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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013048
(43)【公開日】2024-01-31
(54)【発明の名称】走行支援方法及び走行支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240124BHJP
   B60W 30/09 20120101ALI20240124BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240124BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
G08G1/16 D
B60W30/09
B60W60/00
B60W30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114954
(22)【出願日】2022-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】松永 寛之
(72)【発明者】
【氏名】植田 宏寿
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241BA33
3D241BC01
3D241CC01
3D241CC08
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA52Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB20Z
3D241DB32Z
3D241DC30Z
3D241DC31Z
3D241DC34Z
3D241DC59Z
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181LL01
5H181LL09
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】自車両の予定走行経路上の横断歩道の所定範囲内に歩行者や自転車が存在し、且つ横断歩道の横断が交通信号機により許可されている場合に、自車両の乗員に不要なもたつき感を与えるのを軽減する。
【解決手段】走行支援方法では、歩行者又は自転車である道路利用者が横断歩道の横断を開始しておらず(S8)、且つ交通信号機が存在しない場合(S11)に、自車両を横断歩道の手前に所定の停車目標時間停車させ(S18、S19)、道路利用者が横断歩道の横断を開始しておらず(S8)、且つ交通信号機が横断歩道の横断を許可している場合(S12)に、横断歩道を通過する速度を所定速度以下に制限するように自車両の車速を制御する(S13)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の予定走行経路を設定又は推定し、
前記予定走行経路上の横断歩道を検出し、
前記自車両の周囲において歩行者又は自転車である道路利用者を検出し、
前記横断歩道の横断を許可又は禁止する交通信号機が存在するか否かを判定し、
前記交通信号機が前記横断歩道の横断を許可しているか否かを判定し、
前記道路利用者が前記横断歩道の横断を開始したか否かを判定し、
前記道路利用者が前記横断歩道の横断を開始しておらず、且つ前記交通信号機が存在しない場合に、前記自車両を前記横断歩道の手前に所定の停車目標時間停車させ、
前記道路利用者が前記横断歩道の横断を開始しておらず、且つ前記交通信号機が前記横断歩道の横断を許可している場合に、前記横断歩道を通過する速度を所定速度以下に制限するように前記自車両の車速を制御する、
ことを特徴とする走行支援方法。
【請求項2】
前記横断歩道の所定範囲内に前記道路利用者が静止している場合に、前記道路利用者が前記横断歩道の横断を開始していない、と判定することを特徴とする請求項1に記載の走行支援方法。
【請求項3】
前記交通信号機が前記横断歩道の横断を許可していない場合には、前記横断歩道を通過する速度を前記所定速度以下に制限しないことを特徴とする請求項1に記載の走行支援方法。
【請求項4】
