(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130445
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】画像処理装置、及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
H04N 25/10 20230101AFI20240920BHJP
G06T 3/4015 20240101ALI20240920BHJP
H04N 23/12 20230101ALI20240920BHJP
【FI】
H04N25/10
G06T3/40 705
H04N23/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040171
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西谷 直輝
(72)【発明者】
【氏名】今任 祐基
【テーマコード(参考)】
5B057
5C065
【Fターム(参考)】
5B057BA02
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE03
5B057CE05
5B057CE17
5B057CE18
5B057CH07
5C065BB48
5C065CC01
5C065DD01
5C065GG13
(57)【要約】
【課題】画素値の分散を算出することなく、単板式イメージセンサに対するデモザイク処理を行う。
【解決手段】画像処理装置1は、単板式イメージセンサによって撮影された画像における第1範囲内の複数の画素から1画素分の輝度値Y及び色差値Cb、Crを算出することによって輝度画像3及び色差画像4を生成し、輝度画像3から選択した輝度画素を含む第2範囲内の複数の輝度画素の輝度値Yから、選択した輝度画素と他の輝度画素との相関を表す両端輝度相関係数Xを算出すると共に、両端輝度相関係数Xから第2範囲内の各々の輝度画素における重み付け係数Wを算出し、輝度画像3から算出された重み付け係数Wを用いて色差画像4の色差値Cb、Crを補正する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単板式イメージセンサによって撮影された画像の予め定めた大きさを有する第1範囲内の複数の画素から1画素分の輝度値及び色差値を算出する処理を、前記第1範囲の位置を変えながら実行することによって前記画像に対応した輝度画像及び色差画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部によって生成された前記輝度画像を構成する輝度画素から選択した選択輝度画素を含む予め定めた第2範囲内の複数の輝度画素の輝度値から前記第2範囲内の各々の輝度画素に対して、前記選択輝度画素と他の輝度画素との相関を表す輝度相関係数を算出すると共に、算出した前記輝度相関係数から前記第2範囲内の各々の輝度画素における重み付け係数を算出する係数算出部と、
前記係数算出部によって算出された前記第2範囲内の各々の輝度画素における前記重み付け係数と、前記第2範囲と同じ範囲に含まれる前記色差画像を構成する各々の色差画素の色差値を用いて、前記選択輝度画素の位置における前記色差画像の色差値を補正する補正部と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記係数算出部は、前記選択輝度画素に隣接する各々の輝度画素を含む範囲を前記第2範囲に設定して前記輝度相関係数及び前記重み付け係数を算出する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記輝度相関係数は0以上1以下に正規化された係数であって、0以上1以下の範囲に設定した予め定めた個数の値のうちの何れかの値を取る係数であり、
前記係数算出部は、0.5以上1以下の範囲に含まれる予め定めた閾値以下の前記輝度相関係数が対応付けられた輝度画素における前記重み付け係数を0とする
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記係数算出部は、正規化前の前記輝度相関係数が1を超える場合、前記輝度相関係数を0.5とする
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記補正部は、0を超える前記重み付け係数が対応付けられた前記第2範囲内の各々の輝度画素における前記重み付け係数と、前記第2範囲と同じ範囲に含まれる前記色差画像を構成する各々の色差画素の色差値のうち、0を超える前記重み付け係数が対応付けられた輝度画素と同じ位置にある色差画素の色差値を用いて、前記選択輝度画素の位置における前記色差画像の色差値を補正する
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記色差画像を構成する色差画素から選択した選択色差画素を含む前記第2範囲内の各々の色差画素の色差値を用いて、前記第2範囲内の各々の色差画素における色差値の平均を前記選択色差画素の色差値とする処理を、前記選択色差画素を変えながら実行することによって前記色差画像を平滑化する平滑部を更に備えた
請求項1~請求項5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
単板式イメージセンサによって撮影された画像の予め定めた大きさを有する第1範囲内の複数の画素から1画素分の輝度値及び色差値を算出する処理を、前記第1範囲の位置を変えながら実行することによって前記画像に対応した輝度画像及び色差画像を生成し、
