(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130461
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】蓄電デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/169 20210101AFI20240920BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20240920BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20240920BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20240920BHJP
【FI】
H01M50/169
H01M50/588
H01M50/591
H01G11/84
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040202
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】山本 晴彦
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AB02
5E078AB06
5E078HA21
5E078HA23
5E078HA25
5E078LA07
5E078LA08
5H011AA09
5H011DD13
5H011DD26
5H011KK02
5H043AA19
5H043HA17
5H043HA36
5H043KA22D
5H043LA12
(57)【要約】
【課題】レーザ溶接時に発生し得る熱影響を抑制し得る技術を提供する。
【解決手段】ここに開示される蓄電デバイスの製造方法は、開口12hを有する有底のケース本体12と、樹脂部材が装着された封口板14と、電極体20とを準備すること、電極体20をケース本体12の内部に収容し、封口板14をケース本体12の開口12hに装着すること、封口板14の外表面14aにおいて、上記樹脂部材と封口板14の周縁部14cとの間に遮蔽部を設けること、および、上記遮蔽部を設けた状態で、封口板14の周縁部14cに沿ってレーザ光LAを照射し、ケース本体12と封口板14とをレーザ溶接することを含む。さらに、非酸化性ガスと酸化性ガスとを含むアシストガスAGを少なくとも上記遮蔽部の周囲の封口板14の周縁部14cに供給し、アシストガスAGが供給されている部分にレーザ光LAを照射することを含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電デバイスの製造方法であって、
開口を有する有底のケース本体と、樹脂部材が装着された封口板と、電極体とを準備すること;
前記電極体を前記ケース本体の内部に収容し、前記封口板を前記ケース本体の前記開口に装着すること;
前記封口板の外表面において、前記樹脂部材と前記封口板の周縁部との間に遮蔽部を設けること;および、
前記遮蔽部を設けた状態で、前記封口板の周縁部に沿ってレーザ光を照射し、前記ケース本体と前記封口板とをレーザ溶接すること;
を含み、
ここで、非酸化性ガスと酸化性ガスとを含むアシストガスを少なくとも前記遮蔽部の周囲の前記封口板の周縁部に供給し、前記アシストガスが供給されている部分にレーザ光を照射する、
蓄電デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記アシストガスにおける酸化性ガスの割合が、5vol%以上である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記アシストガスにおける酸化性ガスの割合が、10vol%以下である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記遮蔽部が着脱可能な部材である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記レーザ溶接の後、前記遮蔽部を前記封口板の外表面から取り除くことを含む、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記遮蔽部から離れた位置における前記封口板の前記周縁部に前記アシストガスよりも酸化性ガスの割合が低いガスを供給し、当該ガスが供給されている部分にレーザ光を照射する、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記アシストガスよりも酸化性ガスの割合が低い前記ガスが、非酸化性ガスで構成されている、請求項6に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電極体と、該電極体を収容するケース本体と、ケース本体の開口を封口する封口体とを備える蓄電デバイスが知られている。上記したケース本体と封口板とは、例えばレーザ溶接などで溶接されて密閉される。例えば、特開2013-54964号公報には、ケース本体と封口板との合わせ目(レーザ溶接される部分)と、封口板の外面と端子とを隔てる樹脂部材との間に遮蔽部が設けられた電池が開示されている。かかる技術によれば、レーザ溶接のレーザ光の反射光等に起因する当該樹脂部材の変色(光による焼け、焦げ等)を抑制する、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、樹脂部材の周囲に遮蔽部を設けた場合においても当該遮蔽部が黒く汚れる場合がある。遮蔽部が黒く汚れることで、レーザ溶接の熱が遮蔽部に吸収され易くなり、伝熱により樹脂部材にも熱影響が生じ得る。
