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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130384
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】混練機制御方法および該装置
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/28 20060101AFI20240920BHJP
   B29B 7/20 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B29B7/28
B29B7/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040065
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】梅谷 浩介
【テーマコード(参考)】
4F201
【Fターム(参考)】
4F201AA45
4F201AM23
4F201AR06
4F201AR07
4F201AR09
4F201BA01
4F201BC01
4F201BC02
4F201BK01
4F201BK14
4F201BK26
4F201BK73
4F201BK74
4F201BK75
(57)【要約】
【課題】本発明は、始動時から過渡期において、混練機をより適切に制御できる混練機制御方法および混練機制御装置を提供する。
【解決手段】本発明の混練機制御方法は、混練チャンバーに投入された被混練物を混練ロータの回転によって混練する混練機を制御する方法であって、混練の開始から、所定の回転速度で前記混練ロータを回転させて前記被混練物の温度を上昇させる温度調整工程と、前記温度調整工程の終了に続いて実行され、前記混練ロータの回転速度が目標回転速度になるまで前記混練ロータの回転速度を制御する回転速度調整工程と、前記回転速度調整工程の終了に続いて実行され、前記目標回転速度を初期値として、前記被混練物の温度が目標温度となるように前記混練ロータの回転速度をフィードバック制御するフィードバック制御工程とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混練チャンバーに投入された被混練物を混練ロータの回転によって混練する混練機を制御する混練機制御方法であって、
混練の開始から、所定の回転速度で前記混練ロータを回転させて前記被混練物の温度を上昇させる温度調整工程と、
前記温度調整工程の終了に続いて実行され、前記混練ロータの回転速度が目標回転速度になるまで前記混練ロータの回転速度を制御する回転速度調整工程と、
前記回転速度調整工程の終了に続いて実行され、前記目標回転速度を初期値として、前記被混練物の温度が目標温度となるように前記混練ロータの回転速度をフィードバック制御するフィードバック制御工程とを備える、
混練機制御方法。
【請求項2】
前記被混練物の温度を含む第1パラメータに基づいて前記フィードバック制御工程の開始後の所定時間内における前記被混練物の温度上昇幅を前記温度調整工程で予測する第1予測モデルをさらに備え、
前記温度調整工程は、
前記第1パラメータを求めるための所定の第1物理量を測定する第1測定工程と、前記第1測定工程で測定した第1物理量に基づいて求めた第1パラメータを前記第1予測モデルに用いることによって前記被混練物の温度上昇幅を求める第1予測工程と、
前記第1測定工程で測定した前記被混練物の温度に前記第1予測工程で予測した温度上昇幅を加算した加算結果が前記目標温度に達したか否かを判定し、前記判定の結果、前記目標温度に達している場合には、当該温度調整工程を終了して前記回転速度調整工程を実行し、前記判定の結果、前記目標温度に達していない場合には、当該温度調整工程を継続する第1判定工程とを備える、
請求項1に記載の混練機制御方法。
【請求項3】
前記被混練物の温度を含む第2パラメータに基づいて前記目標回転速度を予測する第2予測モデルをさらに備え、
前記第2パラメータを求めるための所定の第2物理量を測定する第2測定工程と、
前記第2測定工程で測定した第2物理量に基づいて求めた第2パラメータを前記第2予測モデルに用いることによって前記目標回転速度を求める回転速度演算工程とをさらに備え、
前記回転速度調整工程は、
前記混練ロータの回転速度を測定する第3測定工程と、
前記第3測定工程で測定した前記混練ロータの回転速度が前記回転速度演算工程で求めた目標回転速度に達したか否かを判定し、前記判定の結果、前記目標回転速度に達している場合には、当該回転速度調整工程を終了して前記フィードバック制御工程を実行し、前記判定の結果、前記目標回転速度に達していない場合には、当該回転速度調整工程を継続する第2判定工程とを備える、
請求項1に記載の混練機制御方法。
【請求項4】
前記混練機は、前記混練チャンバーに投入された被混練物を押圧する第1ラム位置と前記混練チャンバーに投入された被混練物を押圧しない第2ラム位置とを有するラムをさらに備え、
前記第1および第2予測モデルは、それぞれ、前記温度調整工程での第1ラム位置、前記温度調整工程での第2ラム位置、前記フィードバック制御工程での第1ラム位置および前記フィードバック制御工程での第2ラム位置の組み合わせに応じて設けられている、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の混練機制御方法。
【請求項5】
前記第1および第2予測モデルそれぞれは、機械学習モデルであり、
前記混練の開始のたびに、各制御タイミングそれぞれについて、前記第1および第2測定工程それぞれで測定した第1および第2物理量を当該制御タイミングと対応付けて実績情報として実績情報記憶部に記憶する記憶工程と、
前記実績情報記憶部に記憶された実績情報に基づく第1および第2学習データを用いて前記第1および第2予測モデルそれぞれを機械学習する機械学習工程とをさらに備える、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の混練機制御方法。
【請求項6】
混練チャンバーに投入された被混練物を混練ロータの回転によって混練する混練機を制御する混練機制御装置であって、
混練の開始から、所定の回転速度で前記混練ロータを回転させて前記被混練物の温度を上昇させる温度調整処理を実行する温度調整部と、
前記温度調整処理の終了に続いて実行され、前記混練ロータの回転速度が目標回転速度になるまで前記混練ロータの回転速度を制御する回転速度調整処理を実行する回転速度調整部と、
前記回転速度調整処理の終了に続いて実行され、前記目標回転速度を初期値として、前記被混練物の温度が目標温度となるように前記混練ロータの回転速度をフィードバック制御する制御処理を実行するフィードバック制御部とを備える、
混練機制御装置。
【請求項7】
前記被混練物の温度を含む第1パラメータに基づいて前記制御処理の実行開始後の所定時間内における前記被混練物の温度上昇幅を前記温度調整処理で予測する第1予測モデルをさらに備え、
前記第1パラメータを求めるための所定の第1物理量を測定する第1測定部をさらに備え、
前記温度調整部は、
前記第1測定部で測定した第1物理量に基づいて求めた第1パラメータを前記第1予測モデルに用いることによって前記被混練物の温度上昇幅を求める予測部と、
前記第1測定部で測定した前記被混練物の温度に前記予測部で予測した温度上昇幅を加算した加算結果が前記目標温度に達したか否かを判定し、前記判定の結果、前記目標温度に達している場合には、前記温度調整処理を終了して前記回転速度調整処理を前記回転速度調整部に実行させ、前記判定の結果、前記目標温度に達していない場合には、前記温度調整処理を継続する判定部とを備える、
請求項6に記載の混練機制御装置。
【請求項8】
前記被混練物の温度を含む第2パラメータに基づいて前記目標回転速度を予測する第2予測モデルをさらに備え、
前記第2パラメータを求めるための所定の第2物理量を測定する第2測定部と、
前記第2測定部で測定した第2物理量に基づいて求めた第2パラメータを前記第2予測モデルに用いることによって前記目標回転速度を求める回転速度演算部と、
前記混練ロータの回転速度を測定する第3測定部とをさらに備え、
前記回転速度調整部は、前記第3測定部で測定した前記混練ロータの回転速度が前記回転速度演算部で求めた目標回転速度に達したか否かを判定し、前記判定の結果、前記目標回転速度に達している場合には、前記回転速度調整処理を終了して前記制御処理を前記フィードバック制御部に実行させ、前記判定の結果、前記目標回転速度に達していない場合には、前記回転速度調整処理を継続する、
請求項6に記載の混練機制御装置。
【請求項9】
前記混練機は、前記混練チャンバーに投入された被混練物を押圧する第1ラム位置と前記混練チャンバーに投入された被混練物を押圧しない第2ラム位置とを有するラムをさらに備え、
前記第1および第2予測モデルは、それぞれ、前記温度調整処理での第1ラム位置、前記温度調整処理での第2ラム位置、前記制御処理での第1ラム位置および前記制御処理での第2ラム位置の組み合わせに応じて設けられている、
請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載の混練機制御装置。
【請求項10】
前記第1および第2予測モデルそれぞれは、機械学習モデルであり、
前記混練の開始のたびに、各制御タイミングそれぞれについて、前記第1および第2測定部それぞれで測定した第1および第2物理量を当該制御タイミングと対応付けて実績情報として記憶する実績情報記憶部と、
前記実績情報記憶部に記憶された実績情報に基づく第1および第2学習データを用いて前記第1および第2予測モデルそれぞれを機械学習する機械学習部とをさらに備える、
