンカーによってベース基板に接続されている。このため、該MEMSセンサがパッケージ化されてなるMEMSパッケージにおいてパッケージ応力が生じたとき、固定電極及び可動電極にはそれぞれ異なるアンカーを介して大きさ及び/又は方向等の異なるパッケージ応力が伝達され得る。この場合、固定電極及び可動電極は、それぞれ異なって変形して、両者の間の静電容量が変化し得る。この結果、加速度を検出していないゼロ点においても、コンデンサ部の静電容量が規定の所定値に対してオフセットしてしまう、いわゆるゼロ点オフセットが生じ得る。
【0005】
本開示は、ゼロ点オフセットを抑制できるMEMSデバイス及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、
第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有しており前記第1主面から第2主面に向かう第1方向に窪んだキャビティを有するデバイス基板と、前記キャビティ内に位置しており単一のアンカーによって前記デバイス基板に対して機械的に接続されると共に電気的に絶縁されたセンサ部と、前記センサ部に電気的に接続されるデバイス配線と、を有するデバイスウエハと、
前記デバイスウエハに対して前記第1主面側から対向するキャップ基板と、前記デバイス配線に電気的に導通するキャップ配線とを有するキャップウエハと、
前記デバイスウエハと前記キャップウエハとを接合する、接合層と
を備え、
前記デバイス配線は、前記接合層に直接に接合されており、前記接合層を介して前記キャップ配線に電気的に導通している、MEMSデバイスを提供する。
【0007】
本開示の他の態様は、
第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有しており前記第1主面から第2主面に向かう第1方向に窪んだキャビティを有するデバイス基板と、前記キャビティ内に位置しており単一のアンカーによって前記デバイス基板に対して機械的に接続されると共に電気的に絶縁されたセンサ部と、前記センサ部に電気的に接続されるデバイス配線と、を有するデバイスウエハを形成すること、
前記デバイスウエハに対して前記第1主面側から対向するキャップ基板と、前記デバイス配線に電気的に導通するキャップ配線とを有するキャップウエハを形成すること、
前記デバイスウエハと前記キャップウエハとを接合層を介して接合する
ことを含み、
前記接合では、前記デバイス配線を、前記接合層に直接に接合して、前記接合層を介して前記キャップ配線に電気的に導通させる、MEMSデバイスの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るMEMSデバイス及びその製造方法によれば、ゼロ点オフセットを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は本開示の一実施形態に係るMEMSデバイスの平面図である。
図2図2図1のII-II線に沿ったMEMSデバイスのX-Z平面に沿った断面図である。
図3図3はデバイスウエハをZ2側から見た底面図である。
図4図4はキャップウエハをZ1側から見た平面図である。
図5図5図1のV-V線に沿ったMEMSデバイスのY-Z平面に沿った断面図である。
図6図6はキャップウエハの形成工程の1つを示す図である。
図7図7図6の次の工程を示す図である。
図8図8図7の次の工程を示す図である。
図9図9図8の次の工程を示す図である。
図10図10図9の次の工程を示す図である。
図11図11図10の次の工程を示す図である。
図12図12図11の次の工程を示す図である。
図13図13はデバイスウエハの形成工程の1つを示す図である。
図14図14図13の次の工程を示す図である。
図15図15図14の次の工程を示す図である。
図16図16図15の次の工程を示す図である。
図17図17図16の次の工程を示す図である。
図18図18はキャップウエハとデバイスウエハとの接合工程の1つを示す図である。
図19図19図18の次の工程を示す図である。
図20図20図19の次の工程を示す図である。
図21図21図20の次の工程を示す図である。
図22図22は変形例に係るMEMSデバイスを示す図2と同様の図である。
図23図23は更なる変形例に係るデバイスウエハを示す図3と同様の図である。
図24図24図23のXXIV-XXIV線に沿ったMEMSデバイスのX-Z平面に沿った断面図である。
図25図25は更なる他の変形例に係るデバイスウエハを示す図3と同様の図である。
図26図26図25のXXVI-XXVI線に沿ったMEMSデバイスのX-Z平面に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態に係るMEMSデバイスを添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している。
【0011】
図1は本開示の一実施形態に係るMEMSデバイス1を示す平面図である。MEMSデバイス1は半導体微細加工技術を用いて製造されるMEMSセンサである。図2のII-II線にそったMEMSデバイス1の断面図である。
【0012】
以下の説明では、便宜上、図1に示す平面視においてMEMSデバイス1の各辺に沿った方向のうち左右方向をX方向、上下方向をY方向と称し、図2に示す断面視においてMEMSデバイス1の厚み方向(上下方向)をZ方向とそれぞれ称する。特に、図1における、右側をX1側、左側をX2側、上側をY1側、下型をY2側とそれぞれ称する。図2における、上側をZ1側、下側をZ2側と称する。
【0013】
[MEMSデバイスの全体構成]
図1及び図2に示されるように、MEMSデバイス1は、Z1側に位置しておりセンサ部20を有するデバイスウエハ2と、デバイスウエハ2に対してZ2側に位置するキャップウエハ3と、デバイスウエハ2とキャップウエハ3とを接合する接合層4とを有している。
【0014】
[デバイスウエハ]
図3はデバイスウエハ2をZ2側から見た底面図である。図2及び図3に示されるように、デバイスウエハ2は、Z2側に位置しておりX方向及びY方向に平行に延びる第1主面11と、第1主面11とは反対側すなわちZ1側に位置しておりX方向及びY方向に平行に延びる第2主面12とを有しており、第1主面11からZ1側に窪んだキャビティ13を有するデバイス基板10と、キャビティ13に位置するセンサ部20と、センサ部20に電気的に接続されるデバイス配線30と、を有している。
【0015】
デバイス基板10は、p型不純物又はn型不純物が高濃度にドーピングされたシリコン製であり、導電性を有する。
【0016】
キャビティ13を画定する周壁部には、矩形状の底壁14と、底壁14のX1側縁からZ2側に延びる第1縦壁15と、底壁14のY2側縁からZ2側に延びる第2縦壁16と、底壁14のX2側縁からZ2側に延びる第3縦壁17と、底壁14のY1側縁からZ2側に延びる第4縦壁18とが含まれている。
【0017】
