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特開2024-130458乗客コンベア検査システム、及び乗客コンベア検査システムの通信設定方法
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  • 特開-乗客コンベア検査システム、及び乗客コンベア検査システムの通信設定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130458
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】乗客コンベア検査システム、及び乗客コンベア検査システムの通信設定方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 25/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B66B25/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040195
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】森田 英揮
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA02
3F321DB05
3F321DC05
3F321HA04
(57)【要約】
【課題】容易に各検査装置120に特定のIPアドレスを設定することができる乗客コンベア検査システム100、及び乗客コンベア検査システムの通信設定方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示よる乗客コンベア検査システムは、管理装置110と、1つ以上の乗客コンベアに対応して設置された1つ以上の検査装置120と、ネットワーク130と、を備え、管理装置110は、特定IPアドレスをIPアドレス書換要求信号を送信した検査装置120に送信することができ、特定IPアドレスを受信した検査装置120は、自身のIPアドレスを受信した特定IPアドレスに書き換えることができ、特定IPアドレスは、検査装置120が管理記憶部に記憶された各特定IPアドレスの中から抽出したものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理記憶部を有した管理装置と、
1つ以上の乗客コンベアに対応して設置された1つ以上の検査装置と、
前記管理装置と各前記検査装置とを通信可能に接続するネットワークと、
を備え、
前記管理記憶部には、各前記検査装置に対応する特定IPアドレスが記憶されており、
各前記検査装置は、各前記検査装置に対応する前記乗客コンベアに設置された操作デバイスが出力する信号が入力される検査入出力部を有し、
前記管理装置は、前記管理装置、及び各前記検査装置のそれぞれのIPアドレスを一次IPアドレスに書き換えて、前記管理装置、及び各前記検査装置のそれぞれが通信可能となる状態にすることができ、
各前記検査装置は、前記信号に応じてIPアドレス書換要求信号を前記管理装置に送信することができ、
前記管理装置は、前記IPアドレス書換要求信号を送信した前記検査装置の前記IPアドレスを、前記一次IPアドレスから前記特定IPアドレスに書き換えることができ、
前記特定IPアドレスは、前記検査装置が前記管理記憶部に記憶された各前記特定IPアドレスの中から抽出したものであり、
前記管理装置は、抽出した前記特定IPアドレスを前記IPアドレス書換要求信号を送信した前記検査装置に送信することができ、
前記管理装置が抽出した前記特定IPアドレスを受信した前記検査装置は、自身の前記IPアドレスを受信した前記特定IPアドレスに書き換えることができる、
乗客コンベア検査システム。
【請求項2】
前記管理記憶部に記憶された各前記特定IPアドレスは、予め定められた書換順序に関連付けられて記憶されており、
前記特定IPアドレスは、各前記検査装置からの前記IPアドレス書換要求信号を受信した順に対応する前記書換順序に関連付けられた前記特定IPアドレスを抽出したものであり、
前記書換順序は、1つ以上の前記検査装置に対して前記IPアドレスを前記特定IPアドレスに書き換える順序である、
請求項1に記載の乗客コンベア検査システム。
【請求項3】
各前記操作デバイスは、対応する前記乗客コンベアの運転に関するキースイッチであり、
前記管理装置、及び各前記検査装置が特定IPアドレス書換モードであるときに、各前記検査装置は、前記信号に応じて前記IPアドレス書換要求信号を前記管理装置に送信することができる、
請求項1に記載の乗客コンベア検査システム。
【請求項4】
各前記操作デバイスは、対応する前記乗客コンベアの欄干に設置されている、
請求項1に記載の乗客コンベア検査システム。
【請求項5】
前記管理装置には、サーバーが通信可能に接続されており、
前記サーバーは、前記管理装置に前記書換順序に関連付けて1つ以上の前記特定IPアドレスを入力することができ、
前記管理装置は、前記サーバーから入力された前記書換順序に関連付けられた1つ以上の前記特定IPアドレスを前記管理記憶部に記憶させることができる、
請求項2の乗客コンベア検査システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された乗客コンベア検査システムを準備する準備工程と、
前記準備工程の後に実施される、前記管理装置、及び各前記検査装置を通信可能に接続する一次通信設定工程と、
