(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130519
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】サッシ
(51)【国際特許分類】
E06B 1/18 20060101AFI20240920BHJP
E06B 1/60 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E06B1/18 B
E06B1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040300
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 晃尚
(72)【発明者】
【氏名】石原 典継
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 夏依
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011KA03
2E011KC01
2E011KC07
2E011KD14
2E011KF01
2E011KF02
2E011KG06
(57)【要約】
【課題】サッシは、様々な納まりがあるため、施工性の向上が求められていた。
【解決手段】本発明は、上下左右の枠を組んだ枠体を備え、枠体は、外周側にアンカー取付部を形成する室外側壁と室内側壁があり、枠体の少なくとも上枠と左右のたて枠は、室外側壁の室外側に見付面壁があり、見付面壁は、外壁の室内側面とのシール受けとなることを特徴とするサッシとすることで課題を解決した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下左右の枠を組んだ枠体を備え、
枠体は、外周側にアンカー取付部を形成する室外側壁と室内側壁があり、
枠体の少なくとも上枠と左右のたて枠は、室外側壁の室外側に見付面壁があり、
見付面壁は、外壁の室内側面とのシール受けとなることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
上下左右の枠を組んだ枠体とアタッチメントを備え、
枠体は、外周側にアンカー取付部を形成する室外側壁と室内側壁があり、
枠体の少なくとも上枠と左右のたて枠は、室外側壁の室外側に見付面壁があり、
アタッチメントは、外周側壁を有し、見付面壁と室外側壁に架設して取り付けられ、
外周側壁は、外壁の内周側面とのシール受けとなることを特徴とするサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
「RC造」は、鉄筋コンクリート構造を省略した建築用語である。サッシは、RC造の建物の躯体開口部に取り付けられるが、その取り付け方は、いつくかのタイプがある。
その一つが「同面枠納まり」、「面一納まり」、「F納まり」などと呼ばれている取付方である。同面枠納まりは、サッシ枠の室外側が、コンクリート外壁とほぼ同面になるよう躯体開口部に納められるサッシの取り付け方である。
その一つが「RC枠納まり」、「RC納まり」、「抱き納まり」などと呼ばれている取付方である。RC枠納まりは、コンクリート外壁のサッシの納まりで、開口部の壁厚の室内側を欠き込み、その部分にサッシを納めて、外部コンクリートがサッシ枠を囲むような納まりをいう。サッシは、同面枠納まりより、躯体開口部の室内側に控えて配設される。
非特許文献は、ビル用サッシについてのウエブページであり、枠納まりとして「RC、同面」などが示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】https://alumi.st-grp.co.jp/news/2021news/om20211126.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サッシは、様々な納まりがあるため、施工性の向上が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、上下左右の枠を組んだ枠体を備え、枠体は、外周側にアンカー取付部を形成する室外側壁と室内側壁があり、枠体の少なくとも上枠と左右のたて枠は、室外側壁の室外側に見付面壁があり、見付面壁は、外壁の室内側面とのシール受けとなることを特徴とするサッシとするものであり、RC枠納まりにおける前述の課題の解決を図った。
