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  • 特開-圧縮機の支持構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013038
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】圧縮機の支持構造
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
F04B39/00 106A
F04B39/00 102Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114941
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小和田 芳夫
(72)【発明者】
【氏名】戸部 隆久
(72)【発明者】
【氏名】狩野 靖明
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA01
3H003AB01
3H003AC03
3H003BB06
3H003CD01
3H003CF02
(57)【要約】
【課題】圧縮機の支持構造において、圧縮機本体の上端側の振れを効果的に抑止すると共に、圧縮機本体の上端部に接続される電源コネクタの外れを防止する。
【解決手段】圧縮機の支持構造は、圧縮機本体に設けられた脚部を、弾性部材を介して台板に固定することで、圧縮機を支持する構造であって、圧縮機本体の上部には、電源コネクタが接続され、圧縮機本体には、電源コネクタを覆うカバー部材が装着されており、脚部を台板に固定する固定部材によって、カバー部材が固定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機本体に設けられた脚部を、弾性部材を介して台板に固定することで、圧縮機を支持する構造であって、
前記圧縮機本体の上部には、電源コネクタが接続され、前記圧縮機本体には、前記電源コネクタを覆うカバー部材が装着されており、
前記脚部を台板に固定する固定部材によって、前記カバー部材が固定されていることを特徴とする圧縮機の支持構造。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記脚部に対応する位置に張り出す固定片を備え、
前記固定部材は、前記脚部と前記固定片を同軸上にて固定することを特徴とする請求項1に記載された圧縮機の支持構造。
【請求項3】
前記脚部と前記固定片との間にカラー部材を介在させることを特徴とする請求項2に記載された圧縮機の支持構造。
【請求項4】
前記カバー部材の固定位置を前記圧縮機本体における重心の高さ位置付近としたことを特徴とする請求項1に記載された圧縮機の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機の支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空調装置などに装備される圧縮機は、防振機能を有する支持構造を備えている。従来、圧縮機の支持構造としては、圧縮機本体を台板に固定する際に、圧縮機本体から水平面上3方向に脚部を突出させ、弾性部材を介してこの脚部を台板にボルト止めなどで固定している(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-70777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の圧縮機における支持構造は、圧縮機本体の上下方向の下端側を台板に固定支持するものであり、弾性部材を介在させることで振動防止や騒音防止を図っている。しかしながら、この支持構造によると、圧縮機本体の上下方向の上端側が自由端になっているので、圧縮機本体の上端側の振れを効果的に抑止することができない。特に、圧縮機本体の重心位置が台板への支持部から離れる縦型の圧縮機においては、圧縮機本体の上端側の振れは構造上より顕著になる。
【0005】
このように、圧縮機本体の上端側に振れが生じると、圧縮機本体を備える空調装置では、圧縮機本体に接続されている冷媒配管に負荷が加わることになり、この負荷で冷媒配管の接続部などで破損や外れなどが生じると、冷媒回路が機能不全を起こすことになる。このため、空調装置においては、圧縮機本体の振れを抑止して、冷媒回路を安定動作させることが望まれている。
【0006】