前記一次通信設定工程の後に実施される、1つ以上の前記検査装置のそれぞれの前記IPアドレスを前記一次IPアドレスから前記特定IPアドレスに書き換える特定IPアドレス書換工程と、
を備え、
前記特定IPアドレス書換工程では、全ての前記検査装置の前記IPアドレスが前記一次IPアドレスから前記特定IPアドレスに書き換えられた状態で通信を確立させる、
乗客コンベア検査システムの通信設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗客コンベア検査システム、及び乗客コンベア検査システムの通信設定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビル内の移動システムであるエレベーターシステムのネットワークに接続される各ホストは、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)でのIPアドレス(Internet Protocol Address)の設定、又はDHCPを用いずに手動でのIPアドレスの設定がなされていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-052935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エスカレーターの機械室に設置された各検査装置に対して特定のIPアドレスに書き換える場合、特許文献1に示される通り手動で設定をするが、これには、作業者が機械室内部に設置された検査装置上のスイッチを直接操作する必要がある。このため、各検査装置のIPアドレスの書き換えに多くの労力を費やさなければならないという問題があった。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、容易に各検査装置に特定のIPアドレスを書き換えることができる乗客コンベア検査システム、及び乗客コンベア検査システムの通信設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示による乗客コンベア検査システムは、管理記憶部を有した管理装置と、1つ以上の乗客コンベアに対応して設置された1つ以上の検査装置と、管理装置と各検査装置とを通信可能に接続するネットワークと、を備え、管理記憶部には、各検査装置に対応する特定IPアドレスが記憶されており、各検査装置は、各検査装置に対応する乗客コンベアに設置された操作デバイスが出力する信号が入力される検査入出力部を有し、管理装置は、管理装置、及び各検査装置のそれぞれのIPアドレスを一次IPアドレスに書き換えて、管理装置、及び各検査装置のそれぞれが通信可能となる状態にすることができ、各検査装置は、信号に応じてIPアドレス書換要求信号を管理装置に送信することができ、管理装置は、IPアドレス書換要求信号を送信した検査装置のIPアドレスを、一次IPアドレスから特定IPアドレスに書き換えることができ、特定IPアドレスは、検査装置が管理記憶部に記憶された各特定IPアドレスの中から抽出したものであり、管理装置は、抽出した特定IPアドレスをIPアドレス書換要求信号を送信した検査装置に送信することができ、管理装置が抽出した特定IPアドレスを受信した検査装置は、自身のIPアドレスを受信した特定IPアドレスに書き換えることができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示による乗客コンベア検査システム、及び乗客コンベア検査システムの通信設定方法によれば、容易に検査装置のIPアドレスを特定のIPアドレスに書き換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1による乗客コンベア検査システムを示す概略図である。
図2図1の管理装置を示す概略図である。
図3図1の検査装置を示す概略図である。
図4図1のエスカレーターを示す側面図である。
図5図4のエスカレーターに設けられた操作部を示す正面図である。
図6図1の乗客コンベア検査システムの通信設定方法を示すフロー図である。
図7図1の管理装置、及び各検査装置の機能を実現する処理回路の第1の例を示す構成図である。
図8図1の管理装置、及び各検査装置の機能を実現する処理回路の第2の例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による乗客コンベア検査システム100の全体を示す概略図である。実施の形態1における乗客コンベアは、エスカレーター1である。乗客コンベア検査システム100は、管轄対象である8基のエスカレーター1A~1Hに関する情報を収集し、記憶するシステムである。なお、本実施の形態では、管轄対象である8基のエスカレーター1A~1Hは、ビルの内部に設置されている。
【0010】
乗客コンベア検査システム100は、管理装置110と、16個の検査装置120LA~120UHと、ネットワーク130と、を備えている。管理装置110、及び16個の検査装置120LA~120UHは、ネットワーク130に接続されることで、互いに通信可能となっている。
【0011】
管理装置110は、ビルの内部に設置されており、管轄する8基のエスカレーター1A~1Hに関する情報を収集することができる。図2は、図1の管理装置110を示す概略図である。管理装置110は、管理制御部110aと、管理記憶部110bと、管理入出力部110cとを有している。
【0012】
管理制御部110aは、管理記憶部110bに記憶された情報、及び管理入出力部110cを介して入力された情報に基づいて、演算を実施し、他の機器に必要な指令、及び情報を管理入出力部110cを介して出力することができる。
