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特開2024-130467積層装置、及び、積層装置用のクランプ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130467
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】積層装置、及び、積層装置用のクランプ
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20240920BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20240920BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/0585
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040214
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000152675
【氏名又は名称】コマツNTC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】沖田 功
【テーマコード(参考)】
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028BB19
5H029AJ14
5H029CJ30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡易な機構により、クランプによる再固定の動作を高速化する。
【解決手段】積層装置は、シートを積層するための装置である。積層装置は、積層テーブル11と、搬送装置と、クランプ31と、アクチュエータとを備える。搬送装置は、積層テーブル11上にシートS2を搬送する。クランプ31は、回転軸51と、回転軸周りに配置される押さえ板52とを含む。クランプ31は、積層テーブル11上でシートS2を押さえつけることで、シートS2を積層テーブル11上に固定する。アクチュエータは、クランプ31に接続される。アクチュエータは、クランプ31を回転軸回りに回転させる。押さえ板52は、第1部分53と第2部分54とを含む。第1部分53は、回転軸51の径方向に延びる。第2部分54は、回転軸51の径方向に延びる。第2部分54は、第1部分53よりも高い位置に配置される。
【選択図】図10B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積層するための積層装置であって、
積層テーブルと、
前記積層テーブル上に前記シートを搬送する搬送装置と、
回転軸と、前記回転軸周りに配置される押さえ板とを含み、前記積層テーブル上で前記シートを押さえつけることで、前記シートを前記積層テーブル上に固定するクランプと、
前記クランプを前記回転軸回りに回転させるアクチュエータと、
を備え、
前記押さえ板は、
前記回転軸の径方向に延びる第1部分と、
前記回転軸の径方向に延びる第2部分と、
を含み、
前記第2部分は、前記第1部分よりも高い位置に配置される、
積層装置。
【請求項2】
前記クランプは、前記押さえ板上に前記シートが配置された状態から回転することで、前記第2部分が前記シート上に乗り上げ、前記シートを前記積層テーブルに向かって押さえながら回転することで、前記シート上に移動する、
請求項1に記載の積層装置。
【請求項3】
前記押さえ板は、前記回転軸の周方向において前記第2部分に向かって上方に湾曲した形状を有する、
請求項1に記載の積層装置。
【請求項4】
前記押さえ板は、上面視で扇形の形状を有する、
請求項1に記載の積層装置。
【請求項5】
積層テーブルを含み、前記積層テーブル上にシートを積層する積層装置において前記積層テーブル上に前記シートを固定するためのクランプであって、
回転軸と、
前記回転軸周りに配置される押さえ板と、
を備え、
前記押さえ板は、
前記回転軸の径方向に延びる第1部分と、
前記回転軸の径方向に延びる第2部分と、
を含み、
前記第2部分は、前記第1部分よりも高い位置に配置される、
クランプ。
【請求項6】
前記クランプは、前記押さえ板上に前記シートが配置された状態から回転することで、前記第2部分が前記シート上に乗り上げ、前記シートを前記積層テーブルに向かって押さえながら回転することで、前記シート上に移動する、
請求項5に記載のクランプ。
【請求項7】
前記押さえ板は、前記回転軸の周方向において前記第2部分に向かって上方に湾曲した形状を有する、
請求項5に記載のクランプ。
【請求項8】
前記押さえ板は、上面視で扇形の形状を有する、
