(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130512
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】プリーツスクリーン及びプリーツスクリーン用スクリーンの製造方法
(51)【国際特許分類】
E06B 9/262 20060101AFI20240920BHJP
E06B 9/386 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E06B9/262
E06B9/386
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040278
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043DA05
(57)【要約】
【課題】スクリーンの硬直を緩和することで畳み込み、及び/又は、展開が円滑となるプリーツスクリーンを提供する。
【解決手段】プリーツスクリーンは、所定面に設置可能なヘッドボックスと、複数のプリーツを有し、前記ヘッドボックスから垂下する昇降コードによって昇降可能に支持されたスクリーンとを具備する。前記スクリーンは、背面側の各プリーツの頂点部に形成され前記昇降コードが挿通される複数の突出部と、隣接する前記突出部間において遮蔽面を形成する遮蔽部と、を有する。前記突出部は、前記各プリーツの頂点部から所定長分の山部の重なり箇所同士が溶着されて当該プリーツの長手方向に形成された溶着部と、前記突出部と前記遮蔽部との間に前記溶着部に沿って形成された折り目部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定面に設置可能なヘッドボックスと、
複数のプリーツを有し、前記ヘッドボックスから垂下する昇降コードによって昇降可能に支持されたスクリーンと
を具備し、
前記スクリーンは、背面側の各プリーツの頂点部に形成され前記昇降コードが挿通される複数の突出部と、隣接する前記突出部間において遮蔽面を形成する遮蔽部と、を有し、
前記突出部は、前記各プリーツの頂点部から所定長分の山部の重なり箇所同士が溶着されて当該プリーツの長手方向に形成された溶着部と、前記突出部と前記遮蔽部との間に前記溶着部に沿って形成された折り目部と、を有する
プリーツスクリーン。
【請求項2】
請求項1に記載のプリーツスクリーンであって、
前記折り目部は、前記溶着部に対して前記遮蔽部側の位置に形成される
プリーツスクリーン。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプリーツスクリーンであって、
前記折り目部は、前記突出部の一方の面及び他方の面のうち一方の面のみに形成される
プリーツスクリーン。
【請求項4】
請求項1または2に記載のプリーツスクリーンであって、
前記折り目部は、前記突出部の一方の面及び他方の面のそれぞれに形成される
プリーツスクリーン。
【請求項5】
プリーツスクリーンに用いられるスクリーンの製造方法であって、
複数のプリーツを有するプリーツ生地の背面側の各プリーツの頂点部から所定長分の山部を重ねて溶着して溶着部を形成することで、当該溶着部を境に、複数の突出部と、隣接する前記突出部間において遮蔽面を形成する遮蔽部とを形成し、
前記プリーツ生地を、前記突出部が押圧具の平面と対峙するように広げ、
前記突出部が前記溶着部を境にして前記プリーツ生地の主面に沿って一方に傾倒するように、前記押圧具の平面を押し当て、
前記押圧具を前記プリーツ生地の幅方向に沿って移動させ前記突出部に折り癖を付けることで、前記突出部と前記遮蔽部との間に当該幅方向に渡って折り目部を形成する
プリーツスクリーン用スクリーンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリーツスクリーン及び当該プリーツスクリーンに用いられるスクリーンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプリーツスクリーンとして、下記特許文献1には、ジグザグ状に折り曲げ可能としたスクリーンを有するプリーツスクリーンであって、所定の単位溶着パターンで生地を一方向に連続して溶着することにより形成されたスクリーンを備え、単位溶着パターンは、所定の耐収縮性及び溶着強度を満たす形状を有するものが開示されている。