生成された前記輝度画像を構成する輝度画素から選択した選択輝度画素を含む予め定めた第2範囲内の複数の輝度画素の輝度値から前記第2範囲内の各々の輝度画素に対して、前記選択輝度画素と他の輝度画素との相関を表す輝度相関係数を算出すると共に、算出した前記輝度相関係数から前記第2範囲内の各々の輝度画素における重み付け係数を算出し、
算出された前記第2範囲内の各々の輝度画素における前記重み付け係数と、前記第2範囲と同じ範囲に含まれる前記色差画像を構成する各々の色差画素の色差値を用いて、前記選択輝度画素の位置における前記色差画像の色差値を補正する処理をコンピュータが実行する
画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デモザイク処理を行う画像処理装置、及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、RGBの各色成分に対応する画素を平面上に規則的に配置した単板式画素部から出力される画像信号により構成される第1の画像から、所定の画素数で構成される領域である参照エリアを設定すると共に、参照エリアの領域を変化させる参照エリア設定部と、参照エリア内の画素の画素値から得られる統計量を評価して、第1の画像内の注目位置の方向性を検出する方向検出部と、を備えた画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1における画像処理装置の方向検出部は第1の画像内の注目位置の方向性を検出するため、赤画素及び青画素の位置で緑画素の画素値を水平方向に補間した画素値と、赤画素及び青画素のそれぞれの画素値との差分、すなわち、水平補間色差を算出すると共に、赤画素及び青画素の位置で緑画素の画素値を垂直方向に補間した画素値と、赤画素及び青画素のそれぞれの画素値との差分、すなわち、垂直補間色差を算出する。その上で、例えば3画素×3画素、5画素×5画素、7画素×7画素といった予め定めた大きさを有する参照エリア毎に水平補間色差及び垂直補間色差の分散を算出している。
【0005】
このように特許文献1における画像処理装置では、参照エリアの位置及び大きさを変化させながら、各々の参照エリア毎に緑画素の画素値の補間を行ったうえで水平補間色差及び垂直補間色差を算出し、各々の水平補間色差及び垂直補間色差の分散をリアルタイムで算出する必要がある。分散の算出は計算量が多くなる傾向があるため、分散をリアルタイムで算出するには高性能のプロセッサが必要になることから、画像処理装置のコストが高くなり、かつ、画像処理装置の大きさも大きくなる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、画素値の分散を算出することなく、単板式イメージセンサに対するデモザイク処理を行う画像処理装置、及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像処理装置は、単板式イメージセンサによって撮影された画像の予め定めた大きさを有する第1範囲内の複数の画素から1画素分の輝度値及び色差値を算出する処理を、前記第1範囲の位置を変えながら実行することによって前記画像に対応した輝度画像及び色差画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部によって生成された前記輝度画像を構成する輝度画素から選択した選択輝度画素を含む予め定めた第2範囲内の複数の輝度画素の輝度値から前記第2範囲内の各々の輝度画素に対して、前記選択輝度画素と他の輝度画素との相関を表す輝度相関係数を算出すると共に、算出した前記輝度相関係数から前記第2範囲内の各々の輝度画素における重み付け係数を算出する係数算出部と、前記係数算出部によって算出された前記第2範囲内の各々の輝度画素における前記重み付け係数と、前記第2範囲と同じ範囲に含まれる前記色差画像を構成する各々の色差画素の色差値を用いて、前記選択輝度画素の位置における前記色差画像の色差値を補正する補正部と、を備える。
【0008】
また、本発明に係る画像処理方法は、単板式イメージセンサによって撮影された画像の予め定めた大きさを有する第1範囲内の複数の画素から1画素分の輝度値及び色差値を算出する処理を、前記第1範囲の位置を変えながら実行することによって前記画像に対応した輝度画像及び色差画像を生成し、生成された前記輝度画像を構成する輝度画素から選択した選択輝度画素を含む予め定めた第2範囲内の複数の輝度画素の輝度値から前記第2範囲内の各々の輝度画素に対して、前記選択輝度画素と他の輝度画素との相関を表す輝度相関係数を算出すると共に、算出した前記輝度相関係数から前記第2範囲内の各々の輝度画素における重み付け係数を算出し、算出された前記第2範囲内の各々の輝度画素における前記重み付け係数と、前記第2範囲と同じ範囲に含まれる前記色差画像を構成する各々の色差画素の色差値を用いて、前記選択輝度画素の位置における前記色差画像の色差値を補正する処理をコンピュータが実行する方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画素値の分散を算出することなく、単板式イメージセンサに対するデモザイク処理を行うことができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】画像処理装置における電気系統の要部構成例を示す図である。
【