【0013】
図1に戻り説明を続ける。2台の検査装置120が1基のエスカレーター1に対して設置されている。各検査装置120は、エスカレーター1の機械室6の内部に1台設置されている。機械室6については後に説明をする。
【0014】
図3は、図1の検査装置120を示す概略図である。各検査装置120は、検査制御部120aと、検査記憶部120bと、検査入出力部120cと、を有している。検査制御部120aは、検査入出力部120cを介して、他の検査装置120、及び管理装置110と情報通信をすることができる。
【0015】
各検査装置120には、対応するエスカレーター1に設置された図示しない複数のセンサーの信号、図示しない撮影機構により撮影された画像、及び対応するエスカレーター1に設置された複数の操作デバイスの信号が検査入出力部120cを介して入力されている。
【0016】
複数のセンサーは、例えば、エスカレーター1の動作音、及びエスカレーター1の周囲の環境音を集音するマイク、エスカレーター1に用いられている手摺チェーンの弛みを検知するセンサーなどである。撮影機構は、対応するエスカレーター1の一部を撮影することができる。
【0017】
図1に戻り説明を続ける。ネットワーク130は、情報通信可能な配線で構築されている。ネットワーク130は、LAN配線(Local area network配線)、及び電力配線といった配線にて構成されている。なお、本実施の形態では、ネットワーク130は、物理的な配線により構築されているが、一部、又は全部が無線により構築されてもよい。
【0018】
乗客コンベア検査システム100は、インターネット回線210を介してサーバー200と情報通信可能に接続されている。管理装置110とサーバー200とは、例えばLTE回線(Long Term Evolution回線)、又は光ケーブルなどを用いたインターネット回線210で接続されている。
【0019】
サーバー200は、管理装置110が収集し、記憶した各エスカレーター1A~1Hの情報を収集し、記憶することができる。サーバー200には、図示しない複数のコンピュータ端末がインターネット回線210を介して通信可能に接続することができる。
されている。
【0020】
作業者は、コンピュータ端末を用いてサーバー200にアクセスすることで、サーバー200に記憶された各エスカレーター1A~1Hの情報を、閲覧し、コンピュータ端末にダウンロードし取得することができる。作業者は、コンピュータ端末を用いて、取得した情報に基づいて、帳票、及び報告書といった書類の作成、及び情報表示のためのWEB作成といった作業を実施することができる。
【0021】
図4は、図1におけるエスカレーター1の側面を示す概略図である。エスカレーター1は、上階UFと下階LFとの間に渡されて設置されている。エスカレーター1は、一対の欄干2と、一対の欄干2の間を移動する複数の踏段4とを有している。踏段4上に乗り込んだ乗客は、踏段4が移動することで上階UFから下階LF、又は下階LFから上階UFに移動することができる。
【0022】
エスカレーター1の下階LFの端部には、乗客がエスカレーター1に乗車、或いは乗客がエスカレーター1から降車するための下乗降口5Lが設けられている。下乗降口5Lの床下には、下機械室6Lが設けられている。下機械室6Lには、下検査装置120Lが設置されている。
【0023】
エスカレーター1の上階UFの端部には、乗客がエスカレーター1に乗車、或いは乗客がエスカレーター1から降車するための上乗降口5Uが設けられている。上乗降口5Uの床下には、上機械室6Uが設けられている。上機械室6Uには、上検査装置120Uが設置されている。
【0024】
一方の欄干2の下部であって下階LF側の端部付近には、下操作部10Lが設置されている。下操作部10Lが設置されている欄干2の下部であって、上階UF側の端部付近には、上操作部10Uが設置されている。下操作部10Lと上操作部10Uとは、踏段4側に面して設置されている。
【0025】
図4に示されている上操作部10Uと下操作部10Lとは、同一の構成であるため操作部10として説明をする。図5は、図4のエスカレーター1に設けられた操作部10を示す概略図である。操作部10には、操作デバイスとしての運転キースイッチ11、運転方向切替キースイッチ12、及び非常停止ボタン15が含まれている。
【0026】
操作部10に設置されている操作デバイスのそれぞれは、信号線を介して対応する検査装置120に接続されている。従って、操作デバイスのそれぞれの信号は、対応する検査装置120に入力される。即ち、エスカレーター1の上階UF側に設置された上操作部10Uに設置されている操作デバイスのそれぞれの信号は、上階UF側に設けられた上機械室6Uに設置された上検査装置120Uに入力される。
【0027】
運転キースイッチ11、及び運転方向切替キースイッチ12といったキースイッチは、専用の鍵をキースイッチ自身の鍵穴に差し込み、差し込んだ鍵でキースイッチを操作することができるものである。運転キースイッチ11では、運転キースイッチ11を操作してエスカレーター1の運転状態を、起動、又は停止のいずれかに選択することができる。運転方向切替キースイッチ12では、運転方向切替キースイッチ12を操作してエスカレーター1の移動方向を、上昇、又は下降のいずれかに選択することができる。非常停止ボタン15は、非常停止ボタン15を押すことで、エスカレーター1を非常停止状態にすることができる。
【0028】