また、圧縮機本体の上端部には、電源コネクタが接続される場合がある。この場合、圧縮機本体の上端側に振れが生じると、その振れによって電源コネクタが外れてしまう不具合が生じ易くなる。
【0007】
本発明は、このような事情に対処するために提案されたものであり、圧縮機の支持構造において、圧縮機本体の上端側の振れを効果的に抑止すると共に、圧縮機本体の上端部に接続される電源コネクタの外れを抑止すること、が本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、本発明による圧縮機の支持構造は、以下の構成を具備するものである。
圧縮機本体に設けられた脚部を、弾性部材を介して台板に固定することで、圧縮機を支持する構造であって、前記圧縮機本体の上部には、電源コネクタが接続され、前記圧縮機本体には、前記電源コネクタを覆うカバー部材が装着されており、前記脚部を台板に固定する固定部材によって、前記カバー部材が固定されていることを特徴とする圧縮機の支持構造。
【発明の効果】
【0009】
このような特徴を備えた本発明は、圧縮機の支持構造において、圧縮機本体の上端側の振れを効果的に抑止すると共に、圧縮機本体の上端部に接続される電源コネクタの外れを抑止することができる。これによって、圧縮機本体を備える冷媒回路の安定動作を可能にし、安定動作可能な冷媒回路を有する空調装置を円滑且つ静粛に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る圧縮機の支持構造の一例を示す説明図(側面図)。
図2】本発明の実施形態に係る圧縮機の支持構造の一例を示す説明図(平面図)。
図3】本発明の実施形態に係る圧縮機の支持構造の他の例(変形例)を示す説明図(側面図)。
図4】本発明の実施形態に係る圧縮機の支持構造の他の例(変形例)を示す説明図(側面図)。
図5】本発明の実施形態に係る圧縮機の支持構造の他の例(変形例)を示す説明図(側面図)。
図6】本発明の実施形態に係る圧縮機の支持構造を備える空調装置を示した説明図(左側面図)。
図7】本発明の実施形態に係る圧縮機の支持構造を備える空調装置を示した説明図(右側面図)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0012】
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係る圧縮機の支持構造1は、圧縮機本体10が自身を台板100に固定するための脚部11を有している。脚部11は、水平面上に等間隔で複数突出(図示の例では、3方向に等間隔で突出)しており、脚部11と台板100との間にはゴム材又はバネ材などの弾性部材12が介在されている。
【0013】
また、圧縮機本体10の上端部には、電源コネクタ20が接続されている。電源コネクタ20は、図示省略した電源に一端が接続された電源ケーブル21の端部に設けられ、圧縮機本体10の上端部に設けられる接続端子13に接続されている。
【0014】
この電源コネクタ20を覆うように、圧縮機本体10の上部にはカバー部材30が装着されている。カバー部材30は、圧縮機本体10に接続される配管(冷媒配管)14が貫通する孔部31を有すると共に、前述した電源ケーブル21が貫通する孔部32を有している。カバー部材30は、自身を固定するための固定片33を有しており、この固定片33を介して、圧縮機本体10の脚部11を台板100に固定する固定部材40によって、カバー部材30が台板100に固定されている。
【0015】
図1及び図2に示した例では、固定部材40は、鉛直方向に沿って延びる長尺なボルト41と、ボルト41に螺合するナット42と、ボルト41に挿通されるカラー43を有している。図示の支持構造1においては、ボルト41は、頭部が台板100内に埋め込み支持又は固定されており、ボルト41の先端部を上にしてネジ部が台板100に対して立設されている。これに対して、台板100と圧縮機本体10の脚部11との間に弾性部材12を介在させて、脚部11と固定片33の間にカラー43を介在させ、脚部11と固定片33に対して同軸上に挿通されたボルト41のネジ部に、固定片33の上からナット42をねじ込んでいる。これにより、固定部材40は、脚部11と固定片33を同軸上にて固定している。
【0016】
この際、ナット42に対しては、図示省略したワッシャやスプリングワッシャを介在させるか、或いはダブルナットなどを採用することで、周知の緩み止め機能を付加することができる。
【0017】
