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特開2024-130523車載用カメラキット及び車載用カメラ装置の取り付け構造
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  • 特開-車載用カメラキット及び車載用カメラ装置の取り付け構造 図1
  • 特開-車載用カメラキット及び車載用カメラ装置の取り付け構造 図2A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130523
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車載用カメラキット及び車載用カメラ装置の取り付け構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240920BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240920BHJP
【FI】
B60R11/02 C
G03B17/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040306
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康弘
【テーマコード(参考)】
2H105
3D020
【Fターム(参考)】
2H105AA06
2H105AA07
3D020BA20
3D020BC02
3D020BC07
3D020BD03
3D020BD09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型で車両の異なる面に光軸の向きを変更可能に取り付けできる使い勝手のよい車載用カメラキットを提供する。
【解決手段】車載用カメラキット91は、カメラユニット15を有し第1の向きの光景を撮像する本体部1と、第1台座部21を有し本体部に対し第1の向きと直交する軸線CL1まわりに回動可能に取付可能で本体部に取り付けた状態で第1台座部21の被取り付け部材に取付ける第1取り付け面22aのカメラユニットの光軸CLcと平行な姿勢と直交する姿勢との間の第1の向きの側での回動が許容された第1アタッチメント2と、第2台座部3Bを有し本体部に取付けることができ本体部に取付けた状態で第2台座部における被取り付け部材に取り付ける第2取り付け面33aの光軸と平行な姿勢と直交する姿勢との間の第1の向きとは反対の第2の向きの側での回動が許容された第2アタッチメント3と、の組である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラユニットを有し第1の向きの光景を撮像する本体部と、
被取り付け部材に取り付ける第1台座部を有し前記本体部に対し前記第1の向きと直交する軸線まわりに回動可能に取り付けることができ、前記本体部に取り付けた状態で、前記第1台座部における前記被取り付け部材に取り付ける第1取り付け面の、前記カメラユニットの光軸と平行な姿勢と直交する姿勢との間の前記第1の向きの側での回動が許容された第1アタッチメントと、
被取り付け部材に取り付ける第2台座部を有し前記本体部に取り付けることができ、前記本体部に取り付けた状態で、前記第2台座部における前記被取り付け部材に取り付ける第2取り付け面の、前記光軸と平行な姿勢と直交する姿勢との間の前記第1の向きとは反対の第2の向きの側での回動が許容された第2アタッチメントと、
の組である車載用カメラキット。
【請求項2】
前記第1取り付け面は、前記カメラユニットの光軸と直交する姿勢において、前記本体部よりも前記第1の向きの側に位置する請求項1記載の車載用カメラキット。
【請求項3】
前記第2取り付け面は、前記カメラユニットの光軸と直交する姿勢において、前記本体部よりも前記第2の向きの側に位置する請求項1記載の車載用カメラキット。
【請求項4】
前記第2アタッチメントは前記本体部に取り付ける基部ユニットを有し、
前記第2台座部は、前記基部ユニットに対し前記光軸と直交する軸線まわりに回動可能に取り付けられている請求項1~3のいずれか1項に記載の車載用カメラキット。
【請求項5】
カメラユニットを有し第1の向きの光景を撮像する本体部に、
被取り付け部材に取り付ける第1台座部を有し前記本体部に対し前記第1の向きと直交する軸線まわりに回動可能に取り付けることができ、前記本体部に取り付けた状態で、前記第1台座部における前記被取り付け部材に取り付ける第1取り付け面の、前記カメラユニットの光軸と平行な姿勢と直交する姿勢との間の前記第1の向きの側での回動が許容された第1アタッチメントと、
被取り付け部材に取り付ける第2台座部を有し前記本体部に取り付けることができ、前記本体部に取り付けた状態で、前記第2台座部における前記被取り付け部材に取り付ける第2取り付け面の、前記光軸と平行な姿勢と直交する姿勢との間の前記第1の向きとは反対の第2の向きの側での回動が許容された第2アタッチメントと、
