(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130447
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/91 20110101AFI20240920BHJP
H01R 13/6461 20110101ALI20240920BHJP
【FI】
H01R12/91
H01R13/6461
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040173
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小部 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】塩田 英生
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FC20
5E021FC31
5E223AB26
5E223AB58
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB31
5E223CB38
5E223CD01
5E223DB11
5E223EA03
(57)【要約】
【課題】クロストーク抑制の効果が高いコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、ハウジング20,30と、複数の端子40と、接地接続部50と、を備える。複数の端子40の各々は、第一ハウジング20と第二ハウジング30との相対変位を許容する中間部43を有する。複数の端子40は、複数の信号端子40Sと、複数の接地端子40Gと、を含む。接地接続部50は、複数の接地端子40Gに接触する複数の端子接触部52bと、複数の接地端子40Gが並ぶ方向に延びる延在部51と、を有する。端子接触部52bから延在部51までの経路が複数形成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、複数の端子と、接地接続部と、を備えるコネクタであって、
前記ハウジングは、第一ハウジングと、第二ハウジングと、を備え、
前記複数の端子の各々は、前記第一ハウジングと前記第二ハウジングとの相対変位を許容する中間部を有し、
前記複数の端子は、複数の信号端子と、前記接地接続部によって電気的に接続された複数の接地端子と、を含み、
前記接地接続部は、
前記複数の接地端子に接触する複数の端子接触部と、
前記複数の接地端子が並ぶ方向に延びる延在部と、を有し、
前記端子接触部から前記延在部までの経路が複数形成される、
コネクタ。
【請求項2】
弾性変形可能なバネ片が前記延在部から複数延びており、
前記バネ片に前記端子接触部が形成され、前記バネ片のうち前記端子接触部よりも先端側の部分が前記延在部に接触する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記接地接続部は、前記ハウジングに支持される、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第一ハウジングは、前記コネクタの取付対象物に固定されるハウジングであり、
前記接地接続部は、前記第二ハウジングに支持される、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記端子接触部は、前記接地端子の前記中間部に接触する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記複数の端子の各々は、
前記第一ハウジングに保持される第一被保持部と、
前記第二ハウジングに保持される第二被保持部と、を有し、
前記中間部は、前記第一被保持部の上端と前記第二被保持部の下端とを繋ぎ、
前記中間部は、
延在方向を上方向から下方向に折り返す第一折返部と、
延在方向を下方向から上方向に折り返す第二折返部と、
前記第一折返部と前記第二折返部とを繋ぐ下方延在部と、を有し、
前記端子接触部は、前記接地端子の前記下方延在部に接触する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記端子接触部は、前記下方延在部の中央30%部分に接触する、
請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記信号端子と前記接地端子とは同一構造である、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記コネクタは、
前記複数の端子と同一線上に配列された複数の追加端子と、
前記接地接続部と同一構造を有する追加接地接続部と、を備え、