前記道路利用者が前記横断歩道の横断を開始しようとしており、且つ前記交通信号機が存在しないか前記交通信号機が前記横断歩道の横断を許可している場合には、前記自車両を前記横断歩道の手前に停車させることを特徴とする請求項1に記載の走行支援方法。
【請求項5】
前記道路利用者が前記横断歩道から遠ざかっている場合には、前記横断歩道を通過する速度を前記所定速度以下に制限しないことを特徴とする請求項1に記載の走行支援方法。
【請求項6】
自車両の予定走行経路を設定又は推定する処理と、前記予定走行経路上の横断歩道を検出する処理と、前記自車両の周囲において歩行者又は自転車である道路利用者を検出する処理と、前記横断歩道の横断を許可又は禁止する交通信号機が存在するか否かを判定する処理と、前記交通信号機が前記横断歩道の横断を許可しているか否かを判定する処理と、前記道路利用者が前記横断歩道の横断を開始したか否かを判定する処理と、前記道路利用者が前記横断歩道の横断を開始しておらず、且つ前記交通信号機が存在しない場合に、前記自車両を前記横断歩道の手前に所定の停車目標時間停車させる処理と、前記道路利用者が前記横断歩道の横断を開始しておらず、且つ前記交通信号機が前記横断歩道の横断を許可している場合に、前記横断歩道を通過する速度を所定速度以下に制限するように前記自車両の車速を制御する処理と、を実行するコントローラを備えることを特徴とする走行支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援方法及び走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、横断歩道を横断しようとしている歩行者がいるときに、適切な走行支援制御を行う走行支援装置を開示する。横断歩道内または横断歩道の歩道側の所定範囲内に歩行者がいる場合において、信号機の信号が青の場合または信号機が無い場合で、歩行者の体の向き、移動方向、顔の向きを考慮し、歩行者が横断歩道から遠ざかる場合を除いて、自車両を減速・停車させ、警報を鳴らす支援を行なう。そして、自車両が所定時間停車しても歩行者が横断を開始しない場合は、支援を中止して、自車両を発進させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開特開2006-244295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の走行支援装置は、横断歩道の所定範囲に人物が検出されると、歩行者が横断歩道を横断しない場合においても自車両を所定時間停車させてしまうことがあるため、乗員にもたつき感を与えてしまうという問題点がある。
本発明は、自車両の予定走行経路上の横断歩道の所定範囲内に歩行者や自転車が存在し、且つ横断歩道の横断が交通信号機により許可されている場合に、自車両の乗員に不要なもたつき感を与えるのを軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による走行支援方法では、自車両の予定走行経路を設定又は推定し、予定走行経路上の横断歩道を検出し、自車両の周囲において歩行者又は自転車である道路利用者を検出し、横断歩道の横断を許可又は禁止する交通信号機が存在するか否かを判定し、交通信号機が横断歩道の横断を許可しているか否かを判定し、道路利用者が横断歩道の横断を開始したか否かを判定し、道路利用者が横断歩道の横断を開始しておらず、且つ交通信号機が存在しない場合に、自車両を横断歩道の手前に所定の停車目標時間停車させ、道路利用者が横断歩道の横断を開始しておらず、且つ交通信号機が横断歩道の横断を許可している場合に、横断歩道を通過する速度を所定速度以下に制限するように自車両の車速を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自車両の予定走行経路上の横断歩道の所定範囲内に歩行者や自転車が存在し、且つ横断歩道の横断が交通信号機により許可されている場合に、自車両の乗員に不要なもたつき感を与えるのを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の走行支援装置の構成図である。
図2】運転行動決定手順を示すフローチャート(その1)である。
図3】運転行動決定手順を示すフローチャート(その2)である。
図4】運転行動決定手順を示すフローチャート(その3)である。
図5】信号が有る交差点内の横断歩道を通過する場面の説明図である。