請求項1に記載のクランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層装置、及び、積層装置用のクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のシートを互いに積層する積層装置が知られている。例えば、特許文献1は、リチウムイオン電池の電極を積層する積層装置を開示している。この積層装置は、シート状の正の電極と負の電極とを互いに積層する。各電極は、シート状のセパレータによって挟まれている。積層装置は、積層ロボットと、積層テーブルと、クランプと、アクチュエータとを備える。積層ロボットは、電極のシートを、積層テーブル上に配置する。クランプは、積層されたシートを押圧することで、積層テーブル上に固定する。アクチュエータは、クランプを回転、及び、上下に移動させる。
【0003】
詳細には、積層ロボットがシートを、積層テーブル上に配置すると、シートが、クランプ上に重なる。アクチュエータは、クランプを90度回転させながら上昇させる。それにより、クランプがシートの側方に移動すると共に、上方に移動する。次に、アクチュエータは、クランプを90度回転させる。それにより、クランプがシートの真上に移動する。そして、アクチュエータは、クランプを下降させる。それにより、シートがクランプによって押さえられて再固定される。上記の動作により、シートの積層と、クランプによるシートの再固定とが繰り返される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-227130号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の積層装置では、クランプを回転、上昇、回転、及び下降させることで、クランプによるシートの再固定が行われる。そのため、クランプの移動方向が多く、クランプの再固定の動作が遅い。また、クランプを移動させるための機構が複雑になる。本開示の目的は、簡易な機構により、クランプによる再固定の動作を高速化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る積層装置は、シートを積層するための装置である。積層装置は、積層テーブルと、搬送装置と、クランプと、アクチュエータとを備える。搬送装置は、積層テーブル上にシートを搬送する。クランプは、回転軸と、回転軸周りに配置される押さえ板とを含む。クランプは、積層テーブル上でシートを押さえつけることで、シートを積層テーブル上に固定する。アクチュエータは、クランプに接続される。アクチュエータは、クランプを回転軸回りに回転させる。押さえ板は、第1部分と第2部分とを含む。第1部分は、回転軸の径方向に延びる。第2部分は、回転軸の径方向に延びる。第2部分は、第1部分よりも高い位置に配置される。
【0007】
本開示の他の態様に係るクランプは、積層テーブル上にシートを積層する積層装置において、積層テーブル上にシートを固定する。クランプは、回転軸と、回転軸周りに配置される押さえ板とを備える。押さえ板は、第1部分と第2部分とを含む。第1部分は、回転軸の径方向に延びる。第2部分は、回転軸の径方向に延びる。第2部分は、第1部分よりも高い位置に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、クランプは、押さえ板上にシートが配置された状態から回転することで、第2部分がシート上に乗り上げ、シートを積層テーブルに向かって押さえながら回転することで、シート上に移動する。それにより、クランプは、シートを再固定する。従って、本開示では、クランプの回転動作によって、シートを再固定することができる。そのため、簡易な機構により、クランプによる再固定の動作を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る積層装置の斜視図である。
図2】積層装置の制御系を示すブロック図である。
図3】積層装置の上面図である。
図4】積層装置の上面図である。
図5】第1シートが積層テーブル上に積層された場合の積層テーブルの上面図である。
図6】第1シート上に第2シートが積層された場合の積層テーブルの上面図である。
図7】第1クランプの斜視図である。
図8】第1クランプの側面図である。
図9】第1クランプの上面図である。
図10A】積層テーブル上の第2シートを固定する場合の第1クランプの動作を示す上面図である。
図10B】積層テーブル上の第2シートを固定する場合の第1クランプの動作を示す上面図である。
図10C】積層テーブル上の第2シートを固定する場合の第1クランプの動作を示す上面図である。
図11】第1変形例に係るクランプの斜視図である。
図12】第1変形例に係るクランプの上面図である。
図13】第2変形例に係るクランプの上面図である。
図14】第3変形例に係るクランプの上面図である。
図15】第4変形例に係るクランプの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態にかかる積層装置について説明する。図1は、実施形態に係る積層装置1の斜視図である。図2は、積層装置1の制御系を示すブロック図である。積層装置1は、複数の第1シートS1と、複数の第2シートS2とを互いに積層する装置である。第1シートS1と第2シートS2とは、それぞれ、例えばリチウムイオン電池の正の電極と負の電極である。各電極は、図示しないセパレータによって覆われている。
【0011】