前記複数の追加端子は、複数の信号端子と、前記追加接地接続部によって電気的に接続された複数の接地端子と、を含む、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記接地接続部及び前記追加接地接続部は、互いに電気的に接続される、
請求項9に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1記載のコネクタは、ハウジングと、複数の端子と、接地接続部と、を備える。ハウジングは、第一ハウジングと、第二ハウジングと、を備え、複数の端子の各々は、第一ハウジングと第二ハウジングとの相対変位を許容する中間部を有する。
このようなコネクタでは、中間部が第一ハウジングと第二ハウジングの何れにも保持されていないので、中間部においてクロストークが発生しやすい。
【0003】
そこで、特許文献1記載のコネクタでは、複数の端子は、複数の信号端子と、接地接続部によって電気的に接続された複数の接地端子と、を含む。このため、信号端子間のクロストークが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載のコネクタには、改良の余地がある。
【0006】
本開示は、クロストーク抑制の効果が高いコネクタを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係るコネクタは、ハウジングと、複数の端子と、接地接続部と、を備えるコネクタであって、前記ハウジングは、第一ハウジングと、第二ハウジングと、を備え、前記複数の端子の各々は、前記第一ハウジングと前記第二ハウジングとの相対変位を許容する中間部を有し、前記複数の端子は、複数の信号端子と、前記接地接続部によって電気的に接続された複数の接地端子と、を含み、前記接地接続部は、前記複数の接地端子に接触する複数の端子接触部と、前記複数の接地端子が並ぶ方向に延びる延在部と、を有し、前記端子接触部から前記延在部までの経路が複数形成される。
【0008】
本態様では、コネクタは、ハウジングと、複数の端子と、接地接続部と、を備える。ハウジングは、第一ハウジングと、第二ハウジングと、を備える。複数の端子の各々は、第一ハウジングと第二ハウジングとの相対変位を許容する中間部を有する。
ここで、複数の端子は、複数の信号端子と、接地接続部によって電気的に接続された複数の接地端子と、を含む。
このため、信号端子間のクロストークが抑制される。
【0009】
また、本態様では、接地接続部は、複数の接地端子に接触する複数の端子接触部と、複数の接地端子が並ぶ方向に延びる延在部と、を有する。
ここで、端子接触部から延在部までの経路が複数形成される。
このため、端子接触部から延在部までの経路が1つのみの態様と比較して、接地が強化される。その結果、クロストーク抑制の効果が高い。
【0010】
なお、後述の実施形態では、端子接触部から延在部までの経路が2つ形成されるが、本態様はこれに限定されない。端子接触部から延在部までの経路は、3つ以上であってもよい。
なお、後述の実施形態では、第一ハウジングが取付対象物(コネクタの取付対象物)に固定されるハウジングであり、第二ハウジングが第一ハウジング及び取付対象物に対して移動可能なハウジングである。しかし、本態様の第一ハウジング及び第二ハウジングは、共に、取付対象物に対して移動可能なハウジングであってもよい。
なお、後述の実施形態では、接地接続部が、導電性の板材に抜き加工及び曲げ加工を施して作られる部材である。しかし、本態様の接地接続部はこれに限定されない。
なお、後述の実施形態では、端子接触部が、接地端子の中間部に接触する。しかし、本態様の端子接触部は、これに限定されず、接地端子における他の部分に接触してもよい。
なお、後述の実施形態では、複数の端子の各々が第一ハウジングと第二ハウジングとの相対変位を許容する中間部を有することにより、第二ハウジングは、第一ハウジングに対してX方向、Y方向及びZ方向に移動可能に構成される。しかし、本態様はこれに限定されない。本態様では、例えば、第二ハウジングは、第一ハウジングに対してX方向、Y方向又はZ方向のうち何れかの方向に移動不能であってもよい。
【0011】
第2の態様に係るコネクタは、第1の態様において、弾性変形可能なバネ片が前記延在部から複数延びており、前記バネ片に前記端子接触部が形成され、前記バネ片のうち前記端子接触部よりも先端側の部分が前記延在部に接触する。
【0012】
本態様では、弾性変形可能なバネ片が延在部から複数延びている。そして、バネ片に端子接触部が形成され、バネ片のうち端子接触部よりも先端側の部分が延在部に接触する。
このため、端子接触部から延在部までの経路が複数形成される構造を実現できる。
【0013】
第3の態様に係るコネクタは、第1又は第2の態様において、前記接地接続部は、前記ハウジングに支持される。
【0014】
本態様では、接地接続部は、ハウジングに支持される。
このため、接地接続部を複数の接地端子のみに支持させる必要がない。
【0015】
