(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130521
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】航空コンテナ用の畜熱材収納ケース
(51)【国際特許分類】
B65D 81/18 20060101AFI20240920BHJP
B65D 88/14 20060101ALI20240920BHJP
B65D 88/74 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65D81/18
B65D88/14
B65D88/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040302
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000187208
【氏名又は名称】昭和飛行機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086092
【弁理士】
【氏名又は名称】合志 元延
(72)【発明者】
【氏名】並木 覚太郎
(72)【発明者】
【氏名】川村 健太
(72)【発明者】
【氏名】富田 勇一
【テーマコード(参考)】
3E067
3E170
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB99
3E067BA05A
3E067BB11A
3E067CA03
3E067EA01
3E067FA01
3E067GA02
3E067GA07
3E067GB02
3E170AA25
3E170AB10
3E170AB15
3E170EA10
3E170EB02
3E170NA01
(57)【要約】
【課題】第1に、ハンドリング性等が向上し、取り扱い性に優れ、第2に、潜熱蓄熱材の収容容器の損傷が防止され、第3に、保温,保冷性能にも優れた、航空コンテナ用の蓄熱材収納ケースを提案する。
【解決手段】蓄熱材収納ケース14は、旅客機の貨物室に搭載される航空コンテナ1において、使用される。そして、積込まれる荷物や貨物を保温,保冷する複数個の潜熱蓄熱材Hを、平面的に収納,保持する。金属製で略偏平状のハードケースよりなり、表面に多数の気孔15が形成され、航空コンテナ1内に着脱可能に取付けられる。潜熱蓄熱材Hは、積込まれた荷物や貨物を、固相と液相間の相変化による潜熱を利用して、保温,保冷する。もって荷物や貨物を、外気温変化に左右されず、一定温度範囲に維持する。航空コンテナ1は、内部に断熱ボックスAが組み込まれた、保温,保冷コンテナよりなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の貨物室に搭載される航空コンテナで使用され、積込まれる荷物や貨物用の蓄熱材の収納ケースであって、
複数個の蓄熱材を、平面的に収納,保持し、表面に多数の気孔が形成されており、該航空コンテナ内に、着脱可能に取付けられること、を特徴とする航空コンテナ用の蓄熱材収納ケース。
【請求項2】
請求項1において、該収納ケースは、金属製で略偏平状のハードケースよりなり、内部に該蓄熱材を縦横規則的に収納,保持し、
該蓄熱材は、略偏平状の容器に収容されており、該航空コンテナは、内部に断熱ボックスが組み込まれた保温,保冷コンテナよりなること、を特徴とする航空コンテナ用の蓄熱材収納ケース。
【請求項3】
請求項2において、該蓄熱材は、潜熱蓄熱材よりなり、該航空コンテナに積込まれた荷物や貨物を、固相と液相間の相変化による潜熱を利用して保温,保冷し、
もって荷物や貨物を、外気温変化に左右されず一定温度範囲に維持すること、を特徴とする航空コンテナ用の蓄熱材収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空コンテナ用の畜熱材収納ケースに関する。すなわち、航空機の貨物室に搭載される航空コンテナで使用され、積込まれる荷物や貨物を保温,保冷する潜熱蓄熱材等の収納ケースに、関するものである。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
