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  • 特開-加熱処理用包装体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130441
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】加熱処理用包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040151
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】000106151
【氏名又は名称】株式会社サンエー化研
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】八木 周和
(72)【発明者】
【氏名】殿柿 智也
【テーマコード(参考)】
3E013
【Fターム(参考)】
3E013BA08
3E013BB13
3E013BC04
3E013BC14
3E013BD11
3E013BE01
3E013BF03
3E013BF26
(57)【要約】
【課題】容易に製袋することができ、自立した状態で内容物を加熱することが可能な加熱処理用包装体を提供する。
【解決手段】本発明に係る加熱処理用包装体は、自立させて内容物を加熱処理するための包装体であって、包装体フィルムで構成され、自立可能な袋体と、前記内容物を前記袋体の内部に投入して密封するチャックシール部とを有し、前記チャックシール部は、前記袋体の内側に接合された雄チャック及び雌チャックを有し、前記雄チャック及び前記雌チャックの一方は、前記袋体と接触する接触面において、前記袋体外部側に前記袋体と接合している第一領域と、前記袋体の内部側の端部から前記袋体外部に向かって、前記袋体と接合していない第二領域とを有し、前記第一領域は、前記内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに容易に剥離する易剥離シール部を有する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自立させて内容物を加熱処理するための包装体であって、
包装体フィルムで構成され、自立可能な袋体と、
前記内容物を前記袋体の内部に投入して密封するチャックシール部と
を有し、
前記チャックシール部は、前記袋体の内側に接合された雄チャック及び雌チャックを有し、
前記雄チャック及び前記雌チャックの一方は、前記袋体と接触する接触面において、前記袋体外部側に前記袋体と接合している第一領域と、前記袋体の内部側の端部から前記袋体外部に向かって、前記袋体と接合していない第二領域とを有し、
前記第一領域は、前記内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに容易に剥離する易剥離シール部を有する
加熱処理用包装体。
【請求項2】
前記易剥離シール部は、前記第一領域の中央に設けられている
請求項1に記載の加熱処理用包装体。
【請求項3】
前記易剥離シール部の幅Wは、5~100mmである
請求項1に記載の加熱処理用包装体。
【請求項4】
前記易剥離シール部の90℃雰囲気下でのヒートシール強度は、12N/15mm以下である
請求項1に記載の加熱処理用包装体。
【請求項5】
前記雄チャック及び前記雌チャックの前記袋体と接触するそれぞれの接触面の大きさは、前記第二領域が設けられた前記接触面の方が前記袋体内部側に向かって長い部分を有する
請求項1に記載の加熱処理用包装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を加熱処理する包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調理済又は半調理済等の食品が耐熱性のプラスチック包装体に充填され、それを食する直前に電子レンジにより加熱調理する包装食品が市場に提供されている。しかし、このような包装食品を電子レンジにより加熱すると、包装体の内部の水蒸気や内部空気の熱膨張によって内部圧力が上昇し、包装体が破裂して内容物が飛散したり、電子レンジ内を汚染したりする欠点があった。
【0003】
電子レンジ調理の前に、あらかじめ包装体に小孔を開けて内部圧力の上昇を抑えることで、包装体の破裂を防止する方法が採られている。しかし、この方法では、発生した水蒸気が直ちに包装体の外へ放出されてしまい、水蒸気による蒸し調理効果が低減してしまうばかりか、包装体内部の食品の乾燥が進行して食味の劣化をきたすこともある。そこで、包装体の内部圧力が上昇した際に通蒸して圧力を逃がすイージーピール部を形成した包装体が知られている。
【0004】
特許文献1には、内容物を加熱処理するための包装体であって、前記包装体上から外側に向かって突出するように形成された合掌シール部を有し、前記合掌シール部の中央には、前記内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに通蒸する通蒸領域が形成されており、前記通蒸領域は、前記合掌シール部の包装体外部側に開口した第一非シール部を有し、前記第一非シール部は、前記合掌シール部の包装体内部側に向かって開口幅が一定の第一領域と、前記第一領域と連続して形成され、前記包装体内部側に向かって開口幅が漸減する第二領域とを有し、前記第一領域の前記開口幅が、20~40mmである加熱処理用包装体が記載されている(特許文献1参照)。この加熱処理用包装体の一辺にはチャックシール部が設けられており、消費者がチャックシール部から食材等の内容物を投入して密封することができるとされている。