【0005】
そこで、本開示では、レーザ溶接時に発生し得る熱影響を抑制し得る技術を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示される技術の一態様は、蓄電デバイスの製造方法であって、開口を有する有底のケース本体と、樹脂部材が装着された封口板と、電極体とを準備すること、上記電極体を上記ケース本体の内部に収容し、上記封口板を上記ケース本体の上記開口に装着すること、上記封口板の外表面において、上記樹脂部材と上記封口板の周縁部との間に遮蔽部を設けること、および、上記遮蔽部を設けた状態で、上記封口板の周縁部に沿ってレーザ光を照射し、上記ケース本体と上記封口板とをレーザ溶接することを含む。さらに、非酸化性ガスと酸化性ガスとを含むアシストガスを少なくとも上記遮蔽部の周囲の上記封口板の周縁部に供給し、上記アシストガスが供給されている部分にレーザ光を照射することを含む。
【0007】
かかる構成によれば、酸化性ガスを含むアシストガスを用いているため、レーザ溶接によって生じる遮蔽部への付着物の黒色が、非酸化性ガスを使用した場合よりも薄くなる。これにより、レーザ光LAの反射光が付着物ADに吸収されにくくなり、付着物および遮蔽部が高温になることが抑制される。この結果、遮蔽部と接する又は近接する樹脂部材への熱影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電池を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る電池の内部構造を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、電極体の構成を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る蓄電デバイスの製造方法について説明するためのフローチャート図である。
【
図6】
図6は、遮蔽工程S30を説明するための模式的な斜視図である。
【
図7】
図7は、遮蔽工程S30を説明するための模式的な平面図である。
【
図8】
図8は、溶接工程S40を説明するための
図7のVIII-VIII線に沿う模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、ここで開示される技術の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここで開示される技術の実施に必要な事柄(例えば、ここに開示される技術を特徴付けない蓄電デバイスの一般的な構成および製造プロセス(例えば、注液工程、充電工程等)等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と、当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、各図面は模式的に描かれており、寸法関係(長さ、幅、厚み等)は実際の寸法関係を必ずしも反映するものではない。また、以下に説明する図面において、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。
【0010】
本明細書において、数値範囲を「A~B(ここでA、Bは任意の数値)」と記載している場合は、「A以上B以下」を意味すると共に、「Aを超えてB未満」、「Aを超えてB以下」、および「A以上B未満」の意味を包含する。
【0011】
本明細書において、「蓄電デバイス」とは、電解質を介して一対の電極(正極および負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じるデバイスをいう。かかる蓄電デバイスは、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の二次電池;リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池);を包含し得る。
以下、ここで開示される蓄電デバイスに係る好適な一実施形態として、リチウムイオン二次電池を例にして説明するが、適用対象をかかる電池に限定することを意図したものではない。
【0012】
図1は、本実施形態に係る二次電池100の斜視図である。
図2は、二次電池100の内部構造を模式的に示す図である。なお、図面中の符号L、R、F、Rr、U、Dは、左、右、前、後、上、下を表し、図面中の符号X、Y、Zは、二次電池100の短辺方向、短辺方向と直交する長辺方向、上下方向を、それぞれ表すものとする。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、二次電池100の設置形態を何ら限定するものではない。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
【0013】
<二次電池>
図1および
図2に示すように、二次電池100は、電極体20と、電解液(図示せず)と、電極体20および電解液を収容するケース10と、正極端子30と、負極端子40とを備えている。
【0014】
図3は、電極体20の構成を模式的に示す図である。電極体20は、ここでは
図3に示すように、帯状の正極シート22と帯状の負極シート24とが、2枚の帯状のセパレータ26を介して絶縁された状態で積層され、巻回軸WLを中心として長手方向に巻回されてなる巻回電極体である。ただし、電極体は、方形状の正極シートと方形状の負極シートとが、方形状のセパレータによって絶縁された状態で積み重ねられてなる積層電極体であってもよい。あるいは、電極体は、方形状の正極シートと方形状の負極シートとが絶縁された状態で積み重ねられてなる積層電極体であってもよい。
