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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130466
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】除塵装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240920BHJP
   F24F 9/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F24F7/06 C
F24F9/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040212
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅之
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】久保田 謙三
(72)【発明者】
【氏名】森 豊
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BF04
3L058BF06
3L058BG04
(57)【要約】
【課題】花粉等を適切に集塵可能な除塵装置を提供する。
【解決手段】内部空間10aに向けてエアシャワーSが吹き出されることによって使用者Uを除塵可能な吹き出し口11a、及び内部空間10aから空気が吸引される吸気口11bが形成された側壁部11と、エアカーテンCを発生させるエアカーテンユニット14と、を具備し、吸気口11bから空気が吸引される際に、エアカーテンユニット14から発生されたエアカーテンCによって粉塵の動きを制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間が形成されると共に、当該内部空間で使用者の除塵を行う除塵装置であって、
前記内部空間に向けて空気が吹き出されることによって前記使用者を除塵可能な吹き出し口、及び前記内部空間から空気が吸引される吸気口が形成された本体部と、
エアカーテンを発生させるカーテン発生部と、
を具備し、
前記吸気口から空気が吸引される際に、前記カーテン発生部から発生された前記エアカーテンによって粉塵の動きを制御する、
除塵装置。
【請求項2】
前記吹き出し口からの空気は、
前記内部空間に設定された所定位置に向けて吹き出され、
前記カーテン発生部は、
前記所定位置及び前記吸気口を囲むように、前記エアカーテンを発生させる、
請求項1に記載の除塵装置。
【請求項3】
前記吹き出し口からの空気は、
前記エアカーテンが発生している状態で吹き出される、
請求項2に記載の除塵装置。
【請求項4】
前記カーテン発生部は、
前記エアカーテンとして、前記所定位置及び前記吸気口を囲む第1エアカーテンと、前記吸気口に向けて空気を吹き出すことで前記第1エアカーテンの内側に形成される第2エアカーテンと、を発生可能であり、前記吸気口から空気が吸引される前に前記第2エアカーテンを発生させる、
請求項2に記載の除塵装置。
【請求項5】
前記カーテン発生部は、
複数の前記第2エアカーテンを発生可能であり、
前記吸気口から空気が吸引される前に、前記所定位置に近いものから順に前記第2エアカーテンを発生させる、
請求項4に記載の除塵装置。
【請求項6】
前記吹き出し口からの空気は、
前記内部空間に設定された所定位置に向けて吹き出され、
前記カーテン発生部は、
前記吹き出し口からの空気の噴射後に、前記所定位置から前記吸気口に向かうように、前記エアカーテンを移動させる、
請求項1に記載の除塵装置。
【請求項7】
前記使用者を検知可能な検知部をさらに具備し、
前記カーテン発生部は、
前記検知部が前記使用者を検知してから前記吹き出し口から空気が噴射されるまでの間、前記所定位置の近傍に前記エアカーテンを発生させる、
請求項5に記載の除塵装置。
【請求項8】
前記カーテン発生部及び前記吹き出し口に空気を供給する共通のファンをさらに具備する、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の除塵装置。
【請求項9】
前記カーテン発生部は、
前記吹き出し口から前記エアカーテンを発生させる、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の除塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を吹き出すことによって除塵を行う除塵装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気を吹き出すことによって除塵を行う除塵装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のエアシャワー装置には、密閉されたエアシャワー室が形成される。前記エアシャワー装置は、送風ユニット及び排気ユニットを具備する。送風ユニットは、エアシャワー室で使用者に空気を吹き付けることで、使用者に付着した花粉を吹き飛ばすことができる。排気ユニットは、送風ユニットの下方に配置される。排気ユニットは、エアシャワー室内の空気を吸引することで、使用者から吹き飛ばした花粉を外部に排出可能に構成される。
【0004】
しかし、前記エアシャワー室において使用者から吹き飛ばされた花粉はエアシャワー室内に散乱するため、固定位置(送風ユニットの下)に排気ユニットを設けただけでは、花粉を十分に吸引することができず、花粉を適切に集塵できないおそれがある。このように、花粉を適切に集塵できない場合、使用者に花粉が再付着するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-180490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、花粉等を適切に集塵可能な除塵装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、内部空間が形成されると共に、当該内部空間で使用者の除塵を行う除塵装置であって、前記内部空間に向けて空気が吹き出されることによって前記使用者を除塵可能な吹き出し口、及び前記内部空間から空気が吸引される吸気口が形成された本体部と、エアカーテンを発生させるカーテン発生部と、を具備し、前記吸気口から空気が吸引される際に、前記カーテン発生部から発生された前記エアカーテンによって粉塵の動きを制御するものである。
【0009】
請求項2においては、前記吹き出し口からの空気は、前記内部空間に設定された所定位置に向けて吹き出され、前記カーテン発生部は、前記所定位置及び前記吸気口を囲むように、前記エアカーテンを発生させるものである。
【0010】
請求項3においては、前記吹き出し口からの空気は、前記エアカーテンが発生している状態で吹き出されるものである。
【0011】
請求項4においては、前記カーテン発生部は、前記エアカーテンとして、前記所定位置及び前記吸気口を囲む第1エアカーテンと、前記吸気口に向けて空気を吹き出すことで前記第1エアカーテンの内側に形成される第2エアカーテンと、を発生可能であり、前記吸気口から空気が吸引される前に前記第2エアカーテンを発生させるものである。
【0012】
請求項5においては、前記カーテン発生部は、複数の前記第2エアカーテンを発生可能であり、前記吸気口から空気が吸引される前に、前記所定位置に近いものから順に前記第2エアカーテンを発生させるものである。
【0013】
請求項6においては、前記吹き出し口からの空気は、前記内部空間に設定された所定位置に向けて吹き出され、前記カーテン発生部は、前記吹き出し口からの空気の噴射後に、前記所定位置から前記吸気口に向かうように、前記エアカーテンを移動させるものである。
【0014】
請求項7においては、前記使用者を検知可能な検知部をさらに具備し、前記カーテン発生部は、前記検知部が前記使用者を検知してから前記吹き出し口から空気が噴射されるまでの間、前記所定位置の近傍に前記エアカーテンを発生させるものである。
【0015】
請求項8においては、前記カーテン発生部及び前記吹き出し口に空気を供給する共通のファンをさらに具備するものである。
【0016】
請求項9においては、前記カーテン発生部は、前記吹き出し口から前記エアカーテンを発生させるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
