(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013041
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】ボールねじ
(51)【国際特許分類】
F16H 25/22 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
F16H25/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114944
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢部 孝之
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA21
3J062AA27
3J062AB22
3J062AC07
3J062BA01
3J062BA16
3J062CD05
3J062CD54
(57)【要約】
【課題】加工が容易でありながら、ボール詰まりに対応できるボールねじを提供する。
【解決手段】ナットの取り付け面に、径方向に貫通し、長手方向がリード角に沿って形成される2つの長孔が形成され、循環部品は、前記取り付け面に当接する下面と、ボール転動路と、一方の前記長孔内に収容されるタングを有する第1部品と、前記取り付け面に当接する下面と、前記第1部品のボール転動路に接続されるボール転動路と、他方の前記長孔内に収容されるタングを有する第2部品とを有し、前記ナットを軸線方向に見たときに、前記取り付け面と、前記長孔の軸線とは、90度未満の角度で交差し、前記ボールから前記循環部品が受ける荷重は、前記押さえ部材または前記ナットにより支持される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
内周面に螺旋状のねじ溝が形成され、外周面に取り付け面が設けられたナットと、
前記ねじ軸のねじ溝と前記ナットのねじ溝との間を転動するボールと、
前記ねじ軸と前記ナットの両ねじ溝間を転動する前記ボールを循環させるボール循環路を形成し、前記取り付け面に取り付けられる循環部品と、
前記循環部品を収容する筐体部を備え、前記ナットに固定される押さえ部材と、
を備えるボールねじであって、
前記ナットの前記取り付け面に、径方向に貫通し、長手方向がリード角に沿って形成される2つの長孔が形成され、
前記循環部品は、前記取り付け面に当接する下面と、ボール転動路と、一方の前記長孔内に収容されるタングを有する第1部品と、前記取り付け面に当接する下面と、前記第1部品のボール転動路に接続されるボール転動路と、他方の前記長孔内に収容されるタングを有する第2部品とを有し、
前記ナットを軸線方向に見たときに、前記取り付け面と、前記長孔の軸線とは、90度未満の角度で交差し、
前記ボールから前記循環部品が受ける荷重は、前記押さえ部材または前記ナットにより支持される、ことを特徴とするボールねじ。
【請求項2】
前記ナットは、前記取り付け面に交差する立ち上がり面を有し、前記循環部品は、前記立ち上がり面に当接する、ことを特徴とする請求項1に記載のボールねじ。
【請求項3】
前記押さえ部材の筐体部は、収容した前記循環部品に当接する側壁、端壁及び頂壁を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のボールねじ。
【請求項4】
前記ナットは、2組の前記循環部品と前記押さえ部材とを有し、一方の前記押さえ部材の側壁が、他方の前記押さえ部材の側壁に当接する、ことを特徴とする請求項3に記載のボールねじ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールねじに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械などで用いられるボールねじは、ねじ軸及びナットのねじ溝間に形成された螺旋状のボール転動路を転動するボールを循環させる循環部品として、例えばナットに取り付けられるチューブを備えている。
【0003】
このようなチューブを備えたボールねじは、ナットの軸線方向から見て、ボールを掬い上げるためにナットに形成されたチューブ挿入用の穴の軸線と、チューブを固定する座面とが直角であることが一般的であった。その理由は、チューブを形成する管材を曲げ加工をして用いることから、座面と穴の軸線との相対角度が直角でないと組み立てが困難となるからである。また、循環するボールの詰まりが生じるとチューブが直接押圧されることになるため、その対策として、座面と穴の軸線との相対角度を直角として、チューブを固定する部品を座面に強固に取り付ける必要があるという実情もある。
【0004】
これに対し、特許文献1には、外形がほぼL字形を呈し、一つの接続段と別の挿入段とから構成される循環子を備えたボールねじが開示されている。特許文献1の循環子は、ボールを掬い上げるためにナットに形成された穴に挿入されるが、ナットの軸線方向から見て、循環子挿入用の穴の軸線と、循環子を固定する座面との開角が90度未満である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1においては、循環子を分割することによって、循環子挿入用の穴の軸線と、循環子を固定する座面との開角を90度未満とすることを可能としているが、そのため複雑なボール循環路を形成する必要があり、加工が非常に難しくコストもかかる。またボール詰まり等により循環子が押し出される力に対し、循環子を押えている部分が管状のため固定力が低下する恐れがある。
