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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130419
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】処理装置、監視方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02H 9/02 20060101AFI20240920BHJP
   H01H 47/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02H9/02 D
H01H47/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040109
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 尊
【テーマコード(参考)】
5G013
【Fターム(参考)】
5G013AA02
5G013BA01
5G013CA01
(57)【要約】
【課題】電流制限抵抗器及びリレーが並列接続された構成の突入電流制限回路のリレーの状態を監視し、リレーの劣化を検出することが可能な技術を提供する。
【解決手段】電流制限抵抗器及びリレーが並列接続された構成であり突入電流制限対象装置の電源線に挿入される突入電流制限回路における前記リレーの状態を監視する処理装置であって、前記突入電流制限回路から出力される電流の値を取得するとともに取得した前記電流の値を用いた指標に対応する判定閾値と前記指標の値とを比較して、少なくとも前記リレーの劣化の有無を判定する、処理装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流制限抵抗器及びリレーが並列接続された構成であり突入電流制限対象装置の電源線に挿入される突入電流制限回路における前記リレーの状態を監視する処理装置であって、
前記突入電流制限回路から出力される電流の値を取得するとともに、取得した前記電流の値を用いた指標に対応する判定閾値と前記指標の値とを比較して、少なくとも前記リレーの劣化の有無を判定する、
処理装置。
【請求項2】
前記突入電流制限回路に突入電流が流れ、かつ前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値を第1の前記指標とし、
前記突入電流制限回路に初めて突入電流が流れた際に前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値である初期値よりも小さい所定の値を第1の前記判定閾値として、
前記第1の前記指標の値が前記第1の前記判定閾値以下となった場合に、前記リレーが劣化していると判定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記突入電流制限回路からは電源周波数に起因する周期で電流が出力され、
前記突入電流制限回路に突入電流が流れ、かつ前記リレーがONした後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の1周期目の値と2周期目の値との比の値を、第2の前記指標とし、
前記突入電流制限回路に初めて突入電流が流れた際に前記リレーがONした後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の1周期目の値と2周期目の値との比の値である初期比より小さい所定の値を第2の前記判定閾値として、
前記第2の前記指標の値が前記第2の前記判定閾値以下となった場合に、前記リレーが劣化していると判定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記突入電流制限回路に突入電流が流れ、かつ前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値を第1の前記指標とし、
前記突入電流制限回路に初めて突入電流が流れた際に前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値である初期値よりも大きい所定の値を第3の前記判定閾値として、
前記第1の前記指標の値が前記第3の前記判定閾値以上となった場合に前記リレーに異常があると判定する、
ことを特徴とする、請求項2又は3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記突入電流制限回路に突入電流が流れ、かつ前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値を第1の前記指標とし、
前記突入電流制限回路に初めて突入電流が流れた際に前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値である初期値を第4の前記判定閾値として、
前記第1の前記指標の値が前記第4の前記判定閾値を超えた場合に、前記突入電流制限対象装置への電力供給に異常があると判定する、
ことを特徴とする、請求項2又は3に記載の処理装置。
【請求項6】
前記リレーがONした回数を計測するとともに前記リレーがONした回数に対応する所定の劣化判定閾値と前記リレーがONした回数とを比較することにより、さらに前記リレーの劣化の有無を判定する
ことを特徴とする、請求項2又は3に記載の処理装置。
【請求項7】
電流制限抵抗器及びリレーが並列接続された構成であり突入電流制限対象装置の電源線に挿入される突入電流制限回路における前記リレーの状態を監視する監視方法であって、
前記突入電流制限回路から出力される電流の値を取得する電流値取得ステップと、
