IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

特開2024-130378基板処理装置、および半導体装置の製造方法
<>
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図1
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図2
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図3
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図4
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図5
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図6
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図7
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図8
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図9
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図10
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図11
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図12
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図13
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図14
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図15
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図16
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図17
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図18
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図19
  • 特開-基板処理装置、および半導体装置の製造方法 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130378
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】基板処理装置、および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20240920BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20240920BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240920BHJP
   C25D 11/32 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/306 A
H10B43/27
H01L29/78 371
H01L21/02 B
C25D11/32
H01L21/306 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040058
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】北川 白馬
【テーマコード(参考)】
5F043
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F043AA02
5F043BB03
5F043DD14
5F043EE03
5F043EE35
5F043EE36
5F043FF10
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA05
5F083JA19
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA56
5F083JA60
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR40
5F083ZA01
5F101BA45
5F101BB05
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BH21
(57)【要約】
【課題】基板の表面にポーラス層を好適に形成可能な基板処理装置、および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、基板処理装置は、基板処理液を収容する処理槽を備える。前記装置はさらに、前記処理槽内で第1基板を保持するホルダを備える。前記装置はさらに、前記ホルダにより保持された前記第1基板の第1面にポーラス層を形成する陽極および陰極を備える。前記装置はさらに、前記基板処理液内に第1気泡を供給して、前記第1基板の前記第1面に前記第1気泡を供給する気泡供給部を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理液を収容する処理槽と、
前記処理槽内で第1基板を保持するホルダと、
前記ホルダにより保持された前記第1基板の第1面にポーラス層を形成する陽極および陰極と、