【0006】
本発明の一態様は、上下左右の枠を組んだ枠体とアタッチメントを備え、枠体は、外周側にアンカー取付部を形成する室外側壁と室内側壁があり、枠体の少なくとも上枠と左右のたて枠は、室外側壁の室外側に見付面壁があり、アタッチメントは、外周側壁を有し、見付面壁と室外側壁に架設して取り付けられ、外周側壁は、外壁の内周側面とのシール受けとなることを特徴とするサッシとするものであり、同面枠納まりにおける前述の課題の解決を図った。
【発明の効果】
【0007】
本発明のサッシは、施工性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1はRC枠納まりにおけるサッシの外観図である。
【
図2】
図2はRC枠納まりの
図1のA-A間のサッシの縦断面図である。
【
図3】
図3は躯体に取り付けたRC枠納まりサッシの縦断面の概念図である。
【
図4】
図4はRC枠納まりの
図1のB-B間のサッシの横断面図である。
【
図5】
図5は同面枠納まりにおけるサッシの外観図である。
【
図6】
図6(A)は同面枠納まりの
図5のC-C間のサッシの縦断面図であり、
図6(B)はアタッチメントの拡大図であり、
図6(C)は
図6(A)に付した枠A内の拡大図である。
【
図7】
図7は躯体に取り付けた同面枠納まりサッシの縦断面の概念図である。
【
図8】
図8(A)は同面枠納まりの
図5のD-D間のサッシの横断面図である。
図8(B)はアタッチメントの拡大図である。
【
図9】
図9は雨切りアタッチメントの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0010】
[実施例1](RC枠納まり)
実施例1は、RC枠納まりの例である。
図1はRC枠納まりにおけるサッシ1の外観図である。RC枠納まりのサッシ1は、枠体2と障子3とで構成されており、枠体2の内周側に障子3が取り付けられている(
図2参照)。
後述する同面枠納まりのサッシ1と比較するとRC枠納まりのサッシ1は、鉄筋コンクリート造り(RC造り)の建物開口部93から室内側に寄せて取り付けられており、下枠24を除き枠体2が室外側から見えないように納められている。
そして、枠体2の周囲は、外壁92で囲まれており、建物開口部93から障子3が見えている。建物開口部93の下方には、サッシ1の下枠24が見えており、下枠24から水切り245が室外に向かって延びている。
【0011】
図2はRC枠納まりの
図1のA-A間のサッシ1の縦断面図である。図面では示されていないが、枠体2は、上枠21と左右に一対あるたて枠22と下枠24(上下左右の枠)を組んだものである。枠組みされた枠体2の内周側には、障子3が嵌め込まれている。
【0012】
(上枠の構造)
上枠21は、外周側に、アンカー取付部62を形成する室内側壁11と室外側壁12を有している。アンカー6は、アンカー取付部62を介して、室内側壁11と室外側壁12の間に取付けられる。また、上枠21は、室外側壁12の室外側に、見付面壁13を有している。
図2に図示されているように、室外側壁12と見付面壁13は、対向して設けられており、この部分の断面形状は、上側が開口したコの字状の形状をしている。
見付面壁13の上端には、係合突起14が設けられている。係合突起14は、後述する同面枠納まりに使用するアタッチメント4を取り付けるために使われる。
【0013】
(下枠の構造)
障子3を挟んで、下枠24が設けられている。下枠24は、外周側にアンカー取付部62が形成された下枠室内側壁241と下枠室外側壁242を有している。アンカー6は、アンカー取付部62により下枠24に取り付けられている。
【0014】
(RC枠納まりの上枠)
図3は躯体9に取り付けたRC枠納まりのサッシ1縦断面の概念図である。
RC枠納まりは、同面枠納まりと比較してサッシ1を躯体開口の室内側に取り付ける態様である。
上枠21のアンカー6は、室内側壁11と室外側壁12に設けられたアンカー取付部62により上枠21の外周側に取付けられている。そして、アンカー6からアンカーボルト61が躯体9に打ち込まれ、躯体9と上枠21が一体化されている。
上枠21の室外側壁12のさらに室外側にある見付面壁13は、外壁室内側面922との間に外壁シール材71が取付けられ、躯体9の側に雨水が浸入しないようになっている。
外壁92の室内側が切り欠かれてできた空間に、上枠21が躯体9に寄せて取り付けられているため、