請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載の混練機制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム材等の高分子材料を混練する混練機を制御する混練機制御方法および混練機制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム製品や樹脂製品等を製造する際に、一般に、まずゴムや樹脂等の原料に添加剤を加えて混練機で混練する工程が実施される。前記添加剤として、製品に付与する機能に応じて、例えばカーボンブラックやシリカ等が添加され、例えば品質の安定化や省エネルギー化等のために、前記混練機は、制御される。この混練機の制御に関する技術は、例えば、特許文献1ないし特許文献3に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された混練機制御装置は、混練機が混練するゴム材の温度に関係するゴム温度パラメータと、前記混練機の混練による前記ゴム温度パラメータの値の変化に相関の有る相関パラメータであって相関解析によって特定した少なくとも前記混練機の運転制御パラメータを含む前記相関パラメータの計測値を取得する計測値取得部と、前記運転制御パラメータと前記相関パラメータとを含んで構成されるゴム温度パラメータ算出モデル式を変形した式であって、複数の前記運転制御パラメータのうちの所定の運転制御パラメータを算出する運転制御パラメータ算出モデル式に前記計測値を代入し、機械学習アルゴリズムを用いて前記運転制御パラメータと前記相関パラメータとの係数と定数とを算出する機械学習部と、前記機械学習アルゴリズムを用いて算出した前記係数と前記定数とにより特定される運転制御パラメータ算出式を用いて、前記ゴム温度パラメータを所定の値に制御する場合の前記所定の運転制御パラメータを算出する運転制御パラメータ算出部と、を備え、前記計測値取得部は、前記混練機または前記ゴム材の識別情報と前記混練機の動作形態を示す識別情報との組み合わせ毎に、前記ゴム温度パラメータの値の変化との相関性が相対的に高い相関パラメータの種類を特定し、当該特定した種類の相関パラメータの計測値を取得する。前記運転制御パラメータは、具体的には、運転制御パラメータは、具体的には、混練用ロータの単位時間当たりの回転数、混練機に入力される瞬時電力、現時点で混練機に入力された積算電力、ラム圧力、ラムの位置(基準位置からの移動量であるラムリフト量)、冷却水入口温度、冷却水流量等である。
【0004】
前記特許文献2に開示された混練装置は、高分子材料を混練して混練物を得る混練装置であって、前記混練物を得るための材料が投入されるチャンバと、前記チャンバに投入された前記材料を混練する二軸以上のロータと、前記二軸以上のロータの制御、前記材料の混練時間の制御、及び前記混練装置の動作ステップの制御を司る制御器と、前記混練物の性能評価に関する少なくとも1つの第1評価パラメータと、少なくとも1つの混練条件とを含む状態変数を取得する状態観測部と、前記状態変数をネットワーク上に送信し、機械学習済みの混練条件を受信する通信部とを備え、前記少なくとも1つの第1評価パラメータは、前記混練物に関する物性特性及び形状特性の少なくとも1つを含み、前記少なくとも1つの混練条件は、前記材料に関する第1パラメータと、前記ロータの制御に関する第2パラメータと、複数のステップのうちの少なくとも1つの混練時間、各ステップのうちの少なくとも1つの材料投入時間、次のステップに進むための条件のうちの少なくとも1つの条件、トータル混練時間、及び積算電力量のうちの少なくとも1つを含む第3パラメータとのうちの少なくとも1つである。前記機械学習済みの混練条件は、強化学習の1つであるQ学習によって生成されている。
【0005】
前記特許文献3に開示された密閉型混練装置の混練制御方法は、冷却および加圧しながら混練することにより所定品質の混練物を得る密閉型混練装置の混練制御方法であって、前記混練物が所定品質となる混練時の一連の温度変化に対応するように設定温度を決定した後、前記混練物の温度を前記設定温度に追従させるように、該混練物の物性に直接関係する制御要素を制御しながら混練する。この密閉型混練装置の混練制御方法では、混練物の温度が温度検出器で検出され、この検出した温度を所定の計算式に代入することによって、ロータの回転数、ラム圧および冷却水量の制御信号が求められ、混練装置が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6872018号公報
【特許文献2】特許第6886552号公報
【特許文献3】特開平11-57445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、混練の始動時では、まず、固体状の被混練物を溶かしてから目標温度となるように混練機が制御される。このような始動時における過渡期の制御において、PID制御の開始時点における回転速度が過剰に速かったり、逆に遅かったりすると、前記PID制御で被混練物の温度が不安定になることがある。また、この際に、被混練物の温度が目標温度を超えてしまうと、被混練物の品質にばらつきが生じてしまう虞があるため、被混練物の温度が目標温度を超えることは好ましくない。
【0008】
前記特許文献1および前記特許文献2は、前記PID制御での制御を開示しており、上述の始動時から過渡期の制御に適用することを前提とするものではない。前記特許文献3は、混練の開始から終了までに適用されるが、前記特許文献3における、制御信号を求める計算式によっては、上述の課題を解消できない虞がある。
【0009】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、始動時から過渡期において、混練機をより適切に制御できる混練機制御方法および混練機制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる混練機制御方法は、混練チャンバーに投入された被混練物を混練ロータの回転によって混練する混練機を制御する方法であって、混練の開始から、所定の回転速度で前記混練ロータを回転させて前記被混練物の温度を上昇させる温度調整工程と、前記温度調整工程の終了に続いて実行され、前記混練ロータの回転速度が目標回転速度になるまで前記混練ロータの回転速度を制御する回転速度調整工程と、前記回転速度調整工程の終了に続いて実行され、前記目標回転速度を初期値として、前記被混練物の温度が目標温度となるように前記混練ロータの回転速度をフィードバック制御するフィードバック制御工程とを備える。
【0011】
このような混練機制御方法は、混練の開始から、温度調整工程を実行し、続いて、回転速度調整工程を実行し、続いて、フィードバック制御工程を実行する3個の工程に分けて始動制御を行うので、安定的に混練機を始動できる。したがって、上記混練機制御方法は、始動時から過渡期において、混練機をより適切に制御できる。
【0012】
他の一態様では、上述の混練機制御方法において、前記被混練物の温度を含む第1パラメータに基づいて前記フィードバック制御工程の開始後の所定時間内における前記被混練物の温度上昇幅を前記温度調整工程で予測する第1予測モデルをさらに備え、前記温度調整工程は、前記第1パラメータを求めるための所定の第1物理量を測定する第1測定工程と、前記第1測定工程で測定した第1物理量に基づいて求めた第1パラメータを前記第1予測モデルに用いることによって前記被混練物の温度上昇幅を求める第1予測工程と、前記第1測定工程で測定した前記被混練物の温度に前記第1予測工程で予測した温度上昇幅を加算した加算結果が前記目標温度に達したか否かを判定し、前記判定の結果、前記目標温度に達している場合には、当該温度調整工程を終了して前記回転速度調整工程を実行し、前記判定の結果、前記目標温度に達していない場合には、当該温度調整工程を継続する第1判定工程とを備える。
【0013】
このような混練機制御方法は、第1予測モデルで求めた温度上昇幅を考慮して、温度調整工程から回転速度調整工程に移行することで、所定の温度以上に被混練物の温度が上昇することを回避でき、被混練物の混練品質に与える好ましくない影響を低減できる。したがって、上記混練機制御方法は、始動時から過渡期において、混練機をより適切に制御できる。
【0014】
他の一態様では、上述の混練機制御方法において、前記被混練物の温度を含む第2パラメータに基づいて前記目標回転速度を予測する第2予測モデルをさらに備え、前記第2パラメータを求めるための所定の第2物理量を測定する第2測定工程と、前記第2測定工程で測定した第2物理量に基づいて求めた第2パラメータを前記第2予測モデルに用いることによって前記目標回転速度を求める回転速度演算工程とをさらに備え、前記回転速度調整工程は、前記混練ロータの回転速度を測定する第3測定工程と、前記第3測定工程で測定した前記混練ロータの回転速度が前記回転速度演算工程で求めた目標回転速度に達したか否かを判定し、前記判定の結果、前記目標回転速度に達している場合には、当該回転速度調整工程を終了して前記フィードバック制御工程を実行し、前記判定の結果、前記目標回転速度に達していない場合には、当該回転速度調整工程を継続する第2判定工程とを備える。
【0015】
このような混練機制御方法は、第2予測モデルで求めた目標回転速度で、回転速度調整工程からフィードバック制御工程に移行することで、移行時点からフィードバック制御が安定するまでの期間における制御を速やかに安定化することができ、被混練物の混練品質に与える好ましくない影響を低減できる。したがって、上記混練機制御方法は、始動時から過渡期において、混練機をより適切に制御できる。
【0016】
他の一態様では、これら上述の混練機制御方法において、前記混練機は、前記混練チャンバーに投入された被混練物を押圧する第1ラム位置と前記混練チャンバーに投入された被混練物を押圧しない第2ラム位置とを有するラムをさらに備え、前記第1および第2予測モデルは、それぞれ、前記温度調整工程での第1ラム位置、前記温度調整工程での第2ラム位置、前記フィードバック制御工程での第1ラム位置および前記フィードバック制御工程での第2ラム位置の組み合わせに応じて設けられている。