航空機において、荷物や貨物の輸送は、次のように行われている。以下、航空機の代表例として、旅客機について説明する。
図3,
図4に示したように、荷物や貨物は、航空コンテナ1に積込まれ、荷物や貨物を積込んだ航空コンテナ1が、旅客機2の貨物室3に搭載される。
図中4は、空港で航空コンテナ1を搬送する専用のキャリアカー、5は、旅客機2へと輸送するベルトローダー車である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
このような航空コンテナ1としては、例えば、次の特許文献1,2中に示されたものが、挙げられる。
【特許文献1】特開平8-244878号公報
【特許文献2】特開2019-162890号公報
【0004】
《従来技術》
このような航空コンテナに積込まれる荷物や貨物には、保温,保冷を要するものが多々ある。
その場合には、潜熱蓄熱材が代表的に用いられており、積込まれた荷物や貨物を、固相と液相間の相変化による潜熱を利用して、保温,保冷し、もって一定温度範囲維持を図っている。
【0005】
図2の(2)図は、このような潜熱蓄熱材を用いた、従来例を示す。
同図にも示したように、潜熱蓄熱材Hは小分けされて、略偏平状の小容器の収容容器に、収容されていた。そして、収容容器に収容された潜熱蓄熱材Hが、航空コンテナ1に持ち込まれ、航空コンテナ1の所定面がわに取付けた多数のポケットPに、1個ずつ収納,保持されていた。
ところで航空コンテナ1は、床面6,背面7,左側面8,右側面9,天井面10と、正面出入口11のドア12等で、構成されている(
図3の(1)図も参照)。図中13は正面片である。
そして、潜熱蓄熱材Hを収納,保持するポケットPは、背面7がわや左右側面8,9がわを、上記所定面がわとして、取付けられていた。
なお、この航空コンテナ1内には、通常、断熱ボックスAが組み込まれており、ポケットPは、断熱ボックスAや取付材を介し、上記所定面がわに取付けられていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような従来技術については、次の問題が課題として指摘されていた。
《第1の問題点》
第1に、ハンドリング性等に、問題が指摘されていた。
すなわち従来は、小分けされた潜熱蓄熱材Hを航空コンテナ1に持ち込み、航空コンテナ1内のポケットPに、1個ずつ収納,保持させていたので、ハンドリング性等が悪かった。
例えば、100個程度に小分けされた多数の潜熱蓄熱材Hを、航空コンテナ1内に持ち込み、同多数のポケットPにそれぞれ収納,保持させる作業が行われていた。もって、作業が面倒で煩わしく、ハンドリング性が悪い等、取り扱い上難点が指摘されていた。
【0007】
《第2の問題点》
潜熱蓄熱材Hの容器について、損傷の虞があった。
すなわち潜熱蓄熱材Hは、一般的に樹脂製で略偏平状の専用の収容容器に、収容されている。そして、収容容器に収容された潜熱蓄熱材Hを、それぞれ航空コンテナ1に持ち込んで、各ポケットPに収納,保持させる作業に際し、容器が損傷することが多々あった。
前述したように、面倒で煩わしくハンドリング性が悪い作業に伴い、落としたり,ぶつけたりし、もって収容容器が損傷して、潜熱蓄熱材Hが漏出する虞があった。
漏出,飛散した潜熱蓄熱材Hが、積込まれた荷物や貨物にダメージを与える危険も指摘されていた。
【0008】
《第3問題点》
第3に、保温,保冷性能の一層の向上が、望まれていた。
すなわち従来は、潜熱蓄熱材Hを収納,保持したポケットPは、航空コンテナ1の背面7がわや左右側面8,9がわにのみ、強度上の理由から取付けされていた。もって、保温,保冷する荷物や貨物に、温度ムラが生じることがあった。
取付強度上の理由で潜熱蓄熱材HやポケットPが存しない床面6がわ,天井面10がわ,正面出入口11のドア12がわ等について、保温,保冷性能の不均一化,不確実化が、指摘されていた。
又、特に強力に保温,保冷するニーズがある場合は、潜熱蓄熱材Hを重ねて使用する重層使用が効果的であるが、航空コンテナ1においては、現状では不可能とされていた。潜熱蓄熱材HをポケットPに収納,保持する現状では、重層使用は困難であった。