図4】デモザイク処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】ベイヤー画像から輝度画像及び色差画像を生成する様子を示す図である。
【
図6】ベイヤー画像における第1範囲内の画素を抽出した図である。
【
図8】隣接する画素が取り得る輝度値の大小関係の一例を示す図である。
【
図9】隣接する画素が取り得る輝度値の大小関係の他の一例を示す図である。
【
図10】選択した画素と隣接する各画素の両端輝度相関係数の一例を示す図である。
【
図13】色差画像の補正を行わなかった場合の画像の一例を示す図である。
【
図14】色差画像の補正を行った場合の画像の一例を示す図である。
【
図15】色差画像の平滑化を行う画像処理装置の機能構成例を示す図である。
【
図16】色差画像の平滑化を行うデモザイク処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図18】色差画像の平滑化を行った場合の画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素及び同じ処理には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る画像処理装置1の機能構成例を示す図である。画像処理装置1は、前段処理部10、デモザイク処理部20、及び後段処理部30を含む。
【0013】
前段処理部10は、単板式イメージセンサからセンサ画像5を受け付け、受け付けたセンサ画像5に対して、例えば欠陥画素補正、黒レベル調整、及びホワイトバランス等の前処理を実行する。前段処理部10は、前処理を行ったセンサ画像5をベイヤー画像2としてデモザイク処理部20に出力する。
【0014】
単板式イメージセンサは、各々の画素が赤、緑、及び青の光の3原色のうち何れか1つの色情報しかもっていないセンサ画像5を出力する。したがって、単板式イメージセンサから出力されるセンサ画像5における画素の配置には、ベイヤー配列という配列が用いられる。
【0015】
図2は、ベイヤー配列の一例を示す図である。ベイヤー配列とは、隣り合う行において一方の行の緑画素5Gの位置と、他方の行の緑画素5Gの位置とが列方向に隣り合わないように緑画素5Gを1つおきに配置し、緑画素5Gの間に赤画素5R及び青画素5Bを行毎に交互に配置する配列である。
【0016】
ベイヤー画像2における画素の配列もベイヤー配列となっている。したがって、デモザイク処理部20は、カラー画像を生成するうえでベイヤー画像2の特定の位置において足りない色情報を補間し、輝度画像3及び色差画像4を生成するデモザイク処理を実行する。
【0017】
こうした処理を行うデモザイク処理部20は、画像生成部21、係数算出部22、及び補正部23を含む。
【0018】
画像生成部21は、ベイヤー画像2に設定した予め定めた大きさを有する第1範囲内の複数の画素から1画素分の輝度値及び色差値を算出する処理を、第1範囲の位置を変えながら実行することによってベイヤー画像2に対応した輝度画像3及び色差画像4を生成する。
【0019】
係数算出部22は、画像生成部21によって生成された輝度画像3を構成する輝度画素から選択した選択輝度画素を含む予め定めた第2範囲内の複数の輝度画素の輝度値から第2範囲内の各々の輝度画素に対して、選択輝度画素と他の輝度画素との相関を表す輝度相関係数を算出すると共に、算出した輝度相関係数から第2範囲内の各々の輝度画素における重み付け係数Wを算出する。
【0020】
補正部23は、係数算出部22によって算出された第2範囲内の各々の輝度画素における重み付け係数Wと、第2範囲と同じ範囲に含まれる色差画像4を構成する各々の色差画素の色差値を用いて、画像生成部21によって生成された色差画像4の色差値を補正する。
【0021】
後段処理部30は、デモザイク処理部20によって生成された輝度画像3及び補正された色差画像4(以降、「補正色差画像4Z」という)を受け付け、輝度画像3及び補正色差画像4Zによって表される画像に対して、例えば輪郭強調及び色相調整等の画像処理を実行する。
【0022】
こうした処理を行う画像処理装置1は、コンピュータ40を用いて構成される。
図3は、コンピュータ40を用いて構成した画像処理装置1における電気系統の要部構成例を示す図である。
【0023】
コンピュータ40は、画像処理装置1が備える
図1に示した各機能部の処理を担うプロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)41、CPU41の一時的な作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)42、不揮発性メモリ43、及び入出力インターフェース(I/O)44を備える。CPU41、RAM42、不揮発性メモリ43、及びI/O44はバス45を介して各々接続されている。
【0024】
不揮発性メモリ43は、不揮発性メモリ43に供給される電力が遮断されても記憶した情報が維持される記憶装置の一例であり、例えば半導体メモリが用いられるがハードディスクを用いてもよい。不揮発性メモリ43には、例えばコンピュータ40を画像処理装置1として機能させる画像処理プログラムが記憶される。
【0025】
不揮発性メモリ43は必ずしもコンピュータ40に内蔵されている必要はなく、例えばメモリカードのように、コンピュータ40に着脱可能な可搬型の記憶装置であってもよい。
【0026】
I/O44には、例えば通信回線を経由して外部装置と通信を行う通信ユニット46が接続されるが、I/O44に接続されるユニットはこれらに限らず、画像処理装置1が備える機能に対応したユニットが接続可能である。