なお、後述の実施形態では、接地接続部がハウジングのみに支持される。しかし、本態様はこれに限定されない。本態様は、接地接続部がハウジング及び複数の接地端子の両方に支持される態様を含む。
【0016】
第4の態様に係るコネクタは、第1~第3の何れかの態様において、前記第一ハウジングは、前記コネクタの取付対象物に固定されるハウジングであり、前記接地接続部は、前記第二ハウジングに支持される。
【0017】
本態様では、第一ハウジングは、コネクタの取付対象物に固定されるハウジングであり、接地接続部は、第二ハウジングに支持される。
このため、接地接続部を複数の接地端子のみに支持させる必要がない。
【0018】
第5の態様に係るコネクタは、第1~第4の何れかの態様において、前記端子接触部は、前記接地端子の前記中間部に接触する。
【0019】
本態様では、端子接触部は、接地端子の中間部に接触する。
このため、クロストーク抑制の効果が高い。
なぜなら、クロストークが起こりやすい中間部において複数の接地端子を電気的に接続することが、クロストーク抑制に効果的だからである。
【0020】
第6の態様に係るコネクタは、第1~第5の何れかの態様において、前記複数の端子の各々は、前記第一ハウジングに保持される第一被保持部と、前記第二ハウジングに保持される第二被保持部と、を有し、前記中間部は、前記第一被保持部の上端と前記第二被保持部の下端とを繋ぎ、前記中間部は、延在方向を上方向から下方向に折り返す第一折返部と、延在方向を下方向から上方向に折り返す第二折返部と、前記第一折返部と前記第二折返部とを繋ぐ下方延在部と、を有し、前記端子接触部は、前記接地端子の前記下方延在部に接触する。
なお、コネクタに対する接続対象物の接続方向を下方向といい、その反対方向(抜去方向)を上方向という。
【0021】
本態様では、中間部は、第一被保持部の上端と第二被保持部の下端とを繋ぐ。中間部は、延在方向を上方向から下方向に折り返す第一折返部と、延在方向を下方向から上方向に折り返す第二折返部と、第一折返部と第二折返部とを繋ぐ下方延在部と、を有する。
ここで、端子接触部は、接地端子の下方延在部に接触する。
このため、信号端子の下方延在部におけるクロストークを効果的に抑制できる。
【0022】
第7の態様に係るコネクタは、第6の態様において、前記端子接触部は、前記下方延在部の中央30%部分に接触する。
【0023】
本態様では、端子接触部は、下方延在部の中央30%部分に接触する。なお、中央30%部分とは、下方延在部の延在方向寸法を100%としたとき、下方延在部の延在方向での中央位置を中心とした30%の範囲(±15%)の部分を意味する。
このため、より効果的にクロストークを抑制できる。
【0024】
第8の態様に係るコネクタは、第1~第7の何れかの態様において、前記信号端子と前記接地端子とは同一構造である。
【0025】
本態様では、信号端子と接地端子とは同一構造である。
このため、接地接続部の設計を変更するだけで、容易に、信号端子と接地端子との割り当てを変更できる。
【0026】
第9の態様に係るコネクタは、第1~第8の何れかの態様において、前記コネクタは、前記複数の端子と同一線上に配列された複数の追加端子と、前記接地接続部と同一構造を有する追加接地接続部と、を備え、前記複数の追加端子は、複数の信号端子と、前記追加接地接続部によって電気的に接続された複数の接地端子と、を含む。
【0027】
本態様では、コネクタは、複数の端子と同一線上に配列された複数の追加端子と、接地接続部と同一構造を有する追加接地接続部と、を備える。そして、複数の追加端子は、複数の信号端子と、追加接地接続部によって電気的に接続された複数の接地端子と、を含む。
このため、同一線上に配列される端子の数に応じて、接地接続部の数を変えることで、信号端子間のクロストークを効果的に抑制できる。つまり、同一線上に配列される端子の数に応じた接地接続部を製造する必要がない。
【0028】
第10の態様に係るコネクタは、第9の態様において、前記接地接続部及び前記追加接地接続部は、互いに電気的に接続される。
【0029】
本態様では、接地接続部及び追加接地接続部は、互いに電気的に接続される。
このため、接地接続部及び追加接地接続部が互いに電気的に接続されない態様と比較して、接地が強化され、クロストーク抑制の効果が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図6】変形例に係るコネクタのうち、複数の一方側端子とこれに対応して設けられた2つの接地接続部のみを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本開示に係るコネクタの好適な実施形態について説明する。
【0032】
各図に示す矢印Xをコネクタ前後方向、矢印Yをコネクタ幅方向、矢印Zをコネクタ上下方向と呼ぶことがある。また、コネクタ前後方向を配列方向、コネクタ幅方向を列間方向と呼ぶことがある。