【0017】
混練機では、ラムを上方に配置して被混練物を押圧することなく混練機を運転する場合と、ラムを下方に配置して被混練物を押圧しながら混練機を運転する場合とがあり、各場合で回転速度や混練温度の変化に大きな相違が生じる。上記混練機制御方法は、これを分けて第1および第2予測モデルを用意することで、第1および第2予測モデルにおける予測精度が向上できる。したがって、上記混練機制御方法は、始動時から過渡期において、混練機をより適切に制御できる。
【0018】
他の一態様では、これら上述の混練機制御方法において、前記第1および第2予測モデルそれぞれは、機械学習モデルであり、前記混練の開始のたびに、各制御タイミングそれぞれについて、前記第1および第2測定工程それぞれで測定した第1および第2物理量を当該制御タイミングと対応付けて実績情報として実績情報記憶部に記憶する記憶工程と、前記実績情報記憶部に記憶された実績情報に基づく第1および第2学習データを用いて前記第1および第2予測モデルそれぞれを機械学習する機械学習工程とをさらに備える。
【0019】
このような混練機制御方法は、第1および第2予測モデルそれぞれを、再度、機械学習するので、第1および第2予測モデルにおける予測精度の向上が期待できる。したがって、上記混練機制御方法は、始動時から過渡期において、混練機をより適切に制御できる。
【0020】
本発明の他の一態様にかかる混練制御装置は、混練チャンバーに投入された被混練物を混練ロータの回転によって混練する混練機を制御する装置であって、混練の開始から、所定の回転速度で前記混練ロータを回転させて前記被混練物の温度を上昇させる温度調整処理を実行する温度調整部と、前記温度調整処理の終了に続いて実行され、前記混練ロータの回転速度が目標回転速度になるまで前記混練ロータの回転速度を制御する回転速度調整処理を実行する回転速度調整部と、前記回転速度調整処理の終了に続いて実行され、前記目標回転速度を初期値として、前記被混練物の温度が目標温度となるように前記混練ロータの回転速度をフィードバック制御する制御処理を実行するフィードバック制御部とを備える。
【0021】
このような混練機制御装置は、混練の開始から、温度調整処理を実行し、続いて、回転速度調整処理を実行し、続いて、制御処理を実行する3個の処理に分けて始動制御を行うので、安定的に混練機を始動できる。したがって、上記混練制御装置は、始動時から過渡期において、混練機をより適切に制御できる。
【0022】
他の一態様では、上述の混練機制御装置において、前記被混練物の温度を含む第1パラメータに基づいて前記制御処理の実行開始後の所定時間内における前記被混練物の温度上昇幅を前記温度調整処理で予測する第1予測モデルをさらに備え、前記第1パラメータを求めるための所定の第1物理量を測定する第1測定部をさらに備え、前記温度調整部は、前記第1測定部で測定した第1物理量に基づいて求めた第1パラメータを前記第1予測モデルに用いることによって前記被混練物の温度上昇幅を求める予測部と、前記第1測定部で測定した前記被混練物の温度に前記予測部で予測した温度上昇幅を加算した加算結果が前記目標温度に達したか否かを判定し、前記判定の結果、前記目標温度に達している場合には、前記温度調整処理を終了して前記回転速度調整処理を前記回転速度調整部に実行させ、前記判定の結果、前記目標温度に達していない場合には、前記温度調整処理を継続する判定部とを備える。
【0023】
このような混練制御装置は、第1予測モデルで求めた温度上昇幅を考慮して、温度調整処理から回転速度調整処理に移行することで、所定の温度以上に被混練物の温度が上昇することを回避でき、被混練物の混練品質に与える好ましくない影響を低減できる。したがって、上記混練制御装置は、始動時から過渡期において、混練機をより適切に制御できる。
【0024】
他の一態様では、上述の混練機制御装置において、前記被混練物の温度を含む第2パラメータに基づいて前記目標回転速度を予測する第2予測モデルをさらに備え、前記第2パラメータを求めるための所定の第2物理量を測定する第2測定部と、前記第2測定部で測定した第2物理量に基づいて求めた第2パラメータを前記第2予測モデルに用いることによって前記目標回転速度を求める回転速度演算部と、前記混練ロータの回転速度を測定する第3測定部とをさらに備え、前記回転速度調整部は、前記第3測定部で測定した前記混練ロータの回転速度が前記回転速度演算部で求めた目標回転速度に達したか否かを判定し、前記判定の結果、前記目標回転速度に達している場合には、前記回転速度調整処理を終了して前記制御処理を前記フィードバック制御部に実行させ、前記判定の結果、前記目標回転速度に達していない場合には、前記回転速度調整処理を継続する。
【0025】
このような混練機制御装置は、第2予測モデルで求めた目標回転速度で、回転速度調整処理から制御処理に移行することで、移行時点からフィードバック制御が安定するまでの期間における制御を速やかに安定化することができ、被混練物の混練品質に与える好ましくない影響を低減できる。したがって、上記混練機制御装置は、始動時から過渡期において、混練機をより適切に制御できる。
【0026】
他の一態様では、これら上述の混練機制御装置において、前記混練機は、前記混練チャンバーに投入された被混練物を押圧する第1ラム位置と前記混練チャンバーに投入された被混練物を押圧しない第2ラム位置とを有するラムをさらに備え、前記第1および第2予測モデルは、それぞれ、前記温度調整処理での第1ラム位置、前記温度調整処理での第2ラム位置、前記制御処理での第1ラム位置および前記制御処理での第2ラム位置の組み合わせに応じて設けられている。
【0027】
このような混練機制御装置は、前記各場合で分けて第1および第2予測モデルを用意することで、第1および第2予測モデルにおける予測精度が向上できる。したがって、上記混練機制御装置は、始動時から過渡期において、混練機をより適切に制御できる。
【0028】
他の一態様では、これら上述の混練機制御装置において、前記第1および第2予測モデルそれぞれは、機械学習モデルであり、前記混練の開始のたびに、各制御タイミングそれぞれについて、前記第1および第2測定部それぞれで測定した第1および第2物理量を当該制御タイミングと対応付けて実績情報として記憶する実績情報記憶部と、前記実績情報記憶部に記憶された実績情報に基づく第1および第2学習データを用いて前記第1および第2予測モデルそれぞれを機械学習する機械学習部とをさらに備える。
【0029】
このような混練機制御装置は、第1および第2予測モデルそれぞれを、再度、機械学習するので、第1および第2予測モデルにおける予測精度の向上が期待できる。したがって、上記混練機制御装置は、始動時から過渡期において、混練機をより適切に制御できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明にかかる混練機制御方法および混練機制御装置は、始動時から過渡期において、混練機をより適切に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】実施形態における混練システムの構成を示すブロック図である。
図2】主に、前記混練システムにおける混練機の概略構成を示す模式図である。
図3】混練機の制御に関する前記混練システムの動作を示すフローチャートである。
図4】一例として、混練機の制御の様子を説明するための図である。
図5】比較例として、本発明を使用しなかった場合の混練機の制御の様子を説明するための図である。
図6】第1変形形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0033】
実施形態における混練機制御装置は、混練チャンバーに投入された被混練物を混練ロータの回転によって混練する混練機を制御する装置である。この混練機制御装置は、混練の開始から、所定の回転速度で前記混練ロータを回転させて前記被混練物の温度を上昇させる温度調整処理(温度調整工程)を実行する温度調整部と、前記温度調整処理の終了に続いて実行され、前記混練ロータの回転速度が目標回転速度になるまで前記混練ロータの回転速度を制御する回転速度調整処理(回転速度調整工程)を実行する回転速度調整部と、前記回転速度調整処理の終了に続いて実行され、前記目標回転速度を初期値として、前記被混練物の温度が目標温度となるように前記混練ロータの回転速度をフィードバック制御する制御処理(フィードバック制御工程)を実行するフィードバック制御部とを備える。以下、このような混練機制御装置ならびにこれに実装された混練機制御方法について、より具体的に説明する。
【0034】
図1は、実施形態における混練システムの構成を示すブロック図である。図2は、主に、前記混練システムにおける混練機の概略構成を示す模式図である。図2Aは、混練チャンバー102に被混練物Obが投入されていない状態を示し、図2Bは、混練チャンバー102に被混練物Obが投入された状態を示す。
【0035】
実施形態における混練システムSは、例えば、図1および図2に示すように、混練機(100、2~4)と、混練機制御装置(1、5~9)とを備える。
【0036】
