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特開2024-130389操縦装置、被操縦装置、通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130389
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】操縦装置、被操縦装置、通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/318 20150101AFI20240920BHJP
   H04B 17/309 20150101ALI20240920BHJP
   H04W 16/18 20090101ALI20240920BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20240920BHJP
【FI】
H04B17/318
H04B17/309
H04W16/18 110
H04W24/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040071
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 昌廣
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA34
(57)【要約】
【課題】通信環境を測定するための調査時間を低減させる。
【解決手段】
操縦装置は、周波数ホッピングにおけるチャネルの選択順を決定する制御部と、前記選択順に基づいて選択された選択チャネルに応じた周波数で送信データの送信を行う送信部と、前記送信に対応する受信であって、通信対象機器から前記選択チャネルに応じた周波数で受信データの受信を行う受信部と、を備え、前記受信データは、前記周波数ホッピングに用いられるチャネルであって測定対象の測定チャネルについての電波強度情報を含むものとした。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数ホッピングにおけるチャネルの選択順を決定する制御部と、
前記選択順に基づいて選択された選択チャネルに応じた周波数で送信データの送信を行う送信部と、
前記送信に対応する受信であって、通信対象機器から前記選択チャネルに応じた周波数で受信データの受信を行う受信部と、を備え、
前記受信データは、前記周波数ホッピングに用いられるチャネルであって測定対象の測定チャネルについての電波強度情報を含む
操縦装置。
【請求項2】
前記送信部が送信する前記送信データは、前記通信対象機器の姿勢または動作をコントロールする制御情報を含み、
前記受信部が受信する前記受信データは、前記通信対象機器についてのテレメトリー情報と前記電波強度情報を含む
請求項1に記載の操縦装置。
【請求項3】
前記受信データは、当該受信に対応する送信以降に測定された前記電波強度情報を含む
請求項1に記載の操縦装置。
【請求項4】
前記測定チャネルは選択中の前記選択チャネルとされた
請求項3に記載の操縦装置。
【請求項5】
前記測定チャネルは選択中の前記選択チャネル以外のチャネルとされた
請求項3に記載の操縦装置。
【請求項6】
前記測定チャネルは選択中の前記選択チャネルの次に選択されるチャネルとされた
請求項5に記載の操縦装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記電波強度情報に基づいて前記電波強度情報が測定された前記測定チャネルを無効にするか否かを判定し、
前記選択チャネルの選択において前記無効と判定された無効チャネル以外のチャネルを選択する
請求項1に記載の操縦装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記無効チャネルについての前記電波強度情報が含まれる前記受信データを再度受信した場合に、前記無効チャネルを有効化するか否かの判定を行う
請求項7に記載の操縦装置。
【請求項9】
前記電波強度情報に基づく情報を提示可能な表示部を備えた
請求項1に記載の操縦装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記電波強度情報に基づいて前記測定チャネルについての干渉波の強度を算出する
請求項1に記載の操縦装置。
【請求項11】
前記制御部は、算出した干渉の度合いに応じて警告処理を行う
請求項10に記載の操縦装置。
【請求項12】
前記制御部は、
操作部の操作に応じて警告条件を設定し、
前記警告条件に応じた前記警告処理を行う
請求項11に記載の操縦装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記電波強度情報に基づいて前記電波強度情報が測定された前記測定チャネルを無効にするか否かを判定し、
前記判定によって無効と判定された無効チャネルが所定数以上となった場合に前記警告処理を実行する
請求項11に記載の操縦装置。
【請求項14】
前記受信データは、前記測定チャネルについての電波強度情報に加えて前記選択チャネルについての電波強度情報を含む
請求項1に記載の操縦装置。
【請求項15】
周波数ホッピングに用いられる複数のチャネルから選択された選択チャネルに応じた周波数で受信データの受信を行う受信部と、
前記周波数ホッピングに用いられるチャネルであって測定対象の測定チャネルについての電波強度情報を測定する制御部と、
前記受信に対応する送信であって、前記受信データを送信した操縦装置に対して前記受信で用いられた前記選択チャネルに応じた周波数で送信データの送信を行う送信部と、を備え、
前記送信データは、前記受信データの受信と前記送信データの送信の合間に前記制御部によって測定された前記電波強度情報を含む
被操縦装置。
【請求項16】
操縦装置と被操縦装置とを含む通信システムであって、
前記操縦装置は、
周波数ホッピングにおけるチャネルの選択順を決定する制御部と、
前記選択順に基づいて選択された選択チャネルに応じた周波数で送信データの送信を行う送信部を備え、
前記被操縦装置は、
前記選択チャネルに応じた周波数で前記送信データの受信を行う受信部と、
前記周波数ホッピングに用いられるチャネルであって測定対象の測定チャネルについての電波強度情報を測定する制御部と、
前記受信に対応する送信であって、前記操縦装置に対して前記選択チャネルに応じた周波数で前記電波強度情報を含む返送データの送信を行う送信部と、を備えた
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操縦装置、被操縦装置及び通信システムに関し、特に、周波数ホッピングを用いて適宜チャネルを変更しながら通信を行う操縦装置、被操縦装置及び通信システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
模型飛行機やドローンなど無線通信によって遠隔操作を行う機器においては、操縦区域における通信環境が重要であり、通信環境が悪い場合には適切な操縦が行えないという問題がある。
そのため、操縦区域における干渉波の存在を事前に測定するための調査が行われている。
例えば、下記特許文献1に示すように、測定者が所定の空間(操縦区域)内をくまなく無人航空機を飛行させることにより操縦区域についての電波強度データを取得することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-155710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように操縦予定の区域内をくまなく無人航空機を飛行させる方法では、事前の測定に長い時間を要してしまい適切でない場合がある。
また、そもそも事前の測定時間を設けることができない場合もある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、通信環境を測定するための調査時間を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る操縦装置は、周波数ホッピングにおけるチャネルの選択順を決定する制御部と、前記選択順に基づいて選択された選択チャネルに応じた周波数で送信データの送信を行う送信部と、前記送信に対応する受信であって、通信対象機器から前記選択チャネルに応じた周波数で受信データの受信を行う受信部と、を備え、前記受信データは、前記周波数ホッピングに用いられるチャネルであって測定対象の測定チャネルについての電波強度情報を含むものである。