前記電流値取得ステップで取得する電流値を用いた指標に対応する判定閾値と前記指標の値とを比較して、少なくとも前記リレーの劣化の有無を判定する判定ステップと、
を有する、監視方法。
【請求項8】
前記突入電流制限回路に突入電流が流れ、かつ前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値を第1の前記指標とし、
前記突入電流制限回路に初めて突入電流が流れた際に前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値よりも小さい所定の値を第1の前記判定閾値として、
前記判定ステップは、
前記第1の前記指標の値が前記第1の前記判定閾値以下となった場合に、前記リレーが劣化していると判定する工程を含む、
ことを特徴とする、請求項7に記載の監視方法。
【請求項9】
前記突入電流制限回路から出力される前記電流は電源周波数に起因する周期を有しており、
前記突入電流制限回路に突入電流が流れ、かつ前記リレーがONした後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の1周期目の値と2周期目の値との比の値を、第2の前記指標とし、
前記突入電流制限回路に初めて突入電流が流れた際に前記リレーがONした後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の1周期目の値と2周期目の値との比の値である初期比より小さい所定の値を第2の前記判定閾値として、
前記判定ステップは、
前記第2の前記指標の値が前記第2の前記判定閾値以下となった場合に、前記リレーが劣化していると判定する工程を含む、
ことを特徴とする、請求項7に記載の監視方法。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか一項に記載の監視方法の各ステップを、演算装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流制限抵抗器及びリレーが並列接続された構成の突入電流制限回路を備える電気機器を保守する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば平滑コンデンサを含む回路を有する電気機器の電源投入時において流れる突入電流を抑制するための技術として、対象装置の電源ラインに突入電流制限回路を設けることが知られている。このような回路の例としては、電源と直列に電流制限抵抗器(例えば、サーミスタ、温度ヒューズ抵抗、セメント抵抗など)を接続したものが存在する。また、この他にも、電流制限抵抗器と並列にリレーなどのスイッチング素子を設けた方式の回路も知られている。このような構成とすることで、通常使用時においてはリレーをONにして電流制限抵抗器を短絡することで、突入電流制限回路で消費される電力を低減させることができる。
【0003】
ところで、このようにリレーを設けた構成の突入電流制限回路においては、リレーの接点が溶着してしまう、或いは逆にリレー接点が閉じなくなってしまうなど、リレーに故障が発生する場合がある。そして、例えばリレー接点が溶着した場合には、電源投入時に電流制限抵抗器を短絡して突入電流が流れることになるため、突入電流制限回路の機能を果たせないということになってしまう。このため、リレーの故障を検出するための技術が提案されている(例えば、特許文献1乃至3など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-17990号公報
【特許文献2】特開2016-213956号公報
【特許文献3】特開2020-137220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献に記載の技術によりリレーに故障がある場合にこれを検出したとしても、当該故障の検出までの間に突入電流制限対象装置の電源線に接続されたヒューズが溶断したり、場合によってはコンデンサが故障したり、といった不具合が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、電流制限抵抗器及びリレーが並列接続された構成の突入電流制限回路のリレーの状態を監視し、リレーの劣化を検出することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本発明は以下の方法を採用する。即ち、
電流制限抵抗器及びリレーが並列接続された構成であり突入電流制限対象装置の電源線に挿入される突入電流制限回路における前記リレーの状態を監視する処理装置であって、
前記突入電流制限回路から出力される電流の値を取得するとともに、取得した前記電流の値を用いた指標に対応する判定閾値と前記指標の値とを比較して、少なくとも前記リレーの劣化の有無を判定する、
処理装置である。
【0008】
このような構成によれば、きわめて簡易な構成により突入電流制限回路のリレーの劣化を検出し、リレーに故障が生じる前に交換するなどの対応を行うことができる。ひいては発明が適用される機器、該機器を用いた現場の保守性、安全性を高めることができる。
【0009】
また、前記処理装置は、
前記突入電流制限回路に突入電流が流れ、かつ前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値を第1の前記指標とし、
前記突入電流制限回路に初めて突入電流が流れた際に前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値である初期値よりも小さい所定の値を第1の前記判定閾値として、
前記第1の前記指標の値が前記第1の前記判定閾値以下となった場合に、前記リレーが劣化していると判定するのであってもよい。
