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特開2024-130383情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130383
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20230101AFI20240920BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G06Q10/00
H04Q9/00 301D
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040064
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 明日香
(72)【発明者】
【氏名】前川 智則
【テーマコード(参考)】
5K048
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5K048AA04
5K048BA08
5K048DA02
5K048EB06
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
5L010AA22
5L049AA22
(57)【要約】
【課題】調停処理に関する管理業務の負荷軽減を図る。
【解決手段】情報処理装置10の特定部18Bは、共有システム40に対する調停処理の設定に関する第1設定情報60に基づいて、共有システム40に対する第1制御命令の調停処理に用いる調停方法を少なくとも含む第2設定情報62を特定する。調停部18Dは、特定した第2設定情報62によって表される調停方法に基づいて、第1制御命令から共有システム40へ出力する第2制御命令を生成する調停処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有システムに対する調停処理の設定に関する第1設定情報に基づいて、前記共有システムに対する第1制御命令の調停処理に用いる調停方法を少なくとも含む第2設定情報を特定する特定部と、
特定した前記第2設定情報によって表される前記調停方法に基づいて、前記第1制御命令から前記共有システムへ出力する第2制御命令を生成する調停処理を実行する調停部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
複数のユーザ端末装置から前記共有システムに対する競合する前記第1制御命令を受信する第1受信制御部を備え、
前記特定部は、前記第1設定情報に基づいて、前記共有システムに対する競合する複数の前記第1制御命令の調停処理に用いる調停方法を少なくとも含む第2設定情報を特定し、
前記調停部は、
特定した前記第2設定情報によって表される前記調停方法に基づいて、競合する複数の前記第1制御命令から、前記共有システムへ出力する前記第2制御命令を生成する前記調停処理を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1設定情報を管理者端末装置から受信する第2受信制御部を備え、
前記特定部は、受信した前記第1設定情報に基づいて前記第2設定情報を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2設定情報は、
前記第1制御命令を受付ける第1期間、前記調停処理に要する第2期間、および前記共有システムに送信された前記第2制御命令の有効期間である第3期間、の少なくとも1つを含む期間項目の各々の値を含む、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1受信制御部は、
前記第2設定情報に含まれる前記期間項目の前記第1期間の間に受信した前記第1制御命令を、前記共有システムに対する競合する複数の前記第1制御命令として受信する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1受信制御部は、
前記第2設定情報に含まれる前記期間項目の前記第1期間の前回の終了タイミングから今回の前記第1期間の終了タイミングまでの間に受信した前記第1制御命令を、前記共有システムに対する競合する複数の前記第1制御命令として受信する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1受信制御部は、
前記第1期間の間、前記ユーザ端末装置から前記第1制御命令を受信し、
前記第1期間以外の期間、前記第1制御命令の受信を制限する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記特定部は、
前記第1設定情報が、第1設定情報の設定項目ごとに設定値を規定した情報である場合、前記第1設定情報を前記第2設定情報として特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記特定部は、
前記第1設定情報が、設定に関する希望情報を表した情報である場合、
前記希望情報に対応する前記調停方法を含む、前記第2設定情報を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記特定部は、
前記第1設定情報が設定項目および前記設定項目の設定値を自動設定することを表す自動設定要求情報である場合、
予め記憶した前記設定項目の各々に対する設定値を含む前記第2設定情報を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記調停方法は、
複数のユーザ端末装置による投票に応じた調停方法である投票調停、競合する複数の第1制御命令からランダムに1つの第1制御命令を特定するランダム調停、学習モデルを用いて調停する学習調停、くじ引きによって1つの第1制御命令を特定するくじ、勝敗によって1つの第1制御命令を特定する勝負、の少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記調停部は、
特定した前記第2設定情報によって表される前記調停方法が前記投票調停である場合、競合する複数の第1制御命令を含む投票要求情報を複数の前記ユーザ端末装置の各々へ送信制御し、
複数の前記ユーザ端末装置の各々から受信した投票結果情報に基づいて、競合する複数の前記第1制御命令から1つの前記第1制御命令を、前記第2制御命令として生成する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記投票要求情報は、
競合する複数の前記第1制御命令と、前記第1制御命令に応じて前記共有システムが制御されたときの影響情報と、を含む、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記投票要求情報は、
投票可能な残り時間情報を更に含む、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記調停部は、
特定した前記第2設定情報によって表される前記調停方法が、前記投票調停であり、前記投票結果情報によって最も投票数の多い1つの前記第1制御命令が特定可能である場合、該1つの前記第1制御命令を前記第2制御命令として生成する、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記第2設定情報は、
前記調停方法に応じて1つの前記第1制御命令が特定されない場合の決着方法を更に含み、
前記調停部は、
特定した前記第2設定情報によって表される前記調停方法が、前記投票調停であり、前記投票結果情報によって最も投票数の多い複数の前記第1制御命令を特定した場合、前記決着方法に応じて、該最も投票数の多い複数の前記第1制御命令から、前記第2制御命令を生成する、
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記調停部は、
特定した前記第2設定情報によって表される前記調停方法が、前記ランダム調停である場合、競合する複数の前記第1制御命令からランダムに選択した1つの前記第1制御命令を、前記第2制御命令として生成する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記調停部は、
特定した前記第2設定情報によって表される前記調停方法が学習モデルを用いて調停する前記学習調停である場合、環境情報を入力とし前記共有システムの予測設定値を出力とする前記学習モデルを用いて、調停対象の環境情報から予測設定値を取得し、
競合する複数の前記第1制御命令に含まれる設定値と、取得した前記予測設定値と、に応じて前記第2制御命令を生成する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記調停部は、
特定した前記第2設定情報によって表される前記調停方法が前記くじである場合、競合する複数の第1制御命令の各々の送信元のユーザ端末装置によるくじ引きにより決定した1つの前記第1制御命令を、前記第2制御命令として生成する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記調停部は、
特定した前記第2設定情報によって表される前記調停方法が前記勝負である場合、競合する複数の第1制御命令の各々の送信元のユーザ端末装置による勝負の勝敗により決定した1つの前記第1制御命令を、前記第2制御命令として生成する、
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項21】
前記第2制御命令を前記共有システムへ送信する送信制御部、
を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項22】
共有システムに対する調停処理の設定に関する第1設定情報に基づいて、前記共有システムに対する第1制御命令の調停処理に用いる調停方法を少なくとも含む第2設定情報を特定する特定ステップと、
特定した前記第2設定情報によって表される前記調停方法に基づいて、前記第1制御命令から前記共有システムへ出力する第2制御命令を生成する調停処理を実行する調停ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項23】
共有システムに対する調停処理の設定に関する第1設定情報に基づいて、前記共有システムに対する第1制御命令の調停処理に用いる調停方法を少なくとも含む第2設定情報を特定する特定ステップと、
特定した前記第2設定情報によって表される前記調停方法に基づいて、前記第1制御命令から前記共有システムへ出力する第2制御命令を生成する調停処理を実行する調停ステップと、
をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【請求項24】
情報処理装置と、前記情報処理装置と通信する共有システムと、を備えた情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記共有システムに対する調停処理の設定に関する第1設定情報に基づいて、前記共有システムに対する第1制御命令の調停処理に用いる調停方法を少なくとも含む第2設定情報を特定する特定部と、
特定した前記第2設定情報によって表される前記調停方法に基づいて、前記第1制御命令から前記共有システムへ出力する第2制御命令を生成する調停処理を実行する調停部と、
を備える情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空調、照明、電動ブラインドなどの共有システムを、複数のユーザ端末装置の各々から遠隔操作可能とするシステムが知られている。また、ユーザごとまたは操作機器ごとに優先レベルを予め設定および適宜更新し、複数のユーザまたは操作機器から競合する複数の制御命令が共有システムに対して送信された場合、予め設定された優先レベルに応じて1つの制御命令を特定する調停処理を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2016-500904号公報
【特許文献2】国際公開2022/034804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、予めユーザごとまたは操作機器ごとに優先レベルの設定および必要に応じて優先レベルの更新の必要があり、調停処理に関する管理業務の負荷が増大する場合があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、調停処理に関する管理業務の負荷軽減を図ることができる、情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の情報処理装置は、特定部と、調停部と、を備える。特定部は、共有システムに対する調停処理の設定に関する第1設定情報に基づいて、前記共有システムに対する第1制御命令の調停処理に用いる調停方法を少なくとも含む第2設定情報を特定する。調停部は、特定した前記第2設定情報によって表される前記調停方法に基づいて、前記第1制御命令から前記共有システムへ出力する第2制御命令を生成する調停処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】情報処理システムの模式図。
