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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130508
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ディスク装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/21 20060101AFI20240920BHJP
   G11B 5/60 20060101ALI20240920BHJP
   G11B 5/48 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G11B21/21 C
G11B5/60 P
G11B5/48 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040268
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 学
(57)【要約】
【課題】ベースプレートの上に配置された部品と磁気ディスクとの干渉を抑制可能なディスク装置を提供する。
【解決手段】一つの実施形態に係るディスク装置は、磁気ディスクと、サスペンションと、磁気ヘッドと、キャリッジとを備える。前記サスペンションは、ベースプレートと、前記ベースプレートに取り付けられたロードビームと、前記ロードビームに取り付けられたフレキシャと、を有する。前記磁気ヘッドは、前記フレキシャに取り付けられる。前記キャリッジは、前記ベースプレートが取り付けられたアームを有し、回転することで前記磁気ヘッドを前記磁気ディスクに対して移動させる。前記ベースプレートは、前記磁気ヘッドが前記磁気ディスクの上に位置するときに当該磁気ディスクに向くよう構成された第1の面と、前記第1の面の反対側に位置するとともに前記アームに向く第2の面と、を有し、前記第2の面の上に前記アームと異なる部品が配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転軸まわりに回転するよう構成された磁気ディスクと、
ベースプレートと、前記ベースプレートに取り付けられたロードビームと、前記ロードビームに取り付けられたフレキシャと、を有するサスペンションと、
前記フレキシャに取り付けられ、前記磁気ディスクに情報を読み書きするよう構成された、磁気ヘッドと、
前記ベースプレートが取り付けられたアームを有し、前記第1の回転軸から離間した第2の回転軸まわりに回転することで前記磁気ヘッドを前記磁気ディスクに対して移動させるよう構成された、キャリッジと、
を具備し、
前記ベースプレートは、前記磁気ヘッドが前記磁気ディスクの上に位置するときに当該磁気ディスクに向くよう構成された第1の面と、前記第1の面の反対側に位置するとともに前記アームに向く第2の面と、を有し、前記第2の面の上に前記アームと異なる部品が配置された、
ディスク装置。
【請求項2】
前記部品は、前記ロードビーム及び前記フレキシャのうち少なくとも一方を有する、
請求項1のディスク装置。
【請求項3】
前記部品は、前記フレキシャを有する、
請求項1のディスク装置。
【請求項4】
前記ロードビームは、前記磁気ヘッドが前記磁気ディスクの上に位置するときに当該磁気ディスクに向くよう構成された第3の面と、前記第3の面の反対側に位置する第4の面とを有し、前記第3の面及び前記第4の面に開口する孔が設けられ、
前記フレキシャは、前記第3の面に取り付けられるとともに前記磁気ヘッドが実装された第1の部分と、前記第2の面の上に配置された第2の部分と、前記孔を通って前記第1の部分と前記第2の部分との間で延びる第3の部分と、を有する、
請求項3のディスク装置。
【請求項5】
前記アームは、前記第2の面に向く第5の面と、前記第5の面の反対側に位置する第6の面と、を有し、前記第5の面が向く方向において前記第5の面と前記第6の面との間に位置するスリットが設けられ、
前記フレキシャは、前記第2の部分から延びるとともに前記スリットに収容される第4の部分を有する、
請求項4のディスク装置。
【請求項6】
前記第4の部分の一部は、前記第2の部分と前記スリットとの間で当該スリットの外部に位置し、前記ベースプレートよりも前記第1の回転軸から離間し、前記第5の面が向く方向において前記ベースプレートよりも前記磁気ディスクから離間した
請求項5のディスク装置。
【請求項7】
前記アームに、前記第5の面に開口する窪みが設けられ、
前記フレキシャは、前記窪みに収容されるとともに前記アームに取り付けられた取付部を有する、
請求項5のディスク装置。
【請求項8】
前記部品は、前記ロードビームを有する、
請求項2のディスク装置。
【請求項9】
前記ベースプレート及び前記ロードビームのうち少なくとも一方に取り付けられ、前記ベースプレートを曲げるように伸縮するよう構成された、圧電素子、
をさらに具備し、
前記圧電素子の少なくとも一部は、前記第1の面よりも前記磁気ディスクから離間した、
請求項3乃至請求項8のいずれか一つのディスク装置。
【請求項10】
前記圧電素子は、前記磁気ヘッドが前記磁気ディスクの上に位置するときに当該磁気ディスクに向くよう構成された第7の面と、前記第7の面の反対側に位置するとともに前記フレキシャに接続された第8の面とを有する、
請求項9のディスク装置。
【請求項11】
前記磁気ディスクは、11枚以上のディスクを有する、
請求項1のディスク装置。
【請求項12】
前記磁気ディスクの厚さは、0.3mm以上且つ0.5mm以下である、