請求項1においては、花粉等を適切に集塵することができる。
【0019】
請求項2においては、花粉等を効率よく吸引することができる。
【0020】
請求項3においては、使用者に花粉等が再付着するのを効果的に抑制できる。
【0021】
請求項4においては、第2エアカーテンによって花粉等を吸気口に向けて移動させることができるため、花粉等を効率よく吸引することができる。
【0022】
請求項5においては、花粉等を吸気口に向けて効率よく移動させることができる。
【0023】
請求項6においては、エアカーテンを利用して花粉等を吸気口に移動させることができるため、花粉等を効率的に吸引することができる。
【0024】
請求項7においては、エアカーテンを利用して使用者に所定位置に留まるように促すことができる。
【0025】
請求項8においては、ファンの設置スペースを削減することができる。
【0026】
請求項9においては、開口部の数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第一実施形態に係る除塵装置の構成を示す概略図。
図2】同じく、ブロック図。
図3】除塵装置の動作イメージを示す図。
図4】(a)入口センサで使用者が検知された状態を示す図。(b)中央センサで使用者が検知された状態を示す図。
図5】(a)花粉等が吹き飛ばされる様子を示す図。(b)花粉等が吸引される様子を示す図。
図6】(a)花粉等の吸引が終了した状態を示す図。(b)使用者が通路から出た様子を示す図。
図7】除塵処理を示すフローチャート。
図8】(a)第二実施形態に係る除塵装置の構成を示す概略図。(b)エアカーテンを示す説明図。
図9】(a)第二実施形態に係る除塵装置のブロック図。(b)第三実施形態に係る除塵装置のブロック図。(c)第四実施形態に係る除塵装置のブロック図。
図10】第二実施形態に係る除塵装置の動作イメージを示す図。
図11】(a)入口センサで使用者が検知される前の状態を示す図。(b)入口センサで使用者が検知された状態を示す図。
図12】(a)奥側のエアカーテンが発生している状態を示す図。(b)花粉等が吹き飛ばされる様子を示す図。
図13】(a)使用者の前後にエアカーテンが発生している状態を示す図。(b)エアカーテンが動く様子を示す図。
図14】(a)第三実施形態に係る除塵装置の構成を示す概略図。(b)エアカーテンを示す説明図。
図15】(a)入口センサで使用者が検知される前の状態を示す図。(b)入口センサで使用者が検知された状態を示す図。
図16】(a)エアカーテンが発生している状態を示す図。(b)花粉等が吹き飛ばされる様子を示す図。
図17】(a)花粉等が吹き飛ばされた後の状態を示す図。(b)エアカーテンが動く様子を示す図。
図18】(a)第四実施形態に係る除塵装置の構成を示す概略図。(b)エアカーテンを示す説明図。
図19】除塵装置の動作イメージを示す図。
図20】(a)入口センサで使用者が検知された状態を示す図。(b)第2エアカーテンが発生している状態を示す図。
図21】(a)花粉等が吹き飛ばされる様子を示す図。(b)第1エアカーテン及び第2エアカーテンが発生している状態を示す図。
図22】(a)第2エアカーテンが断続的に発生している様子を示す図。(b)花粉等が吸引される様子を示す図。
図23】吹き出し口及びエアカーテンユニットに空気を供給するファン、及び空気の供給経路の一例を示す図。
図24】エアシャワーを噴射する場合のダンバーの状態を示す図。
図25】エアカーテンを発生させる場合のダンパーの状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、図1及び図2を参照し、本発明の第一実施形態に係る除塵装置10の構成について説明する。以下の説明においては、図中に記した矢印に従って上下方向を定義する。なお本実施形態では、図1における紙面右側から紙面左側に向けて除塵装置10内を使用者U(除塵の対象となる人)が通過することを想定している。
【0029】
このため以下では、使用者Uが除塵装置10内に入る側(図1に示す側壁部11の紙面右側)を「入口」、使用者Uが除塵装置10から出る側(図1に示す側壁部11の紙面左側)を「出口」と定義する。また以下の説明においては、「入口」から「出口」に向かう方向を「前方向」と定義し、「出口」から「入口」に向かう方向を「後方向」と定義する。また以下の説明においては、前方向を向いた使用者Uを基準として、「左右方向」を定義する。
【0030】
除塵装置10は、使用者Uに付着した花粉Kやハウスダスト等の粉塵を除去する(除塵する)ものである。除塵装置10は、建物や部屋の中に花粉K等が侵入するのを防ぐ目的で、建物や部屋の入口等に設置される。なお除塵装置10は、人が出入りする建物(部屋)であれば、どのような建物にも設置可能である。除塵装置10は、例えばホテルや事務所等に設置される。
【0031】
図1及び図2に示すように、除塵装置10は、側壁部11、通路12、エアシャワーユニット13、エアカーテンユニット14、吸引ユニット15、入口センサ16、中央センサ17、アラート18、高さセンサ19、カメラ20及び制御部21を具備する。
【0032】
図1に示す側壁部11は、除塵装置10の本体を成す部材である。側壁部11は、建物や部屋の入口等に設置される。側壁部11は、左右一対設けられる。使用者Uは、左右の側壁部11の間を通過することができる。なお、図1に2点鎖線で示す側壁部11は、左側の側壁部11の下端部を模式的に示すものである。本実施形態では左右の側壁部11の間の空間が、除塵装置10の内部空間10aとなっている。
【0033】
内部空間10aの前後略中央部は、使用者Uに付着した花粉K等を吹き飛ばすための位置となっている。以下ではこの位置を「除塵位置P」と称する。図1には、除塵位置Pの下端部が模式的に示されている。側壁部11は、吹き出し口11a及び吸気口11bを具備する。
【0034】
吹き出し口11aは、内部空間10aに向けて空気を吹き出すための開口部である。吹き出し口11aは、左右の側壁部11の対向面に形成される。吹き出し口11aは、側面視略円状に形成される。吹き出し口11aは、複数形成される。本実施形態では、上下に並んだ3つの吹き出し口11aが前後に2組(1つの側壁部11に合計6つ)形成される。
【0035】
吸気口11bは、内部空間10aから空気を吸引するための開口部である。吸気口11bは、左右の側壁部11の対向面に形成される。また吸気口11bは、側壁部11の入口側端部、前後中途部及び出口側端部にそれぞれ形成される。各吸気口11bは、それぞれ長手方向を上下方向に向けた複数のスリット11cを具備する。複数のスリット11cは、側壁部11の上部から下部までに亘って形成される。本実施形態では、入口側の吸気口11bと出口側の吸気口11bとの間に除塵位置Pが形成される。
【0036】
通路12は、使用者Uが通過する部分である。通路12は、内部空間10aに面する床部によって構成される。
【0037】
図2に示すエアシャワーユニット13は、吹き出し口11aに空気を供給するためのものである。エアシャワーユニット13は、空気にエネルギーを与えて気流を発生させるためファンを具備する。ファンとしては、各種の方式(遠心ファン、軸流ファン等)のものを用いることができる。ファンは、例えば1つの吹き出し口11aに対して1つ設けられる。エアシャワーユニット13は、各ファンを個別に動作させることで、任意の吹き出し口11aからエアシャワーS(図5(a)参照)を噴射させることができる。なおエアシャワーSは、比較的狭い範囲に向けて(ポイントを絞って)噴射される、高圧の空気である。なお吹き出し口11aとファンとの関係は本実施形態(1つの吹き出し口11aに1つのファン)に限定されるものではなく、例えば、複数の吹き出し口11aに対して1つのファンが設けられるものであってもよい。
【0038】
図1及び図2に示すエアカーテンユニット14は、エアカーテンCを発生させるためのものである。なおエアカーテンCは、気流により形成される空気の壁である。エアカーテンCは、エアシャワーユニット13から空気が面状に吹き出されることによって形成される。
【0039】
エアカーテンユニット14は、通路12の上方に配置される。エアカーテンユニット14は、通路12(下方)に向けて空気を吹き出すことで、エアカーテンCを発生させることができる。当該エアカーテンCは、側壁部11の入口側端部及び出口側端部を塞ぐように形成される(図4(b)参照)。これによってエアカーテンユニット14は、各吸気口11b及び除塵位置PをエアカーテンCで囲むことができる。