前記混練機(100、2~4)は、混練チャンバー102に投入された被混練物Obを混練ロータ103(103-1、103-2)の回転によって混練する装置である。より具体的には、前記混練機は、混練機本体100と、動力源2と、モータ3と、減速機4とを備える。混練機本体100は、その内部に混練チャンバー102を形成するケーシング101を備える。混練チャンバー102は、例えばゴムや樹脂等の原料に所定の添加剤を加えた被混練物Obを混練するための空間であり、その内部には、1対の第1および第2混練ロータ103-1、103-2が水平方向において互いに隣接して平行に配設されている。前記添加剤として、製品に付与する機能に応じて、例えばカーボンブラックやシリカ等が添加される。第1および第2混練ロータ103-1、103-2それぞれには、遊星歯車等で構成された減速機4を介してモータ3に接続され、第1および第2混練ロータ103-1、103-2それぞれは、モータ3の駆動力によって連動して同方向または異方向に回転する。第1および第2混練ロータ103-1、103-2それぞれは、外周面に複数の混練翼(図略)を有し、各混練翼の頂部と混練チャンバー102との間には隙間が設けられている。第1および第2混練ロータ103-1、103-2それぞれが連動して回転すると、この隙間において被混練物Obに剪断力が付与される。各混練翼は、第1および第2混練ロータ103-1、103-2それぞれの各軸心まわりに螺旋状に捩られている。ケーシング101の底部には、ドロップドア107によって混練中に閉塞される排出口AP1が設けられている。混練が終了すると、ドロップドア107が開かれ、被混練物Obが排出口AP1から取り出される。
【0037】
ケーシング101の天井部には、ラム104を入退させる開口AP2が設けられ、開口AP2の周縁部から上部に延びる円筒状の供給塔105が設けられ、供給塔105には、シリンダ106が設けられている。シリンダ106は、ピストン106aと、ピストン106aに連結されたロッド106bを備え、ロッド106bには、ラム104が連結されている。シリンダ106には、シリンダ106を動かす動力を生成する動力源2が接続され、シリンダ106が油圧式である場合、動力源2で生成された油圧によってピストン106aが上下動し、これによってロッド106bを介してラム104が供給塔105内を上下動する。ラム104は、混練チャンバー102に投入された被混練物Obを押圧するための部材である。ラム104は、被混練物Obを押圧する第1ラム位置と前記被混練物Obを押圧しない第2ラム位置とを有し、いずれかのラム位置で運用される。被混練物Obは、供給塔105に形成された図略の投入口から混練チャンバー102内に投入される。
【0038】
前記混練機制御装置(1、5~9)は、前記混練機(100、2~4)を制御する装置である。より具体的には、前記混練機制御装置は、測定部1と、制御処理部5と、入力部6と、表示部7と、インターフェース部(IF部)8と、記憶部9とを備える。
【0039】
測定部1は、制御処理部5に有線または無線によって接続され、制御処理部5の制御に従って所定の物理量を測定する装置である。前記所定の物理量は、第1および第2予測モデルに応じた諸量である。前記第1予測モデルは、被混練物Obの温度を含む第1パラメータ(第1予測モデルの第1説明変数)に基づいて制御処理の実行開始後の所定時間内における前記被混練物Obの温度上昇幅(第1予測モデルの第1目的変数)を温度調整処理(温度調整工程)で予測するモデルである。前記第2予測モデルは、被混練物Obの温度を含む第2パラメータ(第2予測モデルの第2説明変数)に基づいて目標回転速度(第2予測モデルの第2目的変数)を温度調整処理(温度調整工程)で予測するモデルである。これら第1および第2予測モデルについては、さらに後述する。このため、前記所定の物理量は、前記第1パラメータを求めるための所定の第1物理量を含み、そして、前記第2パラメータを求めるための所定の第2物理量を含む。本実施形態では、前記第1パラメータは、温度調整処理(温度調整工程)の実行中における被混練物Obの温度、温度変化量および回転速度ならびに回転速度変化量等であり、少なくとも被混練物Obの温度を含む。前記第2パラメータは、温度調整処理の実行中における被混練物Obの温度、温度変化量、電力(=(電圧)×(電流)、瞬時値)および回転速度ならびに制御処理の目標温度等であり、少なくとも被混練物Obの温度を含む。このため、前記所定の物理量は、少なくとも被混練物Obの温度を含み、さらに、回転速度および電力を含めてもよい。これら諸量を測定するために、測定部1は、温度計11と、回転速度計12と、電力計13とを備える。温度計11は、制御処理部5に有線または無線によって接続され、制御処理部5の制御に従って混練チャンバー102内の温度を被混練物Obの温度として測定する装置である。温度計11は、混練チャンバー102内の温度を測定可能に配置される。回転速度計12は、制御処理部5に有線または無線によって接続され、制御処理部5の制御に従って減速機4の出力軸の回転速度を混練ロータ103の回転速度として測定する装置である。回転速度計12は、例えばロータリエンコーダ等を備えて構成され、減速機4の出力軸の回転速度を測定可能に配置される。なお、減速機4の減速比(ギア比)が既知であれば、回転速度計12は、モータ3の回転速度(減速機4の入力軸の回転速度)を測定してもよい。この場合、モータ3の回転速度が減速機4の減速比に基づいて混練ロータの回転速度に換算される。電力計13は、制御処理部5に有線または無線によって接続され、制御処理部5の制御に従ってモータ3に給電される電力を測定する装置である。電力計13は、モータ3に給電される電力を測定可能に配設される。電力量(=(電力)×(通電時間))によって被混練物Obに加えられたエネルギー量が推定でき、被混練物Obの混練の程度が推定できる。
【0040】
測定部1は、前記第1パラメータを求めるための所定の第1物理量を測定する第1測定部の一例に相当し、前記第2パラメータを求めるための所定の第2物理量を前記第1測定部と同期して測定する第2測定部の一例にも相当し、前記混練ロータの回転速度を測定する第3測定部の一例にも相当する。
【0041】
入力部6は、制御処理部5に接続され、例えば、機械学習の開始を指示するコマンドや、混練制御の開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、機械学習の学習データセット等の、混練システムSを動作させる上で必要な各種データを前記混練システムSに入力する機器であり、例えば、キーボードや、マウスや、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ等である。表示部7は、制御処理部5に接続され、制御処理部5の制御に従って、入力部6から入力されたコマンドやデータおよび混練システムSの稼働状況等を表示する機器であり、例えばCRTディスプレイ、LCD(液晶表示装置)および有機ELディスプレイ等の表示装置である。
【0042】
なお、入力部6および表示部7は、タッチパネルにより構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部6は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置である。このタッチパネルでは、表示部7の表示面上に位置入力装置が設けられ、表示部7に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置に触れると、位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として混練システムSに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い混練システムSが提供される。
【0043】
IF部8は、制御処理部5に接続され、制御処理部5の制御に従って、例えば、外部の機器との間でデータを入出力する回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、および、USB規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部8は、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等の、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であってもよい。
【0044】
記憶部9は、制御処理部5に接続され、制御処理部5の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。
【0045】
前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、例えば、制御プログラム、温度調整プログラム、回転速度演算プログラム、回転速度調整プログラム、フィードバック制御プログラムおよび機械学習プログラム等が含まれる。前記制御プログラムは、混練システムSの各部1~3、6~9を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するプログラムである。前記温度調整プログラムは、混練の開始から、所定の回転速度で混練ロータ103を回転するように前記混練ロータ103の回転速度を制御する温度調整処理を実行するプログラムである。前記回転速度演算プログラムは、第2パラメータを前記第2予測モデルに用いることによって目標回転速度を求めるプログラムである。前記回転速度調整プログラムは、前記温度調整処理の終了に続いて実行され、前記混練ロータ103の回転速度が目標回転速度になるまで前記混練ロータ103の回転速度を制御する回転速度調整処理を実行するプログラムである。前記フィードバック制御プログラムは、前記回転速度調整処理の終了に続いて実行され、前記目標回転速度を初期値として、被混練物Obの温度が目標温度となるように前記混練ロータ103の回転速度をフィードバック制御する制御処理を実行するプログラムである。前記機械学習プログラムは、第1および第2予測モデルそれぞれを機械学習するプログラムである。
【0046】
前記各種の所定のデータには、例えば、前記学習データセット、第1予測モデル、第2予測モデル、演算途中の各種演算結果、最終的な演算結果等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。