センサ部20は、底壁14に固定されたアンカー21と、アンカー21に接続された固定電極23と、アンカー21に接続されたスプリング25と、スプリング25に支持されたマス26と、マス26に接続された可動電極27とを有している。
【0018】
図5図1のV-V線に沿ったアンカー21のY-Z平面に沿った断面図である。図5を合わせて参照して、アンカー21は、底壁14からZ2側に延びており、各縦壁15~18のいずれとも離間している。アンカー21は、Z1側に位置しており底壁14に固定される基端部21aと、基端部21aのZ2側に位置する本体部21bとを含んでいる。本実施形態では基端部21aは本体部21bよりもY方向に小さい。すなわち、アンカー21はより本体部21bに比して小さい基端部21aにおいて底壁14に固定されているので、アンカー21へのパッケージ応力の伝達が抑制されている。
【0019】
固定電極23は、本実施形態ではアンカー21のX2側においてY方向に並ぶように一対に設けられており、それぞれX方向に延びる第1固定電極23aと第2固定電極23bとを含んでいる。一対の固定電極23はそれぞれ、アンカー21に対して、第1アイソレーションジョイント(以下IJと称する)22を介して機械的に接続されると共に電気的に絶縁されている。
【0020】
スプリング25は、本実施形態では基端部25aがアンカー21のY1側及びY2側の両側に接続されるように一対に設けられており、それぞれY方向に伸縮自在となるように、例えばX方向に複数回屈曲しつつY方向に延びている。一対のスプリング25はそれぞれ、アンカー21に対して、第2IJ24を介して機械的に接続されると共に電気的に絶縁されている。
【0021】
マス26は、一対のスプリング25の先端部25bの間に支持されており、慣性力が生じた際にスプリング25による弾性力に抗してY方向に移動可能である。
【0022】
可動電極27は、マス26に接続されており、一対の固定電極23のY方向における中間且つZ方向における同じ高さ位置において、X方向に延びている。以下の説明では、アンカー21に対して第2IJ24を介して機械的に接続されつつ電気的に絶縁された、スプリング25、マス26及び可動電極27を纏めて可動電極27と称することがある。
【0023】
アンカー21、第1IJ22、固定電極23、スプリング25、マス26及び可動電極27はいずれも、デバイス基板10から形成されており導電性を有している。また、第1IJ22、固定電極23、スプリング25、マス26及び可動電極27はいずれも、底壁14からリリースされてZ2側に離間している。
【0024】
センサ部20は、一対の固定電極23と可動電極27とによってコンデンサCが構成されている。具体的には、第1固定電極23aと可動電極27とによって第1コンデンサC1が構成されており、第2固定電極23bと可動電極27とによって第2コンデンサC2が構成されている。
【0025】
本開示に係るセンサ部20は、Y方向に加速度が生じた場合に可動電極27がY方向に変位することによって、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の一方の静電容量が増大し他方の静電容量が減少し、この静電容量の変化を後述する電極パッド57を介して検出することによって、Y方向の加速度を検出する加速度センサとして構成されている。このほか、センサ部20を、X方向の加速度又はZ方向の加速度等、慣性力に依存した電気信号を検出するように構成してもよい。すなわち、本開示に係るセンサ部20は、複数の電極が、互いに電気的に絶縁されつつ、単一のアンカーに機械的に支持されるものであればよい。
【0026】
デバイス基板10の第1主面11には、Z2側からデバイス絶縁層28が積層されている。デバイス絶縁層28は酸化シリコン製である。デバイス絶縁層28は、センサ部20のうち、アンカー21と、固定電極23のうち少なくとも第1IJ22の近位側に位置する領域と、スプリング25、マス26および可動電極27にわたる領域のうち少なくとも第2IJ24の近位側に位置する領域とにも積層されている。
【0027】
本実施形態では、固定電極23上においては、デバイス絶縁層28は、アンカー21から第1IJ22をX2側に超えた位置で後述する固定電極コンタクト32が配置される領域を有しつつ即終端している。同様に、可動電極27上、本実施形態では一対のスプリング25上において、デバイス絶縁層28は、アンカー21から第2IJ24をY方向に超えた位置で後述する可動電極コンタクト35が配置される領域を残しつつ即終端している。
【0028】
デバイス配線30は、固定電極23に接続される固定電極配線31と、可動電極27に接続される可動電極配線34とを有しており、それぞれデバイス絶縁層28のZ2側に積層されている。
【0029】
デバイス配線30は、接合層4に対して、濡れ性を有すると共に接合層4における共晶の拡散が生じない材料製である。本実施形態では、接合層4は、後述するようにアルミニウムゲルマニウム共晶材(以下AlGe共晶材と称する)90により構成されるので、デバイス配線30はAlGe共晶材90に対して濡れ性を有すると共にAlGe共晶材90の共晶反応の拡散が生じない材料として、導電性を有するポリシリコンが採用されている。
【0030】
デバイス配線30は、導電性を有するポリシリコンで構成する他、ポリサイド合金、窒化チタン合金、チタンタングステン合金からなる群から選択される、導電性を有する材料で構成してもよい。これらの材料も、AlGe共晶材90に対して濡れ性を有すると共にAlGe共晶材の拡散が生じない。
【0031】
固定電極配線31は、Z2側から見て、デバイス絶縁層28をZ方向に貫通して固定電極23に電気的に導通する固定電極コンタクト32と、アンカー21上に位置する固定電極接合部33と、固定電極コンタクト32から第1IJ22をX1側に横断して固定電極接合部33まで延びる配線部31aとを有している。固定電極接合部33は、固定電極配線31の一部を構成しつつキャップウエハ3に対する接合部も兼ねている。
【0032】
可動電極配線34は、Z2側から見て、デバイス絶縁層28をZ方向に貫通して可動電極27(本実施形態ではY2側に位置するスプリング25の基端部25a)に電気的に導通する可動電極コンタクト35と、アンカー21上に位置する可動電極接合部36と、可動電極コンタクト35から第2IJ24をY1側に横断して可動電極接合部36まで延びる配線部34aとを有している。可動電極接合部36は、可動電極配線34の一部を構成しつつキャップウエハ3に対する接合部も兼ねている。
【0033】
本実施形態では、一対の固定電極23と1つの可動電極27とを有しているので、2つの固定電極配線31と1つの可動電極配線34とを有しており、したがって、アンカー21のZ2側には、2つの固定電極接合部33と1つの可動電極接合部36とが対応位置している。
【0034】