【0040】
図2に示す吸引ユニット15は、吸気口11bからの空気の吸引を行うためのものである。吸引ユニット15は、例えばファンを具備し、当該ファンによってエアシャワーユニット13とは反対向きに気流を発生させることで、吸気口11bから空気を吸引することができる。
【0041】
入口センサ16は、除塵位置Pよりも入口側で使用者Uを検知するためのものである。入口センサ16としては、人を検知可能な各種センサ(荷重センサ、人感センサ等)を用いることができる。本実施形態の入口センサ16は、一対の側壁部11の入口側の端部近傍で使用者Uを検知可能に構成される。
【0042】
中央センサ17は、除塵位置Pで使用者Uを検知するためのものである。中央センサ17としては、人を検知可能な各種センサを用いることができる。
【0043】
アラート18は、使用者Uに警告を発するためのものである。アラート18としては、通路12にいる使用者Uに情報を伝達可能な各種機器(スピーカ、ディスプレイ等)を用いることができる。アラート18は、例えば側壁部11に設置される。
【0044】
高さセンサ19は、使用者Uの身長(高さ)を検知するためのものである。高さセンサ19としては、使用者Uの身長を検知可能な各種センサを用いることができる。例えば高さセンサ19は、使用者Uに上方から赤外線を照射することで使用者Uまでの距離を測定し、当該測定結果に基づいて使用者Uの身長を推測(検知)することができる。
【0045】
カメラ20は、内部空間10aで使用者Uを撮影するためのものである。カメラ20は、例えば通路12を上方から撮影可能に構成される。
【0046】
制御部21は、各種機器を制御するためのものである。制御部21は、演算装置及び記憶装置を具備する。演算装置は、記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで、除塵装置10の動作に必要な演算処理を実行できるように構成される。制御部21は、エアシャワーユニット13、エアカーテンユニット14、吸引ユニット15、入口センサ16、中央センサ17、アラート18、高さセンサ19及びカメラ20と通信可能に接続される。
【0047】
制御部21は、エアシャワーユニット13に信号を送信することで、エアシャワーユニット13(ファン)の動作開始及び停止を制御することができる。上述の如く、エアシャワーユニット13のファンは1つの吹き出し口11aに対して1つ設けられる。制御部21は、各ファンを個別に制御することができる。また制御部21は、各ファンの回転数を制御することで、吹き出し口11aから吹き出されるエアシャワーSの風量を制御することができる。また本実施形態では、エアシャワーSの向きを調整可能な調整機構が設けられており、制御部21は、当該調整機構を制御することで、エアシャワーSの向きを調整することができる。
【0048】
また制御部21は、エアカーテンユニット14に信号を送信することで、エアカーテンユニット14(ファン)の動作開始及び停止を制御することができる。また制御部21は、吸引ユニット15(ファン)に信号を送信することで、吸引ユニット15の動作開始及び停止を制御することができる。
【0049】
また制御部21は、入口センサ16、中央センサ17及び高さセンサ19からの信号に基づいて、各センサ16・17・19の検知結果を取得することができる。また制御部21は、アラート18に信号を送信することで、アラート18から警報を出すことができる。また制御部21は、カメラ20からの信号(撮像結果)を解析することで、使用者Uの位置を特定することができる。
【0050】
以下では、図3から図6を参照し、除塵装置10で使用者Uを除塵する手順を説明する。なお図3は、エアカーテンユニット14(エアカーテンC)、エアシャワーユニット13(エアシャワーS)及び吸引ユニット15(吸気)の動作と、時間との関係を示すものである。また図3の四角で囲まれた領域は、各ユニット13~15が動作する時間であることを示している。
【0051】
図3に示すように、本実施形態では、使用者Uが入口センサ16で検知された場合にエアカーテンユニット14が作動してエアカーテンCが発生し、そのエアカーテンCが発生している状態でエアシャワーユニット13及び吸引ユニット15が作動して、エアシャワーSの噴射、空気の吸引が順に行われる。以下、具体的に説明する。
【0052】
図4(a)に示すように、使用者Uは、通路12の入口側から内部空間10aに入り、除塵位置Pに向けて移動する。入口センサ16は、当該使用者Uを検知する。なお、図4(a)に示す直線L16は、入口センサ16が使用者Uを検知する様子を模式的に示すものである。
【0053】
図3及び図4(b)に示すように、エアカーテンユニット14は、入口センサ16で使用者Uが検知されたことに伴って作動し、エアカーテンCを発生させる。また使用者Uは、除塵位置Pで立ち止まる。中央センサ17は、当該使用者Uを検知する。なお図4(b)に示す直線L17は、中央センサ17が使用者Uを検知する様子を模式的に示すものである。
【0054】
図3及び図5(a)に示すように、エアシャワーユニット13は、中央センサ17によって使用者Uが検知された状態で作動する。こうして吹き出し口11aから除塵位置Pに向けてエアシャワーSが所定時間噴射され、使用者Uに付着した花粉K等が吹き飛ばされる。
【0055】
図3及び図5(b)に示すように、吸引ユニット15は、エアシャワーSの噴射後に作動する。これによって、吸気口11bから内部空間10aの空気が所定時間吸引される。なおエアカーテンユニット14は、入口センサ16で使用者Uが検知されてから吸気口11bでの空気の吸引が終了するまで、エアカーテンCを継続して発生させる。
【0056】
図6に示すように、吸気口11bでの空気の吸引が終了すると、使用者Uは除塵位置Pから出口側へと移動して、除塵装置10の外に出る。これによって使用者Uは、除塵装置10で花粉K等を除去してから建物や部屋の中に入ることができる。
【0057】
以下では図7を参照し、上述した除塵装置10の動作を実現するための除塵処理について説明する。図7に示す除塵処理は、制御部21により繰り返し実行される。除塵処理を開始すると、制御部21はステップS10へ移行する。
【0058】
ステップS10において制御部21は、入口センサ16から検知結果を取得する。制御部21は、入口センサ16が使用者Uを検知した場合(図4(a)参照)、各ユニット13~15のファンの稼働を準備すると共に、ステップS20へ移行する。
【0059】
ステップS20において制御部21は、エアカーテンユニット14を作動させ、エアカーテンCを発生させる(図4(b)参照)。ステップS20の処理が終了すると、制御部21は、ステップS30へ移行する。
【0060】
ステップS30において制御部21は、中央センサ17から検知結果を取得する。制御部21は、当該検知結果に基づいて、停止すべき位置(除塵位置P)で使用者Uが検知されたか否かを把握することができる。制御部21は、中央センサ17が使用者Uを検知した場合に、ステップS40へ移行する。
【0061】
ここで、ステップS30で中央センサ17が使用者Uを検知したとしても、その後で使用者Uが除塵位置Pの外に出てしまうことも想定される。このためステップS40において制御部21は、使用者Uが除塵位置P(正しい停止位置)に留まっているか否か判定する。例えば制御部21は、カメラ20の撮像結果を解析し、使用者Uが除塵位置P内にいるか否かを判定する。
【0062】
制御部21は、使用者Uが除塵位置Pに留まっていると判定した場合(ステップS40:Yes)、ステップS60へ移行する。一方制御部21は、使用者Uが除塵位置Pに留まっていないと判定した場合(ステップS40:No)、ステップS50へ移行する。
【0063】
ステップS50において制御部21は、アラート18を制御して、使用者Uに除塵位置Pに戻るように、アラート18から警告を発生させる。ステップS50の処理が終了すると、制御部21は、ステップS40へ移行する。こうして制御部21は、使用者Uが除塵位置Pで停止するまで、ステップS40・S50を繰り返す。なお除塵位置Pで検知された使用者Uが、除塵装置10の外に出て戻ってこないことも想定されるため、制御部21は、警告の回数が所定回数以上となった場合に、図7に示す除塵処理を終了することも可能である。
【0064】
ステップS60において制御部21は、エアシャワーユニット13を作動させる。これによって制御部21は、エアカーテンCが発生している状態で吹き出し口11aからエアシャワーSを噴射させる(図5(a)参照)。