なお、本開示では、下階LFに設置されている構成について、「下」という接頭詞をその構成の名称に付し、さらにその構成の符号にLを付す。上階UFに設置されている構成について、「上」という接頭詞をその構成の名称に付し、さらにその構成の符号にUを付す。1号機~8号機のエスカレーター1に対応して設置されている構成について、「1号」~「8号」という接頭詞をその構成の名称に付し、さらにその構成の符号にA~Hを付す。
【0029】
例えば、8号機のエスカレーター1の上階UFに設置された機械室6は、8号上機械室6UHである。8号上機械室6UHの内部には、8号上検査装置120UHが配置されている。
【0030】
次に、乗客コンベア検査システム100の通信設定方法について説明する。図6は、図1の乗客コンベア検査システム100の通信設定方法を示すフロー図である。
【0031】
乗客コンベア検査システム100の通信設定方法では、管理装置110、及び16台の検査装置120のそれぞれのIPアドレスを特定のIPアドレスである特定IPアドレスに書き換え、互いに通信可能とするものである。
【0032】
各検査装置120についてのIPアドレスを特定IPアドレスに書き換える順序である書換順序は、予め定められている。ここでは、書換順序を、初めから1号下検査装置120LA、1号上検査装置120UA、2号下検査装置120LB、2号上検査装置120UB、3号下検査装置120LC、3号上検査装置120UC、4号下検査装置120LD、4号上検査装置120UD、5号下検査装置120LE、5号上検査装置120UE、6号下検査装置120LF、6号上検査装置120UF、7号下検査装置120LG、7号上検査装置120UG、8号下検査装置120LH、及び8号上検査装置120UHの順とする。
【0033】
まず、ステップS01の準備工程が実施される。準備工程では、乗客コンベア検査システム100を構築する。具体的には、管理装置110と、16個の検査装置120と、ネットワーク130とを設置し、管理装置110と、16個の検査装置120とをネットワーク130に接続し、管理装置110と、16個の検査装置120とに電源を投入とする。
【0034】
ステップS01の準備工程の後、ステップS02の一次通信設定工程が実施される。一次通信設定工程では、管理装置110と、16個の検査装置120とのそれぞれが互いに通信可能に設定される。
【0035】
一次通信設定工程では、管理装置110によって、管理装置110、及び16個の検査装置120のそれぞれのIPアドレスが初期設定されたIPアドレスから一次IPアドレスに書き換えられる。一次通信設定工程で付与される一次IPアドレスは、動的IPアドレスであって、管理装置110が決定したIPアドレスである。
【0036】
管理装置110は、DHCPサーバー機能を有しており、ネットワーク130に接続された管理装置110、及び各検査装置120に動的IPアドレスを付与することができる。これにより、管理装置110と、16個の検査装置120とは、一次IPアドレスで通信可能となる。
【0037】
ステップS02の一次通信設定工程の後、ステップS03の特定IPアドレス書換工程が実施される。特定IPアドレス書換工程では、管理装置110、及び各検査装置120のそれぞれのIPアドレスが特定IPアドレスに書き換えられ、通信可能に接続される。特定IPアドレスは、乗客コンベア検査システム100の設計者が決定した、管理装置110と、16個の検査装置120とに付与する特定のIPアドレスである。
【0038】
管理装置110、及び16個の検査装置120のそれぞれに対応する17個の特定IPアドレスは、管理記憶部110bに予め記憶されている。管理装置110に対応する特定IPアドレスを管理装置特定IPアドレスとしたときに、管理装置特定IPアドレス以外の各特定IPアドレスは、IPアドレスの書換順序に関連付けられて管理記憶部110bに記憶されている。各特定IPアドレスは、作業者によって図示しないインターフェイス装置を用いて管理装置110に入力され、管理記憶部110bに記憶されている。
【0039】
まず、作業者の指令に基づいて、管理装置110は、通常モードから特定IPアドレス書換モードに移行する。作業者は、管理装置110に対して、例えば図示しないインターフェイス装置を用いて特定IPアドレス書換モードに移行する指令を入力する。これにより、管理装置110、及び各検査装置120は、運転モードから特定IPアドレス書換モードへ移行する。
【0040】
特定IPアドレス書換モードへ移行すると、管理装置110は、まず自身のIPアドレスとして書き換えるべき管理装置特定IPアドレスを管理記憶部110bから抽出する。
【0041】
管理装置110は、抽出した管理装置特定IPアドレスに自身のIPアドレスを書き換え、各検査装置120との通信を再開する。管理装置110は、管理装置特定IPアドレスでの通信が確立できたことを確認した後、作業者に次の作業に移ることを促す。
【0042】
管理装置110は、前述したIPアドレスの書換順序に沿って次に書き換えられるべき検査装置120を把握している。従って、管理装置110は、作業者に次の作業を実施することを促すために、管理装置110に接続されている図示しない表示機器に、「1号下検査装置の操作デバイスを操作して下さい。」といったメッセージを表示してもよい。
【0043】
作業者は、1号下検査装置120LAに接続された1号下操作部10LA上の操作デバイスに対して特定の操作を実施する。本実施の形態では、操作デバイスに対する特定の操作とは、非常停止ボタン15を押すこととする。
【0044】