また、デバイス絶縁層28のZ2側には、Z2側から見てキャビティ13の外周に沿って延びるデバイス外周接合層40がさらに積層されている。デバイス外周接合層40は、デバイス絶縁層28上に積層されており、つまりデバイス配線30と同一レイヤに積層されており、デバイス配線30と同一材料であり導電性を有する。デバイス外周接合層40は、デバイス絶縁層28をZ方向に貫通してデバイス外周接合層40とデバイス基板10とを電気的に導通させるデバイス外周層コンタクト41をさらに有している。
【0035】
[キャップウエハ]
次に、図2及び図4を主に参照しながらキャップウエハ3について説明する。図4はキャップウエハ3をZ1側から見た平面図である。まず、図2を参照して、キャップウエハ3は、キャップ基板50と、キャップ基板50のZ1側に積層された第1キャップ絶縁層53と、第1キャップ絶縁層53のZ1側に積層されたキャップ配線60と、第1キャップ絶縁層53に対して間にキャップ配線60をZ方向に介在させつつZ1側に積層された第2キャップ絶縁層54と、第2キャップ絶縁層54のZ1側に積層された接合電極55とを有している。
【0036】
キャップ基板50は、Z1側に位置しておりX方向及びY方向に平行に延びる第1主面51と、第1主面51とは反対側すなわちZ2側に位置しておりX方向及びY方向に平行に延びる第2主面52とを有している。キャップ基板50は、p型不純又はn型不純物が高濃度にドーピングされたシリコン製であり、導電性を有する。
【0037】
図1に示される平面視において、キャップ基板50は、デバイス基板10よりも大きい。本実施形態では、キャップ基板50はデバイス基板10よりもX1側に大きい。キャップウエハ3は、デバイス基板10に覆われていない部分に、MEMSデバイス1の外部のデバイス(例えばASIC)との間で電気信号が入出力される複数の電極パッド57が設けられている。
【0038】
図2に示されるように、キャップ基板50には、デバイスウエハ2のマス26及び可動電極27に対してZ2側から対抗するストッパ50aと、ストッパ50aの周囲においてZ2側に窪んだリセス50bとを有している。ストッパ50aは、マス26及び可動電極27がZ2側に過度に変位した際に当接して、マス26及び可動電極27のZ2側への過大な変位を抑制するストッパとして作用する。
【0039】
なお、ストッパ50a及びリセス50bの表面には第1キャップ絶縁層53も第2キャップ絶縁層54も積層されておらず、デバイス基板10の表面が表出した状態となっており、マス26及び可動電極27がストッパ50aに接触したとしても帯電することがない。これによって、マス26及び可動電極27がストッパ50aに静電気力によって付着することが防止されている。
【0040】
第1キャップ絶縁層53は、キャップ基板50のZ1側のうち、ストッパ50a及びリセス50bを除く部分に積層されている。第1キャップ絶縁層53は、酸化シリコン製であり絶縁体である。
【0041】
図4に示されるように、キャップ配線60は、デバイスウエハ2の2つの固定電極接合部33及び1つの可動電極接合部36それぞれに対してZ方向に対応位置する一端部からキャビティ13の外側に延びて第1~第3電極パッド57A~57Cに接続される、第1~第3キャップ配線61~63を有する。さらに、キャップ配線60は、後述するキャップ外周接合層70に対してZ方向に対応位置する一端部から対応する第4電極パッド57Dに接続される第4キャップ配線64を有する。さらにまた、第3電極パッド57Cと第4電極パッド57Dとを接続する第5キャップ配線65を有する。
【0042】
第1~第3キャップ配線61~63は、第2キャップ絶縁層54をZ方向に貫通する接合電極コンタクト56を介して対応する接合電極55に電気的に導通している。第4キャップ配線64は、第1キャップ絶縁層53をZ方向に貫通するキャップ配線コンタクト58を介してキャップ基板50に電気的に導通しており、第2キャップ絶縁層54をZ方向に貫通するキャップ外周層コンタクト71を介してキャップ外周接合層70に電気的に導通している。
【0043】
各キャップ配線60及び各電極パッド57は、第1キャップ絶縁層53上に積層されており、つまり同一レイヤに積層されており同一材料である。本実施形態では、キャップ配線60及び電極パッド57は、第1キャップ絶縁層53上に積層されたTiN(窒化チタン)層と、このZ1側に積層されたAlCu(アルミニウム銅合金)層と、このZ1側にさらに積層されたTiN層とを有する3層構造であり、導電性を有する。接合電極コンタクト56及びキャップ配線コンタクト58は、タングステンがTiNで囲まれて構成されており導電性を有する。
【0044】
第2キャップ絶縁層54は、第1キャップ絶縁層53のZ1側に積層されており、第1キャップ絶縁層53との間にキャップ配線60が介在している。第2キャップ絶縁層54は、酸化シリコン製であり絶縁体である。第2キャップ絶縁層54は、複数の電極パッド57に対応位置する部分には積層されていない。これによって、複数の電極パッド57がキャップウエハ3においてZ1側から表出している。
【0045】
接合電極55は、第2キャップ絶縁層54のZ1側において、デバイスウエハ2の固定電極接合部33及び可動電極接合部36に対してZ2側から対向する位置に設けられている。すなわち、本実施形態では、接合電極55は、2つの固定電極接合部33に対向する位置と、1つの可動電極接合部36とに対向する位置とに、合計3つ設けられている。各接合電極55は、第2キャップ絶縁層54をZ方向に貫通する接合電極コンタクト56を介してそれぞれ対応するキャップ配線60に電気的に導通している。
【0046】
接合電極55は、TiN製であり導電性を有する。接合電極55は、後述する接合層4におけるアルミニウムとゲルマニウムの共晶反応におけるZ2側への共晶反応の拡散を防止するバリア層として作用する。
【0047】
また、第2キャップ絶縁層54のZ1側には、デバイス外周接合層40に対してZ方向に対応位置する場所に、キャップ外周接合層70がさらに積層されている。キャップ外周接合層70は、第2キャップ絶縁層54上に積層されており、つまり接合電極55と同一レイヤに積層されており、接合電極55と同一材料であり導電性を有する。
【0048】
[接合層]
次に、図1及び図2を主に参照しながら接合層4について説明する。図1及び図2に示されるように、接合層4は、デバイス外周接合層40及びキャップ外周接合層70に沿って延びており両者をZ方向に接合する外周接合層5と、2つの固定電極接合部33と及び1つの可動電極接合部36と3つの接合電極55との間に位置しており両者をそれぞれZ方向に接合する内周接合層6とを有している。
【0049】
接合層4は、アルミニウムとゲルマニウムとを共晶反応させることによって生じる、アルミニウムゲルマニウム共晶材である。外周接合層5によって、センサ部20がデバイスウエハ2とキャップウエハ3との間に外部から遮断された空間に密閉される。内周接合層6によって、デバイスウエハ2のデバイス配線30を、キャップウエハ3のキャップ配線60に電気的に導通させることができる。すなわち、接合層4によって、デバイスウエハ2とキャップウエハ3とをZ方向に接合しつつ、各デバイス配線30とキャップ配線60とを電気的に導通させることができる。
