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特開2024-130425樹脂組成物、成形体、生分解性樹脂用の改質剤及びロジンポリオールの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130425
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】樹脂組成物、成形体、生分解性樹脂用の改質剤及びロジンポリオールの使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/02 20060101AFI20240920BHJP
   C08L 67/04 20060101ALI20240920BHJP
   C08L 93/04 20060101ALI20240920BHJP
   C08L 101/16 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C08L67/02
C08L67/04 ZBP
C08L93/04
C08L101/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040116
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川端 昭寛
(72)【発明者】
【氏名】柴地 功基
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 翼
(72)【発明者】
【氏名】中谷 隆
【テーマコード(参考)】
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
4J002AF021
4J002CF03W
4J002CF05W
4J002CF18X
4J002CF19X
4J002GA01
4J002GB01
4J002GK00
4J002GN00
4J002GT00
4J200AA04
4J200BA13
4J200BA14
4J200BA15
4J200BA18
4J200DA01
4J200DA17
4J200DA22
4J200DA25
4J200EA13
(57)【要約】
【課題】水蒸気バリア性に優れる、生分解性樹脂の樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】脂肪族ジオール由来の構成単位(a1)及び脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位(a2)を含む脂肪族系ポリエステル樹脂(A)、及びロジンポリオール(B)を含む、樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ジオール由来の構成単位(a1)及び脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位(a2)を含む脂肪族系ポリエステル樹脂(A)、及び
ロジンポリオール(B)を含む、
樹脂組成物。
【請求項2】
脂肪族ジオール由来の構成単位(a1)及び脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位(a2)を含む脂肪族系ポリエステル樹脂(A)、
ロジンポリオール(B)、及び
脂肪族オキシカルボン酸由来の構成単位(c1)を含む脂肪族オキシカルボン酸系ポリエステル樹脂(C)(ただし、前記脂肪族系ポリエステル樹脂(A)は除く)を含む、
樹脂組成物。
【請求項3】
(A)成分が、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリエチレンサクシネート及びポリエチレンテレフタレートサクシネートからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
(C)成分が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン及びポリヒドロキシブチレート系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の樹脂組成物から得られる、成形体。
【請求項6】
ロジンポリオール(B)を含む、生分解性樹脂用の改質剤。
【請求項7】
上記生分解性樹脂が、
脂肪族ジオール由来の構成単位(a1)及び脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位(a2)を含む脂肪族系ポリエステル樹脂(A)を含む、請求項6に記載の生分解性樹脂用の改質剤。
【請求項8】
上記生分解性樹脂が、
脂肪族ジオール由来の構成単位(a1)及び脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位(a2)を含む脂肪族系ポリエステル樹脂(A)、及び
脂肪族オキシカルボン酸由来の構成単位(c1)を含む脂肪族オキシカルボン酸系ポリエステル樹脂(C)(ただし、前記脂肪族系ポリエステル樹脂(A)は除く)を含む、請求項6に記載の生分解性樹脂用の改質剤。
【請求項9】
生分解性樹脂用の改質剤としての、ロジンポリオール(B)の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、成形体、生分解性樹脂用の改質剤及びロジンポリオールの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
環境保全の観点から、自然環境下で微生物により炭酸ガスや水に分解する種々の生分解性樹脂の利用が進んでいる。このような生分解性樹脂としては、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートテレフタレートのような脂肪族系ポリエステル樹脂、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリグリコール酸のような脂肪族オキシカルボン酸由来のポリエステル樹脂が主に使用されており、包装用、農業用、食品用などのフィルム分野への用途開発がなされている。
【0003】
一方で、生分解性樹脂は水蒸気バリア性が十分でないものが多いため、生分解性樹脂から製造される成形体やフィルムは、水蒸気バリア性が要求される用途においては適用が困難なことがあった。例えば、近年、農業用マルチフィルムとして生分解性樹脂由来のものが提案されているが、当該マルチフィルムにおいては、作物の生長促進のために土壌の保湿性を保つ程度の水蒸気バリア性が求められるが、生分解性樹脂由来の農業用マルチフィルムは水蒸気バリア性に劣るため、土壌の保湿が不十分となり、作物の生長に影響が出ることが問題視されていた。
【0004】
生分解性樹脂の水蒸気バリア性を向上させる方法としては、例えば、生分解性樹脂に水蒸気バリア性付与剤として脂肪酸アミドを添加した樹脂組成物が提案されているが(特許文献1)、その水蒸気バリア性は未だ満足するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-352987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、水蒸気バリア性に優れる、生分解性樹脂の樹脂組成物を提供することを課題とする。
【0007】
また、本発明は、生分解性樹脂の水蒸気バリア性を向上し得る、新規な生分解性樹脂用の改質剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、生分解性樹脂である所定の脂肪族系ポリエステル樹脂を含む樹脂組成物に、ロジンポリオールを用いることにより、上記課題を解決することを見出した。また、本発明者は、ロジンポリオールを含む改質剤によって、上記課題を解決することを見出した。すなわち、本発明は、以下の樹脂組成物、成形体、生分解性樹脂用の改質剤及びロジンポリオールの使用に関する。
【0009】
1.脂肪族ジオール由来の構成単位(a1)及び脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位(a2)を含む脂肪族系ポリエステル樹脂(A)、及び
ロジンポリオール(B)を含む、
樹脂組成物。
【0010】
2.脂肪族ジオール由来の構成単位(a1)及び脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位(a2)を含む脂肪族系ポリエステル樹脂(A)、
ロジンポリオール(B)、及び
脂肪族オキシカルボン酸由来の構成単位(c1)を含む脂肪族オキシカルボン酸系ポリエステル樹脂(C)(ただし、前記脂肪族系ポリエステル樹脂(A)は除く)を含む、
樹脂組成物。
【0011】
3.(A)成分が、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリエチレンサクシネート及びポリエチレンテレフタレートサクシネートからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である、上記項1又は2に記載の樹脂組成物。
【0012】
4.(C)成分が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン及びポリヒドロキシブチレート系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である、上記項2又は3に記載の樹脂組成物。
【0013】
5.上記項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物から得られる、成形体。
【0014】
6.ロジンポリオール(B)を含む、生分解性樹脂用の改質剤。
【0015】
7.上記生分解性樹脂が、
脂肪族ジオール由来の構成単位(a1)及び脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位(a2)を含む脂肪族系ポリエステル樹脂(A)を含む、上記項6に記載の生分解性樹脂用の改質剤。
【0016】
8.上記生分解性樹脂が、
脂肪族ジオール由来の構成単位(a1)及び脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位(a2)を含む脂肪族系ポリエステル樹脂(A)、及び
脂肪族オキシカルボン酸由来の構成単位(c1)を含む脂肪族オキシカルボン酸系ポリエステル樹脂(C)(ただし、前記脂肪族系ポリエステル樹脂(A)は除く)を含む、上記項6又は7に記載の生分解性樹脂用の改質剤。
【0017】
9.生分解性樹脂用の改質剤としての、ロジンポリオール(B)の使用。
【発明の効果】
【0018】
本発明の生分解性樹脂を含む樹脂組成物は、ロジンポリオールを含むことにより、水蒸気バリア性に優れた樹脂組成物となり得る。そのため、上記樹脂組成物から得られる成形体は、水蒸気バリア性が要求される用途に好適に用いられる。
【0019】
本発明の改質剤は、生分解性樹脂に用いることにより、生分解性樹脂における水蒸気バリア性を向上し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本明細書の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αの例示がA3、A2、A1(A3>A2>A1とする)である場合、数値αの範囲は、例えば、A3以下、A2以下、A3未満、A2未満、A1以上、A2以上、A1より大きい、A2より大きい、A1~A2(A1以上A2以下)、A1~A3、A2~A3、A1以上A3未満、A1以上A2未満、A2以上A3未満、A1より大きくA3未満、A1より大きくA2未満、A2より大きくA3未満、A1より大きくA3以下、A1より大きくA2以下、A2より大きくA3以下等が挙げられる。
【0021】
本明細書において、脂肪族ジオールとは脂肪族炭化水素基に水酸基が2つ結合したものをいい、該脂肪族炭化水素基としては、通常直鎖脂肪族炭化水素基が用いられるが、分岐構造を有していても構わないし、環状構造を有していても構わず、それらを複数有していても構わない。
【0022】
また、本明細書において、脂肪族ジカルボン酸とは、脂肪族炭化水素基にカルボキシル基が2つ結合したものをいい、脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸アルキルエステル等の脂肪族ジカルボン酸誘導体といったジカルボン酸類の総称である。該脂肪族炭化水素基としては、通常直鎖脂肪族炭化水素基が用いられるが、分岐構造を有していても構わないし、環状構造を有していても構わず、それらを複数有していても構わない。
【0023】
また、本明細書において、芳香族ジカルボン酸とは、芳香族炭化水素基にカルボキシル基が2つ結合したものをいい、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸アルキルエステル及び芳香環の一部がスルホン酸塩で置換されている芳香族ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸誘導体といったジカルボン酸類の総称である。該芳香族炭化水素基としては、通常、ベンゼン環骨格を有する炭化水素基であり、分岐構造を有していても構わないし、それらを複数有していても構わない。なお、本明細書において、芳香族ジカルボン酸とは、複素芳香族ジカルボン酸を含む広義の芳香族ジカルボン酸である。