【0065】
またステップS60において制御部21は、カメラ20の撮像結果を用いて使用者Uの位置を監視し、当該使用者Uの位置に応じてエアシャワーSの風向及び風量を調整する。これによって制御部21は、使用者Uが動いた場合にその動きに追従するようにエアシャワーSを制御して、花粉K等を適切に吹き飛ばすことができる。制御部21は、ステップS60に移行してから所定時間エアシャワーSを噴射させるとステップS60の処理を終了し、ステップS70へ移行する。なおこの所定時間は、除塵対象となる物質、建物や部屋の用途等に応じて適宜設定可能である。
【0066】
ステップS70において制御部21は、エアシャワーユニット13を停止させ、吹き出し口11aからのエアシャワーSの噴射を終了する。ステップS70の処理が終了すると、制御部21は、ステップS80へ移行する。
【0067】
ステップS80において制御部21は、吸引ユニット15を作動させ、エアカーテンCが発生している状態で吸気口11bから空気を吸引させる(図5(b)参照)。制御部21は、ステップS80に移行してから所定時間空気の吸引が行われるとステップS80の処理を終了し、ステップS90へ移行する。なおこの所定時間は、除塵対象となる物質、建物や部屋の用途等に応じて適宜設定可能である。
【0068】
ステップS90において制御部21は、エアカーテンユニット14及び吸引ユニット15を停止させ、エアカーテンCの発生及び空気の吸引を終了する(図6(a)参照)。ステップS90の処理が終了すると、制御部21は、図7に示す除塵処理を終了する。
【0069】
前記除塵処理の実行によって、除塵装置10は、花粉等を適切に集塵することができる。具体的には、図5(a)に示すエアシャワーSによって花粉K等が吹き飛ばされると、当該花粉K等は、内部空間10aを散乱して外に出ようとする。本実施形態では、エアシャワーSが噴射される前から吸気口11bでの空気の吸引が終了するまでの間、エアカーテンCが発生している(ステップS20~S90、図4(b)及び図5参照)。このため、エアシャワーSによって花粉K等が散乱したとしても、当該花粉K等をエアカーテンC内に閉じ込めることができる。本実施形態の除塵装置10は、このようにして花粉等の粉塵の動きをエアカーテンCで制御する。
【0070】
これによって、花粉K等が内部空間10aの外に出るのを抑制し、当該花粉K等を吸気口11bから吸引することができるため、花粉等を適切に集塵することができる。こうして花粉等を適切に集塵することで、使用者Uに花粉K等が再付着するのを抑制できる。
【0071】
また制御部21は、図7に示す除塵処理において、高さセンサ19の検知結果を適宜利用可能である。以下、その一例を説明する。
【0072】
制御部21は、例えば高さセンサ19の検知結果を用いて、エアシャワーユニット13を制御することができる。より詳細には使用者Uの特定の部位、例えば頭部にエアシャワーSをあててしまうと、使用者Uに不快感を与えてしまう場合がある。
【0073】
そこで制御部21は、全ての吹き出し口11aからエアシャワーSを噴射させるのではなく、高さセンサ19の検知結果から得られた使用者Uの身長に基づいて、当該使用者Uの頭部よりも高い位置にあると考えられる吹き出し口11aからエアシャワーSを噴射しないように、エアシャワーユニット13を制御する。これによって使用者Uの頭部にエアシャワーSが当たるのを抑制し、使用者Uに不快感を与え難くすることができる。
【0074】
以上の如く、本実施形態に係る除塵装置10は、内部空間10aが形成されると共に、当該内部空間10aで使用者Uの除塵を行う除塵装置10であって、前記内部空間10aに向けてエアシャワーS(空気)が吹き出されることによって前記使用者Uを除塵可能な吹き出し口11a、及び前記内部空間10aから空気が吸引される吸気口11bが形成された側壁部11(本体部)と、エアカーテンCを発生させるエアカーテンユニット14(カーテン発生部)と、を具備し、前記吸気口11bから空気が吸引される際に、前記エアカーテンユニット14から発生された前記エアカーテンCによって粉塵の動きを制御するものである(図5参照)。
【0075】
このように構成することにより、エアカーテンCを利用して花粉等を効率的に吸引(集塵)することができるため、使用者Uに花粉K等が再付着するのを抑制できる。
【0076】
また、前記吹き出し口11aからのエアシャワーSは、前記内部空間10aに設定された除塵位置P(所定位置)に向けて吹き出され、前記エアカーテンユニット14は、前記除塵位置P及び前記吸気口11bを囲むように、前記エアカーテンCを発生させるものである(図5参照)。
【0077】
このように構成することにより、エアカーテンC内に花粉K等を閉じ込めた状態で当該花粉K等を効率的に吸引することができる。
【0078】
また、前記吹き出し口11aからのエアシャワーSは、前記エアカーテンCが発生している状態で吹き出されるものである(図5(a)参照)。
【0079】
このように構成することにより、エアシャワーSの噴射時に花粉Kが内部空間10aの外へ散乱するのを抑制できるため、使用者Uに花粉K等が再付着するのを効果的に抑制できる。
【0080】
なお、本実施形態に係る側壁部11は、本発明に係る本体部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るエアカーテンユニット14は、本発明に係るカーテン発生部の実施の一形態である。
【0081】
以上、本発明の第一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0082】
例えば本実施形態では、エアシャワーSの噴射後に吸気口11bから空気が吸引されるものとしたが、当該構成に加えて、その他のタイミングで空気が吸引されるものであってよい。例えば、エアシャワーSの噴射中に空気が吸引されるものであってもよい(図3に二点鎖線で示す領域参照)。
【0083】
また本実施形態のエアカーテンユニット14は、入口センサ16が使用者Uを検知した場合に作動するものとしたが、使用者Uが内部空間10aに入ったことを検知可能なその他のセンサの検知結果に基づいて作動するものであってよい。例えばエアカーテンユニット14は、中央センサ17の検知結果、高さセンサ19の検知結果又はカメラ20の撮像結果の少なくとも1つに基づいて作動するものであってもよい。
【0084】
またエアシャワーSは、エアカーテンCが発生している状態で噴射されるものとしたが、エアシャワーSとエアカーテンCとの関係は、特に限定されるものではない。したがってエアシャワーSは、エアカーテンCが発生していない状態で噴射されるものでもよい。
【0085】
また本実施形態の吹き出し口11a及び吸気口11bは、共通の部材(側壁部11)に形成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、互いに異なる部材に形成されるものであってもよい。例えば、吹き出し口11a及び吸気口11bの一方が通路12に形成されると共に、吹き出し口11a及び吸気口11bの他方が側壁部11に形成されるものであってもよい。
【0086】
また本実施形態の除塵装置10の装置構成は一例であり、適宜変更可能である。また装置構成の変更に伴って、各ユニット13~15の動作も適宜変更可能である。以下では、装置構成及び各ユニット13~15の動作を変更した別実施形態(第二実施形態から第四実施形態)の内容を説明する。
【0087】
なお以下において、第一実施形態に係る除塵装置10と同様に構成される部材については、第一実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。以下ではまず、第二実施形態に係る除塵装置30について説明する。
【0088】
図8及び図9(a)に示す第二実施形態の除塵装置30は、側壁部31の吸気口31b、エアカーテンユニット34及び入口センサ36の構成が第一実施形態の除塵装置10と相違する。なお、図8(a)に2点鎖線で示す側壁部31は、左側の側壁部31の下端部を模式的に示すものである。また図9(a)に示す第二実施形態の除塵装置30は、中央センサ17、アラート18、高さセンサ19及びカメラ20が省略される点で、図2に示す第一実施形態の除塵装置10と相違する。以下、上記相違点を中心に第二実施形態の除塵装置30について説明する。
【0089】
図8(a)に示すように、吸気口31bは、側壁部31の下端部における入口側端部及び出口側端部に形成される。各吸気口31bは、それぞれ長手方向を上下方向に向けた複数のスリット31cを具備する。