【0050】
[MEMSデバイスの製造方法]
以下、図6図22を参照ながらMEMSデバイス1の製造方法を説明する。
【0051】
(キャップウエハの形成工程)
まず、図6図12を参照して、キャップウエハ3の形成工程を説明する。図6に示されるように、p型不純物又はn型不純物が高濃度にドーピングされた導電性シリコン基板であるキャップ基板50を用意する。キャップ基板50の第1主面51を熱酸化することによって、第1主面51上に酸化シリコンである第1キャップ絶縁層53が形成される。
【0052】
次いで、図7に示されるように、周知のパターニング技術を利用して、第1キャップ絶縁層53がエッチングにより部分的に除去されてキャップ配線コンタクト58に対応する部分が開口したビア81が形成される。
【0053】
次に、図8に示されるように、ビア81にキャップ配線コンタクト58が形成される。具体的には、図8の左側の拡大図を参照して、まずビア81における内壁面及び底壁面に沿ってTiN層58pが凹状に積層され、TiN層58pの凹みにタングステン58qが積層され、その後例えばCMPによって表面が平坦化されることによってビア81にキャップ配線コンタクト58が形成される。
【0054】
次に、周知のパターニング技術を利用して、第1キャップ絶縁層53上に、キャップ配線60と電極パッド57とが積層される。具体的には、まず、TiN層60p,57pが積層され、次いでAlCu層60q,57qが積層され、さらにTiN層60r,57rが積層される。すなわち、キャップ配線60及び電極パッド57は、TiN/AlCu/TiNから構成される三層の積層構造を有する。
【0055】
次に、図9に示されるように、第1キャップ絶縁層53、キャップ配線60及び電極パッド57のZ1側に第2キャップ絶縁層54が積層される。第2キャップ絶縁層54は例えばTEOS(Tetra Ethoxy Silane)を原料に用いたCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成される。第2キャップ絶縁層54は、キャップ配線60のパッシベーション層を構成する。第2キャップ絶縁層54は、積層された後、例えばCMPによって平坦化される。
【0056】
次に、図10に示されるように、周知のパターニング技術を利用して、第2キャップ絶縁層54がエッチングされてキャップ外周層コンタクト71及び接合電極コンタクト56に対応する部分が開口したビア82,83が形成される。
【0057】
次に、ビア82,83にキャップ外周層コンタクト71及び接合電極コンタクト56が形成される。具体的には、キャップ外周層コンタクト71及び接合電極コンタクト56は、上述したキャップ配線コンタクト58と同様に形成されて、ビア82,83の内壁面に沿った凹状のTiN層71p,56pと、TiN層71p,56pの凹みに形成されたタングステン71q,56qとを有する。
【0058】
次に、周知のパターニング技術を利用して、第2キャップ絶縁層54上に、接合電極55及びキャップ外周接合層70が積層される。具体的には、まず、TiN層55p,70pが積層され、次いでAlCu層55q,70qが積層される。さらに、AlCu層55q、70qのZ1側にゲルマニウム層55r,70rが積層される。ゲルマニウム層55r,70rは、AlCu層55q,70qと共晶反応することによってアルミニウムゲルマニウム共晶材となって接合層4を構成する。
【0059】
次に、図11に示されるように、第1キャップ絶縁層53及び第2キャップ絶縁層54のうちセンサ部20のマス26及び可動電極27に対してZ方向に対向する部分がエッチングにより取り除かれて、キャップ基板50が表出する。さらに、第2キャップ絶縁層54のうち、電極パッド57を覆う領域がエッチングにより除去されて電極パッド57が表出する。
【0060】
次に、図12に示されるように、キャップ基板50が表出している部分のうち、マス26及び可動電極27に対するストッパ50aとなる部分を残してさらにZ2側に窪んだリセス50bが形成される。これによって、キャップウエハ3が完成する。
【0061】
(デバイスウエハの形成工程)
次に、図13図17を参照して、デバイスウエハ2の形成工程を説明する。図13に示されるように、p型不純物又はn型不純物が高濃度にドーピングされた導電性シリコン基板であるデバイス基板10を用意する。
【0062】
次いで、図示は省略するが、デバイス基板10の第1主面11を熱酸化すると共に該熱酸化して得られる熱酸化膜をパターニングすることによって第1IJ22及び第2IJ24に対応する位置が開口したマスクを形成し、該マスクを利用して、デバイス基板10を異方性エッチングによりZ1側に深堀りして、トレンチ84を形成する。トレンチ84の形成後、マスクは除去される。
【0063】
次に、図14に示されるように、トレンチ84の内壁面を熱酸化することによってトレンチ84の内壁面が熱酸化してなる酸化シリコンから構成される第1IJ22及び第2IJ24が形成される。次に、デバイス基板10の第1主面11上に酸化シリコンを積層し、デバイス絶縁層28を形成する。
【0064】
次に、図15に示されるように、周知にパターニング技術を利用して、デバイス絶縁層28がエッチングにより部分的に除去されて固定電極コンタクト32及びデバイス外周層コンタクト41に対応する部分が開口したビア85,86が形成される。図示は省略するが、デバイス絶縁層28のうち可動電極コンタクト35に対応した部分にもビアが形成される。
【0065】
次に、図16に示されるように、周知のパターニング技術を利用して、デバイス絶縁層28のZ2側にデバイス配線30及びデバイス外周接合層40が積層される。このとき、固定電極コンタクト32、可動電極コンタクト35及びデバイス外周層コンタクト41も形成される。デバイス配線30及びデバイス外周接合層40は、p型不純物又はn型不純物が高濃度にドーピングされたポリシリコンであって、例えば低圧CVDによって積層される。図示は省略するが、デバイス配線30及びデバイス外周接合層40上にはパッシベーション層、例えば酸化シリコンが積層される。
【0066】
次に、図17に示されるように、周知のエッチング技術を利用して、センサ部20が形成される。図示は省略するが、デバイス絶縁層28及びパッシベーション層のうち、キャビティ13を画定する領域であってセンサ部20の形状に一致する部分以外がエッチングにより除去されてデバイス基板10が表出する。
【0067】
次に、デバイス絶縁層28及びパッシベーション層をマスクとして異方性エッチングによってデバイス基板10をZ1側に彫り込むことによって、センサ部20及びキャビティ13の形状に沿ったトレンチが形成される。
【0068】
次に、該トレンチの内壁面に酸化膜を堆積する。次に、トレンチの底壁面の酸化膜をエッチングにより除去する。次に、トレンチの底部を等方性エッチングによって除去することによって、キャビティ13を形成しつつ、キャビティ13の内側にアンカー21によって支持されてアンカー21を除く部分がキャビティ13の底壁14からZ2側にリリースされて離間されたセンサ部20が形成される。