図2に示すように、ここでは、電極体20は、当該電極体20の左右に正極タブ群23と負極タブ群25とが位置する、所謂、横タブ構造である。ただし、電極体は、電極体の上方側に正極タブ群と負極タブ群とが位置する、所謂、上タブ構造であってもよい。
【0015】
正極シート22は、
図3に示すように、長尺な帯状の部材である。正極シート22の構成は特に限定されず、従来公知の電池に用いられているものと同様でよい。例えば、正極シート22は、正極集電体22cと、正極集電体22cの少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層22aと、を有する。なお、正極シート22は、正極活物質層22aよりも電気伝導性が低くなるように構成された正極保護層(図示せず)を有していてもよい。
【0016】
正極集電体22cは、長尺な帯状の部材である。正極集電体22cは、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属から構成される。正極集電体22cは、ここでは金属箔、具体的にはアルミ箔である。正極集電体22cの寸法は特に限定されず、電池設計に応じて適宜決定すればよい。正極集電体22cの長辺方向Yの一方の端部(
図3の左端部)には、複数の正極タブ22tが設けられている。正極タブ22tは、正極集電体22cの一部であり、金属箔(例えば、アルミニウム箔)からなっている。正極タブ22tの一部には、正極活物質層22aが形成されている。正極タブ22tの少なくとも一部では、正極活物質層22aが形成されずに正極集電体22cが露出している。複数の正極タブ22tは長辺方向Yの一方の端部(
図2の左端部)で積層され、正極タブ群23を構成している。複数の正極タブ22tは、外方側の端が揃うように折り曲げられて湾曲している。正極タブ群23は、正極集電部50を介して正極端子30と接続されている。
【0017】
正極活物質層22aは、
図3に示すように、帯状の正極集電体22cの長手方向に沿って、帯状に設けられている。正極活物質層22aは、正極活物質を含有する。正極活物質としては、リチウムイオン二次電池に用いられる公知の正極活物質を用いてよい。具体的に例えば、正極活物質として、リチウム複合酸化物、リチウム遷移金属リン酸化合物等を用いることができる。これらの正極活物質は、1種単独で用いてよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。正極活物質層22aは、正極活物質以外の成分、例えば、導電材、バインダ等を含み得る。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(例、グラファイトなど)の炭素材料を好適に使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用し得る。
【0018】
負極シート24は、
図3に示すように、長尺な帯状の部材である。負極シート24の構成は特に限定されず、従来公知の電池に用いられているものと同様でよい。例えば、負極シート24は、負極集電体24cと、負極集電体24cの少なくとも一方の表面上に固着された負極活物質層24aと、を有する。
【0019】
負極集電体24cは、帯状である。負極集電体24cは、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっている。負極集電体24cは、ここでは金属箔、具体的には銅箔である。負極集電体24cの寸法は特に限定されず、電池設計に応じて適宜決定すればよい。負極集電体24cの長辺方向Yの一方の端部(
図3の右端部)には、複数の負極タブ24tが設けられている。負極タブ24tは、負極集電体24cの一部であり、金属箔(例えば、銅箔)からなっている。負極タブ24tの一部には、負極活物質層24aが形成されている。負極タブ24tの少なくとも一部では、負極活物質層24aが形成されずに負極集電体24cが露出している。複数の負極タブ24tは長辺方向Yの一方の端部(
図2の右端部)で積層され、負極タブ群25を構成している。複数の負極タブ24tは、外方側の端が揃うように折り曲げられて湾曲している。負極タブ群25は、負極集電部60を介して負極端子40と接続されている。
【0020】
負極活物質層24aは、
図3に示すように、帯状の負極集電体24cの長手方向に沿って、帯状に設けられている。負極活物質層24aは負極活物質を含有する。当該負極活物質としては、特に限定されないが、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。黒鉛は、天然黒鉛であっても人造黒鉛であってもよく、黒鉛が非晶質な炭素材料で被覆された形態の非晶質炭素被覆黒鉛であってもよい。負極活物質層24aは、負極活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
【0021】
セパレータ26は、電荷担体が通過し得る微細な貫通孔が複数形成された絶縁性の樹脂シートである。セパレータ26の構成は特に限定されず、従来公知の電池に用いられているものと同様でよい。セパレータ26としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から構成される多孔性シート(フィルム)が挙げられる。セパレータ26の表面には、耐熱層(HRL)が設けられていてもよい。
【0022】
