IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-発電用タービン 図1
  • 特開-発電用タービン 図2
  • 特開-発電用タービン 図3
  • 特開-発電用タービン 図4
  • 特開-発電用タービン 図5
  • 特開-発電用タービン 図6
  • 特開-発電用タービン 図7
  • 特開-発電用タービン 図8
  • 特開-発電用タービン 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130465
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】発電用タービン
(51)【国際特許分類】
   F01D 15/10 20060101AFI20240920BHJP
   F01D 25/26 20060101ALI20240920BHJP
   F01D 25/16 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F01D15/10 A
F01D25/26 D
F01D25/16 Z
F01D25/16 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040211
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 亮
(72)【発明者】
【氏名】飯田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和貴
(57)【要約】
【課題】構造の複雑化や大型化を抑制しつつ、発電機を冷却可能な発電用タービンを提供する。
【解決手段】発電用タービンは、回転シャフトと、回転シャフトの一方側に設けられるロータ及びロータの内周側に配置されるステータを含む発電機と、発電機よりも回転シャフトの他方側に設けられるタービン動翼と、タービン動翼のディスク部に隙間を介して対向する対向面を有し、上記隙間に連通して発電機を収容する発電機収容空間を形成する内側ケーシングと、内側ケーシングの外周側に配置され、内側ケーシングとの間に上記隙間に連通してタービン動翼の作動流体が流れる作動流体流路を形成する外側ケーシングと、を備え、内側ケーシングは、作動流体流路を形成する外面に形成された外側開口及び発電機収容空間を形成する内面に形成された内側開口を有する貫通孔が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転シャフトと、
前記回転シャフトの軸方向の一方側に設けられるロータ及び前記ロータの内周側に配置されるステータを含む発電機と、
前記発電機よりも前記回転シャフトの前記軸方向の他方側に設けられる少なくとも1つのタービン動翼と、
前記回転シャフトを回転可能に収容するように構成された内側ケーシングであって、前記少なくとも1つのタービン動翼のディスク部に第1隙間を有して対向する対向面を有し、前記第1隙間に連通して前記発電機を収容する発電機収容空間を形成する内側ケーシングと、
前記内側ケーシングの外周側に配置され、前記内側ケーシングとの間に前記第1隙間に連通して前記タービン動翼の作動流体が流れる作動流体流路を形成する外側ケーシングと、を備え、
前記内側ケーシングは、前記作動流体流路を形成する外面に形成された外側開口及び前記発電機収容空間を形成する内面に形成された内側開口を有する少なくとも1つの貫通孔が形成された、
発電用タービン。
【請求項2】
前記軸方向の前記発電機と前記少なくとも1つのタービン動翼との間に配置され、前記回転シャフトを回転可能に支持するように構成された少なくとも1つの磁気軸受をさらに備え、
前記内側ケーシングは、前記軸方向の前記発電機収容空間と前記第1隙間との間に、前記発電機収容空間及び前記第1隙間に接続されて前記回転シャフト及び前記少なくとも1つ磁気軸受を収容する軸受収容空間が形成された、
請求項1に記載の発電用タービン。
【請求項3】
前記作動流体は、前記作動流体流路を前記軸方向の前記他方側から前記一方側に向かって流れるように構成された、
請求項2に記載の発電用タービン。
【請求項4】
前記作動流体は、前記作動流体流路を前記軸方向の前記一方側から前記他方側に向かって流れるように構成された、
請求項2に記載の発電用タービン。
【請求項5】
前記作動流体流路における前記少なくとも1つのタービン動翼よりも前記軸方向の前記一方側に設けられる圧力損失を生じさせる抵抗体であって、前記抵抗体と前記少なくとも1つのタービン動翼との間における前記作動流体流路の圧力を、前記軸受収容空間の圧力よりも大きくするための抵抗体をさらに備える、
請求項3に記載の発電用タービン。
【請求項6】
前記内側ケーシングの前記対向面に対して前記第1隙間を介して対向する前記少なくとも1つの動翼の前記ディスク部は、前記軸方向に貫通する第1バランスホールを有し、
前記第1バランスホールは、前記軸受収容空間から前記第1隙間に導かれた前記作動流体が流入するように構成された、
請求項4に記載の発電用タービン。
【請求項7】
前記少なくとも1つの動翼は、
前記第1バランスホールを有する一方側動翼と、
前記一方側動翼よりも前記軸方向の前記他方側に設けられる他方側動翼と、を含み、
前記他方側動翼のディスク部は、前記軸方向に貫通する第2バランスホールを有し、
前記第2バランスホールは、前記第1バランスホールよりも前記回転シャフトの径方向における外側に形成され、前記第1バランスホールを通過した前記作動流体が流入するように構成された、
請求項6に記載の発電用タービン。
【請求項8】
前記少なくとも1つの貫通孔の前記外側開口に一端が接続された抽気ラインをさらに備える、
請求項4に記載の発電用タービン。
【請求項9】
前記回転シャフトは、前記軸受収容空間において前記回転シャフトの径方向外側に突出するスラストディスク部を有し、
前記少なくとも1つの磁気軸受は、前記スラストディスク部よりも前記回転シャフトの前記軸方向の前記他方側に配置され、前記スラストディスク部との間に隙間を有して対向する他方側スラスト軸受を含み、
前記内側ケーシングは、前記軸受収容空間の外周側に前記作動流体流路を形成する外周面に形成された外側開口、及び前記他方側スラスト軸受よりも前記軸方向の前記他方側において前記軸受収容空間を形成する内面に形成された内側開口、を有する少なくとも1つの抽気孔が形成された、
請求項8に記載の発電用タービン。
【請求項10】
とも1つの動翼は、
一方側動翼と、
前記一方側動翼よりも前記軸方向の前記他方側に設けられる他方側動翼と、を含み、
前記発電用タービンは、
前記一方側動翼及び前記第1隙間よりも前記軸方向の前記一方側に配置される一方側静翼をさらに備え、
前記抽気ラインの他端は、前記作動流体流路における、前記一方側静翼と前記一方側動翼との間の第1空間、又は、前記他方側動翼よりも前記他方側の第2空間、の何れかに接続された、
請求項9に記載の発電用タービン。
【請求項11】
前記少なくとも1つの動翼は、
一方側動翼と、
前記一方側動翼よりも前記軸方向の前記他方側に設けられる他方側動翼と、を含み、
前記発電用タービンは、
前記一方側動翼及び前記第1隙間よりも前記軸方向の前記一方側に配置される一方側静翼をさらに備え、
前記抽気ラインの他端は、前記作動流体流路における、前記他方側動翼よりも前記他方側の第2空間に接続された、
請求項8に記載の発電用タービン。
【請求項12】
前記回転シャフトは、前記軸受収容空間において前記回転シャフトの径方向外側に突出するスラストディスク部を有し、
前記スラストディスク部の外周面と、前記スラストディスク部の前記外周面の外周側に隙間を有して対向する前記内側ケーシングの内面との間に、前記作動流体の流路を狭める第1絞り部が設けられた、
請求項8乃至11の何れか1項に記載の発電用タービン。
【請求項13】
前記ロータの外周面と、前記ロータの前記外周面の外周側に隙間を有して対向する前記内側ケーシングの内面との間に、前記作動流体の流路を狭める第2絞り部が設けられた、
請求項8乃至11の何れか1項に記載の発電用タービン。
【請求項14】
前記内側ケーシングは、前記ステータを内周側から支持するステータ支持部を含み、
前記発電機収容空間は、
前記ロータの外周面と、前記ロータの前記外周面の外周側に隙間を有して対向する前記内側ケーシングの内面との間に形成される外周側隙間と、
前記ロータと前記ステータとの間に形成される内周側隙間と、
前記内周側隙間よりも前記軸方向の前記一方側において前記外周側隙間及び前記内周側隙間に接続される一方側空間と、
前記内周側隙間よりも前記軸方向の前記他方側において前記内周側隙間に接続される他方側空間であって、前記ロータと前記ステータ支持部により形成される他方側空間と、を含み、