図1に示すように、上枠21は室外側から見えないように納められている。
【0015】
(RC枠納まりの下枠)
下枠24のアンカー6は、下枠室内側壁241と下枠室外側壁242に設けられたアンカー取付部62により下枠24の外周側に取り付けられている。そして、アンカー6からアンカーボルト61が躯体9に打ち込まれ、躯体9と下枠24が一体化されている。
下枠室外側壁242の室外側は、水切り245がネジ止めされている。下枠室外側壁242の中間位置から室外側に向けて下枠シール材74を受ける下枠シール受け片247が延びている。この下枠シール受け片247は、水切り245と対向し、下枠シール受け片247と水切り245の間の隙間が、下枠シール材74で封止される。
また、水切りシール材73が、水切り245の室外側端部と外壁92との間に取付けられ、下枠24から躯体9側に雨水が浸入しないようになっている。
下枠室外側壁242の下端には、
図2で示すように下枠係合突起246が設けられている。下枠係合突起246は、後述する同面枠納まりに使用する下枠アタッチメント8を取り付けるために使われる。
【0016】
(RC枠納まりのたて枠)
図4はRC枠納まりの
図1のB-B間のサッシ1の横断面図である。
図4は、右のたて枠22だけ躯体9や外壁92との関係を図示している。左のたて枠22は、右のたて枠22と同様の構造であり、同様の納まりである。
上枠21と同じく、右のたて枠22と左のたて枠22は、共に室内側壁11と室外側壁12を備えている。室内側壁11と室外側壁12は、アンカー取付部62を備えている。右のたて枠22と左のたて枠22の外周側にあるアンカー6は、それぞれアンカー取付部62に取り付けられている。
そして、アンカー6からアンカーボルト61が躯体9に打ち込まれ、躯体9とたて枠22が一体化されている。
室外側壁12のさらに室外側にある見付面壁13は、外壁室内側面922との間に外壁シール材71が取付けられ、躯体9の側に雨水が浸入しないようになっている。
【0017】
(上枠とたて枠の共通構造)
以上のように、上枠21、右のたて枠22及び左のたて枠22は、共通する構造、すなわち、同様の構造の室内側壁11、室外側壁12と見付面壁13を備えている。
室外側壁12と見付面壁13は、対向して設けられており、この部分の断面形状は、外周側に開口したコの字状の形状をしている。また、たて枠22は、室外側壁12と見付面壁13に形成されるコの字状の断面形状が存在するという点で上枠21と共通する構造を備える。
【0018】
(下枠と他の枠との違い)
下枠24は、水切り245が取り付けられているため、上枠21、右のたて枠22及び左のたて枠22と納まりが異なっている。もちろん下枠24は、他の枠(21・22)と同様の構造を採用することができる。
【0019】
[実施例2](同面枠納まり)
実施例2は、同面枠納まりの例である。実施例2の枠体2は、実施例1で使用された枠体2と同じである。枠体2は、上枠21と左右に一対あるたて枠22と下枠24(上下左右の枠)を組んだものである。アタッチメント4(
図6(B)・
図8(B))が枠体2に取付けられ、同面枠納まりに対応した枠体2(
図6(A)・
図8(A))になる。
一般的に、サッシ1は、同面枠納まりやRC枠納まりなど納まりの違いにより専用のサッシ1が作られてきた。
実施例1のRC枠納まりのサッシ1は、枠体2と障子3とで構成されていたが、実施例2の同面枠納まりのサッシ1は、枠体2と障子3とアタッチメント4で構成されている。枠体2と障子3は、両納まりのサッシ1で共通する部材となっている。
実施例2や実施例1のサッシ1は、納まりが異なっても同じ構造の枠体2が使われている。アタッチメント4や下枠アタッチメント8が枠体2に取り付けられ、同面枠納まりのサッシ1となる。サッシ1を施工する作業者は、納まりが異なっても同じ構造の枠体2を取り扱うため、施工しやすく、施工効率の向上が図れる。
また、実施例1及び実施例2のサッシ1は、納まりが違っても枠体2が共通しているため、製造コストの削減ができる。
【0020】
前述したとおり同面納まりで使われるサッシ1の枠体2は、RC枠納まりのそれと同じである。
したがって、RC枠納まりと共通する部材や事項の説明は、実施例1の説明に譲り、異なる点を中心に説明する。
【0021】
図5は同面枠納まりにおけるサッシ1の外観図である。同面枠納まりにより、サッシ1の室外側面が、外壁92とほぼ同面になるようサッシ1は収められる。