【0069】
最後にHFベイパーエッチイングによってトレンチの側壁における酸化シリコンが除去されると共に、センサ部20のうち固定電極23、可動電極27、スプリング25及びマス26上のデバイス絶縁層28が除去され、さらにパッシベーション層も除去される。これによって、デバイスウエハ2が完成する。
【0070】
なお、デバイスウエハ2は、センサ部20よりもX1側であって、キャップウエハ3に形成される電極パッド57よりもX2側において、Y方向に延びておりZ1側に窪んだトレンチ87が形成されている。トレンチ87は、センサ部20の形成と同時に形成される。
【0071】
(デバイスウエハとキャップウエハとの接合工程)
次に、図18図22を参照して、デバイスウエハ2とキャップウエハ3とを接合してMEMSデバイス1を製造する工程を説明する。図18に示されるように、デバイスウエハ2を、180°反転させてキャップウエハ3に対してZ方向に対向させる。このとき、デバイスウエハ2のをX方向及びY方向における位置を調整して、2つの固定電極接合部33、1つの可動電極接合部36及びデバイス外周接合層40がキャップウエハ3の3つの接合電極55及びキャップ外周接合層70にそれぞれZ方向に対向するように位置合わせする。
【0072】
次に、図19に示されるように、デバイスウエハ2とキャップウエハ3とを、2つの固定電極接合部33、1つの可動電極接合部36及びデバイス外周接合層40がキャップウエハ3の3つの接合電極55及びキャップ外周接合層70とにおいて互いに当接させつつ高温加圧する。
【0073】
本実施形態では、接合層4をAlCu層55q,70qとゲルマニウム層55r,70rとを共晶反応させてなるアルミニウムゲルマニウム共晶材90(以下AlGe共晶材)によって構成するので、アルミニウムとゲルマニウムとの共晶点である423℃以上の温度(例えば430℃以上500℃以下)の下、1ウエハあたり数kN(例えば1kN以上100kN以下)の力で両ウエハを当接させた状態を維持する。
【0074】
このとき、共晶反応により生じたAlGe共晶材90は、デバイスウエハ2におけるポリシリコン製であるデバイス配線30及びデバイス外周接合層40に対して、3相共晶反応して接合されるが、該3相共晶反応によって共焦点が上昇する(例えば500℃以上まで)のでAlGe共晶材90の共晶反応が止まりデバイス配線30及びデバイス外周接合層40側への拡散が防止される。
【0075】
一方、AlGe共晶材90は、キャップウエハ3側においては、バリア層として作用するTiN層55p,70pによって下層側への拡散が止まる。その後、温度を下降させて共晶反応を止めて、AlGe共晶材90を硬化させることによってデバイスウエハ2とキャップウエハ3との接合が完成する。
【0076】
次に、図20に示されるように、ダイシングブレード91を、トレンチ87に対応する位置に合わせた状態で、Z2側へ下降させる。この結果、図21に示されるように、デバイスウエハ2のうち、トレンチ87よりX1側に位置する部分が切断により分離されて、キャップウエハ3の電極パッド57がZ1側に表出する。これによって、MEMSデバイス1が完成する。
【0077】
上記説明したMEMSデバイス1によれば、以下の効果が発揮される。
【0078】
(1)MEMSデバイス1は、第1主面11と第1主面11とは反対側の第2主面12とを有しており第1主面11から第2主面12に向かうZ1側に窪んだキャビティ13を有するデバイス基板10と、キャビティ13内に位置しており単一のアンカー21によってデバイス基板10に対して機械的に接続されると共に電気的に絶縁されたセンサ部20と、センサ部20に電気的に接続されるデバイス配線30と、を有するデバイスウエハ2と、
デバイスウエハ2に対して第1主面11側から対向するキャップ基板50と、デバイス配線30に電気的に導通するキャップ配線60とを有するキャップウエハ3と、
デバイスウエハ2とキャップウエハ3とを接合する、接合層4と
を備え、
デバイス配線30は、接合層4に直接に接合されており、接合層4を介してキャップ配線60に電気的に導通している。
【0079】
その結果、センサ部20が単一のアンカー21に機械的に接続されているので、外部から伝達される歪のセンサ部20への入力経路が単一となる。この結果、外部から伝達される歪の影響がセンサ部20に均一に及ぶので、センサ部20の検出特性を安定化させやすくゼロ点オフセットが抑制される。
【0080】
さらに、デバイス配線30が接合層4に直接に接合されるので、デバイスウエハ2にデバイス配線30とは別に接合部を設けることを要しないので、デバイスウエハ2の構造を単純化しやすい。この結果、デバイスウエハ2の積層数が減少するので、デバイスウエハ2の形成プロセスを単純化しやすく、デバイス基板10に形成されるセンサ部20を精度よく形成しやすい。これにより、センサ部20の形状のバラつきが抑制されるので、該バラつきに起因したゼロ点オフセットが抑制される。
【0081】
これに対して、センサ部が複数のアンカーに接続される場合、外部から複数の入力経路を介してセンサ部に歪が入力され、センサ部に歪の影響が不均一に及ぶので、センサ部が不均一に歪やすく、センサ部の検出特性にバラツキが生じやすい。また、デバイスウエハにデバイス配線とは別に接合部を設ける場合、デバイスウエハの積層数が増大するので、デバイスウエハの形成プロセスが複雑化しやすく、センサ部の形状にバラつきが生じやすい。したがって、従来構造に係るセンサ部のように、センサ部が複数のアンカーを有し及び/又はデバイスウエハにデバイス配線とは異なるレイヤにおける接合部を有する場合、ゼロ点オフセットを抑制しにくい。
【0082】
(2)センサ部20は、
キャビティ13を画定する壁面に固定された、アンカー21と、
アンカー21に対して第1IJ22を介して機械的に接続されると共に電気的に絶縁されており、X方向に延びる、固定電極23と、
アンカー21に対して第2IJ24を介して機械的に接続されると共に電気的に絶縁された、スプリング25と、
スプリング25に対して機械的に連結されると共に電気的に導通する、マス26と、
マス26に対して機械的に連結されると共に電気的に導通しており、X方向に延びており、固定電極23に対してY方向に対向する、可動電極27と、
アンカー21と、固定電極23のうち少なくとも第1IJ22の近位側に位置する領域と、スプリング25、マス26及び可動電極27にわたる領域のうち少なくとも第2IJ24の近位側に位置する領域とにおいて、第1主面11側に積層されたデバイス絶縁層28と、
を有しており、
センサ部20のうちアンカー21を除く部分が、キャビティ13の底壁14に対してZ2側に離間しており、
デバイス配線30は、
デバイス絶縁層28に積層されており、第1主面11側から見て固定電極23に対応位置しておりデバイス絶縁層28を貫通して固定電極23に電気的に導通する、固定電極コンタクト32から、第1IJ22を横断して固定電極接合部33まで延びる、固定電極配線31と、