前記少なくとも1つの貫通孔の前記内側開口は、前記他方側空間に接続された、
請求項1乃至11の何れか1項に記載の発電用タービン。
【請求項15】
前記発電用タービンは、液化ガスを加熱するための熱媒体を循環させるように構成された熱媒体循環ラインに設けられた
請求項1乃至11の何れか1項に記載の発電用タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電用タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
液化ガス(例えば、液化天然ガス)は、輸送や貯蔵を目的として液化され、都市ガスや火力発電などの供給先に供給するに際して、海水などの熱媒体で昇温して気化させることが行われる。液化ガスを気化させる際に、冷熱エネルギーを海水に捨てるのではなく電力として回収する冷熱発電がある。
【0003】
液化天然ガスを用いた冷熱発電サイクルとしては、ORC(Organic Rankine Cycle)が知られている。ORCは、クローズドループ内を循環する、水よりも沸点の低い低温の作動流体を、凝縮器(復水器)にて液化天然ガスで冷却、凝縮させた後に、ポンプにより昇圧し、蒸発器にて海水などを熱源として加熱して蒸発させ、この蒸気を冷熱発電用タービンに導入して動力を得るサイクルプロセスである。
【0004】
特許文献1では、冷熱発電装置の小型化のために、同一ケーシング内に2つのラジアルタービンと発電機を同軸上に配置した冷熱発電用タービンが開示されている。この冷熱発電用タービンでは、軸の中央部に発電機が配置され、軸の両端にラジアルタービンが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-218816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発電機は高速で回転するため冷却を必要とするが、その冷却方式としては水冷方式が一般的である。特許文献1に開示されている技術では、発電機の冷却のために、冷却源(冷却水)の確保が必要であり、冷却に必要な機器や冷却流路などの冷却機構を設ける必要がある。このため、冷熱発電装置が複雑化、大型化してしまう懸念がある。
【0007】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態は、構造の複雑化や大型化を抑制しつつ、発電機を冷却可能な発電用タービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態に係る発電用タービンは、
回転シャフトと、
前記回転シャフトの軸方向の一方側に設けられるロータ及び前記ロータの内周側に配置されるステータを含む発電機と、
前記発電機よりも前記回転シャフトの前記軸方向の他方側に設けられる少なくとも1つのタービン動翼と、
前記回転シャフトを回転可能に収容するように構成された内側ケーシングであって、前記少なくとも1つのタービン動翼のディスク部に第1隙間を有して対向する対向面を有し、前記第1隙間に連通して前記発電機を収容する発電機収容空間を形成する内側ケーシングと、
前記内側ケーシングの外周側に配置され、前記内側ケーシングとの間に前記第1隙間に連通して前記タービン動翼の作動流体が流れる作動流体流路を形成する外側ケーシングと、を備え、
前記内側ケーシングは、前記作動流体流路を形成する外面に形成された外側開口及び前記発電機収容空間を形成する内面に形成された内側開口を有する少なくとも1つの貫通孔が形成された。
【発明の効果】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、構造の複雑化や大型化を抑制しつつ、発電機を冷却可能な発電用タービンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る発電用タービンの軸方向に沿った概略断面図である。
図2】本開示の一実施形態に係る発電用タービンの軸方向に沿った概略断面図である。
図3】本開示の一実施形態に係る発電用タービンの軸方向に直交する概略断面図である。
図4】本開示の一実施形態に係る発電用タービンのタービン動翼近傍の軸方向に沿った概略断面図である。
図5】本開示の一実施形態に係る発電用タービンのタービン動翼近傍の軸方向に沿った概略断面図である。
図6】本開示の一実施形態に係る発電用タービンの軸方向に沿った概略断面図である。
図7】本開示の一実施形態に係る発電用タービンの軸方向に沿った概略断面図である。
図8】本開示の一実施形態に係る発電用タービンの発電機収容空間及び軸受収容空間近傍の軸方向に沿った概略断面図である。
図9】本開示の一実施形態に係る発電用タービンを備える発電システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
(発電用タービン)
図1及び図2の各々は、本開示の一実施形態に係る発電用タービン1の軸方向に沿った概略断面図である。以下、発電用タービン1の回転シャフト2の中心軸線CAが延在する方向を回転シャフト2の軸方向と定義し、中心軸線CAに直交する方向を回転シャフト2の径方向と定義し、中心軸線CA回りの周方向を回転シャフト2の周方向と定義する。本開示において、回転シャフト2の軸方向、径方向、周方向の各々を単に軸方向、径方向、周方向と云うことがある。なお、本開示における「或る方向に沿って」とは、或る方向だけでなく、或る方向に対して±15°以内の範囲において傾斜する方向をも含むものである。
【0013】
幾つかの実施形態に係る発電用タービン1は、図1及び図2に示されるように、上記回転シャフト2と、回転シャフト2の軸方向の一方側(図中左側)に設けられるロータ31、及びロータ31の内周側(径方向内側)に設けられるステータ32、を含む発電機3と、発電機3よりも回転シャフト2の軸方向の他方側(図中右側)に設けられる少なくとも1つのタービン動翼4と、を備える。本開示において、回転シャフト2の軸方向の一方側、他方側の各々を単に一方側、他方側と云うことがある。
【0014】
(発電機)
ロータ31は、回転シャフト2の上記一方側の端部21に片持ち支持される磁石支持部311と、磁石支持部311に外周側(径方向外側)から支持される永久磁石312と、を含む。ステータ32は、永久磁石312の内周側に内周側隙間S21を有して対向するように配置された静止コイル部321を有する。
【0015】
図示される実施形態では、磁石支持部311は、回転シャフト2の上記一方側の端部21に内側端部が嵌合などにより機械的に接続されるとともに径方向に沿って延在する円板状の径方向延在部313と、径方向延在部313の外側端部から上記軸方向に沿って上記軸方向の上記一方側に向かって延在する筒状の軸方向延在部314と、を含む。径方向延在部313は、径方向外側に向かうにつれて上記軸方向の上記一方側にずれるように傾斜する傾斜部315を少なくとも一部に含んでいてもよい。
【0016】
永久磁石312は、軸方向延在部314の内周側に支持されている。ステータ32は、回転シャフト2の上記一方側の端部21よりも上記軸方向の上記一方側に配置され、回転シャフト2の回転に対して不動に設けられている。内側ケーシング5は、ステータ32を内周側から支持するステータ支持部51を含む。
【0017】
(タービン動翼)
図示される実施形態では、上述した少なくとも1つのタービン動翼4は、一方側動翼41と、一方側動翼41よりも回転シャフト2の軸方向の他方側に設けられる他方側動翼42と、を含む。回転シャフト2の上記他方側にそれぞれ支持される一方側動翼41及び他方側動翼42は、動翼間距離が短いため、動翼間に生じる圧力損失を小さなものとすることができ、ひいては発電用タービン1の性能向上が図れる。
【0018】
一方側動翼41及び他方側動翼42の各々は、回転シャフト2の上記軸方向の他方側の端部に内周端部が取り付けられ、径方向外側に円板状に突出するディスク部43、45と、ディスク部43、45の外周に設けられた翼部44、46と、を含む。
【0019】
(内側ケーシング)
発電用タービン1は、図1図3に示されるように、回転シャフト2を回転可能に収容するように構成された内側ケーシング5と、内側ケーシング5の外周側(径方向外側)に配置される外側ケーシング6と、をさらに備える。内側ケーシング5は、一方側動翼41のディスク部43に第1隙間S1を有して対向する対向面52を有する。内側ケーシング5は、発電機3を収容する発電機収容空間S2を内部に形成する。
【0020】
図示される実施形態では、内側ケーシング5は、一方側動翼41よりも回転シャフト2の軸方向の一方側に設けられており、上記対向面52は、内側ケーシング5の上記軸方向の他方側の端面である。
【0021】
(軸受)