【0009】
《本発明について》
本発明の航空コンテナ用の畜熱材収納ケースは、このような実情に鑑み、上記従来技術の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、ハンドリング性等が向上し第2に、収容容器の損傷が防止され、第3に、保温,保冷性能にも優れた、航空コンテナ用の蓄熱材収納ケースを提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
《各請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、特許請求の範囲に記載したように、次のとおりである。
請求項1については、次のとおり。
請求項1の航空コンテナ用の蓄熱材収納ケースは、航空機の貨物室に搭載される航空コンテナで使用され、積込まれる荷物や貨物用の蓄熱材の収納ケースに関する。
そして複数個の蓄熱材を、平面的に収納,保持し、表面に多数の気孔が形成されており、該航空コンテナ内に、着脱可能に取付けられること、を特徴とする。
請求項2については、次のとおり。
請求項2の航空コンテナ用の蓄熱材収納ケースでは、請求項1において、該収納ケースは、金属製で略偏平状のハードケースよりなり、内部に該蓄熱材を縦横規則的に収納,保持する。
そして該蓄熱材は、略偏平状の容器に収容されている。該航空コンテナは、内部に断熱ボックスが組み込まれた保温,保冷コンテナよりなること、を特徴とする。
請求項3については、次のとおり。
請求項3の航空コンテナ用の蓄熱材収納ケースでは、請求項2において、該蓄熱材は、潜熱蓄熱材よりなり、該航空コンテナに積込まれた荷物や貨物を、固相と液相間の相変化による潜熱を利用して保温,保冷する。
もって荷物や貨物を、外気温変化に左右されず一定温度範囲に維持すること、を特徴とする。
【0011】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)本発明の蓄熱材収納ケースは、金属製ハードケースよりなり、複数個の蓄熱材代表的には潜熱蓄熱材を、収納,保持する。
(2)そして収納ケースは、航空コンテナ内に着脱自在に取付けられる。
(3)航空コンテナは、内部に断熱ボックスが組み込まれており、航空機代表的には旅客機の貨物室に、搭載される。
(4)もって潜熱蓄熱材は、航空コンテナに積込まれた荷物や貨物を、潜熱を利用して、保温,冷却する。
(5)すなわち、保温時や冷却時において、収納ケース表面の気孔から、潜熱に基づく暖気や冷気が放出される。もって、荷物や貨物が外気温変化に左右されず、一定温度範囲に維持される。
(6)さて、本発明の収納ケースは、まず、複数個の潜熱蓄熱材を、まとめて収納,保持し、一度に持ち運ぶことができるので、その分、ハンドリング性等が向上し、作業が簡単容易化される。
(7)又、潜熱蓄熱材は、樹脂製小容器よりなる専用の収容容器に収容されているに過ぎないが、金属製ハードケースの収容ケースに、収納,保持され覆われている。もって、収容容器の損傷が防止される。
(8)更に収納ケースは、略偏平状をなすハードケースよりなり、略偏平状をなす潜熱蓄熱材を収納,保持する。
そこで航空コンテナについて、この種従来例のように背面がわや左右側面がわのみならず、床面がわ,天井面がわ,正面出入口がわ等にも、取付けることができる。もってその分、保温,保冷性能が、より均一化,確実化され向上する。
(9)同様の理由により、この収納ケースは、積み重ねて重層使用することも可能である。もって、この面からも保温,保冷性能を一段と向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
《第1の効果》
第1に、ハンドリング性等が向上する。
本発明の航空コンテナ用の蓄熱材収納ケースは、複数個の潜熱蓄熱材等の蓄熱材を、まとめて収納,保持する。もって、一度に複数個の潜熱蓄熱材等を持ち運ぶことができる。