【0047】
このような記憶部9は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部9は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部5のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。また、記憶部9は、比較的記憶容量の大きいハードディスク装置を備えて構成されてもよい。
【0048】
記憶部9は、初期の学習データセットを記憶する初期学習データ記憶部91を機能的に備える。前記第1および第2予測モデルそれぞれは、本実施形態では、機械学習モデルであり、前記初期の学習データセットは、未機械学習の第1および第2予測モデルそれぞれを機械学習するために用いられるデータである。前記初期の学習データセットは、未機械学習の第1予測モデルを機械学習するための初期の第1学習データセット、および、未機械学習の第2予測モデルを機械学習するための初期の第2学習データセットを含む。
【0049】
前記初期の第1学習データセットは、教師ありの複数の第1学習データを備えて構成される。前記第1学習データは、混練システムSを運用した際に測定された過去実績データから生成された第1パラメータのデータおよびその教師データ(第1教師データ)を備えて構成される。より具体的には、前記第1パラメータのデータは、本実施形態では、温度調整処理の終了時点より前(過去)の所定の時間(所定第1時間)内において、所定のサンプリング間隔で得られた複数の温度、複数の温度変化量および複数の回転速度、ならびに、回転速度変化量である。前記温度変化量は、今回のサンプリングタイミングで得られた温度から前回のサンプリングタイミングで得られた温度を減算した減算結果である((第1学習データでの温度変化量)=(今回のサンプリングタイミングで得られた温度)-(前回のサンプリングタイミングで得られた温度))。前記回転速度変化量は、制御処理の開始時点における回転速度を温度調整処理の終了時点における回転速度で除算した除算結果である((第1学習データでの回転速度変化量)=(制御処理の開始時点における回転速度)/(温度調整処理の終了時点における回転速度))。前記第1教師データは、温度調整処理(温度調整工程)から見て、制御処理(フィードバック制御工程)の開始後の所定時間(所定第3時間)内における被混練物Obの温度上昇幅(=W1+W2+W3、例えば後述の図6参照)である。なお、図6でW1またはW2が負の値になる場合はゼロとする)。前記所定第3時間は、例えば複数のサンプルから予め適宜に設定され、例えば、15[秒]や20[秒]や30[秒]等に設定される。例えば、前記所定第1時間が40[秒]であり、前記サンプリング間隔が1[秒]である場合、前記第1パラメータのデータは、各サンプリングタイミングで得られた40個の温度、40個の温度変化量および40個の回転速度ならびにこれらそれぞれに共通に対応付けられる回転速度変化量を備え、前記第1教師データは、これらそれぞれに共通に対応付けられる。したがって、第1学習データは、40個のレコードを持つ。そして、前記初期の第1学習データセットは、このような40個のレコードを持つ第1学習データを、複数、備えて構成される。
【0050】
前記初期の第2学習データセットは、教師ありの複数の第2学習データを備えて構成され、前記第2学習データは、混練システムSを運用した際に測定された過去実績データから生成された第2パラメータのデータおよびその教師データ(第2教師データ)を備えて構成される。より具体的には、前記第2パラメータのデータは、本実施形態では、温度調整処理の終了時点より前(過去)の所定の時間(所定第2時間)内において、所定のサンプリング間隔で得られた複数の温度、複数の温度変化量、複数の電力および複数の回転速度、ならびに、制御処理の目標温度である。前記第2教師データは、目標回転速度に相当する、制御処理の開始時点における回転速度であってよいが、本実施形態では、制御処理における平均回転速度に係数(補正係数)を乗算した乗算結果である。前記補正係数は、本実施形態では、((制御処理における平均電力)/(制御処理における平均回転速度))/((制御処理の開始の所定時間(所定第4時間、例えば1[秒]等)における平均電力)/(制御処理の開始の前記所定第4時間における平均回転速度))である。制御処理の実行中に、被混練物Obの粘度が変化するため、この補正係数によって、より適切な目標回転速度を予測できるように、第2予測モデルが機械学習できる。例えば、前記所定第2時間が前記所定第1時間と同値の40[秒]であり、前記1[秒]のサンプリング間隔である場合、前記第2パラメータのデータは、各サンプリングタイミングで得られた40個の温度、40個の温度変化量、40個の電力および40個の回転速度ならびにこれらそれぞれに共通に対応付けられる制御処理の目標温度を備え、前記第2教師データは、これらそれぞれに共通に対応付けられる。したがって、第2学習データは、40個のレコードを持つ。そして、前記初期の第2学習データセットは、このような40個のレコードを持つ第2学習データを、複数、備えて構成される。
【0051】
なお、上述では、前記所定第1時間と前記所定第2時間とは、同値としたが、異値であってもよい。
【0052】
このような初期の学習データセットは、例えば、入力部6から入力され、記憶部9の初期学習データ記憶部91に記憶される。あるいは、例えば、初期の学習データセットを記憶した記憶媒体(例えばUSBメモリ等)や記録媒体(例えばCD-R等)からIF部8を介して入力されて記憶されてよく、あるいは例えば、ネットワークおよびIF部8を介して通信可能に接続された、初期の学習データセットを管理するサーバ装置から入力されて記憶されてよい。あるいは、例えば、混練システムSの運用中に測定部1で測定した各測定結果から第1および第2学習データが生成されて記憶されてもよい。
【0053】
制御処理部5は、混練システムSの各部1~3、6~9を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、前記混練機(100、2~4)を制御するための回路である。制御処理部5は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部5には、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部51、温度調整部52、回転速度演算部53、回転速度調整部54、フィードバック制御部55および機械学習部56が機能的に構成される。
【0054】
制御部51は、混練システムSの各部1~3、6~9を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、混練システムSの全体の制御を司るものである。
【0055】
温度調整部52は、混練の開始から、所定の回転速度で前記混練ロータ103を回転するように前記混練ロータ103の回転速度を制御する温度調整処理(温度調整工程)を実行するものである。前記所定の回転速度は、被混練物Obの種類や目標混練品質等に応じて、主に固体状の被混練物Obを流体状になるような回転速度に適宜に設定される。被混練物Obは、混練ロータ103の回転によって熱が加えられて昇温し、固体状から流体状になって混練される。
【0056】
温度調整部52は、本実施形態では、予測部521と、判定部522とを機能的に備える。
【0057】
予測部521は、制御タイミングごとに、前記第1測定部としての測定部1で測定した第1物理量に基づいて求めた第1パラメータを第1予測モデルに用いることによって前記被混練物Obの温度上昇幅を求めるものである。本実施形態では、前記第1物理量は、少なくとも被混練物Obの温度を含み、混練ロータ103の回転速度を含んでもよい。第1パラメータ(前記第1予測モデルの第1説明変数)は、温度調整処理の実行中における被混練物Obの温度を少なくとも含み、温度調整処理の実行中における温度変化量および回転速度、ならびに、回転速度変化量を含んでもよい。ここで、第1学習データでは、上述したように、第1パラメータは、温度調整処理の終了時点より前の所定第1時間内において、所定のサンプリング間隔で得られた複数の温度、複数の温度変化量(=(今回のサンプリングタイミングで得られた温度)-(前回のサンプリングタイミングで得られた温度))および回転速度、ならびに、回転速度変化量(=(制御処理の開始時点における回転速度)/(温度調整処理の終了時点における回転速度))であるが、混練システムSの混練機の制御では、第1パラメータは、温度調整処理の実行中において、所定の制御タイミングで得られた温度、温度変化量および回転速度、ならびに、回転速度変化量であり、この場合の温度変化量は、今回の制御タイミングで得られた温度から前回の制御タイミングで得られた温度を減算した減算結果であり((制御中での温度変化量)=(今回の制御タイミングで得られた温度)-(前回の制御タイミングで得られた温度))、この場合の回転速度変化量は、今回の制御タイミングで第2予測モデルによって予測した目標回転速度を、今回の制御タイミングで得られた回転速度で除算した除算結果である((制御中での回転速度変化量)=(今回の制御タイミングで第2予測モデルによって予測した目標回転速度)/(今回の制御タイミングで得られた回転速度))。この予測部521で用いられる第1予測モデルは、機械学習済みのモデルである。前記第1予測モデルによる前記被混練物Obの温度上昇幅は、温度調整処理(温度調整工程)の実行中に予測される。
【0058】