【0003】
これによれば、熱収縮性を有する生地であっても接合片の溶着部分が収縮しづらくなり、スクリーンに反りが発生してしまうことを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1のプリーツスクリーンにおいては、接合片の溶着部分を境にスクリーンがジグザグ状に折り曲げられるが、一般的にプリーツスクリーンを構成するプリーツ生地は、プリーツの直線性を維持するために樹脂加工が施されてやや硬くなるように仕上げられている。そのため、展開されたスクリーンは長時間展開(プリーツが広がった)状態で保持されると、接合片の溶着部分近傍が硬直しやすく、畳み込むために上昇操作を行うと、接合片の前方側に位置するプリーツにはそのまま広がった状態を保持する力が作用し、整列した状態で畳み込まれずに昇降不良を起こすことがあった。
【0006】
特に、スクリーンの前後方向の中心ではなく後方の接合片を昇降コードが挿通するタイプのプリーツスクリーンにおいては、昇降コードに対してスクリーンが前方寄りの位置で畳み込まれていくため、整列して畳み込まれない箇所が発生しやすかった。また上記硬直によって畳み込まれない箇所が背面側に押し出され、スクリーンのコード挿通孔端部が昇降コードに引っ掛かった状態となり、部分的にプリーツが広がった状態のまま上昇してしまうことがあった。
【0007】
また、畳み込まれた状態から展開させると、接合片の前方側に位置するプリーツが上記硬直によって均等に広がりにくいという課題もあった。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、スクリーンの硬直を緩和することで畳み込み、及び/又は、展開が円滑となるプリーツスクリーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るプリーツスクリーンは、所定面に設置可能なヘッドボックスと、複数のプリーツを有し、前記ヘッドボックスから垂下する昇降コードによって昇降可能に支持されたスクリーンとを具備する。前記スクリーンは、背面側の各プリーツの頂点部に形成され前記昇降コードが挿通される複数の突出部と、隣接する前記突出部間において遮蔽面を形成する遮蔽部と、を有する。前記突出部は、前記各プリーツの頂点部から所定長分の山部の重なり箇所同士が溶着されて当該プリーツの長手方向に形成された溶着部と、前記突出部と前記遮蔽部との間に前記溶着部に沿って形成された折り目部と、を有する。
【0010】
この構成によれば、突出部と遮蔽部との間に折り目部を形成することで、スクリーンの硬直が緩和されて折り目部を境に柔軟に屈曲可能となり、スクリーンを整列状態で円滑に畳み込むことができる。また、プリーツが広がりやくすなるため、スクリーンの展開量が大きくなり、開口部を閉塞するためのプリーツ生地の必要量を減らすことができる。また、ボトムレールの軽量化が図れ、操作荷重を軽減でき、製作可能寸法を拡大化できる。
【0011】
前記折り目部は、前記溶着部に対して前記遮蔽部側の位置に形成されてもよい。
【0012】
この構成によれば、折り目部が溶着部に沿った遮蔽部側の位置に形成されることで、スクリーンが展開して各プリーツが開いたときに、プリーツが広がる方向の力が直接的に溶着部にかかりにくくなり、溶着部の剥離を抑制できる。また、仮に溶着部にプリーツの長手方向に対して曲がっている箇所があったとしても、溶着部よりも遮蔽部側に折り目を付けることでプリーツの直線性を確保できる。
【0013】
前記折り目部は、前記突出部の一方の面及び他方の面のうち一方の面のみに形成されてもよい。
【0014】
この構成によれば、折り目部を突出部の一方の面に形成することで、突出部と遮蔽部との間の柔軟性を確保しながら、スクリーンの加工工程を少なくすることができる。
【0015】
前記折り目部は、前記突出部の一方の面及び他方の面のそれぞれに形成されてもよい。
【0016】