【0010】
なお、本明細書において、第1、第2などの語は、同種の構成要素や処理などを他と識別するために用いる便宜上のものであり、何らかの順序や優先順位を示す意味で用いるものではない。また上記において「前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値」とは、リレーONした直後の一瞬の値のみを意味するのではない。例えば、突入電流制限回路から出力される電流が、電源周波数(例えば50Hzなど)に起因する周期性を有している場合において、突入電流制限回路から出力された直後の1周期分の電流値を二乗平均平方根した実効値であってもよいし、リレーONした直後の1周期における波形のピーク時の瞬時値であってもよい(以下同様)。これによれば、予め設定された閾値と取得した電流値との比較を行うのみでリレーの劣化の有無を判定できるため、劣化判定に係る負荷を最小限にしつつ、リレーの劣化を検出することができる。
【0011】
また、前記突入電流制限回路からは電源周波数に起因する周期で電流が出力され、
前記処理装置は、前記突入電流制限回路に突入電流が流れ、かつ前記リレーがONした後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の1周期目の値と2周期目の値との比の値を、第2の前記指標とし、
前記突入電流制限回路に初めて突入電流が流れた際に前記リレーがONした後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の1周期目の値と2周期目の値との比の値である初期比より小さい所定の値を第2の前記判定閾値として、
前記第2の前記指標の値が前記第2の前記判定閾値以下となった場合に、前記リレーが劣化していると判定するのであってもよい。
【0012】
ここで、「前記リレーがONした後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の1周期目の値」、同じく「2周期目の値」とは、突入電流制限回路から出力される電流の各周期の電流値を二乗平均平方根した実効値であってもよいし、各周期における波形のピーク時の瞬時値であってもよい。突入電流制限回路から出力される電流(整流前の交流、整流後の直流のいずれも含む)の値は、リレーがONした後に最も大きなピークが生じ、その後、コンデンサが十分に充電されるまでは、電源周波数に起因する周期に応じて比較的大きなピークが発生する波形となる。ここで、リレー接点が劣化してくるとリレー開閉部の導体表面が電食(スパーク)により局部的に溶解し凸凹になり接触面積が減るため接点の抵抗値が上昇し、これにより、リレーが劣化していない状態と比べるとリレーON直後の電流のピーク値が減少し、これに伴い、2つ目以降のピークの値が増加することが考えられる。そうすると、リレーON直後の電流のピーク値とその次のピークの値との比が、劣化していないリレーと劣化したリレーとでは異なることになる。このため、電流の値そのものとは異なる指標を用いて容易にリレーの劣化を検出することができる。
【0013】
また、前記処理装置は、
前記突入電流制限回路に突入電流が流れ、かつ前記リレーがONした直後に前記突入電
流制限回路から出力される前記電流の値を第1の前記指標とし、
前記突入電流制限回路に初めて突入電流が流れた際に前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値である初期値よりも大きい所定の値を第3の前記判定閾値として、
前記第1の前記指標の値が前記第2の前記判定閾値以上となった場合に前記リレーに異常があると判定してもよい。
【0014】
このように、リレーの劣化のみならずリレーに異常がある場合にはこれを検出するようにしておくことも可能である。例えばリレーに初期不良があるなど、劣化とは関係ない不具合を検出することで、発明が適用される機器の保守性、安全性をより高めることができる。また、上記の通り異常の判定に用いる指標は劣化判定のための指標と共通にすることができるため、装置の構成を複雑にすることなく適切な効果を得ることができる。
【0015】
また、前記処理装置は、
前記突入電流制限回路に突入電流が流れ、かつ前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値を第1の前記指標とし、
前記突入電流制限回路に初めて突入電流が流れた際に前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値である初期値を第4の前記判定閾値として、
前記第1の前記指標の値が前記第4の前記判定閾値を超えた場合に、前記突入電流制限対象装置への電力供給に異常があると判定してもよい。
【0016】
このように、リレーの劣化検出と共通の指標を用いて、突入電流制限回路以外の電直供給ラインの異常を検出するようにしておくことも可能である。これによれば、複雑な構成や処理を追加することなく、発明が適用される機器の保守性、安全性をより高めることができる。
【0017】
また、前記処理装置は、
前記リレーがONした回数を計測するとともに前記リレーがONした回数に対応する所定の劣化判定閾値と前記リレーがONした回数とを比較することにより、さらに前記リレーの劣化の有無を判定してもよい。
【0018】
このようにすれば、電流値を用いない指標によってもリレーの劣化を検出することができ、リレーが故障する前に対応を行うことができる可能性をより高くすることができる。
【0019】
また、本発明は次のような突入電流制限回路の監視方法としても捉えることができる。即ち、
電流制限抵抗器及びリレーが並列接続された構成であり突入電流制限対象装置の電源線に挿入される突入電流制限回路における前記リレーの状態を監視する監視方法であって、