従って、潜熱蓄熱材等を、航空コンテナ内に持ち込んで取付ける作業が、簡単容易化される。前述したこの種従来例に比し、作業の煩わしさが解消され、ハンドリング性等が向上し、取り扱い性に優れている。
【0013】
《第2の効果》
第2に、容器の損傷が防止される。
本発明の航空コンテナ用の蓄熱材収納ケースは、複数個の潜熱蓄熱材等の蓄熱材を、まとめて収納,保持する。潜熱蓄熱材等は、それぞれ樹脂製の専用の収容容器に収容されているに過ぎないが、金属製ハードケースの収納ケース内に、収納,保持され覆われているので、容器の損傷が防止される。
航空コンテナ内に持ち込み取付ける作業に際し、落としたり,ぶつけたりしても、その損傷は防止される。
前述したこの種従来例のように、航空コンテナ内に持ち込む等の作業に際し、収容容器が損傷する虞は解消される。潜熱蓄熱材等が漏出し、積込まれた荷物や貨物にダメージを与える危険も回避される。
【0014】
《第3の効果》
第3に、保温,保冷性能にも優れている。
本発明の航空コンテナ用の蓄熱材収納ケースは、金属製ハードケースよりなり、略偏平状をなし、潜熱蓄熱材等の蓄熱材を収納,保持する。そこで、航空コンテナについて、背面がわや左右側面がわのみならず、床面がわ,天井面がわ,正面出入口がわ等にも、取付けることができる。
もってその分、保温,保冷性能がより均一化,確実化し向上するようになる。前述したこの種従来例のように、背面がわや左右側面がわのみに取付けていた従来例のように、温度ムラが生じる懸念は解消される。
又、特に強力に保温,保冷を要するニーズがある場合は、蓄熱材収納ケースの重層使用も、可能である。すなわち、潜熱蓄熱材を収納した蓄熱材収納ケースを、重ねて使用することも、可能である。
このように、この種従来技術に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る航空コンテナ用の蓄熱材収納ケースについて、発明を実施するための形態の説明に供し、斜視図である。そして(1)図は、航空コンテナ、(2)図は、収納ケースの外観、(3)図は、収納ケースの内部を示す。
【
図2】(1)図は、同発明を実施するための形態の説明に供し、収納ケースを取付けた航空コンテナ内部等の斜視図である。(2)図は、従来例の説明に供し、蓄熱材を取付けた航空コンテナ内部等の斜視図である。
【
図3】(1)図は、航空コンテナの外観斜視図である。(2)図は、空港における航空機への航空コンテナの搬入状況を示す、斜視説明図である。
【
図4】空港における航空機への航空コンテナの搬入状況を示す、写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について、図面を参照して詳細に説明する。
《航空コンテナ1について》
まず、航空コンテナ1について、一般的に説明する。
図3の(2)図,
図4に示したように、航空輸送される荷物や貨物は、規格化された航空コンテナ1に、積込まれる。そして、荷物や貨物を積んだ航空コンテナ1が、旅客機2の貨物室3に搭載されて、航空輸送される。
図1~
図3の(1)図に示したように、航空コンテナ1は、床面6,背面7,左側面8,右側面9,天井面10,正面出入口11のドア12,正面片13、等を備えている。本発明が適用される航空コンテナ1内には通常、断熱ボックスAが組み込まれている。
【0017】
このような航空コンテナ1について、更に詳述する。航空コンテナ1は、旅客機2の貨物室(カーゴルーム)3について、その内部曲線形状に合わせた形をなすと共に、その室内高さを有効利用する高さ設定よりなる。もって規格化,商品化され、汎用品として使用されており、本発明は、このような既存の航空コンテナ1を対象とする。
そして航空コンテナ1は、
図1の(1)図,
図3の(1)図等に示したように、アルミ材製等の密閉構造の箱状をなし、骨組の各コーナーフレーム間に、各面の面板が取付けられている。
もって、各面の面板にて、床面6,背面7,左側面8,右側面9,天井面10,正面片13等が、形成されている。又、正面出入口11が、上下開閉式のドア12にて閉鎖可能となっている。
そして航空コンテナ1は、