【0033】
コネクタ10は、ハウジング20,30と、複数の端子40と、2つの接地接続部50と、を備える。
【0034】
ハウジング20,30は、第一ハウジング20と、第二ハウジング30と、を備える。
【0035】
第一ハウジング20は、複数の端子40を介して、取付対象物T(例えば基板)に取り付けられる。これにより、第一ハウジング20は、取付対象物Tに固定される。
第二ハウジング30は、第一ハウジング20に対してX方向、Y方向及びZ方向に移動可能に構成される。
第一ハウジング20及び第二ハウジング30は、樹脂成形品である。
【0036】
図2に示すように、複数の端子40は、列間方向一方側の複数(12個)の一方側端子40と、列間方向他方側の複数(12個)の他方側端子40と、から構成される。
複数の一方側端子40は、X方向を配列方向として等間隔に配列される。
複数の他方側端子40も、X方向を配列方向として等間隔に配列される。
一方側端子40と他方側端子40とにより一対の端子40(
図3参照)が構成され、当該一対の端子40がX方向を配列方向として等間隔に配列されているともいえる。
【0037】
複数(12個)の一方側端子40は、複数の(6個)の信号端子40Sと、複数の(6個)の接地端子40Gと、から構成される。
複数(12個)の他方側端子40も、複数の(6個)の信号端子40Sと、複数の(6個)の接地端子40Gと、から構成される。
信号端子をS、接地端子をGと表現すると、複数の一方側端子40及び複数の他方側端子40は、いずれも、GSSGGSSGGSSGの並びで配列されている。
【0038】
(第一ハウジング20)
次に、第一ハウジング20について詳細に説明する。
【0039】
図2に示すように、第一ハウジング20は、列間方向一方側の端子保持部21と、列間方向他方側の端子保持部21と、を備える。列間方向一方側の端子保持部21と列間方向他方側の端子保持部21とは同一構造である。以下、両者を区別しないときは、単に端子保持部21と呼ぶ。
【0040】
図5に示すように、端子保持部21は、複数の配列方向壁22を有する。
配列方向壁22は、端子40の第一被保持部42に対し、その配列方向の両側に位置する。複数の配列方向壁22のうち隣り合う配列方向壁22の間の空間に第一被保持部42が圧入される。当該空間は、列間方向内側に開放されている。これにより、第一被保持部42を圧入する際、当該開放された部分を端子40の中間部43(具体的には第一折返部43a)が通過可能になっている。
【0041】
端子保持部21は、外側壁23を有する。
外側壁23は、第一被保持部42に対し、列間方向外側に位置する。外側壁23は、複数の配列方向壁22の列間方向外側端と接続する。
【0042】
端子保持部21は、天壁24を有する。
天壁24は、第一被保持部42及び中間部43の一部に対し、+Z方向に位置する。天壁24は、複数の配列方向壁22の+Z方向側と接続する。天壁24は、外側壁23の+Z方向の端から列間方向内側に延びる。
【0043】
(第二ハウジング30)
次に、第二ハウジング30について詳細に説明する。
【0044】
図5に示すように、第二ハウジング30は、複数の配列方向壁31を有する。
配列方向壁31は、端子40の一部に対し、その配列方向であるX方向の両側に位置する。複数の配列方向壁31のうち隣り合う配列方向壁31の間の空間に第二被保持部44が圧入される。
【0045】
配列方向壁31は、下部配列方向壁31aと、上部配列方向壁31bと、を有する。
上部配列方向壁31bは、列間方向一方側部分と他方側部分とに分離されている。列間方向一方側部分と他方側部分との間には、相手コネクタ(図示省略)の一部が挿入される空間が形成される。
【0046】
第二ハウジング30は、一対の外側壁32を有する。
外側壁32は、端子40の一部に対し、列間方向外側に位置する。外側壁32は、複数の配列方向壁31をその列間方向外側部分で連結する。
【0047】
第二ハウジング30は、配列方向連結壁33を有する。
配列方向連結壁33は、複数の下部配列方向壁31aを配列方向で連結する。
【0048】
(複数の端子40)
コネクタ10が備える複数の端子40は、互いに同じ構造を有する。そのため、信号端子40S及び接地端子40Gは、同一の構造となっている。以下、両者を区別しないときは、単に端子40という。
【0049】
図3に示すように、端子40は、接続部41と、第一被保持部42と、中間部43と、第二被保持部44と、接触部45と、を有する。
【0050】
接続部41は、取付対象物Tに接続される。
第一被保持部42は、第一ハウジング20に保持される。
中間部43は、第一被保持部42と第二被保持部44との間に形成された弾性変形可能な部分である。つまり、中間部43は、第一ハウジング20と第二ハウジング30との相対移動を許容する。
第二被保持部44は、第二ハウジング30に保持される。