図1及び図2に示すように、積層装置1は、載置台2と、搬送装置3と、クランプ機構4と、コントローラ5とを含む。載置台2は、積層テーブル11と、高さ調整機構12とを含む。積層テーブル11上において、第1シートS1と第2シートS2とが交互に積層される。高さ調整機構12は、積層テーブル11を支持している。高さ調整機構12は、積層テーブル11の高さを調整する。高さ調整機構12は、例えば、ボールネジを含む。図2に示すように、載置台2は、テーブルアクチュエータ13を含む。テーブルアクチュエータ13は、例えば、モータを含む。
【0012】
高さ調整機構12は、テーブルアクチュエータ13によって駆動されることで。第1シートS1および第2シートS2の積層の進行に応じて、積層テーブル11を下降させる。例えば、高さ調整機構12は、積層テーブル11上の積層体S3の最上面の高さが一定に維持されるように、積層テーブル11を下降させる。積層体S3は、互いに積層された第1シートS1と第2シートS2とを含む。
【0013】
搬送装置3は、積層テーブル11上に、第1シートS1と第2シートS2とを搬送する。図1に示すように、第1シートS1は、第1保持台14上に配置される。搬送装置3は、第1シートS1を第1保持台14から積層テーブル11上に移送する。第2シートS2は、第2保持台15上に配置される。搬送装置3は、第2シートS2を第2保持台15から積層テーブル11上に移送する。
【0014】
詳細には、搬送装置3は、第1吸着部21と、第1搬送部材22と、第2吸着部23と、第2搬送部材24と、駆動部25とを含む。第1吸着部21は、第1搬送部材22に支持されている。第1吸着部21は、第1シートS1を吸着して保持し、解放する。例えば、第1吸着部21は、負圧により、第1シートS1を保持する。第1吸着部21は、負圧を抜くことで、第1シートS1を解放する。第2吸着部23は、第2搬送部材24に支持されている。第2吸着部23は、第2シートS2を吸着して保持し、解放する。第2吸着部23は、第1吸着部21と同様の構成を有する。
【0015】
図2に示すように、搬送装置3は、第1吸着アクチュエータ26と第2吸着アクチュエータ27とを含む。第1吸着アクチュエータ26と第2吸着アクチュエータ27とは、例えばポンプを含む。第1吸着アクチュエータ26は、第1吸着部21の負圧を制御する。第2吸着アクチュエータ27は、第2吸着部23の負圧を制御する。
【0016】
駆動部25は、第1搬送部材22と第2搬送部材24とを動作させる。図1に示すように、駆動部25は、第1搬送部材22と第2搬送部材24とを回転軸線A1回りに回転させる。駆動部25は、第1搬送部材22と第2搬送部材24とを上下に移動させる。駆動部25は、例えば、ボールネジ、及び、ギアを含む。図2に示すように、搬送装置3は、第1搬送アクチュエータ28と第2搬送アクチュエータ29とを含む。第1搬送アクチュエータ28と第2搬送アクチュエータ29とは、例えばモータを含む。駆動部25は、第1搬送アクチュエータ28によって駆動されることで、第1搬送部材22と第2搬送部材24とを回転軸線A1回りに回転させる。駆動部25は、第2搬送アクチュエータ29によって駆動されることで、第1搬送部材22と第2搬送部材24とを上下に移動させる。
【0017】
クランプ機構4は、シートS1,S2を積層テーブル11上に固定する。クランプ機構4は、複数のクランプ31-34と、複数の支持部35-38とを含む。複数のクランプ31-34は、複数の支持部35-38にそれぞれ支持されている。複数のクランプ31-34は、それぞれ着脱可能に複数の支持部35-38に取り付けられている。
【0018】
複数のクランプ31-34は、第1クランプ31と、第2クランプ32と、第3クランプ33と、第4クランプ34とを含む。複数の支持部35-38は、第1支持部35と、第2支持部36と、第3支持部37と、第4支持部38とを含む。第1~第4クランプ31-34は、回転することで積層体S3を積層テーブル11上に固定する。第1~第4クランプ31-34の構成については、後に詳細に説明する。
【0019】
図2に示すように、クランプ機構4は、第1クランプアクチュエータ41と、第2クランプアクチュエータ42と、第3クランプアクチュエータ43と、第4クランプアクチュエータ44とを含む。第1~第4クランプアクチュエータ41-44は、例えばモータを含む。第1~第4クランプアクチュエータ41-44は、それぞれ第1~第4クランプ31-34を回転させる。
【0020】
コントローラ5は、CPUなどのプロセッサと、RAM及びROMなどのメモリとを含む。コントローラ5は、記憶しているプログラム及びデータに従い、積層装置1を制御する。コントローラ5は、テーブルアクチュエータ13を制御することで、積層テーブル11の高さを調節する。コントローラ5は、第1吸着アクチュエータ26を制御することで、第1吸着部21における第1シートS1の吸着と解放とを切り替える。コントローラ5は、第2吸着アクチュエータ27を制御することで、第2吸着部23における第2シートS2の吸着と解放とを切り替える。
【0021】