非常停止ボタン15の信号は、1号下検査装置120LAに入力されている。特定IPアドレス書換モードにおいて、非常停止ボタン15が押されると、非常停止ボタン15が押された旨の信号に基づいて1号下検査装置120LAは、ネットワーク130を介して、IPアドレス書換要求信号を管理装置110に送信する。
【0045】
本実施の形態では、IPアドレス書換要求信号は、IPアドレス書換要求信号を送信した検査装置120のIPアドレスとする。このIPアドレスは、一次IPアドレスである。
【0046】
管理装置110は、IPアドレス書換要求信号としてIPアドレスを受信することで、IPアドレスを書き換えるべき検査装置120を特定することができる。
【0047】
管理装置110は、書換順序の1番目に関連付けられた特定IPアドレスを管理記憶部110bから抽出する。即ち、抽出された特定IPアドレスは、書換順序の1番目に関連付けられた検査装置120である1号下検査装置120LAに対して付与されるべき特定IPアドレスである。
【0048】
管理装置110は、IPアドレス書換要求信号であるIPアドレスを有した機器(1号下検査装置120LA)に対して抽出した特定IPアドレスを送信するとともに、当該機器のIPアドレスを一次IPアドレスから送信した特定IPアドレスに書き換える命令を与える。なお、管理装置110は、IPアドレスを一次IPアドレスから送信した特定IPアドレスに書き換える命令を与えているが、これに限られたものではない。
【0049】
例えば、管理装置110は、当該機器のIPアドレスを一次IPアドレスから送信した特定IPアドレスに書き換える命令を与えなくてもよい。この場合、管理装置110は、IPアドレス書換要求信号であるIPアドレスを有した機器に対して特定IPアドレスを送信することで、特定IPアドレスに書き換える命令を与えることにかえてもよい。
【0050】
1号下検査装置120LAは、一次IPアドレスから送信された特定IPアドレスに自身のIPアドレスを書き換え、管理装置110との通信を再開する。管理装置110は、1号下検査装置120LAのIPアドレスが特定IPアドレスに書き換えられたことを確認する。管理装置110が1号下検査装置120LAのIPアドレスが特定IPアドレスに書き換えられたことを確認するために、1号下検査装置120LAは、特定IPアドレスに書き換えられた旨を示す信号を送信してもよい。
【0051】
管理装置110は、作業者に対して、1号下検査装置120LAのIPアドレスが特定IPアドレスに書き換えられたことを報告し、かつ、次の検査装置120、即ち1号上検査装置120UAのIPアドレスを特定IPアドレスに書き換えることを促す。
【0052】
作業者は、1号下操作部10LA上の非常停止ボタン15を復帰させた後、1号上操作部10UA上の非常停止ボタン15を押す。これにより、1号上検査装置120UAに対応する非常停止ボタン15の信号が1号上検査装置120UAに入力され、IPアドレス書換要求信号が1号上検査装置120UAからネットワーク130を介して、管理装置110に送信される。
【0053】
管理装置110は、1号下検査装置120LAの特定IPアドレスの書き換えが終了した後、次にIPアドレス書換要求信号を送信した検査装置120を、書換順序の2番目に該当する検査装置120であると把握する。
【0054】
管理装置110は、管理記憶部110bから書換順序の2番目に関連付けられた特定IPアドレスを抽出する。管理装置110は、IPアドレス書換要求信号を送信した検査装置120に抽出した特定IPアドレスを送信するとともに、検査装置120のIPアドレスを一次IPアドレスから送信した特定IPアドレスに書き換える命令を与える。
【0055】
1号上検査装置120UAは、一次IPアドレスから送信された特定IPアドレスに自身のIPアドレスを書き換え、管理装置110との通信を再開する。管理装置110は、1号上検査装置120UAのIPアドレスが特定IPアドレスに書き換えられたことを確認する。
【0056】
管理装置110は、1号上検査装置120UAのIPアドレスが特定IPアドレスに書き換えられたことを作業者に報告し、かつ、次の検査装置120である2号下検査装置120LBのIPアドレスを特定IPアドレスに書き換えることを促す。
【0057】
このように、管理装置110は、定められた書換順序に沿って抽出した特定IPアドレスを、IPアドレス書換要求信号を送信した検査装置120に順に送信し、当該検査装置120のIPアドレスを特定IPアドレスに書き換えるように命令する。これを書換順序通り繰り返し、最後の8号上検査装置120UHのIPアドレスが特定IPアドレスに書き換えられると、ステップS02の特定IPアドレス書換工程が終了する。
【0058】
ステップS03の特定IPアドレス書換工程の後、ステップS04のヘルシーチェック工程を実施する。管理装置110のIPアドレス、及び各検査装置120のIPアドレスのそれぞれが一次IPアドレスから特定IPアドレスに書き換えられた状態で、管理装置110は、各検査装置120に対してヘルシーチェックを実施する。ヘルシーチェックとは、各検査装置120の機能と各検査装置120への通信とが健全であるか否かの検査することである。ヘルシーチェックで問題ないことが確認されると、管理装置110、及び各検査装置120は、特定IPアドレス書換モードから通常モードに戻り、ヘルシーチェック工程は終了する。
【0059】
これにより、管理装置110と、各検査装置120との通信設定が終了し、管理装置110と、各検査装置120とは、特定IPアドレスにて互いに通信可能となる。
【0060】