図6】信号がない直進路の横断歩道を通過する場面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、自車両の予定走行経路上の横断歩道の歩道側の所定範囲内又は横断歩道内に歩行者又は自転車を利用する者がいる走行シーンにおいて、歩行者又は自転車を利用する者が横断歩道の横断を開始している場合に自車両を停車させる走行支援システムに適用される。本発明を適用する走行支援システムは、例えば先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver-Assistance Systems)等の運転支援装置や自動運転等の自律走行システム内に組み込んで利用できる。
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に、本発明の実施形態に係る走行支援装置の構成例を示す構成図を示す。走行支援装置100は、地図情報データベース(地図情報DB)101、測位装置102、車輪速センサ103、物体検知センサ104、コントローラ105、駆動源113、ブレーキ114を備える。
コントローラ105は、地図情報データベース101、測位装置102、車輪速センサ103、物体検知センサ104からの入力情報に基づいて、自車両1の運転行動を決定し、駆動目標値または制動目標値を演算する。次にコントローラ105は、駆動目標値または制動目標値を駆動源113、ブレーキ114に出力し、駆動源113、ブレーキ114が車両を駆動または制動させる。
【0010】
例えば、自車両1の予定走行経路上に横断歩道が存在する場合に、横断歩道を自車両1に通過させたり、徐行して横断歩道を通過させたり、又は横断歩道の手前で停車させる。乗員が操作せずに自車両1を運転する自動運転制御を実行している場合に、コントローラ105は、図示しないナビゲーションシステムが設定した予定走行経路に基づいて、予定走行経路上に横断歩道が存在するか否かを判定してよい。乗員(例えば運転者)が自車両1を手動で運転している場合に、コントローラ105は、測位装置102が測定した自車両1の現在位置と、自車両1の操舵角と、地図情報データベース101に基づいて自車両1の予定走行経路を推定してもよい。運転者が自車両1を手動で運転している場合に、コントローラ105は、ナビゲーションシステムが設定した目標経路を予定走行経路として推定してもよい。
【0011】
コントローラ105は、自車両位置取得部106、横断歩道位置取得部107、信号機情報取得部108、道路利用者情報取得部109、停止線位置取得部110、運転行動決定部111、車両制御部112から構成される。
自車両位置取得部106は、地図情報データベース101、測位装置102、車輪速センサ103からの入力情報から、自車両1の位置を取得する。横断歩道位置取得部107は、地図情報データベース101、物体検知センサ104からの入力情報から、自車両1の予定走行経路上に存在する横断歩道の位置を取得する。
【0012】
信号機情報取得部108は、地図情報データベース101、物体検知センサ104からの入力情報から、横断歩道の横断を許可又は禁止する交通信号機の位置と現示状態を取得する。停止線位置取得部110は、地図情報データベース101、物体検知センサ104からの入力情報から、横断歩道の手前の停止線の位置を取得する。
道路利用者情報取得部109は、物体検知センサ104からの入力情報から、歩行者又は自転車を利用する者の位置、移動の有無、及び移動方向を取得する。以下の説明において歩行者又は自転車を利用する者を「道路利用者」と表記することがある。
運転行動決定部111は、これらの結果を用いて自車両1の運転行動を決定する。具体的には、自車両1の運転行動として、横断歩道を自車両1に通過させるか、所定速度以下で走行して横断歩道を通過させるか、又は横断歩道の手前で停車させるかを決定する。
車両制御部112は、運転行動決定部111が決定した自車両1の運転行動を実現するための駆動源113の駆動目標値またはブレーキ114の制動目標値を演算する。
【0013】
以下、図1の走行支援装置100の構成図を用いて、各部の機能を説明する。
地図情報データベース101は、例えば、メモリに保存されており、コントローラ105が読み込む、ナビゲーションシステムの地図情報データベースで、横断歩道の位置、交通信号機の位置、停止線の位置を含んだ道路情報を取得することができる。