また、近年、自立させた状態で内容物を加熱処理可能な加熱処理用包装体の開発も行われている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-104813号公報
【特許文献2】特開2019-177905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、合掌シール部を備え、かつ、自立性を持たせた加熱処理用包装体では、底材や合掌部分等のフィルムパーツが多く、さらにチャックシール部を設けようとした場合には、パーツが多くなりすぎて、製袋が複雑になり、生産性が低下する恐れがある。また、合掌シール部とチャックシール部が近接しすぎると、製袋機械設備が干渉し合うため、製袋が困難となる。
【0007】
そこで、本発明は、容易に製袋することができ、自立した状態で内容物を加熱することが可能な加熱処理用包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る加熱処理用包装体は、自立させて内容物を加熱処理するための包装体であって、
包装体フィルムで構成され、自立可能な袋体と、
前記内容物を前記袋体の内部に投入して密封するチャックシール部と
を有し、
前記チャックシール部は、前記袋体の内側に接合された雄チャック及び雌チャックを有し、
前記雄チャック及び前記雌チャックの一方は、前記袋体と接触する接触面において、前記袋体外部側に前記袋体と接合している第一領域と、前記袋体の内部側の端部から前記袋体外部に向かって、前記袋体と接合していない第二領域とを有し、
前記第一領域は、前記内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに容易に剥離する易剥離シール部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容易に製袋することができ、自立した状態で内容物を加熱することが可能な加熱処理用包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る加熱処理用包装体の一実施形態における構成を示す模式的斜視図である。
図2図1に示した加熱処理用包装体の易剥離シール部が設けられた側から見た平面図である。
図3図1に示した加熱処理用包装体の易剥離シール部が設けられた側とは反対から見た平面図である。
図4図1に示した加熱処理用包装体のチャックシール部のX-Xにおける模式的断面図である。
図5図1に示した加熱処理用包装体が膨張した際のチャックシール部の状態を示す模式図である。
図6】比較例で用いる加熱処理用包装体の雌チャックが設けられた側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る加熱処理用包装体の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。本発明に係る加熱処理用包装体は、自立した状態で電子レンジにより内容物を加熱処理する際に用いるのに好適であり、また食材を加熱処理する際に用いるのに好適である。図1は、本発明に係る加熱処理用包装体の一実施形態における構成を示す模式的斜視図、図2は、図1に示した加熱処理用包装体の易剥離シール部が設けられた側から見た平面図、図3は、図1に示した加熱処理用包装体の易剥離シール部が設けられた側とは反対から見た平面図、図4は、図1に示した加熱処理用包装体のチャックシール部のX-Xにおける模式的断面図、図5は、図1に示した加熱処理用包装体が膨張した際のチャックシール部の状態を示す模式図である。
【0012】
加熱処理用包装体1は、図1~3に示すように、袋体2と、チャックシール部10とを有している。
袋体2は、自立性を有しており、内部に所定の内容物3が収納された状態で自立させることができる。袋体2は、包装体フィルムで構成されている。包装体フィルムは、図1に示すように、第1のフィルム21と、第1のフィルム21と対向して設けられた第2のフィルム22と、自立させた際に底部となる第3のフィルム23とで構成されている。第1のフィルム21と第2のフィルム22、第1のフィルム21と第3のフィルム23、第2のフィルム22と第3のフィルム23は、それぞれの周縁部の一部同士が接合(シール)されており、これにより、袋体2は袋状をなしている。なお、袋体2は、自立性を有していればよく、本実施形態の構成に限定されない。
【0013】
上記包装体フィルムで構成される袋体2としては、電子レンジにより加熱処理がなされることを考慮すると、電子レンジの加熱に対する耐熱性を有するプラスチック素材で形成されていることが好ましい。そのようなプラスチック素材の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン化ポリオレフィン;ポリビニルアルコール;ナイロン6、ナイロン6,6、ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等のポリアクリル酸エステル;及びこれらを形成するモノマーの共重合体などが挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、メタクリル又はアクリルを意味する。