なお、ヘルシーチェックで問題があった場合、管理装置110は、その旨を作業者に報告して、管理装置110と、各検査装置120との通信設定を終了する。これにて、管理装置110、及び各検査装置120は、特定IPアドレス書換モードから通常モードに戻り、ヘルシーチェック工程は終了する。作業者は、ヘルシーチェックでの問題点を探し出し、修復し、再度通信設定をすることとなる。
【0061】
図7は、図1の管理装置110、及び各検査装置120の機能を実現する処理回路の第1の例を示す構成図である。管理装置110、及び各検査装置120の制御装置の機能は、好適な処理回路によって実現される。第1の例の処理回路300は、専用のハードウエアである。
【0062】
また、処理回路300は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
【0063】
図8は、図1の管理装置110、及び各検査装置120の機能を実現する処理回路の第2の例を示す構成図である。第2の例の処理回路310は、プロセッサ311及びメモリ312を備えている。
【0064】
処理回路310では、管理装置110、及び各検査装置120の機能は、ソフトウエア、ファームウエア、又はソフトウエアとファームウエアとの組み合わせにより実現される。ソフトウエア及びファームウエアは、プログラムとして記述され、メモリ312に格納される。プロセッサ311は、メモリ312に記録されたプログラムを読み出して実行することにより、機能を実現する。
【0065】
メモリ312に格納されたプログラムは、上述した各部の手順、又は方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。ここで、メモリ312とは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の、不揮発性、又は揮発性の半導体メモリである。また、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等も、メモリ312に該当する。
【0066】
なお、上述した管理装置110、及び各検査装置120の機能について、一部の専用のハードウエアで実現し、一部をソフトウエア、又はファームウエアで実現するようにしてもよい。
【0067】
このように、処理回路は、ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエア、又はこれらの組み合わせによって、上述した乗客コンベア検査システム100の機能を実現することができる。
【0068】
実施の形態1における乗客コンベア検査システム100は、管理装置110と、1つ以上の検査装置120と、ネットワーク130と、を備えている。また、管理装置110は、管理記憶部110bを有している。また、1つ以上の検査装置120は、1つ以上のエスカレーター1に対応して設置されている。また、ネットワーク130は、管理装置110と各検査装置120とを通信可能に接続する。また、管理記憶部110bには、各検査装置120に対応する特定IPアドレスが記憶されている。また、各検査装置120は、各検査装置120に対応するエスカレーター1に設置された操作デバイスが出力する信号が入力される検査入出力部を有している。また、管理装置110は、管理装置110、及び各検査装置120のそれぞれのIPアドレスを一次IPアドレスに書き換えて、管理装置110、及び各検査装置120のそれぞれが通信可能となる状態にすることができる。また、各検査装置120は、信号に応じてIPアドレス書換要求信号を管理装置110に送信することができる。また、管理装置110は、IPアドレス書換要求信号を送信した検査装置120のIPアドレスを、一次IPアドレスから特定IPアドレスに書き換えることができる。また、特定IPアドレスは、管理装置110が管理記憶部110bに記憶された各特定IPアドレスを抽出したものである。また、管理装置110は、抽出した特定IPアドレスをIPアドレス書換要求信号を送信した検査装置120に送信することができ、管理装置110が抽出した特定IPアドレスを受信した検査装置120は、自身のIPアドレスを受信した特定IPアドレスに書き換えることができる。これにより、管理装置110と各検査装置120との通信により、管理装置110が各検査装置120のIPアドレスを対応する特定IPアドレスに書き換えることができ、各検査装置120への特定IPアドレスの手入力の必要がない。従って、容易に検査装置120のIPアドレスを特定のIPアドレスに書き換えることができる。また、エスカレーター1に設置された操作デバイスを操作することで、IPアドレスを書き換えるべき検査装置120を特定することがでる。従って、作業者は、機械室6内に設置された検査装置120に対してアクセスする必要がなく、容易に検査装置120のIPアドレスを特定のIPアドレスに書き換えることができる。また、エスカレーター1に設置された操作デバイスを用いて特定IPアドレスの書き換えを行っていることから、物理的に操作デバイスを操作する必要があり、セキュリティー上の安全性を向上することができる。
【0069】
実施の形態1における乗客コンベア検査システム100では、管理記憶部110bに記憶された各特定IPアドレスは、予め定められた書換順序に関連付けられて記憶されている。また、特定IPアドレスは、各検査装置120からのIPアドレス書換要求信号を受信した順に対応する書換順序に関連付けられた特定IPアドレスを抽出したものである。また、書換順序は、1つ以上の検査装置120に対してIPアドレスを特定IPアドレスに書き換える順序である。これにより、各特定IPアドレスを書換順序に関連付けて記憶することで、所望の検査装置120のIPアドレスを特定IPアドレスに書き換えることができる。従って、より容易に全ての検査装置120のIPアドレスを特定のIPアドレスに書き換えることができる。