【0024】
また、本明細書において、ポリエステル樹脂における「主構成単位」とは、通常、ポリエステル樹脂を構成する全構成単位100モル%のうちの55モル%以上を占める構成単位のことであり、好ましくは75モル%以上、より好ましくは80モル%以上を占める構成単位のことであり、主構成単位以外の構成単位が全く含まれない場合もある。
【0025】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、脂肪族ジオール由来の構成単位(a1)及び脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位(a2)を含む脂肪族系ポリエステル樹脂(A)(以下、(A)成分とも記す)、及びロジンポリオール(B)(以下、(B)成分とも記す)を含むものである。
【0026】
<脂肪族系ポリエステル樹脂(A)>
(A)成分は、脂肪族ジオール由来の構成単位(a1)(以下、構成単位(a1)とも記す)及び脂肪族ジカルボン酸由来の構成単位(a2)(以下、構成単位(a2)とも記す)を必須成分として含むポリエステル樹脂であれば、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(A)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。
【0027】
(A)成分は、生分解性に優れる点から、構成単位(a1)及び構成単位(a2)を主構成単位として含む脂肪族系ポリエステル樹脂であるのが好ましい。
【0028】
構成単位(a1)は、脂肪族ジオール(a1’)(以下、(a1’)成分という)を用いてポリエステルを製造した際にポリエステル鎖に含まれる構成単位である。(a1’)成分は、脂肪族ジオールであれば特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(a1’)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。(a1’)成分は、石油から誘導されたものであっても、植物原料から誘導されたものであっても構わないが、植物原料から誘導されたものが好ましい。
【0029】
構成単位(a1)は、例えば、下記式(1)で表される構成単位等が挙げられる。
【0030】
-O-R-O- (1)
式(1)中、Rは、2価の脂肪族炭化水素基を表す。式(1)における脂肪族炭化水素基としては、樹脂組成物の生分解性及び機械的特性に優れる点から、炭素原子数2~10の直鎖、分岐若しくは環状構造を有する脂肪族炭化水素基が好ましく、同様の点から、炭素原子数2~4の直鎖、分岐若しくは環状構造を有する脂肪族炭化水素基がより好ましい。
【0031】
(a1’)成分は、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキレンジオール;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のオキシアルキレンジオール;1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等のシクロアルキレンジオール等が挙げられる。
【0032】
(a1’)成分は、樹脂組成物の生分解性及び機械的特性に優れる点から、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール及び1,4-シクロヘキサンジメタノールからなる群より選択される少なくとも1種であるのが好ましく、同様の点から、エチレングリコール及び1,4-ブタンジオールからなる群より選択される少なくとも1種であるのがより好ましく、同様の点から、1,4-ブタンジオールがさらに好ましい。
【0033】
構成単位(a2)は、脂肪族ジカルボン酸(a2’)(以下、(a2’)成分という)を用いてポリエステルを製造した際にポリエステル鎖に含まれる構成単位である。(a2’)成分は、脂肪族ジカルボン酸であれば特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(a2’)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。(a2’)成分は、石油から誘導されたものであっても、植物原料から誘導されたものであっても構わないが、植物原料から誘導されたものが好ましい。
【0034】
構成単位(a2)は、例えば、下記式(2)で表される構成単位等が挙げられる。
【0035】
-OC-R-CO- (2)
式(2)中、Rは、2価の脂肪族炭化水素基を表す。式(2)における脂肪族炭化水素基としては、樹脂組成物の生分解性及び機械的特性に優れる点から、炭素原子数2~40の直鎖若しくは分岐構造を有する脂肪族炭化水素基が好ましく、同様の点から、炭素原子数2~12の直鎖若しくは分岐構造を有する脂肪族炭化水素基がより好ましく、同様の点から、炭素原子数2~10の直鎖若しくは分岐構造を有する脂肪族炭化水素基がより好ましい。
【0036】
(a2’)成分は、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、マレイン酸、フマル酸、1,6-シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の通常、炭素数が2以上48以下の鎖状あるいは脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。
【0037】
(a2’)成分は、樹脂組成物の生分解性及び機械的特性に優れる点から、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸及びブラシル酸からなる群より選択される少なくとも1種であるのが好ましく、同様の点から、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びブラシル酸からなる群より選択される少なくとも2種であるのがより好ましい。
【0038】
(a2’)成分がコハク酸を含む場合、構成単位(a2)におけるコハク酸由来の構成単位の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物の生分解性及び機械的特性に優れる点から、構成単位(a2)100モル%に対して5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、50モル%以上がさらに好ましく、64モル%以上がさらに好ましく、68モル%以上が特に好ましく、100モル%以下が好ましく、95モル%以下がより好ましく、94モル%以下がさらに好ましい。
【0039】
(a2’)成分が、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びブラシル酸からなる群より選択される少なくとも2種を含む場合、構成単位(a2)におけるコハク酸由来の構成単位の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物の生分解性及び機械的特性に優れる点から、構成単位(a2)100モル%に対して5モル%以上が好ましく、10モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、64モル%以上がさらに好ましく、68モル%以上が特に好ましく、95モル%以下が好ましく、94モル%以下がより好ましい。
【0040】
また、上記の場合、構成単位(a2)におけるアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸及びブラシル酸のいずれかに由来する構成単位の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物の生分解性及び機械的特性に優れる点から、構成単位(a2)100モル%に対して5モル%以上が好ましく、6モル%以上がより好ましく、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましい。50モル%以下がさらに好ましく、36モル%以下がさらに好ましく、32モル%以下が特に好ましい。
【0041】
(A)成分は、更に、芳香族ジカルボン酸由来の構成単位(a3)(以下、構成単位(a3)とも記す)を含んでもよい。
【0042】
構成単位(a3)は、芳香族ジカルボン酸(a3’)(以下、(a3’)成分という)を用いてポリエステルを製造した際にポリエステル鎖に含まれる構成単位である。(a3’)成分は、芳香族ジカルボン酸であれば特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(a3’)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
【0043】
構成単位(a3)は、例えば、下記式(3)で表される構成単位等が挙げられる。
【0044】
-OC-R-CO- (3)
式(3)中、Rは、2価の芳香族炭化水素基を表す。式(3)における芳香族炭化水素基としては、樹脂組成物の生分解性及び機械的特性に優れる点から、Rの環構造が2以下であることが好ましく、Rはフェニレン基であることがより好ましい。
【0045】
(a3’)成分は、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
【0046】
(a3’)成分は、樹脂組成物の生分解性及び機械的特性に優れる点から、テレフタル酸及びイソフタル酸からなる群より選択される少なくとも1種であるのが好ましく、同様の点から、テレフタル酸がより好ましい。
【0047】
(A)成分が構成単位(a3)を含む場合、(A)成分における構成単位(a3)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物の生分解性及び機械的特性に優れる点から、構成単位(a2)及び(a3)の合計100モル%に対して、5モル%以上が好ましく、35モル%以上がより好ましく、40モル%以上がさらに好ましく、95モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、60モル%以下がさらに好ましい。
【0048】
(A)成分が構成単位(a3)を含み、更に(a3’)成分がテレフタル酸を含む場合、(A)成分におけるテレフタル酸由来の構成単位の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物の生分解性及び機械的特性に優れる点から、構成単位(a2)及び(a3)の合計100モル%に対して、40モル%以上が好ましく、42モル%以上がより好ましく、45モル%以上がさらに好ましく、60モル%以下が好ましく、58モル%以下がより好ましく、55モル%以下がさらに好ましい。
【0049】
(A)成分は、更に、脂肪族オキシカルボン酸由来の構成単位(a4)(以下、構成単位(a4)とも記す)を含んでもよい。
【0050】
構成単位(a4)は、脂肪族オキシカルボン酸(a4’)(以下、(a4’)成分という)を用いてポリエステルを製造した際にポリエステル鎖に含まれる構成単位である。(a4’)成分は、分子内に少なくとも1個の水酸基及び少なくとも1個のカルボキシル基を有する脂肪族オキシカルボン酸であれば特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(a4’)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。(a4’)成分は、石油から誘導されたものであっても、植物原料から誘導されたものであっても構わないが、植物原料から誘導されたものが好ましい。
【0051】
構成単位(a4)は、例えば、下記式(4)で表される構成単位等が挙げられる。
【0052】
-O-R-CO- (4)
式(4)中、Rは、2価の脂肪族炭化水素基又は2価の脂環式炭化水素基を表す。式(4)における脂肪族炭化水素基としては、樹脂組成物の生分解性及び機械的特性に優れる点から、炭素原子数1~6の直鎖若しくは分岐構造を有する脂肪族炭化水素基が好ましく、同様の点から、炭素原子数1~5の直鎖若しくは分岐構造を有する脂肪族炭化水素基がより好ましく、同様の点から、炭素原子数1~4の直鎖若しくは分岐構造を有する脂肪族炭化水素基がより好ましく、
【0053】