前記基板処理液内に第1気泡を供給して、前記第1基板の前記第1面に前記第1気泡を供給する気泡供給部と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記陽極および前記陰極は、陽極化成法により前記ポーラス層を形成する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ホルダは、前記第1基板を前記陽極と前記陰極との間に保持する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ホルダは、前記第1基板の前記第1面が前記陰極側を向き、前記第1基板の第2面が前記陽極側を向くように、前記第1基板を保持する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記ポーラス層は、前記第1基板の前記第1面に設けられた第1層をポーラス化することで形成される、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記気泡供給部は、前記ポーラス層の形成時に発生し前記第1基板に付着した第2気泡を、前記第1気泡により前記第1基板から脱離させるように、前記第1気泡を供給する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記第2気泡は、前記第1気泡と合体または衝突することで、前記第1基板から脱離させる、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記第2気泡は、水素ガスを含む、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記第1気泡は、空気、水素ガス、窒素ガス、または希ガスを含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記気泡供給部は、開口部を有する管を含み、前記管の前記開口部から前記基板処理液内に前記第1気泡を発生させる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記管は、前記処理槽内に配置されている、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記管は、前記ホルダに対し前記陰極側に配置されている、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記管は、前記ホルダにより保持された前記第1基板の下端付近の前記開口部から前記第1気泡を発生させる、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記気泡供給部は、前記第1気泡が前記基板処理液内を上昇することで前記第1基板の前記第1面に到達するように、前記基板処理液内に前記第1気泡を供給する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記気泡供給部は、前記第1基板の前記第1面に向かって前記第1気泡を吐出することで、前記第1基板の前記第1面に前記第1気泡を供給する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項16】
基板処理液を処理槽内に収容し、
前記処理槽内でホルダにより第1基板を保持し、
前記ホルダにより保持された前記第1基板の第1面に、陽極および陰極によりポーラス層を形成する、
ことを含み、
前記ポーラス層は、気泡供給部から前記基板処理液内に第1気泡を供給して、前記第1基板の前記第1面に前記第1気泡を供給しながら形成される、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記陽極および前記陰極は、陽極化成法により前記ポーラス層を形成する、請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記ポーラス層は、前記第1基板の前記第1面に設けられた第1層をポーラス化することで形成される、請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記第1基板を、前記ポーラス層を挟むように第2基板と貼り合わせることをさらに含む、請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第1基板上に前記ポーラス層の第1部分が残存し、前記第2基板上に前記ポーラス層の第2部分が残存するように、前記第1基板と前記第2基板とを分離することをさらに含む、請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面にポーラス層を形成する際、種々の原因でポーラス層を好適に形成できない場合がある。例えば、液体中で基板の表面にポーラス層を形成する際、基板の表面に付着した気泡が、ポーラス層の形成を妨げる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-007362号公報
【特許文献2】特開2022-062909号公報
【特許文献3】特開2013-112880号公報
【特許文献4】特開2022-034881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板の表面にポーラス層を好適に形成可能な基板処理装置、および半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、基板処理装置は、基板処理液を収容する処理槽を備える。前記装置はさらに、前記処理槽内で第1基板を保持するホルダを備える。前記装置はさらに、前記ホルダにより保持された前記第1基板の第1面にポーラス層を形成する陽極および陰極を備える。前記装置はさらに、前記基板処理液内に第1気泡を供給して、前記第1基板の前記第1面に前記第1気泡を供給する気泡供給部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の基板処理装置の構造を示す断面図(1/3)である。
図2】第1実施形態の基板処理装置の構造を示す断面図(2/3)である。
図3】第1実施形態の基板処理装置の構造を示す断面図(3/3)である。
図4】第1実施形態の基板処理装置の構造を示す拡大断面図である。
図5】第1実施形態のバブラ管の形状を示す斜視図である。
図6】第1実施形態のバブラ管の形状を示す断面図である。
図7】第1実施形態の比較例の基板処理装置の構造を示す断面図である。
図8】第1実施形態と比較例とを比較するための断面図である。
図9】第1実施形態の第1変形例の基板処理装置の構造を示す断面図である。
図10】第1実施形態の第2変形例の基板処理装置の構造を示す断面図である。
図11】第2実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
図12】第2実施形態の半導体装置の構造を示す拡大断面図である。
図13】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/2)である。
図14】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/2)である。
図15】第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(1/5)である。
図16】第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(2/5)である。