例えば、通信対象機器はドローンなどのマルチコプターやラジオコントロール模型などの遠隔操作の対象となる操作対象機器とされる。そして、操縦装置は遠隔操作の対象となる機器を操縦するためにユーザが操作するコントローラーとされる。
この場合には、操作対象機器の制御用の制御情報(姿勢制御情報)が送信部から送信され、これに応じて操作対象機器からの制御結果や操作対象機器についての各種のテレメトリー情報が受信部で受信される。
これらの情報の送受信を用いることにより、コントローラーを用いた操作対象機器の遠隔操縦が可能となる。
これらの送受信は、謂わば、操作対象機器を遠隔操縦するための通常の送受信動作であるが、本構成によれば、通常行われるこれらの送受信において電波強度情報を操作対象機器から受信することができる。
【0007】
本発明に係る被操縦装置は、周波数ホッピングに用いられる複数のチャネルから選択された選択チャネルに応じた周波数で受信データの受信を行う受信部と、前記周波数ホッピングに用いられるチャネルであって測定対象の測定チャネルについての電波強度情報を測定する制御部と、前記受信に対応する送信であって、前記受信データを送信した操縦装置に対して前記受信で用いられた前記選択チャネルに応じた周波数で送信データの送信を行う送信部と、を備え、前記送信データは、前記受信データの受信と前記送信データの送信の合間に前記制御部によって測定された前記電波強度情報を含むものである。
【0008】
本発明に係る通信システムは、操縦装置と被操縦装置とを含む通信システムであって、前記操縦装置は、周波数ホッピングにおけるチャネルの選択順を決定する制御部と、前記選択順に基づいて選択された選択チャネルに応じた周波数で送信データの送信を行う送信部を備え、前記被操縦装置は、前記選択チャネルに応じた周波数で前記送信データの受信を行う受信部と、前記周波数ホッピングに用いられるチャネルであって測定対象の測定チャネルについての電波強度情報を測定する制御部と、前記受信に対応する送信であって、前記操縦装置に対して前記選択チャネルに応じた周波数で前記電波強度情報を含む送信データの送信を行う送信部と、を備えたものである。
このような被操縦装置や通信システムによっても上述した作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、通信環境を測定するための調査時間を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態の通信システムを構成するコントローラーと被操縦機器についての機能ブロック図である。
図2】コントローラーの外観を示す斜視図である。
図3】送信データとしてのメッセージパケットのデータ構成例を示す図である。
図4】返送データとしてのメッセージパケットのデータ構成例を示す図である。
図5】周波数ホッピングによるデータの送受信を説明するための図である。
図6】電波強度情報に基づくスペクトラム表示がなされたコントローラーの表示部の一例を示す図である。
図7図8と共にコントローラーが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図8図7に続いてコントローラーが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図9図10と共に被操縦機器が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図10図9に続いて被操縦機器が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図11】表示部にスペクトラム表示を行うためにコントローラーが実行する処理の一例についてのフローチャートである。
図12】コントローラーが実行する警告処理の一例についてのフローチャートである。
図13】コントローラーが実行する警告条件の設定の一例についてのフローチャートである。
図14】第2の実施の形態における周波数ホッピングによるデータの送受信を説明するための図である。
図15】第3の実施の形態における周波数ホッピングによるデータの送受信を説明するための図である。
図16】第3の実施の形態におけるコントローラーが図7に続いて実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態を次の順序で説明する。
<1.通信システムの構成>
<2.メッセージパケットの構造>
<2-1.送信データ>
<2-2.返送データ>
<3.RSSI値の測定タイミング>
<4.スペクトラム表示>
<5.処理フロー>
<6.第2の実施の形態>
<7.第3の実施の形態>
<8.変形例>
<9.まとめ>
【0012】
<1.通信システムの構成>
以下に、第1の実施の形態の通信システムSについて、図面を参照しながら説明する。
通信システムSは、コントローラー1とコントローラー1によって遠隔操縦される被操縦機器2から成る。
【0013】
コントローラー1は、被操縦機器2に対して操縦のための制御情報を送信する操縦装置とされる。また、被操縦機器2は、コントローラー1から制御情報を受信して姿勢等を変更する操作対象機器とされる。
【0014】
コントローラー1は、無線通信のためのアンテナ3と、アンテナ3を介してデータの送受信を行う通信部4と、種々の処理を行う制御部5と、操縦者による操作入力が行われる操作部6と、操縦者に対して種々の情報を提示するための表示部7を備えている。
【0015】
アンテナ3は、例えば、略2.4GHzから略2.5GHzまでの周波数帯の電波の送信と受信が可能とされている。
なお、これに限らず、アンテナ3は、27MHz、40MHz、72MHz、73MHz、429MHz、920MHz、1.2GHz(ギガヘルツ)、5GHz、6GHzなどの各周波数帯付近の電波の送信と受信が可能に構成されていてもよい。また、それらの複数の周波数帯における電波の送信と受信が可能にされていてもよい。
なお、これらの各周波数帯はあくまで通信システムSの日本国内での利用を考慮したものである。従って、通信システムSが利用される国や地域によってこれらの周波数帯は適宜異なるものとされることが望ましい。即ち、通信システムSは、法令を遵守しつつ利用可能な周波数帯に対応したアンテナ3を備えることが望ましい。
【0016】
本実施の形態における通信システムSは、コントローラー1と被操縦機器2が一度ずつメッセージパケットを送信するごとに、使用するチャネルCHを変更する。即ち、コントローラー1は、パケットの送信と受信を行った後に、無線通信に使用するチャネルCHを変更する周波数ホッピングを行う。
【0017】
通信部4は、例えば、送信部4Sと受信部4Rが一体となったIC(Integrated Circuit)として構成される。通信部4は、変調部、電力増幅部、高周波増幅部、復調部が一体に構成されている。
なお、送信部4Sを構成するICと受信部4Rを構成するICが別体として設けられていてもよい。
【0018】
本実施の形態における通信部4は、メッセージパケットごとの送受信を行う。
【0019】
送信部4Sは、制御部5から渡されたメッセージパケットを被操縦機器2に送信する処理を実行する。
【0020】
受信部4Rは、被操縦機器2から送信されたメッセージパケットを受信し、制御部5に渡す処理を実行する。
【0021】
通信部4は、メッセージパケットの送受信のためのバッファメモリ等を有して構成されていてもよい。
【0022】
制御部5は、被操縦機器2に対して送信する情報を格納したメッセージパケットの生成を行い、生成したメッセージパケットを送信部4Sへ供給する。
【0023】
また、制御部5は、受信部4Rを介して被操縦機器2から受信したメッセージパケットのヘッダ部分等を解析し、状況に応じた種々の処理を行う。例えば、制御部5は、被操縦機器2についての制御電圧値やバッテリー残量などの各種の計測情報をテレメトリー情報として受け取り、テレメトリー情報に応じた制御を行う。また、テレメトリー情報には、被操縦機器2の緯度情報や経度情報、或いは被操縦機器2が飛行体である場合の高度情報などの現在地情報をなどが含まれてもよい。
【0024】
具体的には後述するが、制御部5は、被操縦機器2から受信したメッセージパケットに含まれる電波強度情報(RSSI( Received Signal Strength Indicator)値) に基づいて干渉波の存在の有無やその強度を算出する。
【0025】
また、制御部5は、干渉波の強度に応じて適応的に周波数ホッピングのパターンを変更する処理や選択予定のチャネルCHの変更などを行う。
【0026】