【0090】
図8に示すエアカーテンユニット34は、除塵位置Pの上方に配置される。エアカーテンユニット34は、通路12に向けて空気を吹き出すことにより、前下がり方向及び後ろ下がり方向に沿ってエアカーテンCを発生可能に構成される。以下では、前下がり方向に沿ったエアカーテンCを「奥側のエアカーテンC」、後ろ下がり方向に沿ったエアカーテンCを「手前側のエアカーテンC」と称する。
【0091】
奥側及び手前側のエアカーテンCは、それぞれ通路12の右端から左端までに亘って形成される。エアカーテンユニット34は、奥側及び手前側のエアカーテンCの向き(上下方向に対する傾斜角度)をそれぞれ調整可能に構成される。これによって本実施形態のエアカーテンユニット34は、略下方(図13(a)参照)にエアカーテンCを発生させたり、それよりも横向き(図13(b)参照)にエアカーテンCを発生させたりできる。
【0092】
なお本実施形態のエアカーテンユニット34は、除塵位置Pの上方に配置されるため、略下方にエアカーテンCを発生させることで、除塵位置Pの出口側及び入口側の周辺にエアカーテンCを形成し、除塵位置P(正しい停止位置)にいる使用者UにエアカーテンCを当てることができる。またエアカーテンユニット34は、それよりも横向き(図13(b)参照)にエアカーテンCを発生させることで、吸気口31bの周辺に(側面視で吸気口31bと重複するように)エアカーテンCを形成することができる。またエアカーテンユニット34は、エアカーテンCを発生させたまま向きを変えることで、エアカーテンCを動かすことができる。
【0093】
図9に示す入口センサ36は、第一実施形態の入口センサ16よりも除塵位置Pに近い位置で使用者Uを検知可能に構成される。より詳細には、入口センサ36は、除塵位置Pと入口側の吸気口31bとの間で、使用者Uを検知可能に構成される。
【0094】
以下では、図10から図13を参照し、本実施形態の除塵装置30で使用者Uを除塵する手順を説明する。本実施形態では、エアカーテンCが発生していない状態でエアシャワーSが噴射される点で、第一実施形態(図3参照)と相違する。また、エアカーテンCの使い方も第一実施形態と相違する。以下、具体的に説明する。
【0095】
図11(a)に示すように、使用者Uは、通路12の入口側から除塵装置30の内部空間30aに入り、除塵位置Pに向けて移動する。図10及び図11(b)に示すように、入口センサ36は、当該使用者Uを検知する。なお、図11(b)に示す直線L36は、入口センサ36が使用者Uを検知する様子を模式的に示すものである。
【0096】
制御部21は、入口センサ36が使用者Uを検知した場合に、エアカーテンユニット34を作動させる。この際、エアカーテンユニット34は、奥側及び手前側のうち、奥側のエアカーテンCのみを発生させる。またエアカーテンユニット34は、略下方にエアカーテンCを発生させる。これにより、エアシャワーSの噴射前に、除塵位置Pの出口側周辺にエアカーテンCが形成される。
【0097】
図10及び図12(a)に示すように、使用者Uが除塵位置Pまで移動すると、当該使用者UにエアカーテンCが当たる。これにより使用者Uに除塵位置Pで停止するように促すことができる。制御部21は、使用者Uが除塵位置Pで停止した場合に、エアシャワーユニット13を作動させる。
【0098】
なお本実施形態では、中央センサ17及びカメラ20が設置されていないため、制御部21は、使用者Uが除塵位置Pにいると考えられるタイミングでエアシャワーユニット13を作動させる。例えば制御部21は、入口センサ36が使用者Uを検知してから所定時間経過後に、エアシャワーユニット13を作動させる。なお上記所定時間は、実験等に応じて適宜設定可能である。
【0099】
また制御部21は、エアシャワーユニット13の作動と同じタイミングで、エアカーテンユニット34を停止させる。これによって本実施形態では、図10及び図12(b)に示すように、エアカーテンCが発生していない状態でエアシャワーSが所定時間噴射される。なおこの所定時間は、第一実施形態と同様に、適宜設定可能である。
【0100】
図10及び図13(a)に示すように、制御部21は、エアシャワーSの噴射後に吸引ユニット15及びエアカーテンユニット34を作動させる。この際エアカーテンユニット34は、奥側及び手前側のエアカーテンCをそれぞれ発生させる。またエアカーテンユニット34は、略下方に各エアカーテンCを発生させる。これにより、除塵位置Pの入口側周辺及び出口側周辺にエアカーテンCが形成される。
【0101】
図10及び図13(b)に示すように、制御部21は、この状態から吸気口31bに向かうようにエアカーテンCを動かす。より詳細には制御部21は、入口側のエアカーテンCについて、当該エアカーテンCを発生させたまま、エアカーテンCの下端部が入口側の吸気口31bに近づくようにエアカーテンCの向きを変更する。また制御部21は、出口側のエアカーテンCについて、当該エアカーテンCを発生させたまま、エアカーテンCの下端部が出口側の吸気口31bに近づくようにエアカーテンCの向きを変更する。
【0102】
図10に示すように、制御部21は、例えばエアカーテンCを動かし終えると、吸引ユニット15及びエアカーテンユニット34を停止させ、空気の吸引及びエアカーテンCの発生を終了させる。その後、使用者Uは除塵位置Pから出口側へと移動して、除塵装置30の外に出る。これによって使用者Uは、除塵装置30で花粉K等を除去してから建物や部屋の中に入ることができる。なお、上述した吸引ユニット15等を停止させる条件(エアカーテンCを動かし終えるという条件)は一例であり、本実施形態に限定されるものではない。
【0103】
本実施形態の除塵装置30によると、内部空間30aを散乱する花粉K等を、エアカーテンCの動き(向きの変更)によって吸気口31bに移動させることができる(図13参照)。本実施形態の除塵装置30は、このようにして花粉等の粉塵の動きをエアカーテンCで制御する。これによって花粉K等を効率よく吸引し、使用者Uに花粉K等が再付着するのを抑制できる。
【0104】
ここで、使用者Uは、エアシャワーSが噴射されてから空気の吸引が終了するまでの間除塵位置Pで立ち止まるのではなく、途中で出口側に移動する可能性がある。例えば使用者Uは、図13(a)に示すエアカーテンCが動き始めるのに伴って、出口側に移動する可能性がある。この場合、使用者Uは、エアカーテンCを追い越さないように移動することが多いと考えられる。
【0105】
そこで、エアカーテンユニット34は、比較的速く(例えば一般的な歩行速度よりも速く)エアカーテンCを動かすものとしてよい。これによって使用者Uの移動速度が遅くなるのを抑制し、使用者Uにストレスを与えるのを抑制することができる。
【0106】
なお本実施形態では、入口センサ36で使用者Uが検知されてからエアシャワーSが噴射されるまでの間、奥側のエアカーテンCを発生させるものとしたが(図12(a)参照)、これに加えて手前側のエアカーテンCを発生させることも可能である。例えば、奥側のエアカーテンCの発生後に(時間差で)手前側のエアカーテンCを発生させることも可能である。これによって除塵位置Pから入口側に使用者Uが移動しようとした際に、奥側のエアカーテンCに使用者Uが当たるため、使用者Uが除塵位置Pから入口側にずれるのを抑制することができる。
【0107】
このように、本実施形態では、アラート18を設置しなくても、エアカーテンCを利用して除塵位置Pに留まるように使用者Uに注意を促すことができる。これによって部品点数の削減を図ることができる。
【0108】
また本実施形態の入口センサ36は、比較的除塵位置Pに近い位置(除塵位置Pと吸気口31bとの間)で使用者Uを検知するように構成される(図11(b)参照)。制御部21は、当該入口センサ36の検知結果を用いることで、中央センサ17及びカメラ20を設置しなくても、使用者Uが除塵位置Pから入口側にずれたことを速やかに検知することができる。
【0109】
より詳細には、奥側のエアカーテンCが発生し、かつ、除塵位置Pに使用者Uがいる状態(図12(a)に示す状態)において、入口センサ36は、使用者Uを検知しない。この状態から使用者Uが除塵位置Pを超えて入口側に移動した場合、入口センサ36は、使用者Uを検知する。そこで制御部21は、入口センサ36の検知結果を監視することで、除塵位置Pにいた使用者Uが入口側にずれたと判断することができる。
【0110】