図17】第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(3/5)である。
図18】第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(4/5)である。
図19】第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(5/5)である。
図20】第2実施形態の変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1図20において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1図3は、第1実施形態の基板処理装置101の構造を示す断面図である。
【0009】
基板処理装置101は、基板Wを処理する装置であり、例えば、陽極化成法により基板Wの表面にポーラス層を形成する陽極化成装置である。図1および図2は、基板処理装置101の異なる縦断面を示している。図3は、基板処理装置101の一部分を詳細に示している。
【0010】
図1図3は、互いに垂直なX方向、Y方向、およびZ方向を示している。この明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。さらに、Z方向に平行な方向を上下方向として取り扱い、Z方向に垂直な方向を水平方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向とは一致していなくてもよい。
【0011】
基板処理装置101は、外容器111と、内容器112と、隔壁113と、下部ホルダ121と、搬送ロボット122と、複数の加圧アーム123と、電極131と、電極132と、電気回路133と、切替回路134とを備えている。搬送ロボット122は、上部ホルダ122aと、吊り下げユニット122bと、移動機構122cとを備え、上部ホルダ122aは、上側ホルダ141と、左側ホルダ142と、右側ホルダ143と、複数の懸垂アーム144と、係止バー145とを備えている。下部ホルダ121、上側ホルダ141、左側ホルダ142、右側ホルダ143はそれぞれ、弾性部材121a、141a、142a、143aを備えている。
【0012】
図1および図2に示すように、外容器111内には内容器112が配置されており、内容器112内には隔壁113が配置されている。その結果、内容器112は、隔壁113内の内槽T1と、隔壁113と内容器112との間の外槽T2と、を含む貯留槽Tを形成している。貯留槽Tは、電解質溶液を貯留している。電解質溶液は、不図示の秤量槽から内槽T1に供給され、隔壁113の上方を通って内槽T1から溢れた電解質溶液は、外槽T2で回収される。内槽T1は、複数の基板Wを収容可能である。これらの基板Wの平面形状は、例えば円形または四角形である。図1に例示する基板Wの平面形状は、四角形となっている。貯留槽T、電解質溶液、および基板Wはそれぞれ、処理槽、基板処理液、および第1基板の例である。
【0013】
下部ホルダ121は、内槽T1内に配置されている。下部ホルダ121は、搬送ロボット122の上部ホルダ122aと共に、内槽T1内で複数の基板Wを保持する。上部ホルダ122aは、図3に示すように、上側ホルダ141と、左側ホルダ142と、右側ホルダ143とを備えている。各基板Wは、下部ホルダ121、上側ホルダ141、左側ホルダ142、および右側ホルダ143により挟まれて保持される。各基板Wは、弾性部材121a、141a、142a、143aと接するようにして、下部ホルダ121、上側ホルダ141、左側ホルダ142、および右側ホルダ143により保持される。
【0014】
搬送ロボット122は、上部ホルダ122aと、上部ホルダ122aを吊り下げる吊り下げユニット122bと、吊り下げユニット122bを移動させる移動機構122cとを備えている。搬送ロボット122は、吊り下げユニット122bおよび移動機構122cにより、上部ホルダ122aを上下方向および水平方向に移動させることができる。吊り下げユニット122bは、懸垂アーム144および係止バー145を用いて、上側ホルダ141、左側ホルダ142、および右側ホルダ143を移動させることができる。
【0015】
加圧アーム123は、上側ホルダ141を下向きに押圧する。これにより、下部ホルダ121は、左側ホルダ142および右側ホルダ143を介して、上側ホルダ141により押圧される。
【0016】
電極131、132は、内槽T1内に配置されており、下部ホルダ121および上部ホルダ122aにより保持されている各基板Wを電気的に処理するために使用される。各基板Wは、下部ホルダ121および上部ホルダ122aにより、内槽T1内で電極131と電極132との間に保持される。電極131、132は、下部ホルダ121および上部ホルダ122aにより保持されている複数の基板Wを同時に処理することができる(バッチ処理)。例えば、電極131が陽極で、電極132が陰極の場合には、各基板Wの電極132側の面に陽極化成法によりポーラス層を形成することができる。各基板Wの電極132側の面は、第1面の例であり、各基板Wの電極131側の面は、第2面の例である。各基板Wは、前者の面が電極132側を向き、後者の面が電極131側を向くように、下部ホルダ121および上部ホルダ122aにより保持される。
【0017】
電気回路133は、電極131と電極132とに電圧を印加する。電気回路133は例えば、電極131と電極132とに直流(DC)電圧を印加する直流電源を備えている。
【0018】
切替回路134は、電気回路133と電極131、132との間に配置されている。切替回路134は例えば、電気回路133から印加された直流電圧の極性を所定の周期で切り替えることができる。
【0019】
図4は、第1実施形態の基板処理装置101の構造を示す拡大断面図である。
【0020】
図4は、上述の内容器112、電極131、電極132、電気回路133、および貯留槽T(内槽T1)を示している。基板処理装置101はさらに、図4に示すように、ホルダ151と、バブラ管152と、電解液供給部153と、ガス供給部154と、制御部155とを備えている。バブラ管152は、複数の開口部152aを備えている。図4は、これらの開口部152aのうちの1つを示している。バブラ管152およびガス供給部154は、気泡供給部の例であり、バブラ管152は、管の例である。
【0021】
図4はさらに、内槽T1に収容された電解液Lを示している。電解液Lは、上述の電解質溶液に相当する。電解液Lは例えば、HF(フッ化水素)水溶液である。
【0022】