のいずれか一方を取り付け可能であり、
前記本体部に前記第1アタッチメントを取り付け、前記第1アタッチメントを前記被取り付け部材に取り付けることで、前記被取り付け部材が透明部材の場合に前記透明部材を通して前記第1の向きの光景が撮像可能であり、
前記本体部に前記第2アタッチメントを取り付け、前記第2アタッチメントを前記被取り付け部材に取り付けることで、前記被取り付け部材を背にした光景を撮像可能である、
車載用カメラ装置の取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用カメラキット及び車載用カメラ装置の取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、カメラを有する本体部,本体部から上方に突出した支持部,及び支持部の上方先端に形成された板状のベースを備えた車載機器であるドライブレコーダが記載されている。このドライブレコーダは、ベースを両面テープによって車両のフロントガラスの内面に貼り付けることでフロントガラスに取り付けられる。
【0003】
特許文献1に記載されたドライブレコーダの支持部は、本体部側とベース側とに分割された腕部と支柱部とが、水平軸まわりに上下回動可能に軸係合しており、ナットによって任意の回動位置で締め付け固定できるようになっている。
これにより、使用者は、フロントガラスに対するカメラの光軸方向を上下方向に回動調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-199800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車載用カメラ装置に対しては、車両の異なる面に光軸の向きを変更可能にして取り付けできて使い勝手のよいことが要望されている。しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の技術を用いてこの要望に応えるためには、ベースを、本体部に対し前後方向の広範囲に回動可能にする必要があり、車載用カメラ装置全体が大型化する。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、小型でありながら、車両の異なる面に光軸の向きを変更可能に取り付けることができ使い勝手のよい車載用カメラキット及び車載用カメラ装置の取り付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は次の1)、2)の構成を有する。
1) カメラユニットを有し第1の向きの光景を撮像する本体部と、
被取り付け部材に取り付ける第1台座部を有し前記本体部に対し前記第1の向きと直交する軸線まわりに回動可能に取り付けることができ、前記本体部に取り付けた状態で、前記第1台座部における前記被取り付け部材に取り付ける第1取り付け面の、前記カメラユニットの光軸と平行な姿勢と直交する姿勢との間の前記第1の向きの側での回動が許容された第1アタッチメントと、
被取り付け部材に取り付ける第2台座部を有し前記本体部に取り付けることができ、前記本体部に取り付けた状態で、前記第2台座部における前記被取り付け部材に取り付ける第2取り付け面の、前記光軸と平行な姿勢と直交する姿勢との間の前記第1の向きとは反対の第2の向きの側での回動が許容された第2アタッチメントと、
の組である車載用カメラキットである。
2) カメラユニットを有し第1の向きの光景を撮像する本体部に、
被取り付け部材に取り付ける第1台座部を有し前記本体部に対し前記第1の向きと直交する軸線まわりに回動可能に取り付けることができ、前記本体部に取り付けた状態で、前記第1台座部における前記被取り付け部材に取り付ける第1取り付け面の、前記カメラユニットの光軸と平行な姿勢と直交する姿勢との間の前記第1の向きの側での回動が許容された第1アタッチメントと、
被取り付け部材に取り付ける第2台座部を有し前記本体部に取り付けることができ、前記本体部に取り付けた状態で、前記第2台座部における前記被取り付け部材に取り付ける第2取り付け面の、前記光軸と平行な姿勢と直交する姿勢との間の前記第1の向きとは反対の第2の向きの側での回動が許容された第2アタッチメントと、
のいずれか一方を取り付け可能であり、
前記本体部に前記第1アタッチメントを取り付け、前記第1アタッチメントを前記被取り付け部材に取り付けることで、前記被取り付け部材が透明部材の場合に前記透明部材を通して前記第1の向きの光景が撮像可能であり、
前記本体部に前記第2アタッチメントを取り付け、前記第2アタッチメントを前記被取り付け部材に取り付けることで、前記被取り付け部材を背にした光景を撮像可能である、
車載用カメラ装置の取り付け構造である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、小型でありながら車両の異なる面に光軸の向きを変更可能に取り付けることができ使い勝手がよい、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一態様における車載用カメラキット91を示す分解斜視図である。