制御部5は、電波強度情報に応じて警告処理等を実行可能とされている。
【0027】
制御部5は、操縦者が操作部6を操作したことに応じて操作部6で検出された操作信号に基づいて各種の処理を行う。各種の処理としては、例えば、被操縦機器2に対して操縦者の操作に基づく制御情報をメッセージパケットに含ませて送信する処理などである。他にも、制御部5は各種の処理として、ユーザのメニュー操作に応じたメニュー表示処理や、設定変更処理などを行う。
【0028】
操作部6は、例えば、被操縦機器2の姿勢や移動方向を変更するための操作子や、所定の方向へ移動させる操作子や、被操縦機器2の駆動部に対応して設けられた操作子などが含まれる(図2参照)。また、表示部7に表示されたメニューに対する操作を行うための十字キーや決定ボタンやキャンセルボタンやスライドスイッチなどが操作部6に含まれてもよい。
【0029】
操作部6は、上述した警告処理の実行可否を決定するための警告条件を設定可能な操作子を含む。
【0030】
表示部7は、各種の画像やデータが表示されるディスプレイを有して構成されており、ディスプレイはタッチパネル機能を有していてもよい。ディスプレイがタッチパネル機能を有している場合には、ディスプレイは表示部7として機能すると共に操作部6としても機能する。
【0031】
被操縦機器2は、無線通信のためのアンテナ8と、アンテナ8を介してデータの送受信を行う通信部9と、種々の処理を行う制御部10と、各種の駆動部11と、を備えている。また、被操縦機器2は、これ以外にもカメラ機器等、目的に応じた機器を搭載していてもよい。
【0032】
アンテナ8は、コントローラー1のアンテナ3から送信された電波を受信可能とされている。即ち、本実施の形態においては、アンテナ3は略2.4GHzから略2.5GHzまでの周波数帯の電波の送信と受信が可能とされている。
【0033】
通信部9は、送信部9Sと受信部9Rが一体となったICとして構成される。通信部9は、変調部、電力増幅部、高周波増幅部、復調部が一体に構成されている。
なお、送信部9Sを構成するICと受信部9Rを構成するICが別体として設けられていてもよい。
【0034】
制御部10は、受信部9Rを介してコントローラー1から受信したメッセージパケットのヘッダ部分等を解析し、状況に応じた種々の処理を行う。例えば、制御部10は、メッセージパケットに含まれる制御情報に基づいて駆動部11を駆動する。これにより、被操縦機器2の姿勢が変更され、移動方向や速度などが変化する。
【0035】
制御部10は、被操縦機器2についての制御電圧値やバッテリー残量などの各種の計測情報をテレメトリー情報として格納したメッセージパケットを生成し、送信部9Sに提供する。テレメトリー情報には、上述したように、被操縦機器2の位置情報等が含まれてもよい。
【0036】
制御部10は、受信部9Rにおいて受信された所定帯域(例えば2.4GHz帯)における所定のチャネルCHについての電波強度情報を取得する。
制御部10は、テレメトリー情報と共に取得した電波強度情報をメッセージパケットの所定の領域に格納し、送信部9Sを介してコントローラー1に送信する。
【0037】
駆動部11は、被操縦機器2の態様に応じて種々設けられている。例えば、被操縦機器2がドローンなどのマルチコプターである場合には、プロペラを駆動するためのモーター等を含み、被操縦機器2が固定翼を備えた航空機であれば、エルロンやラダーやエレベータを駆動するためのモーター等を含む。
また、被操縦機器2が飛行する機器ではなく自動車などを模した模型車両である場合には、車輪を駆動するためのモーターや操舵のためのモーターなどが含まれる。
【0038】
<2.メッセージパケットの構造>
通信システムSで用いられるメッセージパケットの構成例について図3及び図4を参照して説明する。
<2-1.送信データ>
コントローラー1から送信される送信データDsにおけるメッセージパケットの構成例を図3に示す。なお、被操縦機器2から見れば、当該送信データDsは受信データと言える。
【0039】
送信データDsは、同期コード領域F1と、ID(Identification)コード領域F2と、ホッピングパターン領域F3と、チャネル有効・無効情報領域F4と、制御データ領域F5と、チェック領域F6とを含む。なお、図3はあくまでメッセージパケットのデータ構成の一部を示したものであり、これ以外の領域が設けられていてもよい。
【0040】
同期コード領域F1には、被操縦機器2との通信における同期を取るためのデータが格納される。
【0041】
IDコード領域F2は、通信対象の機器を特定するためのIDが格納される領域であり、具体的には、被操縦機器2のIDが格納される。また、IDコード領域F2に送信元の機器であるコントローラー1を特定するためのIDが更に格納されてもよい。
【0042】
ホッピングパターン領域F3は、周波数ホッピングにおけるチャネルCHの遷移パターンを特定するためのコードが格納される領域である。チャネルCHの遷移パターン(以降、「ホッピングパターン」と記載)として例えばN種類が設けられる場合には、1からNの何れかの数値がホッピングパターン領域F3に格納される。なお、チャネルCHの遷移パターンの数は数種類から数十種類など、種々考えられる。用意される遷移パターンの数を増やすほど、通信衝突を回避する可能性を高めることができる。
【0043】
ホッピングパターンは、例えば、チャネルCH0からチャネルCH35までを昇順或いは降順に選択するパターンであってもよいし、チャネルCH0の選択以降、チャネルCH21、チャネルCH4、チャネルCH31、チャネルCH18、チャネルCH26などのようにランダム或いは疑似ランダムで順に選択するパターンであってもよい。
【0044】
ランダムなパターンにおいては、所定のランダムパターンを繰り返してもよいし、完全なランダムによってチャネルCHが順次選択されてもよい。
【0045】
また、ランダムなパターン以外にも、チャネルCH0から五つおきにチャネルCHが選択されてもよい。例えば、チャネルCH0、チャネルCH5、チャネルCH10、・・・チャネルCH35、チャネルCH4、チャネルCH9、・・・のような順でチャネルが順次選択されてもよい。
【0046】
或いは、広帯域の干渉波の存在に対応するようにチャネルCH0からチャネルCH17までの18個のチャネルCHをランダムに遷移するホッピングパターンと、チャネルCH18からチャネルCH35までの18個のチャネルCHをランダムに遷移するホッピングパターンとが設けられていてもよい。そして、これらのホッピングパターンは、干渉波の存在に応じて適宜使い分けられてもよい。例えば、チャネルCH0からチャネルCH17の大部分に影響を与える比較的広帯域な干渉波が存在する場合には、後者のチャネルCH18からチャネルCH35を用いたホッピングパターンを利用する。
【0047】
チャネル有効・無効情報領域F4には、周波数ホッピングに用いられるチャネルCHごとの有効フラグまたは無効フラグが格納される。例えば、周波数ホッピングに36個のチャネルCHが用いられる場合には、36ビットから成るフラグ情報がチャネル有効・無効情報領域F4に格納される。
【0048】
制御データ領域F5には、被操縦機器2に対する制御情報が格納される。制御情報は、例えば、制御対象の駆動部11に印加する電圧を示すデータであってもよいし、制御対象の駆動部11についての駆動量(例えば角度情報)を示すデータであってもよい。
また、制御データ領域F5には、被操縦機器2に所定の動作を行わせるための指示情報が含まれる。例えば、被操縦機器2がカメラ機器を搭載している場合には、カメラ機器による撮像動作を指示するためのコード情報が制御データ領域F5に格納される。
【0049】
チェック領域F6には、メッセージパケットに含まれる各データの誤りを検出するための冗長コードが格納される。例えば、チェック領域F6には、制御データの誤りのみを検出するための冗長コードが格納されてもよいし、それ以外の領域についての誤りを検出するための冗長コードが格納されてもよい。また、誤りチェックの方式は問わず、誤り訂正を行ってもよい。
【0050】
<2-2.返送データ>
コントローラー1が被操縦機器2から受信する受信データであって被操縦機器2からの返送データDrにおけるメッセージパケットの構成例を図4に示す。
【0051】
返送データDrは、同期コード領域F11と、IDコード領域F12と、ホッピングパターン領域F13と、第1RSSI値領域F14と、第2RSSI値領域F15と、テレメトリーデータ領域F16と、チェック領域F17とを含む。なお、図4はあくまでメッセージパケットのデータ構成の一部を示したものであり、これ以外の領域が設けられていてもよい。