請求項1のディスク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(HDD)のようなディスク装置は、例えば、磁気ディスクと、サスペンションと、当該サスペンションに実装された磁気ヘッドと、サスペンションを移動させるキャリッジとを有する。サスペンションは、キャリッジに取り付けられるベースプレートと、当該ベースプレートに取り付けられたロードビームと、当該ロードビームに取り付けられたフレキシャとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0262394号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロードビーム及びフレキシャのような種々の部品は、ベースプレートのうち、磁気ディスクに向く面の上に配置される。このため、当該部品は、磁気ディスクに近接しており、磁気ディスクに干渉してしまう虞がある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、ベースプレートの上に配置された部品と磁気ディスクとの干渉を抑制可能なディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態に係るディスク装置は、磁気ディスクと、サスペンションと、磁気ヘッドと、キャリッジとを備える。前記磁気ディスクは、第1の回転軸まわりに回転するよう構成される。前記サスペンションは、ベースプレートと、前記ベースプレートに取り付けられたロードビームと、前記ロードビームに取り付けられたフレキシャと、を有する。前記磁気ヘッドは、前記フレキシャに取り付けられ、前記磁気ディスクに情報を読み書きするよう構成される。前記キャリッジは、前記ベースプレートが取り付けられたアームを有し、前記第1の回転軸から離間した第2の回転軸まわりに回転することで前記磁気ヘッドを前記磁気ディスクに対して移動させるよう構成される。前記ベースプレートは、前記磁気ヘッドが前記磁気ディスクの上に位置するときに当該磁気ディスクに向くよう構成された第1の面と、前記第1の面の反対側に位置するとともに前記アームに向く第2の面と、を有し、前記第2の面の上に前記アームと異なる部品が配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るHDDを分解して示す例示的な斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態のHDDの一部を示す例示的な断面図である。
図3図3は、第1の実施形態のHGA及びアームを示す例示的な平面図である。
図4図4は、第1の実施形態のHGA及びアームを図3の反対側から示す例示的な平面図である。
図5図5は、第1の実施形態の磁気ディスク、HGA、及びアームを示す例示的な側面図である。
図6図6は、第2の実施形態に係るHGA及びアームを示す例示的な平面図である。
図7図7は、第2の実施形態のHGA及びアームを図6の反対側から示す例示的な平面図である。
図8図8は、第2の実施形態の磁気ディスク、HGA、及びアームを示す例示的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図5を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0009】
図1は、第1の実施形態に係るハードディスクドライブ(HDD)10を分解して示す例示的な斜視図である。HDD10は、ディスク装置の一例であり、電子機器、記憶装置、外部記憶装置、又は磁気ディスク装置とも称され得る。HDD10は、例えば、ニアライン(near-online)HDDである。なお、HDD10は、この例に限られない。
【0010】
図1に示すように、HDD10は、筐体11と、複数の磁気ディスク12と、スピンドルモータ13と、ヘッドスタックアセンブリ(HSA)14と、ボイスコイルモータ(VCM)15と、ランプロード機構16と、プリント回路板(PCB)17とを有する。磁気ディスク12は、ディスクとも称され得る。
【0011】
図2は、第1の実施形態のHDD10の一部を示す例示的な断面図である。図2に示すように、本明細書において、便宜上、Z軸及びZ方向が定義される。Z軸は、HDD10の厚さに沿って設けられる。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向とを含む。
【0012】
筐体11は、ベース21と、内カバー22と、外カバー23とを有する。なお、筐体11は、この例に限られない。ベース21、内カバー22、及び外カバー23のそれぞれは、例えばアルミニウム合金のような金属材料によって作られる。なお、ベース21、内カバー22、及び外カバー23の材料が互いに異なっても良い。
【0013】
図1に示すように、ベース21は、+Z方向に開放された略直方体の箱状に形成される。筐体11は、複数の磁気ディスク12、スピンドルモータ13、HSA14、VCM15、及びランプロード機構16を収容する。
【0014】
ベース21は、底壁25と側壁26とを有する。底壁25は、Z方向と略直交するように広がる略矩形(四角形)の板状に形成されている。側壁26は、底壁25の縁から略+Z方向に突出し、略矩形の枠状に形成されている。底壁25と側壁26とは、一体に形成されている。
【0015】
内カバー22は、+Z方向における側壁26の端部に例えばネジにより取り付けられ、ベース21を塞ぐ。外カバー23は、内カバー22を覆い、+Z方向における側壁26の端部に例えば溶接により取り付けられる。
【0016】
内カバー22に通気口27が設けられる。さらに、外カバー23に、通気口28が設けられる。ベース21の内部に部品が取り付けられ、ベース21に内カバー22及び外カバー23が取り付けられた後、通気口27,28から筐体11の内部の空気が抜かれる。さらに、筐体11の内部に、空気とは異なる気体が充填される。
【0017】
筐体11の内部に充填される気体は、例えば、空気よりも密度が低い低密度ガスや、反応性の低い不活性ガス等である。例えば、ヘリウムが筐体11の内部に充填される。なお、他の流体が筐体11の内部に充填されても良い。また、筐体11の内部は、真空、真空に近い低圧、又は大気圧よりも低い陰圧に保たれても良い。
【0018】
外カバー23の通気口28は、シール29により塞がれる。シール29は、通気口28を気密に密封し、筐体11の内部に充填された流体が通気口28から筐体11の外部へ漏れることを制限する。
【0019】
複数の磁気ディスク12は、Z方向と直交するように広がる円盤状に形成される。本実施形態のHDD10は、いわゆる3.5インチHDDである。このため、磁気ディスク12の直径は、例えば、95mm~97mmである。Z方向における磁気ディスク12の厚さは、0.3mm以上且つ0.5mm以下である。図2に示すように、本実施形態のHDD10は、例えば、11枚の磁気ディスク12を有する。なお、磁気ディスク12の寸法及び数は、この例に限られない。