図2】表示画面の模式図。
図3】表示画面の模式図。
図4】第1設定情報の種類の模式図。
図5】表示画面の模式図。
図6】希望対応テーブルのデータ構成の模式図。
図7】初期値テーブルのデータ構成の模式図。
図8】表示画面の模式図。
図9】表示画面の模式図。
図10】調停処理の説明図。
図11】影響情報のデータ構成の模式図。
図12】学習データのデータ構成の模式図。
図13】第2制御命令のデータ構成の模式図。
図14】表示画面の模式図。
図15】情報処理の流れを示すフローチャート。
図16】調停処理の流れを示すフローチャート。
図17】ハードウェア構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、本実施形態の情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および情報処理システムを詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施形態の情報処理システム1つの一例の模式図である。
【0010】
情報処理システム1は、情報処理装置10と、管理者端末装置20と、ユーザ端末装置30と、共有システム40と、を備える。情報処理装置10と、管理者端末装置20と、ユーザ端末装置30と、共有システム40とは、ネットワークN等を介して有線通信または無線通信可能に構成されている。
【0011】
共有システム40は、遠隔操作の対象となる機器である。また、共有システム40は、複数のユーザが共同で使用する機器である。共有システム40は、例えば、所定空間に設置された空調、照明、電動ブラインド、等であるがこれらに限定されない。所定空間は、例えば、オフィス内の空間、店舗内の空間、などであるが、これらに限定されない。
【0012】
本実施形態では、共有システム40が、設定温度を調整可能な空調である場合を想定して説明する。なお、共有システム40は、上述したように、空調に限定されない。
【0013】
ユーザ端末装置30は、ユーザによって操作される操作端末である。ユーザ端末装置30は、例えば、共有システム40を操作するための専用端末、ユーザによって管理される携帯端末、スマートフォン、等である。
【0014】
本実施形態では、情報処理システム1は、複数のユーザ端末装置30として、ユーザ端末装置30A~ユーザ端末装置30Cを備える形態を一例として示す。これらのユーザ端末装置30A~ユーザ端末装置30Cを総称して説明する場合には、単にユーザ端末装置30と称して説明する。なお、情報処理システム1が備えるユーザ端末装置30は、複数であればよく、3台のユーザ端末装置30を備える形態に限定されない。
【0015】
ユーザ端末装置30は、通信部32と、UI(ユーザ・インターフェース)部34と、記憶部36と、制御部38と、を備える。通信部32、UI部34、および記憶部36と、制御部38とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
【0016】
通信部32は、ネットワークN等を介して外部の情報処理装置と通信する。本実施形態では、通信部32は、ネットワークNを介して情報処理装置10と通信する。
【0017】
UI部34は、各種の情報を出力する出力機能と、ユーザによる操作指示を受け付ける入力機能と、を有する。出力機能は、例えば、ディスプレイおよびタッチパネル等の表示装置、スピーカ等の音声出力装置、等である。入力機能は、例えば、マウス等のポインティングデバイス、キーボード、タッチパネル、ボタン等である。
【0018】
記憶部36は、各種のデータを記憶する。制御部38は、ユーザ端末装置30において情報処理を実行する。
【0019】
管理者端末装置20は、共有システム40の管理者によって操作される操作端末やコンピュータである。管理者端末装置20は、通信部22と、UI部24と、記憶部26と、制御部28と、を備える。通信部22、UI部24、および記憶部26と、制御部28とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
【0020】
なお、本実施形態では、管理者端末装置20とユーザ端末装置30とが別の情報処理装置として構成された形態を一例として示す。しかし、管理者端末装置20とユーザ端末装置30とは、1つの情報処理装置(1つの操作端末または1つのコンピュータ)として構成されていてもよい。この場合、ユーザが管理者として該情報処理装置にログインした場合には、該情報処理装置が詳細を後述する機能構成の管理者端末装置20として機能し、ユーザが管理者以外のユーザとして該情報処理装置にログインした場合には、該情報処理装置が詳細を後述する機能構成のユーザ端末装置30として機能するように構成すればよい。また、この場合、該1つの情報処理装置または外部の記憶装置等には、管理者権限を付与されたログインユーザ情報と、管理者権限を付与されていないログインユーザ情報と、を予め記憶し、ログインしたユーザ情報に付与されている権限に応じて、管理者端末装置20およびユーザ端末装置30の何れとして機能させるかを判別すればよい。
【0021】
通信部22は、ネットワークN等を介して外部の情報処理装置と通信する。本実施形態では、通信部32は、ネットワークNを介して情報処理装置10と通信する。
【0022】
UI部24は、上記UI部34と同様である。記憶部26は、各種のデータを記憶する。制御部28は、管理者端末装置20において情報処理を実行する。
【0023】
次に、情報処理装置10について詳細に説明する。
【0024】
情報処理装置10は、調停処理を実行するためのコンピュータである。
【0025】
調停処理とは、複数のユーザ端末装置30から受信した競合する複数の第1制御命令から、共有システム40へ出力する第2制御命令を生成する処理である。
【0026】
第1制御命令とは、複数のユーザ端末装置30の各々が共有システム40に対して送信する制御命令である。第1制御命令には、例えば、共有システム40に対するユーザの希望する設定値などが含まれる。具体的には、共有システム40が空調である場合、設定値は、例えば、設定温度である。
【0027】
複数のユーザ端末装置30の各々からある特定の共有システム40に対して送信される第1制御命令に含まれる設定温度等の設定値は、該ユーザ端末装置30を操作するユーザによって異なるものとなる場合がある。そこで、情報処理装置10は、複数のユーザ端末装置30の各々から受信した競合する複数の第1制御命令を用いて、共有システム40へ出力する制御命令である第2制御命令を生成し、共有システム40へ出力する。
【0028】
第2制御命令とは、情報処理装置10から共有システム40へ送信される制御命令である。第2制御命令には、競合する複数の第1制御命令の調停処理により決定された設定値が含まれる。
【0029】
第1制御命令、第2制御命令、および調停処理の詳細は後述する。
【0030】
情報処理装置10は、通信部12と、UI部14と、記憶部16と、制御部18と、を備える。通信部12、UI部14、記憶部16、および制御部18は、バス17等を介して通信可能に接続されている。なお、情報処理装置10は、UI部14を備えない構成であってもよい。
【0031】
通信部12は、ネットワークN等を介して外部の情報処理装置と通信する。本実施形態では、通信部12は、ネットワークNを介して、ユーザ端末装置30、管理者端末装置20、および共有システム40と通信する。
【0032】
UI部14は、上記UI部34と同様である。記憶部16は、各種のデータを記憶する。
【0033】
制御部18は、情報処理装置10において情報処理を実行する。制御部18は、第2受信制御部18Aと、特定部18Bと、第1受信制御部18Cと、調停部18Dと、送信制御部18Eと、を備える。
【0034】
第2受信制御部18A、特定部18B、第1受信制御部18C、調停部18D、および送信制御部18Eは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のIC(Integrated circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。また、制御部18に含まれる上記各部の少なくとも1つ、および記憶部16に記憶される少なくとも1つのデータを、ネットワークNに接続された外部のサーバ装置等に備えた構成としてもよい。
【0035】
また、第2受信制御部18Aおよび第1受信制御部18Cの各々は、例えば、API(Application Programming Interface)で構成する事等により、互いに異なる動作を実行可能に構成されている。また、第2受信制御部18Aおよび第1受信制御部18Cと、他の各部とは、それぞれ別のオンプレミス又はクラウド上のサーバで実現してもよいし、同一のサーバ上に構築してもよい。
【0036】
第2受信制御部18Aは、第1設定情報を管理者端末装置20から受信する。第2受信制御部18Aは、管理者端末装置20から送信された第1設定情報を常時受信可能に構成されている。
【0037】
第1設定情報とは、共有システム40に対する調停処理の設定に関する情報である。
【0038】
管理者端末装置20の制御部28は、管理者による操作入力を受付けることで、第1設定情報を受付ける。そして、制御部28は、受付けた第1設定情報を、通信部22を介して情報処理装置10へ送信する。
【0039】
図2は、管理者端末装置20のUI部24に表示される表示画面50の一例の模式図である。
【0040】
例えば、制御部28は、図2に示す表示画面50をUI部24に表示する。なお、情報処理装置10の第2受信制御部18Aが、通信部12および通信部22を介して管理者端末装置20のUI部24へ表示画面50を表示制御してもよい。
【0041】
表示画面50は、詳細設定モード選択ボタン50Aと、簡単設定モード選択ボタン50Bと、おまかせモード選択ボタン50Cと、を含む。
【0042】
詳細設定モード選択ボタン50Aは、詳細設定モードを選択するためのボタン画像領域である。詳細設定モードとは、管理者が自由度の高い設定を行うことの可能な設定モードである。詳細設定モード選択ボタン50Aを選択することで、管理者は、第1設定情報に含まれる設定項目ごとに設定値を詳細に設定することが可能となる。
【0043】
簡単設定モード選択ボタン50Bは、簡単設定モードを選択するためのボタン画像領域である。簡単設定モードとは、管理者が簡単に希望を入力することで、情報処理装置10側で該希望に合わせた適切な設定を自動で行う設定モードである。簡単設定モード選択ボタン50Bを選択することで、管理者は、簡単に希望を入力することで、第1設定情報に含まれる設定項目の各々の設定を行うことが可能となる。
【0044】
おまかせモード選択ボタン50Cは、おまかせモードを選択するためのボタン画像領域である。おまかせモードとは、自動的に初期値が設定され、管理者による設定が不要な設定モードである。おまかせモード選択ボタン50Cを選択することで、管理者は詳細な設定を行うことなく、設定項目ごとに設定値の設定された第1設定情報の生成が可能となる。
【0045】
まず、管理者によって表示画面50の詳細設定モード選択ボタン50Aが操作された場面を想定して説明する。
【0046】
詳細設定モード選択ボタン50Aが操作された場合、制御部28は、第1設定情報に含まれる設定項目ごとに設定値を入力するための表示画面52をUI部24へ表示する。
【0047】
図3は、表示画面52の一例の模式図である。表示画面52は、第1設定情報に含まれる設定項目ごとに設定値の入力を受付けるための表示画面である。
【0048】
第1設定情報は、設定項目として、調停方法、アルゴリズム、決着方法、および複数の期間項目、を含む。
【0049】
調停方法とは、調停処理時に用いる調停の方法を表す情報である。例えば、調停方法は、「投票調停」、「ランダム調停」、「学習調停」、の少なくとも1つを含む。
【0050】
「投票調停」とは、複数のユーザ端末装置30による投票に応じた調停方法である。「投票調停」には、「投票調停・得票数」、「投票調停・平均値」、および「投票調停・中央値」などの複数種類の調停方法が含まれる。
【0051】
「投票調停・得票数」とは、競合する複数の第1制御命令の内、最も得票数の多い第1制御命令を共有システム40へ送信する第2制御命令として用いることを表す調停方法である。
【0052】
「投票調停・平均値」とは、競合する複数の第1制御命令の各々に含まれる設定値について、投票数に応じて重み付けした平均値を、共有システム40へ送信する第2制御命令として用いることを表す調停方法である。
【0053】
「投票調停・中央値」とは、競合する複数の第1制御命令の各々に含まれる設定値について、投票数から求めた中央値を、共有システム40へ送信する第2制御命令として用いることを表す調停方法である。
【0054】
「ランダム調停」とは、競合する複数の第1制御命令から情報処理装置10がランダムに1つの第1制御命令を特定する調停方法である。
【0055】
「学習調停」とは、学習モデルを用いて調停する調停方法である。
【0056】
また、調停方法には、管理者が独自に設定した調停方法である「独自」が含まれていてもよい。
【0057】
図3には、管理者がUI部24を操作することで、調停方法として「得票調停・平均値」が設定された場面を一例として示す。