【0052】
同期コード領域F11は、コントローラー1と被操縦機器2の通信における同期を取るためのデータが格納される。
【0053】
IDコード領域F12は、コントローラー1を特定するためのIDや被操縦機器2を特定するためのIDなどが格納される領域である。
【0054】
ホッピングパターン領域F13は、周波数ホッピングにおけるホッピングパターンを特定するコードが格納される領域である。
【0055】
第1RSSI値領域F14は、当該メッセージパケットの送受信に使用されているチャネルCHについて測定したRSSI値が格納される領域である。ここで、送受信に使用するチャネルCHであってコントローラー1によって選択されたチャネルCHを「選択チャネルCHs」と記載する。
【0056】
第1RSSI値領域F14には、選択チャネルCHsについてのRSSI値(第1RSSI値)であって、先の送信データDsを受信した際の電波強度の情報が格納される。
【0057】
第2RSSI値領域F15は、あるチャネルCHについて当該メッセージパケットの送受信が行われていない時間帯について測定したRSSI値が格納される領域である。ここで、第2RSSI値の測定の対象とされたチャネルCHを「測定チャネルCHm」と記載する。
【0058】
第2RSSI値は、ノイズレベルを測定した結果を表す数値と見なすことができる。従って、第2RSSI値は通信環境が良好なほど低い値とされる。
【0059】
選択チャネルCHsと測定チャネルCHmは同じチャネルCHであってもよいし、異なるチャネルCHであってもよい。本例では、選択チャネルCHsと測定チャネルCHmが同じチャネルCHである場合について説明する。
【0060】
テレメトリーデータ領域F16は、被操縦機器2において測定される電圧値や電流値、或いは、バッテリーの残量などの情報がテレメトリー情報として格納される領域である。
【0061】
チェック領域F17には、メッセージパケットに含まれる各データの誤りを検出するための冗長コードが格納される。
【0062】
<3.RSSI値の測定タイミング>
通信に係るコントローラー1及び被操縦機器2の状態の遷移、そして、被操縦機器2におけるRSSI値の測定のタイミングについて、図5を参照して説明する。
【0063】
なお、アンテナの通信状態を受信状態にした期間を受信期間Trとし、送信状態にした期間と送信期間Tsとする。また、チャネルCH0に応じた周波数帯の電波を受信可能な受信状態にした期間を受信期間Tr0とし、チャネルCH10に応じた周波数帯の電波を受信可能な受信状態にした期間を受信期間Tr10とする。
同様に、チャネルCH0に応じた周波数帯の電波を送信可能な送信状態にした期間を送信期間Ts0とし、チャネルCH10に応じた周波数帯の電波を送信可能な送信状態にした期間を送信期間Ts10とする。
【0064】
図5に示すように、コントローラー1の制御部5は、ホッピングパターンに基づいて選択されたチャネルCH10に応じてアンテナ3を送信状態に制御する送信期間Ts10を設け、送信データDsを被操縦機器2に対して送信させる。
【0065】
一方、同期間における被操縦機器2の制御部10は、アンテナ8をチャネルCH10に応じた受信状態に制御する受信期間Tr10を設ける。これにより、制御部10は受信部9Rを介して送信データDsを受信する。また、制御部10は、送信データDsの受信時のRSSI値を第1RSSI値として取得する。
【0066】
続いて、被操縦機器2からコントローラー1に対してメッセージパケットを返信するまでの間に通信の休止時間が存在する。この時間を利用して被操縦機器2の制御部10は、アンテナ8を測定チャネルCHm(本例ではチャネルCH10)に応じた受信状態に制御する受信期間Tr10を再度設け、第2RSSI値を取得する。このとき取得される第2RSSI値は、他の機器間で行われる通信などによるノイズレベルに応じたものとされる。
【0067】
通信の休止時間が明けると、被操縦機器2の制御部10は、コントローラー1に対してメッセージパケットを返信するためにアンテナ8をチャネルCH10に応じた送信状態に制御する送信期間Ts10を設ける。これにより、制御部10は送信部9Sを介して返送データDrをコントローラー1に対して送信する。なお、この返送データDrには、第1RSSI値と第2RSSI値の双方が含まれている。
【0068】
同期間におけるコントローラー1の制御部5は、アンテナ3をチャネルCH10に応じた受信状態に制御する受信期間Tr10を設ける。これにより、制御部5は受信部4Rを介して返送データDrを受信する。
【0069】
コントローラー1の制御部5がアンテナ3を送信状態に制御する送信期間Tsからアンテナ3を受信状態に制御する受信期間Trまでの間に、送信データDsの送受信と返送データDrの送受信が完了する。
送信データDsと返送データDrの送受信を終えた後に、コントローラー1の制御部5と被操縦機器2の制御部10は、ホッピングパターンに基づいて次のチャネルCHを選択チャネルCHsとして選択する。図5に示す例では、選択チャネルCHsとしてチャネルCH4が選択され、以降同様に、チャネルCH20、チャネルCH8が選択される。
【0070】
<4.スペクトラム表示>
コントローラー1の制御部5は、受信した返送データDrから第2RSSI値を取得する。図5に示すように、コントローラー1と被操縦機器2の間で送信データDsの送受信と返送データDrの送受信を繰り返すと、チャネルCHごとの第2RSSI値のデータがコントローラー1に蓄積されていく。
【0071】
制御部5は、蓄積された第2RSSI値を利用して、図6に示すようなスペクトラム表示を表示部7において実現する。
【0072】
図6に示す表示は、縦軸が周波数とされ横軸がRSSI値とされたものであり、チャネルCHごと(周波数ごと)のノイズレベルを可視化したものである。
【0073】
図示するように、RSSI値が高い周波数帯は、他の機器での通信に利用されている可能性が高い周波数帯であり、コントローラー1と被操縦機器2の通信での利用に適していない周波数帯である。
【0074】
制御部5は、このような周波数帯に基づいてチャネルCHごとの利用可否を決定し、次回の選択チャネルCHsの選択に反映させる。
【0075】
<5.処理フロー>
コントローラー1の制御部5が実行する処理の流れの一例を図7及び図8に示す。
なお、図7及び図8のループ処理を実行する前にホッピングパターンの選択と、選択されたホッピングパターンを被操縦機器2と共有する処理は済んでいるものとする。
また、図7及び図8においては、図面間の処理の接続等をコネクタC1、C2で表している。
【0076】
制御部5は、ステップS101でホッピングパターンに応じて次に選択予定のチャネルCHが有効であるか否かを判定する。
【0077】
干渉波の存在などにより次に選択予定のチャネルCHに無効フラグが設定されている場合には、選択予定のチャネルCHが有効でないと判定し、制御部5は続くステップS102で、選択予定のチャネルCHをスキップし、ステップS101の処理へと戻る。
【0078】
一方、選択予定のチャネルCHに無効フラグが設定されておらず選択予定のチャネルCHは有効であると判定した場合に、制御部5はステップS103で、選択予定のチャネルCHを選択チャネルCHsとして選択する。
【0079】
制御部5はステップS104で、選択チャネルCHsに応じた周波数の電波を送信可能な送信状態へアンテナ3を制御する。
【0080】
制御部5はステップS105で、送信データDsを生成して被操縦機器2へ送信する。このとき生成される送信データDsには、後述するステップS111やステップS112で設定されたり解除されたりする無効フラグに応じたチャネルCHごとの有効・無効情報が格納される。また、送信データDsには、被操縦機器2を操縦するための制御情報が含まれる。
【0081】
制御部5は、被操縦機器2からの返送データDrを受信するために、ステップS106で選択チャネルCHsに応じた周波数の電波を受信可能な受信状態へアンテナ3を制御する。なお、制御部5は、ステップS106の処理の前に所定時間の休止時間に対応する待機時間を設けてもよい。
【0082】
続いて、制御部5は、図8のステップS107で返送データDrを受信したか否かを判定する。返送データDrを受信していないと判定した場合には、制御部5はステップS108で所定時間が経過したか否かを判定する。返送データDrを受信せずに所定時間が経過した場合とは、例えば、干渉波の存在により被操縦機器2からの返送データDrを適切に受信できなかった場合などである。この場合には、制御部5は、ホッピングパターンに基づいて選択された次の選択チャネルCHsを用いてコントローラー1から新たに送信データDsを送信する。