【0020】
複数の磁気ディスク12はそれぞれ、例えば、少なくとも一つの記録面12aを有する。複数の記録面12aはそれぞれ、略+Z方向に向く磁気ディスク12の表面、又は略-Z方向に向く磁気ディスク12の表面である。記録面12aは、Z方向と直交する略平坦な面である。記録面12aに、磁気ディスク12の磁気記録層が設けられる。
【0021】
複数の磁気ディスク12は、Z方向に間隔を介して重ねられる。複数の磁気ディスク12の間の間隔は、例えば、約1.4mmである。複数の磁気ディスク12の間には、例えば、スペーサが配置される。
【0022】
図1のスピンドルモータ13は、複数の磁気ディスク12を支持するとともに、中心軸Ax1まわりに回転させる。中心軸Ax1は、第1の回転軸の一例であり、略Z方向に延びる仮想的な軸である。中心軸Ax1は、例えば、磁気ディスク12及びスピンドルモータ13の中心軸である。複数の磁気ディスク12は、例えば、クランプバネによってスピンドルモータ13のハブに保持される。
【0023】
筐体11に、磁気ディスク12から中心軸Ax1と直交する方向に離間した支持軸31が設けられる。支持軸31は、例えば、筐体11の底壁25から略+Z方向に延びている。HSA14は、支持軸31に回転可能に支持される。
【0024】
HSA14は、中心軸Ax2まわりに回転することができる。中心軸Ax2は、第2の回転軸の一例であり、略Z方向に延びる仮想的な軸である。中心軸Ax2は、例えば、HSA14の回転の中心であり、支持軸31の中心軸でもある。このため、中心軸Ax2は、中心軸Ax1から当該中心軸Ax1と直交する方向に離間している。
【0025】
以下、便宜上、軸方向、径方向及び周方向が定義される。軸方向は、中心軸Ax2に沿う方向である。軸方向は、Z方向に等しい。径方向は、中心軸Ax2と直交する方向であり、中心軸Ax2と直交する複数の方向を含む。周方向は、中心軸Ax2まわりに回転する方向であり、中心軸Ax2まわりに時計回りに回転する方向と反時計回りに回転する方向とを含む。
【0026】
HSA14は、キャリッジ35と、複数のヘッドジンバルアセンブリ(HGA)36と、フレキシブルプリント回路板(FPC)37とを有する。図2に示すように、キャリッジ35は、アクチュエータブロック41と、複数のアーム42と、コイルホルダ43とを有する。
【0027】
アクチュエータブロック41、複数のアーム42、及びコイルホルダ43は、例えばアルミニウムにより一体に形成される。なお、アクチュエータブロック41、アーム42、及びコイルホルダ43の材料は、この例に限られない。
【0028】
アクチュエータブロック41は、例えば、中心軸Ax2まわりに回転可能に、軸受を介して支持軸31に支持される。これにより、キャリッジ35は、中心軸Ax2まわりに回転することができる。
【0029】
複数のアーム42は、アクチュエータブロック41から、径方向に突出している。なお、HSA14が分割され、複数のアクチュエータブロック41のそれぞれからアーム42が突出しても良い。
【0030】
本明細書において、便宜上、X軸及びY軸がさらに定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。Y軸は、アーム42に沿って設けられる。さらに、本明細書において、X方向及びY方向がさらに定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向と、X軸の矢印の反対方向である-X方向とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向とを含む。
【0031】
複数のアーム42は、アクチュエータブロック41から+Y方向に吐出している。このため、Y方向は、アーム42の長手方向である。また、Y方向は、径方向に含まれる。X方向は、アーム42の短手方向である。X方向及びY方向は、キャリッジ35が中心軸Ax2まわりに回転することで変化する。
【0032】
複数のアーム42は、軸方向に間隔を介して配置される。アーム42はそれぞれ、隣り合う磁気ディスク12の間の隙間に進入可能な板状に形成される。複数のアーム42は、略平行に延びている。
【0033】
本実施形態において、キャリッジ35は、12個のアーム42を有する。複数のアーム42の数は、複数の磁気ディスク12の数よりも一つ多い。なお、複数のアーム42の数は、この例に限られない。
【0034】
コイルホルダ43は、アクチュエータブロック41から、-Y方向に突出している。コイルホルダ43は、VCM15のボイスコイルを保持する。VCM15は、当該ボイスコイルと、一対のヨークと、当該ヨークに設けられた磁石とを有する。
【0035】
図3は、第1の実施形態のHGA36及びアーム42を示す例示的な平面図である。図4は、第1の実施形態のHGA36及びアーム42を図3の反対側から示す例示的な平面図である。図5は、第1の実施形態の磁気ディスク12、HGA36、及びアーム42を示す例示的な側面図である。
【0036】
図5に示すように、複数のアーム42のそれぞれは、二つの座面42a,42bを有する。座面42aは、第6の面の一例である。座面42bは、第5の面の一例である。座面42a,42bは、+Y方向におけるアーム42の端部に設けられる。座面42aは、略平坦に形成され、略+Z方向に向く。座面42bは、座面42aの反対側に位置する。座面42bは、略平坦に形成され、略-Z方向に向く。
【0037】
本実施形態において、Z方向におけるアーム42の最大の厚さは、例えば、約0.7mmである。さらに、座面42a,42bの間の間隔は、例えば、約0.47mmである。なお、アーム42の寸法は、この例に限られない。
【0038】
図3に示すように、複数のアーム42のそれぞれは、内側面42c及び外側面42dをさらに有する。内側面42cは、おおよそ+X方向に向く。さらに、内側面42cは、中心軸Ax1に向く。外側面42dは、内側面42cの反対側に位置する。外側面42dは、おおよそ-X方向に向く。
【0039】
複数のアーム42のそれぞれに、加締め孔45、スリット46、及び切り欠き47が設けられる。さらに、図5に示すように、複数のアーム42のそれぞれに、二つの窪み48が設けられる。
【0040】