コントローラ5は、第1搬送アクチュエータ28を制御することで、第1搬送部材22と第2搬送部材24とを回転させる。コントローラ5は、第2搬送アクチュエータ29を制御することで、第1搬送部材22と第2搬送部材24とを上昇、或いは下降させる。コントローラ5は、第1~第4クランプアクチュエータ41-44を制御することで、第1~第4クランプ31-34によって、積層体S3を積層テーブル11上に固定する。
【0022】
図3及び図4は、積層装置1の上面図である。図3に示すように、コントローラ5は、第1吸着部21によって第1シートS1を吸着させ、第1搬送部材22を回転させることで、第1シートS1を積層テーブル11上に移動させる。コントローラ5は、第1搬送部材22を下降させると共に、第1吸着部21から第1シートS1を解放する。それにより、第1シートS1が積層テーブル11上に配置される。また、第1搬送部材22が積層テーブル11上に移動することで、第2搬送部材24は、第2保持台15の上方へ移動する。第1搬送部材22が積層テーブル11上に下降することで、第2搬送部材24は、第2保持台15上に下降する。コントローラ5は、第2吸着部23によって第2シートS2を吸着させる。
【0023】
図4に示すように、コントローラ5は、第2吸着部23によって第2シートS2を吸着させ、第2搬送部材24を回転させることで、第2シートS2を積層テーブル11上に移動させる。コントローラ5は、第2搬送部材24を下降させると共に、第2吸着部23から第2シートS2を解放する。それにより、第2シートS2が、積層テーブル11上に配置される。それにより、第2シートS2が、第1シートS1上に積層される。また、第2搬送部材24が積層テーブル11上に移動することで、第1搬送部材22は、第1保持台14の上方へ移動する。第2搬送部材24が積層テーブル11上に下降することで、第1搬送部材22は、第1保持台14上に下降する。コントローラ5は、第1吸着部21によって第1シートS1を吸着させる。コントローラ5は、上記の動作を繰り返すことで、積層テーブル11上において、第1シートS1と第2シートS2とを交互に積層する。それにより、積層体S3が形成される。
【0024】
図5は、第1シートS1が積層テーブル11上に積層された場合の積層テーブル11の上面図である。図5では、第1~第4クランプ31-34は、第1シートS1を積層テーブル11に向かって押し付けることで、第1シートS1を積層テーブル11上に固定している。図6は、第1シートS1上に第2シートS2が積層された場合の積層テーブル11の上面図である。図6に示すように、第2シートS2は、第1~第4クランプ31-34のそれぞれの一部を上方から覆っている。第1~第4クランプ31-34は、回転することで、第2シートS2上に乗り上げて、第2シートS2を積層テーブル11に固定する。以下、第1~第4クランプ31-34の構成について説明する。
【0025】
図7は、第1クランプ31の斜視図である。図8は、第1クランプ31の側面図である。図9は、第1クランプ31の上面図である。図7図9に示すように、第1クランプ31は、回転軸51と押さえ板52とを含む。回転軸51は、上述した第1支持部35に支持されている。回転軸51は、押さえ板52の中心に位置する。回転軸51は、押さえ板52から上下方向に突出している。回転軸51は、上下方向に延びている。第1クランプ31は、第1クランプアクチュエータ41によって回転軸51回りに回転する。
【0026】
押さえ板52は、回転軸51周りに配置されている。図9に示すように、押さえ板52は、上面視で、扇形の形状を有する。押さえ板52は、第1部分53と第2部分54とを含む。第1部分53は、回転軸51の外径方向に延びる。第2部分54は、回転軸51の外径方向に延びている。第2部分54は、回転軸51の周方向において第1部分53の反対側に配置される。第2部分54は、回転軸51の周方向において第1部分53から離れて配置されている。第1部分53と第2部分54との間には、切り欠き55が設けられる。
【0027】
図8に示すように、第2部分54は、第1部分53よりも上方に位置する。押さえ板52は、第2部分54において上方に反り返った形状を有している。押さえ板52は、回転軸51の周方向に押さえ板52に沿って、第1部分53から第2部分54に向かって上方に湾曲した形状を有する。押さえ板52は、第1部分53から第2部分54に向かって上方に、滑らかに湾曲している。
【0028】
図10A図10Cは、積層テーブル11上の第2シートS2を固定する場合の第1クランプ31の動作を示す上面図である。図10Aに示すように、第2シートS2が積層された状態では、第2シートS2は、第1クランプ31のうち回転軸51よりも内側の部分(以下、「押さえ部56」と呼ぶ)を上方から覆っている。第1部分53と第2部分54とは、第2シートS2の外側に位置している。
【0029】
図10Aに示す状態から第1クランプ31が回転すると、図10Bに示すように、第1部分53が、第2シートS2の直下に移動する。また、第2部分54は、第1部分53よりも上方に位置していることで、第2シートS2上に乗り上げる。
【0030】
図10Bに示す状態から第1クランプ31がさらに回転すると、第2部分54は、第2シートS2を積層テーブル11に向かって押さえながら第2シートS2上で回転する。それにより、図10Cに示すように、押さえ板52の第2部分54に続く部分が第2シートS2上に乗り上げ、上述した押さえ部56が第2シートS2上に移動する。それにより、第1クランプ31は、第2シートS2を積層テーブル11上に固定する。
