(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130475
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】商品陳列棚
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20240920BHJP
A47F 5/11 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A47F5/00 Z
A47F5/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040232
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】395024001
【氏名又は名称】株式会社フロウ
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】高木 一栄
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118BB04
3B118GA12
3B118GA33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】保管時等にはかさばらずに保管等できるとともに、商品陳列時に変形を防止できる商品陳列棚を提供する。
【解決手段】商品を陳列可能な商品陳列部を有する陳列棚本体5と、前陳列棚本体に設けられ什器に係合可能な係止具3とを備える商品陳列棚であって、陳列棚本体は、所定形状のシート部材の前方側を略下向きコ字状に折り曲げて形成された前方壁部と、前方壁部と連続する後方側を略下向きコ字状に折り曲げて形成された後方壁部と、シート部材の左右部位を対向状態に折り曲げて形成された左右の壁部とを有し、商品陳列部は、前方壁部、前記後方壁部及び左右の壁部に囲まれた凹所部位であり、左右の壁部は、その前方側の端部がそれぞれ前方壁部の内部に挿入されるとともに、その後方側の端部がそれぞれ後方壁部の内部に挿入され、係止具は左右の壁部の後方側の上端部に設けられ、後方壁部の後方側に位置する什器に係止可能な形状に形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を陳列可能な商品陳列部を有する陳列棚本体と、陳列棚本体に設けられ什器に係合可能な係止具とを備える商品陳列棚であって、陳列棚本体は、所定形状のシート部材の前方側を略下向きコ字状に折り曲げて形成された前方壁部と、前記前方壁部と連続する後方側を略下向きコ字状に折り曲げて形成された後方壁部と、前記シート部材の左右部位を対向状態に折り曲げて形成された左右の壁部とを有し、前記商品陳列部は、前記前方壁部、前記後方壁部及び前記左右の壁部に囲まれた凹所部位であり、
前記左右の壁部は、その前方側の端部がそれぞれ前記前方壁部の内部に挿入されるとともに、その後方側の端部がそれぞれ前記後方壁部の内部に挿入されており、
前記係止具は前記左右の壁部の後方側の上端部にそれぞれ設けられ、かつ、前記後方壁部の後方側に位置する前記什器に係止可能である商品陳列棚。
【請求項2】
前記商品陳列部には、前記商品を傾斜状態で陳列できる上げ底部材を更に設けたことを特徴とする請求項1に記載の商品陳列棚。
【請求項3】
前記陳列棚本体は、紙製であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の商品陳列棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器に着脱自在に設置することができる商品陳列棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、什器に吊り下げることで設置可能な商品陳列棚としては「商品の形状に対応させて形成した陳列ケース本体と、商品を陳列ケース本体に入れた状態で商品陳列棚のバーに引っ掛け吊下げる係止部と、からなることを特徴とする商品陳列吊下げケース」(特許文献1)が知られている。
【0003】
しかし、このような商品陳列吊下げケースは、樹脂等で箱型に形成されており、この商品陳列吊下げケースを輸送する際や保管時には嵩張るものであった。
また、陳列ケース本体の背面側にフックが設けられており、強度の弱い材料で陳列ケース本体を形成した場合、ケース本体の背面板に商品荷重がかかり、この背面板がたわんでしまい、ケース本体が変形してしまうおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、保管時等にはかさばらずに保管等できるとともに、商品陳列時に変形を防止できる商品陳列棚を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の商品陳列棚は、商品を陳列可能な商品陳列部を有する陳列棚本体と、前記陳列棚本体に設けられ什器に係合可能な係止具とを備える商品陳列棚であって、前記陳列棚本体は、所定形状のシート部材の前方側を略下向きコ字状に折り曲げて形成された前方壁部と、前記前方壁部と連続する後方側を略下向きコ字状に折り曲げて形成された