【0070】
実施の形態1における乗客コンベア検査システム100では、各操作デバイスは、対応するエスカレーター1の欄干2に設置されている。これにより、各検査装置120が設置された機械室6の内部にまで作業者が赴く必要がなく、より容易に検査装置120のIPアドレスを特定のIPアドレスに書き換えることができる。
【0071】
実施の形態1におけるエスカレーター1の乗客コンベア検査システム通信設定方法では、準備工程と、準備工程の後に実施される一次通信設定工程と、一次通信設定工程の後に実施される特定IPアドレス書換工程を備えている。また、準備工程では、乗客コンベア検査システム100を準備する。また、一次通信設定工程では、管理装置110、及び各検査装置120を通信可能に接続する。また、特定IPアドレス書換工程では、1つ以上の検査装置120のそれぞれのIPアドレスを一次IPアドレスから特定IPアドレスに書き換える。また、特定IPアドレス書換工程では、全ての検査装置120のIPアドレスが一次IPアドレスから特定IPアドレスに書き換えられた状態で通信を確立させる。これにより、管理装置110と各検査装置120との通信により、管理装置110が各検査装置120のIPアドレスを対応する特定IPアドレスに書き換えることができ、各検査装置120への特定IPアドレスの手入力の必要がない。従って、容易に検査装置120のIPアドレスを特定のIPアドレスに書き換えることができる。
【0072】
なお、実施の形態1の乗客コンベア検査システム100では、書換順序に関連付けられた複数の特定IPアドレスは、作業者によって図示しないインターフェイス装置によって管理装置110に入力され、管理記憶部110bに記憶されている。しかし、これに限られたものではない。例えば、書換順序に関連付けられた複数の特定IPアドレスは、サーバー200からインターネット回線210を介して管理装置110に入力されてもよい。さらに、サーバー200に接続されたコンピュータ端末を用いて、作業者が、サーバー200から管理装置110に所望の特定IPアドレスを入力してもよい。このような場合、管理制御部110aは、サーバー200を経由して入力された書換順序に関連付けられた複数の特定IPアドレスを管理記憶部110bに記憶させる。これにより、管理装置110から物理的に離れた場所で、管理装置110に書換順序に関連付けられた複数の特定IPアドレスを入力させることができ、作業者にとって利便性が増す。
【0073】
実施の形態1における乗客コンベア検査システム100では、管理装置110には、サーバー200が通信可能に接続されており、サーバー200は、管理装置110に書換順序に関連付けて1つ以上の特定IPアドレスを入力することができる。また、管理装置110は、サーバー200から入力された書換順序に関連付けられた1つ以上の特定IPアドレスを管理記憶部110bに記憶させることができる。これにより、特定IPアドレスをビル内などの現場で入力する必要がなく、例えば、事前にサーバー200を経由して管理記憶部110bに記憶させることができる。従って、より容易に検査装置120のIPアドレスを特定のIPアドレスに書き換えることができる。
【0074】
また、実施の形態1におけるサーバー200は、インターネット回線210を介して1つの乗客コンベア検査システム100と接続されている。しかし、これに限られたものではない。サーバー200には、インターネット回線210を介して複数の管轄区域のそれぞれに設置されている1つ以上の乗客コンベア検査システム100が接続されてもよい。これにより、作業者は、サーバー200にアクセスすることで、複数の乗客コンベア検査システム100のそれぞれが管理する各エスカレーター1の状態を把握することができる。
【0075】
また、実施の形態1の乗客コンベア検査システム100では、操作デバイスに対する特定の操作は、非常停止ボタン15を押す操作である。しかし、これに限られたものではない。例えば、操作デバイスに対する特定の操作として、運転キースイッチ11を駆動、又は停止のいずれかを選択する操作、又は、運転方向切替キースイッチ12を上昇、又は下降のいずれかを選択する操作でもよい。この場合には、他のエスカレーター1に設置されている全ての運転キースイッチ11、あるいは全ての運転方向切替キースイッチ12の初期の選択状態が、同一の等しい選択肢を選択している状態であることが必要である。また、例えば、運転キースイッチ11、運転方向切替キースイッチ12、及び非常停止ボタン15を特定の順で操作するといった操作でもよい。この場合、操作デバイスそれぞれの操作順を作業者しか知り得ない状況にしておくことで、特定IPアドレスの書き換えが作業者にしかできないようにすることができる。これにより、作業の安全性を高めることができる。
【0076】
実施の形態1における乗客コンベア検査システム100では、各操作デバイスは、対応するエスカレーター1の運転に関するキースイッチである。また、管理装置110、及び各検査装置120が特定IPアドレス書換モードであるときに、各検査装置120は、キースイッチの信号に応じてIPアドレス書換要求信号を管理装置110に送信することができる。これにより、検査装置120に特別なスイッチを用意する手間が省ける。また、エスカレーター1の運転に関するキースイッチに対応する鍵を用いることで、当該鍵を有した者しか特定IPアドレスに書き換えることができず、セキュリティー上の安全性をより向上することができる。また、操作デバイスとして対応するエスカレーター1の運転に関するキースイッチを用いている。従って、作業者は、エスカレーター1に設置されたキースイッチを操作すればよく、機械室20内に設置された検査装置120に対してアクセスする必要がない。よって、より容易に検査装置120のIPアドレスを特定のIPアドレスに書き換えることができる。