【0031】
第1シートS1が積層された場合も同様に、第1クランプ31は、回転することで、第1シートS1上に乗り上げて、第1シートS1を固定する。第2~第4クランプ32-34の構成及び動作は、上述した第1クランプ31の構成及び動作と同様である。
【0032】
以上説明した本実施形態に係る積層装置1では、第1クランプ31は、押さえ板52上にシートS1,S2が配置された状態から回転することで、第2部分54がシートS1,S2上に乗り上げ、シートS1,S2を積層テーブル11に向かって押さえながら回転することで、シートS1,S2上に移動する。第2~第4クランプ32-34も第1クランプ31と同様に動作することで、シートS1,S2上に移動する。それにより、クランプ31-34は、シートS1,S2を再固定する。従って、クランプ31-34の回転動作によって、シートS1,S2を再固定することができる。そのため、簡易な機構により、クランプ31-34による再固定の動作を高速化することができる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0034】
積層装置1は、電極以外のシートを積層する装置であってもよい。搬送装置3の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、駆動部25は、第1搬送部材22と第2搬送部材24とを回転させるのではなく、直線的に移動させてもよい。駆動部25は、第1搬送部材22と第2搬送部材24とを、積層テーブル11の上方で直線的に移動させてもよい。第1吸着部21と第2吸着部23とは、磁力によって第1シートS1と第2シートS2とを、それぞれ吸着してもよい。
【0035】
クランプ機構4の構成は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、クランプの数は、4つに限らず、4つよりも少なくてもよく、或いは4つよりも多くてもよい。クランプの形状は上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、第1部分53と第2部分54とは、一体に限らず、別体であってもよい。
【0036】
図11は、第1変形例に係るクランプ60の斜視図である。図12は、第1変形例に係るクランプ60の上面図である。図11及び図12に示すように、クランプ60は、回転軸61と押さえ板62とを含む。押さえ板62は、上面視で四角形の形状を有する。押さえ板62は、第1部分63と第2部分64とを含む。第1部分63と第2部分64とは、それぞれ上記の実施形態の第1部分53と第2部分54と同様の構成を有する。図11に示すように、押さえ板62の角は、上方に向かって湾曲した形状を有してもよい。なお、クランプ60の形状は、扇形、及び四角形に限らず、他の形状であってもよい。
【0037】
図13は、第2変形例に係るクランプ70の上面図である。図13に示すように、クランプ70は、回転軸71と押さえ板72とを含む。押さえ板72は、上面視で回転軸71から外径方向に延びた羽根状の形状を有する。押さえ板72は、第1部分73と第2部分74とを含む。第1部分73と第2部分74とは、それぞれ上記の実施形態の第1部分53と第2部分54と同様の構成を有する。
【0038】
図14は、第3変形例に係るクランプ80の上面図である。図14に示すように、クランプ80は、回転軸81と押さえ板82とを含む。押さえ板82は、上面視で回転軸81から、外径方向の一方と、その反対の方向との両方に延びた羽根状の形状を有する。押さえ板82は、第1部分83,85と第2部分84,86とを含む。第1部分83,85と第2部分84,86とは、それぞれ上記の実施形態の第1部分53と第2部分54と同様の構成を有する。
【0039】
図15は、第4変形例に係るクランプ90の上面図である。図15に示すように、クランプ90は、回転軸91と押さえ板92とを含む。押さえ板92は、上面視で回転軸91から、それぞれ外径方向に延びた複数の羽根状の形状を有する。押さえ板92は、第1部分93,95,97,99と第2部分94,96,98,100とを含む。第1部分93,95,97,99と第2部分94,96,98,100とは、それぞれ上記の実施形態の第1部分53と第2部分54と同様の構成を有する。なお、押さえ板92の羽根の数は、4つに限らず、3つであってもよい。或いは、押さえ板92の羽根の数は、4つより多くてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本開示によれば、積層装置において、簡易な機構により、クランプによる再固定の動作を高速化することができる。
【符号の説明】
【0041】
1:積層装置
3:搬送装置
11:積層テーブル
31:第1クランプ
41:第1クランプアクチュエータ
51:回転軸
52:押さえ板
53:第1部分
54:第2部分
S1,S2:シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15