判定部522は、制御タイミングごとに、前記第1測定部としての測定部1で測定した温度に前記予測部521で予測した温度上昇幅を加算した加算結果が制御処理(フィードバック制御工程)の目標温度に達したか否かを判定し、前記判定の結果、前記目標温度に達している場合には、前記温度調整処理(温度調整工程)を終了して前記回転速度調整処理(回転速度調整工程)を回転速度調整部54に実行させ、前記判定の結果、前記目標温度に達していない場合には、前記温度調整処理(温度調整工程)を継続するものである。このように第1予測モデルによって、制御処理の開始後の所定第1時間内における被混練物Obの温度上昇幅が予測され、この予測された温度上昇幅に現在の温度を加算した加算結果が制御処理の目標温度に達すると、温度調整処理が終了されるので、制御処理での、いわゆるオーバーシュートの発生を抑制でき、目標温度の超過による被混練物Obの混練品質に与える好ましくない影響を低減できる。
【0059】
回転速度演算部53は、判定部522で前記加算結果が前記目標温度に達している場合と判定した際の前記第1物理量の測定に同期して前記第2測定部としての測定部1で測定した第2物理量に基づいて求めた第2パラメータを前記第2予測モデルに用いることによって回転速度調整処理(回転速度調整工程)の目標回転速度を求めるものである。本実施形態では、前記第2物理量は、少なくとも被混練物Obの温度および混練ロータ103の回転速度を含む。温度調整処理を終了する制御タイミングで、目標回転速度を第2予測モデルで予測すれば、回転速度調整処理の実施や制御処理の実施には基本的に十分であるが、本実施形態では、上述のように、第1予測モデルが、前記温度上昇幅の予測に、すなわち、第1パラメータ(第1説明変数)における回転速度変化量の演算に、今回の制御タイミングで第2予測モデルによって予測した目標回転速度を用いるように構成されているので、回転速度演算部53は、制御タイミングごとに、測定部1で測定した第2物理量に基づいて求めた第2パラメータを第2予測モデルに用いることによって回転速度調整処理の目標回転速度を求める。前記第2予測モデルによる前記目標回転速度は、温度調整処理(温度調整工程)の実行中に予測される。なお、制御の安定性の観点からは、第2予測モデルは、上述のように温度調整工程の実行中に予測することが望ましいが、次に続く回転速度調整工程において予測するようにしてもよい。
【0060】
回転速度調整部54は、前記温度調整処理(温度調整工程)の終了に続いて実行され、前記混練ロータ103の回転速度が目標回転速度になるまで前記混練ロータ103の回転速度を制御する回転速度調整処理(回転速度調整工程)を実行するものである。より具体的には、本実施形態では、回転速度調整部54は、制御タイミングごとに、前記第3測定部としての測定部1で測定した前記混練ロータ103の回転速度が前記回転速度演算部53で求めた目標回転速度に達したか否かを判定し、前記判定の結果、前記目標回転速度に達している場合には、前記回転速度調整処理(回転速度調整工程)を終了して前記制御処理(フィードバック制御工程)を前記フィードバック制御部55に実行させ、前記判定の結果、前記目標回転速度に達していない場合には、前記回転速度調整処理(回転速度調整工程)を継続する。このように回転速度調整部54が温度調整処理と制御処理との間で回転速度調整処理を実行することで、回転速度の点で制御処理に略滑らかに移行でき、移行時点からフィードバック制御が安定するまでの期間における制御を速やかに安定化することができる。
【0061】
フィードバック制御部55は、前記回転速度調整処理(回転速度調整工程)の終了に続いて実行され、前記目標回転速度を初期値として、前記被混練物Obの温度が目標温度となるように前記混練ロータの回転速度をフィードバック制御する制御処理(フィードバック制御工程)を実行するものである。前記フィードバック制御には、前記混練機や被混練物Obの種類や目標混練品質等に応じて、適宜な制御方法が用いられ、例えば、PI制御やPID制御等が用いられる。
【0062】
機械学習部56は、第1および第2予測モデルそれぞれを機械学習するものである。ここでは、機械学習部56は、未機械学習の第1予測モデルを、初期学習データ記憶部91に記憶された初期の第1学習データセットで機械学習し、未機械学習の第2予測モデルを、初期学習データ記憶部91に記憶された初期の第2学習データセットで機械学習する。前記第1予測モデル(オーバーシュート幅予測モデル)は、上述したように、前記被混練物Obの温度を含む第1パラメータ(第1説明変数)に基づいて前記制御処理(フィードバック制御工程)の開始後の所定時間内における前記被混練物Obの温度上昇幅(第1目的変数)を前記温度調整処理(温度調整工程)で予測する機械学習モデルである。前記第1予測モデルには、適宜な機械学習モデルが用いられ、例えば公知のガウス過程回帰モデルが用いられ、あるいは例えば公知のリッジ回帰モデル(L正則化Ridge回帰モデル)が用いられる。前記第2予測モデル(制御処理開始時回転速度予測モデル)は、上述したように、前記被混練物Obの温度を含む第2パラメータに基づいて前記制御処理(フィードバック制御工程)の開始の際の初期値となる目標回転速度を前記温度調整処理(温度調整工程)で予測する機械学習モデルである。前記第2予測モデルには、適宜な機械学習モデルが用いられ、例えば公知のガウス過程回帰モデルが用いられる。
【0063】
混練システムSにおける制御処理部5、入力部6、表示部7、IF部8および記憶部9は、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。もちろん、混練システムSのコンソール(制御卓)に組み込まれたコンピュータによって構成可能である。
【0064】
次に、本実施形態の動作について説明する。図3は、混練機の制御に関する前記混練システムの動作を示すフローチャートである。
【0065】
このような構成の混練システムSは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部5には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部51、温度調整部52、回転速度演算部53、回転速度調整部54、フィードバック制御部55および機械学習部56が機能的に構成され、温度調整部52には、予測部521および判定部522が機能的に構成される。
【0066】
混練システムSにおける前記混練機を制御する前に、未機械学習の第1および第2予測モデルそれぞれが機械学習される。まず、過去実績データに基づいて初期の学習データセットが用意され、記憶部9の初期学習データ記憶部91に前記初期の学習データセットが記憶される。続いて、混練システムSは、制御処理部5の機械学習部56によって、初期の第1学習データセットを用いて第1予測モデルを機械学習し、この機械学習済みの第1予測モデルを記憶部9に記憶する。そして、混練システムSは、制御処理部5の機械学習部56によって、初期の第2学習データセットを用いて第2予測モデルを機械学習し、この機械学習済みの第2予測モデルを記憶部9に記憶する。
【0067】
これら機械学習済みの第1および第2予測モデルが生成され、前記混練機の制御では、混練システムSは、混練の開始が指示されると、次のように動作する。
【0068】
図3において、今回の制御タイミングになると、混練システムSは、測定部1における温度計11、回転速度計12および電力計13それぞれで測定し、その測定結果の温度、回転速度および電力を取得し、これらを前記今回の制御タイミングと対応付けて記憶部9に記憶する(S1)。
【0069】
続いて、混練システムSは、制御処理部5の温度調整部52によって、前記今回の制御タイミングでの温度調整処理を実行する(S2)。より具体的には、温度調整部52は、所定の回転速度で前記混練ロータ103を回転するように前記混練ロータ103の回転速度を制御する。例えば、温度調整部52は、前記測定結果の回転速度が前記所定の回転速度に達していない場合、予め設定された所定の回転速度ΔV1だけ増速するように、前記混練ロータ103の回転速度を制御する。
【0070】
続いて、混練システムSは、制御処理部5の回転速度演算部53によって、前記測定結果に基づいて求めた第2パラメータを第2予測モデルに用いることによって前記目標回転速度を求め、この求めた前記目標回転速度を前記今回の制御タイミングと対応付けて記憶部9に記憶し、制御処理部5における温度調整部52の予測部521によって、前記測定結果に基づいて求めた第1パラメータを第1予測モデルに用いることによって前記被混練物Obの温度上昇幅を求め、この求めた前記被混練物Obの温度上昇幅を前記今回の制御タイミングと対応付けて記憶部9に記憶する(S3)。
【0071】
続いて、混練システムSは、制御処理部5における温度調整部52の判定部522によって、温度調整処理の終了を判定するために、前記測定結果の温度に前記予測した温度上昇幅を加算した加算結果が前記目標温度に達したか否かを判定する(S4)。この判定の結果、前記目標温度に達している場合(Yes)には、混練システムSは、前記温度調整処理を終了し、前記回転速度調整処理を前記回転速度調整部54に実行させるために、次に、処理S5を実行する。一方、前記判定の結果、前記目標温度に達していない場合(No)には、混練システムSは、前記温度調整処理を継続するために、処理を処理S1に戻す。
【0072】
この処理S5では、今回の制御タイミングになると、混練システムSは、制御処理部5の回転速度調整部54によって、前記今回の制御タイミングでの回転速度調整処理を実行する。より具体的には、回転速度調整部54は、混練ロータ103の回転速度が目標回転速度になるまで前記混練ロータ103の回転速度を制御する。例えば、回転速度調整部54は、測定部1の回転速度計12で回転速度を測定して取得し、その測定結果の回転速度と目標回転速度とを比較し、この比較の結果、前記測定結果の回転速度が前記目標回転速度を上回っている場合には、予め設定された所定の回転速度ΔV2だけ減速するように、前記混練ロータ130の回転速度を制御し、一方、前記比較の結果、前記測定結果の回転速度が前記目標回転速度を下回っている場合には、前記回転速度ΔV2だけ増速するように、前記混練ロータ130の回転速度を制御する。