加締め孔45は、二つの座面42a,42bに開口するように、アーム42を略Z方向に貫通する円形の孔である。スリット46は、外側面42dに開口し、外側面42dに沿っておおよそY方向に延びている。Z方向(-Z方向)において、スリット46は、座面42aと座面42bとの間に位置する。スリット46は、加締め孔45よりも中心軸Ax2に近い。
【0041】
図3に示すように、切り欠き47は、+Y方向におけるアーム42の端面と-X方向におけるアーム42の端面との角部分に設けられる。このため、座面42a,42bは、X方向に非対称に形成される。なお、座面42a,42bは、X方向に線対称に形成されても良い。
【0042】
二つの窪み48のうち一方は、座面42aと、-X方向におけるアーム42の端面とに開口する。二つの窪み48のうち他方は、座面42bと、-X方向におけるアーム42の端面とに開口する。
【0043】
複数のHGA36のそれぞれは、アーム42から略+Y方向に突出するように、アーム42の座面42a又は座面42bに取り付けられる。これにより、複数のHGA36は、Z方向に間隔を介して配置される。
【0044】
以下、座面42bに取り付けられたHGA36と、当該HGA36に対応する磁気ディスク12とについて主に説明する。座面42aに取り付けられたHGA36は、座面42bに取り付けられたHGA36と略鏡面対称に形成される。以下の座面42bに取り付けられたHGA36の説明のうち+Z方向及び-Z方向を互いに読み替え、座面42aと座面42bとを互いに読み替えることで、座面42aに取り付けられたHGA36と、当該HGA36に対応する磁気ディスク12とが理解され得る。
【0045】
図4に示すように、複数のHGA36のそれぞれは、磁気ヘッド51及びサスペンション52を有する。磁気ヘッド51は、スライダとも称され得る。磁気ヘッド51は、複数の磁気ディスク12の記録面12aのうち対応する一つに対して、情報の記録及び再生を行う。言い換えると、磁気ヘッド51は、磁気ディスク12に対して情報を読み書きする。
【0046】
キャリッジ35は、中心軸Ax2まわりに回転することで、磁気ヘッド51を対応する磁気ディスク12に対して移動させる。VCM15は、キャリッジ35を中心軸Ax2まわりに回転させることで、磁気ヘッド51を磁気ディスク12の記録面12aに沿って所望の位置へ移動させる。
【0047】
VCM15によるHSA14の回転により磁気ヘッド51が磁気ディスク12の最外周に移動すると、図1のランプロード機構16は、磁気ディスク12から離間した位置に磁気ヘッド51を保持する。
【0048】
図5に示すように、HGA36の磁気ヘッド51に対応する磁気ディスク12は、アーム42から-Z方向に離間している。磁気ヘッド51が磁気ディスク12の記録面12aの上に位置するとき、座面42bは、対応する磁気ディスク12に向く。
【0049】
図3に示すように、サスペンション52は、アーム42と磁気ヘッド51との間に介在する。サスペンション52は、ベースプレート55と、ロードビーム56と、フレキシャ(flexure)57と、ダンパ58とを有する。ロードビーム56及びフレキシャ57は、部品の一例である。
【0050】
ベースプレート55及びロードビーム56は、例えば、ステンレスにより作られる。なお、ベースプレート55及びロードビーム56の材料は、この例に限られない。ベースプレート55及びロードビーム56は、互いに異なる材料で作られても良い。
【0051】
ベースプレート55は、プレート61及びボス62を有する。プレート61は、Z方向と略直交する略四角形の板状に形成される。図5に示すように、プレート61は、内面61a及び外面61bを有する。内面61aは、第2の面の一例である。外面61bは、第1の面の一例である。
【0052】
内面61aは、略平坦に形成され、略+Z方向に向く。内面61aとアーム42の座面42bとは、互いに向かい合い、互いに接触する。外面61bは、内面61aの反対側に位置する。外面61bは、略平坦に形成され、略-Z方向に向く。磁気ヘッド51が磁気ディスク12の記録面12aの上に位置するとき、外面61bは、対応する磁気ディスク12に向く。
【0053】
ボス62は、内面61aから突出している。ボス62は、略円筒状に形成され、アーム42の加締め孔45に嵌め込まれる。ボス62がアーム42に加締められることで、ベースプレート55がアーム42に取り付けられる。なお、ベースプレート55は、他の方法によりアーム42に取り付けられても良い。
【0054】
ロードビーム56は、ベースプレート55よりも薄い板状に形成される。図3に示すように、ロードビーム56は、ベースタブ71と、ビーム72と、二つのサイドレール73と、リフトタブ74とを有する。
【0055】
ベースタブ71は、ボス62から+Y方向に離間した位置で、例えば接着要素Adによりプレート61に取り付けられる。接着要素Adは、例えば、両面テープ、接着剤、又は粘弾性体(viscoelastic material:VEM)である。これにより、ロードビーム56は、ベースプレート55に取り付けられる。なお、ベースタブ71は、スポット溶接のような他の手段によりプレート61に取り付けられても良い。
【0056】
本実施形態において、ベースタブ71は、プレート61の内面61aに取り付けられる。このため、プレート61の内面61aの上に、ロードビーム56のベースタブ71が配置される。なお、内面61aの上への部品の配置は、内面61aの鉛直上方への部品の配置を意味せず、内面61aに接触するような部品の配置、又は内面61aに隙間を介して隣接するような部品の配置を意味する。すなわち、部品は、内面61aが当該部品に面する位置に配置される。
【0057】
ビーム72は、+Y方向におけるベースタブ71の端から、おおよそ+Y方向に延びている。具体的には、図5に示すように、ビーム72は、ベースタブ71から、対応する磁気ディスク12に向かって斜めに延びている。すなわち、ビーム72は、ベースタブ71から、+Y方向と-Z方向との間の斜め方向に延びている。
【0058】
ロードビーム56は、内面56a及び外面56bをさらに有する。内面56aは、第4の面の一例である。外面56bは、第3の面の一例である。内面56a及び外面56bは、ベースタブ71及びビーム72に設けられたロードビーム56の表面である。
【0059】