鉄筋コンクリート造り(RC造り)の建物開口部93は、周囲を外壁92で囲まれており、建物開口部93から障子3が見えている。障子3は、建物開口部93の内側に位置し、その全体が見えている。枠体2を構成する上枠21、左右のたて枠22及び下枠24は、障子3の外周側に見えている。アタッチメント4の外周側壁41の室外側端部が、枠体2の外周側に見えている。アタッチメント4(外周側壁41)と外壁92との間を塞ぐシール材50は、外周側壁41に取り付けられており、室外側から見えている。
【0022】
(上枠に取り付けられるアタッチメント)
図6(A)は同面枠納まりの
図5のC-C間のサッシ1の縦断面図であり、
図6(B)はアタッチメント4の拡大図である。
上枠21に取り付けられるアタッチメント4は、外周側壁41を有し、上枠21の見付面壁13と室外側壁12に架設して取り付けられる。
また、アタッチメント4の外周側壁41は、室外側壁12に向かって延びる固定片部44を備えている。アタッチメント4の固定片部44は、上枠21に取り付けたとき、室外側壁12と重合する位置に設けられている。アタッチメント4は、固定片部44と上枠21の室外側壁12が、ネジ89により締結されることで固定される。
アタッチメント4の外周側壁41にある係合部45は、見付面壁13の上端にある係合突起14と係合する部分である。
【0023】
図6(A)に図示されているように、気密材取付部43が外周側壁41の最も室外側にあり、上枠21の見付面壁13と対向するように設けられている。気密材52は、気密材取付部43に見付面壁13に向かうように取り付けられている。気密材52は、アタッチメント4を上枠21に取り付けた際に上枠21側に風雨が入らないように止水する役割を果たす。
【0024】
アタッチメント4の外周側壁41は、後述するバックアップ材51とシール材50を受けるシール受けの機能を果たす。外周側壁41の室内側は、外周側に曲がる曲折部42になっている。
【0025】
(下枠に取り付けられる下枠アタッチメント)
図6(C)は
図6(A)に付した枠A内の拡大図である。
図6(C)で図示される下枠下枠アタッチメント8は、ハッチングが付されている。
図6(C)は、下枠アタッチメント8と下枠24の取付構造の説明図となっている。下枠24の構造は、前述したように、上枠21やたて枠22のそれと異なっている。下枠24の構造の違いに伴い、下枠アタッチメント8の構造は、アタッチメント4と異なっている。下枠24は、下枠室外側壁242の下端に、下枠係合突起246を有している。下枠係合突起246は、同面枠納まりに使用する下枠アタッチメント8の取り付け部位になる。
下枠24の下枠係合突起246と、下枠アタッチメント8の係合部85(
図6(C)参照)は係合される。そして、係合された下枠アタッチメント8は、下枠24の下枠室外側壁242と共に、ネジ89で締結され下枠24に取り付けられる。
【0026】
下枠アタッチメント8の外周側壁81の室外側には、内周側に延びる気密材取付部83が設けられている。気密材52が、気密材取付部83から内周側に向かって取り付けられている。
また、下枠24の下枠シール受け片247は、
図3のRC枠納まりでは、水切り245と対向し、その間の隙間に下枠シール材74が取り付けられている。
これに対して、同面枠納まりでは、水切り245が無く、下枠24の最も室外側に位置する下枠シール受け片247は、シール材受として機能しない。代わりに、下枠シール受け片247は、前述した気密材52と当接することで、下枠24側へ風雨が入ることを防ぐ気密構造の一部となる。
【0027】
(同面枠納まりの上枠)
図7は躯体9に取り付けた同面枠納まりサッシ1の縦断面の概念図である。
上枠21にアタッチメント4が取付けられたサッシ1は、室外側が外壁92とほぼ同面になるように躯体9に納められる。
アタッチメント4の外周側壁41は、外壁内周面921と対向する位置に若干の隙間を空けるように納められる。前記隙間には、バックアップ材51が押し込まれる。外周側壁41の室内側には、曲折部42がある。作業者は曲折部42にバックアップ材51が当接して動かなくなる位置まで押し込むことで、バックアップ材51を適切な位置に配置でき施工しやすくなっている。
次いで、シール材50が前記隙間に押し込まれ、上枠21の防水施工が完了する。
シール材50は定形シール材でもよいし、不定形シール材でもよく、施工現場に適したシール材50が選択される。
同面枠納まりで使われるアタッチメント4の外周側壁41はシール受けの役割を果たす。