図2A図2Aは、車載用カメラキット91の第1の取り付け態様となる車載用カメラ装置91Aを示す左側面図である。
図2B図2Bは、車載用カメラキット91の第2の取り付け態様となる車載用カメラ装置91Bを示す左側面図である。
図3図3は、車載用カメラ装置91Bに用いる第2アタッチメント3の分解図である。
図4A図4Aは、車載用カメラ装置91Aの第1の取り付け例を示す一部断面の左側面図である。
図4B図4Bは、車載用カメラ装置91Aの第2の取り付け例を示す一部断面の左側面図である。
図4C図4Cは、車載用カメラ装置91Bの取り付け例を示す図であって、図4C(a)は、車載用カメラ装置91Bを車両Mの後部のボディMaに取り付けた状態を示す部分断面図であり、図4C(b)は、図4C(a)における要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様を、車載用カメラキット91,及び車載用カメラ装置91A,91Bにより説明する。
【0011】
(車載用カメラキット91)
車載用カメラキット91及び車載用カメラ装置91A,91Bの構成を、図1図3を参照して説明する。図1は、本発明の一態様における車載用カメラキット91を示す斜視図である。図2Aは、車載用カメラキット91の第1の取り付け態様となる車載用カメラ装置91Aを示す左側面図であり、図2Bは、車載用カメラキット91の第2の取り付け態様となる車載用カメラ装置91Bを示す左側面図である。図3は、車載用カメラ装置91Bに用いる第2アタッチメント3の分解図である。説明の便宜上、上下左右前後の各方向を、図1に示される矢印の方向に規定する。これらは、車載用カメラ装置91A,91Bの使用及び取り付け状態の姿勢或いは向きなどを限定するものではない。
【0012】
図1に示されるように、車載用カメラキット91は、カメラユニット15を備えた本体部1と、本体部1を被取り付け部材に取り付けるための2種類のアタッチメントである第1アタッチメント2及び第2アタッチメント3との組として構成される。車載用カメラキット91は、車両M(図4C参照)の車室内及び車室外のいずれかに取り付けて使用する。車両Mの取り付け場所に応じて、本体部1に、第1アタッチメント2及び第2アタッチメント3のいずれか一方を装着する。
【0013】
車載用カメラキット91は、例えば、本体部1と第1アタッチメント2及び第2アタッチメント3とを同梱した商品として、或いは別梱としてそれぞれ独立した商品として市場に流通させる。
【0014】
図1に示されるように、本体部1は、内部にカメラユニット15及びレセプタクル16を備えた箱状の筐体11を有する。筐体11の前面には円環状に前方に突出した突出部12が形成されている。カメラユニット15は、突出部12の軸線を光軸CLcとし外部から突出部12内に入来した光によって第1の向きである前方の外部の光景を撮像する。
【0015】
カメラユニット15で撮像した画像の信号は、図2Aに示されるように、レセプタクル16に着脱自在に接続されたプラグ6を有するケーブル6cを介して外部の機器に出力される。ケーブル6cは、本体部1と外部の機器との間での電力供給及び信号伝送のいずれか一方、又は両方を行う。また、本体部1は、メモリーカードなどの記録媒体を搭載可能として、カメラユニット15で撮像された画像の信号を記録媒体に記録するものであってもよい。
【0016】
本体部1の左側面における上前方位置には、第1の向きに直交する左右方向に延びる軸線CL1を軸とした雌ねじを有する固定用ねじ孔14が設けられている。固定用ねじ孔14には、第1アタッチメント2及び第2アタッチメント3を固定するための固定具であるボルトN1が螺合する。
【0017】
(車載用カメラ装置91A)
次に、車載用カメラ装置91Aについて説明する。既述のように、車載用カメラ装置91Aは、本体部1と第1アタッチメント2との組として構成される。図1に示されるように、第1アタッチメント2は、貼着部材22が取り付けられた第1台座部21を有する。第1台座部21は、平行に延在する一対の腕部211,212と、一対の腕部211,212を上方で連結する連結板213とを有し、前面視で下方が開放する姿勢の略コ字状を呈する。
左側の腕部211には、ザグリ穴23と貫通孔24が同芯で形成されている。貫通孔24にはボルトN1の軸部が挿通可能であり、ザグリ穴23にはボルトN1の頭部が収容されるようになっている。
貼着部材22の貼着面22aは、被取り付け部材に取り付けられる第1取り付け面である。
【0018】
一対の腕部211,212の左右方向の内法(離隔距離)は、本体部1の筐体11の左右方向の幅に対して同じかわずかに大きい。そのため、第1台座部21を、上方から一対の腕部211,212の間に筐体11が入るように装着し(矢印DRa参照)、ボルトN1を、腕部211の貫通孔24に通して筐体11の固定用ねじ孔14の雌ねじに螺着させることで、第1アタッチメント2を本体部1に対し、回動可能に取り付けることができる。本体部1に第1アタッチメント2が取り付けられて第1の取り付け態様とされたカメラ装置を、車載用カメラ装置91Aと称する。