内面56aは、おおよそ+Z方向に向く。外面56bは、内面56aの反対側に位置し、おおよそ-Z方向に向く。ベースタブ71の外面56bは、プレート61の内面61aに接触している。磁気ヘッド51が磁気ディスク12の記録面12aの上に位置するとき、外面56bは、対応する磁気ディスク12に向く。
【0060】
図3に示すように、ベースタブ71に、切り欠き75が設けられる。切り欠き75は、孔の一例である。切り欠き75は、内面56a、外面56b、及び-Y方向におけるベースタブ71の端に開口するように、ベースタブ71を略Z方向に貫通する。
【0061】
+Y方向における切り欠き75の端は、+Y方向におけるプレート61の端から、+Y方向に離間している。このため、切り欠き75は、略Z方向にサスペンション52を貫通する孔を形成する。
【0062】
切り欠き75は、ベースタブ71のうち少なくともプレート61に取り付けられる部分を分割する。切り欠き75が設けられることで、ベースタブ71のうちプレート61に取り付けられる部分の剛性が低下し、ロードビーム56が弾性変形しやすくなる。すなわち、切り欠き75は、ロードビーム56の剛性を調整する。
【0063】
二つのサイドレール73は、X方向におけるビーム72の両端から、おおよそZ方向に突出している。言い換えると、二つのサイドレール73は、ビーム72の内面56aから突出している。二つのサイドレール73は、X方向におけるビーム72の両端に沿って、おおよそY方向に延びている。
【0064】
リフトタブ74は、+Y方向におけるビーム72の端部に設けられる。ランプロード機構16が磁気ヘッド51を保持するとき、リフトタブ74は、ランプロード機構16に支持される。
【0065】
フレキシャ57は、細長い帯状に形成される。フレキシャ57は、例えば、ステンレス等の金属板(裏打ち層)と、金属板上に形成された絶縁層(ベースレイ)と、絶縁層上に形成され複数の配線(配線パターン)を構成する導電層と、導電層を覆う絶縁性の保護層(カバーレイ)と、を有する可撓性の基板である。なお、フレキシャ57は、この例に限られない。
【0066】
フレキシャ57は、第1の部分81と、第2の部分82と、第3の部分83と、第4の部分84とを有する。第4の部分84は、サスペンションテールとも称され得る。第1の部分81、第2の部分82、第3の部分83、及び第4の部分84のそれぞれは、フレキシャ57の一部であり、金属板、絶縁層、導電層、及び保護層のうち少なくとも一つを有する。
【0067】
図4に示すように、第1の部分81は、ビーム72の外面56bに、例えばスポット溶接により取り付けられる。すなわち、第1の部分81は、外面56bの上に配置される。第1の部分81は、ジンバル部85を有する。
【0068】
ジンバル部85は、+Y方向におけるフレキシャ57の端部に設けられる。ジンバル部85に、磁気ヘッド51が実装される。これにより、磁気ヘッド51は、フレキシャ57に取り付けられるとともに、フレキシャ57に電気的に接続される。
【0069】
ジンバル部85は、例えば、ビーム72に取り付けられたフレーム状の部分と、磁気ヘッド51が実装されるとともに当該フレーム状の部分に対して弾性的に変位可能な部分とを有する。なお、ジンバル部85は、この例に限られない。
【0070】
図3に示すように、第2の部分82は、プレート61の内面61aの上に配置される。第2の部分82は、内面61aに、例えば接着要素Ad又はスポット溶接により取り付けられる。なお、第2の部分82は、内面61aに取り付けられていなくても良い。
【0071】
第2の部分82は、プレート61の内面61aの上に配置される。すなわち、本実施形態において、ロードビーム56及びフレキシャ57が、内面61aの上に配置される。なお、ロードビーム56及びフレキシャ57のうち一方が、プレート61の外面61bの上に配置されても良い。
【0072】
第3の部分83は、切り欠き75を通って-Y方向における第1の部分81の端と+Y方向における第2の部分82の端との間で延びている。第3の部分83は、プレート61の内面61aに対して斜めに延びても良いし、複数の個所で曲げられても良い。
【0073】
接着要素Adは、第2の部分82と第3の部分83との間の境界の周辺において、第2の部分82とプレート61との間に位置する。このため、接着要素Adは、プレート61がフレキシャ57を損傷させることを抑制する。
【0074】
接着要素Adは、HGA36の厚さを増大させる。しかし、接着要素Adは、HGA36の厚さを+Z方向に増大させるため、ロードビーム56を磁気ディスク12に近づけることを抑制できる。
【0075】
第2の部分82は、第3の部分83から、アーム42の切り欠き47に沿っておおよそ-X方向に延びている。すなわち、切り欠き47は、フレキシャ57を避けるように、アーム42に形成される。なお、切り欠き47は、この例に限られない。
【0076】
第4の部分84は、第2の部分82からアクチュエータブロック41に向かって延びている。第4の部分84の端部は、アクチュエータブロック41に取り付けられたFPC37の一方の端部に接続される。FPC37の他方の端部は、例えば、底壁25に設けられたコネクタに接続される。
【0077】
図4に示すように、第4の部分84は、内延部86と、外延部87と、タブ88とを有する。外延部87は、第4の部分の一部の一例である。タブ88は、取付部の一例である。内延部86は、スリット46に収容されている。外延部87は、第2の部分82と外延部87との間に位置する。言い換えると、外延部87は、第2の部分82とスリット46との間に位置する。外延部87は、スリット46の外部に位置し、ベースプレート55よりも中心軸Ax1から離間している。
【0078】
図5に示すように、外延部87は、Z方向において、ベースプレート55よりも対応する磁気ディスク12から離間している。また、外延部87は、Z方向において、プレート61の外面61bよりも、スリット46に近い。
【0079】
図4に示すように、タブ88は、外延部87からおおよそ+X方向に延びている。タブ88の一部は、アーム42の窪み48に収容される。タブ88は、窪み48の内部において、アーム42に例えばスポット溶接により取り付けられる。
【0080】
Z方向におけるタブ88の厚さは、Z方向における窪み48の深さよりも小さい。このため、タブ88は、プレート61から離間している。なお、タブ88は、プレート61に接触しても良いし、プレート61に取り付けられても良い。