(a4’)成分は、例えば、グリコール酸、乳酸、2-メチル乳酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシ-n-酪酸、2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル酪酸、2-ヒドロキシ-2-メチル酪酸、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸、3-ヒドロキシ-3-メチル酪酸、3-ヒドロキシペンタン酸、3-ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシイソカプロン酸、ヒドロキシカプロン酸、4-ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、4-ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。また、これらのアルキルエステルやラクトン類、ラクチド、あるいは脂肪族オキシカルボン酸重合体等の誘導体であってもよい。また、これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体又はラセミ体の何れでもよい。
【0054】
上記ラクトン類は、例えば、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、β-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン;4-メチルカプロラクトン、3,5,5-トリメチルカプロラクトン、3,3,5-トリメチルカプロラクトンなどの各種メチル化カプロラクトン;β-メチル-δ-バレロラクトン、エナントラクトン、ラウロラクトン等のヒドロキシカルボン酸の環状1量体エステル;グリコリド、L-ラクチド、D-ラクチド等の上記ヒドロキシカルボン酸の環状2量体エステル;その他、1,3-ジオキソラン-4-オン、1,4-ジオキサン-3-オン、1,5-ジオキセパン-2-オン等の環状エステル-エーテル等が挙げられる。
【0055】
(A)成分が構成単位(a4)を含む場合、(A)成分における構成単位(a4)の含有量は、特に限定されないが、(A)成分における全構成単位の合計100モル%に対して、10モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましく、2モル%以下がさらに好ましく、0モル%(含まない)が特に好ましい。
【0056】
(A)成分は、更に、3官能以上の脂肪族多価アルコール、3官能以上の脂肪族多価カルボン酸又はその酸無水物及び3官能以上の脂肪族多価オキシカルボン酸成分からなる群から選ばれる少なくとも1種の3官能以上の多官能成分を共重合したものであってもよい。多官能成分は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
上記脂肪族多価アルコールは、特に限定されず、各種公知のものを使用でき、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
【0058】
上記脂肪族多価カルボン酸又はその酸無水物は、特に限定されず、各種公知のものを使用でき、例えば、プロパントリカルボン酸又はその酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸又はその酸無水物等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
【0059】
上記脂肪族多価オキシカルボン酸成分は、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。3官能の脂肪族多価オキシカルボン酸成分は、例えば、(i)カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプ、(ii)カルボキシル基が1個とヒドロキシル基が2個のタイプが挙げられ、機械的特性に優れる点からリンゴ酸等の(i)カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプが好ましく、より具体的には、リンゴ酸が好ましく用いられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
【0060】
4官能の脂肪族オキシカルボン酸成分は、例えば、(i)3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(ii)2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に共有するタイプ、(iii)3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子中に共有するタイプが挙げられ、カルボキシル基を複数有するものが好ましく、より具体的には、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
【0061】
(A)成分が3官能以上の多官能成分に由来する構成単位を含む場合、(A)成分における当該構成単位の含有量は、特に限定されないが、(A)成分における全構成単位の合計100モル%に対して、通常0モル%以上、0.01モル%以上が好ましく、通常5モル%以下、2.5モル%以下が好ましい。
【0062】
(A)成分は、樹脂組成物の生分解性、機械的特性及び水蒸気バリア性に優れる点から、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリエチレンサクシネート及びポリエチレンテレフタレートサクシネートからなる群より選択される少なくとも1種であるのが好ましく、同様の点から、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネート及びポリブチレンサクシネートテレフタレートからなる群より選択される少なくとも1種であるのがより好ましく、同様の点から、ポリブチレンサクシネートアジペート及びポリブチレンサクシネートからなる群より選択される少なくとも1種であるのがさらに好ましく、ポリブチレンサクシネートが特に好ましい。
【0063】
(ポリブチレンサクシネート)
上記ポリブチレンサクシネートは、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。ポリブチレンサクシネートは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。
【0064】
上記ポリブチレンサクシネートは、コハク酸に由来する構成単位と、1,4-ブタンジオールに由来する構成単位とを主構成単位として含むポリエステル樹脂である。
【0065】
また、上記ポリブチレンサクシネートは、上記構成単位以外の他の構成単位を含んでいてもよい。他の構成単位としては、例えば、ジオール成分(ジオールまたはその誘導体)、ジカルボン酸成分(ジカルボン酸またはその誘導体)、および脂肪族オキシカルボン酸成分(脂肪族オキシカルボン酸またはその誘導体)等から形成される構成単位が挙げられる。これらジオール成分、ジカルボン酸成分及び脂肪族オキシカルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
上記ジオール成分は、例えば、1,4-ブタンジオール以外の上述の(a1’)成分が挙げられる。
【0067】
上記ジカルボン酸成分は、例えば、コハク酸以外の上述の(a2’)成分、上述の(a3’)成分が挙げられる。
【0068】
上記脂肪族オキシカルボン酸成分は、分子中に1個の水酸基とカルボン酸基を有する脂肪族オキシカルボン酸およびその誘導体であれば特に限定はなく、環状のものも、鎖状のものも使用できる。
【0069】
上記脂肪族オキシカルボン酸成分は、例えば、上述の(a4’)成分が挙げられる。
【0070】
また、上記ポリブチレンサクシネートには、3官能以上を有する多官能成分として、3官能以上の脂肪族多価アルコール、脂肪族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸及び脂肪族多価オキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の単位を存在させてもよい。多官能成分は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
上記脂肪族多価アルコールは、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。上記脂肪族多価カルボン酸は、例えば、プロパントリカルボン酸等が挙げられる。上記芳香族多価カルボン酸は、例えば、ピロメリット酸、トリメリット酸ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの無水物等が挙げられる。上記脂肪族多価オキシカルボン酸は、例えば、リンゴ酸、クエン酸等が挙げられる。
【0072】
(ポリブチレンアジペートテレフタレート)
上記ポリブチレンアジペートテレフタレートは、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。ポリブチレンアジペートテレフタレートは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。
【0073】
上記ポリブチレンアジペートテレフタレートは、アジピン酸に由来する構成単位と、テレフタル酸に由来する構成単位と、1,4-ブタンジオールに由来する構成単位とを主構成単位として含むポリエステル樹脂である。
【0074】
上記ポリブチレンアジペートテレフタレートは、特表平10-508640号公報等に記載されているような、
(a)主としてアジピン酸もしくはそのエステル形成性誘導体またはこれらの混合物35~95モル%、及びテレフタル酸もしくはそのエステル形成性誘導体またはこれらの混合物5~65モル%(個々のモル%の合計は100モル%である。)からなる混合物と、
(b)1,4-ブタンジオールを含む混合物との反応(ただし上記(a)と上記(b)とのモル比が、0.4:1~1.5:1)により得られる樹脂が好ましい。
【0075】
また、上記ポリブチレンアジペートテレフタレートは、上記構成単位以外の他の構成単位を含んでいてもよい。他の構成単位としては、例えば、ジオール成分(ジオールまたはその誘導体)、ジカルボン酸成分(ジカルボン酸またはその誘導体)、および脂肪族オキシカルボン酸成分(脂肪族オキシカルボン酸またはその誘導体)等から形成される構成単位が挙げられる。これらジオール成分、ジカルボン酸成分及び脂肪族オキシカルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0076】
上記ジオール成分は、例えば、1,4-ブタンジオール以外の上述の(a1’)成分が挙げられる。
【0077】
上記ジカルボン酸成分は、例えば、アジピン酸以外の上述の(a2’)成分、テレフタル酸以外の上述の(a3’)成分が挙げられる。
【0078】
上記脂肪族オキシカルボン酸成分は、分子中に1個の水酸基とカルボン酸基を有する脂肪族オキシカルボン酸およびその誘導体であれば特に限定はなく、環状のものも、鎖状のものも使用できる。
【0079】
上記脂肪族オキシカルボン酸成分は、例えば、上述の(a4’)成分が挙げられる。
【0080】
また、上記ポリブチレンアジペートテレフタレートには、3官能以上を有する多官能成分として、3官能以上の脂肪族多価アルコール、脂肪族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸及び脂肪族多価オキシカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の単位を存在させてもよい。多官能成分は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0081】
上記脂肪族多価アルコールは、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。上記脂肪族多価カルボン酸は、例えば、プロパントリカルボン酸等が挙げられる。上記芳香族多価カルボン酸は、例えば、ピロメリット酸、トリメリット酸ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの無水物等が挙げられる。上記脂肪族多価オキシカルボン酸は、例えば、リンゴ酸、クエン酸等が挙げられる。
【0082】
(A)成分は1種に限らず、構成単位の種類や構成単位比、製造方法、物性等の異なる2種以上の(A)成分をブレンドして用いることができる。
【0083】
(脂肪族系ポリエステル樹脂(A)の製造方法)
(A)成分の製造方法としては、特に限定されず、ポリエステルの製造に関する各種公知の方法が採用できる。また、この際の重縮合反応は、従来から採用されている適切な条件を設定することができ、特に制限されない。通常、エステル化反応を進行させた後、減圧操作を行うことによって更に重合度を高める方法が採用される。
【0084】
(A)成分の製造方法においては、構成単位(a1)における(a1’)成分と、構成単位(a2)とを反応させる場合には、通常、(a1’)成分と(a2’)成分とは実質的に等モル量で反応するが、(a1’)成分は、エステル化反応中に留出することから、通常は(a2’)成分よりも1~20モル%過剰に用いられる。
【0085】