デバイス絶縁層28に積層されており、第1主面11側から見てスプリング25、マス26又は可動電極27に対応位置しておりデバイス絶縁層28を貫通してスプリング25、マス26又は可動電極27に電気的に導通する、可動電極コンタクト35から、第2IJ24を横断して可動電極接合部36まで延びる、可動電極配線34と
を有しており、
デバイス配線30は、固定電極接合部33及び可動電極接合部36において接合層4を介してキャップ配線60に接合されており、
デバイス配線30及びキャップ配線60は電気的に導通している。
【0083】
その結果、アイソレーションジョイントを利用したZ方向に延びる縦型分離によって、単一のアンカー21に対して固定電極23及び可動電極27を機械的に接続しながら電気的に絶縁する構造を可能とする。これによって、固定電極23及び可動電極27に対する外部から伝達される歪による影響を均一化しやすく、換言すれば固定電極23と可動電極27とが両者の相対的な位置関係を保持したまま同様に歪の影響が及ぶのでこれらから構成されるセンサ部20の特性を安定化させやすい。
【0084】
さらに、デバイスウエハ2はデバイス配線30が接合層4への接合部も兼ねるので、デバイスウエハ2が配線層と接合部とを別々に備えることを要しない。この結果、デバイスウエハ2がより多くの層を有する場合に比して積層工程の数が減少するので、固定電極23及び可動電極27をより精度よく形成しやすい。この場合、例えば固定電極23と可動電極間27の距離の製造バラつきが抑制されるので、外力が生じていないゼロ点におけるオフセットをより減少させやすい。
【0085】
したがって、センサ部20の、外部から伝達される歪によらず出力特性を安定化させることができると共に、検出精度が向上する。
【0086】
(3)キャップウエハ3は、
キャップ基板50に積層された、第1キャップ絶縁層53と、
第1キャップ絶縁層53に対して間にキャップ配線60を介在させつつ積層されている、第2キャップ絶縁層54と、
第2キャップ絶縁層54に積層されており、第2キャップ絶縁層54を貫通する接合電極コンタクト56を介してキャップ配線60に電気的に導通する、接合電極55と
をさらに有しており、
キャップウエハ3は、接合電極55において接合層4を介して固定電極接合部33及び可動電極接合部36に接合されている。
その結果、キャップウエハ3側にキャップ配線60と接合電極55とが形成される。
【0087】
(4)固定電極接合部33及び/又は可動電極接合部36は、Z方向から見てアンカー21に対応位置していてもよい。
その結果、デバイス配線30を短く構成できると共に、固定電極接合部33及び可動電極接合部36を支持する部分を別途形成する必要がない。
【0088】
(5)キャップウエハ3は、外部配線が接続可能な電極パッド57を有しており、
電極パッド57は、キャップ配線60の接合電極55とは反対側の端部に電気的に接続されていてもよい。
その結果、デバイスウエハ2に電極パッド57がないので、デバイスウエハ2をより単純化しやすい。これによって、上述したように、デバイスウエハ2の層数の増大が抑制されるのでセンサ部20をより精度よく形成しやすい。
【0089】
(6)電極パッド57とキャップ配線60とは、キャップウエハ3のうち同一レイヤに位置しており同一材料であってもよい。
その結果、電極パッド57とキャップ配線60とを同一プロセスで積層できる。
【0090】
(7)接合層は、アルミニウムゲルマニウム共晶材90であってもよい。
その結果、デバイスウエハ2のデバイス配線30とキャップウエハ3の接合電極55とを互いに電気的に導通させつつ接合できる。
【0091】
(8)デバイス配線30は、接合層4に対して、濡れ性を有すると共に共晶の拡散が生じない、材料製であってもよい。
その結果、デバイス配線30を接合層4に接合しつつも、デバイス配線30が共晶化によって接合層4に取り込まれることが抑制されるので、デバイス配線30の消失が抑制される。
【0092】
(9)デバイス配線30は、ポリシリコン、ポリサイド合金、窒化チタン合金、チタンタングステン合金からなる群から選択される、導電性を有する材料製であってもよい。
その結果、デバイス配線30を、導電性を有しつつ、接合層4との接合性を確保できる。
【0093】
(10)接合電極55は、アルミニウム合金製であってもよい。
【0094】
(11)アンカー21は、キャビティ13の底壁14からZ方向に延びていてもよい。
その結果、アンカー21をキャビティ13内に設ける位置の自由度を高めやすい。
【0095】
(12)アンカー21は、キャビティ13の第1縦壁15に固定されてX方向に延びており、キャビティ13の底壁14に対してZ2側に離間していてもよい。
その結果、アンカー21をキャビティ13の第1縦壁15を利用して容易に形成しやすい。
【0096】
(13)デバイスウエハ2は、キャビティ13の周囲にデバイス外周接合層40を有しており、
キャップウエハ3は、接合層4を介してデバイス外周接合層40に接合されるキャップ外周接合層70を有していてもよい。
その結果、デバイス外周接合層40とキャップ外周接合層70とを接合することによって、センサ部20をMEMSデバイス1の内側に密閉しやすい。
【0097】
(14)デバイス外周接合層40は、デバイスウエハ2のうちデバイス配線30と同一レイヤに位置しており且つ同一材料であってもよい。
その結果、デバイス外周接合層40とデバイス配線30とを同一プロセスで積層できる。
【0098】
(15)キャップ外周接合層70は、キャップウエハ3のうち接合電極55と同一レイヤに位置しており且つ同一材料であってもよい。
その結果、キャップ外周接合層70と接合電極55とを同一プロセスで積層できる。
【0099】
(16)デバイス外周接合層40とキャップ外周接合層70とは、接合層4を介して導通可能であってもよい。
その結果、デバイス外周接合層40とキャップ外周接合層70とを同一電位に設定できる。
【0100】
(17)キャップウエハ3は、
キャップ外周接合層70に電気的に接続される、第4キャップ配線64と、
第4キャップ配線64に接続されており、外部配線が接続可能な、電極パッド57と
を有していてもよい。
その結果、電極パッド57に外部配線を接続して電圧を印加したりグランドに接続したりすることによって、デバイス外周接合層40とキャップ外周接合層70とを同一電位に設定できる。
【0101】
(18)デバイス外周接合層40は、デバイス絶縁層28を貫通するデバイス外周層コンタクト41を介してデバイス基板10に電気的に導通しており、
キャップ外周接合層70は、第1キャップ絶縁層53を貫通するキャップ外周層コンタクト71を介してキャップ基板50に電気的に導通していてもよい。
その結果、デバイス基板10からキャップ基板50を同一電位に設定できる。これによって、例えば、センサ部20を同一電位に設定したデバイス基板10及びキャップ基板50によって囲むことによって、センサ部20に対する電磁シールドを構成できる。
【0102】