【0081】
本実施形態において、プレート61の厚さは、例えば、約0.1mmである。ベースタブ71及びビーム72のそれぞれの厚さは、例えば、約0.03mmである。また、フレキシャ57の厚さは、例えば、約0.04mmである。なお、HGA36における各寸法は、この例に限られない。
【0082】
図3に示すように、ダンパ58は、ビーム72の内面56aに取り付けられる。ダンパ58は、例えば、ステンレス、アルミニウム、又は合成樹脂で作られた拘束板と、当該拘束板をビーム72に貼り付けるVEMとを有する。拘束板が変位することで、ロードビーム56の振動が緩和される。
【0083】
図1のPCB17は、例えば、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、多層基板又はビルドアップ基板等である。PCB17は、筐体11の外部に配置され、底壁25に取り付けられる。
【0084】
PCB17には、例えば、FPC37に接続される中継コネクタ、ホストコンピュータに接続されるインターフェース(I/F)コネクタ、及びHDD10の動作を制御するコントローラのような、種々の電子部品が搭載される。中継コネクタは、底壁25に設けられたコネクタを介して、FPC37に電気的に接続される。
【0085】
例えばPCB17のコントローラは、VCM15を駆動させ、HSA14を中心軸Ax2まわりに回転させる。これにより、コントローラは、磁気ヘッド51の位置を制御する。コントローラは、例えば、ジンバル部85に設けられたマイクロアクチュエータにより磁気ヘッド51の位置を調整しても良い。
【0086】
例えば、磁気ディスク12が振動することがある。この場合、磁気ディスク12の振幅は、磁気ディスク12の外縁12bで最も大きくなる。すなわち、磁気ディスク12の外縁12bは、HGA36に近づくように振動することがある。
【0087】
HGA36が図3及び図4に二点鎖線で示す磁気ディスク12の外縁12bの近傍に位置する場合、フレキシャ57の外延部87が磁気ディスク12の外縁12bに近接する。このとき、磁気ディスク12が振動すると、磁気ディスク12の外縁12bが外延部87に近づく。
【0088】
本実施形態では、フレキシャ57の第2の部分82が、プレート61の内面61aの上に配置される。すなわち、フレキシャ57の第2の部分82及び第4の部分84は、プレート61よりも磁気ディスク12から離間している。このため、振動する磁気ディスク12の外縁12bは、フレキシャ57に接触しにくい。
【0089】
さらに、ロードビーム56のベースタブ71が、プレート61の内面61aの上に配置される。すなわち、ベースタブ71は、プレート61よりも磁気ディスク12から離間している。このため、振動する磁気ディスク12は、ベースタブ71に接触しにくい。
【0090】
ベースプレート55は、例えば、打ち抜き加工により作られる。図5に示すように、打ち抜き加工により、プレート61にバリBuが発生することがある。ベースプレート55は、プレート61の外面61bにバリBuが発生するように加工される。このため、ベースプレート55は、内面61aの上に配置されたフレキシャ57をバリBuが損傷してしまうことを抑制できる。
【0091】
ロードビーム56がベースプレート55に取り付けられる前に、フレキシャ57がロードビーム56に取り付けられる。このため、フレキシャ57は、容易に切り欠き75を通されることができる。
【0092】
以上説明された第1の実施形態に係るHDD10において、ベースプレート55は、磁気ヘッド51が磁気ディスク12の上に位置するときに当該磁気ディスク12に向くよう構成された外面61bと、当該外面61bの反対側に位置するとともにアーム42に向く内面61aと、を有する。内面61aの上に、アーム42と異なる部品が配置される。これにより、HDD10は、当該部品が外面61bの上に配置される場合に比べ、当該部品と磁気ディスク12との間の距離を拡大することができる。従って、HDD10は、当該部品と磁気ディスク12との干渉を抑制しつつ、磁気ディスク12の数を増やすことができる。
【0093】
内面61aの上に配置された部品は、ロードビーム56及びフレキシャ57のうち少なくとも一方を有する。これにより、HDD10は、サスペンション52と磁気ディスク12との間の距離を拡大することができ、ひいてはサスペンション52と磁気ディスク12との干渉を抑制できる。
【0094】
内面61aの上に配置された部品は、フレキシャ57を有する。一般的に、フレキシャ57の一部(第4の部分84)は、ベースプレート55よりも磁気ディスク12の中心軸Ax1から離間している。このため、磁気ディスク12が振動したとき、フレキシャ57はベースプレート55よりも磁気ディスク12の外縁12bに干渉しやすい。しかし、本実施形態において、フレキシャ57の少なくとも一部がベースプレート55の内面61aの上に配置される。これにより、HDD10は、フレキシャ57と磁気ディスク12との間の距離を拡大することができ、ひいてはフレキシャ57と磁気ディスク12との干渉を抑制できる。
【0095】
ロードビーム56は、磁気ヘッド51が磁気ディスク12の上に位置するときに当該磁気ディスク12に向くよう構成された外面56bと、当該外面56bの反対側に位置する内面56aとを有する。ロードビーム56に、外面56b及び内面56aに開口する切り欠き75が設けられる。フレキシャ57は、外面56bに取り付けられるととともに磁気ヘッド51が実装された第1の部分81と、内面61aの上に配置された第2の部分82と、切り欠き75を通って第1の部分81と第2の部分82との間で延びる第3の部分83と、を有する。すなわち、フレキシャ57は、ロードビーム56の剛性を調整する切り欠き75を通って、内面61aの上に配置されることができる。従って、サスペンション52は、構造が複雑化することを抑制できる。
【0096】