ホルダ151は、上述の下部ホルダ121および上部ホルダ122aにより構成されており、内槽T1内で複数の基板Wを保持する。図4は、これらの基板Wのうちの1つを示している。図1に例示する基板Wは、四角形の平面形状を有するのに対し、図4に例示する基板Wは、円形の平面形状を有している。図4に例示する基板Wは例えば、Si(シリコン)ウェハなどの半導体ウェハである。
【0023】
図4では、電極131が陽極であり、電極132が陰極であり、各基板Wの電極132側の面に陽極化成法によりポーラス層が形成される。ポーラス層は例えば、各基板Wの電極132側の面にあらかじめ形成された材料層をポーラス化することで形成される。材料層がポリシリコン層(半導体層)の場合には、ポーラス層はポーラスポリシリコン層(ポーラス半導体層)となる。材料層は、第1層の例である。一方、ポーラス層は例えば、各基板Wの電極132側の面付近で、各基板Wの一部をポーラス化することで、各基板W内に形成されてもよい。
【0024】
本実施形態では、ポーラス層を形成する際の陽極化成反応によりガスが発生し、このガスを含む気泡が電解液L内に発生する。このガスは、例えばH(水素)ガスである。陽極化成反応により発生した気泡が、図4に示すように基板Wに付着すると、この気泡が、ポーラス層の形成を妨げるおそれがある。理由は、この気泡が、上記材料層と電解液Lとの接触を妨げ、陽極化成反応を阻害するためと考えられる。その結果、ポーラス層の膜厚や空隙率(porosity)の面内均一性が悪化するおそれがある。この気泡は、第2気泡の例である。
【0025】
バブラ管152は、バブリング用の管であり、各開口部152aから電解液L内に気泡を発生させて、各基板Wの電極132側の面にこの気泡を供給する。図4に示すバブラ管152は、内槽T1内に配置されており、ホルダ151に対し電極132側に配置されている。そのため、図4に示すバブラ管152は、ホルダ151と電極132との間に配置されている。バブラ管152から発生する気泡は、図4では符号Bで示されている。バブラ管152から発生する気泡は、例えば空気、Hガス、N(窒素)ガス、または希ガスを含んでいる。希ガスは、例えばAr(アルゴン)ガスである。この気泡は、第1気泡の例である。
【0026】
図4では、基板Wの電極132側の面が、+Y方向を向いており、基板Wの電極131側の面が、-Y方向を向いている。さらには、バブラ管152が、X方向に延びており、開口部152aが、+Z方向(すなわち上)を向いている。図4では、バブラ管152やその開口部152aが、基板Wの上端および下端のうち、基板Wの下端付近に配置されている。そのため、開口部152aから電解液L内に供給された気泡は、電解液L内を上昇することで、基板Wの電極132側の面に到達する。本実施形態によれば、陽極化成反応により発生し基板Wに付着した気泡を、バブラ管152からの気泡により、基板Wから脱離させることが可能となる。
【0027】
基板Wに付着した気泡は、例えば、バブラ管152からの気泡と合体することで、基板Wから脱離する。この場合、合体後の気泡は、合体前の気泡よりも浮力が大きくなり、浮力により基板Wから脱離して、電解液Lの液面に到達すると考えられる。また、基板Wに付着した気泡は、例えば、バブラ管152からの気泡と衝突することで、基板Wから脱離する。この場合、基板Wに付着した気泡は、ビリヤードの玉のようにバブラ管152からの気泡により弾かれ、これにより基板Wから脱離して、電解液Lの液面に到達すると考えられる。なお、基板Wから気泡が脱離するメカニズムは、合体および衝突のいずれでもよいし、その他のメカニズムでもよい。
【0028】
本実施形態の基板処理装置101は、バブラ管152から電解液L内に気泡を供給しながら、電極131、132によりポーラス層を形成する。これにより、ポーラス層の形成時に発生し基板Wに付着した気泡を、バブラ管152からの気泡により、基板Wから脱離させることが可能となる。
【0029】
電解液供給部153は、貯留槽T内に電解液Lを供給する。本実施形態の電解液供給部153は、貯留槽Tから排出された電解液Lを再び貯留槽T内に供給することで、基板処理装置101内で電解液Lを循環させる。本実施形態では、電解液Lに、界面活性剤やアルコール(例:IPA)などの添加剤を添加しない。理由は、基板Wに付着した気泡を、添加剤の作用によらず、バブラ管152からの気泡により、基板Wから脱離させることが可能であるからである。
【0030】
ガス供給部154は、バブラ管152にガスを供給することで、バブラ管152から気泡を発生させる。このガスは例えば、電解液Lへの溶解度が低いことが望ましい。これにより、ガスが電解液Lに溶けてしまうことを抑制することが可能となる。また、このガスは例えば、陽極化成反応により発生するガスとの親和性が高くても低くてもよい。親和性を高くすることで、気泡同士の合体を起こしやすくすることが可能となる。親和性を低くすることで、気泡同士の衝突を起こしやすくすることが可能となる。
【0031】
制御部155は、基板処理装置101の種々の動作を制御する。例えば、制御部155は、電気回路133、ホルダ151、電解液供給部153、ガス供給部154などの動作を制御して、陽極化成法を実施する。
【0032】
図5は、第1実施形態のバブラ管152の形状を示す斜視図である。
【0033】
図5は、X方向に延びるバブラ管152と、バブラ管152に設けられた複数の開口部152aとを示している。バブラ管152は、X方向以外の方向に延びていてもよい。また、バブラ管152の開口部152aの個数は、いくつでもよい。また、バブラ管152の各開口部152aは、+Z方向以外の方向を向いていてもよいし、円形以外の形状を有していてもよい。また、バブラ管152は、内槽T1内を移動可能な開口部152aを有していてもよいし、内槽T1内で開閉可能な開口部152aを有していてもよい。また、バブラ管152は、内容器112、隔壁113、またはホルダ151の一部となっていてもよい。
【0034】
図6は、第1実施形態のバブラ管152の形状を示す断面図である。
【0035】
図6は、図5と同様に、X方向に延びるバブラ管152と、バブラ管152に設けられた複数の開口部152aとを示している。これらの開口部152aは、同じ基板Wの異なる箇所に気泡を供給するために使用される。なお、1枚の基板Wに気泡を供給する開口部152aの個数は、いくつでもよい。また、本実施形態の基板処理装置101は、N枚の基板WにN本のバブラ管152で気泡を供給してもよいし、N枚の基板Wに1本のバブラ管152で気泡を供給してもよい(Nは2以上の整数)。
【0036】
図7は、第1実施形態の比較例の基板処理装置101の構造を示す断面図である。
【0037】