【0058】
アルゴリズムとは、調停処理を実行するためのアルゴリズムである。情報処理装置10には、複数のアルゴリズムが予め記憶されている。管理者は、調停処理を実行するためのアルゴリズムとして、表示画面52を介して任意のアルゴリズムを選択することが可能である。また、管理者は、調停処理を実行するためのアルゴリズムとして、管理者側で用意したアルゴリズムを設定可能である。
【0059】
具体的には、第1制御命令に含まれる設定項目の1つであるアルゴリズムは、調停方法が「学習調停」や「独自」である場合のように、複数の実現方法が存在する場合や、独自の手法を用いることを管理者が希望する場合等に、調停方法の手法を指定するために用いられる設定項目である。なお、第1制御命令にアルゴリズムの設定が含まれない場合には、情報処理装置10側で調停方法に応じたアルゴリズムを自動で選択することとなる。
【0060】
なお、管理者が調停処理を実行するためのアルゴリズムとして、管理者側で用意したアルゴリズムを設定した場合には、管理者端末装置20から情報処理装置10へ該アルゴリズムおよび該アルゴリズムの識別情報を送信すればよい。また、第1設定情報には、該アルゴリズムの識別情報を設定すればよい。情報処理装置10側では、受信したアルゴリズムと該アルゴリズムの識別情報とを対応付けて記憶部16に記憶し、調停処理時に用いればよい。また、情報処理装置10の記憶部16に新たなアルゴリズムが記憶されることで、管理者は、調停処理を実行するためのアルゴリズムとして、表示画面52を介して、該新たなアルゴリズムを含む任意のアルゴリズムを選択することが可能となる。また、これらのアルゴリズムの識別情報および選択時に表示される名称は、管理者によるUI部24の操作指示などによって適宜変更可能としてよい。
【0061】
決着方法とは、対応する調停方法に応じて1つの第1制御命令が特定されない場合の決着方法である。詳細には、決着方法は、対応する調停方法によって競合する複数の第1制御命令の内の1つの第1制御命令が特定されなかった場合に、競合する複数の第1制御命令から1つの第1制御命令を特定する方法を表す。決着方法には、例えば、「ランダム」、「くじ」、「勝負」等が含まれる。
【0062】
決着方法「ランダム」とは、対応する調停方法によって1つの第1制御命令が特定できなかった場合、情報処理装置10が競合する複数の第1制御命令からランダムに1つの第1制御命令を特定する方法である。
【0063】
決着方法「くじ」とは、対応する調停方法によって1つの第1制御命令が特定できなかった場合、競合する複数の第1制御命令の各々の送信元のユーザ端末装置30を操作するユーザによる「くじ」によって1つの第1制御命令を特定する方法である。具体的には、決着方法「くじ」とは、複数のユーザ端末装置30の各々のユーザにより”くじ引き“を行い、当たりを引いたユーザの使用するユーザ端末装置30から送信された第1制御命令を採用する決着方法である。
【0064】
決着方法「勝負」とは、対応する調停方法によって1つの第1制御命令が特定できなかった場合、競合する複数の第1制御命令の各々の送信元のユーザ端末装置30を操作するユーザによる予め定めた勝負による勝敗によって、1つの第1制御命令を特定する方法である。予め定めた勝負には、例えば、3種類の指の出し方(グー・パー・チョキ)で三すくみの関係を構成し、その相性により勝敗を決める遊戯などが挙げられる。この遊戯は、日本では「じゃんけん」と称される場合がある。
【0065】
期間項目とは、情報処理装置10が調停処理に関する処理を実行するときの各期間の上限を設定するための項目である。例えば、期間項目は、第1期間、第2期間、および第3期間を含む。
【0066】
第1期間とは、情報処理装置10が第1制御命令を受付ける期間を表す。第1期間は、情報処理装置10が第1制御命令の受付を締め切るタイミングであってもよい。本実施形態では、第1期間が、情報処理装置10が第1制御命令を受付ける期間を表す形態を一例として説明する。後述する情報処理装置10では、この第1期間に1または複数のユーザ端末装置30から受付けた1または複数の第1制御命令の内、同時に実現することが不可能な設定値を含む第1制御命令を、競合する第1制御命令として扱う。
【0067】
第2期間とは、情報処理装置10が調停処理に関する処理に要する期間を表す。第2期間は、第2A期間と、第2B期間と、を含む。第2A期間とは、情報処理装置10が調停処理の前処理に要する期間を表す。第2B期間とは、情報処理装置10が調停処理に要する期間を表す。
【0068】
第3期間とは、共有システム40に送信された第2制御命令の有効期間を表す。
【0069】
管理者がUI部24を操作することで、図2に示す表示画面50の詳細設定モード選択ボタン50Aを操作すると、制御部28は、図3に示す表示画面52をUI部24へ表示する。上述したように、表示画面52は、第1設定情報に含まれる設定項目ごとに設定値の入力を受付けるための表示画面である。
【0070】
管理者は、表示画面52を確認しながらUI部24を操作することで、設定項目の各々ごとに設定値を入力する。図3には、調停方法「投票調停・平均値」、アルゴリズム「設定無」、決着方法「ランダム」、第1期間「2分」、第2A期間「1分」、第2B期間「設定無」、および第3期間「10分」が設定された状態を一例として示す。そして、管理者が設定実行指示ボタン52Aを操作した場面を想定する。すると、管理者端末装置20の制御部28は、表示画面52を介して入力されたこれらの設定項目の各々の設定値を含む第1設定情報を、通信部22を介して情報処理装置10へ送信する。
【0071】
この場合、情報処理装置10の第2受信制御部18Aは、表示画面52を介して設定された複数の設定項目である調停方法、アルゴリズム、決着方法、第1期間、第2期間、および第3期間、の各々の設定値を含む第1設定情報を、管理者端末装置20から受信する。
【0072】
図4は、第2受信制御部18Aが管理者端末装置20から受信しうる第1設定情報60の種類の一例の模式図である。
【0073】
管理者によって表示画面50の詳細設定モード選択ボタン50Aが操作され、複数の設定項目の各々に対する設定値が管理者によって設定されることで、第2受信制御部18Aは、第1設定情報60A~第1設定情報60Hの何れかの第1設定情報60を管理者端末装置20から受信する。第1設定情報60A~第1設定情報60Hは、第1設定情報60の一例である。なお、図4に示す各期間項目に示される値は、一例であり、これらの値に限定されない。また、第1設定情報60Hに示すように、管理者は、表示画面52を介して独自の調停方法および該調停方法を実行するためのアルゴリズムを設定してもよい。
【0074】
図2に戻り説明を続ける。
【0075】
次に、管理者によって表示画面50の簡単設定モード選択ボタン50Bが操作された場面を想定して説明する。
【0076】
簡単設定モード選択ボタン50Bが操作された場合、管理者端末装置20の制御部28は、第1設定情報に含まれる設定項目の各々の設定に関する希望を受け付けるための表示画面54をUI部24へ表示する。
【0077】
図5は、表示画面54の一例の模式図である。表示画面54は、第1設定情報に含まれる設定項目の各々の設定に関する管理者の希望を受け付けるための表示画面である。例えば、表示画面54は、希望の種類に応じた複数の希望選択ボタン54A~希望選択ボタン54Cを含む。
【0078】
希望選択ボタン54Aは、複数のユーザの皆の意見を反映した調停方法を含む第1設定情報の設定を行うことを管理者が希望する場合に操作するためのボタン画像領域である。希望選択ボタン54Aには、例えば、該希望を表す言葉である「皆の意見を反映したい」が表示されている。
【0079】
希望選択ボタン54Bは、処理時間の短い調停方法を含む第1設定情報の設定を行うことを管理者が希望する場合に操作するためのボタン画像領域である。希望選択ボタン54Bには、例えば、該希望を表す言葉である「素早く決めたい」が表示されている。
【0080】
希望選択ボタン54Cは、過去の制御履歴によって表される調停方法を含む第1設定情報の設定を行うことを管理者が希望する場合に操作するためのボタン画像領域である。希望選択ボタン54Cには、例えば、該希望を表す言葉である「過去の制御履歴を参考にしたい」が表示されている。
【0081】
管理者は、表示画面54を確認しながらUI部24を操作することで、希望に応じて、希望選択ボタン54A~希望選択ボタン54Cの何れかを選択する。
【0082】
管理者端末装置20の制御部28は、表示画面54を介して受け付けた設定に関する希望を表す希望情報を、第1設定情報として生成する。
【0083】
例えば、希望選択ボタン54Aの操作入力を受付けた場合、制御部28は、希望情報「皆の意見を反映したい」を含む第1設定情報60を生成する。また、例えば、希望選択ボタン54Bの操作入力を受付けた場合、制御部28は、希望情報「素早く決めたい」を含む第1設定情報60を生成する。また、例えば、制御部28は、希望選択ボタン54Cの選択入力を受付けた場合、制御部28は、希望情報「過去の制御履歴を参考にしたい」を含む第1設定情報60を生成する。
【0084】
そして、管理者端末装置20の制御部28は、希望情報を含む第1設定情報60を、通信部22を介して情報処理装置10へ送信する。
【0085】
この場合、情報処理装置10の第2受信制御部18Aは、表示画面54を介して入力された、管理者による設定に関する希望を表す希望情報を含む第1設定情報60を、管理者端末装置20から受信する。
【0086】
なお、管理者端末装置20の制御部28は、表示画面54を介して受け付けた設定に関する希望に対応する調停方法を希望対応テーブルから特定し、更に初期値テーブルから他の設定項目の値を特定することで、第1設定情報60を生成してもよい。
【0087】
図6は、希望対応テーブル26Aのデータ構成の一例の模式図である。
【0088】
希望対応テーブル26Aは、管理者による設定に関する希望と、希望に対応する調停方法と、を対応付けたテーブルである。例えば、希望対応テーブル26Aには、希望として、希望選択ボタン54Aによって表される希望である「皆の意見を反映したい」、希望選択ボタン54Bによって表される希望「素早く決めたい」、および希望選択ボタン54Cによって表される希望「過去の制御履歴を参考にしたい」の各々が登録されている。また、希望対応テーブル26Aには、これらの希望を充足する調停方法が対応付けて登録されている。
【0089】
図7は、初期値テーブル26Bのデータ構成の一例の模式図である。初期値テーブル26Bには、第1設定情報に含まれる設定項目の各々の初期値が予め登録されている。
【0090】
希望対応テーブル26Aおよび初期値テーブル26Bは、管理者端末装置20の記憶部26に予め記憶されている。また、希望対応テーブル26Aおよび初期値テーブル26Bは、情報処理装置10の記憶部16に同じテーブルが予め記憶されていてよい。希望対応テーブル26Aおよび初期値テーブル26Bに含まれる各設定値は、管理者によるUI部24の操作指示などによって適宜変更可能としてよい。
【0091】
管理者端末装置20の制御部28は、表示画面54を介して受け付けた設定に関する希望に対応する調停方法を希望対応テーブル26Aから特定する。また、制御部28は、調停方法以外の設定項目の設定値を初期値テーブル26Bから特定する。そして、管理者端末装置20の制御部28は、これらの特定した調停方法および特定した他の設定項目の各々の設定値を含む第1設定情報を、通信部22を介して情報処理装置10へ送信する。
【0092】
この場合、情報処理装置10の第2受信制御部18Aは、表示画面54を介して入力された、管理者による設定に関する希望に応じた調停方法を含む第1設定情報を、管理者端末装置20から受信する。
【0093】
図2に戻り説明を続ける。
【0094】
次に、管理者によって表示画面50のおまかせモード選択ボタン50Cが操作された場面を想定して説明する。
【0095】
おまかせモード選択ボタン50Cが操作された場合、管理者端末装置20の制御部28は、自動設定要求情報を第1設定情報として生成する。自動設定要求情報は、設定項目および設定項目の設定値を自動設定することを表す情報である。そして、管理者端末装置20の制御部28は、自動設定要求情報を含む第1設定情報を、通信部22を介して情報処理装置10へ送信する。
【0096】
この場合、情報処理装置10の第2受信制御部18Aは、自動設定要求情報を含む第1設定情報を、管理者端末装置20から受信する。
【0097】
なお、おまかせモード選択ボタン50Cが操作された場合、管理者端末装置20の制御部28は、初期値テーブル26Bに設定されている各設定項目の設定値を、第1設定情報として特定してもよい。初期値テーブル26Bに含まれる各設定値は、管理者によるUI部24の操作指示などによって適宜変更可能としてよい。そして、管理者端末装置20の制御部28は、特定した第1設定情報を、通信部22を介して情報処理装置10へ送信する。
【0098】
この場合、情報処理装置10の第2受信制御部18Aは、初期値テーブル26Bに設定されている各設定項目の設定値からなる第1設定情報を、管理者端末装置20から受信する。
【0099】
なお、管理者端末装置20の制御部28は、おまかせモード選択ボタン50Cが選択された場合、全ての設定項目に初期値が適用されることを表すメッセージをUI部24へ更に出力してもよい。