以上の如く、本実施形態に係る除塵装置30において、前記吹き出し口11aからのエアシャワーS(空気)は、前記内部空間30aに設定された除塵位置P(所定位置)に向けて吹き出され、前記エアカーテンユニット34(カーテン発生部)は、前記吹き出し口11aからのエアシャワーSの噴射後に、前記除塵位置Pから前記吸気口31bに向かうように、前記エアカーテンCを移動させるものである(図12(b)及び図13参照)。
【0111】
このように構成することにより、エアカーテンCを利用して花粉K等を吸気口31bに移動させることができるため、花粉K等を効率的に吸引することができる。
【0112】
また、前記除塵装置30は、前記使用者Uを検知可能な入口センサ36(検知部)をさらに具備し、前記エアカーテンユニット34は、前記入口センサ36が前記使用者Uを検知してから前記吹き出し口11aからエアシャワーSが噴射されるまでの間、前記除塵位置Pの近傍に前記エアカーテンCを発生させるものである(図11(b)及び図12参照)。
【0113】
このように構成することにより、エアカーテンCを利用して使用者Uに除塵位置Pに留まるように促すことができる。
【0114】
なお、本実施形態に係る入口センサ36は、本発明に係る検知部の実施の一形態である。
【0115】
以上、本発明の第二実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0116】
例えば、入口センサ36は、比較的除塵位置Pに近い位置で使用者Uを検知するものとしたが、除塵位置Pよりも出口側でなければ、本実施形態とは異なる位置で使用者Uを検知することも可能である。例えば入口センサ36は、第一実施形態と同じ位置(図4(a)に示す直線L16参照)で使用者Uを検知することも可能である。この場合入口センサ36は、入口側の吸気口31bに位置する使用者Uを検知することができる。
【0117】
また本実施形態では、エアシャワーSの噴射後に吸気口31bから空気が吸引されるものとしたが、当該構成に加えて、その他のタイミングで空気が吸引されるものであってよい。例えば、エアシャワーSの噴射中に空気が吸引されるものであってもよい(図10に二点鎖線で示す領域参照)。
【0118】
また吸気口31bは、側壁部31の下端部における入口側端部及び出口側端部に形成されるものとしたが、除塵位置Pから水平方向に離れた位置であれば、吸気口31bの配置は特に限定されるものではない。
【0119】
次に、第三実施形態に係る除塵装置50について説明する。
【0120】
図9(b)に示す第三実施形態の除塵装置50は、図9(a)に示す第二実施形態の除塵装置30と同様の装置構成となっている。すなわち第三実施形態の除塵装置50は、中央センサ17、アラート18、高さセンサ19及びカメラ20が省略される。当該除塵装置50は、第二実施形態の除塵装置30と同様に、エアカーテンCを利用して花粉K等を吸気口51bに移動させることができる。
【0121】
第三実施形態の除塵装置50は、下方ではなく、水平方向に空気を吹き出すことで形成されたエアカーテンCを用いる点で、第二実施形態の除塵装置30と相違する。以下、上記相違点を中心に第三実施形態の除塵装置50について説明する。
【0122】
図9(b)及び図14に示す第三実施形態の除塵装置50は、側壁部51及びエアカーテンユニット54の構成が第二実施形態の除塵装置30と相違する。なお、図14(a)に2点鎖線で示す側壁部51は、左側の側壁部51の下端部を模式的に示すものである。
【0123】
図14(a)に示すように、側壁部51の吹き出し口51aは、側壁部51の前後中途部に形成される。また吹き出し口51aは、長手方向を上下方向に向けた複数のスリット51dを具備する。複数のスリット51dは、側壁部51の上部から下端部までに亘って形成される。複数のスリット51dのうち、最も入口側のスリット51dは、除塵位置Pよりも入口側に形成される。また複数のスリット51dのうち、最も出口側のスリット51dは、除塵位置Pよりも出口側に形成される。
【0124】
吸気口51bは、側壁部51の出口側端部に形成される。吸気口51bは、長手方向を上下方向に向けた複数のスリット51cを具備する。複数のスリット51cは、側壁部51の上部から下端部までに亘って形成される。
【0125】
図9に示すエアカーテンユニット54は、左右の側壁部51の吹き出し口51aのそれぞれからエアカーテンCを発生可能に構成される。以下では、左側の側壁部51の吹き出し口51aから発生されるエアカーテンCを「左側のエアカーテンC」と称し、右側の側壁部51の吹き出し口51aから発生されるエアカーテンCを「右側のエアカーテンC」と称する。
【0126】
エアカーテンユニット54は、右側の吹き出し口51aの各スリット51dのうち、除塵位置Pよりも入口側(本実施形態では最も入口側)のスリット51dから水平方向に空気を吹き出させることにより、右側のエアカーテンCを発生させることができる。エアカーテンユニット54は、右側のエアカーテンCと同じようにして、左側のエアカーテンCを発生させることができる。
【0127】
このように、本実施形態の吹き出し口51a(最も入口側のスリット51d)は、エアシャワーSを噴射するための開口部と、エアカーテンCを発生させるための開口部とを兼ねるものとなっている。
【0128】
エアカーテンユニット54は、左右のエアカーテンCの向き(左右方向に対する傾斜角度)をそれぞれ調整可能に構成される。なお図14(b)には、右側のエアカーテンCの向きを調整する様子が記載されている。エアカーテンユニット54は、エアカーテンCの向きを調整することで、除塵位置Pよりも入口側にエアカーテンCを発生させたり(図17(a)参照)、除塵位置Pを前後に跨ぐようにエアカーテンCを発生させたりする(図16(a)参照)ことができる。こうして除塵位置Pを跨ぐようにエアカーテンCを発生させることによって、エアカーテンユニット54は、除塵位置P(正しい停止位置)にいる使用者UにエアカーテンCを当てることができる。
【0129】
図9に示す入口センサ56は、第二実施形態の入口センサ36と同じ位置(第一実施形態の入口センサ16よりも除塵位置Pに近い位置)で使用者Uを検知することができる。
より詳細には、入口センサ56は、吹き出し口51aの入口側端部近傍で使用者Uを検知することができる。
【0130】
以下では、図10図15から図17を参照し、本実施形態の除塵装置50で使用者Uを除塵する手順について説明する。なお、本実施形態の除塵の手順は、エアカーテンCの動かし方が異なる点を除いて、第二実施形態の除塵の手順と同様である。以下、具体的に説明する。
【0131】
図15(a)に示すように、使用者Uは、通路12の入口側から除塵装置50の内部空間50aに入り、除塵位置Pに向けて移動する。図10及び図15(b)に示すように、入口センサ56は、当該使用者Uを検知する。なお図15(b)に示す直線L56は、入口センサ56が使用者Uを検知する様子を模式的に示すものである。
【0132】
制御部21は、入口センサ56が使用者Uを検知した場合に、エアカーテンユニット54を作動させる。この際、エアカーテンユニット54は、吹き出し口51aから左右のエアカーテンCをそれぞれ発生させる。またエアカーテンユニット54は、除塵位置Pを前後に跨ぐように(斜め向きに)左右のエアカーテンCを発生させる。これにより、エアシャワーSの噴射前に、除塵位置Pの出口側周辺にエアカーテンCが形成される。なお図15(b)では、左側のエアカーテンCの記載が省略されている。
【0133】
図10及び図16(a)に示すように、使用者Uが除塵位置Pまで移動すると、当該使用者UにエアカーテンCが当たる。これにより使用者Uに除塵位置Pで停止するように促すことができる。制御部21は、第二実施形態と同様に、使用者Uが除塵位置Pにいると考えられるタイミングでエアシャワーユニット13を作動させる。
【0134】
また制御部21は、エアシャワーユニット13の作動と同じタイミングで、エアカーテンユニット54を停止させる。これによって本実施形態では、図10及び図16(b)に示すように、エアカーテンCが発生していない状態でエアシャワーSが所定時間噴射される。
【0135】
図10及び図17(a)に示すように、制御部21は、エアシャワーSの噴射後に吸引ユニット15及びエアカーテンユニット54を作動させる。この際エアカーテンユニット54は、除塵位置Pよりも入口側に(左右方向に沿って)左右のエアカーテンCをそれぞれ発生させる。
【0136】