この構成によれば、折り目部を突出部の両方の面に形成することで、樹脂加工によってより硬直しやすくなるプリーツ生地であっても、突出部と遮蔽部との間の柔軟性を確保することができる。
【0017】
本発明の他の形態に係る、プリーツスクリーンに用いられるスクリーンの製造方法は、
複数のプリーツを有するプリーツ生地の背面側の各プリーツの頂点部から所定長分の山部を重ねて溶着して溶着部を形成することで、当該溶着部を境に、複数の突出部と、隣接する前記突出部間において遮蔽面を形成する遮蔽部とを形成し、
前記プリーツ生地を、前記突出部が押圧具の平面と対峙するように広げ、
前記突出部が前記溶着部を境にして前記プリーツ生地の主面に沿って一方に傾倒するように、前記押圧具の平面を押し当て、
前記押圧具を前記プリーツ生地の幅方向に沿って移動させ前記突出部に折り癖を付けることで、前記突出部と前記遮蔽部との間に当該幅方向に渡って折り目部を形成することを含む。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、スクリーンの硬直を緩和することで畳み込み、及び/又は、展開が円滑となるプリーツスクリーンを提供することができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るプリーツスクリーンの展開(下降)時の正面図である。
【
図2】
図1のプリーツスクリーンの畳み込み(上昇)時の正面図である。
【
図4】上記プリーツスクリーンのスクリーンを従来例と比較して示した右側面断面図である。
【
図5】上記プリーツスクリーンのスクリーンを従来例と比較して示した斜視図である。
【
図6】上記プリーツスクリーンのスクリーンを従来例と比較して示した平面図である。
【
図7】上記プリーツスクリーンの展開及び畳み込み時のスクリーンの動作を示した側面図である。
【
図8】上記プリーツスクリーンのスクリーンの折り目加工手順を示した図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係るプリーツスクリーンの右側面断面図である。
【
図10】従来のプリーツスクリーンの課題を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0021】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
【0022】
[プリーツスクリーンの構成]
図1は、本実施形態に係るプリーツスクリーンの展開(下降)時の正面図であり、
図2は
図1のプリーツスクリーンの畳み込み(上昇)時の正面図である。また
図3は、上記プリーツスクリーンの右側面図であり、
図4、
図5及び
図6は、それぞれ、上記プリーツスクリーンのスクリーンの一部を従来例と比較して示した右側面断面図、斜視図及び平面図である。
【0023】
これらの図に示すように、本実施形態に係るプリーツスクリーン100は、ヘッドボックス1と、当該ヘッドボックス1によって昇降可能に支持されるスクリーン2と、当該スクリーン2の下端に連結されるボトムレール3とを有する。
【0024】
スクリーン2は、同
図Y方向に蛇腹状に折り加工された複数のプリーツが畳み込み及び展開可能に形成されたプリーツスクリーンである。当該スクリーン2の生地は、例えば光を透過しない遮光性が高い素材又は光を透過可能なシースルー素材等で形成されている。当該スクリーン2の畳み込まれたときの前後幅(Z方向の長さ)は例えば30~35mmである。
【0025】
図3乃至
図6に示すように、スクリーン2は、前面側の遮蔽部21と背面側の突出部22とを有する。当該突出部22は、例えば、各プリーツの頂点部(折曲げ部)2aから所定長(例えば5~10mm)分の山部を重ねて溶着等により接合することで形成される。遮蔽部21は、隣接する突出部22間において遮蔽面を形成する。
【0026】
図3及び
図4に示すように、当該突出部22には挿通孔25が形成されている。昇降コード4は、上記ヘッドボックス1から垂下され、当該挿通孔25を挿通している。昇降コード4の下端は、ボトムレール3に連結されている。
【0027】