接触部45は、接続対象物(相手コネクタ、不図示)の端子と接触する。
【0051】
接続部41は、第一被保持部42の下端から列間方向外側に延び、取付対象物Tの面に半田付けされる。
第一被保持部42は、第一ハウジング20に対して上方向に圧入される。
中間部43は、第一被保持部42の上端と第二被保持部44の下端とを繋ぐ。中間部43は、第一折返部43aと、下方延在部43bと、第二折返部43cと、を有する。第一折返部43aでは、中間部43の延在方向が上方向から下方向に折り返される。第二折返部43cでは、中間部43の延在方向が下方向から上方向に折り返される。下方延在部43bは、下方向かつ列間方向内側の斜め方向に直線状に延在する。
第二被保持部44は、第二ハウジング30に対して上方向に圧入される。
接触部45は、列間方向外側から接続対象物の端子に接触する。接触部45は、接点部45aと、接点部45aを弾性支持する弾性支持部45bと、を有する。
【0052】
(接地接続部50)
図4に示すように、接地接続部50は、延在部51と、複数のバネ片52と、を有する。
【0053】
延在部51は、平板状であり、板厚方向を列間方向に向ける。延在部51は、矩形であり、端子40の配列方向であるX方向に延在する。
図5に示すように、延在部51は、第二ハウジング30の列間方向外側面32aに取り付けられる。これにより、第二ハウジング30が接地接続部50を支持することとなる。
【0054】
図4、
図5に示すように、複数のバネ片52は、複数の端子40のうち接地端子40Gに対応する位置に形成される。そして、複数のバネ片52は、それぞれ、複数の接地端子40Gの中間部43の下方延在部43bに接触する。
【0055】
複数のバネ片52の各々は、延在部51の下端から下方向に延出し、上方向に曲げられており、先端付近に形成された先端側接触部52cで延在部51に接触する。先端側接触部52cは、延在部51に向けて凸となるように曲げられている。バネ片52は、その基端52aから先端52dまで、YZ平面内の方向に伸びる。バネ片52は、基端52aから先端52dにかけて一定の幅(X方向寸法)を有する。
バネ片52のうち基端52aと先端側接触部52cとの間には、接地端子40Gに接触する端子接触部52bが形成される。バネ片52が弾性変形することにより、端子接触部52bは延在部51に対して変位可能になっている。
図5に示す基準の状態では、バネ片52は、弾性変形した状態になっている。このため、第一ハウジング20と第二ハウジング30とが相対移動しても、端子接触部52b及び基部接触部52cにおける電気的な接続状態が維持される。
【0056】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0057】
本実施形態では、
図1、
図2に示すように、コネクタ10は、ハウジング20,30と、複数の端子40と、接地接続部50と、を備える。ハウジング20,30は、第一ハウジング20と、第二ハウジング30と、を備える。複数の端子40の各々は、第一ハウジング20と第二ハウジング30との相対変位を許容する中間部43を有する。
ここで、複数の端子40は、複数の信号端子40Sと、接地接続部50によって電気的に接続された複数の接地端子40Gと、を含む。
このため、信号端子40S間のクロストークが抑制される。
【0058】
また、本実施形態では、
図4、
図5に示すように、接地接続部50は、複数の接地端子40Gに接触する複数の端子接触部52bと、複数の接地端子40Gが並ぶ方向に延びる延在部51と、を有する。このため、各端子接触部52b及び延在部51を介して、複数の接地端子40Gが電気的に接続される。
ここで、
図5に矢印記号で示すように、端子接触部52bから延在部51までの経路が2つ形成される。
このため、端子接触部52bから延在部51までの経路が1つのみの態様と比較して、接地が強化される。その結果、クロストーク抑制の効果が高い。
【0059】
また、本実施形態では、
図4に示すように、弾性変形可能なバネ片52が延在部51から複数延びている。そして、バネ片52に端子接触部52bが形成され、バネ片52のうち端子接触部52bよりも先端側の部分(先端側接触部52c)が延在部51に接触する。
このため、端子接触部52bから延在部51までの経路が複数形成される構造を実現できる。
【0060】
また、本実施形態では、
図5に示すように、接地接続部50は、第二ハウジング30に支持される。
このため、接地接続部50を複数の接地端子40Gに支持させる必要がない。
【0061】
また、本実施形態では、端子接触部52bは、接地端子40Gの中間部43に接触する。
このため、クロストーク抑制の効果が高い。
【0062】
また、本実施形態では、中間部43は、第一被保持部42の上端と第二被保持部44の下端とを繋ぐ。中間部43は、延在方向を上方向から下方向に折り返す第一折返部43aと、延在方向を下方向から上方向に折り返す第二折返部43cと、第一折返部43aと第二折返部43cとを繋ぐ下方延在部43bと、を有する。