【0083】
従って、制御部5はステップS108で所定時間が経過したと判定した場合に、ステップS109で次の送信データDsの送信に備えて選択チャネルCHsをスキップし、ステップS101へと戻る。これにより、ホッピングパターンに基づいて次に選択予定のチャネルCHについての有効判断が行われる。
【0084】
一方、返送データDrを受信しておらず所定時間も経過していないと判定した場合には、制御部5はステップS107へと戻り、返送データDrの受信確認を行う。
【0085】
返送データDrを受信したと判定した場合には、制御部5は、ステップS110へと進む。
なお、具体的には後述するが、ここで受信した返送データDrには、送信データDsを送受信した際に測定された選択チャネルCHsについての電波強度情報である第1RSSI値と、測定チャネルCHm(本例では選択チャネルCHsと同一チャネル)についてのノイズレベルを示す電波強度情報である第2RSSI値が格納されている。
【0086】
制御部5は、ステップS110で、選択チャネルCHsについての干渉の度合いが閾値未満であるか否かを判定する。具体的に制御部5は、選択チャネルCHsについての第1RSSI値から選択チャネルCHsについての第2RSSI値を減算することにより得られた差分値と閾値を比較することにより干渉の度合いを数値化する。
【0087】
差分値が閾値以下である場合には、送信データDsを被操縦機器2で受信した際の受信レベルとノイズレベルが近いため適切な通信が行える環境ではないと判定することができる。この場合には、制御部5はステップS110で干渉の度合いが閾値以上であると判定し、続くステップS111で選択チャネルCHsに無効フラグを設定する。これにより、今後の周波数ホッピングにおいて当該選択チャネルCHsが再度選択されないようにする。
なお、ステップS111では、無効フラグを設定する代わりに有効フラグを解除してもよい。
【0088】
一方、差分値が閾値よりも大きい場合には、送信データDsの受信を良好に行える環境であると判定することができる。従って、制御部5はステップS110で干渉の度合いが閾値未満であると判定し、続くステップS112で選択チャネルCHsに有効フラグを設定する。なお、ステップS112で有効フラグを設定する代わりに無効フラグを解除してもよい。
【0089】
なお、ノイズレベルが高くても、送信データDsについての電波強度が相対的に高い場合には、差分値が大きくなるため、当該チャネルCHは有効と判定される。
一方、ノイズレベルが低くても、送信データDsについての電波強度が低い場合には、差分値も小さくなるため、当該チャネルCHは無効と判定される。
【0090】
続いて、図7図8に示すコントローラー1の制御部5の制御に対応して被操縦機器2の制御部10が実行する処理の一例を図9図10に示す。なお、図9及び図10においては、図面間の処理の接続等をコネクタC3、C4で表している。
【0091】
被操縦機器2の制御部10は、ステップS201で、選択予定のチャネルCHは有効であるか否かを判定する。選択予定のチャネルCHに無効フラグが設定されている場合などに、制御部10は選択予定のチャネルCHは有効でないと判定し、ステップS202で選択予定のチャネルCHをスキップする。
【0092】
一方、選択予定のチャネルCHは有効であると判定した場合に、制御部10はステップS203で、選択予定のチャネルCHを選択チャネルCHsとして選択する。
【0093】
制御部10はステップS204で、選択チャネルCHsに応じた受信状態へアンテナ8を制御する。
【0094】
制御部10はステップS205で、送信データDsを受信したか否かを判定する。
受信していないと判定した場合、制御部10はステップS206で、所定時間が経過したか否かを判定する。送信データDsを受信せずに所定時間が経過した場合とは、例えば、干渉波の存在によりコントローラー1からの送信データDsを適切に受信できなかった場合などである。この場合には、制御部10は、ホッピングパターンに基づいて選択された次の選択チャネルCHsを用いてコントローラー1から新たに送信データDsを送信する。
【0095】
従って、制御部10はステップS206で所定時間が経過したと判定した場合に、ステップS207で次の送信データDsの受信に備えて選択チャネルCHsをスキップし、ステップS201へと戻る。これにより、ホッピングパターンに基づいて次に選択予定のチャネルCHについての有効判断が行われる。
【0096】
一方、送信データDsを受信しておらず所定時間も経過していないと判定した場合には、制御部10はステップS205へと戻り、送信データDsの受信確認を行う。
【0097】
ステップS205で送信データDsを受信したと判定した場合には、制御部10は図10のステップS208で、送信データDsを受信した際の電波強度情報の測定を行う。これにより、選択チャネルCHsについての第1RSSI値が取得される。
【0098】
受信した送信データDsには、チャネルCHごとの有効・無効情報が含まれている。これに応じて、制御部10はステップS209で、チャネルCHごとの有効・無効情報を更新する。
【0099】
制御部10はステップS210で、測定チャネルCHmに応じた受信状態へアンテナ8を制御する。なお、本例では、選択チャネルCHsと測定チャネルCHmが同一のチャネルCHであるため、測定チャネルCHmに応じた受信状態への切り替えは不要としてもよい。
【0100】
制御部10は、ステップS211で、測定チャネルCHmの電波強度情報の測定を行う。これにより、測定チャネルCHmについての第2RSSI値が取得される。
【0101】
制御部10は、ステップS212で、選択チャネルCHsに応じた送信状態へアンテナ8を制御する。
【0102】
制御部10は、ステップS213で返送データDrを生成しコントローラー1に対して送信する。ここで生成された返送データDrには、選択チャネルCHsについての第1RSSI値と測定チャネルCHmについての第2RSSI値が格納される。また、バッテリー残量などの各種テレメトリー情報も返送データDrに格納される。
【0103】
コントローラー1の制御部5は、図7及び図8に示す一連の処理だけでなく他の処理も並行して実行している。図7及び図8に示す各処理と並行してコントローラー1の制御部5が実行する処理について各図を参照して説明する。
【0104】
図6に示すようなスペクトラム表示をコントローラー1の表示部7で行うためにコントローラー1の制御部5が実行する処理の一例を図11に示す。
【0105】
制御部5は、ステップS301で新たな第2RSSI値を被操縦機器2から取得したか否かを判定する。取得していないと判定した場合は、制御部5は再度ステップS301の処理を行う。
【0106】
一方、新たな第2RSSI値を取得したと判定した場合に、制御部5はステップS302で、表示部7におけるスペクトラム表示を更新する。図11に示す処理が例えば数msecや数秒ごとに実行されることで、周波数ごとの最新のノイズレベルを示すスペクトラム表示が表示部7上で行われる。
【0107】
コントローラー1の制御部5は、例えば、広帯域の干渉波が存在する場合に、適切な制御が困難になる可能性が高いと判定し、その旨を操縦者に通知するための警告処理を実行する。
【0108】
警告処理に関連して制御部5が実行する処理の一例を図12に示す。
【0109】
制御部5はステップS401で、無効と判定された無効チャネルの数を算出する。
【0110】
制御部5は、ステップS402で、無効チャネルの数が所定数以上であるか否かを判定する。ここで用いられる判定閾値は、例えば、周波数ホッピングにおいて用いられるチャネル数に応じて設定される。
【0111】
具体的には、有効チャネルが所定数以上となるように定められた判定閾値であってもよいし、無効チャネルが全チャネル数に占める割合に基づいて定められた判定閾値であってもよい。
【0112】
無効チャネルの数が所定数未満であると判定した場合には、制御部5はステップS403の警告処理を行わずにステップS401へと戻る。
一方、無効チャネルの数が所定数以上であると判定した場合には、制御部5は、ステップS403で警告処理を行う。
【0113】
警告処理としては種々の態様が考えられる。
例えば、コントローラー1の表示部7に着陸や停止を促すための警告表示を行うことにより実現してもよいし、コントローラー1が備えるスピーカーから着陸を促すための所定の警告音や警告音声を出力させることにより実現してもよい。
【0114】