【0100】
図8は、表示画面56の一例の模式図である。表示画面56は、例えば、全ての設定項目に初期値が適用されることを表すメッセージを含む。このように、制御部28は、おまかせモード選択ボタン50Cが選択された場合、表示画面56をUI部24に表示してよい。
【0101】
また、管理者端末装置20の制御部28は、おまかせモード選択ボタン50Cが選択された場合、初期値テーブル26Bに登録されている各設定項目の設定値をUI部24へ表示してよい。
【0102】
図9は、表示画面58の一例の模式図である。表示画面58は、初期値テーブル26Bに登録されている各設定項目の設定値を含む。管理者は、表示画面58を確認することで、初期値が何れの設定値であるかを確認することが可能となる。また、管理者は表示画面58を確認しながらUI部24を操作することで、表示画面58に表示されている複数の設定項目の内の少なくとも1つの設定値を変更してもよい。この場合、管理者端末装置20は表示画面58を介して入力された各設定項目の設定値からなる第1設定情報を、通信部22を介して情報処理装置10へ送信すればよい。また、簡単設定モード選択ボタン50Bが選択された場合についても、管理者端末装置20の制御部28は、表示画面54を介して入力された希望に応じて設定される各設定項目の設定値をUI部24へ表示し、少なくとも一部の設定項目の設定値の変更を受付けてもよい。
【0103】
また、管理者端末装置20の制御部28は、表示画面50におけるおまかせモード選択ボタン50Cの選択を初期設定としておいてよい。これにより、管理者が管理者端末装置20から何も設定を行わなかったとしても、自動でおまかせモード選択ボタン50Cが選択された状態となる。
【0104】
また、図2の表示画面50には、3つのモードを選択可能に示したが、選択可能なモードは、これらの3つのモードの内の少なくとも1つであればよく、3つのモードの全てを選択可能に表示する形態に限定されない。
【0105】
また、図2に示す表示画面50には、複数のモードを選択可能に表示する例を示したが、何れのモードも選択不可能であってもよい。この場合、管理者端末装置20の制御部28は、予め初期設定として設定された何れかのモードを、管理者による選択指示を受け付けることなく選択されたものとし、上記処理を行えばよい。また、この初期設定として設定されるモードは、管理者等によるUI部24の操作指示などに応じて適宜変更可能としてもよい。例えば、表示画面50等に初期設定ボタンを表示し、該初期設定ボタンが操作指示されたときに、初期設定とするモードを変更するための画面をUI部24に表示し、初期設定とするモードを変更可能としてもよい。また、初期設定ボタンは、表示画面50とは別の画面に表示してもよい。
【0106】
また、表示画面50に含まれる詳細設定モード選択ボタン50A、簡単設定モード選択ボタン50B、おまかせモード選択ボタン50C等の各モードを選択するためのボタン画像領域に替えて、UI部24に含まれるキーボードなどの操作入力機構の予め定めたキーを、これらのモードの各々を選択するためのキーとして用いてもよい。
【0107】
図1に戻り説明を続ける。
【0108】
上記処理により、第2受信制御部18Aは、第1設定情報を管理者端末装置20から受信する。
【0109】
特定部18Bは、第1設定情報に基づいて、第2設定情報を特定する。
【0110】
第2設定情報は、後述する調停部18Dが調停処理時に用いる設定情報である。第2設定情報は、設定項目として調停方法を少なくとも含む。本実施形態では、第2設定情報は、設定項目として、調停方法、アルゴリズム、決着方法、および期間項目を含む形態を一例として説明する。調停方法、アルゴリズム、決着方法、および期間項目は、上記と同様の意味である。期間項目は、上述したように、第1期間、第2期間、および第3期間の少なくとも1つを含む。
【0111】
例えば、特定部18Bは、第2受信制御部18Aで受信した第1設定情報60に基づいて第2設定情報62を特定する。
【0112】
特定部18Bは、第2受信制御部18Aで受信した第1設定情報60が、第1設定情報60の設定項目ごとに設定値を規定した情報である場合、第1設定情報60を第2設定情報62として特定する。
【0113】
図4を用いて説明する。例えば、管理者によって表示画面50の詳細設定モード選択ボタン50Aが操作され、複数の設定項目の各々に対する設定値が管理者によって設定された場面を想定する。また、管理者によって表示画面50の簡単設定モード選択ボタン50Bまたはおまかせモード選択ボタン50Cが操作され、管理者端末装置20によって全ての設定項目の各々の設定値を含む第1設定情報60が生成された場面を想定する。これらの場面の場合、第2受信制御部18Aは、例えば、第1設定情報60A~第1設定情報60Hの何れかの第1設定情報60を管理者端末装置20から受信する。
【0114】
図4に示す第1設定情報60A~第1設定情報60Hは、設定項目ごとに設定値を規定した情報である。この場合、特定部18Bは、管理者端末装置20から第1設定情報60A~第1設定情報60Hの何れの第1設定情報60を受信した場合についても、受信した該第1設定情報60を第2設定情報62として特定する。具体的には、特定部18Bは、管理者端末装置20から第1設定情報60Aを受信した場合、該第1設定情報60Aである第2設定情報62Aを第2設定情報62として特定する。同様に、特定部18Bは、管理者端末装置20から第1設定情報60B~第1設定情報60Hの何れかを受信した場合、受信した1つの第1設定情報60である第1設定情報60B~第1設定情報60Hを、第2設定情報62(第2設定情報62B~第2設定情報62H)として特定する。第2設定情報62A~第2設定情報62Hは、第2設定情報62の一例である。
【0115】
また、上述したように、管理者端末装置20は、表示画面50(図2参照)を介して簡単設定モード選択ボタン50Bが操作された場合、表示画面54(図5参照)を介して入力された希望情報を含む第1設定情報60を情報処理装置10へ送信する場合がある。
【0116】
この場合、第2受信制御部18Aが管理者端末装置20から受信する第1設定情報60は、設定に関する希望情報を表した情報である。このため、この場合、特定部18Bは、第1設定情報60に含まれる希望情報に対応する調停方法を含む、第2設定情報62を特定する。また、この場合、希望対応テーブル26Aおよび初期値テーブル26Bを記憶部16に記憶した構成とすればよい。
【0117】
詳細には、特定部18Bは、第1設定情報60に含まれる希望情報によって表される希望に対応する調停方法を記憶部16の希望対応テーブル26Aから特定し、更に記憶部16の初期値テーブル26Bから他の設定項目の値を特定することで、全ての設定項目の各々の設定値の規定された第2設定情報62を特定すればよい。また、上述したように、希望対応テーブル26Aおよび初期値テーブル26Bは、記憶部16に予め記憶すればよい。
【0118】
詳細には、特定部18Bは、第2受信制御部18Aで管理者端末装置20から受信した第1設定情報60に含まれる希望情報によって表される希望に対応する調停方法を希望対応テーブル26Aから特定する。また、特定部18Bは、調停方法以外の設定項目の設定値を初期値テーブル26Bから特定する。そして、特定部18Bは、これらの特定した調停方法および特定した他の設定項目の各々の設定値を含む第2設定情報62を特定する。
【0119】
また、上述したように、管理者端末装置20は、表示画面50(図2参照)を介しておまかせモード選択ボタン50Cが操作された場合、自動設定要求情報を含む第1設定情報60を、通信部22を介して情報処理装置10へ送信する場合がある。この場合、初期値テーブル26Bを記憶部16に記憶した構成とすればよい。
【0120】
詳細には、この場合、第2受信制御部18Aが管理者端末装置20から受信する第1設定情報60は、自動設定要求情報を含む情報である。このため、この場合、特定部18Bは、第1設定情報60に含まれる自動設定要求情報に応じて、初期値テーブル26Bに設定されている予め記憶した設定項目の各々に対する設定値を含む第2設定情報62を特定する。上述したように、この場合、初期値テーブル26Bは、記憶部16に予め記憶すればよい。
【0121】
これらの処理により、特定部18Bは、例えば、図4に示す第2設定情報62A~第2設定情報62Hに示す何れかの第2設定情報62を特定する。
【0122】
なお、特定部18Bは、第2受信制御部18Aで受信した第1設定情報60に替えて、予め記憶部16に記憶した第1設定情報60を用いて、第2設定情報62を特定してもよい。例えば、制御部18は、前回の調停処理に用いた第2設定情報62を第1設定情報60として記憶部16へ記憶する。そして、特定部18Bは、記憶部16に記憶されている第1設定情報60を第2設定情報62として特定してもよい。この場合、特定部18Bは、管理者による操作指示により管理者端末装置20から第1設定情報60を受信することなく、記憶部16に記憶されている第1設定情報60から第2設定情報62を特定することができる。
【0123】
これらの処理により、特定部18Bは、設定項目である調停方法、アルゴリズム、決着方法、期間項目(第1期間、第2期間、第3期間)、の各々の設定値を規定した、1つの第2設定情報62を特定する。具体的には、例えば、特定部18Bは、図4に示す第2設定情報62A~第2設定情報62Hの内の何れか1つの第2設定情報62を特定する。なお、上述したように、期間項目に設定された設定値は一例である。
【0124】
図1に戻り説明を続ける。
【0125】
第1受信制御部18Cは、複数のユーザ端末装置30から共有システム40に対する競合する第1制御命令を受信する。
【0126】
第1制御命令は、上述したように、複数のユーザ端末装置30の各々が共有システム40に対して送信する制御命令である。第1制御命令には、例えば、共有システム40に対するユーザの希望する設定値が含まれる。具体的には、共有システム40が空調である場合、設定値は、例えば、設定温度である。本実施形態では、第1制御命令が、空調である共有システム40に対する設定温度の設定値を含む形態を一例として説明する。
【0127】
競合する第1制御命令とは、同一の共有システム40に対する制御命令である。本実施形態では、情報処理システム1が1つの共有システム40を備える形態を一例として説明する。
【0128】
例えば、第1受信制御部18Cは、第1期間に複数のユーザ端末装置30から受信した第1制御命令を、競合する第1制御命令として受信する。上述したように、第1期間は、情報処理装置10が第1制御命令を受付ける期間を表す。第1受信制御部18Cは、特定部18Bで特定した第2設定情報62に含まれる第1期間の間にユーザ端末装置30から受信した第1制御命令を、競合する第1制御命令として受信する。
【0129】
第1受信制御部18Cは、特定部18Bで特定した第2設定情報62に含まれる期間項目の前回の第3期間の終了タイミングの後に、最初に何れかのユーザ端末装置30から第1制御命令を受信したタイミングを第1期間の開始タイミングとし、該開始タイミングから第1期間の間に該共有システム40に対して受信した第1制御命令を、競合する第1制御命令として受信すればよい。
【0130】
また、第1受信制御部18Cは、特定部18Bで特定した第2設定情報62に含まれる期間項目の第1期間の前回の終了タイミングから今回の第1期間の終了タイミングまでの間に受信した第1制御命令を、共有システム40に対する競合する複数の第1制御命令として受信してもよい。
【0131】
また、第1受信制御部18Cは、特定部18Bで特定した第2設定情報62に含まれる第1期間の間、ユーザ端末装置30から第1制御命令を受信し、第1期間以外の期間、ユーザ端末装置30からの第1制御命令の受信を制限するように通信部12を制御してもよい。
【0132】
次に、調停部18Dについて説明する。
【0133】
調停部18Dは、特定部18Bで特定した第2設定情報62によって表される調停方法に基づいて、競合する複数の第1制御命令から、共有システム40へ出力する第2制御命令を生成する調停処理を実行する。
【0134】
図10は、調停部18Dによる調停処理の一例の説明図である。
【0135】
例えば、競合する複数の第1制御命令が、空調に対する設定温度である設定値の異なる複数の第1制御命令であった場合を想定する。調停部18Dは、これらの競合する複数の第1制御命令から、第2設定情報62を用いて、1つの設定値の規定された第2制御命令を生成する。
【0136】
例えば、競合する複数の第1制御命令が、それぞれ異なる設定温度である設定値「21℃」、「25℃」、「18℃」をそれぞれ含む場合を想定する。この場合、調停部18Dは、これらの競合する複数の第1制御命令から、第2設定情報62を用いて、1つの設定値の規定された第2制御命令を生成する。図10には、一例として、設定値「21℃」の設定された第2制御命令を生成した場面を一例として示す。
【0137】
図1に戻り説明を続ける。
【0138】
調停部18Dによる調停処理について詳細に説明する。
【0139】