前記突入電流制限回路から出力される電流の値を取得する電流値取得ステップと、
前記電流値取得ステップで取得する電流値を用いた指標に対応する判定閾値と前記指標の値とを比較して、少なくとも前記リレーの劣化の有無を判定する判定ステップと、を有する、監視方法である。
【0020】
また、前記監視方法において、
前記突入電流制限回路に突入電流が流れ、かつ前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値を第1の前記指標とし、
前記突入電流制限回路に初めて突入電流が流れた際に前記リレーがONした直後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の値よりも小さい所定の値を第1の前記判定閾値として、
前記判定ステップは、
前記第1の前記指標の値が前記第1の前記判定閾値以下となった場合に、前記リレーが劣化していると判定する工程を含んでいてもよい。
【0021】
また、前記監視方法において、
前記突入電流制限回路から出力される前記電流は電源周波数に起因する周期を有しており、
前記突入電流制限回路に突入電流が流れ、かつ前記リレーがONした後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の1周期目の値と2周期目の値との比の値を、第2の前記指標とし、
前記突入電流制限回路に初めて突入電流が流れた際に前記リレーがONした後に前記突入電流制限回路から出力される前記電流の1周期目の値と2周期目の値との比の値である初期比より小さい所定の値を第2の前記判定閾値として、
前記判定ステップは、
前記第2の前記指標の値が前記第2の前記判定閾値以下となった場合に、前記リレーが劣化していると判定する工程を含んでいてもよい。
【0022】
また、本発明は、上記の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、そのようなプログラムを非一時的に記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として捉えることもできる。
【0023】
なお、上記構成および処理の各々は技術的な矛盾が生じない限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、電流制限抵抗器及びリレーが並列接続された構成の突入電流制限回路のリレーの状態を監視し、リレーの劣化を検出することが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施形態に係る電気機器の概略構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るMCUが行う処理の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
図3図3は、実施形態に係るMCUが行う処理の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
図4図4は、実施形態に係るMCUが行う処理のサブルーチンの流れを示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態に係るリレーがONした後に電流計が計測する電流の波形のモデルを示す説明図である。
図6図6は、実施形態の変形例に係るMCUが行う処理の流れの一例を示すフローチャートの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について説明する。ただし、以下の各例に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0027】
<適用例>
本発明は、例えば図1に示すような電気機器1に用いられる処理装置(MCU30)として適用することができる。図1は、負荷42の電源線に突入電流制限回路10及び電流
計20が挿入された電気機器1の概略構成を示す。
【0028】
本適用例に係る電気機器1は、例えば商用電力系統などの交流電源50から提供される三相交流が整流器40により整流されて一対の電源線41p及び41nを介して負荷42に供給される装置である。負荷42は直流電力によって駆動する直流負荷であり、例えばインバータと三相モータとで構成された負荷(システム)などとすることができる。
【0029】
本適用例に係る整流器40は例えばダイオードブリッジ整流器であり、図1に示すように、電気機器の電源線41p及び41nの間には、平滑コンデンサ45が設けられている。また、電源線41pには、突入電流制限回路10と、そのすぐ後段に電流計20が挿入されている。また、図示しないが交流電源50と整流器40との間にはヒューズなどの回路保護手段が設けられていてもよい。
【0030】
突入電流制限回路10は、電流制限抵抗器11とリレー12とを並列接続した回路となっている。リレー12は、電気機器1の電源投入後にオンされるメカニカルリレーである。なお、リレー12のオンタイミングは、電源投入後の経過時間や平滑コンデンサ45の充電の程度に基づき、決定される。
【0031】
なお、電気機器1の電源が投入されるとは、一対の電源線41p及び41nに電流が流れる状態となるということである。従って、電気機器1は、交流電源50、整流器40間に設けられたブレーカ等がオンされることで電源が投入されるものであっても、負荷42が電力を消費する状態に制御されることで電源が投入されるものであっても良い。
【0032】
また、電気機器1は、突入電流制限回路10のリレー12のオン/オフ制御や負荷42の制御を行うマイクロコントローラ(MCU)30も備えている。MCU30は、ROMやRAMなどのメモリを備えており、後述のリレー劣化判定処理のためのプログラムや、判定処理のための閾値などが保存されている。