アーム42は、内面61aに向く座面42bと、当該座面42bの反対側に位置する座面42aと、を有する。アーム42に、座面42bが向くZ方向において座面42bと座面42aとの間に位置するスリット46が設けられる。フレキシャ57に、第2の部分82から延びるとともにスリット46に収容される第4の部分84が設けられる。上述のように、フレキシャ57の第2の部分82は、内面61aの上に配置される。このため、第2の部分82が外面61bの上に配置される場合に比べ、第2の部分82とスリット46との間の距離が短くなる。従って、第2の部分82から延びる第4の部分84がスリット46に挿入されやすく、HDD10はサスペンション52の組み立てを容易にすることができる。さらに、HDD10は、第4の部分84のたるみを低減でき、ひいてはフレキシャ57のパッドとFPC37のパッドとの位置がずれてしまうことを抑制できる。
【0097】
第4の部分84の一部である外延部87は、第2の部分82とスリット46の間で当該スリット46の外部に位置し、ベースプレート55よりも中心軸Ax1から離間して、座面42bが向くZ方向においてベースプレート55よりも磁気ディスク12から離間している。これにより、外延部87は、振幅が大きい磁気ディスク12の外縁12bに近いものの、磁気ディスク12に干渉することを抑制できる。
【0098】
アーム42に、座面42bに開口する窪み48が設けられる。フレキシャ57は、当該窪み48に収容されるとともにアーム42に取り付けられたタブ88を有する。これにより、HDD10は、第2の部分82が内面61aの上に配置されたとしても、フレキシャ57の一部がベースプレート55の内面61aとアーム42の座面42bとの間に介在して隙間を生じることを抑制できる。また、一般的に、ベースプレート55はアーム42よりも薄い。このため、窪み48は、ベースプレート55よりも容易にアーム42に設けられる。
【0099】
内面61aの上に配置される部品は、ロードビーム56を有する。すなわち、ロードビーム56とフレキシャ57とがともに、内面61aの上に配置される。これにより、HDD10は、サスペンション52と磁気ディスク12との間の距離を拡大することができ、ひいてはサスペンション52と磁気ディスク12との干渉を抑制できる。
【0100】
磁気ディスク12の数は、11枚以上である。一般的に、磁気ディスク12の枚数が多いほど、サスペンション52と磁気ディスク12との間の距離は狭くなる。しかし、本実施形態のHDD10は、多数の磁気ディスク12を有しても、上述のように内面61aの上に配置される部品と磁気ディスク12との干渉を抑制できる。
【0101】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図6乃至図8を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0102】
図6は、第2の実施形態に係るHGA36及びアーム42を示す例示的な平面図である。図7は、第2の実施形態のHGA36及びアーム42を図6の反対側から示す例示的な平面図である。図8は、第2の実施形態の磁気ディスク12、HGA36、及びアーム42を示す例示的な側面図である。
【0103】
図7に示すように、第2の実施形態のベースプレート55は、プレート61の代わりに、プレート210を有する。プレート210は、以下に説明される点を除き、プレート61に実質的に等しい。
【0104】
プレート210は、後部211と、前部212と、中間部213とを有する。後部211、前部212、及び中間部213のそれぞれは、プレート210の一部であり、内面61a及び外面61bを部分的に有する。
【0105】
後部211は、アーム42に取り付けられる。すなわち、後部211の内面61aからボス62が突出している。後部211の内面61aとアーム42の座面42bとは、互いに向かい合う。
【0106】
前部212は、後部211から+Y方向に離間している。中間部213は、+Y方向における後部211の端と、-Y方向における前部212の端とを接続する。X方向において、中間部213の幅は、後部211の幅より短く、且つ前部212の幅よりも短い。中間部213は、X方向における後部211の略中央と、X方向における前部212の略中央とを接続する。このため、前部212と中間部213とは、略T字状に形成される。
【0107】
別の表現によれば、プレート210に、二つの切り欠き215が設けられる。二つの切り欠き215は、プレート210の内面61a及び外面61bに開口するように、プレート210を略Z方向に貫通する。一方の切り欠き215は、+X方向におけるプレート210の端に開口する。他方の切り欠き215は、-X方向におけるプレート210の端に開口する。
【0108】
X方向において、二つの切り欠き215の間に、中間部213が設けられる。二つの切り欠き215は、後部211と前部212との間を隔てる。二つの切り欠き215が設けられることで、プレート210に略T字状の前部212及び中間部213が形成される。
【0109】
図6に示すように、第2の実施形態のロードビーム56は、ベースタブ71の代わりに、ベースタブ220を有する。ベースタブ220は、以下に説明される点を除き、ベースタブ71に実質的に等しい。
【0110】
ベースタブ220は、後部221と、前部222と、中間部223とを有する。後部221、前部222、及び中間部223のそれぞれは、ベースタブ220の一部であり、内面56a及び外面56bを部分的に有する。
【0111】
前部222は、ビーム72に接続される。後部221は、前部222から-Y方向に離間している。中間部223は、+Y方向における後部221の端と、-Y方向における前部222の端とを接続する。
【0112】
X方向において、中間部223の幅は、後部221の幅より短く、且つ前部222の幅よりも短い。中間部223は、X方向における後部221の略中央と、X方向における前部222の略中央とを接続する。このため、後部221と中間部223とは、略T字状に形成される。
【0113】
別の表現によれば、ベースタブ220に、二つの切り欠き225が設けられる。二つの切り欠き225は、ベースタブ220の内面56a及び外面56bに開口するように、ベースタブ220を略Z方向に貫通する。一方の切り欠き225は、+X方向におけるベースタブ220の端に開口する。他方の切り欠き225は、-X方向におけるベースタブ220の端に開口する。
【0114】
二つの切り欠き225のそれぞれは、対応するプレート210の切り欠き215に連通する。Y方向において、プレート210の切り欠き215の長さは、ベースタブ220の切り欠き225の長さよりも長い。
【0115】