これによると、圧縮機本体10の下部は、自身の脚部11を介して固定部材40に固定され、圧縮機本体10の上部は、カバー部材30の固定片33を介して固定部材40に固定されることになる。これによると、複数の固定部材40によって圧縮機本体10の下部と上部が台板100に固定されることになるので、圧縮機本体10の上端側の振れを効果的に抑えることができる。
【0018】
また、カバー部材30は、圧縮機本体10の上端部に接続される電源コネクタ20を覆うように、圧縮機本体10の上部に固定されるので、電源コネクタ20は常時圧縮機本体10に向けて押さえ付けられる状態になり、電源コネクタ20の外れを効果的に抑止することができる。
【0019】
ここで、カバー部材30は、圧縮機本体10の上部に対して固定的に装着されるが、実際上はカバー部材30の内部にスポンジ等の緩衝部材を介在させて装着することで、圧縮機本体10とカバー部材30とのがたつきや衝撃音を抑制することができる。
【0020】
そして、このような支持構造1において、圧縮機本体10の重心Gの高さ位置付近にカバー部材30の固定位置(固定片33の位置)を設けると、より効果的に圧縮機本体10の振れを抑止することができ、また、電源コネクタ20の外れを効果的に抑止することができる。
【0021】
図3に示した例は、図1及び図2に示した例の変形例であり、圧縮機本体10に接続される配管14が側方に延びている。この場合には、図示の様に、カバー部材30は、孔部31に替えて切り欠き部34を設けることで、配管14を引き出すことができる。なお、電源ケーブル21ついても同様の切り欠き部によって引き出しを行うことができる。
【0022】
図4に示した例は、前述した例の変形例である。この例では、カバー部材30の固定片33にネジ構造(雌ネジ)を設けて、これに直接ボルト41をねじ込むことでナット42を省いている。この場合、固定片33は、雌ネジを有効に設けるための厚さtが有している。
【0023】
図5に示した例も、前述した例の変形例である。この例では、脚部11に対してもナット42による固定を行うことでカラー43を省いている。この場合も、前述したように、ナット42に対して、図示省略したワッシャやスプリングワッシャを介在させるか、或いはダブルナットなどを採用することで、周知の緩み止め機能を付加することができる。
【0024】
図6及び図7は、前述した圧縮機の支持構造を具備した空調装置101を示している。空調装置101は、前述した圧縮機本体10に加えて、加熱器(凝縮器)110と冷却器(蒸発器)130と減圧器150を設けることで冷媒回路を構成しており、冷却器130に対して第1送風機140を配備し、加熱器110に対して第2送風機120を配備している。また、圧縮機本体10や送風機(第1送風機140と第2送風機120)を制御する制御装置160を備えている。
【0025】
空調装置101の図示省略した筐体内には、台板100上に圧縮機本体10、加熱器(凝縮器)110、及び第2送風機120を配置し、これらの鉛直方向上側に冷却器(蒸発器)130、第1送風機140、減圧器150、制御装置160を配置していることで、空調装置101は、コンパクトな構造の携帯可能な小型ユニットになっている。
【0026】
このようなコンパクトな構造にするために、冷却器130を通過する空気の流通方向と直交する方向、かつ、冷却器130の水平方向(正面視で左右方向)において、冷却器130の一方側(正面視で左側)に減圧器150を配置し、冷却器130の他方側(正面視で右側)、かつ、冷却器130の鉛直方向下方側に圧縮機本体10を配置している。また冷却器130の他方側(圧縮機本体10の鉛直方向上側)に制御装置160を配置している。なお、圧縮機本体10の前方にはアキュームレータ111が配置されている。
【0027】
そして、台板100上には、正面視で加熱器110の右側に圧縮機本体10、加熱器110の前方側に第2送風機120が配置されている。加熱器110の鉛直方向上側かつ加熱器110よりもやや前方側に、鉛直方向において加熱器110と部分的に重なるように冷却器130が配置されている。正面視で、冷却器130の左側に減圧器150が、右側に制御装置160がそれぞれ配置され、冷却器130の背面側には第1送風機140が配置されている。
【0028】
また、冷却器130の上面には、冷却器130の一方側(正面視で左側)、すなわち、減圧器150側に、減圧器150を通過した冷媒を冷却器130に流入させる冷媒流入口131が設けられている。また、冷却器130の上面において、冷媒流入口131より後方側に、冷却器130を通過して圧縮機本体10に戻る冷媒の冷媒流出口132が設けられている。
【0029】