測位装置102は、位置情報を取得する。測位装置102は、例えば全地球型測位システム(GNSS)受信機を備え、複数の航法衛星から電波を受信して自車両1の現在位置を測定してよい。
車輪速センサ103は、自車両1の車速を検出する。測位装置102は、これらの情報から自車両1の自己位置を取得する。なお、オドメトリ等の自己位置推定技術を用いて、自車両1の自己位置を推定してもよい。
【0014】
物体検知センサ104は、自車両1の周囲の物体を検知する。具体的には、横断歩道の位置、交通信号機の位置及び現示状態、停止線の位置、道路利用者の位置、移動の有無、及び移動方向を検出する。例えば、ミリ波レーダ、Lidar(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)、カメラ等のセンサである。
物体検知センサ104は、横断歩道の位置、交通信号機の位置及び現示状態、停止線の位置、道路利用者の位置、移動の有無、及び移動方向を検出可能なセンサであればよく、同様の検出が可能な他のセンサでもよい。なお、ナビゲーションシステムの地図情報データベースで、横断歩道の位置、交通信号機の位置、停止線の位置を含む、道路情報を取得してもよい。
【0015】
自車両位置取得部106は、地図情報データベース101、測位装置102、車輪速センサ103からの入力情報から、自車両1の位置を取得する。
横断歩道位置取得部107は、地図情報データベース101、物体検知センサ104からの入力情報から、予定走行経路上に存在する横断歩道の位置を取得する。横断歩道の位置とは、自車両1の位置に対する横断歩道の相対位置を指し、物体検知センサ104で横断歩道を検知する。
【0016】
信号機情報取得部108は、地図情報データベース101、物体検知センサ104からの入力情報から、交通信号機の位置を取得し、物体検知センサ104からの入力情報から、交通信号機の現示状態を取得する。
交通信号機とは、例えば、日本の交通環境においては、十字路や丁字路等の交差点において車両の交通の安全の確保や交通の流れを円滑にするための車両用信号機や、横断歩道付近に設置され、歩行者や自転車に対して横断歩道の通行を許可する歩行者用信号機を指す。
1つの交差点内に同じ通行方向の通行を許可又は禁止する車両用信号機と歩行者用信号機との両者が設置されている場合、例えば信号機情報取得部108は「横断歩道の横断を許可又は禁止する交通信号機」として、これらの交通信号機のうち少なくともいずれか一方の現示状態を検知してよい。
【0017】
交通信号機の現示状態とは、交通信号機が表示(点灯)している信号の色(赤、黄、青)や点灯・点滅等の状態を指す。信号機情報取得部108は、物体検知センサ104で検知した交通信号機の表示色により、交通信号機の現示状態を検知する。本発明においては、交通信号機の表示色が赤でない状態である「横断歩道を横断することを許可されている状態」であるか、交通信号機の表示色が赤である状態である「横断歩道を横断することを許可されていない状態」であるかを検知する。
【0018】
道路利用者情報取得部109は、物体検知センサ104からの入力情報から、道路利用者の位置、移動の有無、及び移動方向を取得する。
道路利用者の移動の有無とは、道路利用者が移動しているか、静止しているかを指す。また、道路利用者の移動方向とは、横断歩道の横断を開始しているか(すなわち、横断歩道の入口から出口へ移動しているか)、横断歩道の歩道側の所定範囲内において、横断歩道に向かって横断を開始しようとしているか(すなわち歩道から横断歩道に向かって移動しているか)、横断歩道から遠ざかっているか(歩道から横断歩道と異なる方向に向かって移動しているか)のいずれかを指す。
【0019】
停止線位置取得部110は、地図情報データベース101、物体検知センサ104からの入力情報から、横断歩道の手前の停止線の位置を取得する。
運転行動決定部111は、自車両位置取得部106からの自車両1の位置情報と、横断歩道位置取得部107からの横断歩道の位置情報と、信号機情報取得部108からの交通信号機の位置及び現示状態の情報(以下「信号機情報」と表記することがある)と、道路利用者情報取得部109からの道路利用者の位置、移動の有無、及び移動方向の情報(以下「道路利用者情報」と表記することがある)と、停止線位置取得部110からの停止線の位置情報から、自車両1の運転行動を決定する。