上記したとおり、二次電池100は電解液を備えている。電解液は特に限定されず、従来公知の電池に用いられているものと同様でよい。電解液は、例えば、非水系溶媒(有機溶媒)と電解質塩(支持塩)とを含む非水電解液であり得る。非水系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等を用いることができる。また、支持塩としては、種々のリチウム塩を用いることができ、なかでもLiPF6、LiBF4等のリチウム塩が好適である。電解液は、例えば、被膜形成剤、ガス発生剤、分散剤、増粘剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0023】
図1および
図2に示すように、ケース10は、ケース本体12と、封口板14と、を備えている。封口板14には、正極端子30および負極端子40が取り付けられている。正極端子30は、封口板14の長辺方向Yの一方側の端部(
図1および
図2の左端部)に取り付けられている。負極端子40は、封口板14の長辺方向Yの他方側の端部(
図1および
図2の右端部)に取り付けられている。正極端子30および負極端子40は、端子装着孔18、19に挿通され、封口板14の外表面14a側から内表面14b側に向けて延びている。正極端子30の下端は、ケース本体12の内部で、正極集電部50と接続されている。正極端子30は、正極集電部50を介して電極体20の正極シート22と接続されている。負極端子40の下端は、ケース本体12の内部で、負極集電部60と接続されている。負極端子40は、負極集電部60を介して電極体20の負極シート24と接続されている。
【0024】
正極端子30は、金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金から構成されることがより好ましい。負極端子40は、金属製であることが好ましく、例えば銅または銅合金から構成されることがより好ましい。
図1に示すように、正極端子30および負極端子40は、ケース10の外側において板状の外部導電部材35と電気的に接続されている。外部導電部材35は、複数の二次電池を相互に電気的に接続する際に、バスバーが付設される部材である。外部導電部材35は、金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることがより好ましい。ただし、外部導電部材35は必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。
【0025】
図1および
図2に示すように、正極端子30および負極端子40は、それぞれ樹脂部材70によって封口板14から絶縁されている。本実施形態においては、樹脂部材70は、ガスケット72と、外部絶縁部材74とを備えている。ガスケット72は、正極端子30および負極端子40に装着されている。ガスケット72は、封口板14の外表面14aと、正極端子30または負極端子40との間に配置されている。また、ガスケット72は、封口板14の端子装着孔18および19において、正極端子30および負極端子40と封口板14との間に配置されている。これにより、正極端子30および負極端子40と、封口板14とが絶縁されている。外部絶縁部材74は、外部導電部材35と封口板14の外表面との間に配置されており、外部導電部材35と封口板14とを絶縁している。樹脂部材70は、例えばパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)等の合成樹脂材料によって構成され得る。なお、外部導電部材35を含まない実施態様においては、外部絶縁部材74も省略してもよい。
【0026】
図1に示すように、ケース10は、ここでは有底の直方体形状(角型)の外形を有する。ケース10には、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。ケース10(ケース本体12および封口板14)は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄、鉄合金等から構成され得る。なかでも、ケース10はアルミニウムから構成されていることが好ましい。
【0027】
ケース本体12は、電極体20と非水電解液とを収容する筐体である。ケース本体12は、一側面(ここでは上面)に開口12hを有する有底かつ角型の容器である。開口12hは、ここでは略矩形状である。ケース本体12は、長辺および短辺を有し、平面視で略矩形状の底面12aと、底面12aの長辺から上下方向Zの上方に延び相互に対向する一対の長側壁12bと、底面12aの短辺から上下方向Zの上方に延び相互に対向する一対の短側壁12cと、を備えている。短側壁12cの面積は、長側壁12bの面積よりも小さい。特に限定されるものではないが、ケース本体12の平均厚み(平均板厚)は、耐久性等の観点から、概ね0.5mm以上、例えば1mm以上であるとよく、コストやエネルギー密度の観点から、概ね5mm以下、例えば3mm以下であってもよい。
【0028】
封口板14は、ここでは平面視で略矩形状であり、ケース本体12の開口12hを封口する部材である。封口板14は、二次電池100の内部側(電極体20と対向する側)の表面である内表面14b(
図2参照)と、外部側の表面である外表面14a(
図2参照)と、を有している。