このように、スクリーン2を挿通する昇降コード4及び挿通孔25を背面側の突出部22に配置しスクリーン2の前面側に露出させないことで、意匠性を向上させ挿通孔25からの光漏れを防止することが可能となる。
【0028】
また
図3に示すように、スクリーン2(突出部22)の背面側には、上記スクリーン2の各プリーツを一定間隔で保持するためのピッチ保持コード5が設けられている。ピッチ保持コード5の上端はヘッドボックス1に連結され、その下端はボトムレール3に連結されている。
【0029】
上記スクリーン2は、上記昇降コード4の昇降によりボトムレール3が昇降することで展開及び畳み込み可能とされている。
【0030】
図1に示すように、ヘッドボックス1は、横長直方体形状を有し、ブラケット8を介して建物内部の窓枠の天井面や壁面等の所定面にネジ等により固定される。
図1及び
図2に示すように、ヘッドボックス1には、巻取ドラム9が設けられている。
【0031】
巻取ドラム9は、ヘッドボックス1の内部に配置され、駆動軸10が貫通することによって回転可能に支持される。巻取ドラム9には、上記昇降コード4の一端が巻取り及び巻解き可能に連結されている。
【0032】
ストッパ12は、駆動軸10の巻解き方向の回転を許容する状態と規制する状態とに切替可能である。
【0033】
ブレーキ11は、昇降コード4の巻解速度(巻取ドラム9の回転速度)を減速することで、スクリーン2の下降時におけるボトムレール3による衝撃力を緩和する。
【0034】
操作ユニット13は、無端状の操作コード14(例えばボールチェーン)、当該操作コード14が巻き掛けられるプーリ(図示せず)、プーリと一体回転するように連結される操作軸等で構成されており、ユーザの操作コード14に対する昇降操作に応じて上記スクリーン2を昇降させる。
【0035】
[突出部の詳細]
次に、本実施形態における上記突出部22の詳細について説明する。
図4(A)、
図5(A)、
図6(A)は、本実施形態に係るスクリーン2を、
図4(B)、
図5(B)、
図6(B)は、従来の突出部を有するスクリーンを示している。
【0036】
図4(A)乃至
図6(A)に示すように、突出部22は、溶着部23と折り目部24とを有する。
【0037】
溶着部23は、上述の通り、各プリーツの頂点部2aから所定長分の山部の重なり箇所同士が溶着されて、当該プリーツの長手方向(X方向)に形成されたものである。より具体的には、プリーツが形成された生地を加工機(超音波溶着機)内に通し、超音波ホーンとコマとの間で当該生地の背面側の上記所定長分の山部(突出部22)を挟み込み、超音波ホーンとコマを生地の幅方向に沿って移動させることで溶着部23が形成される。
【0038】
折り目部24は、突出部22と遮蔽部21との間に、上記溶着部23に沿って長手方向(X方向)に折り癖を付けることで形成したものである。
【0039】
本実施形態でも従来例でも、スクリーン2の前面側のプリーツの山部には、プリーツの加工時に折り目が形成されるが、背面側のプリーツの谷部、すなわち、突出部22から延在する2つの遮蔽部21の間には、折り目は形成されない(背面側にも折曲げ部(頂点部)2aはあるが上記溶着により固定されてしまうため)。
【0040】
一般的にプリーツスクリーンを構成するプリーツ生地は、プリーツの直線性を維持するために樹脂加工が施されてやや硬くなるように仕上げられている。そのため、スクリーンが長時間畳み込まれた状態で保持されると、突出部の溶着部分近傍が硬直しやすくなる。そうすると、
図4(B)乃至
図6(B)に示すように、従来例では、溶着部を境にスクリーンが展開するが、スクリーンのうち突出部の前方側に位置するプリーツが上記硬直によって均等に広がりにくくなる。
【0041】
一方、本実施形態では上記折り目部24を形成することで、当該折り目部24で遮蔽部21と突出部22の間を屈曲させやすくし、スクリーン2を自重で広がらせることができる。
【0042】
当該折り目部24は、溶着部23に対して遮蔽部21側の位置に形成されている。これにより、スクリーン2が展開して各プリーツが開くときに、折り目部24がその起点となるため、プリーツが広がる方向の力が直接的に溶着部23にかかりにくくなり、溶着部23の剥離を抑制できる。