【0020】
例えば運転行動決定部111は、自車両1に横断歩道を通過させることを運転行動として決定してよい。この場合、例えば、運転行動決定部111は、自車両1が横断歩道を通過する速度を所定速度以下に制限しないこと(すなわち所定速度よりも高い速度で前記横断歩道を通過することを許可すること)を決定してよい。例えば、減速させずに横断歩道を自車両1に通過させることを決定してよい。このように横断歩道を通過する速度を所定速度以下に制限せずに横断歩道を自車両1に通過させる決定を、以下の説明において「横断歩道を通過する決定」と表記することがある。
【0021】
また例えば、運転行動決定部111は、所定速度以下で走行して横断歩道を通過させること(すなわち横断歩道を通過する速度を所定速度以下に制限すること)を運転行動として決定してよい。このように所定速度以下で走行して横断歩道を通過させる決定を、以下の説明において「横断歩道で徐行する決定」と表記することがある。
また例えば、横断歩道手前に自車両1を停車させることを運転行動として決定してよい。このように横断歩道手前に自車両1を停車させる決定を、以下の説明において「横断歩道手前で停車する決定」と表記することがある。
さらに運転行動決定部111は、横断歩道手前の停車目標位置に自車両1を停車目標時間だけ停車させることを運転行動として決定してよい。このように横断歩道手前の停車目標位置で停車目標時間だけ自車両1を停車させる決定を、以下の説明において「横断歩道手前の停車目標位置で停車目標時間だけ停車する決定」と表記することがある。
運転行動決定部111は、自車両1の運転行動の決定結果を車両制御部112に出力する。なお、運転行動の決定処理の詳細は、運転行動決定手順を示す図2図4のフローチャートに沿って後述する。
【0022】
車両制御部112は、運転行動決定部111で決定した自車両1の運転行動の決定結果に基づいて、自車両1の運転行動を実現するための駆動目標値または制動目標値を演算して、駆動源113、ブレーキ114に出力する。自車両1を通過、徐行させる場合は、駆動目標値を演算し、自車両1を停車させる場合は、制動目標値を演算する。なお、車輪速センサにより自車両1の現在車速を検知して、目標車速と現在車速から、駆動目標値または制動目標値を演算する。
駆動源113は、駆動目標値に基づいて、車両を駆動させる。また、ブレーキ114は、制動目標値に基づいて、車両を制動させる。
【0023】
次に、図2図4のフローチャートに沿って、コントローラ105による運転行動決定手順を説明する。
本実施形態では、横断歩道内または横断歩道の歩道側の所定範囲内に道路利用者がいる場合において、道路利用者が横断歩道の横断を開始している場合、または、道路利用者が静止している場合に、自車両1の車速を制御して自車両1の走行を支援する。
【0024】
図5は、道路利用者2が静止している場合の自車両1の走行支援の一例として、横断歩道3用の交通信号機4(すなわち横断歩道3の横断を許可又は禁止する交通信号機4)があり、かつ、交通信号機4により道路利用者2が横断歩道を横断することを許可されている状態にもかかわらず、まだ道路利用者が横断歩道3の横断を開始していない場合に「横断歩道で徐行する決定」を行なう例を示している。
【0025】
横断歩道3用の交通信号機4が設置されており、交通信号機4により横断歩道3を横断することが許可されている場合、自車両1が減速して低速走行していれば、道路利用者2が横断歩道3の横断を開始する可能性が高い。つまり、横断歩道の横断を開始していない道路利用者2は、別の方向の横断歩道5を渡ろうとして交通信号機4の信号が変わるのを待っていることが想定される。このように、道路利用者2が横断歩道3を渡れるにもかかわらず動き出す気配がない場合であっても自車両1を所定時間停車させてしまうと、乗員にもたつき感を与えてしまうという問題点がある。
【0026】
図6は、道路利用者2が静止している場合の自車両1の走行支援の他の例として、横断歩道3用の交通信号機がなく、かつ道路利用者2が横断歩道3の横断を開始していない場合に、「横断歩道手前の停車目標位置で停車目標時間だけ停車する決定」を行なう例を示している。