後方壁部と、前記シート部材の左右部位を対向状態に折り曲げて形成された左右の壁部とを有し、前記商品陳列部は、前記前方壁部、前記後方壁部及び前記左右の壁部に囲まれた凹所部位であり、前記左右の壁部は、その前方側の端部がそれぞれ前記前方部の内部に挿入されるとともに、その後方側の端部がそれぞれ前記後方壁部の内部に挿入されており、前記係止具は前記左右の壁部の後方側の上端部にそれぞれ設けられ、前記後方壁部の後方側に位置する前記什器に係止可能であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の商品陳列棚の前記商品陳列部には、前記商品を傾斜状態で陳列できる上げ底部材を更に設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の商品陳列棚の前記陳列棚本体は、紙製であることを特徴とする。ここで、「左右の壁部の後方側の上端部」には、上端部寄りの部位も含む。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1に記載の発明においては、シート状の部材を折り曲げて陳列棚本体を形成しているため、保管時や輸送時には折りたたんだ状態やシート状の状態で保管等することができる。
したがって、保管時、輸送時等にかさばらずに保管、輸送等することができる。
(2)左右の壁部の後方側の上端部付近にそれぞれ係止具を設けて什器に吊下げできるので、後方壁部に商品荷重がかかることがなく、後方壁部がたわむことを防止することができる。
(3)請求項2に記載の発明も前記(1)~(2)と同様な効果が得られるとともに、商品の視認性を高めた状態で陳列することができる。
(4)請求項3に記載の発明も前記(1)~(3)と同様な効果が得られるとともに、紙製であるため、紙ゴミとして処分が可能で、容易に廃棄やリサイクル等することができる。
(5)好ましい実施形態では、係止具3がフック状に形成されている場合には、商品陳列棚を什器の被係合棒に着脱自在かつ吊下げ状態で配設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1乃至
図7は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
【
図3】第1の実施形態の商品陳列棚の右側面図(右の壁部が見える)。
【
図6】商品陳列棚に商品を直に陳列した状態の概略断面図。
【
図7】上げ底部材を用いて商品陳列棚に商品を間接的に陳列した状態の概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1乃至
図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は商品2を陳列可能で商店等の店舗に設置された什器等に係止具3を用いて吊下げ状態で、好ましくは着脱自在に配設できる商品陳列棚である。
【0014】
この商品陳列棚1は、
図1乃至
図4に示すように、商品2を陳列可能な商品陳列部4を有する陳列棚本体5と、前記陳列棚本体5に設けられ、スチールラック等の什器に着脱自在に設置可能な係止具3とで構成されている。
【0015】
陳列棚本体5は、例えば紙、樹脂、木材繊維等の非金属の材料(折り曲げ可能な素材、例えば厚紙、強化紙等)により所定形状シート状に形成されている。したがって、陳列棚本体5は、所定形状のシート部材6を、略直角等の角度に適宜に折り曲げ、商品陳列部4(例えば底壁内面を有する凹所部位)を有する棚枠状に形成するのが望ましい。本実施形態においてはバルカナイズドファイバー等の強化紙を用いた紙製となっている。
【0016】
図5は、陳列棚本体5の一例を示す展開図である。
図5を基準にすると、左が前方側、右が後方側である。しかして、陳列棚本体5は、所定形状のシート部材6の前方側を略下向きコ字状に折り曲げて形成された前方壁部7と、前記前方壁部に連続するシート部材の後方側を略下向きコ字状に折り曲げて形成された後方壁部8と、前記シート部材の左右部位を対向状態に折り曲げて形成された左右一対の壁部9とを有している。この前方壁部7と後方壁部8及び前記左右の壁部9に囲まれた部位が商品陳列部4となっており、商品陳列部4には様々な商品2を陳列することができる。ここで、前記左右の壁部9は、
図2の平面図を基準にする。
【0017】
なお、前方壁部7の前方側の外壁面や後方壁部8の内外の壁面に陳列する商品2に関連する情報、広告、バーコード等を表示することもできる。また通信機能を有するICチップ型の情報記憶媒体を前方壁部等の外壁面に固定的に設け(例えば埋め込むよう貼付け)、携帯端末の通信部と近距離非接触方式で前記情報記憶媒体に記録されている商品情報、店舗情報、広告情報等を読み取ることもできる。
【0018】
さらに付言すると、前方壁部7はシート部材6の前方側に形成された全体として長方形状の部位で、その前方側の端部(一辺)には前方壁用係合片10が設けられており、例えば複数本の折り曲げ線7a、7b、7cが形成されている。前記折り曲げ線7a、7b、7cは、折り加工して形成してもよく、スジ入れ加工で折り目を形成してもよいし、材質によっては折り曲げる部位が認識できるような目印を形成しただけのものであってもよい。この前方壁部7が折り曲げられる折り曲げ線7a上には、前記前方壁用係合片10が挿入状態で係合される前方壁用係合孔11が形成されている。前方壁部7はこの折り曲げ線7aから立ち上がるように折り曲げるとともに(谷折り)、折り曲げ線7b及び7cを断面視において略下向きコ字状となるように折り曲げ(谷折り)、この状態で前方壁用係合片10を前方壁用係合孔11に挿入して係合状態とする。