【0043】
また、仮に溶着部23にプリーツの長手方向に対して曲がっている箇所があったとしても、溶着部23よりも遮蔽部21側に折り目を付けることでプリーツの直線性を確保できる。
【0044】
また本実施形態では、折り目部24は、突出部22の上面及び下面のうち上面のみに形成される。これとは逆に、折り目部24は、突出部22の上面及び下面のうち下面のみに形成されてもよい。これにより、突出部22の上面と下面の両面に折り目部24を形成する場合と比較して、突出部22と遮蔽部21との間の柔軟性を確保しながら、スクリーン2の加工工程を少なくすることができる。
【0045】
[プリーツスクリーンの動作]
次に、以上のように構成されたプリーツスクリーン100の動作について説明する。
【0046】
図7は、上記プリーツスクリーン100の展開時(同図(A))及び畳み込み途中(同図(B))のスクリーン2の動作を示した側面図である。また
図10は、従来のプリーツスクリーンの課題を説明するための斜視図である。
【0047】
まず、スクリーン2が畳み込まれた状態から展開(下降)させる場合、ユーザが操作コード14を操作してストッパ12を解除する。これによりボトムレール3及びスクリーン2が自重により下降し、スクリーン2が展開する(
図7(A))。
【0048】
この展開時においては、上述のように、折り目部24によって遮蔽部21と突出部22の間が屈曲しやすくなるため、自重でスクリーン2を広がらせることができる。
【0049】
次に、
図7(A)のようにスクリーン2が展開した状態から畳み込む(上昇させる)場合、ユーザがヘッドボックス1から導出されている操作コード14を操作して昇降コード4の巻取方向に回転させると、駆動軸10と巻取ドラム9が一体に回転して巻取ドラム9が昇降コード4を巻取り、ボトムレール3が上昇してスクリーン2が最下端のプリーツから上端のプリーツに向かって順次畳み込まれる。この後、操作コード14の操作を終了すると、駆動軸10の回転がストッパ12によって拘束され、スクリーン2の畳み込まれた状態が維持される(
図7(B))。
【0050】
上述の通り、一般的にプリーツ生地は樹脂加工が施されてやや硬くなるように仕上げられているため、
図10(A)のように、展開されたスクリーンが長時間展開(プリーツが広がった)状態で保持されると、突出部の溶着部分近傍が硬直しやすく、畳み込むために上昇操作を行うと、突出部の前方側に位置するプリーツにはそのまま広がった状態を保持する力が作用し、整列した状態で畳み込まれずに昇降不良を起こすことがあった。
【0051】
特に、スクリーンの前後方向の中心ではなく後方の突出部を昇降コードが挿通するタイプのプリーツスクリーンにおいては、昇降コードに対してスクリーンが前方寄りの位置で畳み込まれていくため、整列して畳み込まれない箇所が発生しやすかった(
図10(B)の下部参照)。
【0052】
また
図10(B)の上部に示すように、上記硬直によって畳み込まれない箇所が背面側に押し出され、スクリーンのコード挿通孔端部が昇降コードに引っ掛かった状態となり、部分的にプリーツが広がった状態のまま上昇してしまうこともあった。
【0053】
一方、本実施形態では、突出部22と遮蔽部21との間に折り目部24を形成することで、スクリーン2の硬直が緩和されて折り目部24を境に柔軟に屈曲可能となり、
図7(B)に示すように、スクリーン2を整列状態で円滑に畳み込むことができる。
【0054】
[スクリーンの製造方法]
次に、上記折り目部24を有するスクリーン2を製造する方法について説明する。
図8は、スクリーン2の折り目加工手順を示した図である。当該手順の前処理として、プリーツ生地の背面側の各プリーツの頂点部2aから所定長分の山部を重ねて上記溶着部23を形成することで、当該溶着部23を境に、複数の突出部22と遮蔽部21とを形成する。
【0055】
続いて、同図(1)に示すように、上記プリーツ生地を、突出部22が押圧具Pの平面P1と対峙するように作業台B上に広げる。
【0056】
続いて、同図(2)に示すように、突出部22が溶着部23を境にしてスクリーン面(主面)に沿って一方(上側)に傾倒するように、押圧具Pの平面P1を突出部22に押し当てる。