横断歩道3用の信号機が無い横断歩道の場合は、道路利用者2は自車両1が停車すると分かるまでは横断を開始しない可能性が高い。したがって、(1)横断歩道3手前の停車目標位置で停車目標時間だけ停車することにより、道路利用者2が横断歩道3を横断し易くすることが好ましい。停車目標時間だけ停車しても道路利用者2が横断歩道3の横断を開始しない場合には、(2)自車両1を所定速度以下で走行(徐行)して横断歩道3を通過させてよい。
【0027】
まず、ステップS1(走行経路計画ステップ)では、コントローラ105は、自車両1の走行する経路計画を立てる。すなわち予定走行経路を設定する。経路計画には、横断歩道を通過することを含むことがある。なお、自車両1が運転者に手動運転されている場合には、コントローラ105は自車両1の予定走行経路を推定してもよい。
ステップS2(自車両位置取得ステップ)にて、自車両位置取得部106は、地図情報データベース101、測位装置102、車輪速センサ103からの入力情報から、自車両1の位置を取得する。
【0028】
ステップS3(横断歩道位置取得ステップ)にて、横断歩道位置取得部107は、地図情報データベース101、物体検知センサ104からの入力情報から、横断歩道の位置を取得する。
ステップS4(信号機情報取得ステップ)にて、信号機情報取得部108は、地図情報データベース101、物体検知センサ104からの入力情報から交通信号機の位置を取得し、物体検知センサ104からの入力情報から交通信号機の現示状態を取得する。
【0029】
1つの交差点内に同じ通行方向の通行を許可又は禁止する車両用信号機と歩行者用信号機との両者が設置されている場合、例えば信号機情報取得部108は「横断歩道の横断を許可又は禁止する交通信号機」として、これらの交通信号機のうち少なくともいずれか一方の現示状態を検知してよい。
信号機情報取得部108は、交通信号機の表示色が赤でない状態である「横断歩道を横断することを許可されている状態」であるか、交通信号機の表示色が赤である状態である「横断歩道を横断することを許可されていない状態」であるかを検知する。
【0030】
ステップS5(道路利用者情報取得ステップ)にて、道路利用者情報取得部109は、物体検知センサ104からの入力情報から、道路利用者の位置、移動の有無、及び移動方向の情報を取得する。道路利用者情報取得部109は、道路利用者の移動の有無として、道路利用者が移動しているか、静止しているかの情報を取得する。また、道路利用者の移動方向として、横断歩道の横断を開始しているか、横断歩道に向かって横断を開始しようとしている(横断歩道に近づいている)か、横断歩道から遠ざかっているかの情報を取得する。
【0031】
ステップS6(道路利用者の位置が横断歩道の所定範囲内であるか否かの判定ステップ)にて、運転行動決定部111は、道路利用者の位置が「横断歩道の所定範囲内」であるか否かを判定する。「横断歩道の所定範囲内」とは横断歩道内または横断歩道の歩道側の所定範囲内を指す。例えば、横断歩道内または横断歩道の歩道側の数mの範囲内を指す。
道路利用者の位置が「横断歩道の所定範囲内」でない場合(ステップS6:N)は、処理はステップS7(通過ステップ)に進み、「横断歩道を通過する決定」を行なう。車両制御部112は、速度を所定速度以下に制限しないで自車両1に横断歩道を通過させる。その後に処理は終了する。
道路利用者の位置が「横断歩道の所定範囲内」である場合(ステップS6:Y)は、処理はステップS8(道路利用者が横断歩道の横断を開始しているか否かの判定ステップ)に進む。
【0032】
ステップS8(道路利用者が横断歩道の横断を開始しているか否かの判定ステップ)にて、運転行動決定部111は、道路利用者が横断歩道の横断を開始しているか否かを判定する。道路利用者が横断歩道の横断を開始している場合(ステップS8:Y)は、処理はステップS9(停車ステップ)に進み、「横断歩道手前で停車する決定」を行なう。車両制御部112は、停車目標位置より手前の位置で自車両1を停車させる。その後に処理は終了する。
道路利用者が横断歩道の横断を開始していない場合(ステップS8:N)は、処理はステップS10(道路利用者が静止しているか否かの判定ステップ)に進む。
【0033】
ステップS10(道路利用者が静止しているか否かの判定ステップ)にて、運転行動決定部111は、道路利用者が静止しているか否か判定する。道路利用者が静止している場合(ステップS10:Y)は、処理はステップS11(横断歩道用の交通信号機があるか否かの判定ステップ)に進む。道路利用者が静止していない場合(ステップS10:N)は、処理はステップS21(道路利用者が横断歩道の横断を開始しようとしている(横断歩道に近づいている)か否かの判定ステップ)に進む。