図1に示すように、封口板14は、ケース本体12の底面12aと対向している。封口板14には、注液孔15と、ガス排出弁17とが設けられている。注液孔15は、ケース本体12に封口板14を組み付けた後、ケース10の内部に電解液を注液するための貫通孔である。注液孔15は、電解液の注液後に封止部材16によって封止される。ガス排出弁17は、ケース10内の圧力が所定値以上になったときに破断して、ケース10内のガスを外部に排出するように構成されている。特に限定されるものではないが、封口板14の平均厚み(平均板厚)は、耐久性等の観点から、概ね0.3mm以上、例えば0.5mm以上であるとよく、コストやエネルギー密度の観点から、概ね5mm以下、例えば3mm以下であってもよく、2.5mm以下であってもよい。
【0029】
図4は、
図1の平面図である。
図4に示すように、封口板14の周縁部14cと、ケース本体12の開口12hの周縁部(以下、「開口周縁部12d」という。)とは溶接接合されており、ケース本体12と封口板14との境界に沿って溶接部10wが形成されている。かかる溶接接合は、例えばレーザ溶接によって実現され得る。溶接部10wは、ケース本体12と封口板14との境界がレーザ溶接されることによって、ケース本体12の構成金属と封口板14の構成金属とが溶融されて形成された部分である。ここでは、溶接部10wは、封口板14の外表面14a側に位置している。溶接部10wでは、ケース本体12の開口12hの内周縁と封口板14の周縁部14cとが面一になるように連結されていることが好ましい。溶接部10wは、平面視において、封口板14とケース本体12との境界に沿って、略環状に連続して形成されている。
【0030】
<二次電池の製造方法>
以下、ここで開示される蓄電デバイスの製造方法の好適な一実施形態として、リチウムイオン二次電池を例にして説明するが、適用対象をかかる電池に限定することを意図したものではない。
【0031】
図5は、一実施形態にかかる蓄電デバイスの製造方法の大まかに示すフローチャート図である。
図6は、遮蔽工程S30を説明するための模式的な斜視図である。
図7は、遮蔽工程S30を説明するための模式的な平面図である。
図8は、溶接工程S40を説明するための
図7のVIII-VIII線に沿う模式的な断面図である。本実施形態では、上記したようなケース本体12と樹脂部材70が装着された封口板14と電極体20とを準備する準備工程S10と、ケース本体12に封口板14を装着して蓄電デバイスを組み立てる組立工程S20と、封口板14の外表面14aにおいて、樹脂部材70と封口板14の周縁部14cとの間に遮蔽部を設ける遮蔽工程S30と、封口板14の周縁部14cに沿ってレーザ光LAを照射し、ケース本体12と封口板14とをレーザ溶接する溶接工程S40とを含み得る。溶接工程S40では、非酸化性ガスと酸化性ガスとを含むアシストガスを用いることが好ましい。なお、ここで開示される製造方法は、任意の段階でさらに他の工程を含んでいてもよく、必要に応じて適宜工程を省略又は順序の入れ替えをすることもできる。例えば、遮蔽工程S30は、溶接工程S40よりも前であればいつでも実施してもよい。例えば、遮蔽工程S30は、準備工程S10と並行して実施してもよく、組立工程S20の前に実施してもよい。
【0032】
ケース本体と封口板とのレーザ溶接は、一般的に非酸化性ガス(例えば窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気)を溶接部に供給しながら実施される。これは、ケース本体と封口板とを構成する金属(例えばアルミニウム)は酸素との活性が強いため、酸化性雰囲気下でレーザ溶接を行うと溶接性が低下し得ることが一因である。しかしながら、非酸化性ガスを溶接部に供給した場合においても、発生するプルームが溶接部近傍の部材(例えば樹脂部材)と干渉し、該部材に黒色の付着物が生じる。黒色の付着物は、レーザ光の反射光を吸収し易く、高温になり易い。そのため、黒色の付着物が生じた部材および該部材と接する他部材は熱影響を受け易い傾向がある。そこで、ここで開示される製造方法の一態様では、レーザ溶接される封口板14の周縁部14cと、封口板14に装着された部材(例えば樹脂部材)との間に遮蔽部として遮蔽部材200を配置する(
図7参照)。これにより、レーザ溶接で発生するプルームPLが遮蔽部材200と干渉し、封口板14に装着された部材とプルームとの干渉を低減することができる。また、ここで開示される製造方法の一態様では、非酸化性ガスと酸化性ガスとを含むアシストガスAGを遮蔽部材200の周囲の封口板14の周縁部14cに供給する(
図8参照)。これにより、非酸化性ガスを供給した場合において生じる黒色の付着物よりも、アシストガスAGを供給した場合において生じる遮蔽部材200への付着物ADの方がその黒色が薄くなる(好ましくは黒色がほとんど生じない)ことが、本発明者の検討によって見出された。付着物ADの黒色が薄くなることで、レーザ光LAの反射光が付着物ADに吸収されにくくなる。これにより、遮蔽部材200と接する又は近接する樹脂部材(
図8では外部絶縁部材74)への熱影響を低減することができる。
【0033】
準備工程S10では、上記したようなケース本体12と封口板14と電極体20とを準備する。電極体20は、公知方法に従って作製することができる。
図3に示すように、電極体20が巻回電極体である場合、かかる巻回電極体は、例えば次のようにして準備することができる。まず、帯状の正極シート22と帯状の負極シート24とを、2枚の帯状のセパレータ26によって絶縁された状態となるように積層する。このとき、正極シート22の正極タブ22tと負極シート24の負極タブ24tとが、2枚のセパレータ26の長辺方向Yの端部から、それぞれ反対方向にはみ出すように重ね合わせる。次いで、用意した積層体を、巻回軸を中心として長手方向に巻回する。積層体の巻回は、公知方法に従って実施することができる。巻回した積層体をプレス処理して、扁平形状の巻回電極体を作製する。このプレス処理は、一般的な扁平形状の巻回電極体の製造に用いられる公知のプレス装置を用いて実施すればよく、特に限定されない。このようにして、電極体20を用意することができる。