【0033】
本適用例に係る電気機器1では、MCU30が電流計20によって計測される電流値(即ち突入電流制限回路10からの出力電流値)を取得し、これを用いた指標に係る判定閾値と、前記指標に係る値とを比較することによって、リレー12の劣化の有無を判定する。
【0034】
具体的には、MCU30が突入電流制限回路10から出力される電流の値を取得する電流値取得ステップと、前記電流値取得ステップで取得する電流値を用いた指標に係る判定閾値と前記指標に係る値とを比較して、少なくともリレー12の劣化の有無を判定する判定ステップ、の処理を実行する。
【0035】
また、本適用例は、電流制限抵抗器11及びリレー12が並列接続された突入電流制限回路10を備える電気機器1に、電流計20と劣化判定処理を行う処理部(MCU30)からなる監視機構を設けた電気機器1としても捉えることができる。
【0036】
以上のような本適用例に係る電気機器1によれば、リレー12に接点溶着などの不具合が実際に生じる前に、リレー12の劣化を検出して、突入電流制限回路10(ひいては電気機器1)の適切な保守を行うことが可能になる。
【0037】
<実施形態1>
続けて、この発明を実施するための形態の一例を、さらに詳しく説明する。なお、本実施形態では上記の適用例において説明した電気機器1におけるリレー12の劣化判定の処理の詳細について、図面を用いて具体的に説明する。
【0038】
まず、電気機器1におけるリレー12の劣化判定処理に先立ち、予めユーザーによって、初期不良判定基準値の設定が行われる。具体的には、電気機器1の電源が投入され、突入電流が生じた際に、突入電流制限回路10が正常に機能していれば突入電流制限回路10から出力されると想定される電流値の範囲を、上下限閾値で特定する。即ち、電気機器1に初めて電源を投入した際に、突入電流制限回路10からこの上下限閾値を逸脱した電流値が出力された場合には、突入電流制限回路10はそもそも初めから正常に機能していない初期不良であるといえる。
【0039】
なお、当該基準値(上下限閾値)は、突入電流制限回路10に用いられている電流制限抵抗器11の抵抗値、平滑コンデンサ45の容量、電源電圧などに基づいて、ユーザーが適宜設定することができる。ここで、基準値は必ずしも上下限閾値によって幅を有して定義される必要はなく、特定の一つの値としても構わない(この場合には、上下限閾値が同一の値であると解釈することもできる)。当該基準値は、MCU30のメモリに保存することができる。
【0040】
以下では、このような初期不良検出閾値の設定後に、電気機器1に電源を投入した際の処理の流れを、図2乃至図5を用いて説明する。図2及び図3は、本実施形態に係るMCU30において行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。図2に示すように、MCU30は、電気機器1の電源が投入された際に、電流計20から電流値を取得するとともに(S100)、所定のサブルーチンの処理を実行する(S101)。図4に基づいて、当該サブルーチンの処理について説明する。なお、ステップS101の処理のトリガは例えば、電流計20が計測した電流値をMCU30が取得したタイミングとすることができる。
【0041】
図4は、MCU30による劣化判定処理のステップS101に係るサブルーチンの処理の流れを示す図である。図4に示すように、MCU30は先ず、電源線41p及び41nに電流が流れて突入電流制限回路10のリレー12がONになった過去の回数(実績)が1回以上か否か、即ち、初回の電源投入であるか否かを判定する(S201)。具体的には、MCU30のメモリにリレー12がONした回数を記憶するようにしておき、これを参照することによって判定を行う。ここで、リレーON回数の実績が1回以上であると判定した場合には、ステップS209に進み、メモリに保持されているリレーON回数に1を加えて保存する処理を行ってサブルーチンを終了する(S209)。
【0042】
一方、ステップS201で、これまでにリレー12がONした回数が0回であると判定した場合には、ステップS202に進み、MCU30は電流計20から取得した突入電流のデータをメモリに保存する。具体的には、整流後の電流であっても完全に波形が無くなるわけではないので、例えばリレー12がONした直後の1周期分の二乗平均平方根の値を、初回突入電流値として保存する。また、初回突入電流値だけでなく、リレー12がONした後の電流の1周期目の実行値と2周期目の実行値との比の値、を保存する。
【0043】
次に、MCU30は、保存した初回突入電流値が、ユーザーによって設定された基準(上下限値)の範囲内であるか否かを判定する(S203)。ここで、初回突入電流値が基準の範囲内でない場合には、初期不良であると判定してその旨のエラーを報知し(S204)、サブルーチンを終了する。エラーの報知は、例えば電気機器1が備えるLED、液晶、有機ELなどの表示手段(図示せず)、スピーカ等の音声出力手段(図示せず)によって行うようにすればよい。
【0044】
一方、ステップS203で、初回突入電流値が基準の範囲内と判定された場合には、ステップS205に進み、MCU30は初回突入電流値を用いた第1劣化判定閾値を設定し
てこれをメモリに保存する処理を行う(S205)。ここで、第1劣化判定閾値はリレー12の劣化の有無を判定するための第1の閾値である。
【0045】
電気機器1の使用に当たり、何度も電源が投入されその都度突入電流制限回路10のリレー12がONされるとリレー12の接点が劣化し、これによりリレー12がONした状態の抵抗値が劣化の度合いに応じて上昇する。即ち、電流計20で検出されるリレーON直後の電流値が劣化の度合いに応じて低下することになる。このため、初回突入電流値に基づいて、それよりも小さい値(例えば、初回突入電流値の6割に相当する値など)を第1劣化判定閾値として設定することができる。なお、以下では、2回目以降にリレー12がONした直後の電流の実効値のことを電流値Xともいう。