【0007】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、加工が容易でありながら、ボール詰まりに対応できるボールねじを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のボールねじは、
外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
内周面に螺旋状のねじ溝が形成され、外周面に取り付け面が設けられたナットと、
前記ねじ軸のねじ溝と前記ナットのねじ溝との間を転動するボールと、
前記ねじ軸と前記ナットの両ねじ溝間を転動する前記ボールを循環させるボール循環路を形成し、前記取り付け面に取り付けられる循環部品と、
前記循環部品を収容する筐体部を備え、前記ナットに固定される押さえ部材と、
を備えるボールねじであって、
前記ナットの前記取り付け面に、径方向に貫通し、長手方向がリード角に沿って形成される2つの長孔が形成され、
前記循環部品は、前記取り付け面に当接する下面と、ボール転動路と、一方の前記長孔内に収容されるタングを有する第1部品と、前記取り付け面に当接する下面と、前記第1部品のボール転動路に接続されるボール転動路と、他方の前記長孔内に収容されるタングを有する第2部品とを有し、
前記ナットを軸線方向に見たときに、前記取り付け面と、前記長孔の軸線とは、90度未満の角度で交差し、
前記ボールから前記循環部品が受ける荷重は、前記押さえ部材または前記ナットにより支持される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、加工が容易でありながら、ボール詰まりに対応できるボールねじを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態のボールねじをナットの軸線方向に見た正面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態のボールねじをナットの軸線直交方向に見た平面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態のボールねじをナットの軸線に直交する面で切断した正面断面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態のボールねじをナットの軸線に直交する方向に見た側面図である。
【
図5】
図5は、単体のナットを軸線方向に見た正面図である。
【
図6】
図6は、単体のナットを軸線直交方向に見た平面図である。
【
図7】
図7(a)は、第1部品の平面図であり、
図7(b)は、第1部品の正面図であり、
図7(c)は、第1部品の側面図である。
【
図9】
図9は、押さえ部材を循環部品とともにナットに載置した状態で示す平面図である。
【
図10】
図10は、循環部品が受ける荷重を分解して示す図であり、ナットの軸線方向直交面において、Y方向は軸線から循環部品の中心を通過する方向であり、X方向は、Y方向に直交する方向である。
【
図13】
図13は、他の変形例にかかるナットの正面図である。
【
図14】
図14は、他の変形例にかかるナットの平面図である。
【
図15】
図15は、他の変形例にかかる押さえ部材の側面図である。
【
図16】
図16は、第2の実施形態のボールねじをナットの軸線方向に見た正面図である。
【
図17】
図17は、第2の実施形態のボールねじをナットの軸線直交方向に見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係るボールねじについて図面を参照して詳細に説明する。
なお、本発明のボールねじは、外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸111と、内周面に螺旋状のねじ溝が形成され、外周面に取り付け面が設けられたナットと、ねじ軸111のねじ溝とナットのねじ溝との間を転動するボール113とを有する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態のボールねじをナット1の軸線方向に見た正面図であり、
図2は、本実施形態のボールねじをナット1の軸線直交方向に見た平面図であり、それぞれ内部構造の一部を透視した状態で示す。
図3は、本実施形態のボールねじをナット1の軸線に直交する面で切断した正面断面図であり、ねじ軸は省略して内部構造を点線で示す。
図4は、本実施形態のボールねじをナット1の軸線に直交する方向に見た側面図であり、内部構造を点線で示す。
【0013】
図5は、単体のナット1を軸線方向に見た正面図であり、
図6は、単体のナット1を軸線直交方向に見た平面図であり、それぞれ内部構造の一部を透視した状態で示す。
【0014】
図に示すように、金属製のナット1は、円筒状に形成され、その内周面には1条の螺旋状のねじ溝11が形成されている。
また、ナット1の外周面には、ナット1の軸線に平行な取り付け面12が形成される。また、取り付け面12の軸線方向両端近傍には、径方向に貫通し、内周面に形成されたねじ溝11に対応して開口する長孔17が形成される。長孔17は、ボールねじに形成される両ねじ溝内の空間に連通する。