【0034】
準備工程S10では、例えば、封口板14に、公知方法に従い樹脂部材70の一例であるガスケット72を取り付ける。ガスケット72は、例えば、正極端子30に装着された状態で封口板14の端子装着孔18に挿通され、正極端子30が封口板14に固定されることで、ガスケット72も封口板14に固定される。固定の方法は特に限定されず、例えば、正極端子30のケース本体12の内側に位置する下端部をガスケット72を介して封口板14にカシメ加工することで、正極端子30およびガスケット72が封口板14に装着される。このとき、ガスケット72の少なくとも一部は、封口板14の外表面14a側に露出される。また、上記した二次電池100では、さらに、外部導電部材35と樹脂部材70の一例である外部絶縁部材74を封口板14の外表面14a側に装着する。この場合においては、外部絶縁部材74が封口板14の周縁部14cに近接する樹脂部材として配置される。なお、外部絶縁部材74および外部導電部材35の封口板14への装着は、後述する組立工程S20の後に行ってもよい。
なお、負極端子40側も上述した正極端子30と同様にして、ガスケット72、外部絶縁部材74、外部導電部材35を封口板14に装着することができる。
【0035】
他の実施形態において、外部絶縁部材74を備えない場合には、例えば、ガスケット72が封口板14の周縁部14cに近接する樹脂部材であり得る。また、他の実施形態において、電極端子と、封口板14と、樹脂部材70とは、一体成形品として準備されてもよい。
【0036】
組立工程S20では、準備した電極体20をケース本体12の内部に収容し、ケース本体12に封口板14を装着して、二次電池100を組み立てる。例えば、まず、封口板14に電極体20を取り付ける。封口板14と電極体20とは、正極集電部50および負極集電部60を介して接続される。次いで、電極体20をケース本体12の内部に挿入する。このとき、巻回軸WLが底面12aに沿った向き(すなわち、巻回軸WLが長辺方向Yと平行になる向き)でケース本体12の内部に配置されるように、挿入するとよい。
【0037】
封口板14は、ケース本体12の開口12hに装着される。本実施形態では、封口板14の外径は、ケース本体12の開口12hの内径よりもわずかに小さく形成されており、封口板14は開口12hに嵌められている。このとき、封口板14の周縁部14cが、ケース本体12の開口周縁部12dと接していることが好ましい。
【0038】
遮蔽工程S30では、封口板14の外表面14aにおいて、封口板14に装着された部材と封口板14の周縁部14cとの間に遮蔽部を設ける。封口板14に装着された部材としては、例えば、電極端子(正極端子30又は負極端子40)、樹脂部材70(例えばガスケット72または外部絶縁部材74)、外部導電部材35等が挙げられる。遮蔽部を設けることで、封口板14に装着された部材へのレーザ溶接による熱影響を低減し、保護することができ得る。好適な一態様では、封口板14に装着された樹脂部材70と封口板14の周縁部14cとの間に遮蔽部を設ける。樹脂部材70は、熱影響による劣化等が生じやすいからである。以下の説明では、封口板14に装着された部材(遮蔽部によって保護される保護対象部材)の一例として、外部絶縁部材74を例に説明するが、これに限られるものではない。
【0039】
図6に示すように、本実施形態においては、遮蔽部として遮蔽部材200を準備する。
図7に示すように、遮蔽部材200を封口板14の外表面14aにおいて、外部絶縁部材74と封口板14の周縁部14cとの間に配置する。遮蔽部材200は、ここでは貫通孔230を有している。貫通孔230は、相互に対向する一対の第1側壁210と、相互に対向する第2側壁220とに囲まれている。貫通孔230は、封口板14の外表面14aに配置されている部材(例えば樹脂部材、詳細には外部絶縁部材74)を囲める大きさを有している。ここでは、貫通孔230は、平面視において略矩形状である。第1側壁210が貫通孔230の長辺であって、第2側壁220が貫通孔230の短辺である。第1側壁210は、二次電池100の長辺方向Yに向かって延び、第2側壁220は、二次電池100の短辺方向Xに向かって延びる向きで配置される(
図7参照)。第1側壁210は、二次電池100の長辺方向Yにおいて、封口板14の周縁部14cに沿って(例えば、平行に)延びている。第2側壁220は、二次電池100の短辺方向Xにおいて、封口板14の周縁部14cに沿って(例えば、平行に)延びている。
【0040】
第2側壁220は、封口板14の端部側に配置される外側側壁222と、封口板14の中央側に配置される内側側壁224とを備える。外側側壁222は、封口板14の周縁部14cと外部絶縁部材74との間に配置される。内側側壁224は、他の実施形態において、省略可能であるが、遮蔽部材200が内側側壁224を備えることにより、遮蔽部材200を封口板14の外表面14aに固定し易くなる。
【0041】
遮蔽部材200は、少なくとも一部が外部絶縁部材74に接するように配置することが好ましい。例えば、第1側壁210が外部絶縁部材74を挟持するように設置されることが好ましい。これにより、遮蔽部材200が外部絶縁部材74に固定され、遮蔽部材200を安定性良く配置することができる。
【0042】
図8に示すように、遮蔽部材200(