【0014】
ポリエチレンの具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン系ポリエチレンなどが挙げられる。ポリプロピレンの具体例としては、プロピレンのホモポリマー、プロピレンとエチレンや1-ブテンとのランダム又はブロックコポリマーなどが挙げられる。
【0015】
第1のフィルム21、第2のフィルム22及び第3のフィルム23は、単層でもよいが、共押出しなどにより2層以上に積層されていてもよい。例えば、第1のフィルム21、第2のフィルム22及び第3のフィルム23は、基材層とシーラント層からなることが好ましく、さらに基材層とシーラント層の間に他の層を有していてもよい。具体的には、第1のフィルム21、第2のフィルム22及び第3のフィルム23として、基材層となるポリアミドフィルムと、シーラント層となるポリプロピレン系イージーオープンフィルムとを貼り合わせた積層フィルムを用いることができる。また、第1のフィルム21、第2のフィルム22及び第3のフィルム23は、酸化アルミニウムや酸化ケイ素のような無機酸化薄膜が付与されたガスバリアー性の複合フィルムでもよい。この複合フィルムは、酸化アルミニウムや酸化ケイ素の単体又は混合物を真空下で加熱気化させ、上記のフィルムの表面に蒸着することで得ることができる。
【0016】
第1のフィルム21、第2のフィルム22と第3のフィルム23のそれぞれの接合部24は、常温及び90℃雰囲気下において完全シールでもよいが、チャックシール部10及び後述する易剥離シール部18よりも強いシール強度であれば、易開封性を有していてもよい。当該接合部24が易開封性を有する場合の常温及び90℃雰囲気下でのシール強度は、10~30N/15mmが好ましく、12~25N/15mmがより好ましい。なお、常温及び90℃雰囲気下でのシール強度とは、JIS Z0238「密封軟包装袋の試験方法」に従い、それぞれ常温及び90℃雰囲気下で測定された値である。
【0017】
チャックシール部10は、その構成例を図4に示すように、雄チャック11及び雌チャック12を有している。雄チャック11及び雌チャック12は、それぞれ、袋体2(第2のフィルム22及び第1のフィルム21)の内側に接合されており、雄チャック11の凸部分と雌チャック12の凹部分とを嵌合させて嵌合部を形成することでシール(密閉)することができる。雄チャックと雌チャックは嵌合すれば複数あってもよい。
【0018】
本実施形態において、雄チャック11は、袋体2(第2のフィルム22)と接触する接触面13において、袋体2の内部側(図3の下側、図4の右側)と袋体2の外部側(図3の上側、図4の左側)の2箇所でヒートシールされて接合部15が形成されている。なお、接触面13全面で接合部15を形成してもよい。
【0019】
これに対して、雌チャック12は、袋体2(第1のフィルム21)と接触する接触面14において、袋体2の外部側(図2の上側、図4の左側)に袋体2と接合している第一領域16と、袋体2と接触する接触面14の袋体2の内部側(図2の下側、図4の右側)の端部から袋体2外部(図2の上方向、図4の左方向)に向かって、袋体2と接合していない第二領域(非接合領域)17とを有している。
【0020】
第一領域16は、内容物3を加熱処理して内部圧力が上昇したときに容易に剥離する易剥離シール部18と、接合部19とを有している。上述した第二領域17を有するとともに、易剥離シール部18を有することで、加熱処理により加熱処理用包装体1が膨らんだ際に、第二領域17を超えて易剥離シール部18に圧力がかかるため、易剥離シール部18が開封され、圧力を逃がすことができる。その結果、加熱処理の際に加熱処理用包装体1が破裂するのを防止することができる。また、従来の合掌シール部を有する構造と比較して、フィルムパーツの数を少なくすることができるため、自立性を有する袋体2であっても、袋体2の構成が複雑化するのを防止することができ、製袋を容易に行うことができる。なお、接合部19は、前述した接合部15と同様にヒートシールされている。
【0021】
易剥離シール部18は、90℃雰囲気下において接合部24、接合部15、接合部19やチャック嵌合部の嵌合力よりも弱いシール強度を有していることが好ましい。これにより、内容物を加熱処理して加熱処理用包装体1の内部圧力が上昇した際に、上記各接合部及びチャック嵌合部が開封する前に易剥離シール部18が剥がれ、剥がれて形成される開口部からその圧力をより確実に逃がすことができる。
【0022】
易剥離シール部18の90℃雰囲気下でのヒートシール強度は、12N/15mm以下であることが好ましく、8N/15mm以下であることがより好ましい。易剥離シール部24の90℃雰囲気下でのヒートシール強度は、0N/15mmでも構わないが、0.1N/15mm以上であることが好ましい。なお、易剥離シール部18は、常温においては完全シールでもよく、易開封性を有していてもよい。易剥離シール部18の常温でのシール強度は、0.1~30N/15mmが好ましく、0.2~25N/15mmがより好ましい。
【0023】
なお、常温では完全シール、90℃雰囲気下でのヒートシール強度が12N/15mm以下となる易剥離シール部18は、易開封性フィルムとして、ポリオレフィン(例えば、融点120℃以下(好ましくは110℃以下)のポリエチレンや融点160℃以下(好ましくは150℃以下)のポリプロピレン)を、袋体2とチャックシール部10を構成するフィルムの間に挟み込むことで実現できる。なお、融点は、JIS K 7121に基づいて測定した値である。