或いは、警告処理としてコントローラー1に内蔵された振動子を振動させることで操縦者の触覚に訴えることにより通知を実現してもよい。
【0115】
また、警告処理と並行して、被操縦機器2を安全に停止させる処理を行ってもよい。例えば、被操縦機器2がドローンなどの飛行体である場合には、操縦者に近づくように被操縦機器2の駆動部11を自動で駆動させることにより、操縦者付近の安全な地面への着陸を促してもよい。
【0116】
なお、警告処理の発動条件である警告条件(図12のステップS402で用いる条件)は、操縦者などによって適宜設定可能にされてもよい。警告条件の設定に関して制御部5が実行する処理の一例を図13に示す。
【0117】
制御部5は、ステップS501において、警告条件の設定操作を検出したか否かを判定する。警告条件の設定操作とは、特定のボタンを押下する操作や、特定のメニューを選択する操作などである。或いは、音声入力による操作が可能とされている場合には、特定の音声入力操作を警告条件の設定操作として検出してもよい。
【0118】
制御部5は、警告条件の設定操作を検出するまでステップS501の処理を定期的に実行する。
【0119】
警告条件の設定操作を検出したと判定した場合には、制御部5はステップS502で、警告条件の入力画面を表示部7に表示させる。
【0120】
制御部5はステップS503で、警告条件の入力が完了したか否かを判定する。警告条件の入力の完了とは、例えば、完了ボタンや設定ボタンの押下によりなされる。
【0121】
警告条件の入力が完了していないと判定した場合に、制御部5はステップS503の処理を繰り返す。なお、キャンセル操作を検出した場合には、制御部5はステップS501の処理へと戻る。
【0122】
一方、警告条件の入力が完了したと判定した場合に、制御部5はステップS504で、入力された新たな警告条件を設定する。
【0123】
ここで設定される警告条件とは、無効チャネルの数であってもよいし、全チャネル数に対する無効チャネルの割合であってもよいし、干渉波の電波強度の高さであってもよい。
また、警告条件の設定と併せて、無効チャネルと有効チャネルを判定し分ける閾値であって図8のステップS110で用いられる閾値を設定可能にされてもよい。
【0124】
<6.第2の実施の形態>
第2の実施の形態は、測定チャネルCHmを選択チャネルCHsと異ならせる例である。本実施の形態における選択チャネルCHsと測定チャネルCHmの関係について図14に示す。
【0125】
図14に示すように、選択チャネルCHsの選択順は第1の実施の形態における図5と同様とされている。但し、被操縦機器2において送信データDsの受信と返送データDrの送信の間における電波強度情報の取得対象とされた測定チャネルCHmは、選択チャネルCHsと関係なく、チャネルCH0から昇順で順に選択されている。
【0126】
本実施の形態において被操縦機器2の制御部10が実行する処理は、図9及び図10に示すものと同様である。
【0127】
但し、ステップS208で測定される電波強度情報は、選択チャネルCHsについての第1RSSI値である。
また、ステップS211で測定される電波強度情報は、選択チャネルCHsとは異なる測定チャネルCHmについての第2RSSI値である。
具体的に、選択チャネルCHsをチャネルCH10とし、測定チャネルCHmをチャネルCH0とする。
【0128】
このとき、ステップS213において生成される返送データDrには、チャネルCH10についての第1RSSI値とチャネルCH0についての第2RSSI値が格納される。
【0129】
これに応じて、コントローラー1の制御部5は図8に示すステップS110の処理において選択チャネルCHsについての干渉の度合いが閾値未満であるか否かを判定する。
この処理で用いる選択チャネルCHsについての干渉の度合いは、チャネルCH10についての干渉の度合いであり、直前のステップS107で受信した返送データDrに格納されたチャネルCH10についての第1RSSI値と、それ以前のステップS108で受信した返送データDrに測定チャネルCHmについての第2RSSI値として格納されたチャネルCH10についての第2RSSI値を用いる。
即ち、第1の実施の形態のように、一つの返送データDrに含まれる第1RSSI値と第2RSSI値を用いてステップS110の処理を行えない。
【0130】
従って、コントローラー1の制御部5は、ステップS108で受信した返送データDrに含まれる測定チャネルCHmについての第2RSSI値は、そのデータが必要とされる次回以降のステップS110の処理が実行されるまでコントローラー1の記憶部に記憶しておく必要がある。
【0131】
<7.第3の実施の形態>
第3の実施の形態は、ホッピングパターンに基づいて現在選択中の選択チャネルCHsの次に選択予定のチャネルCHを測定チャネルCHmとする例である。本実施の形態における選択チャネルCHsと測定チャネルCHmの関係について図15に示す。
【0132】
図15に示すように、選択チャネルCHsの選択順は第1の実施の形態における図5と同様とされている。但し、被操縦機器2において送信データDsの受信と返送データDrの送信の間における電波強度情報の取得対象とされた測定チャネルCHmは、次に選択予定のチャネルCHとされている。
【0133】
例えば、選択チャネルCHsがチャネルCH10、チャネルCH4、チャネルCH20と変遷するとき、選択チャネルCHsとしてチャネルCH10が選択されている状態において第2RSSI値の測定対象となる測定チャネルCHmは、次に選択予定とされたチャネルCH4とされる。
【0134】
即ち、次に選択予定のチャネルCH4のノイズレベルを一足先に測定しておこうというものである。
【0135】
また、この場合には、コントローラー1が返送データDrを受信した際に、制御部5は、返送データDrに含まれている選択チャネルCHsについての第1RSSI値を用いて選択チャネルCHsの無効判定を行うだけでなく、返送データDrに含まれている測定チャネルCHmについての第2RSSI値を用いて測定チャネルCHmの無効判定を行ってもよい。
【0136】
これにより、次に選択予定のチャネルCHをそのまま選択するか或いはスキップするかの判定を適切に行うことができる。
【0137】
制御部5が実行する処理の一例を図16に示す。
【0138】
なお、図16は、第1の実施の形態における図7に続く処理を示したものであり、図8の一部の処理が異なるものである。
従って、図16において図8と同様の処理については同じステップ番号を付し、適宜説明を簡略化する。
【0139】
制御部5は、ステップS107で返送データDrを受信したと判定した後に、ステップS110で選択チャネルCHsについての干渉の度合いが閾値未満であるか否かを判定する。
【0140】
そして、制御部5は、ステップS110の判定結果に応じて、ステップS111またはステップS112で選択チャネルCHsに有効フラグ或いは無効フラグを設定する。
【0141】
続いて、制御部5は、ステップS131で測定チャネルCHmの電波強度情報、即ち第2RSSI値が閾値未満であるか否かを判定する。ステップS131で用いる閾値はステップS110で用いられる閾値とは異なるものである。
【0142】
第2RSSI値は、上述したように、送信データDsや返送データDrの送受信を行っていない期間において測定された電波強度情報であり、ノイズレベルを示すものである。
【0143】
第2RSSI値が閾値以上であると判定した場合には、制御部5はステップS132で測定チャネルCHmに無効フラグを設定する。
【0144】
一方、第2RSSI値が閾値未満であると判定した場合には、制御部5はステップS133で測定チャネルCHmに有効フラグを設定する。
【0145】
これにより、次に選択予定のチャネルCHについて有効フラグか無効フラグの何れかが設定される。
そして、制御部5は図7のステップS101で次に選択予定のチャネルCHのフラグを判定し、スキップするか否かを決定する。
【0146】
なお、ステップS131の判定処理は、現在選択中の選択チャネルCHsとは異なるチャネルCHを有効にすべきか或いは無効にすべきかを判定する処理となる。
従って、測定対象の測定チャネルCHmは現在無効フラグが設定されている可能性がある。
そうすると、ステップS131の判定処理は現在無効チャネルとされているチャネルCHを再度有効なチャネルCHとして設定し直すか否かを判定する処理とも言える。
【0147】
即ち、図7及び図16に示す一連の処理を行うことにより、干渉波の存在により一度無効にされたチャネルCHが再度有効化される可能性がある。
従って、無効チャネルが増えすぎて適切な周波数ホッピングが行えなくなる可能性を低減させることができる。