【0015】
そして、取り付け面12には、ねじ軸111とナット1の両ねじ溝間を転動するボール113を循環させるボール循環路を形成する、循環部としての循環部品2が取り付けられる。循環部品2は、ナット1にねじ止めされる押さえ部材3を介してナット1に固定される。
【0016】
取り付け面12は、一対の底壁面121と、中央面122とを有する。具体的に、
図6に示すように、ナット1の中心軸線にそれぞれ平行な底壁面121が、中央面122の両側において、中央面122よりも軸線に近接するよう段差状に形成されている。中央面122には、一対のねじ穴1221が形成されている。
【0017】
長孔17は、長手方向がねじ溝11のリード角に沿って、ねじ溝11の幅と同じ幅に形成されている。長孔17は、循環部品2に向かって、ねじ溝11からボール113を掬い上げる掬い上げ部を構成する。
【0018】
循環部品2は、ボール循環路内に、上述した掬い上げ部に加え、リード角に沿った掬い上げ部の方向から他の循環部へ軸方向に沿って向かうように、掬い上げたボール113の移動方向を転換する方向転換部を構成する。循環部品2は、互いに対称的な形状を持つ第1部品21と第2部品22とからなる。
【0019】
図7(a)は、第1部品21の平面図であり、
図7(b)は、第1部品21の正面図であり、
図7(c)は、第1部品21の側面図であるが、内部構造の一部を透視した状態で示す。なお、第2部品22は、第1部品21に対して対称的形状を有する以外は共通するため、重複説明を省略する。
【0020】
樹脂製である第1部品21は、ナット1の取り付け面12に設置される基部211と、基部211上に載置される蓋部212とを接合してなる。基部211は、ブロック2111と、ブロック2111からナット1側に向かって延在する部分管状のタング2112とを連設してなる。基部211と蓋部212は、例えば射出成形などにより個別に形成されたのち、互いに接着することで形成できる。
【0021】
基部211のブロック2111の上面には、断面半円状の下転動路2113が形成され、蓋部212の下面には、断面半円状の上転動路2114が形成されており、下転動路2113と上転動路2114とで、第1部品21のボール転動路を形成する。該ボール転動路は、
図7(c)に示すように円弧状に曲がる円弧部2118を有している。該ボール転動路の一端は、タング2112に隣接して下向きに開口しており、その他端は、第1部品21の端部にて開口し、ナット1に組付けられた状態で、第2部品22のボール転動路と連通する。
【0022】
第1部品21及び第2部品22は、タング2112の外表面がナット1の各長孔17の内周面に当接するようにして、ナット1に組付けられる。このとき、基部211(及び第2部品の基部)の下面2115は、底壁面121と中央面122との落差に応じた段差を有するため(
図7参照)、ナット1の底壁面121に当接するとともに、中央面122にも当接する。下面2115(すなわち底壁面121)は、ナット1の軸線方向に見たときに、長孔17の軸線(すなわちタング2112の外表面)に対して90度未満の角度θで傾斜している。角度θは、45度以上、75度以下であると好ましい。
【0023】
図8は、押さえ部材3の平面図である。
図9は、押さえ部材3を循環部品2とともにナット1に載置した状態で示す平面図であるが、内部構造を透視した状態で示す。押さえ部材3は、略Z形状である中空の筐体部31と、筐体部31の側壁下端から水平方向に延在する一対の板部32とを有する。筐体部31は、底壁を備えておらず、側壁311、312と、ナット1の軸線方向両側の端壁314,315と、側壁と端壁に接合する上壁313とを有する。板部32には、ねじを挿通する開口321が形成されている。
【0024】
筐体部31の内側は、第1部品21及び第2部品22に被せることで、これらを収容可能に構成されており、収容された状態で、筐体部31の側壁311、312は、第1部品21(及び第2部品22)の側壁2116,2117(
図7(b))に当接する。また、筐体部31の上壁313の下面及び端壁314,315の内面は、第1部品21及び第2部品22の上面及び端面に当接する。
【0025】
タング2112をナット1の長孔17に滑り込むように装着して、第1部品21をナット1に組付け、また第2部品22をナット1に装着する。かかる状態で、第1部品21と第2部品22は連結されて、循環部品2を構成する。
【0026】
ナット1に装着された循環部品2に対し、ナット1の径方向外側より押さえ部材3を接近させ、筐体部31内に循環部品2を収容しつつ、板部32を中央面122に当接させると、開口321とねじ穴1221が重なり合う。そこで、開口321を介してねじ4をねじ穴1221に螺合させることにより、循環部品2を押さえ部材3を介してナット1に組み付けることができる。
【0027】
組付けた状態で、筐体部31の上壁313の下面が、第1部品21及び第2部品22の上面に当接するので、ボールねじの動作時にボール転動路を転動するボール113から循環部品2が受ける荷重を支持できる。
【0028】
ここで、タング2112を介してナット1側から循環部品2へとボール113を掬い上げた際に、例えば円弧部2118にてボール詰まりが生じると、循環部品2にはナット1から離間する方向に荷重Fが生じる。組付けられた状態で、第1部品21(及び第2部品22)の下面2115は、長孔17の軸線に対して90度未満の角度θで傾斜しているため、荷重Fの支持態様が課題となる。