調停部18Dは、特定部18Bで特定した第2設定情報62によって表されるアルゴリズムを、該第2設定情報62によって表される第2A期間の間に記憶部16から読み取る。アルゴリズムは、調停方法を実現するためのアルゴリズムであり、調停方法を実現するための具体的な手順を記述したプログラムである。そして、調停部18Dは、該第2期間の間に該アルゴリズムを実行することで、第2設定情報62によって表される調停処理を実行する。
【0140】
なお、調停部18Dは、第2設定情報62にアルゴリズムが設定されてない場合には、第2設定情報62に含まれる調停方法に対応するアルゴリズムを記憶部16から読み取ればよい。記憶部16には、調停方法とアルゴリズムの識別情報とを対応付けて予め記憶しておけばよい。そして、調停部18Dは、第2設定情報62に設定されている調停方法に対応するアルゴリズムの識別情報を記憶部16から特定し、特定した該識別情報によって識別されるアルゴリズムを記憶部16から読み取り実行すればよい。
【0141】
そして、調停部18Dは、アルゴリズムを実行することで、第2設定情報62によって表される調停方法に応じた調停処理を実行する。
【0142】
調停部18Dは、第2設定情報62によって表される第2B期間の間に調停処理が終了するように、調停処理を実行する。なお、調停部18Dは、第2期間の間に調停処理が終了するように調停処理を実行すればよい。このため、調停部18Dは、アルゴリズムの読み取りおよび実行に第2A期間を超える時間を要した場合には、第2B期間から該超過した時間を減算した残りの時間を用いて調停処理を実行すればよい。また、調停部18Dは、アルゴリズムの読み取りおよび実行に第2A期間未満の時間を要した場合には、第2A期間の残り時間と第2B期間との合計期間を、調停処理に用いればよい。
【0143】
第2期間を含む各期間項目は、各処理に要する時間の上限値である。このため、期間項目に示される期間に応じて処理を実行することで、情報処理装置10は、管理者の所望の処理時間で調停処理等の各処理を実行することが可能となる。
【0144】
まず、第2設定情報62によって表される調停方法が「投票調停」である場合を想定して説明する。具体的には、第2設定情報62が、図4に示す第2設定情報62A~第2設定情報62Eの何れかであった場合を想定する。
【0145】
「投票調停」は、上述したように、複数のユーザ端末装置30による投票に応じた調停方法である。
【0146】
この場合、調停部18Dは、競合する複数の第1制御命令を含む投票要求情報を生成する。例えば、競合する複数の第1制御命令が図10に示す3つの第1制御命令であった場合を想定する。この場合、調停部18Dは、これらの3つの第1制御命令を含む投票要求情報を生成する。具体的には、例えば、調停部18Dは、競合する3つの第1制御命令にそれぞれ含まれる設定温度である設定値「21℃」、「25℃」、および「18℃」を含む投票要求情報を生成する。
【0147】
なお、調停部18Dは、競合する複数の第1制御命令と、影響情報と、を含む、投票要求情報を生成してもよい。影響情報とは、競合する複数の第1制御命令の各々に応じて共有システム40が制御されたときに生じる影響に関する情報である。影響は、共有システム40が制御されたときに生じる地球環境に対して与える影響、およびコストに与える影響、等に関する情報を含む。
【0148】
図11は、影響情報のデータ構成の一例の模式図である。影響情報は、例えば、CO排出量、電気代、共有システム40の消費電力、などであるが、これらに限定されない。
【0149】
図1に戻り説明を続ける。
【0150】
調停部18Dは、例えば、競合する複数の第1制御命令の各々ごとに、第1制御命令によって表される空調の設定温度の各々で共有システム40を制御したときの影響情報を生成する。そして、調停部18Dは、競合する複数の第1制御命令の各々に、生成した対応する影響情報を付加することで、投票要求情報を生成すればよい。
【0151】
また、調停部18Dは、投票可能な残り時間情報を更に含む投票要求情報を生成してもよい。上述したように、特定部18Bで特定された第2設定情報62に含まれる第2A期間は、情報処理装置10が競合する第1制御命令の調停処理の前処理に要する期間を表す。このため、調停部18Dは、該第2設定情報62に含まれる第2A期間の終了タイミングまでの残り時間をカウントするカウントダウンタイマーを残り時間情報として更に含む投票要求情報を生成してよい。
【0152】
そして、調停部18Dは、投票要求情報を複数のユーザ端末装置30の各々へ送信制御する。具体的には、調停部18Dは、競合する複数の第1制御命令を含む投票要求情報を、情報処理装置10と通信可能な状態の全ての複数のユーザ端末装置30へブロードキャスト送信する。このため、投票要求情報を受信可能な範囲に位置する全ての複数のユーザ端末装置30が、該投票要求情報を受信する。
【0153】
投票要求情報を受信したユーザ端末装置30の制御部38は、情報処理装置10から受信した投票要求情報をUI部34へ表示する。このため、ユーザ端末装置30のUI部34には、競合する複数の第1制御命令によって表される複数種類の設定温度等の設定値の一覧が表示される。また、投票要求情報が影響情報および残り時間情報含む場合には、UI部34には、競合する複数の第1制御命令によって表される複数種類の設定温度などの設定値および影響情報の一覧と、投票可能な残り時間情報であるカウントダウンタイマーの情報が表示される。
【0154】
ユーザ端末装置30を使用するユーザは、UI部34を操作することで、所望の1つの第1制御命令を選択する。例えば、ユーザ端末装置30を使用するユーザは、所望の設定温度の設定値が規定された第1制御命令を選択する。また、ユーザ端末装置30を使用するユーザは、UI部34に表示された影響情報を確認することで、影響情報によって表される地球環境に与える影響やコストを考慮した上で、第1制御命令を適切に選択することが可能となる。また、ユーザ端末装置30を使用するユーザは、投票可能な残り時間情報を確認することで、選択に要する考慮時間を調整しながら1つの第1制御命令を選択することができる。
【0155】
ユーザ端末装置30の制御部38は、UI部34を介して選択を受付けた1つの第1制御命令を投票結果情報として情報処理装置10へ送信する。
【0156】
情報処理装置10の調停部18Dは、複数のユーザ端末装置30の各々から受信した投票結果情報に基づいて、競合する複数の第1制御命令から1つの第1制御命令を、第2制御命令として生成する。
【0157】
上述したように、特定部18Bで特定された第2設定情報62に含まれる第2A期間は、情報処理装置10が競合する第1制御命令の調停処理の前処理に要する期間を表す。このため、調停部18Dは、上記第1期間の終了タイミングから第2A期間の終了タイミングまでの間に複数のユーザ端末装置30から受信した投票結果情報を、調停処理に用いる投票結果情報として扱う。
【0158】
そして、特定部18Bは、特定部18Bで特定された第2設定情報62に含まれる第2A期間が経過すると、第1期間の終了タイミングから第2A期間の終了タイミングまでの間に複数のユーザ端末装置30から受信した投票結果情報に基づいて、第2制御命令を生成する調停処理を実行する。
【0159】
特定部18Bは、複数のユーザ端末装置30から受信した投票結果情報、および調停方法を用いて、第2制御命令を生成する。
【0160】
上述したように、調停方法「投票調停」には、「投票調停・得票数」、「投票調停・平均値」、「投票調停・中央値」などの複数種類の調整方法が含まれる。
【0161】
まず、特定部18Bで特定された第2設定情報62に含まれる調停方法が「投票調停・得票数」であった場合を説明する。特定部18Bは、調停方法「投票調停・得票数」を実現するためのアルゴリズムを用いて、調停処理を実行する。
【0162】
詳細には、調停部18Dは、投票結果情報に基づいて、競合する複数の第1制御命令の内、最も得票数の多い第1制御命令を共有システム40へ送信する第2制御命令として生成する。すなわち、調停部18Dは、特定部18Bで特定した第2設定情報62によって表される調停方法が、投票調停であり、投票結果情報によって最も投票数の多い1つの第1制御命令が特定可能である場合、該1つの第1制御命令を第2制御命令として生成する。
【0163】
具体的には、例えば、競合する複数の第1制御命令にそれぞれ含まれる設定温度である設定値が「21℃」、「25℃」、および「18℃」であった場合を想定する。この場合、調停部18Dは、これらの競合する複数の第1制御命令のそれぞれに含まれる設定値である「21℃」、「25℃」、および「18℃」を含む投票要求情報を複数のユーザ端末装置30に送信する。そして、投票結果情報によって最も投票数の多い1つの第1制御命令に含まれる設定値が「21℃」であった場合を想定する。この場合、調停部18Dは、該設定値「21℃」を含む第1制御命令を、第2制御命令として生成する。
【0164】
一方、特定部18Bで特定した第2設定情報62によって表される調停方法が、投票調停であり、投票結果情報によって最も投票数の多い1つの第1制御命令が特定不可能である場合がある。詳細には、特定部18Bで特定した第2設定情報62によって表される調停方法が、投票調停であり、投票結果情報によって最も投票数の多い複数の第1制御命令が特定される場合がある。
【0165】
この場合、調停部18Dは、第2設定情報62に示される決着方法に応じて、該最も投票数の多い複数の第1制御命令から、第2制御命令を生成する。調停部18Dは、第2設定情報62に示される決着方法を実現するためのアルゴリズムを用いて、第2制御命令を生成する。
【0166】
例えば、第2設定情報62に示される決着方法が「勝負」である場合を想定する。決着方法が「勝負」である場合、調停部18Dは、投票結果情報によって表される最も投票数の多い複数の第1制御命令の各々の送信元のユーザ端末装置30へ、勝負による勝敗を決めるための勝負画面を送信する。勝負画面は、例えば、上述した「じゃんけん」と称される勝敗を決める遊戯を実行するための画面である。
【0167】
投票結果情報によって表される最も投票数の多い複数の第1制御命令の送信元のユーザ端末装置30の制御部38は、情報処理装置10から受信した勝負画面をUI部34へ表示する。ユーザ端末装置30を使用するユーザは、UI部34に表示された勝負画面を介して、競合する複数の第1制御命令の送信元のユーザ端末装置30を使用する他のユーザと、該勝負画面によって表される勝負を行う。例えば、ユーザは、勝負画面を介して他のユーザと勝敗を決めるための遊戯を行う。これらの複数のユーザ端末装置30の各々の制御部38は、直接または情報処理装置10を介して通信し、該勝負の勝敗が決定するまで該遊戯を繰り返すように制御する。そして、勝敗が決定すると、これら複数のユーザ端末装置30は、勝敗結果である1つのユーザの使用するユーザ端末装置30の識別情報を情報処理装置10へ送信する。情報処理装置10の調停部18Dは、投票結果情報によって表される最も投票数の多い複数の第1制御命令の内、該識別情報によって識別されるユーザ端末装置30から受信した第1制御命令を、第2制御命令として生成する。
【0168】
また、第2設定情報62に示される決着方法が「くじ」である場合を想定する。決着方法が「くじ」である場合、調停部18Dは、投票結果情報によって表される最も投票数の多い複数の第1制御命令の各々の送信元のユーザ端末装置30へ、「くじ」により第2制御命令として用いる第1制御命令の割り当てを決めるための複数の選択ボタンを含むくじ引き画面を送信する。複数の選択ボタンには、1つだけ当り情報が対応付けられており、くじ引き画面からは該当り情報は確認できないものとする。
【0169】
投票結果情報によって表される最も投票数の多い複数の第1制御命令の送信元のユーザ端末装置30の制御部38は、情報処理装置10から受信したくじ引き画面をUI部34へ表示する。ユーザ端末装置30を使用するユーザは、UI部34に表示されたくじ引き画面を介して、所望の1つの選択ボタンを操作する。ユーザ端末装置30の制御部38は、受付けた選択ボタンの識別情報を情報処理装置10へ送信する。情報処理装置10の調停部18Dは、複数のユーザ端末装置30の各々から受信した選択ボタンの識別情報の内、第1制御命令として用いることを表す当り情報の対応付けられた選択ボタンの識別情報の送信元のユーザ端末装置30を特定する。そして、調停部18Dは、投票結果情報によって表される最も投票数の多い複数の第1制御命令の内、特定したユーザ端末装置30から受信した第1制御命令を、第2制御命令として生成する。
【0170】
また、第2設定情報62に示される決着方法が「ランダム」であった場合を想定する。決着方法が「ランダム」である場合、調停部18Dは、投票結果情報によって表される最も投票数の多い複数の第1制御命令からランダムに1つの第1制御命令を選択する。そして、調停部18Dは、選択した第1制御命令を、第2制御命令として生成する。決着方法「ランダム」を実現するためのアルゴリズムには、例えば、得票数が最も多かった複数の第1制御命令から無作為に一つを選択するプログラムを用いればよい。
【0171】
次に、特定部18Bで特定された第2設定情報62に含まれる調停方法が「投票調停・平均値」であった場合を説明する。特定部18Bは、調停方法「投票調停・平均値」を実現するためのアルゴリズムを用いて、調停処理を実行する。
【0172】