【0073】
前記処理S5に続いて、混練システムSは、回転速度調整部54によって、回転速度調整処理の終了を判定するために、測定部1の回転速度計12で回転速度を測定して取得し、測定結果の回転速度が前記目標回転速度に達したか否かを判定する(S6)。なお、処理S5で回転速度を測定している場合には、その測定結果が用いられてもよい。この判定の結果、前記目標回転速度に達している場合(Yes)には、混練システムSは、前記回転速度調整処理を終了し、前記制御処理を前記フィードバック制御部55に実行させるために、次に、処理S7を実行する。一方、前記判定の結果、前記目標回転速度に達していない場合(No)には、混練システムSは、前記回転速度調整処理を継続するために、処理を処理S5に戻す。
【0074】
この処理S7では、今回の制御タイミングになると、混練システムSは、制御処理部5のフィードバック制御部55によって、前記目標回転速度を初期値として、前記被混練物Obの温度が目標温度となるように前記混練ロータ103の回転速度をフィードバック制御する。より具体的には、回転速度が前記目標回転速度である場合に、回転速度調整処理から制御処理に切り替わっているので、制御処理は、前記目標回転速度を初期値として実行される。そして、例えば、フィードバック制御部55は、測定部1の温度計11で温度を測定して取得し、その測定結果の温度と目標温度とを比較し、この比較の結果、前記測定結果の温度が前記目標温度を上回っている場合には、予め設定された所定の回転速度ΔV3だけ減速するように、前記混練ロータ130の回転速度を制御し、一方、前記比較の結果、前記測定結果の温度が前記目標温度を下回っている場合には、前記回転速度ΔV3だけ増速するように、前記混練ロータ130の回転速度を制御する。
【0075】
前記処理S7に続いて、混練システムSは、制御処理部5によって、混練の終了か否かを判定する(S8)。この判定の結果、混練の終了である場合(Yes)には、混練システムSは、本処理、すなわち、前記混練機の制御を終了し、一方、混練の終了ではない場合(No)には、混練システムSは、制御処理を継続するために、処理を処理S7に戻す。混練の終了は、例えば、予め設定された混練時間の満了した場合に、混練の終了が判定され、あるいは例えば、ユーザ(オペレータ)により混練終了の指示が入力された場合に、混練の終了が判定される。
【0076】
以上説明したように、実施形態における混練システムSの前記混練機制御装置およびこれに実装された混練機制御方法は、混練の開始から、温度調整処理(温度調整工程)を実行し、続いて、回転速度調整処理(回転速度調整工程)を実行し、続いて、制御処理(フィードバック制御工程)を実行する3個の処理(工程)に分けて始動制御を行うので、安定的に前記混練機を始動できる。したがって、上記混練機制御装置および混練機制御方法は、始動時から過渡期において、前記混練機をより適切に制御できる。
【0077】
上記混練機制御装置および混練機制御方法は、第1予測モデルで求めた温度上昇幅を考慮して、温度調整処理(温度調整工程)から回転速度調整処理(回転速度調整工程)に移行することで、所定の温度以上に被混練物Obの温度が上昇することを回避でき、被混練物Obの混練品質に与える好ましくない影響を低減できる。したがって、上記混練機制御装置および混練機制御方法は、始動時から過渡期において、前記混練機をより適切に制御できる。
【0078】
上記混練機制御装置および混練機制御方法は、第2予測モデルで求めた目標回転速度で、回転速度調整処理(回転速度調整工程)から制御処理(フィードバック制御工程)に移行することで、移行時点からフィードバック制御が安定するまでの期間における制御を速やかに安定化することができ、被混練物Obの混練品質に与える好ましくない影響を低減できる。したがって、上記混練機制御装置および混練機制御方法は、始動時から過渡期において、混練機をより適切に制御できる。
【0079】
図4は、一例として、混練機の制御の様子を説明するための図である。図5は、比較例として、本発明を使用しなかった場合の混練機の制御の様子を説明するための図である。図4および図5の各横軸は、時間(経過時間)であり、それらの各縦軸は、各グラフの各値である。
【0080】
過去実績データの1つについて、実施形態における混練システムSにおける混練機の制御について、図4および図5を用いて説明する。図4において、グラフβ1は、温度のグラフである。グラフβ2は、混練ロータ103の回転速度のグラフである。グラフβ3は、電力消費量のグラフである。グラフA1は、目標温度のグラフである。グラフA2は、ラム位置のグラフであり、これにより、ラム104が混練チャンバー102に投入された被混練物Obを押圧する第1ラム位置に位置していることが表されている。一方、図5において、グラフα1は、各制御タイミングにおいて、第2予測モデルで予測した目標回転速度のグラフである。グラフα2は、温度調整処理(温度調整工程)から回転速度調整処理(回転速度調整工程)への切り替えタイミングを表すグラフであり、0から1に立ち上がったタイミングで前記切り換えが実行される。グラフα3は、各制御タイミングにおいて、今回の制御タイミングで測定した温度に第1予測モデルで求めた温度上昇幅を加算した加算結果のグラフである。グラフα1およびグラフα3において、第1および第2予測モデルに用いた第1および第2パラメータは、前記過去実績データから求められた。グラフβ11は、前記過去実績データにおける温度のグラフである。グラフβ12は、前記過去実績データにおける混練ロータ103の回転速度のグラフである。グラフβ13は、前記過去実績データにおける電力のグラフである。上述と同様に、グラフA1は、目標温度のグラフである。グラフA2は、ラム位置のグラフであり、これにより、ラム104が混練チャンバー102に投入された被混練物Obを押圧する第1ラム位置に位置していることが表されている。
【0081】
前記過去実績データでは、グラフβ11を参照すると、温度調整工程以降で、具体的には、回転速度調整工程で、温度が目標温度を超える、いわゆるオーバーシュートが生じており、フィードバック制御工程でも、温度が不安定に目標温度を挟んで上下している。この原因は、フィードバック制御工程の開始時点における回転速度が低すぎたことにある。
【0082】
一方、実施形態における混練システムSでは、図4に示すように、このような被混練物Obの温度におけるオーバーシュートや不安定な挙動が防止できている。
【0083】
なお、上述の実施形態において、第1学習データにおける第1パラメータおよび第1教師データ、ならびに、第2学習データにおける第2パラメータおよび第2教師データは、上述の例に限定されるものではない。これらは、例えば、次のように定義されてもよい(第1変形形態)。
【0084】
図6は、第1変形形態を説明するための図である。図6の横軸は、時間(経過時間)であり、その縦軸は、温度である。
【0085】
この第1変形形態における第1学習データの第1パラメータは、上述の例の第1パラメータと同様であるが、前記第1変形形態における第1学習データの第1教師データは、温度調整処理(温度調整工程)から見た、制御処理(フィードバック制御工程)の開始後の所定時間(所定第3時間)内における被混練物Obの温度上昇幅を、図6に示すように修正した修正値である。すなわち、図6に示すように、目標温度T2から前記所定第3時間における最大温度T1までの温度差(第1温度差)をW1(=T1-T2)とし、フィードバック制御工程(制御処理)の開始時点における温度(開始温度)T3から前記目標温度T2までの温度差(第2温度差)をW2(=T2-T3)とし、温度調整工程(温度調整処理)の終了時点における温度(終了温度)T4からフィードバック制御工程(制御処理)の開始時点における温度T3までの温度差(第3温度差)をW3(=T3-T4)とし、0.5<δ<1とした場合、前記第1変形形態における第1学習データの第1教師データは、W1+δ×W2+W3と定義される。なお、この計算式に負の値が求められた場合は、ゼロとして計算することする。すなわち、上述の実施形態の例に対し第2温度差W2が修正される。ここで、δは、複数のサンプルから適宜に設定され、例えば0.75や0.8や0.85等に設定される。例えば、前記所定第1時間が40[秒]であり、前記サンプリング間隔が1[秒]である場合、前記第1変形形態の第1学習データにおける第1パラメータのデータは、各サンプリングタイミングで得られた40個の温度、40個の温度変化量および40個の回転速度ならびにこれらそれぞれに共通に対応付けられる回転速度変化量を備え、前記第2教師データは、これらそれぞれに共通に対応付けられる。したがって、前記第1学習データは、40個のレコードを持つ。そして、前記初期の第1学習データセットは、このような40個のレコードを持つ第1学習データを、複数、備えて構成される。
【0086】
この第1変形形態における第2学習データの第2教師データは、制御処理(フィードバック制御工程)の開始後の所定時間(所定第5時間)の中から選定(抽出)される、開始時点の温度(先頭温度)と終了時点の温度(末尾温度)との差が最小となる所定時間(所定第6時間)の時間帯での平均回転速度である。前記所定第5時間は、例えば複数のサンプルから予め適宜に設定され、例えば、15[秒]や20[秒]や30[秒]等に設定され、前記所定第6時間は、例えば複数のサンプルから予め適宜に設定され、例えば、4[秒]や5[秒]や6[秒]等に設定される。前記第1変形形態における第2学習データの第2パラメータは、温度、温度変化量、電力、回転速度、制御処理の目標温度および前記第2教師データの作成で選定した時間帯における前記先頭温度と前記末尾温度との差(選定時間帯温度変化量)である。前記第2教師データに応じて前記第2パラメータが設定されている。例えば、前記所定第2時間が前記所定第1時間と同値の40[秒]であり、前記1[秒]のサンプリング間隔であり、前記所定第5時間が20[秒]であり、前記所定第6時間が5[秒]である場合、前記第1変形形態の第2学習データにおける第2パラメータのデータは、各サンプリングタイミングで得られた40個の温度、40個の温度変化量、40個の電力および40個の回転速度ならびにこれらそれぞれに共通に対応付けられる制御処理の目標温度および前記選定時間帯温度変化量を備え、前記第2教師データは、これらそれぞれに共通に対応付けられる。したがって、前記第2学習データは、40個のレコードを持つ。そして、前記初期の第2学習データセットは、このような40個のレコードを持つ第2学習データを、複数、備えて構成される。