(A)成分の製造方法においては、構成単位(a1)における(a1’)成分と、構成単位(a2)及び(a3)における(a2’)及び(a3’)成分とを反応させる場合には、製造される(A)成分が目的とする組成を有するように、(a1’)成分と(a2’)及び(a3’)成分との使用量を設定する。通常、(a1’)成分と、(a2’)及び(a3’)成分とは実質的に等モル量で反応するが、(a1’)成分は、エステル化反応中に留出することから、通常は(a2’)及び(a3’)成分よりも1~20モル%過剰に用いられる。
【0086】
(A)成分に構成単位(a4)や上記多官能成分に由来する構成単位を含有させる場合、構成単位(a4)や上記多官能成分に由来する構成単位もそれぞれ目的とする組成となるように、(a4’)成分及び上記多官能成分を反応に供するようにする。このとき、(a4’)成分及び上記多官能成分を反応系に導入する時期および方法に制限はなく、本発明に好適な(A)成分を製造できる限り任意である。
【0087】
(脂肪族系ポリエステル樹脂(A)の物性)
(A)成分の物性は特に限定されない。(A)成分の重量平均分子量は、例えば、1,000,000、950,000、900,000、850,000、800,000、750,000、700,000、650,000、600,000、550,000、500,000、450,000、400,000、350,000、300,000、250,000、200,000、150,000、100,000、90,000、80,000、70,000、60,000、50,000、40,000、30,000、20,000、10,000等が挙げられる。(A)成分の重量平均分子量は、樹脂組成物の機械的特性に優れる点から、好ましくは10,000~1,000,000程度、より好ましくは20,000~500,000程度、さらに好ましくは50,000~400,000程度、特に好ましくは100,000~400,000程度である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値である。
【0088】
(A)成分の融点は、例えば、170℃、165℃、160℃、155℃、150℃、145℃、140℃、135℃、130℃、125℃、120℃、115℃、110℃、105℃、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃等が挙げられる。機械的特性に優れる点から、70℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましく、170℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましい。融点が複数存在する場合には、少なくとも1つの融点が上記範囲内にあることが好ましい。
【0089】
(A)成分の弾性率は、樹脂組成物の成形加工性及び成形体(フィルム)の靭性に優れる点から、180~1200MPaであることが好ましい。
【0090】
(A)成分の融点や弾性率の調整法は特に限定されないが、例えば、(a2’)成分及び(a3’)成分の種類を選択したり、ぞれぞれの共重合比率を調節したり、それらを組み合わせたりすることにより調節することが可能である。
【0091】
<ロジンポリオール(B)>
(B)成分は、ロジン類及びエポキシ樹脂を含む反応成分の反応物であれば、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(B)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。
【0092】
(ロジン類)
上記ロジン類は、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。上記ロジン類は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。
【0093】
上記ロジン類は、例えば、天然ロジン、精製ロジン(以下、天然ロジンと精製ロジンをまとめて未変性ロジンともいう)、水素化ロジン、不均化ロジン等が挙げられる。
【0094】
上記天然ロジンは、例えば、馬尾松(Pinus massoniana)、スラッシュ松(Pinus elliottii)、メルクシ松(Pinus merkusii)、カリビア松(Pinus caribaea)、思茅松(Pinus kesiya)、テーダ松(Pinus taeda)及び大王松(Pinus palustris)等に由来する天然ロジン(ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン)が挙げられる。
【0095】
上記精製ロジンは、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、蒸留法、抽出法、再結晶法、吸着法等の各種公知の精製手段を用いて得ることができる。蒸留法は、例えば、上記天然ロジンを通常200~300℃程度の温度、0.01~3kPa程度の減圧下で蒸留する方法等が挙げられる。抽出法は、例えば、上記天然ロジンをアルカリ水溶液とし、不溶性の不ケン化物を各種の有機溶媒により抽出した後に水層を中和する方法等が挙げられる。再結晶法は、例えば、上記天然ロジンを良溶媒としての有機溶媒に溶解し、ついで溶媒を留去して濃厚な溶液とし、更に貧溶媒としての有機溶媒を添加する方法等が挙げられる。良溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、クロロホルムなどの塩素化炭化水素溶媒、低級アルコール、アセトンなどのケトン類、酢酸エチルなどの酢酸エステル類等が挙げられる。貧溶媒は、例えばn-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、イソオクタン等が挙げられる。吸着法は、例えば、溶融状態の上記天然ロジン又は有機溶媒に溶解させた溶液状の上記天然ロジンを、多孔質吸着剤に接触させる方法等が挙げられる。多孔質吸着剤は、例えば、活性炭、金属酸化物、たとえばアルミナ、ジルコニア、シリカ、モレキュラーシーブス、ゼオライト、微細孔の多孔質クレー等が挙げられる。
【0096】
また、上記精製ロジンとしては、得られた精製ロジンに、更に後述の不均化、後述の水素化の各操作を単独で、又は2種以上を組み合わせて行ってもよい。
【0097】
上記水素化ロジンを得る方法としては、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、水素化触媒の存在下、水素加圧下で上記未変性ロジンを加熱して反応(水素化)させればよい。水素化触媒としては、担持触媒、金属粉末等、各種公知のものを使用することができる。担持触媒としては、パラジウム-カーボン、ロジウム-カーボン、ルテニウム-カーボン、白金-カーボン等が挙げられ、金属粉末としては、ニッケル、白金等が挙げられる。該触媒の使用量は、原料となるロジン100質量部に対して通常0.01~5質量部程度、好ましくは0.01~2質量部程度である。また、水素圧は2~20MPa程度、好ましくは5~20MPa程度であり、反応温度は100~300℃程度、好ましくは150℃~300℃程度である。
【0098】
上記水素化は、必要に応じて、上記未変性ロジンを溶剤に溶解した状態で行ってもよい。使用する溶剤は特に限定されないが、反応に不活性で原料や生成物が溶解しやすい溶剤であればよい。具体的には、例えば、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、デカリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を1種または2種以上を組み合わせて使用できる。溶剤の使用量は特に制限されないが、通常、上記未変性ロジンに対して固形分が10質量%以上、好ましくは10~70質量%程度の範囲となるように用いればよい。
【0099】
また、上記水素化ロジンとしては、得られた水素化ロジンに、更に上記精製、水素化、後述の不均化の各操作を単独で、又は2種以上を組み合わせて行ってもよい。
【0100】
上記不均化ロジンを得る方法としては、各種公知の手段を用いて得ることができる。具体的には、例えば、上記未変性ロジンを不均化触媒の存在下に加熱して反応(不均化)させればよい。不均化触媒としては、パラジウム-カーボン、ロジウム-カーボン、白金-カーボン等の担持触媒、ニッケル、白金等の金属粉末、ヨウ素、ヨウ化鉄等のヨウ化物等、各種公知のものを例示しうる。該触媒の使用量は、原料となるロジン100質量部に対して通常0.01~5質量部程度、好ましくは0.01~1質量部程度であり、反応温度は100~300℃程度、好ましくは150℃~290℃程度である。
【0101】
また、上記不均化ロジンとしては、得られた不均化ロジンに、更に上記精製、水素化の各操作を単独で、又は2種以上を組み合わせて行ってもよい。
【0102】
また、色調を向上させることを目的に、上記精製ロジン、水素化ロジン、不均化ロジンに対して、さらに脱水素化処理を行ってもよい。脱水素化処理は、特に限定されず、通常の条件を採用できる。脱水素化処理は、例えば、上記精製ロジン、水素化ロジン、不均化ロジンを脱水素化触媒の存在下、密閉容器中で水素初圧10kg/cm未満、好ましくは5kg/cm未満、反応温度100~300℃程度、好ましくは下限200℃、上限280℃の範囲で行う。脱水素化触媒としては特に制限なく各種公知のものを使用できるが、好ましくはパラジウム系、ロジウム系、白金系の触媒を例示でき、通常シリカ、カーボンなどの担体に担持して使用される。また、該触媒の使用量は、上記精製ロジン、水素化ロジン、不均化ロジンに対して通常0.01~5重量%程度、好ましくは下限0.05重量%、上限3重量%とされる。
【0103】
(エポキシ樹脂)
上記エポキシ樹脂は、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。上記エポキシ樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。
【0104】
上記エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、脂肪族ポリエポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、モノエポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、エポキシ基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基含有ポリウレタン樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、スチルベン型エポキシ化合物、トリアジン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、トリフェノールメタン型エポキシ化合物、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アリールアルキレン型エポキシ化合物、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、1,1,2,2-テトラ(4-ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0105】
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、2,2-ビス(4-(β-ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0106】
上記ノボラック型エポキシ樹脂は、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、α-ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0107】
上記脂肪族ポリエポキシ化合物は、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジクリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0108】
上記脂環式エポキシ化合物は、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタ-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル-3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0109】
上記グリシジルアミン型エポキシ化合物は、例えば、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン等が挙げられる。
【0110】
上記グリシジルエステル型エポキシ化合物は、例えば、ジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、トリグリシジルトリメリッテート等が挙げられる。
【0111】