詳細には、調停部18Dは、投票結果情報に基づいて、競合する複数の第1制御命令の各々に含まれる設定値について、投票数に応じて重み付けした平均値を、共有システム40へ送信する第2制御命令として生成する。
【0173】
具体的には、例えば、競合する複数の第1制御命令にそれぞれ含まれる設定値が「a」、「b」、および「c」であった場合を想定する。この場合、調停部18Dは、これらの競合する複数の第1制御命令のそれぞれに含まれる設定値である「a」、「b」、および「c」を含む投票要求情報を複数のユーザ端末装置30に送信する。そして、投票結果情報によって表される得票数が、設定値「a」の第1制御命令に対してN個、設定値「b」の第1制御命令に対してM個、設定値「c」の第1制御命令に対してL個、であった場合を想定する。N、M、およびLは、0以上の整数である。
【0174】
この場合、調停部18Dは、下記式(1)により、得票数に応じて重み付けした平均値を設定値として含む、第2制御命令を生成する。
【0175】
P=a×N+b×M+c×L/(N+M+L) ・・・式(1)
【0176】
式(1)中、Pは、設定値を得票数に応じて重み付けした平均値である。N、M、およびLは、各設定値を含む第1制御命令に対する得票数であり、0以上の整数である。
【0177】
次に、特定部18Bで特定された第2設定情報62に含まれる調停方法が「投票調停・中央値」であった場合を説明する。特定部18Bは、調停方法「投票調停・中央値」を実現するためのアルゴリズムを用いて、調停処理を実行する。
【0178】
詳細には、調停部18Dは、投票結果情報に基づいて、競合する複数の第1制御命令の各々に含まれる設定値について、投票数から求めた中央値を、共有システム40へ送信する第2制御命令として生成する。
【0179】
具体的には、例えば、競合する複数の第1制御命令にそれぞれ含まれる設定値が「a」、「b」、および「c」であった場合を想定する。また、これらの設定値の大小関係が、a≧b≧cの関係であった場合を想定する。この場合、調停部18Dは、これらの競合する複数の第1制御命令のそれぞれに含まれる設定値である「a」、「b」、および「c」を含む投票要求情報を複数のユーザ端末装置30に送信する。そして、投票結果情報によって表される得票数が、設定値「a」の第1制御命令に対してN個、設定値「b」の第1制御命令に対してM個、設定値「c」の第1制御命令に対してL個、であった場合を想定する。N、M、およびLは、0以上の整数である。
【0180】
この場合、調停部18Dは、値の大きい順(すなわち、a、b、cの順)に設定値を並べ、総票数(N+M+L)の中間の値である(N+M+L)/2票目にあたる設定値(例えば、設定値「b」)を、共有システム40へ送信する第2制御命令として生成する。
【0181】
なお、総票数が偶数の場合は、中央値となる設定値が2つ存在する。この場合、調停部18Dは、該2つの設定値の平均値を第2制御命令として用いる設定値とすればよい。また、中央値となる設定値が2つ存在する場合には、調停部18Dは、第2設定情報62に示される決着方法を用いて、該2つの中央値の何れか一方を、第2制御命令と用いる設定値として決定してもよい。また、第2設定情報62に決着方法が示されない場合、調停部18Dは、該2つの設定値の平均値を、第2制御命令として用いる設定値として決定してもよい。
【0182】
次に、第2設定情報62によって表される調停方法が「ランダム調停」である場合を想定して説明する。具体的には、特定部18Bによって特定された第2設定情報62が、図4に示す第2設定情報62Fであった場合を想定する。特定部18Bは、調停方法「ランダム調停」を実現するためのアルゴリズムを用いて、調停処理を実行する。
【0183】
「ランダム調停」は、上述したように、競合する複数の第1制御命令から情報処理装置10がランダムに1つの第1制御命令を特定する調停方法である。
【0184】
このため、この場合、調停部18Dは、競合する複数の第1制御命令からランダムに選択した1つの第1制御命令を、第2制御命令として生成する。
【0185】
次に、第2設定情報62によって表される調停方法が「学習調停」である場合を想定して説明する。具体的には、特定部18Bによって特定された第2設定情報62が、図4に示す第2設定情報62Gであった場合を想定する。特定部18Bは、調停方法「学習調停」を実現するためのアルゴリズムを用いて、調停処理を実行する。
【0186】
「学習調停」は、上述したように、学習モデルを用いて調停する調停方法である。
【0187】
調停方法が「学習調停」である場合、第2設定情報62は、学習モデルを用いて、調停対象の環境情報から予測設定値を取得する。
【0188】
学習モデルは、環境情報を入力とし、共有システム40の予測設定値を出力とする学習モデルである。学習モデルに入力する環境情報とは、調停対象の環境を表す情報である。調停対象とは、共有システム40の設置された空間である。例えば、共有システム40が特定の室内に設置されている場合、調停対象の環境は、該室内、または該室内に隣接する外空間の環境である。調停対象の環境とは、例えば、温度、湿度、風速、気圧、などであるがこれらに限定されない。
【0189】
調停部18Dは、学習データを用いて予め学習モデルを学習し、記憶部16に予め記憶すればよい。
【0190】
図12は、学習データのデータ構成の一例の模式図である。
【0191】
図12には、環境情報が調停対象の一例である室内に隣接する外空間の外気温である形態を一例として示す。この場合、学習データは、例えば、過去のあるタイミングの日時と、該日時のときの調停対象の外気温と、該外気温であるときに共有システム40に設定された設定値と、を対応付けたデータである。
【0192】
学習データは、過去の制御履歴等を用いて予め作成すればよい。また、学習データには、調停対象の環境を表す情報が含まれていればよく、環境は外気温に限定されない。例えば、調停対象の環境には、共有システム40が空調の場合には一般的に人間が快適に感じる室温、共有システム40が照明の場合にはその場所で行う作業に応じた適当な照度、等であってもよい。また、情報処理装置10は、学習データの内容に応じて、表示画面54(図5参照)に示される選択ボタン画像に表示する希望を表す情報の文章を変更してもよい。また、学習データや、実行するアルゴリズムの内容、対応情報の設定は、第2受信制御部18Aを介して管理者端末装置20からいつでも行うことができるものとしてよい。
【0193】
そして、調停部18Dは、学習データに示される外気温を入力とし、学習データに示される対応する設定値を予測設定値として出力するように、公知のディープラーニング等のアルゴリズムを用いて学習することで、学習モデルを予め生成する。そして、調停部18Dは、生成した学習モデルを、例えば記憶部16に記憶する。学習モデルの学習に用いるアルゴリズムは、第2設定情報に含まれるアルゴリズムを用いてもよい。
【0194】
調停部18Dは、制御対象の共有システム40の調停対象の環境の一例である現在の外気温を学習モデルへ入力し、該学習モデルから出力された予測設定値を取得する。
【0195】
調停部18Dは、制御対象の共有システム40の調停対象の環境の一例である現在の外気温を、天気予報情報を配信する天気予報サーバや外部の情報処理装置等からネットワーク等を介して取得すればよい。また、調停部18Dは、制御対象の共有システム40を実際に制御するタイミングの予想の外気温を取得してもよい。また、情報処理装置10に調停対象の環境を計測するセンサ等を備えたシステムを搭載した構成とし、調停部18Dは、該システムから調停対象の環境を取得してもよい。なお、調停部18Dは、調停対象の環境を取得可能であればよく、調停対象の環境を計測するセンサ等を備えたシステムの搭載場所は情報処理装置10に限定されない。例えば、調停対象の環境を計測するセンサ等を備えたシステムは、ネットワークNを介して情報処理装置10に接続された各種の端末、外部の情報処理装置、等であってもよい。
【0196】
また、調停部18Dは、リアルタイムで学習モデルを学習し、該学習した学習モデルを用いて、予測設定値を取得してもよい。また、調停部18Dは、第1期間の終了タイミングから学習モデルの学習を開始してもよい。また、調停部18Dは、予め学習モデルを学習し、第1期間の終了タイミングに該学習モデルへ調停対象の環境を入力することによって、該学習モデルからの出力として予測設定値を取得することで、計算時間の短縮を図ってもよい。
【0197】
そして、調停部18Dは、競合する複数の第1制御命令に含まれる設定値と、学習モデルから取得した予測設定値と、に応じて第2制御命令を生成する。
【0198】
例えば、調停部18Dは、競合する複数の第1制御命令に含まれる設定値の内、予測設定値に最も近い設定値を含む第2制御命令を生成する。また、例えば、調停部18Dは、競合する複数の第1制御命令に含まれる設定値の内、予測設定値に最も近い設定値と予測設定値との平均値を設定値として含む、第2制御命令を生成してもよい。
【0199】
次に、第2設定情報62によって表される調停方法が、管理者が独自に設定した調停方法である「独自」である場合を想定して説明する。具体的には、特定部18Bによって特定された第2設定情報62が、図4に示す第2設定情報62Hであった場合を想定する。
【0200】
この場合、調停部18Dは、第2設定情報62Hにおける対応するアルゴリズムによって表される独自方法に応じて調停処理を行い、第2制御命令を生成すればよい。
【0201】
以上のようにして、調停部18Dは、特定部18Bで特定した第2設定情報62によって表される調停方法に基づいて、競合する複数の第1制御命令から、共有システム40へ出力する第2制御命令を生成する調停処理を実行する。
【0202】
図1に戻り説明を続ける。
【0203】
送信制御部18Eは、調停部18Dによる調停処理によって生成された第2制御命令を、共有システム40へ送信する。第2制御命令には、調停部18Dによる調停処理によって特定された、共有システム40に対する1つの設定値が含まれる。なお、送信制御部18Eは、調停部18Dで調停処理時に用いた第2設定情報62に含まれる第3期間を表す情報を更に含む第2制御命令を共有システム40へ送信してよい。第3期間は、上述したように、共有システム40に送信された第2制御命令の有効期間を表す。
【0204】
なお、共有システム40に対する第1制御命令が競合しない場合がある。この場合、送信制御部18Eは、受信した第1制御命令に含まれる設定値を含む第2制御命令を、共有システム40へ送信すればよい。
【0205】
詳細には、例えば、共有システム40に対して送信された第1制御命令が競合しない、すなわち唯一、または、同じ設定値を有する第1制御命令であった場合には、送信制御部18Eは、該第1制御命令をそのまま第2制御命令として共有システム40へ送信すればよい。
【0206】
また、共有システム40に対する第1制御命令が競合しない場合、制御部18は、前回採用さされた第1制御命令と今回受信した第1制御命令とを競合する複数の第1制御命令として用い、上記と同様の調停処理を行うことで第2制御命令を生成し、共有システム40へ送信してもよい。
【0207】
図13は、第2制御命令のデータ構成の一例の模式図である。例えば、第2制御命令は、調停部18Dによる調停処理によって特定された、共有システム40に対する1つの設定値、および当該第2制御命令の有効期間である第3期間を表す情報、を含む。
【0208】
第2制御命令を受信した共有システム40は、第2制御命令に含まれる設定値を実現するように動作する。例えば、共有システム40が空調である場合、受信した第2制御命令に含まれる設定値である設定温度を実現するように動作する。
【0209】
また、共有システム40は、第2制御命令に有効期間を表す第3期間を表す情報が含まれる場合、該第3期間の間は、ユーザ端末装置30などの他の情報処理装置から受信した制御命令を無効とするように制御してよい。
【0210】
また、送信制御部18Eは、第2制御命令を共有システム40へ送信すると、該第2制御命令に含まれる設定値に共有システム40が設定されたことを表すメッセージを、競合する複数の第1制御命令の送信元のユーザ端末装置30へ送信してよい。また、送信制御部18Eは、第2設定情報62に含まれる第3期間の残り時間を表すカウントダウンタイマーの情報を、競合する複数の第1制御命令の送信元のユーザ端末装置30へ送信してよい。
【0211】
これらのメッセージおよびカウントダウンタイマーの情報を受信したユーザ端末装置30の制御部38は、これらのメッセージおよびカウントダウンタイマーの情報をUI部34へ出力する。
【0212】
図14は、メッセージおよびカウントダウンタイマーの情報の表示画面59の一例を示す模式図である。ユーザ端末装置30のユーザは表示画面59を視認することで、共有システム40に対して設定された設定値、および該設定値の有効期間を確認することができる。
【0213】
なお、情報処理装置10の第1受信制御部18Cは、送信制御部18Eが共有システム40へ第2制御命令を送信してから第2設定情報62に示される第3期間が経過するまでの期間、新たな第1制御命令をユーザ端末装置30から受付けないように制御してよい。そして、送信制御部18Eは、該第1制御命令の送信元のユーザ端末装置30へ、第3期間が経過するまで共有システム40の制御を行えないため第1制御命令の再送を促すメッセージを送信してよい。ユーザ端末装置30の制御部38は、受信した該メッセージをUI部34へ表示すればよい。