【0027】
次に、
図1に示した画像処理装置1におけるデモザイク処理部20の処理について詳細に説明する。
【0028】
図4は、前段処理部10からベイヤー画像2を受け付けた場合に、デモザイク処理部20によって実行されるデモザイク処理の流れの一例を示すフローチャートである。画像処理装置1のCPU41は、不揮発性メモリ43から画像処理プログラムを読み込んでデモザイク処理を実行する。
【0029】
ステップS10において、画像生成部21は、ベイヤー画像2の行方向及び列方向にそれぞれ2つずつ画素を含む範囲を第1範囲として設定し、第1範囲内に含まれる各々の画素から1画素分の輝度値及び色差値を算出する。画像生成部21は、ベイヤー画像2に設定した第1範囲を1画素ずつ行方向又は列方向に移動させることによって、輝度画像3及び色差画像4を生成する。
【0030】
図5は、ベイヤー画像2から輝度画像3及び色差画像4を生成する様子を示す図である。ここでは行方向及び列方向にそれぞれ4つの画素が並んだ4×4画素の大きさを有するベイヤー画像2を用いて輝度画像3及び色差画像4を生成する例について説明するが、ベイヤー画像2は4×4画素の大きさより大きくてもよい。なお、ベイヤー画像2を構成する画素のうち、緑画素、赤画素、及び青画素を、それぞれ緑画素2G、赤画素2R、及び青画素2Bと表す。
【0031】
まず、画像生成部21は、枠6によって表される第1範囲内の各々の画素の頂点が重なる位置(「位置A」とする)に新たな画素を割り当て、当該画素の輝度値及び色差値を第1範囲内の4つの画素から算出する。すなわち、画像生成部21は、ベイヤー画像2に含まれる4つの画素を用いて、輝度画像3及び色差画像4をそれぞれ構成する1つの画素を生成する。なお、輝度画像3を構成する画素は輝度画素の一例であり、色差画像4を構成する画素は色差画素の一例である。
【0032】
図6は、
図5に示したベイヤー画像2から枠6によって表される第1範囲内の画素を抽出した図である。ベイヤー画像2の画素はベイヤー配列に従って配置されているため、
図6に示すように、第1範囲内には2つの緑画素2Gとそれぞれ1つずつの赤画素2R及び青画素2Bが含まれる。
図6では2つの緑画素2Gを区別するため、一方の緑画素2Gを「緑画素2Gr」と表し、他方の緑画素2Gを「緑画素2Gb」と表している。なお、2つのうち何れの緑画素2Gが緑画素2Grであってもよい。
【0033】
画像生成部21は、(1)式を用いて位置Aにおける輝度値と色差値を算出する。
【0034】
【0035】
(1)式において、Yは輝度値、Cbは青の色差値、Crは赤の色差値、ZGrは緑画素2Grの画素値、ZGbは緑画素2Gbの画素値、ZRは赤画素2Rの画素値、ZBは青画素2Bの画素値を表す。
【0036】
なお、(1)式は輝度値及び色差値の算出例であり、画像生成部21は、ベイヤー画像2の規格に応じた他の算出式を用いて輝度値及び色差値を算出してもよい。また、画像生成部21は、(1)式よりも演算精度を落した簡易式を用いて、輝度値及び色差値を算出してもよい。
【0037】
以降では、各位置における輝度値を、位置を表すアルファベットと輝度値を表す“Y”を組みあわせて表現する。具体的には、例えば位置Aにおける輝度値を“YA”と表す。特に位置を意識して輝度値を表す必要がない場合、各々の位置における輝度値を総称して輝度値Yと表す。
【0038】
また、各位置における青の色差値を、位置を表すアルファベットと青の色差値を表す“Cb”を組みあわせて表現すると共に、各位置における赤の色差値を、位置を表すアルファベットと赤の色差値を表す“Cr”を組みあわせて表現する。具体的には、例えば位置Aにおける青の色差値を“CbA”と表し、位置Aにおける赤の色差値を“CrA”と表す。特に位置を意識して色差値を表す必要がない場合、各々の位置における青の色差値及び赤の色差値を総称して、それぞれ色差値Cb及び色差値Crと表す。
【0039】
画像生成部21は、ベイヤー画像2に設定した第1範囲を1画素ずつ行方向又は列方向に移動させることによって、
図5に示す位置A~位置Iにおける各々の輝度値Y及び色差値Cb、Crを算出する。これにより、画像生成部21は、輝度画像3及び色差画像4を生成する。画像生成部21は、生成した輝度画像3を後段処理部30及び係数算出部22に出力し、生成した色差画像4を補正部23に出力する。
【0040】
なお、色差値Cbを有する画素によって構成される色差画像4を特に色差画像4Cbと表し、色差値Crを有する画素によって構成される色差画像4を特に色差画像4Crと表す。
【0041】
ベイヤー画像2から輝度画像3及び色差画像4Cb、4Crを生成した後、
図4のステップS20において、係数算出部22は、ステップS10の処理で生成した輝度画像3から何れかの画素を1つずつ順次選択する。係数算出部22は、選択した各々の画素について、画素を中心とする第2範囲を設定し、選択した画素と第2範囲内に含まれる他の各々の画素との相関を表す輝度相関係数を算出する。輝度画像3から選択した画素は選択輝度画素の一例である。
【0042】
なお、係数算出部22は、選択した画素に隣接する各々の画素を含む範囲を第2範囲として設定する。
【0043】
図7は、輝度相関係数の算出例を示す図である。
図7の例では、太枠で囲まれた位置Eの画素が輝度画像3から選択された様子を表している。この場合、位置Eの画素に隣接する画素は位置A、位置B、位置C、位置D、位置F、位置G、位置H、及び位置Iの画素となるため、位置A~位置Iの画素を含む範囲が第2範囲に設定される。
【0044】