上記エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されない。上記エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えば、10,000、9,500、9,000、8,500、8,000、7,500、7,000、6,500、6,000、5,500、5,000、4,500、4,000、3,500、3,000、2,500、2,000、1,500、1,000、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150等が挙げられる。上記エポキシ樹脂の重量平均分子量は、樹脂組成物の水蒸気バリア性及び機械的特性に優れる点から、好ましくは150~10,000程度、より好ましくは500~2,500程度である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値である。
【0112】
上記反応成分は、上記ロジン類及びエポキシ樹脂以外に、アルコール類を含み得る。
【0113】
上記アルコール類としては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ダイマージオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の2価のアルコール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価のアルコール類、ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどの4価のアルコール類、ジペンタエリスリトールなどの6価のアルコール類等が挙げられる。これらの中でも、3つ以上の水酸基を有する多価アルコール類が好ましく、特にグリセリン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジペンタエリスリトールがより好ましい。上記アルコール類は、1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
【0114】
上記ロジンポリオールの製造方法は、特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。具体的には、例えば、触媒存在下又は不存在下に、窒素気流下において、上記ロジン類及び上記エポキシ樹脂、並びに必要に応じて上記アルコール類を120~300℃で開環付加反応させる方法が挙げられる。
【0115】
上記触媒としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ピリジン、2-メチルイミダゾールなどのアミン系触媒、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4アンモニウム塩、ルイス酸、ホウ酸エステル、有機金属化合物、有機金属塩、トリアルキルホスフィン類、トリアリールホスフィン類等が挙げられる。
【0116】
上記開環付加反応においては、必要に応じて、溶剤を使用してもよい。溶剤は、特に限定されないが、反応に不活性で原料や生成物が溶解しやすい溶剤であればよい。具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素;n-ヘキサン等の脂肪族系炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環族系炭化水素等が挙げられる。
【0117】
上記ロジン類及び上記エポキシ樹脂の使用量については、特に限定されないが、通常、上記エポキシ樹脂中の1個のエポキシ基をOH基2個に相当するとして、エポキシ樹脂のOH基(エポキシ基及びエポキシ樹脂中に存在するOH基の合計)/ロジン類のCOOH基(当量比)が0.8~22程度、好ましくは0.8~10程度の範囲である。
【0118】
(ロジンポリオール(B)の物性)
(B)成分の物性は特に限定されない。(B)成分の重量平均分子量は、例えば、3,500、3,000、2,500、2,000、1,500、1,000、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500等が挙げられる。(B)成分の重量平均分子量は、樹脂組成物の水蒸気バリア性及び機械的特性に優れる点から、好ましくは500~3,500程度、より好ましくは500~3,000程度、特に好ましくは600~2,500程度である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値である。
【0119】
(B)成分の酸価(mgKOH/g)は、例えば、10mgKOH/g、9mgKOH/g、8mgKOH/g、7mgKOH/g、6mgKOH/g、5mgKOH/g、4mgKOH/g、3mgKOH/g、2mgKOH/g、1mgKOH/g、0.9mgKOH/g、0.8mgKOH/g、0.7mgKOH/g、0.6mgKOH/g、0.5mgKOH/g、0.4mgKOH/g、0.3mgKOH/g、0.2mgKOH/g、0.1mgKOH/g等が挙げられる。(B)成分の酸価は、樹脂組成物の水蒸気バリア性及び機械的特性に優れる点から、0.1~10mgKOH/g程度であるのが好ましく、同様の点から、0.1~3mgKOH/g程度であるのがより好ましく、同様の点から、0.1~1mgKOH/g程度であるのが特に好ましい。なお、本明細書において、酸価は、JIS K0070により測定した値である。
【0120】
(B)成分の水酸基価(mgKOH/g)は、例えば、250mgKOH/g、245mgKOH/g、240mgKOH/g、235mgKOH/g、230mgKOH/g、225mgKOH/g、220mgKOH/g、215mgKOH/g、210mgKOH/g、205mgKOH/g、200mgKOH/g、195mgKOH/g、190mgKOH/g、185mgKOH/g、180mgKOH/g、175mgKOH/g、170mgKOH/g、165mgKOH/g、160mgKOH/g、155mgKOH/g、150mgKOH/g、145mgKOH/g、140mgKOH/g、135mgKOH/g、130mgKOH/g、125mgKOH/g、120mgKOH/g、115mgKOH/g、110mgKOH/g、105mgKOH/g、100mgKOH/g、95mgKOH/g、90mgKOH/g、85mgKOH/g、80mgKOH/g、75mgKOH/g、70mgKOH/g、65mgKOH/g、60mgKOH/g、55mgKOH/g、50mgKOH/g、45mgKOH/g、40mgKOH/g、35mgKOH/g、30mgKOH/g等が挙げられる。(B)成分の水酸基価は、樹脂組成物の水蒸気バリア性及び機械的特性に優れる点から、30~250mgKOH/gであるのが好ましく、同様の点から、100~200mgKOH/g程度であるのがより好ましく、120~200mgKOH/g程度であるのがさらに好ましく、同様の点から、120~180mgKOH/g程度であるのがより好ましい。なお、本明細書において、水酸基価は、JIS K0070により測定した値である。
【0121】
(B)成分の軟化点(℃)は、例えば、150℃、145℃、140℃、135℃、130℃、125℃、120℃、115℃、110℃、105℃、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃等が挙げられる。(B)成分の軟化点は、樹脂組成物の機械的特性に優れる点から、80~150℃程度が好ましく、同様の点から、90℃~120℃程度がより好ましい。なお、本明細書において、軟化点は、JIS K 5902の環球法により測定した値である。
【0122】
(B)成分の色調は、例えば、400ハーゼン、350ハーゼン、300ハーゼン、250ハーゼン、200ハーゼン、150ハーゼン、100ハーゼン、95ハーゼン、90ハーゼン、85ハーゼン、80ハーゼン、75ハーゼン、70ハーゼン、65ハーゼン、60ハーゼン、55ハーゼン、50ハーゼン、45ハーゼン、40ハーゼン、35ハーゼン、30ハーゼン、25ハーゼン、20ハーゼン、15ハーゼン、10ハーゼン、5ハーゼン等が挙げられる。(B)成分の色調は、樹脂組成物の外観に優れる点から、5ガードナー以下が好ましく、10~400ハーゼン程度がより好ましく、10~200ハーゼン程度が特に好ましい。なお、本明細書において、色調は、ハーゼン単位はJIS K 0071-1に準拠して、ガードナー単位はJIS K 0071-2に準拠して測定されたものである。
【0123】
(添加剤)
(B)成分は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて各種公知の添加剤を含み得る。添加剤は、例えば、脱水剤、耐候剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等が挙げられる。上記添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用して用いる事が出来る。
【0124】
<脂肪族オキシカルボン酸系ポリエステル樹脂(C)>
上記樹脂組成物は、更に、脂肪族オキシカルボン酸由来の構成単位(c1)を含む脂肪族オキシカルボン酸系ポリエステル樹脂(C)(以下、(C)成分とも記す)を含んでもよい。
【0125】
上記樹脂組成物は、(A)成分を含むことにより柔軟性及び耐衝撃性に優れるが、更に、(C)成分を含むことにより、引張強度、柔軟性及び耐衝撃性に優れた樹脂組成物となり得る。
【0126】
従来の(A)成分及び(C)成分を含む樹脂組成物においては、各種添加剤を含むことにより、引張強度、柔軟性及び耐衝撃性等の機械的特性が低下してしまうことがあったが、本発明の樹脂組成物は、(B)成分を含むことにより、樹脂組成物における引張強度の低下を抑制しつつ、その柔軟性及び耐衝撃性を向上し得る。
【0127】
(C)成分は、脂肪族オキシカルボン酸由来の構成単位(c1)(以下、構成単位(c1)とも記す)を必須成分として含むポリエステル樹脂であれば、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(C)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。なお、(C)成分は、(A)成分とは異なるポリエステル樹脂である。
【0128】
(C)成分は、生分解性に優れる点から、構成単位(c1)を主構成単位として含むポリエステル樹脂であるのが好ましい。
【0129】
構成単位(c1)は、脂肪族オキシカルボン酸(c1’)(以下、(c1’)成分という)を用いてポリエステルを製造した際にポリエステル鎖に含まれる構成単位である。(c1’)成分は、分子内に少なくとも1個の水酸基及び少なくとも1個のカルボキシル基を有する脂肪族オキシカルボン酸であれば特に限定されず、各種公知のものを使用できる。(c1’)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。(c1’)成分は、石油から誘導されたものであっても、植物原料から誘導されたものであっても構わないが、植物原料から誘導されたものが好ましい。
【0130】
構成単位(c1)は、例えば、上述の構成単位(a4)が挙げられる。
【0131】
(c1’)成分は、例えば、上述の(a4’)成分が挙げられる。
【0132】
(C)成分における構成単位(c1)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物の生分解性及び機械的特性に優れる点から、(C)成分の全構成単位の合計100モル%に対して、通常50モル%以上であり、55モル%以上が好ましく、70~100モル%以上がより好ましい。
【0133】
(C)成分は、樹脂組成物の生分解性、機械的特性及び水蒸気バリア性に優れる点から、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン及びポリヒドロキシブチレート系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であるのが好ましく、同様の点から、ポリ乳酸及びポリヒドロキシブチレート系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であるのがより好ましく、同様の点から、ポリ乳酸がさらに好ましい。
【0134】
上記ポリ乳酸は、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。上記ポリ乳酸は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。
【0135】
上記ポリ乳酸は、例えば、D-乳酸もしくはL-乳酸の単独重合体、またはこれらの共重合体等が挙げられ、具体的には、構造単位がD-乳酸であるポリ(D-乳酸)、構造単位がL-乳酸であるポリ(L-乳酸)、さらにはL-乳酸とD-乳酸の共重合体であるポリ(DL-乳酸)が等挙げられる、また、D-乳酸とL-乳酸との共重合比の異なる複数の上記共重合体の混合樹脂も含まれる。