【0019】
後方壁部8はシート部材6の後方側に形成された全体として長方形状の部位で、その後方側の端部(一辺)には後方壁用係合片12が設けられており、複数本の折り曲げ線8a、8b、8cが形成されている。この後方壁部8が折り曲げられる折り曲げ線8a上には、前記後方壁用係合片12が挿入状態で係合される後方壁用係合孔13が形成されている。後方壁部8はこの折り曲げ線8aから立ち上がるように折り曲げる(谷折り)とともに、折り曲げ線8b及び8cを断面視において略下向きコ字状となるように折り曲げ(谷折り)、この状態で後方壁用係合片12を後方壁用係合孔13に挿入して係合状態とする。なお、本実施形態においては、後方壁部8は前記前方壁部7よりも高さが高くなるように形成されている。
【0020】
ところで後方壁部8の上面(折り曲げ線8bと折り曲げ線8cとで形成される上面)には後述する後方挿入片14の係合片14aが挿入される係合孔15が1対設けられている。
【0021】
左右の壁部9はシート部材6の左右側部にそれぞれ形成され、前記前方壁部7等よりも左右方向に突出した部位で、折り曲げ線9a、9b、9cが設けられている。なお前記一つの折り曲げ線9aは、他の二つの折り曲げ線9b、9cに対して直交する。
【0022】
前記左右の壁部9は、折り曲げ線9aを内側(谷折り)に立ち上がるように折り曲げられて形成されており、その前方側の端部には折り曲げ線9bをそれぞれ内側(谷折り)に折り返されて前記前方壁部7の内部に挿入される前方挿入片16と、後方側の端部には折り曲げ線9cをそれぞれ内側に折り返されて前記後方壁部8の内部に挿入される後方挿入片14が形成されており、この前方挿入片16が前記前方壁部7と、後方挿入片14が前記後方壁部8とそれぞれ係合状態となっている。
【0023】
本実施形態においては、この前方挿入片16に前方壁用係合孔11に係合する係合片16aが形成されているとともに、後方挿入片14には係合孔15と係合する係合片14aが形成されている。これらの係合孔と係合片が係合することにより、前方挿入片16と前方壁部7、後方挿入片14と後方壁部8の係合状態をより強く維持することができる。
【0024】
また、左右の壁部9の上端部は、本実施形態においては、前方壁部7と後方壁部8をなめらかに接続する曲線状となっているが、傾斜面状、段差状に形成してもよい。
【0025】
前記係止具3は、前記左右の壁部9の後方側の上端部付近に左右の壁部9の内側面に当接するようにそれぞれ設けられている。係止具3はフック状に形成されており、前記後方壁部8の後方側に位置する前記什器に係止可能な形状となっている。この係止具3の取付部は左右の壁部の後方側の上端部付近に形成された貫通孔にピンで軸支状態に取り付けられている。なお、この係止具3は樹脂や金属で形成してもよいが、本実施形態においては、バルカナイズドファイバー等の強化紙を用いた紙製となっている。
【0026】
このように係止具3を左右の壁部9の後方側の上端部付近に1対設けて後方壁部8の後方側に位置する前記什器に係止することにより、後方壁部8が商品2の重さにより前方へたわむことを確実に防止することができる。
【0027】
ところで、本実施形態においては、前記商品2を傾斜状態で陳列できる上げ底部材17を更に備えている。
【0028】
この上げ底部材17は、本実施形態においては、シート部材6と同素材の上げ底用シートを折り曲げて形成されており、底部が商品陳列部4に略ぴったり載置できる寸法となっており、上部が前方から後方8側へ向かって低くなる傾斜面となっている。この上げ底部材17の前方側の高さ寸法としては、前方壁部7よりも低くなるように形成されている。
【0029】
このように形成することにより、箱状の商品2を陳列した際に、
図7に示すように正面側が斜め上方を向くように配置され、商品2の視認性を向上させた状態で陳列することができる。
【0030】
この上げ底部材17は本実施形態のように陳列棚本体5と別体で形成し、着脱自在としてもよいし、陳列棚本体5に一体形成又は固定的に設けてもよい。後者の陳列棚本体5に一体形成又は固定的に設けた場合には、上げ底部材17の上面が商品陳列部4(凹所部位)に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は什器に取り付ける商品陳列棚を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0032】
1:商品陳列棚、 2:商品、
3:係止具、 4:商品陳列部、
5:陳列棚本体、 6:シート部材、
7:前方壁部、 8:後方壁部、
9:左右の壁部、 10:前方壁用係合片、
11:前方壁用係合孔、 12:後方壁用係合片、
13:後方壁用係合孔、 14:後方挿入片、
15:係合孔、 16:前方挿入片、
17:上げ底部材。