【0046】
なお、第1劣化判定閾値の設定に当たっては、例えば、予め試験を行うなどしてリレーの劣化の程度と電流値Xの相関関係を調べたうえで、許容できない劣化が生じる際の電流値Xが、初回突入電流値の何割に相当するのかを割り出してもよい。
【0047】
ステップS205に続いて、MCU30は初回突入電流値を用いた第1異常判定閾値を設定してこれをメモリに保存する処理を行う(S206)。ここで、第1異常判定閾値はリレー12の異常(例えば、接点溶着などの故障)の有無を判定するための閾値である。具体的には、MCU30は、初回突入電流値に基づいて、それよりも十分に大きい値を第1異常判定閾値として設定することができる。上述のように、Xはリレー12の劣化に伴い徐々にその値が小さくなっていくため、Xの値が初回突入電流値よりも有意に大きい値となるような場合には、リレー12に何らかの異常が生じていると想定される。このため、初回突入電流値に対して誤差の範囲とならない程度の値を上乗せした値を、第1異常判定閾値として設定すればよい。
【0048】
つぎに、MCU30は、初回突入電流値を用いた第2異常判定閾値を設定してこれをメモリに保存する処理を行う(S207)。ここで、第2異常判定閾値は、交流電源50からの安定的な電力供給に支障が生じているなどの、電力供給ラインの異常の有無を判定するための閾値である。具体的には、MCU30は、初回突入電流値そのものを第2異常判定閾値として設定することができる。上述のように、電流値Xはリレー12の劣化に伴い徐々にその値が小さくなっていくため、電流値Xの値が初回突入電流値よりも大きくなる場合には、初回突入電流値を取得した時と比べて、電源電圧に変化が生じているなど、電力供給ラインに何らかの異常が生じているおそれがある。このため、初回突入電流値の値そのものを、第2異常判定閾値として設定しておくとよい。
【0049】
続いて、MCU30は、第2劣化判定閾値を設定してこれをメモリに保存する処理を行う(S208)。第2劣化判定閾値はリレー12の劣化の有無を判定するための第2の閾値である。ここで、図5に基づいて、第2劣化判定閾値について説明する。図5は、リレー12がONした後に電流計20で計測される電流の波形のモデルを示す説明図である。図5に示すように、リレー12がONした直後の1周期目に最も大きいピークが生じているが、その後の2周期目以降にも電流のピークが発生している。これは平滑コンデンサ45が十分に充電されるまで、平滑コンデンサ45に電流が流れるためである。
【0050】
ところで、上述のように、リレー12がONした直後の1周期目の電流値はリレー12の劣化に伴いその値が小さくなる。そうすると、初回電源投入時と比べると、リレー12がONした直後の1周期目の電流で平滑コンデンサ45に充電される電力は少なくなり、これに伴い2周期目(以降)の電流で平滑コンデンサ45に充電するため2周期目の電流の値は大きくなる。このため、初回電源投入時のリレーON後の1周期目の実効値と2周期目の実効値との比の値と、リレー12が劣化した段階でのリレーON後の1周期目の実効値と2周期目の実効値との比の値を比べると、後者の方が小さい値となる。なお、以下
ではリレー12のONが2回目以降である場合の、リレーON後の1周期目の実効値と2周期目の実効値との比の値を、電流比Yともいう。
【0051】
このことから、初回電源投入時のリレーON後の1周期目の実効値と2周期目の実効値との比の値よりも小さい値(例えば、その7割に相当する値など)を第2劣化判定閾値として設定し、2回目以降にリレー12がONした後の1周期目の実効値と2周期目の実効値との比の値と比較することで、リレーの劣化を検出することが可能となる。
【0052】
ステップS208の処理を終えると、MCU30はメモリに保持されているリレーON回数に1を加えて保存する処理を行ってサブルーチンを終了する(S209)。
【0053】
再び図2及び図3を参照して、リレー劣化判定処理の全体の流れの説明に戻ると、MCU30は、ステップS101のサブルーチンが終了した後は、サブルーチンのステップS209の処理で保存されたリレー12のONの回数が「2」以上であるか否かを判定する(ステップS102)。ここで、リレー12のONの回数が「2」以上でない、即ち今回が初回である場合にはリレー12の劣化判定の処理を終了する。
【0054】
一方、ステップS102でリレー12のONの回数が「2」以上であると判定した場合には、ステップS103に進み、電流値Xがメモリに保存されている第1異常判定閾値以上か否かを判定する(S103)。ここで、MCU30は、電流値Xが第1異常判定閾値以上であると判定した場合には、負荷42を停止するとともにリレー12に異常がある旨を報知し(S104)、劣化判定処理を終了する。なお、異常の報知についてはステップS204におけるエラーの報知と同様に行うことができる。
【0055】
ステップS103で、電流値Xが第1異常判定閾値以上ではないと判定した場合には、MCU30は続けて電流値Xがメモリに保存されている第2異常判定閾値を超えるか否かを判定する(S105)。ここで、MCU30は、電流値Xが第2異常判定閾値を超えると判定した場合には、負荷42を停止するとともに電力の供給ラインに異常がある旨を報知し(S106)、劣化判定処理を終了する。なお、異常の報知についてはステップS204におけるエラーの報知と同様に行うことができる。
【0056】