ここで、端子接触部52bは、接地端子40Gの下方延在部43bに接触する。
このため、信号端子40Sの下方延在部43bにおけるクロストークを効果的に抑制できる。
【0063】
また、本実施形態では、端子接触部52bは、下方延在部43bの中央30%部分に接触する。
このため、より効果的に下方延在部43bにおけるクロストークを抑制できる。
【0064】
また、本実施形態では、下方延在部43bのうち端子接触部52bが接触する位置は、下方延在部43bの延在方向中央位置よりも第二被保持部44側の位置である。そして、接地接続部50は、第二ハウジング30に支持される。
このため、第一ハウジング20に対して第二ハウジング30が移動した場合でも、端子接触部52bと下方延在部43bとの接触位置のズレを小さくできる。
【0065】
また、本実施形態では、信号端子40Sと接地端子40Gとは同一構造である。
このため、接地接続部50の設計を変更するだけで、容易に、信号端子40Sと接地端子40Gとの割り当てを変更できる。
【0066】
〔上記実施形態の補足説明〕
以上、本開示のコネクタの好適な実施形態について説明したが、本開示はこれに限定されない。以下は念のための補足である。
【0067】
上記実施形態では、第一ハウジング20が、列間方向一方側の端子保持部21と、列間方向他方側の端子保持部21と、のみを備えており、2つの部材に分離されている。しかし、本開示の第一ハウジングは、これに限定されず、1つの部材として形成されてもよい。
【0068】
上記実施形態では、第二ハウジング30における、相手コネクタ(図示省略)の一部が挿入される空間が配列方向両側に開放されている。しかし、本開示の第二ハウジングはこれに限定されない。
【0069】
上記実施形態では、端子40が、ハウジング20,30に圧入されることで保持される。しかし、本開示の端子は、これに限定されず、インサート成形により保持されてもよい。
【0070】
上記実施形態では、接地接続部50が、第二ハウジング30に支持される。しかし、本開示の接地接続部は、これに限定されず、第一ハウジングに支持されてもよいし、複数の接地端子に支持されてもよい。
【0071】
上記実施形態では、複数の端子40が、GSSGGSSGGSSGの並びで配列されている。しかし、本開示の複数の端子は、これに限定されない。例えば、複数の端子は、GSGGSGの並びで配列されてもよいし、その他の並びで配列されてもよい。
【0072】
上記実施形態では、複数(12個)の一方側端子40に対して1つの接地接続部50が設けられ、複数(12個)の他方側端子40に対して1つの接地接続部50が設けられる。しかし、本開示のコネクタはこれに限定されない。
例えば、変形例に係るコネクタは、複数(24個)の一方側端子40と、複数(24個)の他方側端子40と、を備え、かつ、複数の一方側端子40に対して2つの接地接続部50が設けられ、複数の他方側端子40に対して2つの接地接続部50が設けられてもよい。当該コネクタのうち、複数(24個)の一方側端子40とこれに対応して設けられた2つの接地接続部50のみを
図6に示す。
【0073】
上記の変形例に係るコネクタは、
図6に示すように、複数の端子40と同一線上に配列された複数の追加端子140と、接地接続部50と同一構造を有する追加接地接続部150と、を更に備える。そして、複数の追加端子140は、複数の信号端子140Sと、追加接地接続部150によって電気的に接続された複数の接地端子140Gと、を含む。
このため、同一線上に配列される端子40,140の数に応じて、接地接続部50,150の数を変えることで、信号端子40S,140S間のクロストークを効果的に抑制できる。つまり、同一線上に配列される端子の数に応じた接地接続部を製造する必要がない。
なお、上記変形例において、接地接続部50及び追加接地接続部150が、互いに電気的に接続されるようにしてもよい。
この場合、接地接続部50及び追加接地接続部150が互いに電気的に接続されない態様と比較して、接地が強化され、クロストーク抑制の効果が高くなる。
【0074】
上記実施形態及び上記変形例では、12個の端子に対して1つの接地接続部が設けられる。しかし、本開示の接地接続部は、これに限定されず、例えば4個の端子に対して1つの接地接続部が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 コネクタ
20,30 ハウジング
20 第一ハウジング
30 第二ハウジング
40 端子
40S 信号端子
40G 接地端子
42 第一被保持部
43 中間部
43a 第一折返部
43b 下方延在部
43c 第二折返部
44 第二被保持部
50 接地接続部
51 延在部
52 バネ片
52b 端子接触部
52c 先端側接触部