発電用タービン1は、図1図3に示されるように、回転シャフト2の軸方向における発電機3と一方側動翼41の間に配置され、回転シャフト2を回転可能に支持する少なくとも1つ(図示例では、複数)の軸受7をさらに備える。複数の軸受7の各々は、潤滑油が不要な磁気軸受からなり、内側ケーシング5に支持されている。内側ケーシング5は、回転シャフト2の軸方向における発電機3と一方側動翼41の間に、回転シャフト2及び複数の軸受7を収容する軸受収容空間S3を内部に形成する。軸受収容空間S3は、第1隙間S1及び発電機収容空間S2に接続され、第1隙間S1及び発電機収容空間S2に連通している。
【0022】
図示される実施形態では、回転シャフト2は、軸受収容空間S3において回転シャフト2の径方向外側に突出するスラストディスク部22を有する。複数の軸受7は、スラストディスク部22よりも回転シャフト2の軸方向の一方側に配置され、スラストディスク部22との間に隙間を有して対向する一方側スラスト軸受71と、スラストディスク部22よりも回転シャフト2の軸方向の他方側に配置され、スラストディスク部22との間に隙間を有して対向する他方側スラスト軸受72と、を含む。
【0023】
図示される実施形態では、複数の軸受7は、回転シャフト2の軸方向において発電機3と一方側スラスト軸受71との間に配置される一方側ジャーナル軸受73と、回転シャフト2の軸方向において他方側スラスト軸受72と一方側動翼41との間に配置される他方側ジャーナル軸受74と、をさらに含む。
【0024】
(外側ケーシング)
外側ケーシング6は、図1図3に示されるように、内側ケーシング5の外周側(径方向外側)に配置され、内側ケーシング5との間にタービン動翼4の作動流体が流れる作動流体流路S4を形成する。作動流体流路S4は、外側ケーシング6の内周面61及び内側ケーシング5の外周面53により形成される。作動流体流路S4を流れる作動流体は、ガス状になっている。
【0025】
図示される実施形態では、作動流体流路S4は、発電機収容空間S2及び軸受収容空間S3の外周側を囲む環状の環状流路S41と、環状流路S41よりも上記軸方向の上記一方側に形成され、上記軸方向に沿って延在する柱状の一方側柱状流路S42と、環状流路S41よりも上記軸方向の上記他方側に形成され、上記軸方向に沿って延在する柱状の他方側柱状流路S43と、を含む。一方側柱状流路S42及び他方側柱状流路S43の各々は、環状流路S41に接続され、環状流路S41に連通している。
【0026】
(ケーシング支持部)
図3は、本開示の一実施形態に係る発電用タービン1の軸方向に直交する概略断面図である。図3では、発電機収容空間S2の内部を省略して示している。図1図3に示される実施形態では、発電用タービン1は、環状流路S41を回転シャフト2の径方向に沿って延在する少なくとも1つのケーシング支持部11を備える。ケーシング支持部11は、一端が外側ケーシング6の内周面61に接続され、他端が内側ケーシング5の外周面53に接続される。ケーシング支持部11により、内側ケーシング5は、外側ケーシング6に支持されている。第1隙間S1は、一方側動翼41の一方端とケーシング支持部11の他方端の間の作動流体流路S4に接続され、作動流体流路S4に連通している。
【0027】
ケーシング支持部11は、上記軸方向において発電機収容空間S2に少なくとも一部が重なり合うように配置され、内側ケーシング5の外周面53に接続されることで、発電機3の冷却を促進するための冷却用のフィンとしても機能も有している。ケーシング支持部11は、上記軸方向に沿って少なくとも1つ配置されていればよく、上記周方向においても少なくとも1つ配置されていればよい。
【0028】
上記の構成によれば、回転シャフト2の他方側に設けられる発電機3をアウターロータ型にすることで、インナーロータ型にした場合に比べて、高出力密度化が図れ、発電機3及び発電機収容空間S2の径方向における大きさを小さくできる。これにより、発電機収容空間S2の外周側に形成される作動流体流路S4が径方向の比較的内側に配置できるため、発電用タービン1の大型化を抑制できる。
【0029】
(貫通孔)
上述した内側ケーシング5は、図1及び図2に示されるように、作動流体流路S4を形成する外面55に形成された外側開口541及び発電機収容空間S2を形成する内面56に形成された内側開口542を有する少なくとも1つ(図示例では、複数)の貫通孔54が形成されている。複数の貫通孔54は、回転シャフト2の周方向において互いに間隔をあけて配置されている。
【0030】
複数の貫通孔54の各々の形状は、図示される実施形態に限定されず、発電機収容空間S2と内側ケーシング5の外部とで作動流体の流通が可能になっていればよい。図示される実施形態では、複数の貫通孔54の各々は、外側開口541から内側開口542までに亘り直線状に形成されているが、この形状に限定されない。図示される実施形態では、外側開口541は、内側ケーシング5の上記軸方向の上記一方側の端面に形成されているが、他の実施形態では、外周面53に形成されていてもよい。また、図示される実施形態では、内側開口542は、上記軸方向に沿って延在するステータ支持部51の上記軸方向の上記他方側の端面に形成されているが、上記端面以外の発電機収容空間S2を形成する面に形成されていてもよい。
【0031】
上記の構成によれば、第1隙間S1及び貫通孔54を介して作動流体流路S4を流れる作動流体の一部を発電機収容空間S2に抽気し、発電機3を冷却させた後に発電機収容空間S2から排出できる。このような簡単な構造によって、発電機3を冷却できるため、発電用タービン1の複雑化を抑制できる。
【0032】
幾つかの実施形態に係る発電用タービン1は、図1及び図2に示されるように、上記軸方向の上記発電機3と一方側動翼41との間に配置され、回転シャフト2を回転可能に支持するように構成された少なくとも1つの磁気軸受7を備える。上述した内側ケーシング5は、上記軸方向の発電機収容空間S2と第1隙間S1との間に、発電機収容空間S2及び第1隙間S1に接続されて回転シャフト2及び磁気軸受7を収容する上述した軸受収容空間S3が形成されている。
【0033】
上記の構成によれば、発電機収容空間S2と第1隙間S1は、潤滑油が不要な磁気軸受7を収容する軸受収容空間S3を通じて、作動流体(抽気)の流通が可能である。この場合には、発電機収容空間S2と第1隙間S1との間で作動流体の流通させるための流路を別途設ける必要がないため、発電用タービン1の大型化、複雑化を抑制できる。
【0034】
幾つかの実施形態に係る発電用タービン1は、図1に示されるように、作動流体が作動流体流路S4を上記軸方向の上記他方側から上記一方側に向かって流れるように構成されている。一方側動翼41及び他方側動翼42の各々の翼部44、46が作動流体流路S4に配置されている。他方側動翼42が初段動翼となり、一方側動翼41が二段目動翼となる。
【0035】
図示される実施形態では、上述した発電用タービン1は、一方側動翼41と他方側動翼42との間に設けられる一方側静翼(二段目静翼)81と、他方側動翼42よりも上記軸方向の上記他方側に設けられる他方側静翼(初段静翼)82と、を含む。一方側静翼81及び他方側静翼82の各々は、外側ケーシング6の内周面61に径方向外側から支持される翼部83、85と、翼部83、85を径方向内側から支持する環状の内側静翼支持部84、86と、を含む。
【0036】
図1に示される実施形態では、作動流体流路S4を流れる作動流体の主流は、他方側柱状流路S43、環状流路S41、一方側柱状流路S42の順で流れる。作動流体流路S4を流れる作動流体の一部である抽気は、第1隙間S1、軸受収容空間S3、発電機収容空間S2、貫通孔54、一方側柱状流路S42の順で流れる。
【0037】
上記の構成によれば、タービン動翼4を通過した作動流体の一部である抽気を、第1隙間S1を通じて発電機収容空間S2に流入させることができる。発電機収容空間S2に流入する作動流体は、タービン動翼4を通過する際に膨張して温度低下しているため、該作動流体により発電機3を効果的に冷却できる。
【0038】
幾つかの実施形態では、上述した発電用タービン1は、図1に示されるように、作動流体流路S4における一方側動翼41よりも上記軸方向の上記一方側に設けられる圧力損失を生じさせる抵抗体12をさらに備える。抵抗体12は、作動流体流路S4に圧力損失を生じさせることで、抵抗体12と一方側動翼41との間における作動流体流路S4の圧力を、軸受収容空間S3の圧力よりも大きくするためのものである。
【0039】
図示される実施形態では、上述したケーシング支持部11が抵抗体12としても機能を発揮するようになっている。ケーシング支持部11により作動流体流路S4における圧力損失を増大させる方策としては、例えば、ケーシング支持部11の数や厚さを増やしたり、ケーシング支持部11の上記軸方向における一方端を他方端に対して上記周方向にずらしたりすることが挙げられる。なお、抵抗体12は、作動流体流路S4に設けられ、作動流体流路S4の開口面積を小さくする絞り部等であってもよい。