つまり、冷却器130において、冷媒流入口131は、冷却器130の上面から冷媒が流入するように設けられ、冷媒流出口132は、冷却器130の上面から冷媒が流出するように設けられている。冷媒流出口132と圧縮機本体10とは冷媒配管94によって接続されている。冷媒配管94は、冷媒流出口132から、制御装置160の背面側に引き回された後に制御装置160の下側を通って圧縮機本体10の前方側に接続される。
【0030】
加熱器110の上面には、加熱器110の一方側(正面視で左側)、かつ、加熱器110の後方側に、圧縮機本体10から吐出された高圧冷媒を流入させる冷媒流入口112が設けられている。また、加熱器110の上面において、冷媒流入口112より前方側に、加熱器110を通過して減圧器150へ向かって流出する冷媒流出口113が設けられている。
【0031】
つまり、加熱器110において、冷媒流入口112は、加熱器110の上面から冷媒が流入するように設けられ、冷媒流出口113は、加熱器110の上面から冷媒が流出するように設けられている。圧縮機本体10と加熱器110の冷媒流入口112とは冷媒配管91によって接続され、冷媒流出口113と減圧器150とは冷媒配管92によって接続され、減圧器150と冷却器130の冷媒流入口131とは冷媒配管93によって接続されている。冷媒配管92及び冷媒配管93はいずれも、冷却器130に対して減圧器150側に位置している。
【0032】
このような空調装置101において、冷媒は、圧縮機本体10によって圧縮されて高圧のガス冷媒となって吐出され、高圧のガス冷媒は、冷媒配管91を通過して冷媒流入口112を介して加熱器110に流入し、第2送風機120から送風されて加熱器110を通過する空気と熱交換することにより放熱する。
【0033】
加熱器110の冷媒流出口113から流出した高圧冷媒は、冷媒配管92を通過して減圧器150に流入し、減圧器150によって減圧されて膨張し、低圧冷媒となる。減圧器150において低圧になった冷媒は、冷媒配管93を通過して冷媒流入口131から冷却器130に流入する。冷却器130に流入した低圧冷媒は、第1送風機140によって送風されて冷却器130を通過する空気と熱交換することにより吸熱し、冷却器130の冷媒流出口132を介して流出する。冷却器130を流出した冷媒は、冷媒配管94を流れ、アキュームレータ111を介して圧縮機本体10へ戻る。圧縮機本体10に流入した冷媒は、再び圧縮され、上記循環を繰り返す。
【0034】
これに対して、第1送風機140は、冷却器130の空気流通方向の上流側に配置され、図示省略した筐体の背面に設けられた吸込口から取り込んだ空気を、冷却器130に送風する。第1送風機140から冷却器130に送風された空気は、冷却器130を通過する過程で冷媒に吸熱されて冷却される。冷却された空気は、図示省略した筐体の吹出口から冷風として吹き出される。
【0035】
第2送風機120は、加熱器110の空気流通方向の上流側に配置され、図示省略した筐体の正面に設けられた吸込口から取り込んだ空気を、加熱器110に送風する。第2送風機120から加熱器110に送風された空気は、加熱器110を通過する過程で冷媒と熱交換し、図示省略した筐体の背面に設けられた不図示の排気口から流出する。
【0036】
このような空調装置101において、圧縮機本体10は、圧縮機本体10の下部とカバー部材30が装着された上部が固定部材40によって台板100に固定されているので、圧縮機本体10の振動・騒音や振れを抑止すると共に、圧縮機本体10の上端に接続される電源コネクタ20の外れを抑止することができる。これによると、圧縮機本体10に接続されている配管14とこれに接続される冷媒配管91等への負荷を抑制することができ、冷媒回路を安定動作させることができ、これにより、空調装置101の円滑且つ静粛な動作を実現することができる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1:支持構造,
10:圧縮機本体,11:脚部,12:弾性部材,13:接続端子,14:配管,
20:電源コネクタ,21:電源ケーブル,
30:カバー部材,31,32:孔部,33:固定片,34:切り欠き部,
40:固定部材,41:ボルト,42:ナット,43:カラー,
100:台板,101:空調装置,110:加熱器,130:冷却器,
150:減圧器,120:第2送風機,140:第1送風機,160:制御装置,
111:アキュームレータ,
112,131:冷媒流入口,113,132:冷媒流出口,
91,92,93,94:冷媒配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7