【0214】
また、第1受信制御部18Cは、該期間に受付けた新たな第1制御命令を記憶部16に記憶し、第3期間が経過するまで該第1制御命令を無効にしておく。そして、送信制御部18Eは、第3期間が経過したら送信済の該第1制御命令が有効になることを表すメッセージと、該第3期間が経過するまでに要する残り時間と、をユーザ端末装置30へ送信してよい。ユーザ端末装置30の制御部38は、受信した該メッセージおよび残り時間を、UI部34へ表示すればよい。
【0215】
そして、情報処理装置10の第2受信制御部18Aは、第3期間が経過すると、ユーザ端末装置30からの第1制御命令の受信を再開する。そして、情報処理装置10では、新たにユーザ端末装置30から第1制御命令を受信したタイミングを第1期間の最初のタイミングとし、第2設定情報62に示される第1期間、第2期間、および第3期間に沿って一連の期間項目によって表される処理を繰り返し実行すればよい。
【0216】
このため、前回の第3期間に共有システム40で実行されていた第2制御命令は、次の第1期間が開始されるまで、または次の新たな第2制御命令が共有システム40へ送信されるまで、共有システム40で実行され続けることとなる。
【0217】
また、前回の第3期間に共有システム40で実行されていた第2制御命令が、次の第1期間が開始されるまで共有システム40で実行される続ける場合、次の第1期間に受信した競合する複数の第1制御命令に応じた第2制御命令が共有システム40へ送信されるまで、共有システム40は前回受信した第2制御命令を実行し続けることとなる。
【0218】
また、第2設定情報62に示される調停方法によっては、第2A期間を経由せずに第2B期間へと遷移する場合がある。この場合、情報処理装置10は、第2B期間の冒頭のタイミングにおいて、第2設定情報62に示される調停方法を特定し、該調停方法を実現するためのアルゴリズムを記憶部16から読み取り実行すればよい。
【0219】
なお、管理者による管理者端末装置20を用いた第1設定情報60の入力および管理者端末装置20から情報処理装置10への第1設定情報60の送信は、情報処理装置10が第1期間~第3期間および第3期間と第1期間との間の期間、の何れの期間の処理を実行中のタイミングであってもよい。上述したように、情報処理装置10の第2受信制御部18Aは、管理者端末装置20から第1設定情報60を常時受信可能である。但し、調停部18Dによる調停処理の実行中である第2期間および第2制御命令が有効である第3期間の間に第2受信制御部18Aで受信した第1設定情報60については、次回の第2期間、すなわち次回の調停処理時に用いるための第2設定情報62の生成に用いればよい。
【0220】
次に、本実施形態の情報処理装置10で実行する情報処理の流れの一例を説明する。
【0221】
図15は、本実施形態の情報処理装置10で実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0222】
第2受信制御部18Aは、第1設定情報60を管理者端末装置20から受信する(ステップS100)。なお、上述したように、第2受信制御部18Aは、第1設定情報60を記憶部16から取得してもよい。
【0223】
特定部18Bは、ステップS100で受信した第1設定情報60を用いて第2設定情報62を特定する(ステップS102)。ステップS102の処理によって、特定部18Bは、設定項目である調停方法、アルゴリズム、決着方法、期間項目(第1期間、第2期間、第3期間)、の各々の設定値を規定した、第2設定情報62を特定する。具体的には、例えば、特定部18Bは、図4に示す第2設定情報62A~第2設定情報62Hに示す何れかの第2設定情報62を特定する。
【0224】
第1受信制御部18Cは、複数のユーザ端末装置30から共有システム40に対する第1制御命令を受信する(ステップS104)。次に、第1受信制御部18Cは、ステップS102で特定した第2設定情報62に含まれる第1期間を経過したか否かを判断する(ステップS106)。ステップS106で否定判断すると(ステップS106:No)、上記ステップS104へ戻る。ステップS106で肯定判断すると(ステップS106:Yes)、ステップS108へ進む。ステップS104およびステップS106の処理によって、第1受信制御部18Cは、ステップS102で特定した第2設定情報62に含まれる第1期間の間にユーザ端末装置30から受信した複数の第1制御命令を、競合する複数の第1制御命令として取得する。
【0225】
次に、調停部18Dは、ステップS102で特定した第2設定情報62によって表される調停方法に基づいて、ステップS104~ステップS106の処理によって受信した競合する複数の第1制御命令から、共有システム40へ出力する第2制御命令を生成する調停処理を実行する(ステップS108)。調停処理の詳細な流れは後述する。
【0226】
送信制御部18Eは、ステップS108の調停処理によって生成された第2制御命令を、共有システム40へ送信する(ステップS110)。第2制御命令を受信した共有システム40は、第2制御命令に含まれる設定値を実現するように動作する。例えば、共有システム40が空調である場合、受信した第2制御命令に含まれる設定値である設定温度を実現するように動作する。そして、本ルーチンを終了する。
【0227】
次に、調停処理の流れの一例を説明する。
【0228】
図16は、調停処理の流れの一例を示すフローチャートである。図16に示す調停処理の流れは、図15のステップS108の調停処理の詳細な流れの一例を示す。
【0229】
調停部18Dは、ステップS102(図15参照)で特定した第2設定情報62によって表される調停方法が「投票調停」であるか否かを判断する(ステップS200)。調停部18Dは、ステップS102で特定した第2設定情報62によって表される調停方法が、「投票調停・得票数」、「投票調停・平均値」、および「投票調停・中央値」の何れかであるか否かを判別することで、ステップS200の判断を行う。調停方法が「投票調停」であると判断した場合(ステップS200:Yes)、ステップS202へ進む。
【0230】
ステップS202では、調停部18Dは、競合する複数の第1制御命令を含む投票要求情報を生成し、複数のユーザ端末装置30の各々へ送信制御する。具体的には、調停部18Dは、競合する複数の第1制御命令を含む投票要求情報を、情報処理装置10と通信可能な状態の全ての複数のユーザ端末装置30へブロードキャスト送信する。このため、投票要求情報を受信可能な範囲に位置する全ての複数のユーザ端末装置30が、該投票要求情報を受信する。
【0231】
次に、調停部18Dは、投票結果情報をユーザ端末装置30から受信する(ステップS204)。そして、調停部18Dは、ステップS102で特定した第2設定情報62に含まれる第2A期間を経過したか否かを判断する(ステップS206)。例えば、調停部18Dは、ステップS106(図15参照)で判断した第1期間の終了タイミングからカウントを開始し、ステップS102で特定した第2設定情報62に含まれる第2A期間を経過したか否かを判断する。ステップS206で否定判断すると(ステップS206:No)、上記ステップS204へ戻る。ステップS206で肯定判断すると(ステップS206:Yes)、ステップS208へ進む。
【0232】
ステップS208では、調停部18Dは、ステップS102(図15参照)で特定した第2設定情報62によって表される調停方法が「投票調停・得票数」であるか否かを判断する(ステップS208)。調停方法が「投票調停・得票数」であると判断した場合(ステップS208:Yes)、ステップS210へ進む。
【0233】
ステップS210では、調停部18Dは、ステップS204~ステップS206の処理によって受信した投票結果情報によって最も投票数の多い1つの第1制御命令が特定可能であるか否かを判断する(ステップS210)。1つの第1制御命令を特定可能であった場合(ステップS210:Yes)、ステップ212へ進む。
【0234】
ステップS212では、調停部18Dは、特定した1つの第1制御命令を第2制御命令として生成する(ステップS212)。そして、本ルーチンを終了する。
【0235】
一方、ステップS210で最も投票数の多い1つの第1制御命令を特定できなかった場合(ステップS210:No)、ステップS214へ進む。すなわち、調停部18Dは、投票結果情報によって最も投票数の多い複数の第1制御命令が特定された場合、ステップS214へ進む。
【0236】
ステップS214では、調停部18Dは、ステップS102(図15参照)で特定した第2設定情報62に示される決着方法に応じて、該最も投票数の多い複数の第1制御命令から、1つの第1制御命令を特定する(ステップS214)。そして、上記ステップS212へ進む。
【0237】
一方、上記ステップS208において、ステップS102(図15参照)で特定した第2設定情報62によって表される調停方法が「投票調停・得票数」ではないと判断した場合(ステップS208:No)、ステップS216へ進む。
【0238】
ステップS216では、調停部18Dは、ステップS102(図15参照)で特定した第2設定情報62によって表される調停方法が「投票調停・平均値」であるか否かを判断する(ステップS216)。調停方法が「投票調停・平均値」であると判断した場合(ステップS216:Yes)、ステップS218へ進む。
【0239】
ステップS218では、調停部18Dは、競合する複数の第1制御命令の各々に含まれる設定値について、投票数に応じて重み付けした平均値を設定値として含む第1制御命令を特定する(ステップS218)。そして、上記ステップS212へ進む。
【0240】
一方、ステップS216で否定判断した場合(ステップS216:No)、調停部18Dは、ステップS102(図15参照)で特定した第2設定情報62によって表される調停方法が「投票調停・中央値」であると判断する。そして、ステップS220へ進む。
【0241】
ステップS220では、調停部18Dは、投票結果情報に基づいて、競合する複数の第1制御命令の各々に含まれる設定値について、投票数から求めた中央値を設定値として含む第1制御命令を特定する(ステップS220)。そして、上記ステップS212へ進む。
【0242】
一方、上記ステップS200で否定判断すると(ステップS200:No)、ステップS222へ進む。ステップS222では、調停部18Dは、ステップS102(図15参照)で特定した第2設定情報62によって表される調停方法が「ランダム調停」であるか否かを判断する(ステップS222)。
【0243】
ステップS102(図15参照)で特定した第2設定情報62によって表される調停方法が「ランダム調停」であると判断した場合(ステップS222:Yes)、ステップS224へ進む。ステップS224では、調停部18Dは、競合する複数の第1制御命令からランダムに選択した1つの第1制御命令を特定する(ステップS224)。そして、上記ステップS212へ進む。
【0244】
ステップS222で否定判断すると(ステップS222:No)、ステップS226へ進む。ステップS226では、調停部18Dは、ステップS102(図15参照)で特定した第2設定情報62によって表される調停方法が「学習調停」であるか否かを判断する(ステップS226)。
【0245】
ステップS102(図15参照)で特定した第2設定情報62によって表される調停方法が「学習調停」であると判断した場合(ステップS226:Yes)、ステップS228へ進む。
【0246】
ステップS228では、調停部18Dは、記憶部16に記憶されている学習モデルを用いて、調停対象の環境情報から予測設定値を取得する(ステップS228)。例えば、調停部18Dは、制御対象の共有システム40の調停対象の環境の一例である現在の外気温を学習モデルへ入力し、該学習モデルから出力された予測設定値を取得する。
【0247】
そして、調停部18Dは、競合する複数の第1制御命令に含まれる設定値と、ステップS230で学習モデルから取得した予測設定値と、に応じて第2制御命令に用いる設定値を特定する(ステップS230)。そして、調停部18Dは、特定した設定値を含む第1制御命令を特定し、上記ステップS212へ進む。
【0248】
ステップS226で否定判断すると(ステップS226:No)、調停部18Dは、ステップS102(図15参照)で特定した第2設定情報62によって表される調停方法が「独自」であると判断し、ステップS232へ進む。
【0249】
ステップS232では、調停部18Dは、ステップS102(図15参照)で特定した第2設定情報62における対応するアルゴリズムによって表される独自方法に応じて調停処理を行い、第2制御命令として用いる第1制御命令をと工程する(ステップS232)。そして、上記ステップ212へ進む。
【0250】
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置10は、特定部18Bと、調停部18Dと、を備える。特定部18Bは、共有システム40に対する調停処理の設定に関する第1設定情報60に基づいて、共有システム40に対する第1制御命令の調停処理に用いる調停方法を少なくとも含む第2設定情報62を特定する。調停部18Dは、特定した第2設定情報62によって表される調停方法に基づいて、第1制御命令から共有システム40へ出力する第2制御命令を生成する調停処理を実行する。