比較例の基板処理装置101(図7)は、第1実施形態の基板処理装置101(図4)と同様の構造を有しているが、バブラ管152やガス供給部154は備えていない。そのため、図7では、陽極化成反応中の基板Wの表面に、陽極化成反応により発生した多数の気泡が付着している。
【0038】
図8は、第1実施形態と比較例とを比較するための断面図である。
【0039】
図8(a)は、比較例において、基板Wと、基板Wの表面に形成されたポーラス層PLとを示している。図8(a)のポーラス層PLは、基板Wの一部をポーラス化することで、基板W内に形成されている。図8(a)では、陽極化成反応により発生した気泡が、基板Wの表面に付着している。この気泡は、基板Wと電解液Lとの接触を妨げ、陽極化成反応を阻害する。その結果、図8(a)に示すように、ポーラス層PLの膜厚や空隙率の面内均一性が悪化してしまう。
【0040】
図8(b)は、第1実施形態において、基板Wと、基板Wの表面に形成されたポーラス層PLとを示している。図8(b)のポーラス層PLも、基板Wの一部をポーラス化することで、基板W内に形成されている。本実施形態では、バブラ管152が、各開口部152aから電解液L内に気泡を発生させて、基板Wの表面にこの気泡を供給する。よって、本実施形態によれば、陽極化成反応により発生し基板Wに付着した気泡を、バブラ管152からの気泡により、基板Wから脱離させることが可能となる。これにより、図8(b)に示すように、ポーラス層PLの膜厚や空隙率の面内均一性を向上させることが可能となる。
【0041】
なお、図8(a)および図8(b)を参照して説明した内容は、ポーラス層PLが、基板Wの表面にあらかじめ形成された材料層をポーラス化することで形成される場合にも適用可能である。
【0042】
図9は、第1実施形態の第1変形例の基板処理装置101の構造を示す断面図である。
【0043】
本変形例の基板処理装置101は、バブラ管152の代わりに、気泡生成部156を備えている。本変形例の気泡生成部156およびガス供給部154は、気泡供給部の例である。
【0044】
気泡生成部156は、バブラ管152と同様に、電解液L内に気泡を発生させて、基板Wの電極132側の面にこの気泡を供給する。この気泡は、例えば空気、Hガス、Nガス、または希ガスを含んでいる。気泡生成部156は例えば、管とは異なる形状を有し、気泡を発生させる開口部を有する部材である。
【0045】
図9では、気泡生成部156から電解液L内に供給された気泡が、電解液L内を上昇することで、基板Wの電極132側の面に到達する。本変形例によれば、陽極化成反応により発生し基板Wに付着した気泡を、気泡生成部156からの気泡により、基板Wから脱離させることが可能となる。
【0046】
図10は、第1実施形態の第2変形例の基板処理装置101の構造を示す断面図である。
【0047】
本変形例の基板処理装置101は、バブラ管152の代わりに、気泡吐出部157を備えている。本変形例の気泡吐出部157およびガス供給部154は、気泡供給部の例である。
【0048】
気泡吐出部157は、基板Wの電極132側の面に向かって気泡を吐出することで、基板Wの電極132側の面に気泡を供給する。この気泡は、例えば空気、Hガス、Nガス、または希ガスを含んでいる。気泡吐出部157は例えば、気泡を吐出するノズルである。
【0049】
本変形例によれば、陽極化成反応により発生し基板Wに付着した気泡を、気泡吐出部157からの気泡により、基板Wから脱離させることが可能となる。本変形例によれば、この気泡を、浮力の代わりに吐出により、基板Wに到達させることが可能となる。これにより、気泡吐出部157を、基板Wの下端付近以外に配置することが可能となる。
【0050】
以上のように、本実施形態の基板処理装置101は、バブラ管152などから電解液L内に気泡を発生させて、基板Wの表面にこの気泡を供給する。よって、本実施形態によれば、基板Wの表面にポーラス層PLを好適に形成することが可能となる。例えば、陽極化成反応により発生し基板Wに付着した気泡を、バブラ管152などからの気泡により、基板Wから脱離させることが可能となる。これにより、ポーラス層PLの膜厚や空隙率の面内均一性を向上させることが可能となる。
【0051】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。図11の半導体装置は、例えば3次元フラッシュメモリである。
【0052】
図11の半導体装置は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路を含む回路領域1と、メモリセルアレイを含むアレイ領域2とを備えている。メモリセルアレイは、データを記憶する複数のメモリセルを備え、CMOS回路は、メモリセルアレイの動作を制御する周辺回路を備えている。図11の半導体装置は例えば、後述するように、回路領域1を含む回路ウェハと、アレイ領域2を含むアレイウェハとを貼り合わせることで製造される。符号Sは、回路領域1とアレイ領域2との貼合面を示している。
【0053】
図11において、回路領域1は、基板11と、トランジスタ12と、層間絶縁膜13と、複数のコンタクトプラグ14と、複数の配線を含む配線層15と、ビアプラグ16と、金属パッド17とを備えている。図11は、配線層15内の複数の配線のうちの3本と、これらの配線下に設けられた3つのコンタクトプラグ14とを示している。基板11は、第2基板の例である。
【0054】
図11において、アレイ領域2は、層間絶縁膜21と、金属パッド22と、ビアプラグ23と、複数の配線を含む配線層24と、複数のコンタクトプラグ25と、積層膜26と、複数の柱状部27と、ソース層28と、絶縁膜29とを備えている。図11は、配線層24内の複数の配線のうちの1本と、この配線上に設けられた3つのコンタクトプラグ25および3つの柱状部27とを示している。
【0055】
さらに、積層膜26は、図11に示すように、複数の電極層31と、複数の絶縁層32とを含んでいる。各柱状部27は、メモリ絶縁膜33と、チャネル半導体層34と、コア絶縁膜35と、コア半導体層36とを含んでいる。ソース層28は、半導体層37と、金属層38とを含んでいる。
【0056】
以下、図11を参照して、本実施形態の半導体装置の構造を説明する。
【0057】
基板11は例えば、Si基板などの半導体基板である。トランジスタ12は、基板11上に順に形成されたゲート絶縁膜12aおよびゲート電極12bと、基板11内に形成された不図示のソース拡散層およびドレイン拡散層とを備えている。トランジスタ12は例えば、上述のCMOS回路を構成している。層間絶縁膜13は、基板11上に、トランジスタ12を覆うように形成されている。層間絶縁膜13は例えば、SiO膜(シリコン酸化膜)、または、SiO膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。