【0028】
また、アタッチメント4の気密材取付部43は、上枠21の見付面壁13と当接する気密材52を保持している。実施例2のサッシ1は、アタッチメント4を上枠21に嵌め込むことで、気密材52が見付面壁13と当接し、防水性が確保されるので現場での防水処理が不要となり簡単に施工できるよう工夫がなされている。
【0029】
(同面枠納まりの下枠)
下枠24に下枠アタッチメント8が取付けられたサッシ1は、室外側が外壁92とほぼ同面になるように躯体9に納められる。
下枠アタッチメント8の外周側壁81は、外壁内周面921と対向する位置に若干の隙間を空けるように納められる。前記隙間には、バックアップ材51が押し込まれる。下枠アタッチメント8の外周側壁81の室内側には、曲折部42がある。作業者はこの下枠アタッチメント8の曲折部82にバックアップ材51が当接して動かなくなる位置まで押し込むことで、バックアップ材51を適切な位置に配置でき施工しやすくなっている。
次いで、シール材50が前記隙間に押し込まれ、下枠24の防水施工が完了する。
シール材50は定形シール材でもよいし、不定形シール材でもよく、施工現場に適したシール材50が選択される。
【0030】
(同面枠納まりのたて枠)
図8(A)は同面枠納まりの
図5のD-D間のサッシ1の横断面図である。
図8(A)は、右のたて枠22だけ躯体9や外壁92との関係を図示している。左のたて枠22は、右のたて枠22と同様の構造であり、同様の納まりである。
右のたて枠22と左のたて枠22は、RC枠納まりと同面枠納まり違いにより変わることは無く、室内側壁11と室外側壁12とアンカー取付部62を備えている。右のたて枠22と左のたて枠22の外周側にあるアンカー6は、それぞれアンカー取付部62に取り付けられアンカー6からアンカーボルト61が躯体9に打ち込まれる。
躯体9とたて枠22をアンカー6で一体化する構造は、上枠21のそれとも同じである。
【0031】
(たて枠に取り付けられるアタッチメント)
図8(B)はアタッチメント4の拡大図である。
たて枠22について示した
図8(B)のアタッチメント4と上枠21について示した
図6のアタッチメント4は、図示する方向が異なるだけで、構造・形状は全く同じであり、両枠(21・22)に共通する部材になっている。
また、両枠(21・22)のアタッチメント4の外周側壁41と外壁内周面921との間に生じた隙間が、バックアップ材51とシール材50で封止される点も同様である。
上枠21とたて枠22に取り付けられるアタッチメント4は、構造のみならずシール材50の取り付け方も含めて共通化されているため、作業者が施工しやすくなっている。
【0032】
[アタッチメントの変形例(雨切り・見切り)]
実施例1(RC枠納まり)で、下枠24に水切り245を取り付ける態様を説明した。同面枠納まりにおいても、下枠24に水切り245を取り付けてもよいことは言うまでもない。
図9は、雨切りアタッチメント211の説明図である。
図9で示される雨切りアタッチメント211には、ハッチングが付されている。
顧客の要望により、アタッチメント4を雨切りアタッチメント211に代えることができる。雨切りアタッチメント211は、本発明の態様に包含される上枠21専用のアタッチメント4であり、同面枠納まりのサッシ1において、アタッチメント4に代わるサッシ1の構成部品である。
【0033】
雨切りアタッチメント211は、雨切り傾斜面部211Bを備えている他は、アタッチメント4と共通する構造を備えている。
施工に関する両アタッチメント(211・4)の構造を対比すると、シール受けとなる外周側壁41を備え、バックアップ材51と当接することになる曲折部42を備えていることで共通する。また、上枠21に固定するための固定片部44があること、気密材取付部43があることなど、施工に関する構造は概ね同じである。
そのため、雨切りアタッチメント211を使ったサッシ1の施工要領は、アタッチメント4とほぼ同じであり、作業者が施工しやすくなっている。
【0034】
図10は、見切りアタッチメント221の説明図である。顧客の要望により、たて枠22に取り付けるアタッチメント4を見切りアタッチメント221に代えることができる。
見切りアタッチメント221は、本発明の態様に包含されるたて枠22専用のアタッチメント4であり、同面枠納まりのサッシ1において、アタッチメント4に代わるサッシ1の構成部品である。