【0034】
ステップS11(横断歩道用の交通信号機があるか否かの判定ステップ)にて、運転行動決定部111は、横断歩道用の交通信号機があるか否か判定する。横断歩道用の交通信号機がある場合(ステップS11:Y)は、処理はステップS12(道路利用者が横断歩道の横断を許可されているか否かの判定ステップ)に進む。横断歩道用の交通信号機がない場合(ステップS11:N)は、運転行動決定部111は「横断歩道手前の停車目標位置で停車目標時間だけ停車する決定」を行い、処理はステップS15(停止線位置取得ステップ)に進む。
【0035】
ステップS12(道路利用者が横断歩道の横断を許可されているか否かの判定ステップ)にて、運転行動決定部111は、道路利用者が横断歩道を横断することが交通信号機によって許可されているか否かを判定する。道路利用者が横断歩道を横断することを許可されている場合(ステップS12:Y)は、処理はステップS13(徐行ステップ)に進み、「横断歩道で徐行する決定」を行なう。車両制御部112は、停車目標位置より手前の位置で車速が所定速度以下になるように自車両1の速度を制御する。その後に処理は終了する。
道路利用者が横断歩道を横断することを許可されていない場合(ステップS12:N)は、ステップS14(通過ステップ)に進み、「横断歩道を通過する決定」を行う。車両制御部112は、速度を所定速度以下に制限しないで自車両1に横断歩道を通過させる。その後に処理は終了する。
【0036】
ステップS15(停止線位置取得ステップ)にて、停止線位置取得部110は、地図情報データベース101、物体検知センサ104からの入力情報から、横断歩道の手前の停止線の位置を取得する。ステップS16(停車目標位置演算ステップ)にて、運転行動決定部111は停車目標位置を演算する。停車目標位置は、横断歩道の手前に停止線がある場合は、停止線の位置とし、横断歩道の手前に停止線がない場合は、横断歩道から所定距離手前の位置とする。
【0037】
ステップS17(停車目標時間演算ステップ)にて、車両制御部112は、停車目標位置に自車両1を停車させてからの停車目標時間を演算する。これにより車両制御部112は、停車目標位置に自車両1を停車してから停車目標時間経過するまでの間、自車両1の停車を継続させる。停車目標時間として、例えば、横断歩道の横断待ちをしている道路利用者が車両の停車から横断を開始するまでの平均時間を設定してよい。
【0038】
ステップS18(自車両1が停車目標位置に停車目標時間停車したか否かの判定ステップ)にて、車両制御部112は、自車両1が停車目標位置に停車目標時間停車したか否かを判定する。自車両1が停車目標位置に停車目標時間停車していない場合(ステップS18:N)は、処理はステップS19(停車ステップ)に進み、自車両1を停車させる。自車両1が停車目標位置に停車目標時間停車した場合(ステップS18:Y)は、処理はステップS20(徐行ステップ)に進み、車両制御部112は、自車両1を所定速度以下で走行(徐行)させて横断歩道を通過させる。
【0039】
ステップS21(道路利用者が横断歩道の横断を開始しようとしている(横断歩道に近づいている)か否かの判定ステップ)にて、運転行動決定部111は、道路利用者が横断歩道の横断を開始しようとしている(横断歩道に近づいている)か否かを判定する。
道路利用者が横断歩道の横断を開始しようとしている(横断歩道に近づいている)場合(ステップS21:Y)は、処理はステップS24(横断歩道用の交通信号機の有無の判定ステップ)に進む。
道路利用者が横断歩道の横断を開始しようとしていない(道路利用者が横断歩道から遠ざかっている)場合(ステップS21:N)は、処理はステップS23(通過ステップ)に進む。
【0040】
ステップS24(横断歩道用の交通信号機の有無の判定ステップ)にて、運転行動決定部111は、横断歩道用の交通信号機があるか否か判定する。横断歩道用の交通信号機がある場合(ステップS24:Y)は、処理はステップS25(道路利用者が横断歩道の横断を許可されているかの判定ステップ)へ進む。横断歩道用の交通信号機がない場合(ステップS24:N)は、処理はステップS22(停車ステップ)に進む。