【0058】
コンタクトプラグ14、配線層15、ビアプラグ16、および金属パッド17は、層間絶縁膜13内に形成されている。具体的には、コンタクトプラグ14は、基板11上や、トランジスタ12のゲート電極12b上に配置されている。図11では、基板11上のコンタクトプラグ14が、トランジスタ12の不図示のソース拡散層およびドレイン拡散層上に設けられている。配線層15は、コンタクトプラグ14上に配置され、ビアプラグ16は、配線層15上に配置されている。金属パッド17は、基板11の上方において、ビアプラグ16上に配置されている。金属パッド17は例えば、Cu(銅)層を含む金属層である。
【0059】
層間絶縁膜21は、層間絶縁膜13上に形成されている。層間絶縁膜21は例えば、SiO膜、または、SiO膜とその他の絶縁膜とを含む積層膜である。
【0060】
金属パッド22、ビアプラグ23、配線層24、およびコンタクトプラグ25は、層間絶縁膜21内に形成されている。具体的には、金属パッド22は、基板11の上方において、金属パッド17上に配置されている。金属パッド22は例えば、Cu層を含む金属層である。ビアプラグ23は、金属パッド22上に配置され、配線層24は、ビアプラグ23上に配置されている。図11は、配線層24内の複数の配線のうちの1本を示しており、この配線は、例えばビット線として機能する。コンタクトプラグ25は、配線層24上に配置されている。
【0061】
積層膜26は、層間絶縁膜21上に設けられており、Z方向に交互に積層された複数の電極層31および複数の絶縁層32を含んでいる。電極層31は例えば、W(タングステン)層を含む金属層であり、ワード線として機能する。絶縁層32は例えば、SiO膜である。
【0062】
各柱状部27は、積層膜26内に設けられており、メモリ絶縁膜33、チャネル半導体層34、コア絶縁膜35、およびコア半導体層36を含んでいる。メモリ絶縁膜33は、積層膜26の側面に形成されており、Z方向に延びる管状の形状を有している。チャネル半導体層34は、メモリ絶縁膜33の側面に形成されており、Z方向に延びる管状の形状を有している。コア絶縁膜35とコア半導体層36は、チャネル半導体層34の側面に形成されており、Z方向に延びる棒状の形状を有している。具体的には、コア半導体層36がコンタクトプラグ25上に配置されており、コア絶縁膜35がコア半導体層36上に配置されている。
【0063】
メモリ絶縁膜33は、後述するように、例えばブロック絶縁膜、電荷蓄積層、およびトンネル絶縁膜を順に含んでいる。ブロック絶縁膜は、例えばSiO膜である。電荷蓄積層は、例えばSiN膜(シリコン窒化膜)である。トンネル絶縁膜は、例えばSiO膜またはSiON膜(シリコン酸窒化膜)である。チャネル半導体層34は、例えばポリシリコン層である。コア絶縁膜35は、例えばSiO膜である。コア半導体層36は、例えばポリシリコン層である。上述のメモリセルアレイ内の各メモリセルは、チャネル半導体層34、電荷蓄積層、電極層31などにより構成されている。
【0064】
各柱状部27内のチャネル半導体層34およびコア半導体層36は、コンタクトプラグ25、配線層24、およびビアプラグ23を介して金属パッド22に電気的に接続されている。よって、アレイ領域2内のメモリセルアレイは、金属パッド22や金属パッド17を介して、回路領域1内の周辺回路と電気的に接続されている。これにより、メモリセルアレイの動作を周辺回路により制御することが可能となる。
【0065】
ソース層28は、積層膜26および柱状部27上に順に形成された半導体層37および金属層38を含んでおり、ソース線として機能する。本実施形態では、各柱状部27のチャネル半導体層34がメモリ絶縁膜33から露出しており、半導体層37がチャネル半導体層34上に直接形成されている。さらには、金属層38が半導体層37上に直接形成されている。よって、ソース層28が、各柱状部27のチャネル半導体層34およびコア半導体層36に電気的に接続されている。半導体層37は例えば、ポリシリコン層である。金属層38は例えば、W層、Cu層、またはAl(アルミニウム)層を含んでいる。
【0066】
絶縁膜29は、ソース層28上に形成されている。絶縁膜29は例えば、SiO膜である。
【0067】
図12は、第2実施形態の半導体装置の構造を示す拡大断面図である。
【0068】
図12は、積層膜26内に含まれる3つの電極層31および3つの絶縁層32と、積層膜26内に設けられた1つの柱状部27とを示している。この柱状部27内のメモリ絶縁膜33は、上述のように、積層膜26の側面に順に形成されたブロック絶縁膜33a、電荷蓄積層33b、およびトンネル絶縁膜33cを含んでいる。ブロック絶縁膜33aは、例えばSiO膜である。電荷蓄積層33bは、例えばSiN膜である。トンネル絶縁膜33cは、例えばSiO膜またはSiON膜である。
【0069】
一方、各電極層31は、バリアメタル層31aと、電極材層31bとを含んでいる。バリアメタル層31aは、例えばTiN膜(チタン窒化膜)である。電極材層31bは、例えばW層である。本実施形態の各電極層31は、図12に示すように、ブロック絶縁膜39を介して、上部の絶縁層32の下面、下部の絶縁層32の上面、およびブロック絶縁膜33aの側面に形成されている。ブロック絶縁膜39は例えば、Al膜(アルミニウム酸化膜)であり、ブロック絶縁膜33aと共に各メモリセルのブロック絶縁膜として機能する。
【0070】
図13および図14は、第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。本実施形態の半導体装置は、後述する回路ウェハW1とアレイウェハW2とを貼り合わせることで製造される。回路ウェハW1は、回路領域1を製造するために用いられ、アレイウェハW2は、アレイ領域2を製造するために用いられる。回路ウェハW1とアレイウェハW2は、円盤状の形状を有している。
【0071】
まず、アレイウェハW2用の基板41を用意する(図13(a))。基板41は例えば、Si基板などの半導体基板である。基板41は、第1実施形態の基板Wに相当する。基板41は、第1基板の例である。
【0072】
次に、基板41上にポーラス層(多孔質層)42を形成する(図13(b))。ポーラス層42は例えば、ポーラスポリシリコン層などのポーラス半導体層である。ポーラス層42は例えば、ポーラス層42を形成するための材料層を基板41上に形成し、材料層に空孔を形成することで形成される。すなわち、ポーラス層42は、材料層をポーラス化(多孔質化)することで形成される。材料層がポリシリコン層(半導体層)の場合には、ポーラス層42はポーラスポリシリコン層(ポーラス半導体層)となる。材料層のポーラス化は例えば、上述の基板処理装置101内に、材料層が形成された基板41をセットし、材料層に陽極化成法を適用することで行われる。これにより、材料層が陽極化成法によりポーラス層42に変化する。材料層は、第1層の例である。なお、ポーラス層42は、基板41内に形成されてもよいし、基板41上に他の層を介して形成されてもよい。