【0148】
なお、図16に示す例では、無効チャネルについての第2RSSI値が閾値未満とされた場合には即座に無効チャネルを有効チャネルに変更する処理がステップS133で実行される。
但し、これに限らず、一つの無効チャネルについての第2RSSI値を所定回数に亘って取得し、そのどれもが閾値未満とされた場合にその一つの無効チャネルを有効チャネルに変更してもよい。即ち、不安定な干渉波の影響により、特定のチャネルについての判定結果が無効チャネルと有効チャネルとで頻繁に揺らぐことが無いようにされてもよい。
【0149】
<8.変形例>
上述した各例についての変形例を説明する。
測定チャネルCHmについての無効化判定については、図16を参照して説明したように第2RSSI値のみを用いて行ったが、選択チャネルCHsについても第1RSSI値を用いず第2RSSI値のみを用いて図8のステップS110の無効化判定を行ってもよい。即ち、それぞれのチャネルCHは、ノイズレベルの測定結果に相当する第2RSSI値のみを用いてチャネルCHの無効化判定を行ってもよい。
【0150】
この場合には、図10のステップS208の電波強度情報の測定は不要となる。
【0151】
図3に示す例では、送信データDsとしてのメッセージパケットのホッピングパターン領域F3に、ホッピングパターンを特定するためのコード情報が格納されている例を示した。
これ以外にも、ホッピングパターン領域F3に、選択予定のチャネルCHの情報を格納してもよい。更に、次に選択予定のチャネルCHが干渉波等により利用できない可能性を考慮して、選択予定の順に複数個のチャネル情報をホッピングパターン領域F3に格納してもよい。
【0152】
例えば、図5に示す順序でチャネルCHを選択する例においては、コントローラー1から送信期間Ts10で送信される送信データDsのホッピングパターン領域F3に、チャネルCH4、チャネルCH20、チャネルCH8の情報が順に格納されていてもよい。
【0153】
これにより、被操縦機器2がホッピングパターンを全て把握していなくても、所定回数の周波数ホッピングを行うことができる。
【0154】
上述した各例では、被操縦機器2において送信データDsを受信する受信期間Trとそれに応じて返送データDrを送信する送信期間Tsの間に一つの測定チャネルCHmについての第2RSSI値を測定する例を示した。
これに限らず、受信期間Trと送信期間Tsの合間に複数の測定チャネルCHmについての第2RSSI値を測定してもよい。
【0155】
そして、その場合には、送信期間Tsにおいて送信される返送データDrに複数の測定チャネルCHmについて測定された第2RSSI値を格納してもよい。
また、それに応じてコントローラー1においては、複数の第2RSSI値に基づいて複数の測定チャネルCHmについての有効判定または無効判定を行ってもよい。
【0156】
また、送信データDsの受信から返送データDrの送信の間に測定チャネルCHmについての第2RSSI値を測定する例を示した。
これに限らず、返送データDrの送信から次の送信データDsを受信するまでの間の期間に測定チャネルCHmについての第2RSSI値を測定してもよい。
更に、送信データDsの受信から返送データDrの送信の間と、返送データDrの送信から次の送信データDsを受信するまでの間の双方の期間で、それぞれ異なる測定チャネルCHmについての第2RSSI値を測定してもよい。
【0157】
これにより、第2RSSI値のみを用いてチャネルCHの無効判定を行う場合に、より多くのチャネルCHについて判定を行うことができる。
従って、無効にすべきチャネルCHを迅速に無効チャネルとして判定することが可能となり、良好な通信を行えるチャネルCHを用いて送信データDsや返送データDrの送受信が行われる可能性を高めることができる。
【0158】
<9.まとめ>
上述したように、コントローラー1としての操縦装置は、周波数ホッピングにおけるチャネルCHの選択順を決定する制御部5と、選択順に基づいて選択された選択チャネルCHsに応じた周波数で送信データDsの送信を行う送信部4Sと、送信に対応する受信であって、通信対象機器(被操縦機器2)から選択チャネルCHsに応じた周波数で受信データ(返送データDr)の受信を行う受信部4Rと、を備えたものである。
また、受信データ(返送データDr)は、周波数ホッピングに用いられるチャネルCHであって測定対象の測定チャネルCHmについての電波強度情報を含んでいる。
例えば、通信対象機器としての被操縦機器2はドローンなどのマルチコプターやラジオコントロール模型などの遠隔操作の対象となる機器とされる。そして、操縦装置(コントローラー1)は遠隔操作の対象となる機器を操縦するためにユーザが操作するコントローラーとされる。
この場合には、被操縦機器2を制御するための制御情報(姿勢制御情報)が送信部4Sから送信され、これに応じて被操縦機器2から制御結果や各種のテレメトリー情報が受信部4Rで受信される。
これらの情報の送受信を用いることにより、コントローラー1を用いた被操縦機器2の遠隔操縦が可能となる。
これらの送受信は、謂わば、被操縦機器2を遠隔操縦するための通常の送受信動作であるが、本構成によれば、通常行われるこれらの送受信において電波強度情報を被操縦機器2から受信することができる。
従って、電波干渉を調査するために別の機器を飛行させることや、事前に調査のために被操縦機器2を飛行させることが不要となる。即ち、通信環境を測定するための調査時間を低減或いは無くすことが可能となる。
また、通常の利用状態において常に周波数ホッピングに用いられるチャネルCHについての電波強度情報が得られるようにすることで、適応的に周波数ホッピングの選択チャネルCHsを変更することが可能となり、被操縦機器2の安定的な操縦が可能となる。特に、被操縦機器2が空中を飛行する機器である場合には、操縦不能に陥る可能性を低減させ飛行の安全性を向上させることができる。
なお、受信データ(返送データDr)に測定チャネルCHmについての電波強度情報や選択チャネルCHsについての電波強度情報のみを含ませることで、通常の送受信の合間であって通信の行われていない短い休止時間に間に合うように電波強度情報を測定することが可能となる。即ち、通常の使用中に合わせて電波強度情報を取得することが容易となる。
【0159】
図1等を参照して通信システムSの構成において説明したように、コントローラー1としての操縦装置における送信部4Sが送信する送信データDsは、通信対象機器(被操縦機器2)の姿勢または動作をコントロールする制御情報(制御データ領域F5に格納されるデータ)を含み、受信部4Rが受信する受信データ(返送データDr)は、通信対象機器(被操縦機器2)についてのテレメトリー情報(テレメトリーデータ領域F16に格納されるデータ)と電波強度情報(第2RSSI値領域F15に格納されるデータ)を含んでいてもよい。
これにより、被操縦機器2の動きをコントロールするための通常の送受信において電波強度情報の受信が行われる。
従って、被操縦機器2の制御が不能となるような電波干渉を察知し、適切な周波数ホッピングを行うことが可能となる。
【0160】
図5図8等を参照して説明したように、コントローラー1としての操縦装置における受信部4Rが受信する受信データ(返送データDr)は、当該受信に対応する送信以降に測定された電波強度情報を含んでいてもよい。
これにより、通信対象機器(被操縦機器2)では、データの受信と電波強度情報の測定とその情報を含めたデータの送信が行われる。
従って、電波強度情報を操縦装置(コントローラー1)に伝達するための送受信を別途行う必要がなく、通信効率の向上が図られる。
また、対応する送信と受信の合間に測定された電波強度情報が含まれた受信データ(返送データDr)を受信することで、操縦装置(コントローラー1)は測定チャネルCHmについて直前に測定された最新の電波強度情報を得ることができ、最新の電波強度情報に基づいて周波数ホッピングにおける選択チャネルCHsの選択に利用することができる。
従って、良好な通信状態が維持される可能性を高めることができる。
【0161】
図5図8等を参照して説明したように、コントローラー1としての操縦装置において、電波強度情報の測定対象とされた測定チャネルCHmは選択中の選択チャネルCHsとされてもよい。
例えば、あるチャネルCHを選択して送受信を行った場合に、当該チャネルCHについての電波強度情報が当該送受信の合間に測定されると共に、その受信データ(返送データDr)にその電波強度情報(第2RSSI値)が含まれる。