【0057】
そして同図(3)に示すように、押圧具Pをプリーツ生地の幅方向(同図矢印方向)に沿って移動させ突出部22に折り癖を付けることで、突出部22と遮蔽部21との間に当該幅方向に渡って折り目部24を形成する。
【0058】
以上により、同図(4)に示すように、押圧具Pをプリーツ生地から離すと折り目部24の加工処理が完了する。
【0059】
なお突出部22には昇降コード4を挿通させるための挿通孔25が形成されるが、当該挿通孔25は上記折り目部24の加工前に形成されてもよいし、折り目部24の加工後に形成されてもよい。
【0060】
[まとめ]
以上説明したように、本実施形態によれば、突出部22と遮蔽部21との間に折り目部24を形成することで、スクリーン2の硬直が緩和されて折り目部24を境に柔軟に屈曲可能となり、スクリーン2を整列状態で円滑に畳み込むことができる。また、折り目部24によりプリーツが広がりやくすなるため、スクリーン2の展開量が大きくなり、開口部を閉塞するためのプリーツ生地の必要量を減らすことができる。また、プリーツに展開のための荷重を与えるボトムレール3の軽量化が図れ、操作荷重を軽減でき、製作可能寸法を拡大化できる。
【0061】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態において、上記第1実施形態と同様の機能を有する箇所には同一の符号を付す。
【0062】
図9は、本発明の第2実施形態に係るプリーツスクリーン100のスクリーン2の右側面断面図である。
【0063】
上記第1実施形態では、折り目部24は突出部22の上面と下面のうち一方の面(上面)のみに形成された。これに対して本実施形態では、同図に示すように、折り目部24は、突出部22の上面と下面のそれぞれに形成されている。
【0064】
当該折り目部24は、上記
図8で示した突出部22の上面への折り目部24加工手順を、突出部22の下面にも同様に適用することで形成されるものである。
【0065】
この構成によれば、折り目部24を突出部22の上下両面に形成することで、樹脂加工によってより硬直しやすくなるプリーツ生地であっても、突出部22と遮蔽部21との間の柔軟性をより確保し、スクリーン2をより屈曲しやすくして円滑に展開/畳み込みを行うことができる。
【0066】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0067】
上述の実施形態では、折り目部24は溶着部23に対して遮蔽部21側の位置に形成されるようにしたが、溶着部23上に形成してもよい。
【0068】
上述の実施形態では、背面側のプリーツの谷部、すなわち、突出部22から延在する2つの遮蔽部21の間には、折り目部は形成されなかったが、当該突出部22から延在する2つの遮蔽部21の間にも折り目部24が形成されてもよい。
【0069】
上述の実施形態では、単一のスクリーン2がヘッドボックス1とボトムレール3との間で支持されたプリーツスクリーンが示されたが、ヘッドボックス1とボトムレール3との間に中間バーを介して第1スクリーンと第2スクリーンが設けられたブラインドにおいて、第1スクリーン及び第2スクリーンの少なくとも一方に上記折り目部24を有するスクリーンが適用されてもよい。
【0070】
上述の実施形態では、プリーツ生地に突出部22(溶着部23)を形成した後に
図8で示した折り目部24の加工が行われたが、突出部22を形成(溶着)するときに同時に折り目部24を加工してもよい。具体的には、上記溶着部23形成のための加工機において、溶着工程直後に、突出部22を押圧しながら生地の幅方向に移動させるプレス機を導入して、溶着部23形成工程と折り目部24加工工程とを同時に行ってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1………ヘッドボックス
2………スクリーン
2a……頂点部(折曲げ部)
3………ボトムレール
4………昇降コード
5………ピッチ保持コード
9………巻取ドラム
21……遮蔽部
22……突出部
23……溶着部
24……折り目部
25……挿通孔
100…プリーツスクリーン
P………押圧具
B………作業台