【0073】
次に、ポーラス層42上にキャップ絶縁膜43を形成する(図13(c))。キャップ絶縁膜43は、ポーラス層42上に形成された絶縁膜43aと、絶縁膜43a上に形成された絶縁膜43bとを含んでいる。絶縁膜43aは例えば、SiO膜である。絶縁膜43bは例えば、SiN膜である。
【0074】
次に、キャップ絶縁膜43上に絶縁膜44を形成する(図14(a))。絶縁膜44は、例えばSiO膜である。
【0075】
次に、絶縁膜44上に積層膜26および層間絶縁膜21を順に形成する(図14(b)および図14(c))。積層膜26および層間絶縁膜21の詳細は、図11を参照して前述した通りである。図14(b)および図14(c)は、積層膜26および層間絶縁膜21の構造を、模式的に示している。図14(b)および図14(c)に示す工程や、その後の工程については、図15図19を参照して後述する。
【0076】
図15図19は、第2実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図である。
【0077】
図15(a)~図16(b)は、図14(b)および図14(c)に示す工程の詳細を示している。まず、キャップ絶縁膜43上に絶縁膜44を形成し、絶縁膜44上に積層膜26’を形成する(図15(a))。積層膜26’は、リプレイス処理により積層膜26を形成するための膜である。積層膜26’は、複数の犠牲層31’と複数の絶縁層32とを交互に含むように形成される。犠牲層31’は、例えばSiN膜である。
【0078】
次に、積層膜26’および絶縁膜44を貫通する複数のメモリホールH1を形成し、各メモリホールH1内にメモリ絶縁膜33、チャネル半導体層34、およびコア絶縁膜35を順に形成する(図15(a))。その結果、これらのメモリホールH1内に、Z方向に延びる複数の柱状部27が形成される。メモリ絶縁膜33は、各メモリホールH1内にブロック絶縁膜33a、電荷蓄積層33b、およびトンネル絶縁膜33cを順に形成することで形成される(図12参照)。
【0079】
次に、積層膜26’および柱状部27上に絶縁膜45を形成する(図15(a))。絶縁膜45は、例えばSiO膜である。
【0080】
次に、絶縁膜45および積層膜26’を貫通するスリット(図示せず)を形成し、スリットを用いたウェットエッチングにより犠牲層31’を除去する(図15(b))。その結果、積層膜26’内の絶縁層32間に複数の空洞H2が形成される。
【0081】
次に、スリットからこれらの空洞H2内に複数の電極層31を形成する(図16(a))。その結果、複数の電極層31と複数の絶縁層32とを交互に含む積層膜26が、絶縁膜44と絶縁膜45との間に形成される(リプレイス処理)。さらに、基板41の上方に、上記複数の柱状部27が積層膜26を貫通する構造が形成される。なお、各空洞H2内に電極層31を形成する際には、各空洞H2内にブロック絶縁膜39、バリアメタル層31a、および電極材層31bが順に形成される(図12参照)。
【0082】
次に、絶縁膜45を除去し、各柱状部27内のコア絶縁膜35の一部を除去し、コア絶縁膜35の一部が除去された領域にコア半導体層36を埋め込む(図16(b))。その結果、各柱状部27は、メモリ絶縁膜33、チャネル半導体層34、コア絶縁膜35、およびコア半導体層36を含む構造に加工される。
【0083】
次に、積層膜26および柱状部27上に層間絶縁膜21、金属パッド22、ビアプラグ23、配線層24、および複数のコンタクトプラグ25を形成する(図16(b))。この際、これらのコンタクトプラグ25は、それぞれ対応する柱状部27のコア半導体層36上に形成され、配線層24、ビアプラグ23、および金属パッド22は、これらのコンタクトプラグ25上に順に形成される。なお、図16(b)は、図14(c)に示す状態と同じ状態を示している。
【0084】
図17(a)は、回路ウェハW1とアレイウェハW2とを貼り合わせる工程(貼合工程)を示している。図17(a)に示す回路ウェハW1は、基板11を用意し、基板11上にトランジスタ12、層間絶縁膜13、複数のコンタクトプラグ14、配線層15、ビアプラグ16、および金属パッド17を形成することで製造される(図11参照)。この際、トランジスタ12は基板11上に形成され、これらのコンタクトプラグ14は、基板11上やトランジスタ12上に形成される。さらに、配線層15、ビアプラグ16、および金属パッド17は、これらのコンタクトプラグ14上に順に形成される。
【0085】
次に、アレイウェハW2の向きを反転させ、回路ウェハW1とアレイウェハW2とを機械的圧力により貼り合わせる(図17(a))。その結果、層間絶縁膜13と層間絶縁膜21が接着される。次に、回路ウェハW1とアレイウェハW2とをアニールする(図17(a))。その結果、金属パッド17と金属パッド22が接合される。こうして、基板11と基板41とが、層間絶縁膜13、21、積層膜26、絶縁膜44、キャップ絶縁膜43、およびポーラス層42を挟むように貼り合わされ、基板11の上方に基板41が積層される。各金属パッド22は、対応する金属パッド17上に配置される。
【0086】
次に、ブレードやウォータージェットにより、アレイウェハW2に対し物理的な力Fを加える(図17(b))。例えば、ポーラス層42の断面に力Fを加える。その結果、ポーラス層42が破断される。これにより、基板11と基板41とを分離することができる(図18(a))。図17(a)および図18(a)では、ポーラス層42の断面に力Fが加えられ、ポーラス層42が破断されたため、基板11と基板41とが、ポーラス層42の位置で分離されている。その結果、ポーラス層42の一部が基板41の表面に残存しており、ポーラス層42の残部が基板11の表面に残存している。さらに、上述のメモリセルアレイやCMOS回路も、基板11の表面に残存している。ポーラス層42は、基板41側の部分と、基板11側の部分とに分割されている。前者の部分は第1部分の例であり、後者の部分は第2部分の例である。ポーラス層42は、基板41を基板11から分離(剥離)するための分離層(剥離層)として機能する。
【0087】
本実施形態のポーラス層42は、多数のボイドを含んでいるため、割れやすくなっている。よって、ポーラス層42に力Fを加えることで、ポーラス層42を破断させることができる。なお、基板11と基板41は、ポーラス層42の代わりにまたはポーラス層42と共に、ポーラス層42以外の材料(例えばキャップ絶縁膜43)が破断されることで分離されてもよい。この場合、力Fはこの材料に加えられてもよい。