具体的には、通信対象機器(被操縦機器2)においては、操縦装置(コントローラー1)からの送信データDsを受信するために選択チャネルCHsでの受信モードで待機し、送信データDsを受信した後、選択チャネルCHsは変えずにそのまま受信モードを継続することで当該選択チャネルCHsについての電波強度情報を測定する。そして、電波強度情報の測定後に選択チャネルCHsを変えずに送信モードへと切り替え当該電波強度情報が含まれたデータを操縦装置(コントローラー1)に対して送信する。
従って、通信対象機器(被操縦機器2)においてはチャネルCHの変更をせずにデータの受信と電波強度情報の測定とデータの送信を行うことができ、処理負担の軽減が図られる。
【0162】
図14図15等を参照して第2及び第3の実施の形態で説明したように、コントローラー1としての操縦装置において、電波強度情報の測定対象とされた測定チャネルCHmは選択中の選択チャネルCHs以外のチャネルCHとされてもよい。
これにより、周波数ホッピングにおいて選択中の選択チャネルCHsに限らず、所望のチャネルCHについての電波強度情報を取得することができる。
これにより、周波数ホッピングにおいて選択チャネルCHsの選択の一助となる情報を得ることができる。
【0163】
図15及び図16等を参照して第3の実施の形態で説明したように、コントローラー1としての操縦装置において、電波強度情報の測定対象とされた測定チャネルCHmは選択中の選択チャネルCHsの次に選択されるチャネルCHとされてもよい。
次に選択予定のチャネルCHについての電波強度情報を事前に得ることで、次の選択チャネルCHsを急遽変更することが可能となる。
通信環境は時々刻々と変化し得るものであり、本構成のように直近に測定された電波強度情報に基づいて選択チャネルCHsを適宜変更可能に構成することで、通信対象機器(被操縦機器2)との良好な通信を行うことができ、通信対象機器(被操縦機器2)が操縦不能に陥ってしまう可能性を低減させることができる。
【0164】
図16等を参照して第3の実施の形態で説明したように、コントローラー1としての操縦装置における制御部5は、測定チャネルCHmについての電波強度情報(第2RSSI値)に基づいて測定チャネルCHmを無効にするか否かを判定し、選択チャネルCHsの選択において無効と判定された無効チャネル以外のチャネルCHを選択してもよい。
干渉波の存在によって利用不可と判定されたチャネルCHが無効チャネルとして判定されることにより、無効チャネルを除いて周波数ホッピングのパターンを改めて作成することが可能となる。
従って、干渉波の影響の少ないチャネルCHのみを用いる周波数ホッピングのパターンを作成することができ、良好な通信を行うことが可能となる。
【0165】
図7図16等を参照して第3の実施の形態において説明したように、コントローラー1としての操縦装置における制御部5は、無効チャネルについての電波強度情報が含まれる受信データ(返送データDr)を再度受信した場合に、無効チャネルを有効化するか否かの判定を行ってもよい。
これにより、無効チャネルが適宜有効化される。
従って、無効チャネルが増え使用可能なチャネルCHが減少し続けてしまうことを防止することができ、良好な通信環境の維持を図ることができる。
【0166】
図1図6等を参照して通信システムSの構成において説明したように、コントローラー1としての操縦装置においては、電波強度情報に基づく情報(例えば図6に示すスペクトラム情報)を提示可能な表示部7を備えていてもよい。
これにより、例えば、電波強度情報に基づいて干渉波の強度情報をユーザに提示することなどが可能となる。
従って、ユーザは、制御不能に陥る可能性を把握することができ、通信対象機器(被操縦機器2)の遠隔操作を安全に終了させることが可能となる。
【0167】
図1図7等を参照して通信システムSの構成やフローチャートにおいて説明したように、コントローラー1としての操縦装置における制御部5は、電波強度情報に基づいて測定チャネルCHmについての干渉波の強度を算出してもよい。
これにより、干渉波の強度が強い場合には、測定チャネルCHmについての今後の使用を回避することが可能となる。
【0168】
図1図12等を参照して説明したように、コントローラー1としての操縦装置における制御部5は、算出した干渉の度合いに応じて警告処理を行ってもよい。
干渉の度合いとは、干渉波によって影響を受けるチャネルCHの数であって無効チャネルの数であってもよいし、干渉波の強度であってもよい。
これにより、操縦者は制御不能に陥る前に通信対象機器(被操縦機器2)の遠隔操作を安全に終了させることが可能となる。
【0169】
図12及び図13等を参照して説明したように、コントローラー1としての操縦装置における制御部5は、操作部6の操作に応じて警告条件を設定し、設定された警告条件に応じた警告処理を行ってもよい。
これにより、操縦者が適切と思う条件を設定することができ、操縦者の意図した警告処理を行うことができる。
【0170】
図12及び図13等を参照して説明したように、コントローラー1としての操縦装置における制御部5は、測定チャネルCHmについての電波強度情報(第2RSSI値)に基づいて測定チャネルCHmを無効にするか否かを判定し、その判定によって無効と判定された無効チャネルが所定数以上となった場合に警告処理を実行してもよい。
これにより、周波数ホッピングにおいて利用可能なチャネルCHが少なくなったことを条件として警告処理を行うことができる。
従って、遠隔操作に対する通信対象機器(被操縦機器2)の動作の応答速度が低下する前、或いは通信対象機器(被操縦機器2)の制御が不能となる前に適切な警告処理を行うことができる。
【0171】
上述したように、コントローラー1としての操縦装置における受信部4Rが受信する受信データ(返送データDr)は、測定チャネルCHmについての電波強度情報(第2RSSI値)に加えて選択チャネルCHsについての電波強度情報(第1RSSI値)を含んでいてもよい。
これにより、複数のチャネルCHについての電波強度情報を効率よく測定することが可能となる。
【0172】
上述したように、被操縦機器2としての被操縦装置は、周波数ホッピングに用いられる複数のチャネルCHから選択された選択チャネルCHsに応じた周波数で受信データ(コントローラー1からの送信データDs)の受信を行う受信部9Rと、周波数ホッピングに用いられるチャネルCHであって測定対象の測定チャネルCHmについての電波強度情報(第2RSSI値)を測定する制御部10と、受信に対応する送信であって、受信データ(コントローラー1からの送信データDs)を送信した操縦装置(コントローラー1)に対して受信で用いられた選択チャネルCHsに応じた周波数で送信データ(返送データDr)の送信を行う送信部9Sと、を備えている。
また、送信データ(返送データDr)は、受信データ(コントローラー1からの送信データDs)の受信と送信データ(返送データDr)の送信の合間に制御部10によって測定された電波強度情報を含んでいる。
【0173】
また、通信システムSは、操縦装置(コントローラー1)と被操縦装置(被操縦機器2)とを含む通信システムSである。
そして、操縦装置(コントローラー1)は、周波数ホッピングにおけるチャネルCHの選択順を決定する制御部5と、選択順に基づいて選択された選択チャネルCHsに応じた周波数で送信データDsの送信を行う送信部4Sを備えている。
また、被操縦装置(被操縦機器2)は、選択チャネルCHsに応じた周波数で送信データDsの受信を行う受信部9Rと、周波数ホッピングに用いられるチャネルCHであって測定対象の測定チャネルCHmについての電波強度情報を測定する制御部10と、受信に対応する送信であって、操縦装置(コントローラー1)に対して選択チャネルCHsに応じた周波数で電波強度情報を含む返送データDrの送信を行う送信部9Sと、を備えている。
【0174】
このような被操縦装置や通信システムSによっても、上述した各種の作用効果を得ることが可能となる。
【0175】
なお、上述した各例はいかように組み合わせることも可能であり、各種の組み合わせを用いた場合であっても上述した種々の作用効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0176】
S 通信システム。
1 コントローラー(操縦装置)
2 被操縦機器(被操縦装置)
4S 送信部
4R 受信部
5 制御部
6 操作部
7 表示部
9S 送信部
9R 受信部
10 制御部
CHm 測定チャネル
CHs 選択チャネル
Dr 返送データ(受信データ)
Ds 送信データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16