【0041】
ステップS25(道路利用者が横断歩道の横断を許可されているかの判定ステップ)にて、運転行動決定部111は、道路利用者が横断歩道を横断することが交通信号機によって許可されているか否かを判定する。
道路利用者が横断歩道を横断することを許可されている場合(ステップS25:Y)は、処理はステップS22(停車ステップ)に進む。道路利用者が横断歩道を横断することを許可されていない場合(ステップS25:N)は、処理はステップS23(通過ステップ)に進む。
【0042】
ステップS22(停車ステップ)にて、運転行動決定部111は「横断歩道手前で停車する決定」を行なう。車両制御部112は、停車目標位置より手前の位置で自車両1を停車させる。その後に処理は終了する。
ステップS23(通過ステップ)にて、運転行動決定部111は「横断歩道を通過する決定」を行なう。車両制御部112は、速度を所定速度以下に制限しないで自車両1に横断歩道を通過させる。その後に処理は終了する。
【0043】
(実施形態の効果)
(1)走行支援方法では、自車両1の予定走行経路を設定又は推定し、予定走行経路上の横断歩道を検出し、自車両1の周囲において歩行者又は自転車である道路利用者を検出し、横断歩道の横断を許可又は禁止する交通信号機が存在するか否かを判定し、交通信号機が横断歩道の横断を許可しているか否かを判定し、道路利用者が横断歩道の横断を開始したか否かを判定し、道路利用者が横断歩道の横断を開始しておらず、且つ交通信号機が存在しない場合に、自車両1を横断歩道の手前に所定の停車目標時間停車させ、道路利用者が横断歩道の横断を開始しておらず、且つ交通信号機が横断歩道の横断を許可している場合に、横断歩道を通過する速度を所定速度以下に制限するように自車両1の車速を制御する。
【0044】
これにより、自車両1の予定走行経路上の横断歩道内または横断歩道の歩道側の所定範囲内に道路利用者が存在し、交通信号機により横断歩道の横断が許可されている場合に、自車両1を不要に停車させて乗員にもたつき感を与えるのを軽減できる。
【0045】
(2)横断歩道の所定範囲内に道路利用者が静止している場合に、道路利用者が横断歩道の横断を開始していないと判定してもよい。
これにより、道路利用者の位置を取得して静止しているか否かを判断するだけで、道路利用者が横断歩道の横断を開始していないことを容易に判断でき、自車両1が横断歩道を通過する際に、乗員に不要なもたつき感を与えるのを軽減できる。
【0046】
(3)交通信号機が横断歩道の横断を許可していない場合には、横断歩道を通過する速度を所定速度以下に制限しなくてもよい。
これにより、交通信号機により道路利用者が横断歩道を横断することを許可されていない場合に、自車両1が不要に徐行又は停車することにより乗員にもたつき感を与えることを防ぐことができる。
【0047】
(4)道路利用者が横断歩道の横断を開始しようとしており、且つ交通信号機が存在しないか交通信号機が横断歩道の横断を許可している場合には、自車両1を横断歩道の手前に停車させてもよい。
これにより、自車両1の予定走行経路上の横断歩道内または横断歩道の歩道側の所定範囲内に道路利用者がいる場合に、道路利用者が横断歩道を横断する時は確実に停車することができる。
【0048】
(5)道路利用者が横断歩道から遠ざかっている場合には、横断歩道を通過する速度を所定速度以下に制限しなくてもよい。
これにより、道路利用者が横断歩道から遠ざかっている場合に、不要な徐行や停車により乗員にもたつき感を与えることを防ぐことができる。
【0049】
なお、本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を実施形態のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。
【符号の説明】
【0050】
1…自車両、100…走行支援装置、101…地図情報データベース、102…測位装置、103…車輪速センサ、104…物体検知センサ、105…コントローラ、106…自車両位置取得部、107…横断歩道位置取得部、108…信号機情報取得部、109…道路利用者情報取得部、110…停止線位置取得部、111…運転行動決定部、112…車両制御部、113…駆動源、114…ブレーキ
図1
図2
図3
図4
図5
図6