図8では、一例として第1側壁210)の高さH1は、外部絶縁部材74の封口板14の外表面14aからの高さH2(例えば、遮蔽部材200側の端部の高さ)よりも高いことが好ましい。これにより、レーザ溶接によって発生するプルームPLが外部絶縁部材74と干渉することを防ぎ易くなる。また、レーザ光LAの反射光が外部絶縁部材74に照射されることを防ぐことができるため、熱影響を低減させることができる。
【0043】
遮蔽部材200は、封口板14に対して着脱可能なように構成されていることが好ましい。好適には、レーザ溶接後に、遮蔽部材200を封口板14の外表面14aから取り除く。これにより、遮蔽部材200の付着物ADも除去され、審美性が高くなる。また、遮蔽部材200を繰り返し利用することができるため、コストが低減される。
【0044】
遮蔽部材200は、例えば、金属、樹脂等から構成され得るが、耐熱性の観点から、金属で構成されることが好ましい。金属としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム等が用いられる。また、遮蔽部材200のレーザ溶接部に対向する表面はメッキ処理されていることが好ましく、遮蔽部材200の表面のレーザ光LAの反射性を向上させるようなメッキ処理(鏡面加工)が好ましい。これにより、レーザ光LAの反射光が遮蔽部材200に吸収されにくくなり、熱影響を低減することができる。このようなメッキ処理としては、例えば、銀メッキ処理、クロムメッキ処理等が挙げられる。
【0045】
溶接工程S40では、遮蔽部を設けた状態で、封口板14の周縁部14cに沿ってレーザ光LAを照射し、ケース本体12と封口板14とをレーザ溶接する。これにより、溶接部10wがケース本体12と封口板14との境界に形成され、ケース10が気密に封止される。
【0046】
遮蔽部(ここでは遮蔽部材200)の周囲におけるレーザ光LAを照射する部分(封口板14の周縁部14c)には、アシストガスAGを供給することが好ましい。アシストガスAGは、非酸化性ガスと酸化性ガスとを含む。アシストガスAGは、非酸化性ガスと酸化性ガスとを予め混合した混合ガスであり得る。また、非酸化性ガスと酸化性ガスとを別々の供給口からレーザ光LAを照射する部分に供給してもよい。
【0047】
本明細書において、「遮蔽部の周囲の封口板の周縁部」とは、封口板の周縁部のうち、平面視において、該周縁部の接線(周縁部の直線部分についてはその直線)に対して垂直な方向に遮蔽部が存在する部分のことをいう。
【0048】
アシストガスAGを供給する向きは、特に限定されないが、例えば、
図8に示すように、ケース本体12の側壁側から、遮蔽部(遮蔽部材200)に向かってアシストガスAGを供給することができる。これにより、遮蔽部材200にアシストガスAGを当てることができるので、付着物ADの黒色をより薄くすることができる。他にも、例えば、アシストガスAGを封口板14の外表面14a側に向かって流してもよい。また、例えば、封口板14の周縁部14cに沿った方向にアシストガスAGを流してもよい。
なお、本明細書において「アシストガスAGをレーザ光LAを照射する部分に供給する」とは、レーザ光LAを照射する部分に直接アシストガスAGが当たっている状態だけでなく、その周囲(例えば、レーザ光LAを照射する部分の上側の領域)にアシストガスAGが供給されている状態も含み得る。
【0049】
遮蔽部(遮蔽部材200)の周囲における封口板14とケース本体12とのレーザ溶接においては、アシストガスAGを供給した状態でレーザ光LAを照射することが好ましい。これにより、付着物ADの黒色をより確実に薄くすることができるため、レーザ光LAの熱影響を低減することができる。
【0050】
アシストガスに占める酸化性ガスの割合は、例えば、5vol%以上であって、好ましくは6vol%以上、7vol%以上、または7.5vol%以上である。かかる割合が高いほど、付着物ADの黒色をより薄くすることができる。また、上記割合は、例えば、10vol%以下であるとよく、9vol%以下、8vol%以下であり得る。アシストガスAGに占める酸化性ガスの割合が高すぎると、封口板14とケース本体12との溶接性が低下し得る。
【0051】
酸化性ガスは、好ましくは酸素ガスである。また、非酸化性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。
【0052】
遮蔽部(遮蔽部材200)から離れた位置におけるレーザ光LAを照射する部分(封口板14の周縁部14c)の少なくとも一部においては、アシストガスAGよりも酸化性ガスの割合が低いガスをレーザ光LAを照射する部分(封口板14の周縁部14c)に供給することが好ましい。さらに、かかるガスが非酸化性ガスで構成されていることがより好ましい。これにより、封口板14とケース本体12との溶接性が向上する。
ここで、「遮蔽部から離れた位置における封口板の周縁部」とは、例えば、上記した「遮蔽部の周囲の封口板の周縁部」以外の部分であり得る。
【0053】
レーザ光LAは、ケース本体12と封口板14とを溶接可能である限りその種類に制限はない。レーザ光LAは、例えば、固体レーザ(例、YAGレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ等)、液体レーザ(例、色素レーザ等)、気体レーザ(例、CO2レーザ等)、ファイバレーザ、ディスクレーザ、半導体レーザ、自由電子レーザ、化学レーザ等であってよい。また、レーザ光LAの波長は、例えば、300nm~1100nmであることが好ましい。これにより、ケース本体12と封口板14とを好適に溶接することができる。
【0054】