【0040】
上記の構成によれば、作動流体流路S4に抵抗体12を設け、抵抗体12と一方側動翼41との間における作動流体流路S4の圧力を、軸受収容空間S3の圧力よりも大きくすることで、圧力差により第1隙間S1を通じて発電機収容空間S2に作動流体を導くことや、貫通孔54を通じて発電機収容空間S2から作動流体を排出することができる。この場合には、発電機収容空間S2に作動流体を流通させるためのファン等を別途設ける必要がないため、発電用タービン1の機器点数の増加を抑制できるとともに、発電用タービン1の消費電力の増加も抑制できる。
【0041】
幾つかの実施形態に係る発電用タービン1は、図2に示されるように、作動流体が作動流体流路S4を上記軸方向の上記一方側から上記他方側に向かって流れるように構成されている。一方側動翼41及び他方側動翼42の各々の翼部44、46が作動流体流路S4に配置されている。一方側動翼41が初段動翼となり、他方側動翼42が二段目動翼となる。
【0042】
図示される実施形態では、上述した発電用タービン1は、一方側動翼41よりも上記軸方向の上記一方側に設けられる一方側静翼(初段静翼)81Aと、一方側動翼41と他方側動翼42との間に設けられる他方側静翼(二段目静翼)82Aと、を含む。一方側静翼81Aは、外側ケーシング6の内周面61に径方向外側から支持され、且つ内側ケーシング5の外周面53に径方向内側から支持される翼部83Aを含む。他方側静翼82Aは、外側ケーシング6の内周面61に径方向外側から支持される翼部84Aと、翼部84Aを径方向内側から支持する環状の内側静翼支持部85Aと、を含む。
【0043】
図2に示される実施形態では、作動流体流路S4を流れる作動流体の主流は、一方側柱状流路S42、環状流路S41、他方側柱状流路S43の順で流れる。作動流体流路S4を流れる作動流体の一部である抽気は、貫通孔54、発電機収容空間S2、軸受収容空間S3、第1隙間S1、他方側柱状流路S43の順で流れる。
【0044】
上記の構成によれば、タービン動翼4に導入前の作動流体の一部を、貫通孔54を通じて発電機収容空間S2に流入させることで、発電機3を冷却できる。そして、発電機3から熱エネルギーを回収してエンタルピーが増大した作動流体(抽気)を、第1隙間S1を通じてタービン動翼4に導入される作動流体(主流)に混合させることで、タービン動翼4における回収動力を増大でき、発電用タービン1の出力を増加させることができる。
【0045】
(バランスホール)
図4及び図5の各々は、本開示の一実施形態に係る発電用タービン1のタービン動翼4近傍の軸方向に沿った概略断面図である。幾つかの実施形態に係る発電用タービン1は、図2に示されるように、上述した回転シャフト2、発電機3、タービン動翼4、内側ケーシング5及び外側ケーシング6を備え、発電用タービン1の作動流体は、作動流体流路S4を上記軸方向の上記一方側から上記他方側に向かって流れるように構成されている。上述した一方側動翼41のディスク部43は、図4に示されるように、上記軸方向に貫通する第1バランスホール48を有する。第1バランスホール48は、軸受収容空間S3から第1隙間S1に導かれた作動流体(抽気)が流入するように構成されている。
【0046】
図4に示される実施形態では、軸受収容空間S3から第1隙間S1に導かれた作動流体(抽気)は、第1バランスホール48を通過後に、一方側動翼41と他方側動翼42の間において一方側動翼41を通過した作動流体(主流)に混合する。
【0047】
上記の構成によれば、軸受収容空間S3から第1隙間S1に導かれた作動流体(抽気)は、第1バランスホール48を通過することで、第1バランスホール48が形成された一方側動翼41よりも作動流体の流れ方向の下流側において、一方側動翼41を通過した作動流体(主流)に混合される。この場合には、軸受収容空間S3から第1隙間S1に導かれた作動流体(抽気)を、第1隙間S1を通じて一方側動翼41に導入される作動流体に混合させる場合に比べて、抽気と主流の混合時における圧力損失を低減できる。
【0048】
幾つかの実施形態では、図5に示されるように、上述した一方側動翼41のディスク部43は、上記軸方向に貫通する第1バランスホール48を有し、上述した他方側動翼42のディスク部45は、上記軸方向に貫通する第2バランスホール49を有する。第1バランスホール48は、軸受収容空間S3から第1隙間S1に導かれた作動流体(抽気)が流入するように構成されている。第2バランスホール49は、第1バランスホール48よりも回転シャフト2の径方向における外側に形成され、第1バランスホール48を通過した作動流体が流入するように構成されている。
【0049】
図5に示される実施形態では、軸受収容空間S3から第1隙間S1に導かれた作動流体(抽気)は、第1バランスホール48及び第2バランスホール49を通過後に、他方側柱状流路S43において他方側動翼42を通過した作動流体(主流)に混合する。
【0050】
図5に示される実施形態では、タービン動翼4は、一方側動翼41のディスク部43に一端が接続され、他方側動翼42のディスク部45に他端が接続された連結部47をさらに含む。連結部47の外周面471は、上述した内側静翼支持部85Aの内周面851Aに隙間を有して対向している。連結部47の外周面471と内側静翼支持部85Aの内周面851Aの間には、外周面471と内周面851Aの隙間をシールするためのシール構造13が設けられる。図示される実施形態では、シール構造13は、内周面851Aに形成されるラビリンスシールからなる。外周面471と内周面851Aの隙間は、第1バランスホール48よりも回転シャフト2の径方向における外側に形成され、第2バランスホール49よりも回転シャフト2の径方向における内側に形成される。上述した第1バランスホール48は、外周面471と内周面851Aの隙間を通過後に第2バランスホール49を通過するようになっている。
【0051】
上記の構成によれば、第1バランスホール48を通過した作動流体(抽気)は、回転シャフト2の回転により回転シャフト2の径方向における外側に向かって押し出される。第2バランスホール49を、第1バランスホール48よりも回転シャフト2の径方向における外側に形成することで、第1バランスホール48を通過した作動流体(抽気)が第2バランスホール49に流入し易くなっている。軸受収容空間S3から第1隙間S1に導かれた作動流体(抽気)を、第1バランスホール48だけでなく第2バランスホール49も通過させることで、抽気と主流の混合時における圧力損失のさらなる低減が図れる。
【0052】
図6及び図7の各々は、本開示の一実施形態に係る発電用タービン1の軸方向に沿った概略断面図である。幾つかの実施形態では、図6及び図7に示されるように、上述した発電用タービン1は、図6及び図7に示されるように、上述した回転シャフト2、発電機3、タービン動翼4、内側ケーシング5及び外側ケーシング6を備え、発電用タービン1の作動流体は、作動流体流路S4を上記軸方向の上記一方側から上記他方側に向かって流れるように構成されている。上述した発電用タービン1は、上述した少なくとも1つの貫通孔54の外側開口541に一端91が接続された抽気ライン9をさらに備える。
【0053】
図6及び図7に示される実施形態では、抽気ライン9は、作動流体が流れる内部流路90を内部に有する。複数の貫通孔54の各々の外側開口541は、一方側柱状流路S42に配置された一端91にまとめて接続され、内部流路90に連通している。発電機収容空間S2に導入された作動流体(抽気)は、発電機収容空間S2から貫通孔54を通り抽気ライン9に流入するようになっている。貫通孔54や抽気ライン9を流れる作動流体(抽気)は、一方側柱状流路S42を流れる作動流体(主流)に混合しないようになっている。
【0054】
上記の構成によれば、抽気ライン9の一端91を少なくとも1つの貫通孔54の外側開口541に接続することで、発電機3から熱エネルギーを回収してエンタルピーが増大した作動流体(抽気)を、抽気ライン9により回収でき、回収した作動流体(抽気)のエンタルピーを多様な用途に利用できる。
【0055】
図6及び図7に示されるように、発電用タービン1は、抽気ライン9に設けられ、抽気ライン9を流れる作動流体の流量を調整可能に構成された流量調整弁93を備えていてもよい。流量調整弁93は、全閉と全開に開度調整可能な開閉弁でもよいし、全閉と全開とこれらの間の少なくとも1つの中間開度に開度調整可能な開度調整弁でもよい。
【0056】