係数算出部22は第2範囲内において、選択した画素(この場合、位置Eの画素)を中心として、縦方向、横方向、及び斜め方向それぞれの方向に位置する両端の画素の輝度値Yを用いて輝度相関係数を算出する。当該輝度相関係数は、選択した画素の縦方向、横方向、及び斜め方向に位置する両端の画素の輝度値Yを用いた輝度相関係数であるから、以降では「両端輝度相関係数X」と表す。
【0045】
図7において、位置Eの画素の横方向に位置する両端の画素は、位置Dの画素と位置Fの画素である。係数算出部22は、(2)式を用いて位置Eの画素と横方向に位置する両端の画素の両端輝度相関係数Xを算出する。
【0046】
【0047】
(2)式において、XFは位置Fの画素との両端輝度相関係数Xを表し、XDは位置Dの画素との両端輝度相関係数Xを表す。以降では位置A~位置Iの各位置における両端輝度相関係数Xを、位置を表すアルファベットと両端輝度相関係数を表す“X”を組みあわせて上記のように表現する。
【0048】
同様にして、係数算出部22は(3)式、(4)式、及び(5)式を用いて位置Eの画素と縦方向、及び斜め方向に位置する両端の画素の両端輝度相関係数Xを算出する。(3)式は、位置Eの画素と縦方向に位置する両端の画素の両端輝度相関係数Xの算出式である。(4)式は、位置Eの画素と左斜め方向に位置する両端の画素の両端輝度相関係数Xの算出式である。(5)式は、位置Eの画素と右斜め方向に位置する両端の画素の両端輝度相関係数Xの算出式である。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
(2)式~(5)式を見ればわかるように、係数算出部22は、両端輝度相関係数Xを0以上1以下の正規化された値で表す。そのうえで、係数算出部22は、両端輝度相関係数Xを0以上1以下の範囲に設定した予め定めた個数の値のうち、最も近い何れかの値によって表す。一例として、係数算出部22は、両端輝度相関係数Xが取り得る値をθ/8(θは0以上8以下の整数)とすることによって、両端輝度相関係数Xが取り得る値を0以上1以下の範囲に含まれる9個の値に集約する。なお、両端輝度相関係数Xの分母の値は一例であり、“8”に限定されない。両端輝度相関係数Xが取り得る値を集約することによって、両端輝度相関係数Xが0以上1以下の任意の値を取る場合よりも、計算内容を単純化することができる。
【0053】
図8に示すように、例えば輝度画像3における位置Eの画素の輝度値YEが、横方向に位置する両端の画素の輝度値YDと輝度値YFとの間に含まれる場合、すなわち、輝度値YF>輝度値YE>輝度値YD、又は輝度値YD>輝度値YE>輝度値YFである場合、(2)式によって得られる両端輝度相関係数Xは1以下となり、θ/8のうち最も近い値を取る。
【0054】
しかしながら、
図9に示すように、例えば輝度画像3における位置Eの画素の輝度値YEが、縦方向に位置する両端の画素の輝度値YBと輝度値YHとの間に含まれない場合、(3)式によって得られる両端輝度相関係数Xが1を超えてしまうことがある。このような場合、係数算出部22は、両端輝度相関係数Xをθ/8が取る最大値の半分、すなわち、4/8に設定する。
【0055】
図10は、(2)式~(5)式に従って算出した、選択した位置Eの画素と隣接する画素の両端輝度相関係数Xの一例を示す図である。
【0056】
係数算出部22は、輝度画像3に含まれる各々の画素を選択することによって、各々の画素毎に第2範囲内における両端輝度相関係数Xを算出する。
【0057】
なお、選択した画素の位置によっては、第2範囲に9つの画素が含まれない場合がある。このような場合、係数算出部22は、存在しない画素の輝度値Yを予め定めた値に設定すればよい。例えば存在しない画素の輝度値Yを、“0”又は選択した画素(
図7に示した例の場合、位置Eの画素)の輝度値Yに設定する。
【0058】
輝度画像3から各画素における両端輝度相関係数Xを算出した後、
図4のステップS30において、係数算出部22は、算出した両端輝度相関係数Xを用いて、輝度画像3に含まれる各々の画素に対して設定した第2範囲毎に、第2範囲内の各画素の位置における重み付け係数Wを算出する。
【0059】
具体的には、係数算出部22は、0.5以上1以下の範囲に含まれる予め定めた閾値を超える両端輝度相関係数Xが対応付けられた画素に対してのみ両端輝度相関係数Xを有効とする。この場合の重み付け係数Wは両端輝度相関係数Xの分子の値となる。換言すれば、係数算出部22は、閾値以下の両端輝度相関係数Xが対応付けられた画素における重み付け係数Wを“0”に設定する。これにより、閾値以下の両端輝度相関係数Xが対応付けられた画素における重み付け係数も両端輝度相関係数Xの分子の値とする場合と比較して、計算量が低減される。本実施形態では一例として、閾値を“0.5”に設定する。
【0060】
輝度画像3における位置Eの画素を選択した場合の両端輝度相関係数Xが
図10のように示される場合、位置B、位置C、位置F、位置H、及び位置Iの各画素に対応付けられた両端輝度相関係数Xは0.5以下であるため、重み付け係数Wは“0”となる。
【0061】
一方、0.5を超える両端輝度相関係数Xが対応付けられている位置A、位置D、及び位置Gの各画素の重み付け係数Wは、それぞれの両端輝度相関係数Xの分子の値である“6”、“7”、“5”となる。
【0062】
図11は、
図10に示した両端輝度相関係数Xが対応付けられた各画素における重み付け係数Wの一例を示す図である。
【0063】