【0136】
また、上記ポリ乳酸は、その本質的な性質を損なわない範囲内であれば、少量の共重合成分として、乳酸以外の(c1’)成分、(a2’)成分、(a3’)成分、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の非脂肪族ジオール及び(a1’)成分からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。また、分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を使用することもできる。
【0137】
上記ポリ乳酸の市販品は、例えば、「Nature Works」(Nature Works LLC社製)、「GS-Pla」(三菱ケミカル(株)製)等が挙げられる。
【0138】
上記ポリヒドロキシブチレート系樹脂は、3-ヒドロキシブチレート由来の構成単位を必須成分として含む樹脂であれば、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。上記ポリヒドロキシブチレート系樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。
【0139】
上記ポリヒドロキシブチレート系樹脂は、3-ヒドロキシブチレートのみを繰り返し単位とするポリ(3-ヒドロキシブチレート)であってもよいし、3-ヒドロキシブチレートと他のヒドロキシアルカノエートとの共重合体であってもよい。また、上記ポリヒドロキシブチレート系樹脂は、単独重合体と1種以上の共重合体との混合物であってもよく、2種以上の共重合体の混合物であってもよい。
【0140】
上記ポリヒドロキシブチレート系樹脂における3-ヒドロキシブチレート由来の構成単位の含有量は、特に限定されないが、生分解性及び機械的特性に優れる点から、上記ポリヒドロキシブチレート系樹脂の全構成単位の合計100モル%に対して、通常50モル%以上、80モル%以上が好ましく、85モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらに好ましい。また、上記ポリヒドロキシブチレート系樹脂における3-ヒドロキシブチレート以外のヒドロキシアルカノエート由来の構成単位の含有量は、特に限定されないが、成形加工性に優れる点から、上記ポリヒドロキシブチレート系樹脂の全構成単位の合計100モル%に対して、2モル%以上が好ましく、3モル%以上がより好ましく、5モル%以上がさらに好ましく、20モル%以下が好ましく、15モル%以下がより好ましい。
【0141】
上記ポリヒドロキシブチレート系樹脂は、成形加工性に優れる点から、3-ヒドロキシブチレートと他のヒドロキシアルカノエートとの共重合体であることが好ましい。上記共重合体としては、例えば、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-5-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシオクタノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシオクタデカノエート)等が挙げられる。
【0142】
上記ポリヒドロキシブチレート系樹脂は、生分解性、機械的特性及び水蒸気バリア性に優れる点から、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)及びポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-5-ヒドロキシブチレート)からなる群より選択される少なくとも1種であるのがさらに好ましい。
【0143】
上記ポリヒドロキシブチレート系樹脂の市販品としては、カネカ社製「Aonilex(登録商標) X131N」、「Aonilex(登録商標) X131A」、「Aonilex(登録商標) 151A」、「Aonilex(登録商標) 151C」、「PHBH(登録商標) X331N」、「PHBH(登録商標) X131A」、「PHBH(登録商標) 151A」、「PHBH(登録商標) 151C」を用いることができる。
【0144】
(C)成分は1種に限らず、構成単位の種類や構成単位比、製造方法、物性等の異なる2種以上の(C)成分をブレンドして用いることができる。
【0145】
(脂肪族オキシカルボン酸系ポリエステル樹脂(C)の製造方法)
(C)成分の製造方法としては、特に限定されず、脂肪族オキシカルボン酸の直接重合(縮合重合)法、あるいは環状体の開環重合法、微生物生産法等の公知の方法で製造することができる。
【0146】
(脂肪族オキシカルボン酸系ポリエステル樹脂(C)の物性)
(C)成分の物性は特に限定されない。(C)成分の重量平均分子量は、例えば、2,500,000、2,450,000、2,400,000、2,350,000、2,300,000、2,250,000、2,200,000、2,150,000、2,100,000、2,050,000、2,000,000、1,950,000、1,900,000、1,850,000、1,800,000、1,750,000、1,700,000、1,650,000、1,600,000、1,550,000、1,500,000、1,450,000、1,400,000、1,350,000、1,300,000、1,250,000、1,200,000、1,150,000、1,100,000、1,050,000、1,000,000、950,000、900,000、850,000、800,000、750,000、700,000、650,000、600,000、550,000、500,000、450,000、400,000、350,000、300,000、250,000、200,000、150,000、100,000、90,000、80,000、70,000、60,000、50,000等が挙げられる。(C)成分の重量平均分子量は、樹脂組成物の機械的特性に優れる点から、好ましくは50,000~2,500,000程度、より好ましくは100,000~2,000,000程度、さらに好ましくは100,000~1,000,000程度である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値である。
【0147】
上記ポリ乳酸の重量平均分子量は、例えば、500,000、450,000、400,000、350,000、300,000、250,000、200,000、150,000、100,000、90,000、80,000、70,000、60,000、50,000等が挙げられる。上記ポリ乳酸の重量平均分子量は、樹脂組成物の機械的特性に優れる点から、好ましくは50,000~500,000程度、より好ましくは100,000~300,000程度、さらに好ましくは100,000~200,000程度である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値である。
【0148】
上記ポリヒドロキシブチレート系樹脂の重量平均分子量は、例えば、2,500,000、2,450,000、2,400,000、2,350,000、2,300,000、2,250,000、2,200,000、2,150,000、2,100,000、2,050,000、2,000,000、1,950,000、1,900,000、1,850,000、1,800,000、1,750,000、1,700,000、1,650,000、1,600,000、1,550,000、1,500,000、1,450,000、1,400,000、1,350,000、1,300,000、1,250,000、1,200,000、1,150,000、1,100,000、1,050,000、1,000,000、950,000、900,000、850,000、800,000、750,000、700,000、650,000、600,000、550,000、500,000、450,000、400,000、350,000、300,000、250,000、200,000等が挙げられる。上記ポリヒドロキシブチレート系樹脂の重量平均分子量は、樹脂組成物の機械的特性に優れる点から、好ましくは200,000~2,500,000程度、より好ましくは250,000~2,000,000程度、さらに好ましくは300,000~1,000,000程度である。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値である。
【0149】
(フィラー)
上記樹脂組成物は、更にフィラーを含んでもよい。フィラーは、特に限定されず、各種公知のものを使用できる。フィラーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。
【0150】
上記フィラーの形状は、例えば、球状、針状、繊維状、板状等が挙げられる。
【0151】
上記フィラーは、例えば、繊維、結晶質シリカ、溶融シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ砂、タルク、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、セリサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、二硫化モリブデン、ワラステナイト、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属酸化物(アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン等)、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、カーボンナノチューブ等が挙げられる。なお、金属粉、金属フレーク、金属リボンを構成する金属の具体例としては、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示できる。
【0152】
上記繊維は、特に限定されず各種公知のものを使用できる。上記繊維は、例えば、炭素繊維;ガラス繊維;アルミナ繊維;ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール変性繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)繊維、フッ素樹脂系繊維、ポリベンゾイミダゾール繊維、アクリル繊維、フェノール繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、セルロース(ナノ)繊維、液晶ポリマー(液晶ポリエステル、液晶ポリエステルアミド)繊維、ポリエーテルケトン繊維、ポリエーテルスルホン繊維、ポリフェニレンエーテル繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維等の有機繊維;鉄、金、銀、銅、アルミニウム、黄銅、ステンレスなどの金属からなる金属繊維等が挙げられる。上記繊維は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0153】
上記繊維は、ガラス繊維、炭素繊維及び有機繊維からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0154】
(添加剤)
上記樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、例えば、難燃剤、導電付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、着色剤、染料、発泡剤、制泡剤、カップリング剤、無機顔料、有機顔料、光安定剤等が挙げられる。
【0155】
(各成分の含有量)
上記樹脂組成物に(C)成分が含まれない場合、上記樹脂組成物における(B)成分の含有量は、特に限定されない。上記樹脂組成物における(B)成分の含有量は、例えば、(A)成分100質量部に対して、20質量部、19質量部、18質量部、17質量部、16質量部、15質量部、14質量部、13質量部、12質量部、11質量部、10質量部、9質量部、8質量部、7質量部、6質量部、5質量部、4質量部、3質量部、2質量部、1質量部、0.9質量部、0.8質量部、0.7質量部、0.6質量部、0.5質量部、0.4質量部、0.3質量部、0.2質量部、0.1質量部等が挙げられる。上記樹脂組成物における(B)成分の含有量は、樹脂組成物の水蒸気バリア性に優れる点から、(A)成分100質量部に対して、0.1質量部以上であるのが好ましく、樹脂組成物の機械的特性に優れる点から、(A)成分100質量部に対して、20質量部以下であるのが好ましい。上記樹脂組成物における(B)成分の含有量は、樹脂組成物の水蒸気バリア性及び機械的特性に優れる点から、(A)成分100質量部に対して、0.1~20質量部であるのが好ましく、同様の点から、0.1~10質量部であるのがより好ましく、同様の点から、1~10質量部であるのがさらに好ましく、同様の点から、1~5質量部であるのが特に好ましい。