【0088】
本実施形態では、基板41を削るのではなく、基板41を基板11から剥がすことで、基板11の上方の基板41を除去する。これにより、基板41にダメージが加わることを抑制することが可能となり、基板41を再利用(リユース)することが可能となる。本実施形態では、基板11と基板41とを分離した後、基板41の表面に残存するポーラス層42などを除去し、基板41を図17(a)に示す貼合工程に再利用する。これにより、何枚もの基板41を使用する無駄を回避することが可能となる。なお、ポーラス層42への力Fは、ブレードのように機械的に加えられてもよいし、ウォータージェットのように流体的に加えられてもよいし、その他の態様で加えられてもよい。
【0089】
次に、基板11の上方のポーラス層42およびキャップ絶縁膜43を除去する(図18(b))。その結果、絶縁膜44や各柱状部27が、基板11の上方に露出する。図18(b)に示す工程は、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)またはエッチングにより行われる。図18(b)の工程ではさらに、基板11をCMPまたはエッチングにより薄膜化してもよい。
【0090】
次に、絶縁膜44や、各柱状部27のメモリ絶縁膜33の一部を、エッチングにより除去する(図19(a))。メモリ絶縁膜33の除去される部分は、例えば積層膜26から露出している部分である。その結果、各柱状部27のチャネル半導体層34の一部が、積層膜26より高い位置において、メモリ絶縁膜33から露出する。
【0091】
次に、積層膜26および柱状部27上に、半導体層37、金属層38、および絶縁膜29を順に形成する(図19(b))。その結果、ソース層28が、各柱状部27のチャネル半導体層34上に形成され、各柱状部27のチャネル半導体層34に電気的に接続される。
【0092】
その後、回路ウェハW1およびアレイウェハW2が複数のチップに切断される。これらのチップは、各チップが回路領域1とアレイ領域2とを含むように切断される。このようにして、図11の半導体装置が製造される。
【0093】
なお、本実施形態の半導体装置は、図11に示す状態で販売されてもよいし、図16(b)または図17(a)に示す状態で販売されてもよい。
【0094】
図20は、第2実施形態の変形例の半導体装置の構造を示す断面図である。図11図19(b)を参照して説明した半導体装置は、図11に示す構造を有する代わりに、図20に示す構造を有していてもよい。
【0095】
本変形例の半導体装置は、第2実施形態の半導体装置と同様に、回路領域1と、アレイ領域2とを備えている。回路領域1は、図11に示す構成要素に加え、配線層15とビアプラグ16とを電気的に接続している配線層15’、15”を備えている。アレイ領域2は、図11に示す構成要素に加え、ビアプラグ23と配線層24とを電気的に接続している配線層24’を備えている。配線層15’15”、24’の各々は、配線層15や配線層24と同様に、複数の配線を含んでいる。
【0096】
図20は、積層膜26内の複数のワード線WL(電極層31)や、積層膜26を貫通している複数の柱状部27や、積層膜26の階段構造部51を示している。各ワード線WLは、階段構造部51にて、コンタクトプラグ52を介してワード配線層53と電気的に接続されている。各柱状部27は、コンタクトプラグ25を介してビット線BLと電気的に接続されており、かつソース層28と電気的に接続されている。本変形例のワード配線層53とビット線BLは、配線層24に含まれている。
【0097】
アレイ領域2はさらに、配線層24上に設けられた複数のビアプラグ61と、これらのビアプラグ61や絶縁膜29上に設けられた金属パッド62と、金属パッド62や絶縁膜29上に設けられたパッシベーション膜63とを備えている。パッシベーション膜63は例えば、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などを含む積層絶縁膜であり、金属パッド62の上面を露出させる開口部Pを有している。金属パッド62は、本変形例の半導体装置の外部接続パッドであり、半田ボール、金属バンプ、ボンディングワイヤなどを介して実装基板や他の装置に接続可能である。
【0098】
以上のように、本実施形態の半導体装置は、第1実施形態の基板処理装置101により形成されるポーラス層42を用いて製造される。よって、本実施形態によれば、基板41の表面にポーラス層42を好適に形成することが可能となる。さらに、本実施形態によれば、基板41を基板11から剥がすことで、基板41を再利用することが可能となる。
【0099】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0100】
1:回路領域、2:アレイ領域、
11:基板、12:トランジスタ、12a:ゲート絶縁膜、12b:ゲート電極、
13:層間絶縁膜、14:コンタクトプラグ、15:配線層、
15’:配線層、15”:配線層、16:ビアプラグ、17:金属パッド、
21:層間絶縁膜、22:金属パッド、23:ビアプラグ、
24:配線層、24’:配線層、25:コンタクトプラグ、26:積層膜、
26’:積層膜、27:柱状部、28:ソース層、29:絶縁膜、
31:電極層、31a:バリアメタル層、31b:電極材層、
31’:犠牲層、32:絶縁層、33:メモリ絶縁膜、
33a:ブロック絶縁膜、33b:電荷蓄積層、33c:トンネル絶縁膜、
34:チャネル半導体層、35:コア絶縁膜、36:コア半導体層、
37:半導体層、38:金属層、39:ブロック絶縁膜、
41:基板、42:ポーラス層、43:キャップ絶縁膜、
43a:絶縁膜、43b:絶縁膜、44:絶縁膜、45:絶縁膜、
51:階段構造部、52:コンタクトプラグ、53:ワード配線層、
61:ビアプラグ、62:金属パッド、63:パッシベーション膜、
101:基板処理装置、111:外容器、112:内容器、113:隔壁、
121:下部ホルダ、121a:弾性部材、122:搬送ロボット、
122a:上部ホルダ、122b:吊り下げユニット、
122c:移動機構、123:加圧アーム、
131:電極、132:電極、133:電気回路、134:切替回路、
141:上側ホルダ、141a:弾性部材、142:左側ホルダ、
142a:弾性部材、143:右側ホルダ、143a:弾性部材、
144:懸垂アーム、145:係止バー、
151:ホルダ、152:バブラ管、152a:開口部、153:電解液供給部、
154:ガス供給部、155:制御部、156:気泡生成部、157:気泡吐出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20