図1の(1)図等に示したように、内部に断熱パネル製の断熱ボックスAが組み込まれた、保温,保冷コンテナよりなる。断熱ボックスAを構成する各断熱パネルは、それぞれ、航空コンテナ1の各面に対応位置している。もって断熱ボックスAは、航空コンテナ1より寸法が小の箱状をなす。
このような、航空コンテナ1に積込まれる荷物や貨物としては、医薬品が代表的であるが、その他の各種食品も考えられる。
航空コンテナ1の一般的説明については、以上のとおり。
【0018】
《本発明の概要》
以下、本発明について説明する。まず、本発明の概要については、次のとおり。
本発明の蓄熱材収納ケース14は、旅客機2等の航空機の貨物室3に搭載される航空コンテナ1で使用され、積込まれる荷物や貨物用の潜熱蓄熱材H等の蓄熱材の収納ケースに関する。
そして、この収納ケース14は、複数個の潜熱蓄熱材H等の蓄熱材を平面的に収納,保持し、表面に多数の気孔15が形成されており、航空コンテナ1内に、着脱可能に取付けられる。
本発明の概要については、以上のとおり。以下、このような本発明について詳述する。
【0019】
《収納ケース14について》
蓄熱材収納ケース14は、
図1の(2)図,(3)図に示したように、金属製で略偏平状のハードケースよりなり、内部に蓄熱材を、平面的かつ縦横規則的に、収納,保持する。蓄熱材としては、潜熱蓄熱材Hが代表的に使用される。
すなわち収納ケース14は、アルミ材製等の金属製よりなり、例えば、縦1,000mm,横300~400mm,厚さ40mm程度よりなる。
そして内部に、潜熱蓄熱材Hが収納,保持される。例えば、縦300mm,横150~200mm,厚さ30mm程度の略偏平状の収容容器に収容された潜熱蓄熱材Hが、複数個収納,保持される。
図示例では、6個の潜熱蓄熱材Hが、各収納ケース14ごとに収納,保持されている。そして横に2個並びで、縦に上下3段にフレーム16にて区画され、もって平面的に縦横に収納,保持されている。
収納ケース14の表面には、多数の気孔15が形成されている。もって収納,保持された潜熱蓄熱材Hからの暖気や冷気を、外部放出する。
【0020】
そして、このように潜熱蓄熱材Hを収納,保持した収納ケース14は、
図2の(1)図に示したように、航空コンテナ1内に着脱可能に取付けられる。
図示例では、航空コンテナ1の内部に、断熱ボックスAが組み込まれているので、その各面の断熱パネルに対し、着脱可能に取付けられる。取付けは、例えば各面の断熱パネル表面にアルミ板を接着剤で貼付け、アルミ板に設けた受材に対し、収納ケース14側のラッチ17を掛け止めすることにより、行われる。その他、各種の取付方法も可能である。
もって、収納ケース14は航空コンテナ1の背面7がわや左右側面8,9がわの断熱パネルのみならず、床面6がわ,天井面10がわ,正面出入口11がわ等の断熱パネルにも、取付けられる。
収納ケース14については、以上のとおり。
【0021】
《潜熱蓄熱材Hについて》
蓄熱材は、前述したように略偏平状をなす専用の収容容器に収容される。そして、複数個ずつ各収納ケース14に収納,保持されて、航空コンテナ1内の各面がわに取付けられる。
蓄熱材は代表的には、潜熱蓄熱材Hよりなる。そして、航空コンテナ1に積込まれた荷物や貨物を、固相と液相間の相変化による潜熱を利用して、保温,保冷する。
もって荷物や貨物を、外気温変化に左右されず一定温度範囲に維持する。
【0022】
潜熱蓄熱材Hについて、更に詳述する。潜熱蓄熱材Hとしては、例えば、パラフィン系の材料が使用される。そして、固体状から液状やゼリー状に融解する際の潜熱を利用して、保冷する。又、液状やゼリー状から固体状に凝固する際の潜熱を利用して、保温する。
すなわち、航空コンテナ1に積込まれた荷物や貨物について、適切な一定温度範囲(例えば20℃)が、まず目安となる。
そして昼間等において、周囲の温度がより上昇(例えば30℃)した場合は、潜熱蓄熱材Hの潜熱に基づく冷気放出により、荷物や貨物を一定温度範囲(例えば20℃)に維持する。
これに対し夜間等において、周囲の温度がより低下(例えば10℃)した場合は、潜熱蓄熱材Hの潜熱に基づく暖気放出により、荷物や貨物を一定温度範囲(例えば20℃)に維持する。
【0023】