図6及び図7に示されるように、発電用タービン1は、抽気ライン9に設けられ、抽気ライン9を流れる作動流体に熱エネルギーを回収させるように構成された熱交換器94を備えていてもよい。熱交換器94において作動流体に熱エネルギーを回収させることで、冷却対象が冷却される。熱交換器94の冷却対象は、例えば、発電機3のパワーエレクトロニクス部品95であってもよい。図示される実施形態では、熱交換器94及びパワーエレクトロニクス部品95がケーシング96の内部空間960に収容されており、パワーエレクトロニクス部品95が発生させる熱エネルギーが熱交換器94において作動流体に回収されるようになっている。
【0057】
(抽気孔)
幾つかの実施形態に係る発電用タービン1では、図6に示されるように、上述した回転シャフト2は、上述したスラストディスク部22を有する。上述した磁気軸受7は、上述した他方側スラスト軸受72を含む。上述した内側ケーシング5は、少なくとも1つの抽気孔10が形成されている。抽気孔10は、軸受収容空間S3の外周側に環状流路S41(作動流体流路S4)を形成する外周面53に形成された外側開口10A、及び他方側スラスト軸受72よりも上記軸方向の上記他方側において軸受収容空間S3を形成する内面57に形成された内側開口10B、を有する。
【0058】
抽気孔10は、図示される実施形態に限定されず、環状流路S41と軸受収容空間S3とで作動流体の流通が可能になっていればよい。図示される実施形態では、抽気孔10は、外側開口10Aから内側開口10Bまでに亘り上記径方向に沿って直線状に形成されているが、この形状に限定されない。
【0059】
タービン動翼4に導入される作動流体(主流)の一部を、抽気孔10を通じて軸受収容空間S3に流入させることができる。軸受収容空間S3に流入した作動流体(抽気)は、軸受収容空間S3を上記軸方向の上記一方側に向かって流れる一方側抽気と、軸受収容空間S3を上記軸方向の上記他方側に向かって流れる他方側抽気と、に分流する。
【0060】
図示される実施形態では、一方側抽気は、軸受収容空間S3の抽気孔10よりも上記軸方向の上記一方側、発電機収容空間S2、貫通孔54、抽気ライン9の順で流れる。図示される実施形態では、他方側抽気は、軸受収容空間S3の抽気孔10よりも上記軸方向の上記他方側、第1隙間S1、作動流体流路S4における一方側静翼81Aと一方側動翼41との間の第1空間S44の順で流れる。
【0061】
発電用タービン1のタービン動翼4を駆動させることで、タービン動翼4を支持する回転シャフト2には、上記軸方向の上記一方側から上記他方側に向かうスラスト力が作用する。
【0062】
上記の構成によれば、タービン動翼4に導入される作動流体(主流)の一部を、第1隙間S1よりも作動流体流路S4の流れ方向における上流側に位置する抽気孔10を通じて発電機収容空間S2に流入させることができる。この場合には、発電機収容空間S2を上記軸方向の上記他方側から上記一方側に流れる作動流体(一方側抽気)により、スラストディスク部22が上記他方側から上記一方側に押されるため、回転シャフト2に係るスラスト力を低減できる。
【0063】
幾つかの実施形態に係る発電用タービン1では、図6に示されるように、上述した少なくとも1つのタービン動翼4は、上述した一方側動翼41と、上述した他方側動翼42と、を含む。発電用タービン1は、一方側動翼41及び第1隙間S1よりも上記軸方向の上記一方側に配置される一方側静翼81Aをさらに備え、上述した抽気ライン9の他端92(92A、92B)は、作動流体流路S4における一方側静翼81Aと一方側動翼41との間の上述した第1空間S44、又は、作動流体流路S4における他方側動翼42よりも上記他方側の第2空間S45、の何れかに接続されている。抽気ライン9の他端92(92A、92B)は、第1空間S44又は第2空間S45に上記径方向の外側から接続されている。抽気ライン9に導入された作動流体(抽気)は、第1空間S44又は第2空間S45に導かれる。
【0064】
抽気ライン9の他端92(92B)が第1空間S44に接続された場合には、発電機3や熱交換器94から熱エネルギーを回収してエンタルピーが増大した作動流体(抽気)を、抽気ライン9を通じて第1空間S44においてタービン動翼4に導入される作動流体(主流)に混合させることで、タービン動翼4における回収動力を増大でき、発電用タービン1の出力を増加させることができる。
【0065】
また、抽気ライン9の他端92(92A)が第2空間S45に接続された場合には、発電機3を冷却した作動流体(抽気)は、第2空間S45において他方側動翼42を通過した作動流体(主流)に混合される。この場合には、抽気をタービン動翼4に導入される主流に混合させる場合に比べて、抽気と主流の混合時における圧力損失を低減できる。
【0066】
幾つかの実施形態に係る発電用タービン1では、図7に示されるように、上述した少なくとも1つのタービン動翼4は、上述した一方側動翼41と、上述した他方側動翼42と、を含む。発電用タービン1は、一方側動翼41及び第1隙間S1よりも上記軸方向の上記一方側に配置される一方側静翼81Aをさらに備え、上述した抽気ライン9の他端92(92A)は、作動流体流路S4における他方側動翼42よりも上記他方側の第2空間S45に接続されている。抽気ライン9の他端92(92A)は、第2空間S45に上記径方向の外側から接続されている。抽気ライン9に導入された作動流体(抽気)は、第2空間S45に導かれる。
【0067】
図7に示される実施形態では、内側ケーシング5に抽気孔10が形成されていないため、作動流体流路S4を流れる作動流体の一部(抽気)は、第1隙間S1、軸受収容空間S3、発電機収容空間S2、抽気ライン9の順に流れる。抽気ライン9に導入された作動流体(抽気)は、第2空間S45に導かれる。
【0068】
上記の構成によれば、抽気ライン9の他端92が第2空間S45に接続された場合には、発電機3を冷却した作動流体(抽気)は、第2空間S45において他方側動翼42を通過した作動流体(主流)に混合される。この場合には、抽気をタービン動翼4に導入される主流に混合させる場合に比べて、抽気と主流の混合時における圧力損失を低減できる。
【0069】
(第1絞り部)
図8は、本開示の一実施形態に係る発電用タービン1の発電機収容空間S2及び軸受収容空間S3近傍の軸方向に沿った概略断面図である。図8では、第1絞り部A1と第2絞り部A2が描かれているが、第1絞り部A1と第2絞り部A2は、何れか一方があればよい。幾つかの実施形態に係る発電用タービン1では、図8に示されるように、上述した回転シャフト2は、上述したスラストディスク部22を有し、上述したスラストディスク部22の外周面221と、外周面221の外周側に隙間を有して対向する内側ケーシング5の内面58との間に、作動流体の流路を狭める第1絞り部A1が設けられている。
【0070】
上記の構成によれば、第1絞り部A1を設けることで、軸受収容空間S3の第1絞り部A1よりも上記軸方向の上記一方側と上記他方側との間に生じる差圧により、スラストディスク部22が上記他方側から上記一方側に押されるため、回転シャフト2に係るスラスト力を低減できる。発電機収容空間S2よりも抽気の流れ方向の上流側に第1絞り部A1を設けることで、発電機3のロータ31が比較的低圧場において回転するためロータ31の風損低減が図れる。
【0071】
幾つかの実施形態に係る発電用タービン1では、図8に示されるように、上述したロータ31の外周面33と、外周面33の外周側に隙間を有して対向する内側ケーシング5の内面(内周面)56Aとの間に、作動流体の流路を狭める第2絞り部A2が設けられている。
【0072】
発電機3のロータ31が比較的低圧場において回転させるためには、第2絞り部A2は、上記軸方向の上記他方側に設けられることが好ましい。図示される実施形態では、第2絞り部A2は、永久磁石312よりも上記軸方向の上記他方側に設けられている。
【0073】
上記の構成によれば、第2絞り部A2を設けることで、隙間(外周側隙間S22)の第2絞り部A2よりも上記軸方向の上記一方側と上記他方側との間に生じる差圧により、ロータ31が上記他方側から上記一方側に押されるため、回転シャフト2に係るスラスト力を低減できる。また、上記の構成によれば、第1絞り部A1を設ける場合に比べて、スラスト軸受を小さなものとすることができるため、発電用タービン1の大型化を抑制できる。
【0074】
幾つかの実施形態では、図1、2、6及び7に示されるように、上述した発電用タービン1の内側ケーシング5は、上述したステータ32を内周側から支持する上述したステータ支持部51を含む。上述した発電機収容空間S2は、外周側隙間S22と、内周側隙間S21と、一方側空間S23と、他方側空間S24と、を含む。外周側隙間S22は、ロータ31の外周面33と、外周面33の外周側に隙間を有して対向する内側ケーシング5の内面56Aとの間に形成される。内周側隙間S21は、ロータ31とステータ32との間に形成される。一方側空間S23は、内周側隙間S21よりも上記軸方向の上記一方側において外周側隙間S22及び内周側隙間S21に接続されている。一方側空間S23は、内側ケーシング5の発電機収容空間S2を形成する上記一方側の内面により形成されている。他方側空間S24は、内周側隙間S21よりも上記軸方向の上記他方側において内周側隙間S21に接続されている。他方側空間S24は、ロータ31とステータ支持部51により形成されている。上述した複数の貫通孔54の各々の内側開口542は、他方側空間S24に接続されている。