【0251】
ここで、近年、様々なモノは通信ネットワークに接続されており、複数のユーザが遠隔から1つの共有システム40を操作することが可能になっている。例えば、空調や照明、電動ブラインドなどに代表される共有システム40は、多数のユーザによって自由に制御され得る。多数のユーザが1つの共有システム40の制御を試みた場合、制御命令の競合が生じる。そのため、それらを適切に調停する調停処理が必要になる。
【0252】
従来技術では、管理者がユーザごとまたはユーザ端末装置30ごとに優先レベルを予め設定および適宜更新していた。また、従来技術では、管理者は、どのようなアクティビティを優先するか等などの優先度の設計や、どのような属性を優先させるか等、詳細な優先度の設計を予め行う必要があった。そして、従来技術では、複数のユーザ端末装置30から競合する複数の第1制御命令が共有システム40に対して送信された場合、予め設定された優先レベルや優先度の設計に応じて1つの第1制御命令を特定する調停処理を行っていた。
【0253】
このため、従来技術では、調停処理を行うためには、管理者は、予め複数のユーザごとまたは複数のユーザ端末装置30の各々ごとに優先レベルの設定および必要に応じて優先レベルの更新を行う必要があり、調停処理に関する管理者による管理業務の負荷が増大する場合があった。また、フリーアドレスやABW(Activity Based Working)のようなオフィスを自由に利用しようとする近年の流れに対して、このような管理者による管理業務の負担軽減がより求められる傾向にある。
【0254】
一方、本実施形態の情報処理装置10では、特定部18Bが、共有システム40に対する調停処理の設定に関する第1設定情報60に基づいて、共有システム40に対する第1制御命令の調停処理に用いる調停方法を少なくとも含む第2設定情報62を特定する。そして、調停部18Dは、特定した第2設定情報62によって表される調停方法に基づいて、共有システム40へ出力する第2制御命令を生成する調停処理を実行する。
【0255】
このため、本実施形態の情報処理装置10では、情報処理システム1つの管理者が予め複数のユーザごとまたは複数のユーザ端末装置30の各々ごとに優先レベルの設定、優先レベルの更新、優先度の設計、などの煩雑な管理業務を行うことなく、調停部18Dが調停処理を実行することができる。このため、本実施形態の情報処理装置10は、情報処理システム1の管理者による管理業務の負荷軽減を図ることができる。
【0256】
従って、本実施形態の情報処理装置10は、調停処理に関する管理業務の負荷軽減を図ることができる。
【0257】
また、本実施形態の情報処理装置10では、第2設定情報に含まれる調停方法は、複数のユーザ端末装置30による投票に応じた調停方法である投票調停、競合する複数の第1制御命令からランダムに1つの第1制御命令を特定するランダム調停、学習モデルを用いて調停する学習調停、の少なくとも1つを含む。
【0258】
そして、本実施形態の情報処理装置10の調停部18Dは、第2設定情報62によって表される調停方法が投票調停である場合、競合する複数の第1制御命令を含む投票要求情報を複数の前記ユーザ端末装置の各々へ送信制御し、複数のユーザ端末装置30の各々から受信した投票要求情報に含まれる1つの第1制御命令を表す投票結果情報に基づいて、競合する複数の第1制御命令から1つの第1制御命令を、第2制御命令として生成する。
【0259】
このため、本実施形態の情報処理装置10は、調停処理時に情報処理装置10と通信可能な全てのユーザ端末装置30による希望を考慮した第2制御命令を生成することができる。よって、本実施形態の情報処理装置10は、上記効果に加えて、調停処理に関するユーザ満足度の向上を図ることができる。
【0260】
また、本実施形態の情報処理装置10の第2受信制御部18Aは、第1設定情報60を管理者端末装置20から受信することができる。このため、情報処理システム1の運用後であっても、管理者は、現在用いられている調停方法とは異なる調停方法を用いるように、容易に調停方法を追加または変更することが可能となる。すなわち、管理者は、情報処理システム1の運用開始前までに調停処理に関する綿密な設計を行う必要が無い。よって、本実施形態の情報処理装置10は、上記効果に加えて、管理者による利便性の向上を図ることができる。
【0261】
なお、本実施形態では、調停方法が、「投票調停」、「ランダム調停」、「学習調停」、の少なくとも1つを含む形態を一例として説明した。しかし、調停方法には、上述した決着方法に相当する「くじ」、「勝負」等が更に含まれていてもよい。
【0262】
すなわち、第2設定情報に含まれる調停方法は、複数のユーザ端末装置30による投票に応じた調停方法である「投票調停」、競合する複数の第1制御命令からランダムに1つの第1制御命令を特定する「ランダム調停」、学習モデルを用いて調停する「学習調停」、くじ引きによって1つの第1制御命令を特定する「くじ」、勝敗によって1つの第1制御命令を特定する「勝負」、の少なくとも1つを含んでいてよい。
【0263】
調停方法「くじ」とは、競合する複数の第1制御命令の各々の送信元のユーザ端末装置30を操作するユーザにより”くじ引き“を行い、当たりを引いたユーザの使用するユーザ端末装置30から送信された第1制御命令を共有システム40へ送信する第2制御命令として用いることを表す調停方法である。
【0264】
調停方法「勝負」とは、競合する複数の第1制御命令の各々の送信元のユーザ端末装置30を操作するユーザによる予め定めた勝負による勝敗によって、1つの第1制御命令を特定し、特定した第1制御命令を、共有システム40へ送信する第2制御命令として用いることを表す調停方法である。
【0265】
この場合、特定部18Bは、調停方法として、「くじ」、「勝負」の何れかが更に設定された第2設定情報62を特定する。
【0266】
このため、調停部18Dは、第2設定情報62によって表される調停方法が「投票調停」、「ランダム調停」、「学習調停」の何れであるかの判断に加えて、更に、第2設定情報62によって表される調停方法が「くじ」、「勝負」の何れであるかを更に判断すればよい。
【0267】
調停部18Dは、第2設定情報62によって表される調停方法が「くじ」であった場合には、競合する複数の第1制御命令の各々の送信元のユーザ端末装置30へ、「くじ」により第2制御命令として用いる第1制御命令の割り当てを決めるための複数の選択ボタンを含むくじ引き画面を送信する。複数の選択ボタンには、1つだけ当り情報が対応付けられており、くじ引き画面からは該当り情報は確認できないものとする。
【0268】
競合する複数の第1制御命令の送信元のユーザ端末装置30の制御部38は、情報処理装置10から受信したくじ引き画面をUI部34へ表示する。ユーザ端末装置30を使用するユーザは、UI部34に表示されたくじ引き画面を介して、所望の1つの選択ボタンを操作する。ユーザ端末装置30の制御部38は、受付けた選択ボタンの識別情報を情報処理装置10へ送信する。情報処理装置10の調停部18Dは、複数のユーザ端末装置30の各々から受信した選択ボタンの識別情報の内、第1制御命令として用いることを表す当り情報の対応付けられた選択ボタンの識別情報の送信元のユーザ端末装置30を特定する。そして、調停部18Dは、競合する複数の第1制御命令の内、特定したユーザ端末装置30から受信した第1制御命令を、第2制御命令として生成すればよい。
【0269】
また、調停部18Dは、第2設定情報62によって表される調停方法が「勝負」であった場合には、競合する複数の第1制御命令の各々の送信元のユーザ端末装置30へ、勝負による勝敗を決めるための勝負画面を送信する。勝負画面は、例えば、上述した「じゃんけん」と称される勝敗を決める遊戯を実行するための画面である。
【0270】
競合する複数の第1制御命令の送信元のユーザ端末装置30の制御部38は、情報処理装置10から受信した勝負画面をUI部34へ表示する。ユーザ端末装置30を使用するユーザは、UI部34に表示された勝負画面を介して、競合する複数の第1制御命令の送信元のユーザ端末装置30を使用する他のユーザと、該勝負画面によって表される勝負を行う。例えば、ユーザは、勝負画面を介して他のユーザと勝敗を決めるための遊戯を行う。これらの複数のユーザ端末装置30の各々の制御部38は、直接または情報処理装置10を介して通信し、該勝負の勝敗が決定するまで該遊戯を繰り返すように制御する。そして、勝敗が決定すると、これら複数のユーザ端末装置30は、勝敗結果である1つのユーザの使用するユーザ端末装置30の識別情報を情報処理装置10へ送信する。情報処理装置10の調停部18Dは、競合する複数の第1制御命令の内、該識別情報によって識別されるユーザ端末装置30から受信した第1制御命令を、第2制御命令として生成すればよい。
【0271】
このように、調停部18Dは、特定部18Bで特定した第2設定情報62によって表される調停方法の一例である「投票調停」、「ランダム調停」、「学習調停」、「くじ」、「勝負」等に基づいて、競合する複数の第1制御命令から、共有システム40へ出力する第2制御命令を生成する調停処理を実行してもよい。
【0272】
このため、本実施形態の情報処理装置10は、調停処理時に情報処理装置10と通信可能な全てのユーザ端末装置30による希望を考慮した第2制御命令を生成することができる。よって、本実施形態の情報処理装置10は、上記効果に加えて、調停処理に関するユーザ満足度の更なる向上を図ることができる。
【0273】
なお、本実施形態では、情報処理システム1が1つの共有システム40を備える形態を一例として説明した。しかし、情報処理システム1は、複数の共有システム40を備える形態であってよい。この場合、第1制御命令は、制御対象の共有システム40の識別情報を更に含む構成であればよい。そして、この場合、情報処理装置10の制御部18は、同じ識別情報によって識別される1つの共有システム40に対する複数の第1制御命令を、競合する複数の第1制御命令として扱い、上記と同様の処理を実行すればよい。
【0274】
次に、上記実施形態の情報処理装置10、管理者端末装置20、ユーザ端末装置30、および共有システム40のハードウェア構成の一例を説明する。
【0275】
図17は、上記実施形態の情報処理装置10、管理者端末装置20、ユーザ端末装置30、および共有システム40の一例のハードウェア構成図である。
【0276】
上記実施形態の情報処理装置10、管理者端末装置20、ユーザ端末装置30、および共有システム40は、CPU(Central Processing Unit)90Bなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)90CやRAM(Random Access Memory)90DやHDD(Hard Disk Drive)90Eなどの記憶装置と、各種機器とのインターフェースであるI/F部90Aと、各部を接続するバス90Fとを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0277】
上記実施形態の情報処理装置10、管理者端末装置20、ユーザ端末装置30、および共有システム40では、CPU90Bが、ROM90CからプログラムをRAM90D上に読み出して実行することにより、上記各部がコンピュータ上で実現される。
【0278】
なお、上記実施形態の情報処理装置10、管理者端末装置20、ユーザ端末装置30、および共有システム40で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、HDD90Eに記憶されていてもよい。また、上記実施形態の情報処理装置10、管理者端末装置20、ユーザ端末装置30、および共有システム40で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、ROM90Cに予め組み込まれて提供されていてもよい。
【0279】
また、上記実施形態の情報処理装置10、管理者端末装置20、ユーザ端末装置30、および共有システム40で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、上記実施形態の情報処理装置10、管理者端末装置20、ユーザ端末装置30、および共有システム40で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記実施形態の情報処理装置10、管理者端末装置20、ユーザ端末装置30、および共有システム40で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0280】
なお、上記には、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0281】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
18A 第2受信制御部
18B 特定部
18C 第1受信制御部
18D 調停部
18E 送信制御部
20 管理者端末装置
30 ユーザ端末装置
40 共有システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17