そして、上記一定温度範囲は、積込まれる荷物や貨物、つまり保温,保冷すべき荷物や貨物に応じ、適切な温度に選択,設定される。例えば20℃,10℃,5℃等の一定温度範囲に対応した、相変化温度の潜熱蓄熱材Hがセレクト,使用される。
なお蓄熱材としては、潜熱蓄熱材Hが代表的に使用されるが、これに代え顕熱蓄熱材を使用することも考えられる。この場合は、潜熱蓄熱材Hとは異なり、保温,保冷のいずれかのみの作用となる。
潜熱蓄熱材Hについては、以上のとおり。
【0024】
《作用等》
本発明は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)本発明の蓄熱材収納ケース14は、金属製のハードケースよりなり、内部に複数個の蓄熱材が収納,保持される(
図1の(2)図,(3)図を参照)。蓄熱材としては、収容容器に収容された潜熱蓄熱材Hが、通常使用される。
【0025】
(2)そして、潜熱蓄熱材Hを収納,保持した各収納ケース14が、航空コンテナ1に、着脱自在に取付けられる(
図2の(1)図を参照)。
【0026】
(3)航空コンテナ1は、内部に断熱ボックスAが組み込まれた保温,保冷コンテナよりなる。そして、航空機代表的には旅客機2の貨物室に搭載されて、航空輸送される(
図3の(2)図,
図4を参照)。
【0027】
(4)潜熱蓄熱材Hは、航空コンテナ1に積込まれた荷物や貨物を、固相と液相間の相変化による潜熱を利用して、保温,保冷する。
【0028】
(5)すなわち、収納ケース14表面の多数の気孔15から、潜熱に基づく暖気又は冷気が放出される。もって、荷物や貨物が外気温変化に左右されず、一定温度範囲に維持される。
【0029】
(6)さて、本発明の航空コンテナ1用の蓄熱材収納ケース14は、以上説明したように、まず、複数個の潜熱蓄熱材Hを、まとめて収納,保持する。
従って、一度に複数個の潜熱蓄熱材Hを持ち運び、航空コンテナ1内に持ち込んで取付けることができる。もってその分、作業が簡単容易化される。
【0030】
(7)又、潜熱蓄熱材Hは、単なる器に過ぎない樹脂製の専用の収容容器に収容されているが、強度面に優れた金属製の収納ケース14内に、収納,保持されている。
このように、ハードケースにて覆われているので、収容容器の損傷は防止される。航空コンテナ1内に持ち込み取付ける作業に際し、落としたり,ぶつけたりしても、その損傷は防止される。
【0031】
(8)更に、収納ケース14は、金属製のハードケースよりなり、略偏平状をなし、略偏平状をなす潜熱蓄熱材Hを収納,保持する。
そこで収納ケース14は、航空コンテナ1について、前述したこの種従来例のように(
図2の(2)図を参照)背面7がわや左右側面8,9がわのみならず、床面6がわ,天井面10がわ,正面出入口11がわ等にも、取付けることができる(
図2の(1)図を参照)。
図示例では、組み込まれた断熱ボックスAについて、航空コンテナ1の上記各面がわに対応位置する各断熱パネルに対し、取付けられる。
なお、断熱ボックスAの断熱パネルは、ドア12(
図3の(1)図を参照)内側の正面出入口11にも配され、この正面出入口11がわの断熱パネルに、収納ケース14が取付けられる。
このように、航空コンテナ1の各面がわについて、潜熱蓄熱材Hの収納ケース14を取付けることができるので、積込まれる荷物や貨物について、保温,保冷性能が、より均一化,確実化され向上する。
【0032】
(9)同様に収納ケース14が、略偏平状のハードケースよりなるので、重層使用も可能である。
すなわち収納ケース14は、略偏平状の潜熱蓄熱材Hを、平面的に複数個収納,保持するので、このような収納ケース14を、2枚,3枚と重ねて使用することも、可能である。これにより、保温,保冷性能を、一段と向上させることが可能となる。
本発明の作用等については、以上のとおり。
【符号の説明】
【0033】
A 断熱ボックス
H 潜熱蓄熱材
P ポケット
1 航空コンテナ
2 旅客機
3 貨物室
4 キャリアカー
5 ベルトローダー車
6 床面
7 背面
8 左側面
9 右側面
10 天井面
11 正面出入口
12 ドア
13 正面片
14 (蓄熱材)収納ケース
15 気孔
16 フレーム
17 ラッチ