X方向において、二つの切り欠き225の間に、中間部223が設けられる。二つの切り欠き225は、後部221と前部222との間を隔てる。二つの切り欠き225が設けられることで、ベースタブ220に略T字状の後部221及び中間部223が形成される。
【0116】
第2の実施形態のベースタブ220に、切り欠き75の代わりに孔226が設けられる。孔226は、前部222の内面56a及び外面56bに開口するように、前部222を略Z方向に貫通する。
【0117】
孔226の少なくとも一部は、+Y方向におけるプレート210の端から、+Y方向に離間している。孔226は、ベースタブ220の剛性を低下させ、ロードビーム56の剛性を調整する。
【0118】
第2の実施形態のHGA36は、二つの圧電素子230をさらに有する。圧電素子230は、アクチュエータとも称され得る。圧電素子230は、例えば、バルク型のピエゾ素子である。なお、圧電素子230は、バルク積層型又は薄膜型のピエゾ素子であっても良い。
【0119】
図8に示すように、二つの圧電素子230のそれぞれは、プレート210の二つの切り欠き215のうち対応する一つに収容される。+Y方向における圧電素子230の端部は、例えば接着剤により、ベースタブ220の前部222に取り付けられる。-Y方向における圧電素子230の端部は、例えば接着剤により、ベースタブ220の後部221に取り付けられる。このように、圧電素子230は、ロードビーム56に取り付けられる。
【0120】
圧電素子230は、ベースプレート55に取り付けられても良い。例えば、+Y方向における圧電素子230の端部がプレート210の前部212に取り付けられ、-Y方向における圧電素子230の端部がプレート210の後部211に取り付けられても良い。
【0121】
圧電素子230は、例えば、直方体状に形成される。圧電素子230は、内面230a及び外面230bを有する。内面230aは、第8の面の一例である。外面230bは、第7の面の一例である。
【0122】
内面230aは、略+Z方向に向く。圧電素子230の内面230aとベースタブ220の外面56bとは、互いに向かい合う。内面230aに、圧電素子230の電極が設けられる。外面230bは、内面230aの反対側に位置する。磁気ヘッド51が磁気ディスク12の上に位置するとき、外面230bは当該磁気ディスク12に向く。
【0123】
第2の実施形態のHGA36は、フレキシャ57の代わりに、フレキシャ240を有する。フレキシャ240は、以下に説明される点を除き、フレキシャ57に実質的に等しい。図6に示すように、X方向において、フレキシャ240の第2の部分82の一部は、二つの圧電素子230の間に位置する。
【0124】
フレキシャ240は、二つの接続タブ241を有する。二つの接続タブ241は、第2の部分82から略X方向に延びている。二つの接続タブ241のそれぞれは、対応する圧電素子230の内面230aに、例えば導電性の接着剤又は半田により接続される。これにより、フレキシャ240は、圧電素子230に電気的に接続される。接続タブ241は、圧電素子230の内面230aの上に配置される。なお、フレキシャ240がプレート61の外面61bの上に配置される場合、接続タブ241は、圧電素子230の外面230bに接続されても良い。
【0125】
例えば、PCB17のコントローラは、FPC37及びフレキシャ240を介して、圧電素子230に電圧を印加する。二つの圧電素子230は、印加された電圧に応じ、略Y方向に個別に伸縮する。
【0126】
二つの圧電素子230が個別に伸縮することで、圧電素子230がプレート210及びベースタブ220の前部212,222を押し、又は引く。これにより、圧電素子230は、プレート210及びベースタブ220の中間部213,223を曲げ、磁気ヘッド51の位置を略周方向に調整する。
【0127】
図8に示すように、圧電素子230の少なくとも一部は、プレート210の外面61bよりも、対応する磁気ディスク12から離間している。さらに、フレキシャ240の第2の部分82は、ベースタブ220の内面56aの上に配置される。
【0128】
以上説明された第2の実施形態のHDD10において、圧電素子230は、ベースプレート55及びロードビーム56のうち少なくとも一方に取り付けられ、ベースプレート55を曲げるように伸縮するよう構成される。圧電素子230の少なくとも一部は、外面61bよりも磁気ディスク12から離間している。これにより、HDD10は、圧電素子230が外面61bに取り付けられる場合に比べ、圧電素子230と磁気ディスク12との間の距離を拡大することができ、ひいては圧電素子230と磁気ディスク12との干渉を抑制できる。
【0129】
圧電素子230は、磁気ヘッド51が磁気ディスク12の上に位置するときに当該磁気ディスク12に向くよう構成された外面230bと、当該外面230bの反対側に位置するとともにフレキシャ240に接続された内面230aとを有する。すなわち、フレキシャ240の一部(接続タブ241)は、圧電素子230よりも磁気ディスク12から離間している。これにより、HDD10は、フレキシャ240と磁気ディスク12との間の距離を拡大することができる。
【0130】
以上の説明において、「抑制する」は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。また、以上の説明において、「制限する」は、例えば、移動若しくは回転を防ぐこと、又は移動若しくは回転を所定の範囲内で許容するとともに当該所定の範囲を超えた移動若しくは回転を防ぐこと、として定義される。
【0131】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
10…ハードディスクドライブ(HDD)、12…磁気ディスク、35…キャリッジ、42…アーム、42a,42b…座面、46…スリット、48…窪み、51…磁気ヘッド、52…サスペンション、55…ベースプレート、56…ロードビーム、56a…内面、56b…外面、57…フレキシャ、61a…内面、61b…外面、75…切り欠き、81…第1の部分、82…第2の部分、83…第3の部分、84…第4の部分、87…外延部、88…タブ、230…圧電素子、230a…内面、230b…外面、240…フレキシャ、Ax1,Ax2…中心軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8