【0156】
上記樹脂組成物に(C)成分が含まれる場合、上記樹脂組成物における(B)成分の含有量は、特に限定されない。上記樹脂組成物における(B)成分の含有量は、例えば、(A)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、20質量部、19質量部、18質量部、17質量部、16質量部、15質量部、14質量部、13質量部、12質量部、11質量部、10質量部、9質量部、8質量部、7質量部、6質量部、5質量部、4質量部、3質量部、2質量部、1質量部、0.9質量部、0.8質量部、0.7質量部、0.6質量部、0.5質量部、0.4質量部、0.3質量部、0.2質量部、0.1質量部等が挙げられる。上記樹脂組成物における(B)成分の含有量は、樹脂組成物の水蒸気バリア性に優れる点から、(A)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、0.1質量部以上であるのが好ましく、樹脂組成物の機械的特性に優れる点から、(A)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、20質量部以下であるのが好ましい。上記樹脂組成物における(B)成分の含有量は、樹脂組成物の水蒸気バリア性及び機械的特性に優れる点から、(A)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、0.1~20質量部であるのが好ましく、同様の点から、0.1~10質量部であるのがより好ましく、同様の点から、1~10質量部であるのがさらに好ましく、同様の点から、1~5質量部であるのが特に好ましい。
【0157】
上記樹脂組成物に(C)成分が含まれる場合、上記樹脂組成物における(C)成分の含有量は、特に限定されない。上記樹脂組成物における(C)成分の含有量は、例えば、(A)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、95質量部、90質量部、85質量部、80質量部、75質量部、70質量部、65質量部、60質量部、55質量部、50質量部、45質量部、40質量部、35質量部、30質量部、25質量部、20質量部、15質量部、10質量部、9質量部、8質量部、7質量部、6質量部、5質量部、4質量部、3質量部、2質量部、1質量部等が挙げられる。上記樹脂組成物における(C)成分の含有量は、樹脂組成物の引張強度及び耐熱性に優れる点から、(A)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以上であるのがより好ましく、10質量部以上であるのがさらに好ましく、20質量部以上であるのが特に好ましい。上記樹脂組成物における(C)成分の含有量は、樹脂組成物の柔軟性及び耐衝撃性に優れる点から、(A)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、95質量部以下であるのが好ましく、75質量部以下であるのがより好ましく、50質量部以下であるのがさらに好ましく、30質量部以下であるのが特に好ましい。上記樹脂組成物における(C)成分の含有量は、樹脂組成物の機械的特性に優れる点から、(A)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、1~95質量部であるのが好ましく、同様の点から、5~75質量部であるのがより好ましく、同様の点から、10~50質量部であるのがさらに好ましく、同様の点から、10~30量部であるのが特に好ましい。
【0158】
上記樹脂組成物に上記フィラーが含まれ、(C)成分が含まれない場合、上記樹脂組成物におけるフィラーの含有量は、特に限定されない。上記樹脂組成物におけるフィラーの含有量は、例えば、(A)成分100質量部に対して、60質量部、55質量部、50質量部、45質量部、40質量部、35質量部、30質量部、25質量部、20質量部、15質量部、10質量部、5質量部、1質量部、0質量部等が挙げられる。上記樹脂組成物におけるフィラーの含有量は、(A)成分100質量部に対して、60質量部以下であるのが好ましく、50質量部以下であるのがより好ましい。
【0159】
上記樹脂組成物に上記フィラー及び(C)成分が含まれる場合、上記樹脂組成物におけるフィラーの含有量は、特に限定されない。上記樹脂組成物におけるフィラーの含有量は、例えば、(A)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、60質量部、55質量部、50質量部、45質量部、40質量部、35質量部、30質量部、25質量部、20質量部、15質量部、10質量部、5質量部、1質量部、0質量部等が挙げられる。上記樹脂組成物におけるフィラーの含有量は、(A)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、60質量部以下であるのが好ましく、50質量部以下であるのがより好ましい。
【0160】
上記樹脂組成物における上記添加剤の含有量は、特に限定されない。上記樹脂組成物における上記添加剤の含有量は、例えば、上記樹脂組成物100質量部に対して、100質量部、95質量部、90質量部、85質量部、80質量部、75質量部、70質量部、65質量部、60質量部、55質量部、50質量部、45質量部、40質量部、35質量部、30質量部、25質量部、20質量部、15質量部、10質量部、5質量部、1質量部、0.5質量部、0.1質量部、0.05質量部、0.01質量部、0.005質量部、0.001質量部等が挙げられる。上記樹脂組成物における上記添加剤の含有量は、上記樹脂組成物100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、0.005質量部以上がより好ましく、0.01質量部以上がさらに好ましい。また、上記樹脂組成物における上記添加剤の含有量は、上記樹脂組成物100質量部に対して、100質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましい。
【0161】
(樹脂組成物の製造方法)
上記樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、各種公知の方法を採用できる。上記樹脂組成物の製造方法は、例えば、(A)成分及び(B)成分、並びに必要に応じて(C)成分、上記フィラー及び上記添加剤を、タンブラーミキサーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。当該溶融混練の温度は、特に制限されないが、通常120~200℃の範囲である。
【0162】
[成形体]
本発明の成形体は、各種公知の成形法により、上記樹脂組成物を成形して得られる。成形体の形状としては、特に制限はなく、成形体の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状のもの等が挙げられる。
【0163】
上記成形体を成形する方法としては、特に制限されず、従来公知の成形法を採用できる。具体的には、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、延伸フィルム成形、インフレーション成形、異形押出法、トランスファー成形法、中空成形法、ガスアシスト中空成形法、ブロー成形法、押出ブロー成形、IMC(インモールドコ-ティング成形)成形法、プレス成形法、回転成形法、多層成形法、2色成形法、インサート成形法、サンドイッチ成形法、発泡成形法、加圧成形法等が挙げられる。射出成形機としては、超高速射出成形機、射出圧縮成形機等の公知の射出成形機等が挙げられる。
【0164】
上記成形体は、各種食品、薬品、雑貨等の液状物や粉粒物、固形物を包装するための包装用資材、農業用資材、建築資材等幅広い用途において好適に用いられる。その具体的用途としては、射出成形品(例えば、生鮮食品のトレー、ファーストフードの容器、コーヒーカプセルの容器、カトラリー、野外レジャー製品等)、押出成形品(例えば、フィルム、シート、釣り糸、漁網、植生ネット、2次加工用シート、保水シート等)、中空成形品(ボトル等)等が挙げられる。更に、その他農業用のフィルム(農業用マルチフィルム)、コーティング資材、肥料用コーティング材、育苗ポット、ラミネートフィルム、板、延伸シート、モノフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、ショッピングバッグ、ゴミ袋、コンポスト袋、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、ロープ、結束材、衛生用カバーストック材、保冷箱、クッション材フィルム、マルチフィラメント、合成紙、医療用として手術糸、縫合糸、人工骨、人工皮膚、マイクロカプセル等のDDS、創傷被覆材等が挙げられる。
【0165】
更に、トナーバインダー、熱転写用インキバインダー等の情報電子材料、電気製品筐体、インパネ、シート、ピラー等の自動車内装部品、バンパー、フロントグリル、ホイールカバー等の自動車外装構造材料等の自動車部品等に使用できる。中でも、より好ましくは、包装用資材、例えば、包装用フィルム、袋、トレー、ボトル、緩衝用発泡体、魚箱等、及び、農業用資材、例えば、マルチングフィルム、トンネルフィルム、ハウスフィルム、日覆い、防草シート、畦シート、発芽シート、植生マット、育苗床、植木鉢等が挙げられる。本発明の成形体は、機械的特性、生分解性等に優れたものであり、このうちフィルムの用途に用いられることが特に好ましい。
【0166】
[生分解性樹脂用の改質剤]
本発明の生分解性樹脂用の改質剤(以下、単に改質剤ともいう)は、上述の(B)成分を含むものである。(B)成分は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。
【0167】
上記改質剤は、生分解性樹脂に用いることにより、生分解性樹脂における水蒸気バリア性を向上し得る。言い換えれば、上記改質剤は、生分解性樹脂に水蒸気バリア性を付与するように機能(水蒸気バリア性付与剤)する。
【0168】
上記改質剤における(B)成分の物性は特に限定されない。上記改質剤における(B)成分の重量平均分子量、水酸基価、酸価、軟化点及び色調は、例えば、上述した範囲が挙げられる。
【0169】
(添加剤)
上記改質剤は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて各種公知の添加剤を含み得る。添加剤は、例えば、脱水剤、耐候剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等が挙げられる。上記添加剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用して用いる事が出来る。上記添加剤の含有量は、特に限定されないが、(B)成分100質量部に対して、0.5~10質量部であることが好ましい。
【0170】
(生分解性樹脂用の改質剤の使用)
上記改質剤は、各種公知の生分解性樹脂に対して用いることができる。生分解性樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。
【0171】
上記改質剤が用いられる生分解性樹脂としては、生分解性樹脂の水蒸気バリア性を向上させる点から、上述の(A)成分及び上述の(C)成分からなる群より選択される少なくとも1種を含むものが好ましい。
【0172】
上記生分解性樹脂が(A)成分及び(C)成分を含む場合、そのような生分解性樹脂に従来の添加剤を添加すると、生分解性樹脂の柔軟性、引張強度及び耐衝撃性等の機械的特性を低下させてしまうことがあったが、上記改質剤をそのような生分解性樹脂に使用すると、生分解性樹脂における引張強度の低下を抑制しつつ、その柔軟性及び耐衝撃性を向上し得る。
【0173】
上記生分解性樹脂が(A)成分及び(C)成分を含む場合、(A)成分は、生分解性樹脂の生分解性及び機械的特性に優れる点から、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペート及びポリブチレンサクシネートからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、(C)成分は、生分解性樹脂の生分解性及び機械的特性に優れる点から、ポリ乳酸及びポリヒドロキシブチレート系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0174】