一方、ステップS105で、電流値Xが第2異常判定閾値を超えないと判定した場合には、MCU30は続けて電流値Xがメモリに保存されている第1劣化判定閾値以下であるか否かを判定する(S107)。ここで、MCU30は、電流値Xが第1劣化判定閾値以下であると判定した場合には、リレー12が劣化している旨の警告を報知し(S108)、劣化判定処理を終了する。ただし、負荷42への電力供給は継続して行われ、負荷42は稼働を続ける。
【0057】
ステップS107で、電流値Xが第1劣化判定閾値以下でないと判定した場合には、MCU30は続けて、電流比Yがメモリに保存されている第2劣化判定閾値以下であるか否かを判定する(S109)。ここで、MCU30は、電流比Yが第2劣化判定閾値以下であると判定した場合には、リレー12が劣化している旨の警告を報知し(S110)、劣化判定処理を終了する。ただし、負荷42への電力供給は継続して行われ、負荷42は稼働を続ける。
【0058】
一方、ステップS109で、電流比Yが第2劣化判定閾値以下でないと判定した場合には、MCU30はリレー12には劣化や異常がないと判定し(S111)、一連の劣化判定処理のルーチンを終了する。なお、当該ルーチンは電気機器1に電源が投入される度に実行される。
【0059】
以上のような本実施形態に係る突入電流制限回路10のリレー12の監視方法によれば、複数の判定方法で突入電流制限回路10におけるリレー12の劣化の有無を判定することができる。このため、より確実にリレー12の劣化を検出することができ、実際にリレー12に故障が生じる前にリレー12を交換するなどの対策を行うことが可能になるため、電気機器1(突入電流制限対象装置)の保守性を高めることができる。また、本実施形態に係る監視方法によれば、リレー12に初期不良を含む異常があればこれを検出して負荷42を停止することができる。また、電源の変動などの異常が疑われる場合にこれを検出し、負荷42を停止することができる。
【0060】
<変形例>
なお、上記の実施形態では、リレー12の劣化の判定を、電流計20から取得する電流の値を用いて行っていたが、これに加えてリレー12がONした回数を用いてさらなる劣化判定処理を行うのであってもよい。以下では、図2、4及び図6に基づいて、本変形例の監視方法を説明する。図6は本変形例に係るリレーの監視方法における処理の流れを示すフローチャートである。本変形例では、監視対象となる電気機器1の構成や、MCU30が行う処理の流れは実施形態1のものとほぼ同様である。このため、実施形態1と同様の構成や処理については同一の図面及び符号を用い、改めての説明は省略する。
【0061】
本変形例においても、MCU30はリレー12の劣化の有無を判定するために、図2に示す処理を順次行う。即ち、MCU30はまず、ステップS101の電源投入時のサブルーチンを実行する。上述のように、当該サブルーチンでは、リレー12がONした回数がカウントされMCU30のメモリに保存される(S209)。
【0062】
本変形例では、MCU30のメモリは、リレー12がONした回数を指標とする劣化判定閾値を保持している。当該閾値は、例えば予め試験を行うなどしてリレーの劣化の程度(例えば想定した突入電流の電流値を流した状態でリレーをON、OFFし接触抵抗値の変化から寿命を推定する。又は、リレーメーカーの仕様書に記載されている寿命曲線などで判断)とリレーONとの回数の相関を調べておき、これに基づいてユーザーが設定することができる。
【0063】
そして、MCU30はステップS109の後に、ステップS209で保存されたリレー12のON回数と、リレーON回数を指標とする劣化判定閾値(回数制限閾値)を比較して、リレー12のON回数が、閾値以上となっているか否かを判定する(S301)。ここで、リレー12のON回数が閾値以上、即ちリレー12が劣化していると判定した場合には、MCU30はリレー12が劣化している旨の警告を報知し(S302)、劣化判定処理を終了する。一方、ステップS301で、リレー12のON回数が判定閾値未満であると判定した場合には、ステップS111に進み一連の劣化判定ルーチンを終了する。
【0064】
以上のような本変形例に監視方法によれば、電流計20によって取得できる電流以外の異なる指標を用いたリレー12の劣化判定をさらに行うことができるため、より確実にリレー12の劣化を検出することができる。
【0065】
<その他>
上記の実施形態の説明は、本発明を例示的に説明するものに過ぎず、本発明は上記の具体的な形態には限定されない。本発明は、その技術的思想の範囲内で種々の変形や組み合わせが可能である。例えば、上記実施形態においては、電気機器1に組み込まれたMCU30が行う処理を例として説明したが、監視対象の装置とは別体の処理装置を用いて本発明を実現することも可能である。この場合には通信手段を設けて突入電流制限回路から出力される電流の値を取得すればよい。
【0066】
また、上記実施形態において説明した処理の順序は可能な範囲で適宜入れ換えてもよい。また、上記実施形態ではステップS107とステップS109でリレー12の劣化の有無を判定していたが、このうちのいずれかの処理を省略してもよい。また、上記実施形態におけるステップS103とステップS105の異常判定に係る処理についても、省略することができる。また、これらの各処理を省略する場合には、ステップS101のサブルーチンにおける各閾値の設定を行う処理についても省略することができる。
【0067】
(付記1)
電流制限抵抗器(11)及びリレー(12)が並列接続された構成であり突入電流制限対象装置(1)の電源線(41p、41n)に挿入される突入電流制限回路(10)における前記リレー(12)の状態を監視する処理装置(30)であって、
前記突入電流制限回路(10)から出力される電流の値を取得するとともに、取得した前記電流の値を用いた指標に対応する判定閾値と前記指標の値とを比較して、少なくとも前記リレーの劣化の有無を判定する、
処理装置(30)。
【0068】
(付記2)