ここで、選択した画素に対して、縦方向における両端輝度相関係数Xと、横方向における両端輝度相関係数Xと、左斜め方向における両端輝度相関係数Xと、右斜め方向における両端輝度相関係数Xという4つの両端輝度相関係数Xを算出することから、重み付け係数Wの合計は、(8/8)×4=32/8となる。係数算出部22は、重み付け係数Wの合計を表す分数の分子である“32”のうち、両端輝度相関係数Xが閾値以下であるために重み付け係数Wを“0”に置き換えた画素に対応した値を、選択した画素の重み付け係数Wとして割り振る。したがって、
図11に示す例の場合、0を超える重み付け係数Wが対応付けられている画素は位置A、位置D、及び位置Gの3つの画素であるから、位置Eにおける重み付け係数Wは32-(6+7+5)=14となる。
【0064】
このようにして係数算出部22は、輝度画像3に含まれる画素毎に設定した各々の第2範囲内の画素に対して重み付け係数Wを算出する。
【0065】
輝度画像3から第2範囲毎の重み付け係数Wを算出した後、
図4のステップS40において、補正部23は、輝度画像3に対して設定した第2範囲毎に、第2範囲内の重み付け係数Wと、輝度画像3に対して設定した第2範囲と同じ範囲に含まれる色差画像4の画素の色差値Cb、Crとを用いて、色差画像4Cb、4Crの色差値Cb、Crを補正する。
【0066】
具体的には、補正部23は、輝度画像3と色差画像4に対してそれぞれ同じ位置にある画素を選択し、それぞれに対して同じ範囲を含む第2範囲を設定する。そのうえで、補正部23は、輝度画像3と色差画像4にそれぞれ設定した第2範囲内の同じ位置にある画素に対応付けられている重み付け係数Wと色差値Cb、Crとの積の平均値を重み付け平均値として算出し、算出した重み付け平均値を、色差画像4から選択した画素の色差値Cb、Crとする。
【0067】
図12は、補正部23による色差画像4の色差値Crの補正例を示す図である。
図12では、色差画像4Crから位置Eの画素を選択した場合に設定される第2範囲内の各画素を表している。
【0068】
位置A~位置Iの画素に対応付けられている重み付け係数Wが
図11のように示される場合、補正部23は、(6)式を用いて位置Eの画素の色差値CrEを補正する。
【0069】
【0070】
(6)式において、μは画素の位置を表し、CrEsumは、各位置における色差値Crと重み付け係数Wの積和演算値を表す。また、“32”は重み付け係数Wの合計を表す分数の分子の値を表し、CrEzは位置Eの画素における色差値CrEの補正値を表す。
【0071】
すなわち、補正部23は、0を超える重み付け係数Wが対応付けられた第2範囲内の各々の画素における重み付け係数Wと、同じ範囲に含まれる色差画像4Crを構成する各々の画素の色差値Crのうち、0を超える重み付け係数Wが対応付けられた画素と同じ位置にある画素の色差値とを用いて、選択した画素の位置における色差値Cr(この場合、色差値CrE)を補正する。
【0072】
図10及び
図11に示したように、σ=8、λ=4であるから、補正値CrE
zは(7)式のように表される。
【0073】
【0074】
補正部23は、色差画像4に含まれる各々の画素について位置Eの画素に対して実行した補正と同じ補正を行うことで、色差値Crの補正が行われた色差画像4Crを生成する。ここでは一例として、色差画像4Crの補正を例にして説明したが、補正部23は、色差画像4Cbについても同様の補正を行い、色差値Cbの補正が行われた色差画像4Cbを生成する。
【0075】
このように補正部23は、色差画像4に含まれる各々の画素を選択し、選択した各々の画素毎に設定された第2範囲内の画素の重み付け係数Wと色差値Cb、Crを用いて色差値Cb、Crの補正を行い、補正色差画像4Zを生成する。補正部23は、生成した補正色差画像4Zを後段処理部30に出力する。
【0076】
以上により、
図4に示したデモザイク処理を終了する。後段処理部30では、デモザイク処理部20から受け付けた輝度画像3及び補正色差画像4Zを用いて、例えば輪郭強調や色相調整等の予め定められた画像処理が行われる。
【0077】
図13は、画像生成部21によって生成された輝度画像3と色差画像4を用いて表した画像の一例を示す図である。
図14は、
図13と同じ画像を、画像生成部21によって生成された輝度画像3と、補正部23によって補正された補正色差画像4Zを用いて表した画像の一例を示す図である。
図13に示す画像では、無彩色のエッジ付近で赤や青に色づいた画素が認められたが、
図14に示す画像では
図13に示す画像よりも、そうした本来存在しない偽色の発生が抑制されることを確認した。
【0078】
<画像処理装置の変形例>
図1に示した補正部23は、画像生成部21によって生成された色差画像4に対して輝度画像3から得られた重み付け係数Wを適用し、色差画像4の補正を行った。
【0079】
以降では、平滑化された色差画像4に対して輝度画像3から得られた重み付け係数Wを適用して色差画像4の補正を行う画像処理装置1Aについて説明する。
【0080】
図15は、本変形例に係る画像処理装置1Aの機能構成例を示す図である。
図15に示す画像処理装置1Aが
図1に示した画像処理装置1と異なる点は、画像生成部21と補正部23との間に平滑部24が追加された点である。また、平滑部24の追加に伴い、デモザイク処理部20がデモザイク処理部20Aに置き換えられている。それ以外の機能構成は
図1に示した画像処理装置1と同じであるため、ここでは平滑部24の処理を中心に説明を行う。
【0081】
平滑部24は、画像生成部21によって生成された色差画像4を平滑化し、平滑化した色差画像4を補正部23に出力する。色差画像4の平滑化とは、隣接する画素との色差値Cb、Crの差分を小さくし、色の変化をなだらかにする処理のことである。