【0075】
上記の構成によれば、発電機収容空間S2に導かれた作動流体(抽気)は、外周側隙間S22、一方側空間S23、内周側隙間S21、他方側空間S24の順又は逆順で通過するため、発電機収容空間S2を通過する際にロータ31及びステータ32を効果的に冷却できる。
【0076】
(発電システム)
図9は、本開示の一実施形態に係る発電用タービン1を備える発電システム100の模式図である。発電システム100は、液化ガスを加熱するための熱媒体を介して、液化ガスが有する冷熱エネルギーを電力として回収するためのものである。液化ガスを気化させる際に、発電システム100に搭載される発電用タービン1により冷熱エネルギーを電力として回収する。
【0077】
発電システム100は、発電用タービン1と、熱媒体循環ライン101と、液化ガス供給ライン102と、凝縮器103と、加熱流体供給ライン104と、冷熱用ポンプ105と、蒸発器106と、を備える。発電用タービン1、凝縮器103、冷熱用ポンプ105、及び蒸発器106は、熱媒体循環ライン101に夫々接続されている。また、液化ガス供給ライン102は、凝縮器103に接続されている。加熱流体供給ライン104は、蒸発器106に接続されている。熱媒体循環ライン101、液化ガス供給ライン102及び加熱流体供給ライン104の夫々は、例えば管路など流体が流通する流路を含むものである。そして、熱媒体が液体や気体に状態変化をしながら熱媒体循環ライン101内を循環することで、発電システム100が駆動されるように構成されている。
【0078】
(熱媒体循環ライン)
熱媒体循環ライン101は、水よりも凝固点の低い熱媒体を循環させるように構成されている。以下、液化ガスの具体例として液化天然ガス(LNG)を、熱媒体循環ライン101を流れる熱媒体の具体例としてプロパンを例に挙げて説明するが、本開示は、液化天然ガス以外の液化ガス(液化水素など)も適用可能であり、また、プロパン以外の熱媒体、例えばR1234yfやR1234zeなどを熱媒体循環ライン101に流れる熱媒体とした場合にも適用可能である。
【0079】
(凝縮器)
凝縮器103は、熱媒体と液化ガスとが熱交換することで作動流体を凝縮させるように構成されている。凝縮器103の内部には、熱媒体循環ライン101に接続され熱媒体循環ライン101を循環する熱媒体が流入する加熱側管路103Aと、液化ガス供給ライン102に接続され液化ガス供給ライン102を流れる液化ガスが流入する被加熱側管路103Bが設けられている。そして、加熱側管路103Aを流れる熱媒体と被加熱側管路103Bを流れる液化ガスとが熱交換するように構成されている。凝縮器103において、熱交換により熱媒体は冷却され凝縮し、液化ガスは加熱される。
【0080】
凝縮器103よりも上流側の液化ガス供給ライン102は、液化ガス用ポンプ102Aに接続され、液化ガス用ポンプ102Aのさらに上流側は液化ガス貯留装置102Bに接続されている。液化ガス用ポンプ102Aの駆動により、液化ガス貯留装置102Bに貯留されている液体状の液化ガスは、液化ガス供給ライン102に送られ、液化ガス供給ライン102を上流側から下流側に向かって流れ、凝縮器103へと供給される。
【0081】
そして、凝縮器103の内部における熱交換により気化された液化ガスは、被加熱側管路103Bを流れた後、再び液化ガス供給ライン102を流れ、凝縮器103の下流側に設置されるエンジン(不図示)へ燃料として供給される。
【0082】
(冷熱用ポンプ)
冷熱用ポンプ105は、凝縮器103から供給された熱媒体を昇圧するように構成されている。熱媒体循環ライン101に接続される冷熱用ポンプ105が駆動することにより、熱媒体循環ライン101を熱媒体が循環する。熱媒体は、凝縮器103から冷熱用ポンプ105へ、冷熱用ポンプ105から蒸発器106へ、蒸発器106から発電用タービン1へ、発電用タービン1から凝縮器103へと流れる。
【0083】
冷熱用ポンプ105は、熱媒体を昇圧できればよく、その形式は特に限定されない。例えば、ターボ形ポンプ(遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプなど)や容積形ポンプ(往復形ポンプ、回転形ポンプ)、特殊形ポンプ(水中モータポンプ)など、実施形態に合わせて形式を適宜選択できる。
【0084】
(蒸発器)
蒸発器106は、冷熱用ポンプ105により昇圧された熱媒体と、発電システム100の外部から導入された加熱流体とが熱交換することで熱媒体を蒸発させるように構成されている。蒸発器106の内部には、冷熱用ポンプ105により昇圧された熱媒体が流入し、熱媒体循環ライン101に接続される熱媒体被加熱側管路106Aと、加熱流体供給ライン104に接続され、発電システム100の外部から導入される加熱流体が流入する熱媒体加熱側管路106Bが設けられている。そして、熱媒体被加熱側管路106Aを流れる熱媒体と熱媒体加熱側管路106Bを流れる加熱流体とが熱交換するように構成されている。蒸発器106において、熱交換により熱媒体は加熱され蒸発し、加熱流体は冷却される。
【0085】
蒸発器106よりも上流側の加熱流体供給ライン104は、加熱流体用ポンプ104Aに接続されている。加熱流体供給ライン104における加熱流体用ポンプ104Aのさらに上流側は、発電システム100の外部から加熱流体が導入されるように、加熱流体の供給源と接続されている。
【0086】
加熱流体用ポンプ104Aの駆動により、加熱流体の供給源から加熱流体が加熱流体供給ライン104に送られ、加熱流体供給ライン104を上流側から下流側に向かって流れ、蒸発器106へと供給される。そして、蒸発器106の内部における熱交換により冷却された加熱流体は、熱媒体加熱側管路106Bを流れた後、再び加熱流体供給ライン104を流れ、発電システム100の外部へ排出される。
【0087】
上述した「加熱流体」は、蒸発器106において熱媒として熱媒体循環ライン101を循環する熱媒体を加熱させる流体であればよく、蒸気や温水、海水や、エンジン冷却水、常温の水であってもよい。
【0088】
発電用タービン1は、蒸発器106で生成された気体状の熱媒体によって駆動されるように構成されている。発電用タービン1は上述した発電機3を有している。そして、蒸発器106で生成された気体状の熱媒体によって発電用タービン1の回転シャフト2が回転することで、発電機3を駆動するように構成されている。発電用タービン1を駆動した気体状の熱媒体は、発電用タービン1の下流側に設置される上述した凝縮器103に向かって熱媒体循環ライン101を流れる。
【0089】
発電用タービン1は、液化ガスを加熱するための熱媒体を循環させるように構成された熱媒体循環ライン101に設けられている。この場合には、熱媒体循環ライン101を循環して発電用タービン1に導入される熱媒体は、液化ガスの冷熱エネルギーを回収することで比較的低温になっている。上記熱媒体を発電用タービン1の作動流体とすることで、発電機収容空間S2に比較的低温の作動流体が導かれるため、発電機3の冷却が効果的に行われる。
【0090】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0091】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0092】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0093】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る発電用タービン(1)は、
回転シャフト(2)と、
前記回転シャフト(2)の軸方向の一方側に設けられるロータ(31)及び前記ロータ(31)の内周側に配置されるステータ(32)を含む発電機(3)と、
前記発電機(3)よりも前記回転シャフト(2)の前記軸方向の他方側に設けられる少なくとも1つのタービン動翼(4)と、
前記回転シャフト(2)を回転可能に収容するように構成された内側ケーシング(5)であって、前記少なくとも1つのタービン動翼(4)のディスク部(43)に第1隙間(S1)を有して対向する対向面(52)を有し、前記第1隙間(S1)に連通して前記発電機(3)を収容する発電機収容空間(S2)を形成する内側ケーシング(5)と、