【0029】
ここで、
図1に示すようにナット1を軸線方向に見たときに、タング2112に沿って並んだボールの詰まりによる荷重Fが循環部品2に作用したものとする。ナット1の水平方向をX方向、垂直方向をY方向とすると、
図10に示すように、荷重Fは、ボール詰まりのX方向の成分Fxと、ボール詰まりのY方向の成分Fyとに分解できる。
【0030】
Y方向の成分Fyは、循環部品2を介して押さえ部材3の筐体部31の上壁下面により支持され、またX方向の成分Fxは、循環部品2を介して押さえ部材3の筐体部31の側壁311,312により支持される。このように、循環部品2が受ける荷重Fを、点や線ではなく押さえ部材3の面で受けることができるため、長期間にわたって安定したボールねじの動作を確保できる。
【0031】
(変形例)
図11は、変形例にかかるナット1Aの正面図であり、
図12は、変形例にかかるナット1Aの平面図である。上述した実施形態に対し、ナット1Aは、底壁面121の両側に隣接して、一対の立ち上がり面124、125を底壁面121に直交して形成している点が異なる。すなわち、立ち上がり面124、125と底壁面121とで、ナット1の軸線方向に延在する浅溝を形成している。立ち上がり面124、125の上端は、中央面122と面一となる位置まで延在している。立ち上がり面124、125の距離は、循環部品2の側壁2116,2117(
図7参照)間の幅にほぼ等しい。それ以外の構成は、上述した支持実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0032】
本変形例によれば、押さえ部材3を介して循環部品2をナット1Aに組付けたとき、循環部品2の側壁2116,2117(
図7参照)が、立ち上がり面124、125及び押さえ部材3の側壁311,312(
図8参照)に当接する。このため、ボール詰まりが生じたときに、X方向の成分Fxの一部を立ち上がり面124、125により支持することができる。これにより、ねじ4が受けるせん断荷重を低減でき、ねじ径のより小さいねじ4を使用できる。なお、循環部品2の側壁2116,2117が、立ち上がり面124、125にのみ当接するように構成してもよい。
【0033】
(他の変形例)
図13は、他の変形例にかかるナット1A´の正面図であり、
図14は、他の変形例にかかるナット1Aの平面図である。上述した実施形態に対し、ナット1A´は、底壁面121の両側に隣接して、一対の溝124a、125aを底壁面121に直交して形成している点が異なる。溝124a、125aの長さは、押さえ部品の側壁311,312の下部の延長部311a,312a(
図15参照)間の長さにほぼ等しいか、長い。それ以外の構成は、上述した実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。
【0034】
本変形例によれば、押さえ部材3を介して循環部品2をナット1A´に組付けたとき、延長部311a,312a(
図15参照)が、溝124a、125aの側壁に当接する。このため、ボール詰まりが生じたときに、X方向の成分Fxの一部を溝124a、125aにより支持することができる。これにより、ねじ4が受けるせん断荷重を低減でき、ねじ径のより小さいねじ4を使用できる。
【0035】
(第2の実施形態)
図16は、第2の実施形態のボールねじをナット1Bの軸線方向に見た正面図であり、内部構造の一部を透視した状態で示す。
図17は、本実施形態のボールねじをナット1Bの軸線直交方向に見た平面図である。
【0036】
本実施形態のナット1Bは、2組の循環部品2、2’及び押さえ部材3、3’を、2組の取り付け面12,12’に配置することにより、内部に独立した2組のボール循環路を形成している。循環部品2、2’及び押さえ部材3、3’は、それぞれ第1の実施形態と同様な構成を有する。本実施形態では、押さえ部材3の筐体部31における端部近傍の側壁312と、押さえ部材3’の筐体部31’ における端部近傍の側壁311’とは、互いに接している。上述した変形例のように、ナット1Bに循環部品2、2’に係合する側壁面を設けてもよい。
【0037】
本実施形態によれば、循環部品2の第2部品22においてボール詰まりが生じたときに、X方向の成分Fxを押さえ部材3’の筐体部31’でも受けることができ、また循環部品2’の第1部品21においてボール詰まりが生じたときに、X方向の成分Fxを押さえ部材3の筐体部31でも受けることができる。また、循環部品2、2’及び押さえ部材3、3’の一部を重ねて配置することにより、ナット1Bの軸線方向長を短縮する効果もある。
【0038】
なお、本発明は、前述した実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0039】
また、本発明のボールねじは、例えば、高精度な加工、測定を行う装置の位置決め用途や半導体製造等に使用されるXYステージに用いられる。また、ボールねじは、例えば、工作機械(マシニングセンター、旋盤、研削機等)、測定機械(3次元測定器)、半導体製造装置(露光装置、検査プローブ等のテーブル)等に用いられる。
【符号の説明】
【0040】
1,1A,1B ナット
2 循環部品
3 押さえ部材
4 ねじ
11 ねじ溝
12 取り付け面
111 ねじ軸
113 ボール