レーザ条件は、ケース本体12と封口板14とを溶接可能である限り特に制限されない。レーザの出力値は、例えば、1000W以上5000W以下であって、1500W以上3000W以下であり得る。レーザの走査速度は、例えば、100mm/秒~300mm/秒であって、150mm/秒~250mm/秒であり得る。
【0055】
<変形例>
上記実施形態では、遮蔽部材200が一対の第1側壁210と、一対の第2側壁220とを備えていたが、これに限定されない。例えば、他の一態様において、遮蔽部材200の第2側壁220の内側側壁224を省略して、平面視においてコの字形(U字型)の遮蔽部材を用いてもよい。
【0056】
また、他の一態様において、遮蔽部材200は、一対の第2側壁220を有していなくてもよい。例えば、二次電池100では、封口板14の周縁部14cの短辺(二次電池100の長辺方向Yの端部の短辺)と封口板14に装着された部材(例えば外部絶縁部材74)との距離が、封口板14の周縁部14cの長辺と封口板14に装着された部材(例えば外部絶縁部材74)との距離よりも長い。このような構成の場合、封口板14の周縁部14cの短辺のレーザ溶接による封口板14に装着された部材へ影響が比較的少ない(若しくは影響がない)からである。
【0057】
また、他の一態様において、遮蔽部材200が第1側壁210と、第2側壁220とが連続して形成されていなくてもよい。この場合、遮蔽部材200の個々の側壁に相当する部材(例えば、板状部材)を準備し、それを遮蔽部として用いてもよい。
【0058】
また、他の一態様において、遮蔽部材200が貫通孔230を有していなくてもよい。例えば、遮蔽部材が開口部を有する有底の箱状に構成されていてもよい。この場合、かかる遮蔽部材の側壁は、例えば、上述した遮蔽部材200と同様であってよい。このような箱状の遮蔽部材は、開口部を封口板14の外表面14a側に向けて封口板14の外表面14a上に配置し、上記開口部に封口板14に装着された部材(遮蔽部によって保護される保護対象部材)を収めるとよい。
【0059】
また、他の一態様において、遮蔽部が封口板14の一部であってもよい。例えば、封口板14の外表面14aに、遮蔽部として外表面14aからと突出した突出部を設けてもよい。かかる突出部は、例えば、プレス加工等によって形成することができる。
【0060】
<電池の用途>
上述した電池は各種用途に利用可能であるが、例えば、乗用車、トラック等の車両に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV;Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(BEV;Battery Electric Vehicle)等が挙げられる。電池は、組電池の構築においても好適に用いることができる。
【0061】
以上、本技術のいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本技術は、他にも種々の形態にて実施することができる。本技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。特許請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0062】
以上のとおり、ここに開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:蓄電デバイスの製造方法であって、
開口を有する有底のケース本体と、樹脂部材が装着された封口板と、電極体とを準備すること;
上記電極体を上記ケース本体の内部に収容し、上記封口板を上記ケース本体の上記開口に装着すること;
上記封口板の外表面において、上記樹脂部材と上記封口板の周縁部との間に遮蔽部を設けること;および、
上記遮蔽部を設けた状態で、上記封口板の周縁部に沿ってレーザ光を照射し、上記ケース本体と上記封口板とをレーザ溶接すること;
を含み、
ここで、非酸化性ガスと酸化性ガスとを含むアシストガスを少なくとも上記遮蔽部の周囲の上記封口板の周縁部に供給し、上記アシストガスが供給されている部分にレーザ光を照射する、蓄電デバイスの製造方法。
項2:上記アシストガスにおける酸化性ガスの割合が、5vol%以上である、項1に記載の製造方法。
項3:上記アシストガスにおける酸化性ガスの割合が、10vol%以下である、項1または2に記載の製造方法。
項4:上記遮蔽部が着脱可能な部材である、項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
項5:上記レーザ溶接の後、上記遮蔽部を上記封口板の外表面から取り除くことを含む、項4に記載の製造方法。
項6:上記遮蔽部から離れた位置における上記封口板の上記周縁部に上記アシストガスよりも酸化性ガスの割合が低いガスを供給し、当該ガスが供給されている部分にレーザ光を照射する、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
項7:上記アシストガスよりも酸化性ガスの割合が低い上記ガスが、非酸化性ガスで構成されている、請求項6に記載の製造方法。
【符号の説明】
【0063】
10 ケース
12 ケース本体
14 封口板
14a 外表面
14b 内表面
14c 周縁部
20 電極体
22 正極シート
24 負極シート
26 セパレータ
30 正極端子
35 外部導電部材
40 負極端子
50 正極集電部
60 負極集電部
70 樹脂部材
72 ガスケット
74 外部絶縁部材
100 二次電池
200 遮蔽部材
210 第1側壁
220 第2側壁