見切りアタッチメント221は、見切り枠部221Bを備えている他はアタッチメント4と共通する構造を備えている。施工に関する両アタッチメント(221・4)の構造は概ね同じである。そのため、見切りアタッチメント221を使ったサッシ1の施工要領は、アタッチメント4とほぼ同じで、作業者が施工しやすくなっている。
【0035】
見切り枠部221Bは、サッシ1を同面枠納まりで設置した際に、雨切り傾斜面部211Bと意匠的につながるような寸法に設計されている。そのため、雨切りアタッチメント211と見切りアタッチメント221をセットで使用した場合、サッシ1の外観が意匠的にまとまるように設計されている。
もちろん、顧客の要望により雨切りアタッチメント211と見切りアタッチメント221のいずれか一方を選択することも可能であり、選択されなかった枠には、アタッチメント4が取付けられる。
【0036】
実施例のアタッチメント4は、このように顧客の要望に応じ様々な機能を追加することできる。そして、機能を追加したアタッチメント4は、施工に関する構造が共通化するように設計される。実施例のアタッチメント4は、機能を追加したとしても同じ施工要領で設置することが可能であり、サッシ1設置に係る施工性が向上する。
【0037】
[まとめ]
実施例1のRC枠納まりに適したサッシ1は、上枠21とたて枠の構造・形状を共通化した。これにより、実施例1のサッシ1は、上枠21とたて枠22の建物への施工要領が共通化され施工性が向上した。
実施例2の同面枠納まりに適したサッシ1は、アタッチメント4を実施例1のRC枠納まりのサッシ1に追加しただけであり、両納まりのサッシ1の基本構造は同じである。実施例1のRC枠納まりのサッシ1は、アタッチメント4を上枠21とたて枠22に取り付けるだけで、実施例2の同面枠納まりに適したサッシ1にすることができる。アタッチメント4を使って建物へ取り付ける施工要領は、上枠21とたて枠22で共通化されており、施工性が向上した。
また、上枠21に使われるアタッチメント4とたて枠22に使われるアタッチメント4を同じ部材にできるため、コストの削減が期待できる。
【0038】
変形例として、上枠21とたて枠22に使われるアタッチメント4は、サイズが異なるが形状と構造が同じにもできる。アタッチメント4のサイズが異なっても、施工要領は変わることが無いため、施工性向上を図ることができる。
また、上枠21とたて枠22は、建物に納める作業に関係しない部分に違いがあってもよい。建物にサッシ1を納める施工において、建物に納めることに関係しない部分に違いがあっても施工性に影響しないからである。
また、建物に納める作業に関係する部分であっても、施工要領に影響を与えないのであれば、変更することが可能である。たとえば、上枠21に取り付けるアタッチメント4の外周側壁41の寸法と、たて枠22に取り付けるそれの寸法が異なるようにすることも可能である。施工要領に変更がないため、施工性の向上という効果が減じてしまうことはない。
本明細書記載のアタッチメント4は、雨切り、水切り、見切りなどの機能を追加することが可能である。アタッチメント4は、施工に関する構造が共通化されているため、機能を追加したとしても同じ施工要領で設置することが可能であり、施工性が向上する。
【0039】
以上、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0040】
また、前述の各実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 サッシ
11 室内側壁
12 室外側壁
13 見付面壁
14 係合突起
2 枠体
21 上枠
211 雨切りアタッチメント
211B 雨切り傾斜面部
22 たて枠
221 見切りアタッチメント
221B 見切り枠部
24 下枠
241 下枠室内側壁
242 下枠室外側壁
245 水切り
246 下枠係合突起
247 下枠シール受け片
3 障子
4 アタッチメント
41 外周側壁
42 曲折部
43 気密材取付部
44 固定片部
45 係合部
50 シール材
51 バックアップ材
52 気密材
6 アンカー
61 アンカーボルト
62 アンカー取付部
71 外壁シール材
73 水切りシール材
74 下枠シール材
8 下枠アタッチメント
81 外周側壁(下枠アタッチメント)
82 曲折部(下枠アタッチメント)
83 気密材取付部(下枠アタッチメント)
85 係合部(下枠アタッチメント)
89 ネジ
9 躯体
92 外壁
921 外壁内周面
922 外壁室内側面
93 建物開口部