【0087】
ここで、混練システムSの混練機の制御では、第2パラメータから前記選定時間帯温度変化量が除かれる(すなわち、前記選定時間帯温度変化量=0)。したがって、混練システムSの混練機の制御では、この第1変形形態での第1および第2予測モデルを用いる場合でも、上述の実施形態と同様に各処理が実行される。
【0088】
制御処理の開始時点で被混練物Obの温度が目標温度に達していなかった場合、前記制御工程でこの未達分の温度上昇が実行されることになり、回転速度が上昇され、その分、大きなオーバーシュート値になる虞がある。このため、上記第1変形形態における第1教師データは、W2そのものではなく、W2×δとして割り引くことで、より適切に第1予測モデルを機械学習できる初期の第1学習データセットが作成できる。
【0089】
上述の実施形態における第2教師データでは、前記補正係数が用いられたが、上記第1変形形態における第2教師データは、前記補正係数を用いない代わりに、前記所定第5時間および前記所定第6時間が設定され、制御処理での被混練物Obにおける物性が変化する影響が低減されている。
【0090】
また、上述の実施形態において、前記第1および第2予測モデルは、それぞれ、前記温度調整処理(温度調整工程)での第1ラム位置、前記温度調整処理(温度調整工程)での第2ラム位置、前記制御処理(フィードバック制御工程)での第1ラム位置および前記制御処理(フィードバック制御工程)での第2ラム位置の組み合わせに応じて設けられてもよい(第2変形形態)。より具体的には、ラム104が前記温度調整処理で第1ラム位置に位置し、ラム104が前記制御処理での第1ラム位置に位置する場合の第1および第2予測モデルDD1、DD2、ラム104が前記温度調整処理で第1ラム位置に位置し、ラム104が前記制御処理での第2ラム位置に位置する場合の第1および第2予測モデルDU1、DU2、ラム104が前記温度調整処理で第2ラム位置に位置し、ラム104が前記制御処理での第1ラム位置に位置する場合の第1および第2予測モデルUD1、UD2、ならびに、ラム104が前記温度調整処理で第2ラム位置に位置し、ラム104が前記制御処理での第2ラム位置に位置する場合の第1および第2予測モデルUU1、UU2の各4個、計8個の機械学習モデルが用意される。これに応じて初期の第1および第2学習データセットも、第1および第2予測モデルDD1、DD2用、第1および第2予測モデルDU1、DU2用、第1および第2予測モデルUD1、UD2用、ならびに、第1および第2予測モデルUU1、UU2用に用意される。第1および第2予測モデルDD1、DD2用における初期の第1および第2学習データセットは、ラム104が前記温度調整処理で第1ラム位置に位置し、ラム104が前記制御処理での第1ラム位置に位置する場合における過去実績データから作成される。同様に、第1および第2予測モデルDU1、DU2用における初期の第1および第2学習データセットは、ラム104が前記温度調整処理で第1ラム位置に位置し、ラム104が前記制御処理での第2ラム位置に位置する場合における過去実績データから作成される。第1および第2予測モデルUD1、UD2用における初期の第1および第2学習データセットは、ラム104が前記温度調整処理で第2ラム位置に位置し、ラム104が前記制御処理での第1ラム位置に位置する場合における過去実績データから作成される。第1および第2予測モデルUU1、UU2用における初期の第1および第2学習データセットは、ラム104が前記温度調整処理で第2ラム位置に位置し、ラム104が前記制御処理での第2ラム位置に位置する場合における過去実績データから作成される。
【0091】
そして、未機械学習の第1予測モデルDD1は、第1予測モデルDD1用における初期の第1学習データセットを用いて機械学習部56で機械学習され、未機械学習の第2予測モデルDD2は、第2予測モデルDD2用における初期の第2学習データセットを用いて機械学習部56で機械学習される。同様に、未機械学習の第1予測モデルDU1は、第1予測モデルDU1用における初期の第1学習データセットを用いて機械学習部56で機械学習され、未機械学習の第2予測モデルDU2は、第2予測モデルDU2用における初期の第2学習データセットを用いて機械学習部56で機械学習される。未機械学習の第1予測モデルUD1は、第1予測モデルUD1用における初期の第1学習データセットを用いて機械学習部56で機械学習され、未機械学習の第2予測モデルUD2は、第2予測モデルUD2用における初期の第2学習データセットを用いて機械学習部56で機械学習される。未機械学習の第1予測モデルUU1は、第1予測モデルUU1用における初期の第1学習データセットを用いて機械学習部56で機械学習され、未機械学習の第2予測モデルUU2は、第2予測モデルUU2用における初期の第2学習データセットを用いて機械学習部56で機械学習される。
【0092】
前記混練機の制御では、ラム104が前記温度調整処理で第1ラム位置に位置し、ラム104が前記制御処理での第1ラム位置に位置して混練が実施される場合には、機械学習済みの第1および第2予測モデルDD1、DD2が用いられる。同様に、ラム104が前記温度調整処理で第1ラム位置に位置し、ラム104が前記制御処理での第2ラム位置に位置して混練が実施される場合には、機械学習済みの第1および第2予測モデルDU1、DU2が用いられる。ラム104が前記温度調整処理で第2ラム位置に位置し、ラム104が前記制御処理での第1ラム位置に位置して混練が実施される場合には、機械学習済みの第1および第2予測モデルUD1、UD2が用いられる。ラム104が前記温度調整処理で第2ラム位置に位置し、ラム104が前記制御処理での第2ラム位置に位置して混練が実施される場合には、機械学習済みの第1および第2予測モデルUU1、UU2が用いられる。
【0093】
前記混練機では、ラム104を上方に配置して被混練物Obを押圧することなく前記混練機を運用する場合と、ラム104を下方に配置して被混練物Obを押圧しながら前記混練機を運用する場合とがあり、各場合で回転速度や混練温度の変化に大きな相違が生じる。このため、例えば、ラム104が前記温度調整処理で第1ラム位置に位置し、ラム104が前記制御処理での第1ラム位置に位置して混練が実施される場合に、機械学習済みの第1および第2予測モデルDU1、DU2が用いられると、前記被混練物Obの温度上昇幅や前記目標回転速度が適切に予測されない虞がある。上記第2変形形態における混練機制御装置および混練機制御方法は、前記各場合で分けて第1および第2予測モデルを用意することで、第1および第2予測モデルにおける予測精度が向上できる。したがって、上記第2変形形態における混練機制御装置および混練機制御方法は、始動時から過渡期において、混練機をより適切に制御できる。
【0094】
また、上述の実施形態において、機械学習部56は、さらに、所定のタイミングで、前記第1および第2予測モデルそれぞれを、再度、機械学習してもよい(第3変形形態)。この場合では、記憶部9には、図1に破線で示すように、機械学習済みの第1および第2予測モデルを用いた混練システムSの運用中に測定された過去実績データを実績情報として記憶する実績情報記憶部92が機能的に構成される。この実績情報記憶部92は、前記混練の開始のたびに、各制御タイミングそれぞれについて、前記第1および第2測定部としての測定部1で測定した第1および第2物理量を当該制御タイミングと対応付けて前記実績情報として記憶する。機械学習部56は、前記所定のタイミングで、まず、前記実績情報から、前記混練の開始ごとに対応した、教師ありの複数の第1学習データを作成して第1学習データセットを作成し、前記実績情報から、前記混練の開始ごとに対応した、教師ありの複数の第2学習データを作成して第2学習データセットを作成し、そして、これら作成した第1および第2学習データセットそれぞれを用いて前記第1および第2予測モデルそれぞれを、再度、機械学習する。前記所定のタイミングは、例えば、前回の機械学習の実施から1ヶ月後や3ヶ月後や6ヶ月後や12ヶ月後のタイミングであり、あるいは、例えば、実績情報記憶部92に記憶されて蓄積された実績情報量が、再度の機械学習の実施に適した所定の量に達したタイミングである。
【0095】
このような第3変形形態における混練機制御装置および混練機制御方法は、第1および第2予測モデルそれぞれを、再度、機械学習するので、第1および第2予測モデルにおける予測精度の向上が期待できる。したがって、上記第3変形形態における混練機制御装置および混練機制御方法は、始動時から過渡期において、前記混練機をより適切に制御できる。
【0096】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0097】
S 混練システム
1 測定部
2 動力源
3 モータ
4 減速機
5 制御処理部
6 入力部
7 表示部
8 インターフェース部(IF部)
9 記憶部
51 制御部
52 温度調整部
53 回転速度演算部
54 回転速度調整部
55 フィードバック制御部
56 機械学習部
91 初期学習データ記憶部
92 実績情報記憶部
102 混練チャンバー
103(103-1、103-2) 混練ロータ
104 ラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6