前記内側ケーシング(5)の外周側に配置され、前記内側ケーシング(5)との間に前記第1隙間(S1)に連通して前記タービン動翼(4)の作動流体が流れる作動流体流路(S4)を形成する外側ケーシング(6)と、を備え、
前記内側ケーシング(5)は、前記作動流体流路(S4)を形成する外面(55)に形成された外側開口(541)及び前記発電機収容空間(S2)を形成する内面(56)に形成された内側開口(542)を有する少なくとも1つの貫通孔(54)が形成された。
【0094】
上記1)の構成によれば、回転シャフト(2)の他方側に設けられる発電機(3)をアウターロータ型にすることで、インナーロータ型にした場合に比べて、高出力密度化が図れ、発電機(3)及び発電機収容空間(S2)の径方向における大きさを小さくできる。これにより、発電機収容空間(S2)の外周側に形成される作動流体流路(S4)が径方向の比較的内側に配置できるため、発電用タービン(1)の大型化を抑制できる。
【0095】
また、上記1)の構成によれば、第1隙間(S1)及び貫通孔(54)を介して作動流体流路(S4)を流れる作動流体の一部を発電機収容空間(S2)に抽気し、発電機(3)を冷却させた後に発電機収容空間(S2)から排出できる。このような簡単な構造によって、発電機(3)を冷却できるため、発電用タービン(1)の複雑化を抑制できる。
【0096】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の発電用タービン(1)であって、
前記軸方向の前記発電機(3)と前記少なくとも1つのタービン動翼(4)との間に配置され、前記回転シャフト(2)を回転可能に支持するように構成された少なくとも1つの磁気軸受(7)をさらに含み、
前記内側ケーシング(5)は、前記軸方向の前記発電機収容空間(S2)と前記第1隙間(S1)との間に、前記発電機収容空間(S2)及び前記第1隙間(S1)に接続されて前記回転シャフト(2)及び前記少なくとも1つ磁気軸受(7)を収容する軸受収容空間(S3)が形成された。
【0097】
上記2)の構成によれば、発電機収容空間(S2)と第1隙間(S1)は、潤滑油が不要な磁気軸受(7)を収容する軸受収容空間(S3)を通じて、作動流体(抽気)の流通が可能である。この場合には、発電機収容空間(S2)と第1隙間(S1)との間で作動流体の流通させるための流路を別途設ける必要がないため、発電用タービン(1)の大型化、複雑化を抑制できる。
【0098】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の発電用タービン(1)であって、
前記作動流体は、前記作動流体流路(S4)を前記軸方向の前記他方側から前記一方側に向かって流れるように構成された。
【0099】
上記3)の構成によれば、タービン動翼(4)を通過した作動流体の一部を、第1隙間(S1)を通じて発電機収容空間(S2)に流入させることができる。発電機収容空間(S2)に流入する作動流体は、タービン動翼(4)を通過する際に膨張して温度低下しているため、該作動流体により発電機(3)を効果的に冷却できる。
【0100】
4)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の発電用タービン(1)であって、
前記作動流体は、前記作動流体流路(S4)を前記軸方向の前記一方側から前記他方側に向かって流れるように構成された。
【0101】
上記4)の構成によれば、タービン動翼(4)に導入前の作動流体の一部を、貫通孔(54)を通じて発電機収容空間(S2)に流入させることで、発電機(3)を冷却できる。そして、発電機(3)から熱エネルギーを回収してエンタルピーが増大した作動流体を、第1隙間(S1)を通じてタービン動翼(4)に導入される作動流体に混合させることで、タービン動翼(4)における回収動力を増大でき、発電用タービン(1)の出力を増加させることができる。
【0102】
5)幾つかの実施形態では、上記3)に記載の発電用タービン(1)であって、
前記作動流体流路(S4)における前記少なくとも1つのタービン動翼(4)よりも前記軸方向の前記一方側に設けられる圧力損失を生じさせる抵抗体(12)であって、前記抵抗体(12)と前記少なくとも1つのタービン動翼(4)との間における前記作動流体流路の圧力を、前記軸受収容空間(S3)の圧力よりも大きくするための抵抗体(12)をさらに備える。
【0103】
上記5)の構成によれば、作動流体流路(S4)に抵抗体(12)を設け、抵抗体(12)とタービン動翼(4)との間における作動流体流路の圧力を、軸受収容空間(S3)の圧力よりも大きくすることで、圧力差により第1隙間(S1)を通じて発電機収容空間(S2)に作動流体を導くことや、貫通孔(54)を通じて発電機収容空間(S2)から作動流体を排出することができる。この場合には、発電機収容空間(S2)に作動流体を流通させるためのファン等を別途設ける必要がないため、発電用タービン(1)の機器点数の増加を抑制できるとともに、発電用タービン(1)の消費電力の増加も抑制できる。
【0104】
6)幾つかの実施形態では、上記4)に記載の発電用タービン(1)であって、
前記内側ケーシング(5)の前記対向面(52)に対して前記第1隙間(S1)を介して対向する前記少なくとも1つの動翼(4)の前記ディスク部(43)は、前記軸方向に貫通する第1バランスホール(48)を有し、
前記第1バランスホール(48)は、前記軸受収容空間(S3)から前記第1隙間(S1)に導かれた前記作動流体が流入するように構成された。
【0105】
上記6)の構成によれば、軸受収容空間(S3)から第1隙間(S1)に導かれた作動流体(抽気)は、第1バランスホール(48)を通過することで、第1バランスホール(48)が形成された動翼(4)よりも作動流体の流れ方向の下流側において、第1バランスホール(48)が形成された動翼(4)を通過した作動流体(主流)に混合される。この場合には、軸受収容空間(S3)から第1隙間(S1)に導かれた作動流体(抽気)を、第1隙間(S1)を通じてタービン動翼(4)に導入される作動流体に混合させる場合に比べて、抽気と主流の混合時における圧力損失を低減できる。
【0106】
7)幾つかの実施形態では、上記6)に記載の発電用タービン(1)であって、
前記少なくとも1つの動翼(4)は、
前記第1バランスホール(48)を有する一方側動翼(41)と、
前記一方側動翼(41)よりも前記軸方向の前記他方側に設けられる他方側動翼(42)と、を含み、
前記他方側動翼(42)のディスク部(45)は、前記軸方向に貫通する第2バランスホール(49)を有し、
前記第2バランスホール(49)は、前記第1バランスホール(48)よりも前記回転シャフト(2)の径方向における外側に形成され、前記第1バランスホール(48)を通過した前記作動流体が流入するように構成された。
【0107】
上記7)の構成によれば、第1バランスホール(48)を通過した作動流体(抽気)は、回転シャフト(2)の回転により回転シャフト(2)の径方向における外側に向かって押し出される。第2バランスホール(49)を、第1バランスホール(48)よりも回転シャフト(2)の径方向における外側に形成することで、第1バランスホール(48)を通過した作動流体(抽気)が第2バランスホール(49)に流入し易くなっている。軸受収容空間(S3)から第1隙間(S1)に導かれた作動流体(抽気)を、第1バランスホール(48)だけでなく第2バランスホール(49)も通過させることで、抽気と主流の混合時における圧力損失のさらなる低減が図れる。
【0108】
8)幾つかの実施形態では、上記4)に記載の発電用タービン(1)であって、
前記少なくとも1つの貫通孔(54)の前記外側開口(541)に一端(91)が接続された抽気ライン(9)をさらに備える。
【0109】
上記8)の構成によれば、抽気ライン(9)の一端(91)を少なくとも1つの貫通孔(54)の外側開口(541)に接続することで、発電機(3)から熱エネルギーを回収してエンタルピーが増大した作動流体(抽気)を、抽気ライン(9)により回収でき、回収した作動流体(抽気)のエンタルピーを多様な用途に利用できる。
【0110】
9)幾つかの実施形態では、上記8)に記載の発電用タービン(1)であって、
であって、
前記回転シャフト(2)は、前記軸受収容空間(S3)において前記回転シャフト(2)の径方向外側に突出するスラストディスク部(22)を有し、
前記少なくとも1つの磁気軸受(7)は、前記スラストディスク部(22)よりも前記回転シャフト(2)の前記軸方向の前記他方側に配置され、前記スラストディスク部(22)との間に隙間を有して対向する他方側スラスト軸受(72)を含み、