前記突入電流制限回路(10)に突入電流が流れ、かつ前記リレー(12)がONした直後に前記突入電流制限回路(10)から出力される前記電流の値を第1の前記指標とし、
前記突入電流制限回路(10)に初めて突入電流が流れた際に前記リレー(12)がONした直後に前記突入電流制限回路(10)から出力される前記電流の値である初期値よりも小さい所定の値を第1の前記判定閾値として、
前記第1の前記指標の値が前記第1の前記判定閾値以下となった場合に、前記リレーが劣化していると判定する、
ことを特徴とする、付記1に記載の処理装置(30)。
【0069】
(付記3)
前記突入電流制限回路(10)からは電源周波数に起因する周期で電流が出力され、
前記突入電流制限回路(10)に突入電流が流れ、かつ前記リレー(12)がONした後に前記突入電流制限回路(10)から出力される前記電流の1周期目の値と2周期目の値との比の値を、第2の前記指標とし、
前記突入電流制限回路(10)に初めて突入電流が流れた際に前記リレー(12)がONした後に前記突入電流制限回路(10)から出力される前記電流の1周期目の値と2周期目の値との比の値である初期比より小さい所定の値を第2の前記判定閾値として、
前記第2の前記指標の値が前記第2の前記判定閾値以下となった場合に、前記リレー(12)が劣化していると判定する、
ことを特徴とする、付記1又は2に記載の処理装置(30)。
【0070】
(付記4)
前記突入電流制限回路(10)に突入電流が流れ、かつ前記リレー(12)がONした直後に前記突入電流制限回路(10)から出力される前記電流の値を第1の前記指標とし、
前記突入電流制限回路(10)に初めて突入電流が流れた際に前記リレー(12)がONした直後に前記突入電流制限回路(10)から出力される前記電流の値である初期値よりも大きい所定の値を第3の前記判定閾値として、
前記第1の前記指標の値が前記第3の前記判定閾値以上となった場合に前記リレー(12)に異常があると判定する、
ことを特徴とする、付記2又は3に記載の処理装置(30)。
【0071】
(付記5)
前記突入電流制限回路(10)に突入電流が流れ、かつ前記リレー(12)がONした直後に前記突入電流制限回路(10)から出力される前記電流の値を第1の前記指標とし、
前記突入電流制限回路(10)に初めて突入電流が流れた際に前記リレー(12)がONした直後に前記突入電流制限回路(10)から出力される前記電流の値である初期値を第4の前記判定閾値として、
前記第1の前記指標の値が前記第4の前記判定閾値を超えた場合に、前記突入電流制限対象装置への電力供給に異常があると判定する、
ことを特徴とする、付記2から4の何れか一項に記載の処理装置(30)。
【0072】
(付記6)
前記リレー(12)がONした回数を計測するとともに前記リレー(12)がONした回数に対応する所定の劣化判定閾値と前記リレー(12)がONした回数とを比較することにより、さらに前記リレー(12)の劣化の有無を判定する、
ことを特徴とする付記1から5のいずれか一項に記載の処理装置(30)。
【0073】
(付記7)
電流制限抵抗器及びリレー(12)が並列接続された構成であり突入電流制限対象装置(1)の電源線(41p、41n)に挿入される突入電流制限回路(10)における前記リレー(12)の状態を監視する監視方法であって、
前記突入電流制限回路(10)から出力される電流の値を取得する電流値取得ステップ(S100)と、
前記電流値取得ステップで取得する電流値を用いた指標に対応する判定閾値と前記指標の値とを比較して、少なくとも前記リレー(12)の劣化の有無を判定する判定ステップ(S107、S109)と、
を有する、監視方法。
【0074】
(付記8)
前記突入電流制限回路(10)に突入電流が流れ、かつ前記リレー(12)がONした直後に前記突入電流制限回路(10)から出力される前記電流の値を第1の前記指標とし、
前記突入電流制限回路(10)に初めて突入電流が流れた際に前記リレー(12)がONした直後に前記突入電流制限回路(10)から出力される前記電流の値よりも小さい所定の値を第1の前記判定閾値として、
前記判定ステップは、
前記第1の前記指標の値が前記第1の前記判定閾値以下となった場合に、前記リレー(12)が劣化していると判定する工程(S107)を含む、
ことを特徴とする、付記7に記載の監視方法。
【0075】
(付記9)
前記突入電流制限回路(10)から出力される前記電流は電源周波数に起因する周期を有しており、
前記突入電流制限回路(10)に突入電流が流れ、かつ前記リレー(12)がONした後に前記突入電流制限回路(10)から出力される前記電流の1周期目の値と2周期目の値との比の値を、第2の前記指標とし、
前記突入電流制限回路(10)に初めて突入電流が流れた際に前記リレー(12)がONした後に前記突入電流制限回路(10)から出力される前記電流の1周期目の値と2周期目の値との比の値である初期比より小さい所定の値を第2の前記判定閾値として、
前記判定ステップは、
前記第2の前記指標の値が前記第2の前記判定閾値以下となった場合に、前記リレー(12)が劣化していると判定する工程(S109)を含む、
ことを特徴とする、付記7又は8に記載の監視方法。
【0076】
(付記10)
付記7から9のいずれか一項に記載の監視方法の各ステップを、演算装置に実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0077】
1・・・電気機器
10・・・突入電流制限回路
11・・・電流制限抵抗器
12・・・リレー
20・・・電流計
30・・・MCU
40・・・整流器
41p、41n・・・電源線
42・・・負荷
45・・・平滑コンデンサ
50・・・交流電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6