(19)MEMSデバイス1の製造方法は、第1主面11と第1主面11とは反対側の第2主面12とを有しており第1主面11から第2主面12に向かうZ1側に窪んだキャビティ13を有するデバイス基板10と、キャビティ13内に位置しており単一のアンカー21によってデバイス基板10に対して機械的に接続されると共に電気的に絶縁されたセンサ部20と、センサ部20に電気的に接続されるデバイス配線30と、を有するデバイスウエハ2を形成すること、
デバイスウエハ2に対して第1主面11側から対向するキャップ基板50と、デバイス配線30に電気的に導通するキャップ配線60とを有するキャップウエハ3を形成すること、
デバイスウエハ2とキャップウエハ3とを接合層4を介して接合する
ことを含み、
接合では、デバイス配線30を、接合層4に直接に接合して、接合層4を介してキャップ配線60に電気的に導通させる。
【0103】
なお、本開示は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0104】
上記実施形態では、デバイス基板10からセンサ部20をエッチングにより形成したが、これに限らない。例えば、図22には、変形例に係るデバイスウエハ105のX-Z平面に沿った断面図が示されており、デバイスウエハ105は、デバイス基板10に換えてSOI基板100により構成されている。
【0105】
例えば、SOI基板100を、Z2側に位置する第1層101とこのZ1側に積層された第2層102と、このさらにZ1側に積層された第3層103とで構成すると共に、第1層101及び第3層103を導電性シリコンで構成し、第2層102を酸化シリコンである絶縁層として構成する。第1層101にZ1側に延びて第2層102に至るトレンチを掘り込むと共に第2層102を部分的にHFベーパーによって部分的に除去することによって、第2層102に支持されたアンカー121と、アンカー121から水平方向に延びてキャビティ113の底壁114からZ2側に離間した固定電極123及び可動電極を有する、センサ部120を形成できる。
【0106】
また、固定電極123及び可動電極において、アンカー121との機械的接続及び電気的絶縁を構成するため、第1層101をZ1側に掘り込んで第2層102に至るトレンチを深堀し該トレンチに絶縁体としてのポリシリコンを埋め込んでDTI(Deep Trench Isolation)122を形成して、DTI122によってアンカー121と固定電極123及び可動電極と間のZ方向に延びる縦型分離構造を実現できる。したがって、SOI基板100から、単一のアンカー121によって支持されたセンサ部120を有するデバイスウエハ105を形成できる。
【0107】
また、上記実施形態では、アンカー21をキャビティ13の底壁14からZ方向に延びるように構成したが、これに限らない。例えば、図23には更なる変形例に係るデバイスウエハ202の底面図が示されており、図24にはデバイスウエハ202の図23のXXIV-XXIV線におけるX-Z平面に沿った断面図が示されている。なお、図24においてデバイスウエハ202に対応するキャップウエハ203が二点鎖線で参考に示されている。図23及び図24に示されるように、アンカー221をキャビティ213のX1側に位置する第1縦壁215からX2側に延びると共にキャビティ213の底壁214からZ1側に離間するように構成してもよい。
【0108】
この場合に、デバイス配線230を、アンカー221を横断して延びるように形成すると共に、固定電極接合部233及び可動電極接合部236をZ方向から見てアンカー221に対応位置させず例えばキャビティ213の外側に位置させてもよい。
その結果、アンカー221を固定電極接合部233及び可動電極接合部236に対応位置する大きさに構成する必要がなくアンカー221を小型化しやすい。
【0109】
また、図25には更なる他の変形例に係るデバイスウエハ302の底面図が示されており、図26にはデバイスウエハ302のXXVI-XXVI線におけるX-Z平面に沿った断面図が示されている。なお、図26においてデバイスウエハ302に対応するキャップウエハ303が二点鎖線で参考に示されている。図25及び図26に示されるように、アンカー321をキャビティ313の底面314からZ方向に延びるように構成しながら、固定電極接合部333及び可動電極接合部336をアンカー321に対応位置させずに例えばキャビティ313の外側に位置させてもよい。
【0110】
この場合、アンカー321と、固定電極接合部333及び可動電極接合部336が設けられた部分とを接続する柔軟な構造体340上に、デバイス配線330を形成すればよい。これによっても、アンカー321を固定電極接合部333及び可動電極接合部336に対応位置する大きさに構成する必要がなくアンカー321を小型化しやすい。
【0111】
[付記]
本開示に係るMEMSデバイスおよびその製造方法は以下の態様を提供する。
【0112】
[態様1]
第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有しており前記第1主面から第2主面に向かう第1方向に窪んだキャビティを有するデバイス基板と、前記キャビティ内に位置しており単一のアンカーによって前記デバイス基板に対して機械的に接続されると共に電気的に絶縁されたセンサ部と、前記センサ部に電気的に接続されるデバイス配線と、を有するデバイスウエハと、
前記デバイスウエハに対して前記第1主面側から対向するキャップ基板と、前記デバイス配線に電気的に導通するキャップ配線とを有するキャップウエハと、
前記デバイスウエハと前記キャップウエハとを接合する、接合層と
を備え、
前記デバイス配線は、前記接合層に直接に接合されており、前記接合層を介して前記キャップ配線に電気的に導通している、MEMSデバイス。
【0113】
[態様2]
前記センサ部は、
前記キャビティの壁面に固定された、前記アンカーと、
前記アンカーに対して第1アイソレーションジョイントを介して機械的に接続されると共に電気的に絶縁されており、前記第1方向に直交する第2方向に延びる、固定電極と、
前記アンカーに対して第2アイソレーションジョイントを介して機械的に接続されると共に電気的に絶縁された、スプリングと、
前記スプリングに対して機械的に連結されると共に電気的に導通する、マスと、
前記マスに対して機械的に連結されると共に電気的に導通しており、前記第2方向に延びており、前記固定電極に対して前記第1方向及び前記第2方向のいずれにも直交する第3方向に対向する、可動電極と、
前記アンカーと、前記固定電極のうち少なくとも前記第1アイソレーションジョイントの近位側に位置する領域と、前記スプリング、前記マスおよび前記可動電極にわたる領域のうち少なくとも前記第2アイソレーションジョイントの近位側に位置する領域とにおいて、前記第1主面側に積層されたデバイス絶縁層と、
を有しており、
前記センサ部のうち前記アンカーを除く部分が、前記キャビティの底面に対して前記第1方向に離間しており、
前記デバイス配線は、