【0082】
平滑部24の処理について詳細に説明する。
図16は、前段処理部10からベイヤー画像2を受け付けた場合に、デモザイク処理部20によって実行されるデモザイク処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0083】
図16に示すデモザイク処理が
図4に示したデモザイク処理と異なる点は、ステップS35が追加された点である。
【0084】
ステップS30の処理で係数算出部22が輝度画像3から第2範囲毎の重み付け係数Wを算出した後、ステップS35が実行される。
【0085】
ステップS35において、平滑部24は、画像生成部21から受け付けた色差画像4を平滑化する。
【0086】
図17は、画像生成部21から受け付けた色差画像4Cbの一例を示す図である。平滑部24は、色差画像4Cbから何れかの画素を選択する。
図17は、位置Gの画素を選択した例を示している。平滑部24は、選択した画素を中心とする枠7によって表される第2範囲、すなわち、選択した画素に隣接する画素を囲む第2範囲を色差画像4Cbに設定し、第2範囲内の各々の画素における色差値Cbの平均を算出する。そのうえで、平滑部24は、選択した画素の色差値Cbを算出した色差値Cbの平均に設定する。
図17に示す例の場合、位置A、位置B、位置C、位置F、位置G、位置H、位置K、位置L、及び位置Mの各画素の色差値Cbの平均が位置Gの画素の色差値CbGとなる。
【0087】
平滑部24は、色差画像4Cbに含まれる各々の画素を順次選択し、選択した画素に対して設定される第2範囲内の各々の画素における色差値Cbの平均を、選択した画素の色差値Cbとすることによって、色差画像4Cb全体を平滑化する。平滑部24は、平滑化した色差画像4Cbを補正部23に出力する。なお、平滑部24は、同様の平滑化処理を色差画像4Crに対しても行う。
【0088】
図16のステップS40において、補正部23は、輝度画像3に対して設定した第2範囲毎に、第2範囲内の重み付け係数Wと、輝度画像3に対して設定した第2範囲と同じ範囲に含まれる平滑化された色差画像4の画素の色差値Cb、Crとを用いて、平滑化された色差画像4Cb、4Crの色差値Cb、Crを補正する。
【0089】
図18は、
図13と同じ画像を、画像生成部21によって生成された輝度画像3と、平滑部24によって平滑化した色差画像4を補正することで得られた補正色差画像4Zを用いて表した画像の一例を示す図である。色差画像4の平滑化を行わなかった
図14の画像と比較して、色差画像4を平滑化することにより偽色の発生が更に抑制されることを確認した。
【0090】
以上、実施形態を用いて画像処理装置1、1Aの一形態について説明したが、開示した画像処理装置1、1Aの形態は一例であり、画像処理装置1、1Aの形態は実施形態に記載の範囲に限定されない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、当該変更又は改良を加えた形態も開示の技術的範囲に含まれる。
【0091】
例えば本開示の要旨を逸脱しない範囲で、
図4及び
図16に示したデモザイク処理における内部の処理順序を変更してもよい。
【0092】
上記の実施形態では、一例として、デモザイク処理をソフトウェアで実現する形態について説明した。しかしながら、
図4及び
図16に示したデモザイク処理のフローチャートと同等の処理をハードウェアで処理させるようにしてもよい。この場合、デモザイク処理をソフトウェアで実現した場合と比較して処理の高速化が図られる。
【0093】
上記の実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU41)や、専用のプロセッサ(例えば GPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0094】
また、上記の実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記の実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0095】
上記の実施形態では、不揮発性メモリ43に画像処理プログラムが記憶されている例について説明した。しかしながら、画像処理プログラムの記憶先は不揮発性メモリ43に限定されない。本開示の画像処理プログラムは、コンピュータ40で読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。
【0096】
例えば画像処理プログラムをCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びブルーレイディスクのような光ディスクに記録した形態で提供してもよい。また、画像処理プログラムを、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカードのような可搬型の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。不揮発性メモリ43、CD-ROM、DVD-ROM、ブルーレイディスク、USB、及びメモリカードは非一時的(non-transitory)記憶媒体の一例である。
【0097】
更に、画像処理装置1は通信ユニット46を通じて、通信回線に接続された外部装置から画像処理プログラムをダウンロードし、ダウンロードした画像処理プログラムを画像処理装置1の不揮発性メモリ43に記憶してもよい。この場合、画像処理装置1のCPU41は、外部装置からダウンロードした画像処理プログラムを不揮発性メモリ43から読み込んでデモザイク処理を実行する。