また、易剥離シール部18は、例えば、接合部15や接合部19をヒートシールで形成する熱量よりも低い熱量でヒートシールすることによっても形成することができる。
【0024】
なお、易剥離シール部18は、図示の構成のように、第一領域16の中央に設けられていることが好ましいが、これに限定されない。
易剥離シール部18の幅Wは、5~100mmであることが好ましく、10~80mmであることがより好ましく、15~60mmであることがさらに好ましい。
また、易剥離シール部18の図2中の上下方向の高さHは、1~7mmであることが好ましく、1~6mmであることがより好ましく、1~5mmであることがさらに好ましい。
【0025】
さらに、本実施形態では、図4及び図5に示すように、第二領域17が設けられた雌チャック12の袋体2と接触する接触面14の大きさは、雄チャック11の袋体2と接触する接触面13の大きさよりも、袋体2の内部側(図2及び図3の下側)に向かって長い構成となっている。これにより、雄チャック11と雌チャック12の嵌合部分に膨張圧(内部圧力)が集中するのをさらに効果的に防止することができる。なお、接触面13と接触面14は同じ大きさであってもよい。また、第二領域17が設けられた雌チャック12の袋体2と接触する接触面14の大きさは、雄チャック11の袋体2と接触する接触面13の大きさよりも、袋体2の内部側(図2及び図3の下側)に向かって、少なくとも一部が長い構成であればよい。
【0026】
なお、上記説明では、第一領域16、第二領域17及び易剥離シール部18が雌チャック12側に設けられている場合について説明したが、第一領域16、第二領域17及び易剥離シール部18は、雄チャック11側に設けられていてもよい。
【0027】
このような加熱処理用包装体1であれば、消費者自らがチャックシール部10から食材等の内容物を充填し、密封することができる。そして、加熱処理用包装体1を自立させた状態で電子レンジ等で密封された内容物を加熱処理することができる。さらに、チャックシール部10が易剥離シール部18を備えることで、包装体内部の水蒸気や内部空気の熱膨張による包装体内部の圧力の変動を抑制することができる。さらに、加熱処理の際に、内部圧力の上昇で易剥離シール部18が開封するので、チャックシール部10のチャック嵌合部が開封するのを効果的に防止することができる。また、チャックシール部10に易剥離シール部18を設けたことで、従来の合掌シール部を有する構造と比較して、フィルムパーツの数を少なくすることができるため、自立性を備えていても、袋体2の構成が複雑化するのを防止することができ、製袋を容易に行うことができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【実施例0028】
<実施例>
図1図4に示す構成の加熱処理用包装体1(縦170mm×横200mm×マチ36mm)を作製した。なお、用いた包装体フィルム(第1のフィルム、第2のフィルム及び第3のフィルム)の構成は、ポリエチレンテレフタレート(PET#12)/ナイロン(Ny#15)/無延伸ポリプロピレン(CPP#80)である。なお、易剥離シール部18は、接合部19を形成する熱量よりも低い熱量でヒートシールすることにより形成した(W=20mm、H=2mm)。また、図4に示すように、第1のフィルム21との接触面14の大きさは、第2のフィルム22との接触面13よりも袋体2内部側に向かって長くなっており、接触面14側には第二領域17(幅200mm)を形成した。
【0029】
<比較例>
図6に示す構成の加熱処理用包装体1’(縦170mm×横200mm×マチ36mm)を作製した。なお、用いた包装体フィルム(第1のフィルム、第2のフィルム及び第3のフィルム)の構成は、ポリエチレンテレフタレート(PET#12)/ナイロン(Ny#15)/無延伸ポリプロピレン(CPP#80)である。実施例とは異なり、雌チャック12の下側にも接合部16を設け、易剥離シール部18と対向する部分に非接合部161(幅20mm)を形成した。雄チャック11側の構成は実施例と同じである。なお、易剥離シール部18は、接合部19を形成する熱量よりも低い熱量でヒートシールすることにより形成した(W=20mm)。
【0030】
<評価>
実施例及び比較例の加熱処理用包装体を3袋ずつ用意し、各加熱処理用包装体の内部に、100gの水を投入し、電子レンジ600Wで加熱をした。
その後、通蒸状態を確認したところ、実施例の加熱処理用包装体では、3袋全てにおいて、チャック嵌合部の開口は見られず、易剥離シール部から通蒸していることが確認された。これに対して、比較例の加熱用包装体では、3袋全てにおいて、チャック嵌合部の開口が見られた。
【0031】
以上の結果から、本発明の加熱処理用包装体では、加熱処理をした場合に易剥離シール部が開封して、内部圧力を逃がしていることがわかる。
また、実施例の加熱処理用包装体は、合掌シール部を備える加熱処理用包装体よりも容易に製袋することが可能であった。
【符号の説明】
【0032】
1、1’ 加熱処理用包装体
2 袋体
3 内容物
10 チャックシール部
11 雄チャック
12 雌チャック
13 接触面
14 接触面
15 接合部
16 第一領域
17 第二領域
18 易剥離シール部
19 接合部
21 第1のフィルム
22 第2のフィルム
23 第3のフィルム
24 接合部
161 非接合部

図1
図2
図3
図4
図5
図6