上記改質剤の使用量は、特に限定されない。上記改質剤の使用量は、例えば、生分解性樹脂100質量部に対して、20質量部、19質量部、18質量部、17質量部、16質量部、15質量部、14質量部、13質量部、12質量部、11質量部、10質量部、9質量部、8質量部、7質量部、6質量部、5質量部、4質量部、3質量部、2質量部、1質量部、0.9質量部、0.8質量部、0.7質量部、0.6質量部、0.5質量部、0.4質量部、0.3質量部、0.2質量部、0.1質量部等が挙げられる。上記改質剤の使用量は、生分解性樹脂の水蒸気バリア性を向上させる点から、生分解性樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上であるのが好ましく、生分解性樹脂の機械的特性が優れる点から、生分解性樹脂100質量部に対して、20質量部以下であるのが好ましい。上記改質剤の使用量は、生分解性樹脂の水蒸気バリア性及び機械的特性が優れる点から、生分解性樹脂100質量部に対して、0.1~20質量部であるのが好ましく、同様の点から、0.1~10質量部であるのがより好ましく、同様の点から、1~10質量部であるのがさらに好ましく、同様の点から、1~5質量部であるのが特に好ましい。
【0175】
[ロジンポリオール(B)の生分解性樹脂用の改質剤としての使用]
(B)成分は、生分解性樹脂に用いる改質剤として使用することができる。(B)成分を生分解性樹脂に使用すると、生分解性樹脂における水蒸気バリア性を向上し得る。言い換えれば、(B)成分は、生分解性樹脂に水蒸気バリア性を付与するように機能(水蒸気バリア性付与剤)する。
【0176】
上記生分解性樹脂は、特に限定されず、各種公知のものを用いることができる。生分解性樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせても良い。
【0177】
(B)成分は、生分解性樹脂の水蒸気バリア性を向上させる点から、上述の(A)成分及び上述の(C)成分からなる群より選択される少なくとも1種を含む生分解性樹脂に用いる改質剤として、使用されるのが好ましい。
【0178】
また、上記生分解性樹脂が(A)成分及び(C)成分を含む場合、そのような生分解性樹脂に従来の添加剤を添加すると、生分解性樹脂の柔軟性、引張強度及び耐衝撃性等の機械的特性を低下させてしまうことがあったが、(B)成分をそのような生分解性樹脂の改質剤として使用すると、生分解性樹脂における引張強度の低下を抑制しつつ、その柔軟性及び耐衝撃性を向上し得る。
【0179】
上記生分解性樹脂が(A)成分及び(C)成分を含む場合、(A)成分は、生分解性樹脂の生分解性及び機械的特性に優れる点から、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペート及びポリブチレンサクシネートからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、(C)成分は、生分解性樹脂の生分解性及び機械的特性に優れる点から、ポリ乳酸及びポリヒドロキシブチレート系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0180】
生分解性樹脂に用いる改質剤としての(B)成分の使用量は、特に限定されない。(B)成分の使用量は、例えば、生分解性樹脂100質量部に対して、20質量部、19質量部、18質量部、17質量部、16質量部、15質量部、14質量部、13質量部、12質量部、11質量部、10質量部、9質量部、8質量部、7質量部、6質量部、5質量部、4質量部、3質量部、2質量部、1質量部、0.9質量部、0.8質量部、0.7質量部、0.6質量部、0.5質量部、0.4質量部、0.3質量部、0.2質量部、0.1質量部等が挙げられる。(B)成分の使用量は、生分解性樹脂の水蒸気バリア性を向上させる点から、生分解性樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上であるのが好ましく、生分解性樹脂の機械的特性が優れる点から、生分解性樹脂100質量部に対して、20質量部以下であるのが好ましい。(B)成分の使用量は、生分解性樹脂の水蒸気バリア性及び機械的特性が優れる点から、生分解性樹脂100質量部に対して、0.1~20質量部であるのが好ましく、同様の点から、0.1~10質量部であるのがより好ましく、同様の点から、1~10質量部であるのがさらに好ましく、同様の点から、1~5質量部であるのが特に好ましい。
【実施例0181】
以下、本発明の実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実
施例に限定されるものではない。なお、例中の「部」および「%」とあるのは、それぞれ
「質量部」および「質量%」を表す。
【0182】
<ロジンポリオール(B)の製造>
製造例1
攪拌装置、冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に、不均化ロジン200部を仕込み、窒素気流下で加熱し完全に溶融させた後、ビスフェノールA型高分子エポキシ樹脂(エポキシ当量180)109部を撹拌しながら投入し、140℃にて2-メチルイミダゾール0.06部を添加し、150℃にて5時間反応させることにより、水酸基価125mgKOH/g、酸価0.2mgKOH/g、重量平均分子量1,100のロジンポリオール(B1)(以下、(B1)成分とする)を得た。
【0183】
比較製造例1
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素導入管および減圧装置を備えた反応装置に、酸価172.0mgKOH/g、軟化点74℃、色調ガードナー6の中国産ガムロジンを窒素シール下に5mmHgの減圧下で蒸留し、酸価175.0mgKOH/g、色調ガードナー4の一般恒数を有する主留を精製ロジンとした。
【0184】
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素導入管および減圧装置を備えた反応装置に、上記精製ロジン600gを仕込み、窒素シール下に185℃に昇温し、溶融撹拌下に200℃でグリセリン70gおよび不均化触媒として5%パラジウムカーボン(含水率50%)0.2gを加えたのち280℃まで昇温し、同温度で11時間不均化およびエステル化反応を同時に行ない、酸価2.9mgKOH/g、色調ガードナー4の反応生成物をえた。
【0185】
上記反応生成物200gと5%パラジウムカーボン(含水率50%)1.2gを1リットル振とう式オートクレーブに仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を水素にて0.5Kg/cm2 に加圧し280℃まで昇温し、同温度で4時間脱水素化反応を行ない、不均化ロジンエステル(B1’)(以下、(B1’)成分とする)を得た。
【0186】
比較製造例2
中国産ガムロジン(酸価170mgKOH/g、軟化点74℃、色調6ガードナー)1000部とキシレン500部をコルベンに入れ、加熱溶解させた後キシレンを350部程度留去し、次いでシクロヘキサン350部を入れ、室温まで冷却した。冷却により結晶約100部が生じたところで上澄み液を別のコルベンに移し、さらに室温で再結晶させた後、上澄み液は取り除き、シクロヘキサン100部で洗浄後、溶媒を留去し、精製ロジン700部を得た。
【0187】
次に、反応容器に上記精製ロジン660部とアクリル酸100部を仕込み、窒素気流下に攪拌しながら220℃で4時間反応を行い、ついで減圧下に未反応物を除去することにより付加反応生成物720部を得た。さらに、得られた付加反応生成物500部と5%パラジウムカーボン(含水率50%)5.0部を1リットル回転式オートクレーブに仕込み、系内の酸素を除去した後、系内を水素にて10MPaに加圧し220℃まで昇温し、同温度で3時間水素化反応を行い、アクリル酸変性ロジンの水素化物(B2’)(以下、(B2’)成分を得た。
【0188】
[樹脂組成物の調製]
実施例1
ローラミキサ型混練装置((株)東洋精機製作所製、装置名「ラボプラストミル モデル 10C100」)に、ポリブチレンサクシネート(商品名「BioPBS FD92PM」、三菱ケミカル(株)製)(以下、PBSとする)を100部、及び(B1)成分を5部投入し、ローラ回転数40rpm、温度180℃で10分間混練した。その後、得られた樹脂組成物を当該混練装置から取り出し、170℃で熱プレスして、厚さ0.2mmのシート状に成形し、シート状成型物を得た。
【0189】
比較例1
ローラミキサ型混練装置((株)東洋精機製作所製、装置名「ラボプラストミル モデル 10C100」)に、PBSを100部投入し、ローラ回転数40rpm、温度180℃10分間混練した。その後、得られた樹脂組成物を当該混練装置から取り出し、170℃で熱プレスして、厚さ0.2mmのシート状に成形し、シート状成型物を得た。
【0190】
比較例2
実施例1において、(B1)成分の代わりに、(B1’)成分を5部使用した以外は、実施例1と同様に調製を行い、シート状成型物を得た。
【0191】
比較例3
実施例1において、(B1)成分の代わりに、(B2’)成分を5部使用した以外は、実施例1と同様に調製を行い、シート状成型物を得た。
【0192】
実施例2
ローラミキサ型混練装置((株)東洋精機製作所製、装置名「ラボプラストミル モデル 10C100」)に、PBSを80部、ポリ乳酸(商品名「テラマックTE2000」、ユニチカ(株)製)(以下、PLAとする)を20部、及び(B1)成分を5部投入し、ローラ回転数40rpm、温度180℃10分間混練した。その後、得られた樹脂組成物を当該混練装置から取り出し、170℃で熱プレスして、厚さ0.2mmのシート状に成形し、シート状成型物を得た。
【0193】
比較例4
ローラミキサ型混練装置((株)東洋精機製作所製、装置名「ラボプラストミル モデル 10C100」)に、PBSを80部及びPLAを20部投入し、ローラ回転数40rpm、温度180℃10分間混練した。その後、得られた樹脂組成物を当該混練装置から取り出し、170℃で熱プレスして、厚さ0.2mmのシート状に成形し、シート状成型物を得た。
【0194】
比較例5
実施例2において、(B1)成分の代わりに、(B2’)成分を5部使用した以外は、実施例2と同様に調製を行い、シート状成型物を得た。
【0195】
(重量平均分子量(Mw)の測定)
(B1)成分の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレンの検量線から求めた、ポリスチレン換算値として算出した。なお、GPC法は以下の条件で測定した。
分析装置:HLC-8320(東ソー(株)製)
カラム:TSKgelSuperHM-L×3本
溶離液:テトラヒドロフラン
注入試料濃度:5mg/mL
流量:0.6mL/min
注入量:40μL
カラム温度:40℃
検出器:RI
【0196】
(水酸基価及び酸価の測定)
(B1)成分の酸価はJIS K 0070により測定した。
【0197】
(軟化点の測定)
(B1)成分の軟化点はJIS K 5902により測定した。
【0198】
(透湿度の評価)
実施例1~2及び比較例1~5のシート状成型物の透湿度を、JIS Z 0208の透湿度試験法(カップ法)に準じて測定した。温度25℃、湿度90%の雰囲気中、円状のシート状成形物(直径70mm、厚み0.2mm)の面積1mあたりの24時間に通過する水蒸気のグラム数(g/m・day)を測定した。結果を表1、2に示す。透湿度が低い程、水蒸気バリア性に優れる。
【0199】
(引張強度の評価)
実施例1~2及び比較例1~5の樹脂組成物をハンドトゥルーダ―((株)東洋精機製作所製)を使用して樹脂溶融温度が190℃、金型温度が40℃で射出成形してダンベル試験片(長さ80mm×幅5mm×厚み2mm)を作成した。作成したダンベル試験片をJIS K7161に準拠した方法で、テンシロン万能試験機(製品名「RTG-1250」、(株)エー・アンド・デイ製)を用いて、チャック間隔25mm、試験速度50mm/min、温度23℃、50%RH環境下で引張強度(MPa)を測定した。結果を表2に示す。
【0200】
(引張伸びの評価)
実施例1~2及び比較例1~5の樹脂組成物をハンドトゥルーダ―((株)東洋精機製作所製)を使用して樹脂溶融温度が190℃、金型温度が40℃で射出成形してダンベル試験片(長さ80mm×幅5mm×厚み2mm)を作成した。作成したダンベル試験片をJIS K7161に準拠した方法で、テンシロン万能試験機(製品名「RTG-1250」、(株)エー・アンド・デイ製)を用いて、チャック間隔25mm、試験速度50mm/min、温度23℃、50%RH環境下で測定し、下記式から引張伸び(%)を算出した。結果を表2に示す。
引張伸び(%)=100×((L-Lo)/Lo)
Lo:引張る前の試料の長さ
L:クラックが見られ始めたときの試料の長さ
【0201】
(耐衝撃性の評価)
実施例1~2及び比較例1~5の樹脂組成物をハンドトゥルーダ―((株)東洋精機製作所製)を使用して樹脂溶融温度が190℃、金型温度が40℃で射出成形してノッチ付きの短冊(幅10mm×厚4mm×長さ80mm)を成形した。当該試験片を用いて、JIS K7111-1に準拠して、23℃50%RH環境下でのシャルピー衝撃試験を実施し、衝撃強度(kJ/m)を測定した。結果を表2に示す。
【0202】
【表1】
【0203】
【表2】
【0204】
表1~2の配合量は、質量部の値である。表1~2中の略語は、以下の通りである。
(化合物の略語及び詳細)
PBS:ポリブチレンサクシネート、商品名「BioPBS FD92PM」、三菱ケミカル(株)製
PLA:ポリ乳酸、商品名「テラマックTE2000」、ユニチカ(株)製