【0077】
また、実施の形態1の乗客コンベア検査システム100では、管理装置110は、操作部10に設けられた操作デバイスの操作に基づいて、各検査装置120を特定している。しかし、これに限られたものではない。例えば、操作部10以外に設けられた操作デバイスを用いてもよい。
【0078】
また、実施の形態1の乗客コンベア検査システム100では、16台の検査装置120を有している。しかし、これに限られたものではない。検査装置120は、何台でもよい。
【0079】
また、実施の形態1におけるエスカレーター1は、動く歩道であってもよい。即ち、実施の形態1における技術思想は、乗客コンベア全般に用いることができる。
【0080】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する、
(付記1)
管理記憶部を有した管理装置と、
1つ以上の乗客コンベアに対応して設置された1つ以上の検査装置と、
前記管理装置と各前記検査装置とを通信可能に接続するネットワークと、
を備え、
前記管理記憶部には、各前記検査装置に対応する特定IPアドレスが記憶されており、
各前記検査装置は、各前記検査装置に対応する前記乗客コンベアに設置された操作デバイスが出力する信号が入力される検査入出力部を有し、
前記管理装置は、前記管理装置、及び各前記検査装置のそれぞれのIPアドレスを一次IPアドレスに書き換えて、前記管理装置、及び各前記検査装置のそれぞれが通信可能となる状態にすることができ、
各前記検査装置は、前記信号に応じてIPアドレス書換要求信号を前記管理装置に送信することができ、
前記管理装置は、前記IPアドレス書換要求信号を送信した前記検査装置の前記IPアドレスを、前記一次IPアドレスから前記特定IPアドレスに書き換えることができ、
前記特定IPアドレスは、前記検査装置が前記管理記憶部に記憶された各前記特定IPアドレスの中から抽出したものであり、
前記管理装置は、抽出した前記特定IPアドレスを前記IPアドレス書換要求信号を送信した前記検査装置に送信することができ、
前記管理装置が抽出した前記特定IPアドレスを受信した前記検査装置は、自身の前記IPアドレスを受信した前記特定IPアドレスに書き換えることができる、
乗客コンベア検査システム。
(付記2)
前記管理記憶部に記憶された各前記特定IPアドレスは、予め定められた書換順序に関連付けられて記憶されており、
前記特定IPアドレスは、各前記検査装置からの前記IPアドレス書換要求信号を受信した順に対応する前記書換順序に関連付けられた前記特定IPアドレスを抽出したものであり、
前記書換順序は、1つ以上の前記検査装置に対して前記IPアドレスを前記特定IPアドレスに書き換える順序である、
付記1に記載の乗客コンベア検査システム。
(付記3)
各前記操作デバイスは、対応する前記乗客コンベアの運転に関するキースイッチであり、
前記管理装置、及び各前記検査装置が特定IPアドレス書換モードであるときに、各前記検査装置は、前記信号に応じて前記IPアドレス書換要求信号を前記管理装置に送信することができる、
付記1または付記2に記載の乗客コンベア検査システム。
(付記4)
各前記操作デバイスは、対応する前記乗客コンベアの欄干に設置されている、
付記1から付記3のいずれか一項に記載の乗客コンベア検査システム。
(付記5)
前記管理装置には、サーバーが通信可能に接続されており、
前記サーバーは、前記管理装置に前記書換順序に関連付けて1つ以上の前記特定IPアドレスを入力することができ、
前記管理装置は、前記サーバーから入力された前記書換順序に関連付けられた1つ以上の前記特定IPアドレスを前記管理記憶部に記憶させることができる、
付記2の乗客コンベア検査システム。
(付記6)
付記1から付記5のいずれか一項に記載された乗客コンベア検査システムを準備する準備工程と、
前記準備工程の後に実施される、前記管理装置、及び各前記検査装置を通信可能に接続する一次通信設定工程と、
前記一次通信設定工程の後に実施される、1つ以上の前記検査装置のそれぞれの前記IPアドレスを前記一次IPアドレスから前記特定IPアドレスに書き換える特定IPアドレス書換工程と、
を備え、
前記特定IPアドレス書換工程では、全ての前記検査装置の前記IPアドレスが前記一次IPアドレスから前記特定IPアドレスに書き換えられた状態で通信を確立させる、
乗客コンベア検査システムの通信設定方法。
【符号の説明】
【0081】
1、1A~1H エスカレーター、2 欄干、4 踏段、5L 下乗降口、5U 上乗降口、6 機械室、6L 下機械室、6U 上機械室、10 操作部、10L 下操作部、10U 上操作部、11 運転キースイッチ、12 運転方向切替キースイッチ、15 非常停止ボタン、100 乗客コンベア検査システム、110 管理装置、110a 管理制御部、110b 管理記憶部、110c 管理入出力部、120、120UA~120LH 検査装置、120L 下検査装置、120U 上検査装置、120a 検査制御部、120b 検査記憶部、120c 検査入出力部、130 ネットワーク、200 サーバー、210 インターネット回線、300 処理回路、310 処理回路、311 プロセッサ、312 メモリ、LF 下階、UF 上階。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8