前記デバイス絶縁層に積層されており、前記第1主面側から見て前記固定電極に対応位置しており前記デバイス絶縁層を貫通して前記固定電極に電気的に導通する、固定電極コンタクトから、前記第1アイソレーションジョイントを横断して固定電極接合部まで延びる、固定電極配線と、
前記デバイス絶縁層に積層されており、前記第1主面側から見て前記スプリング、前記マス又は前記可動電極に対応位置しており前記デバイス絶縁層を貫通して前記スプリング、前記マス又は前記可動電極に電気的に導通する、可動電極コンタクトから、前記第2アイソレーションジョイントを横断して可動電極接合部まで延びる、可動電極配線と
を有しており、
前記デバイス配線は、前記固定電極接合部及び前記可動電極接合部において前記接合層を介して前記キャップ配線に接合されており、
前記デバイス配線及び前記キャップ配線は電気的に導通している、
態様1に記載のMEMSデバイス。
【0114】
[態様3]
前記キャップウエハは、
前記キャップ基板に積層された、第1キャップ絶縁層と、
前記第1キャップ絶縁層に対して間に前記キャップ配線を介在させつつ積層されている、第2キャップ絶縁層と、
前記第2キャップ絶縁層に積層されており、前記第2キャップ絶縁層を貫通する接合電極コンタクトを介して前記キャップ配線に電気的に導通する、接合電極と
をさらに有しており、
前記キャップウエハは、前記接合電極において前記接合層を介して前記固定電極接合部及び前記可動電極接合部に接合されている、
態様2に記載のMEMSデバイス。
【0115】
[態様4]
前記固定電極接合部及び/又は前記可動電極接合部は、前記第1方向から見て前記アンカーに対応位置している、
態様3に記載のMEMSデバイス。
【0116】
[態様5]
前記デバイス配線は、前記第1方向から見て前記アンカーを横断しており、
前記固定電極接合部及び/又は前記可動電極接合部は、前記第1方向から見て前記アンカーに位置しない、
態様2に記載のMEMSデバイス。
【0117】
[態様6]
前記キャップウエハは、外部配線が接続可能な電極パッドを有しており、
前記電極パッドは、前記キャップ配線の前記接合電極とは反対側の端部に電気的に接続されている、
態様3に記載のMEMSデバイス。
【0118】
[態様7]
前記電極パッドと前記キャップ配線とは、前記キャップウエハのうち同一レイヤに位置しており同一材料である、
態様6に記載のMEMSデバイス。
【0119】
[態様8]
前記接合層は、アルミニウムゲルマニウム合金製である、
態様1に記載のMEMSデバイス。
【0120】
[態様9]
前記デバイス配線は、前記接合層に対して、濡れ性を有すると共に共晶の拡散が生じない、材料製である、
態様1に記載のMEMSデバイス。
【0121】
[態様10]
前記デバイス配線は、ポリシリコン、ポリサイド合金、窒化チタン合金、チタンタングステン合金からなる群から選択される、導電性を有する材料製である、
態様9に記載のMEMSデバイス。
【0122】
[態様11]
前記接合電極は、アルミニウム合金製である、
態様3に記載のMEMSデバイス。
【0123】
[態様12]
前記アンカーは、前記キャビティの底壁から前記第1方向に延びている、
態様1に記載のMEMSデバイス。
【0124】
[態様13]
前記アンカーは、前記キャビティの側壁に固定されて前記第1方向に直交する面内方向に延びており、前記キャビティの底壁に対して前記第1方向に離間している、
態様1に記載のMEMSデバイス。
【0125】
[態様14]
前記デバイスウエハは、前記キャビティの周囲にデバイス外周接合層を有しており、
前記キャップウエハは、前記接合層を介して前記デバイス外周接合層に接合されるキャップ外周接合層を有している、
態様3に記載のMEMSデバイス。
【0126】
[態様15]
前記デバイス外周接合層は、前記デバイスウエハのうち前記デバイス配線と同一レイヤに位置しており且つ同一材料である、
態様14に記載のMEMSデバイス。
【0127】
[態様16]
前記キャップ外周接合層は、前記キャップウエハのうち前記接合電極と同一レイヤに位置しており且つ同一材料である、
態様14に記載のMEMSデバイス。
【0128】
[態様17]
前記デバイス外周接合層と前記キャップ外周接合層とは、前記接合層を介して導通可能である、
態様14に記載のMEMSデバイス。
【0129】
[態様18]
前記キャップウエハは、
前記キャップ外周接合層に電気的に接続される、外周接合配線と、
前記外周接合配線に接続されており、外部配線が接続可能な、電極パッドと
を有している、
態様17に記載のMEMSデバイス。
【0130】
[態様19]
前記デバイス外周接合層は、前記デバイス絶縁層を貫通するデバイス外周コンタクトを介して前記デバイス基板に電気的に導通しており、
前記キャップ外周接合層は、前記第1キャップ絶縁層を貫通するキャップ外周コンタクトを介して前記キャップ基板に電気的に導通している、
態様18に記載のMEMSデバイス。
【0131】
[態様20]
第1主面と前記第1主面とは反対側の第2主面とを有しており前記第1主面から第2主面に向かう第1方向に窪んだキャビティを有するデバイス基板と、前記キャビティ内に位置しており単一のアンカーによって前記デバイス基板に対して機械的に接続されると共に電気的に絶縁されたセンサ部と、前記センサ部に電気的に接続されるデバイス配線と、を有するデバイスウエハを形成すること、
前記デバイスウエハに対して前記第1主面側から対向するキャップ基板と、前記デバイス配線に電気的に導通するキャップ配線とを有するキャップウエハを形成すること、
前記デバイスウエハと前記キャップウエハとを接合層を介して接合する
ことを含み、
前記接合では、前記デバイス配線を、前記接合層に直接に接合して、前記接合層を介して前記キャップ配線に電気的に導通させる、MEMSデバイスの製造方法。
【符号の説明】
【0132】
1 MEMSデバイス
2 デバイスウエハ
3 キャップウエハ
4 接合層
10 デバイス基板
13 キャビティ
14 底壁
20 センサ部
21 アンカー
22 第1IJ
23 固定電極
24 第2IJ
25 スプリング
26 マス
27 可動電極
28 デバイス絶縁層
30 デバイス配線
31 固定電極配線
32 固定電極コンタクト
33 固定電極接合部
34 可動電極配線
35 可動電極コンタクト
36 可動電極接合部
40 デバイス外周接合層
41 デバイス外周層コンタクト
50 キャップ基板
53 第1キャップ絶縁層
54 第2キャップ絶縁層
55 接合電極
56 接合電極コンタクト
57 電極パッド
58 キャップ配線コンタクト
60 キャップ配線
70 キャップ外周接合層
71 キャップ外周層コンタクト
90 AlGe共晶材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
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図19
図20
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