【0098】
以下に本実施形態に係る付記を示す。
【0099】
(付記1)
単板式イメージセンサによって撮影された画像の予め定めた大きさを有する第1範囲内の複数の画素から1画素分の輝度値及び色差値を算出する処理を、前記第1範囲の位置を変えながら実行することによって前記画像に対応した輝度画像及び色差画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部によって生成された前記輝度画像を構成する輝度画素から選択した選択輝度画素を含む予め定めた第2範囲内の複数の輝度画素の輝度値から前記第2範囲内の各々の輝度画素に対して、前記選択輝度画素と他の輝度画素との相関を表す輝度相関係数を算出すると共に、算出した前記輝度相関係数から前記第2範囲内の各々の輝度画素における重み付け係数を算出する係数算出部と、
前記係数算出部によって算出された前記第2範囲内の各々の輝度画素における前記重み付け係数と、前記第2範囲と同じ範囲に含まれる前記色差画像を構成する各々の色差画素の色差値を用いて、前記選択輝度画素の位置における前記色差画像の色差値を補正する補正部と、
を備えた画像処理装置。
【0100】
(付記2)
前記係数算出部は、前記選択輝度画素に隣接する各々の輝度画素を含む範囲を前記第2範囲に設定して前記輝度相関係数及び前記重み付け係数を算出する
付記1に記載の画像処理装置。
【0101】
(付記3)
前記輝度相関係数は0以上1以下に正規化された係数であって、0以上1以下の範囲に設定した予め定めた個数の値のうちの何れかの値を取る係数であり、
前記係数算出部は、0.5以上1以下の範囲に含まれる予め定めた閾値以下の前記輝度相関係数が対応付けられた輝度画素における前記重み付け係数を0とする
付記1又は付記2に記載の画像処理装置。
【0102】
(付記4)
前記係数算出部は、正規化前の前記輝度相関係数が1を超える場合、前記輝度相関係数を0.5とする
付記3に記載の画像処理装置。
【0103】
(付記5)
前記補正部は、0を超える前記重み付け係数が対応付けられた前記第2範囲内の各々の輝度画素における前記重み付け係数と、前記第2範囲と同じ範囲に含まれる前記色差画像を構成する各々の色差画素の色差値のうち、0を超える前記重み付け係数が対応付けられた輝度画素と同じ位置にある色差画素の色差値を用いて、前記選択輝度画素の位置における前記色差画像の色差値を補正する
付記4に記載の画像処理装置。
【0104】
(付記6)
前記色差画像を構成する色差画素から選択した選択色差画素を含む前記第2範囲内の各々の色差画素の色差値を用いて、前記第2範囲内の各々の色差画素における色差値の平均を前記選択色差画素の色差値とする処理を、前記選択色差画素を変えながら実行することによって前記色差画像を平滑化する平滑部を更に備えた
付記1~付記5の何れか1つの付記に記載の画像処理装置。
【0105】
(付記7)
単板式イメージセンサによって撮影された画像の予め定めた大きさを有する第1範囲内の複数の画素から1画素分の輝度値及び色差値を算出する処理を、前記第1範囲の位置を変えながら実行することによって前記画像に対応した輝度画像及び色差画像を生成し、
生成された前記輝度画像を構成する輝度画素から選択した選択輝度画素を含む予め定めた第2範囲内の複数の輝度画素の輝度値から前記第2範囲内の各々の輝度画素に対して、前記選択輝度画素と他の輝度画素との相関を表す輝度相関係数を算出すると共に、算出した前記輝度相関係数から前記第2範囲内の各々の輝度画素における重み付け係数を算出し、
算出された前記第2範囲内の各々の輝度画素における前記重み付け係数と、前記第2範囲と同じ範囲に含まれる前記色差画像を構成する各々の色差画素の色差値を用いて、前記選択輝度画素の位置における前記色差画像の色差値を補正する処理をコンピュータが実行する
画像処理方法。
【0106】
(付記8)
コンピュータに、
単板式イメージセンサによって撮影された画像の予め定めた大きさを有する第1範囲内の複数の画素から1画素分の輝度値及び色差値を算出する処理を、前記第1範囲の位置を変えながら実行することによって前記画像に対応した輝度画像及び色差画像を生成し、
生成された前記輝度画像を構成する輝度画素から選択した選択輝度画素を含む予め定めた第2範囲内の複数の輝度画素の輝度値から前記第2範囲内の各々の輝度画素に対して、前記選択輝度画素と他の輝度画素との相関を表す輝度相関係数を算出すると共に、算出した前記輝度相関係数から前記第2範囲内の各々の輝度画素における重み付け係数を算出し、
算出された前記第2範囲内の各々の輝度画素における前記重み付け係数と、前記第2範囲と同じ範囲に含まれる前記色差画像を構成する各々の色差画素の色差値を用いて、前記選択輝度画素の位置における前記色差画像の色差値を補正する処理を実行させる
画像処理プログラム。
【符号の説明】
【0107】
1(1A) 画像処理装置
2 ベイヤー画像
2B 青画素
2G(2Gb、2Gr) 緑画素
2R 赤画素
3 輝度画像
4(4Cb、4Cr) 色差画像
4Z 補正色差画像
5 センサ画像
10 前段処理部
20(20A) デモザイク処理部
21 画像生成部
22 係数算出部
23 補正部
24 平滑部
30 後段処理部
40 コンピュータ
41 CPU
42 RAM
43 不揮発性メモリ
44 I/O
45 バス
46 通信ユニット
Cb 青の色差値
Cr 赤の色差値
W 重み付け係数
X 両端輝度相関係数
Y 輝度値