図10及び図17(b)に示すように、制御部21は、この状態から吸気口51bに向かうようにエアカーテンCを動かす。より詳細には制御部21は、右側のエアカーテンCについて、当該エアカーテンCを発生させたまま、エアカーテンCが右側の側壁部51に近づくようにエアカーテンCの向きを変更する(図17(b)に示す矢印M1参照)。また制御部21は、左側のエアカーテンCについて、当該エアカーテンCを発生させたまま、エアカーテンCが左側の側壁部51に近づくようにエアカーテンCの向きを変更する(図17(b)に示す矢印M2参照)。
【0137】
図10に示すように、制御部21は、エアカーテンCを動かし終えると、吸引ユニット15及びエアカーテンユニット54を停止させ、空気の吸引及びエアカーテンCの発生を終了させる。その後、使用者Uは除塵位置Pから出口側へと移動して、除塵装置50の外に出る。これによって使用者Uは、除塵装置50で花粉K等を除去してから建物や部屋の中に入ることができる。なお、上述した吸引ユニット15等を停止させる条件(エアカーテンCを動かし終えるという条件)は一例であり、本実施形態に限定されるものではない。
【0138】
本実施形態の除塵装置50によると、第二実施形態と同様に、内部空間50aを散乱する花粉K等を、エアカーテンCの動き(向きの変更)によって吸気口51bに移動させることができる(図17(b)参照)。これによって花粉K等を適切に吸引し、使用者Uに花粉K等が再付着するのを抑制することができる。
【0139】
また本実施形態では、エアシャワーSを噴射するための吹き出し口51a(スリット51d)を、エアカーテンCを形成するための開口部としても用いることができる。これによって開口部の数を減らすことができる。
【0140】
以上の如く、本実施形態に係る除塵装置50において、前記エアカーテンユニット54(カーテン発生部)は、前記吹き出し口51aから前記エアカーテンCを発生させるものである(図16参照)。
【0141】
以上、本発明の第三実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0142】
例えば、入口センサ56は、比較的除塵位置Pに近い位置で使用者Uを検知するものとしたが、除塵位置Pよりも出口側でなければ、本実施形態とは異なる位置で使用者Uを検知することも可能である。例えば入口センサ56は、第一実施形態と同じ位置(図4(a)に示す直線L16参照)で使用者Uを検知することも可能である。
【0143】
また本実施形態では、除塵位置Pよりも出口側に吸気口51bが形成されるものとしたが、除塵位置Pと吸気口51bとの位置関係は、特に限定されるものではない。吸気口51bは、除塵位置Pよりも入口側に形成されるものであってもよい。当該構成において、エアカーテンユニット54は、除塵位置Pよりも出口側のスリット51dから発生させたエアカーテンCを動かすことで、吸気口51bに向けてより多くの花粉K等を移動させることができる。
【0144】
次に、第四実施形態に係る除塵装置70について説明する。
【0145】
第四実施形態の除塵装置70は、第一実施形態のようにエアカーテン内に花粉K等を閉じ込めた状態で、第二実施形態及び第三実施形態のようにエアカーテンを利用して花粉K等を吸気口71bに移動させるものである。このように、第四実施形態の除塵装置70は、第一実施形態から第三実施形態の構成を互いに組み合わせたようなものとなっているが、エアカーテンを動かさない点で第二実施形態及び第三実施形態と相違している。以下、第四実施形態の除塵装置70について説明する。
【0146】
図9(c)に示す第四実施形態の除塵装置70は、図9(a)に示す第二実施形態の除塵装置30と同様の装置構成となっている。すなわち第四実施形態の除塵装置70は、中央センサ17、アラート18、高さセンサ19及びカメラ20が省略される。当該除塵装置70は、図9(c)及び図18に示す側壁部71の吸気口71b、エアカーテンユニット74及び入口センサ76の構成が第一実施形態の除塵装置10と相違する。なお、図18(a)に2点鎖線で示す側壁部71は、左側の側壁部71の下端部を模式的に示すものである。
【0147】
図18(a)に示すように、吸気口71bは、除塵装置70の下端部(吹き出し口11aよりも低い位置)に設けられる。吸気口71bは、長手方向を前後方向に向けた複数のスリット71cを具備する。複数のスリット71cは、側壁部71の入口側端部から出口側端部までに亘って形成される。
【0148】
図18に示すエアカーテンユニット74は、除塵位置Pの上方に配置される。図18(b)に示すように、エアカーテンユニット74は、下方へ向けて空気を吹き出すことで、第1エアカーテンC1及び第2エアカーテンC2を発生させることができる。
【0149】
第1エアカーテンC1は、第一実施形態のエアカーテンC(図4(b)参照)と同様に構成される。したがってエアカーテンユニット74は、吸気口71b及び除塵位置Pを第1エアカーテンC1で囲むことができる。
【0150】
第2エアカーテンC2は、花粉K等を吸気口71bに向けて移動させるためのものである。第2エアカーテンC2は、第1エアカーテンC1の前後内側に形成される。第2エアカーテンC2は、通路12の右端から左端までに亘って形成される。エアカーテンユニット74は、前後位置が異なる複数の第2エアカーテンC2を発生可能に構成される。なお本実施形態のエアカーテンユニット74は、除塵位置Pを基準として前後対称に第2エアカーテンC2を発生可能に構成される。またエアカーテンユニット74は、各第2エアカーテンC2の風量を個別に調整可能に構成される。
【0151】
図9(c)に示す入口センサ76は、第二実施形態の入口センサ36と同じ位置(第一実施形態の入口センサ16よりも除塵位置Pに近い位置)で使用者Uを検知することができる。より詳細には、入口センサ76は、入口側の吹き出し口11aと側壁部11の入口側端部との間で、使用者Uを検知可能に構成される。
【0152】
以下では、図19から図22を参照し、本実施形態の除塵装置70で使用者Uを除塵する手順について説明する。図19に示すように、本実施形態では、エアカーテンが発生している状態でエアシャワーSの噴射、吸気口71bからの空気の吸引が順に行われる。また本実施形態では、このエアシャワーSの噴射と空気の吸引との間に、第2エアカーテンC2が発生され、花粉K等が吸気口71bに移動される。以下、具体的に説明する。
【0153】
図20(a)に示すように、使用者Uは、通路12の入口側から除塵装置70の内部空間70aに入り、除塵位置Pに向けて移動する。入口センサ76は、当該使用者Uを検知する。なお図20(a)に示す直線L76は、入口センサ76が使用者Uを検知する様子を模式的に示すものである。
【0154】
図19及び図20(b)に示すように、制御部21は、入口センサ76が使用者Uを検知した場合に、エアカーテンユニット74を作動させる。この際、エアカーテンユニット74は、除塵位置Pの出口側周辺に第2エアカーテンC2を発生させる。
【0155】
使用者Uが除塵位置Pまで移動すると、当該使用者Uに第2エアカーテンC2が当たる。これにより使用者Uに除塵位置Pで停止するように促すことができる。制御部21は、第二実施形態と同様に、使用者Uが除塵位置Pにいると考えられるタイミングでエアシャワーユニット13を作動させる。
【0156】
また制御部21は、エアシャワーユニット13の作動と同じタイミングで、エアカーテンユニット74を制御して、第2エアカーテンC2の発生を終了させると共に、第1エアカーテンC1を発生させる。これによって除塵装置70は、第一実施形態と同様に、エアシャワーSで吹き飛ばされた花粉K等を第1エアカーテンC1内に閉じ込めることができる(図21(a)参照)。
【0157】
図19及び図21(b)に示すように、制御部21は、エアシャワーSの噴射後にエアカーテンユニット74を制御して、第1エアカーテンC1が発生している状態で、第2エアカーテンC2を発生させる。この際エアカーテンユニット74は、前後位置が除塵位置Pに近いものから順に、第2エアカーテンC2を断続的に発生させる。なお本実施形態において、除塵位置Pに近いものには、除塵位置Pに対して前後に離れた第2エアカーテンC2だけではなく、除塵位置Pと前後位置が一致する第2エアカーテンC2も含まれるものとしている。以下、第2エアカーテンC2を断続的に発生させる手順を説明する。
【0158】
エアカーテンユニット74は、まず除塵位置Pの上方に位置する(前後位置が一致する)第2エアカーテンC21を所定時間発生させる。次にエアカーテンユニット74は、図22(a)に示すように、除塵位置Pに対して2番目に近い第2エアカーテンC2を所定時間発生させる。その後エアカーテンユニット74は、除塵位置Pに対して3番目に近い第2エアカーテンC2を所定時間発生させる。エアカーテンユニット74は、このような動作を全ての第2エアカーテンC2の発生が終了するまで繰り返す。