前記内側ケーシング(5)は、前記軸受収容空間(S3)の外周側に前記作動流体流路(S4)を形成する外周面(53)に形成された外側開口(10A)、及び前記他方側スラスト軸受(72)よりも前記軸方向の前記他方側において前記軸受収容空間(S3)を形成する内面(57)に形成された内側開口(10B)、を有する少なくとも1つの抽気孔(10)が形成された。
【0111】
上記9)の構成によれば、タービン動翼(4)に導入される作動流体の一部を、第1隙間(S1)よりも作動流路の流れ方向における上流側に位置する抽気孔(10)を通じて発電機収容空間(S2)に流入させることができる。この場合には、発電機収容空間(S2)を上記軸方向の上記他方側から上記一方側に流れる作動流体(抽気)により、スラストディスク部(22)が上記他方側から上記一方側に押されるため、回転シャフト(2)に係るスラスト力を低減できる。
【0112】
10)幾つかの実施形態では、上記9)に記載の発電用タービン(1)であって、
前記少なくとも1つの動翼(4)は、
一方側動翼(41)と、
前記一方側動翼(41)よりも前記軸方向の前記他方側に設けられる他方側動翼(42)と、を含み、
前記発電用タービン(1)は、
前記一方側動翼(41)及び前記第1隙間(S1)よりも前記軸方向の前記一方側に配置される一方側静翼(81A)をさらに備え、
前記抽気ライン(9)の他端(92)は、前記作動流体流路(S4)における、前記一方側静翼(81A)と前記一方側動翼(41)との間の第1空間(S44)、又は、前記他方側動翼(42)よりも前記他方側の第2空間(S45)、の何れかに接続された。
【0113】
上記10)の構成によれば、抽気ライン(9)の他端(92)が第1空間(S44)に接続された場合には、発電機(3)から熱エネルギーを回収してエンタルピーが増大した作動流体(抽気)を、抽気ライン(9)を通じて第1空間(S44)においてタービン動翼(4)に導入される作動流体(主流)に混合させることで、タービン動翼(4)における回収動力を増大でき、発電用タービン(1)の出力を増加させることができる。
【0114】
また、上記10)の構成によれば、抽気ライン(9)の他端(92)が第2空間(S45)に接続された場合には、発電機(3)を冷却した作動流体(抽気)は、第2空間(S45)において他方側動翼(42)を通過した作動流体(主流)に混合される。この場合には、抽気をタービン動翼(4)に導入される主流に混合させる場合に比べて、抽気と主流の混合時における圧力損失を低減できる。
【0115】
11)幾つかの実施形態では、上記8)に記載の発電用タービン(1)であって、
前記少なくとも1つの動翼(4)は、
一方側動翼(41)と、
前記一方側動翼(41)よりも前記軸方向の前記他方側に設けられる他方側動翼(42)と、を含み、
前記発電用タービン(1)は、
前記一方側動翼(41)及び前記第1隙間(S1)よりも前記軸方向の前記一方側に配置される一方側静翼(81A)をさらに備え、
前記抽気ライン(9)の他端(92)は、前記作動流体流路(S4)における、前記他方側動翼(42)よりも前記他方側の第2空間(S45)に接続された。
【0116】
上記11)の構成によれば、抽気ライン(9)の他端(92)が第2空間(S45)に接続された場合には、発電機(3)を冷却した作動流体(抽気)は、第2空間(S45)において他方側動翼(42)を通過した作動流体(主流)に混合される。この場合には、抽気をタービン動翼(4)に導入される主流に混合させる場合に比べて、抽気と主流の混合時における圧力損失を低減できる。
【0117】
12)幾つかの実施形態では、上記8)から11)までの何れかに記載の発電用タービン(1)であって、
前記回転シャフト(2)は、前記軸受収容空間(S3)において前記回転シャフト(2)の径方向外側に突出するスラストディスク部(22)を有し、
前記スラストディスク部(22)の外周面(221)と、前記スラストディスク部(22)の前記外周面(221)の外周側に隙間を有して対向する前記内側ケーシング(5)の内面(58)との間に、前記作動流体の流路を狭める第1絞り部(A1)が設けられた。
【0118】
上記12)の構成によれば、第1絞り部(A1)を設けることで、軸受収容空間(S3)の第1絞り部(A1)よりも上記軸方向の上記一方側と上記他方側との間に生じる差圧により、スラストディスク部(22)が上記他方側から上記一方側に押されるため、回転シャフト(2)に係るスラスト力を低減できる。発電機収容空間(S2)よりも抽気の流れ方向の上流側に第1絞り部(A1)を設けることで、発電機(3)のロータ(31)が比較的低圧場において回転するためロータ(31)の風損低減が図れる。
【0119】
13)幾つかの実施形態では、上記8)から11)までの何れかに記載の発電用タービン(1)であって、
前記ロータ(31)の外周面(33)と、前記ロータ(31)の前記外周面(33)の外周側に隙間を有して対向する前記内側ケーシング(5)の内面(56A)との間に、前記作動流体の流路を狭める第2絞り部(A2)が設けられた。
【0120】
上記13)の構成によれば、第2絞り部(A2)を設けることで、隙間(外周側隙間S22)の第2絞り部(A2)よりも上記軸方向の上記一方側と上記他方側との間に生じる差圧により、ロータ(31)が上記他方側から上記一方側に押されるため、回転シャフト(2)に係るスラスト力を低減できる。また、上記13)の構成によれば、第1絞り部(A1)を設ける場合に比べて、スラスト軸受を小さなものとすることができるため、発電用タービン(1)の大型化を抑制できる。
【0121】
14)幾つかの実施形態では、上記1)から13)の何れかに記載の発電用タービン(1)であって、
前記内側ケーシング(5)は、前記ステータを内周側から支持するステータ支持部(51)を含み、
前記発電機収容空間(S2)は、
前記ロータ(31)の外周面と、前記ロータ(31)の前記外周面の外周側に隙間を有して対向する前記内側ケーシング(5)の内面との間に形成される外周側隙間(S22)と、
前記ロータ(31)と前記ステータ(32)との間に形成される内周側隙間(S21)と、
前記内周側隙間(S21)よりも前記軸方向の前記一方側において前記外周側隙間(S22)及び前記内周側隙間(S21)に接続される一方側空間(S23)と、
前記内周側隙間(S21)よりも前記軸方向の前記他方側において前記内周側隙間(S21)に接続される他方側空間(S24)であって、前記ロータ(31)と前記ステータ支持部(51)により形成される他方側空間(S24)と、を含み、
前記少なくとも1つの貫通孔(54)の前記内側開口(542)は、前記他方側空間(S24)に接続された。
【0122】
上記14)の構成によれば、発電機収容空間(S2)に導かれた作動流体(抽気)は、外周側隙間(S22)、一方側空間(S23)、内周側隙間(S21)、他方側空間(S24)の順又は逆順で通過するため、発電機収容空間(S2)を通過する際にロータ(31)及びステータ(32)を効果的に冷却できる。
【0123】
15)幾つかの実施形態では、上記1)から14)の何れかに記載の発電用タービン(1)であって、
前記発電用タービン(1)は、液化ガスを加熱するための熱媒体を循環させるように構成された熱媒体循環ライン(101)に設けられた。
【0124】
上記15)の構成によれば、熱媒体循環ライン(101)を循環して発電用タービン(1)に導入される熱媒体は、液化ガスの冷熱エネルギーを回収することで比較的低温になっている。上記熱媒体を発電用タービン(1)の作動流体とすることで、発電機収容空間(S2)に比較的低温の作動流体が導かれるため、発電機(3)の冷却が効果的に行われる。
【符号の説明】
【0125】
1 発電用タービン
2 回転シャフト
3 発電機
4 タービン動翼
5 内側ケーシング
6 外側ケーシング
7 軸受
9 抽気ライン
10 抽気孔
11 ケーシング支持部
21 一方側の端部
22 スラストディスク部
31 ロータ
32 ステータ
41 一方側動翼
42 他方側動翼
43,45 ディスク部
44,46 翼部
51 ステータ支持部
52 対向面
53 外周面
54 貫通孔
55 外面
56 内面
61 内周面
71,72 スラスト軸受
73,74 ジャーナル軸受
81,81A 一方側静翼
82,82A 他方側静翼
83,83A,84A 翼部
84,85A 内側静翼支持部
311 磁石支持部
312 永久磁石
313 径方向延在部
314 軸方向延在部
315 傾斜部
321 静止コイル部
541 外側開口
542 内側開口
CA 中心軸線
S1 第1隙間
S2 発電機収容空間
S3 軸受収容空間
S4 作動流体流路
S21 内周側隙間
S22 外周側隙間
S23 一方側空間
S24 他方側空間
S41 環状流路
S42 一方側柱状流路
S43 他方側柱状流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9