【0159】
このようにしてエアカーテンユニット74は、第2エアカーテンC2を断続的に発生させる。なお前記所定時間は、除塵対象となる物質、エアカーテンユニット74の高さ位置等に応じて適宜設定可能である。
【0160】
またエアカーテンユニット74は、後から発生させたエアカーテンほど風量が多くなるように、第2エアカーテンC2の風量を制御する。これによって除塵装置70は、花粉K等を下方(吸気口71b)に向けて効率よく移動させることができる。
【0161】
図19及び図22(b)に示すように、制御部21は、第2エアカーテンC2の発生後に、吸引ユニット15を作動させる。花粉K等は第2エアカーテンC2により吸気口71bの近くに移動されているため、吸引ユニット15は、当該吸気口71bから効率よく花粉K等を吸引することができる。これによって、使用者Uに花粉K等が再付着するのを効果的に抑制できる。
【0162】
以上の如く、本実施形態に係る除塵装置70において、前記エアカーテンユニット74(カーテン発生部)は、前記エアカーテンとして、前記除塵位置P及び前記吸気口71bを囲む第1エアカーテンC1と、前記吸気口71bに向けて空気を吹き出すことで前記第1エアカーテンC1の内側に形成される第2エアカーテンC2と、を発生可能であり、前記吸気口71bから空気が吸引される前に前記第2エアカーテンC2を発生させるものである(図21(b)及び図22参照)。
【0163】
このように構成することにより、第2エアカーテンC2によって花粉K等を吸気口71bに向けて移動させることができるため、花粉K等を効率よく吸引することができる。
【0164】
また、前記エアカーテンユニット74は、複数の前記第2エアカーテンC2を発生可能であり、前記吸気口71bから空気が吸引される前に、前記除塵位置Pに近いものから順に前記第2エアカーテンC2を発生させるものである(図21(b)及び図22(a)参照)。
【0165】
このように構成することにより、花粉K等を吸気口71bに向けて効率よく移動させることができる。
【0166】
以上、本発明の第四実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0167】
例えば、本実施形態では、エアシャワーSの噴射後に、除塵位置Pに近いものから順に第2エアカーテンC2を発生させるものとしたが、第2エアカーテンC2を発生させる方法は、これに限定されるものではない。例えばエアカーテンユニット74は、全ての第2エアカーテンC2を一斉に発生させるものであってもよいし、本実施形態とは逆の順番で第2エアカーテンC2を発生させるものであってもよい。
【0168】
また本実施形態では、第2エアカーテンC2を断続的に発生させた後で吸気口71bから空気を吸引するものとしたが、当該構成に加えてその他の時間帯に空気の吸引を行うことも可能である。例えば、第2エアカーテンC2を断続的に発生させる時間帯に、空気の吸引を行うことも可能である。
【0169】
また上述した各実施形態の構成は、本発明に係る除塵装置の一例であり、本発明の除塵装置は、各実施形態の構成を互いに組み合わせることも可能である。
【0170】
例えば第一実施形態の除塵装置10は、吸気口11b等をエアカーテンCで囲んだ状態で空気を吸引するものであり(図5(b)参照)、第二実施形態の除塵装置30は、エアカーテンCを動かして花粉K等を吸気口31bへ移動させるものであった(図13(b)参照)。
【0171】
そこで、これら第一実施形態及び第二実施形態の除塵装置10・30を組み合わせ、吸気口11b等をエアカーテンCで囲んだ状態で、別のエアカーテンCを動かして花粉K等を吸気口31bへ移動させるものとしてもよい。これにより、花粉K等が内部空間の外へ移動するのを抑制できると共に、花粉K等を効率よく吸引することができる。
【0172】
また各実施形態において、共通のファンを用いてエアカーテンC及びエアシャワーSを発生可能である。以下では、第四実施形態の除塵装置70を例に挙げ、その構成の一例を説明する。
【0173】
図23に示すように、除塵装置70は、エアカーテンC及びエアシャワーSを発生させるためのファン80を具備する。当該ファン80は、吹き出し口11aよりも低い位置に配置される。ファン80は、通路12の入口側及び出口側にそれぞれ設けられる。以下、入口側のファン80を例に挙げ、ファン80の構成を説明する。
【0174】
入口側のファン80は、空気の流通経路CHを介して、入口側の3つの吹き出し口11a及びエアカーテンユニット74と接続される。
【0175】
なおエアカーテンユニット74には、第1エアカーテンC1及び第2エアカーテンC2を発生させるための複数の開口部が形成されており、流通経路CHは、この複数の開口部と連通される。より詳細には流通経路CHは、複数の開口部のうち、通路12の入口側(図18(b)に示すエアカーテンユニット74の紙面右側)に形成された開口部と連通される。
【0176】
また流通経路CHは、風量が多いエアカーテン(図23に示す「強風」)ほど空気の流れ方向上流側に位置するように、各開口部と連通される。また流通経路CHには、空気の流れ方向下流側ほどエアカーテンの風量が少なくなるように、エアカーテンの風量を調整する風量調整機構が設けられる。当該風量調整機構は、例えば、下流側に向かうにつれて内径が小さくなるような管を用いて、エアカーテンの風量を調整することができる。
【0177】
また、流通経路CHにおけるファン80と吹き出し口11aとの間には、空気の流通可否を切り替え可能なダンパー81が設けられる。またファン80とエアカーテンユニット74との間にも、ダンパー82が設けられる。制御部21は、当該ダンパー81・82を制御可能に構成される。なお図23には、ファン80とエアカーテンユニット74との間に1つのダンパー82が記載されているが、実際には、エアカーテンユニット74の1つの開口部に対して1つのダンパー82が設けられている。制御部21は、これらダンパー82を個別に制御することで、第1エアカーテンC1及び複数の第2エアカーテンC2を異なるタイミングで発生させることができる。
【0178】
なお出口側のファン80は、入口側のファン80と同様に、空気の流通経路CHを介して、出口側の3つの吹き出し口11a及びエアカーテンユニット74と接続される。
【0179】
図23に示す構成によると、制御部21は、ダンパー81・82を制御することで、エアシャワーS、第1エアカーテンC1及び第2エアカーテンC2を任意に発生させることができる。
【0180】
例えば図24に示すように、制御部21は、空気が流通するようにダンパー81を制御すると共に、空気の流通を禁止するようにダンパー82を制御することで、エアシャワーS、第1エアカーテンC1及び第2エアカーテンC2のうち、エアシャワーSのみを発生させることができる。
【0181】
また図25に示すように、制御部21は、空気の流通を禁止するようにダンパー81を制御すると共に、空気が流通するようにダンパー82を制御することで、エアシャワーS、第1エアカーテンC1及び第2エアカーテンC2のうち、第1エアカーテンC1又は第2エアカーテンC2の少なくとも一方を発生させることができる。
【0182】
また上述の如く、流通経路CHには風量調整機構が設けられている。このため制御部21は、共通のファン80を用いた場合でも(1つの第2エアカーテンC2に対して1つのファンを設けなくても)、第2エアカーテンC2の風量を最適なものに調整することができる。
【0183】
このように、ファン80からの空気の流通経路CHを工夫することで、共通のファン80を用いて、互いに風量が異なるエアカーテンC1・C2及びエアシャワーSをそれぞれ発生させることができるため、ファン80の設置スペースを削減することができる。
【0184】
以上の如く、第四実施形態に係る除塵装置70は、前記エアカーテンユニット74(カーテン発生部)及び前記吹き出し口11aに空気を供給する共通のファン80をさらに具備するものである。
【符号の説明】
【0185】
10 除塵装置
10a 内部空間
13 エアシャワーユニット
14 エアカーテンユニット
15 吸引ユニット
16 入口センサ
P 除塵位置
S エアシャワー
U 使用者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25