【0019】
図2Aは、車載用カメラ装置91Aの左側面図である。第1アタッチメント2は、ボルトN1を締め付けることで本体部1に固定され、ボルトN1を緩めることで、軸線CL1まわりに回動可能となる(矢印DR1参照)。軸線CL1は、光軸CLcと直交し、第1取り付け面である貼着面22aと平行である。許容される回動範囲は、筐体11の左側面に形成され左方側に突出する段部11aと腕部211の当接などで機械的に設定される。例えば、貼着部材22の貼着面22aが水平の仮想線LN1で示される水平面となる第1A回動位置と、垂直の仮想線LN3で示される鉛直面となる二点鎖線で示された第3A回動位置との間の範囲とされる。すなわち、第1アタッチメント2は、貼着面22aの、カメラユニット15の光軸CLcと平行な姿勢と直交する姿勢との間の第1の向きの側である前方側の回動が許容されている。
【0020】
第1アタッチメント2は、許容される回動範囲内の任意の回動位置で、ボルトN1を締め付けることで固定される。例えば、傾斜した仮想線LN2で示されるように、貼着部材22の貼着面22aが前方側が低い傾斜面となる傾斜した第2A回動位置でも固定できる。
【0021】
車載用カメラ装置91Aは、第1アタッチメント2が、その貼着面22aが水平となる第1A回動位置の姿勢から、前方に倒れて鉛直となる第3A回動位置の姿勢まで回動可能となっており、本体部1の後方側へは回動しないようになっている。これにより、第1A回動位置において、貼着面22aと、本体部1の筐体11の上面11bとの間の上下方向の距離Haをより小さくできる。すなわち、車載用カメラ装置91Aはコンパクトになる。
【0022】
図2Aに示されるように、第1アタッチメント2が、その貼着面22aが鉛直面となる第3A回動位置にあるときに、本体部1の突出部12の前端よりも貼着面22aが前方側に位置している。これにより、車載用カメラ装置91Aは、仮想線LN3に沿って鉛直に配置されたガラスに第1アタッチメント2を貼り付け、ガラスを通して外側の光景を撮像することができる。
【0023】
(車載用カメラ装置91B)
次に、車載用カメラ装置91Bについて説明する。既述のように、車載用カメラ装置91Bは、本体部1と第2アタッチメント3との組として構成される。図1に示されるように、第2アタッチメント3は、基部ユニット3A及び第2台座部3Bを有する。基部ユニット3Aは、第1基部31を有する。第1基部31は、平行に延在する一対の腕部311,312を上方で連結して前面視で下方が開放する姿勢の略コ字状を呈する。第1基部31の上面には貼着部材33が取り付けられている。貼着部材33の貼着面33aは、被取り付け部材に取り付けられる第2取り付け面である。
左側の腕部311には、ザグリ穴313と貫通孔314が同芯で形成されている。貫通孔314にはボルトN1の軸部が挿通可能であり、ザグリ穴313にはボルトN1の頭部が収容されるようになっている。
【0024】
図3に示されるように、第1基部31の左側の腕部311には、後上部に左右方向に延びる軸線CL3を軸とする雌ねじが形成された固定用ねじ孔315が設けられている。一方、右側の腕部312(図3において不図示)には、軸線CL3を軸とする貫通孔(不図示)が設けられている。固定用ねじ孔315の周囲は、図3の左方(紙面奥方)に凹んだ凹部315aとされている。腕部312の不図示の貫通孔の周囲も凹部315aと対称形状の凹部とされている。
【0025】
第2台座部3Bは第2基部32及び貼着部材33を有する。第2基部32は、平板状に形成され上面には貼着部材33が取り付けられている。第2基部32の下面からは、左右方向に離隔し平行に延在する腕部34,35が下方に延出している。腕部34,35の内法(離隔距離)は、第1基部31の左右の腕部311における固定用ねじ孔315の周囲の凹部315aと腕部312の凹部との外面間距離と同じかわずかに大きい。
左側の腕部34には、軸線CL32を軸としボルトN2の軸部が挿通可能な貫通孔342が形成されている。右側の腕部35(図1参照)には、軸線CL32を軸として左側の腕部34に向かって突出した突起部(不図示)が形成されている。
【0026】
この構成により、図3に示されるように、第1基部31の腕部311,312に跨るように第2基部32の腕部34,35を右上方から装着する(矢印DRb)。その際、第2基部32の腕部35の突起部(不図示)を、第1基部31の右側の腕部312の貫通孔(不図示)に係合させ、ボルトN2(図1参照)を、腕部34の貫通孔342を通して第1基部31の固定用ねじ孔315の雌ねじに螺着させる。これにより、第2基部32を有する第2台座部3Bは、第1基部31を有する基部ユニット3Aに対し軸線CL3まわりに回動可能に連結される。
【0027】
基部ユニット3Aと第2台座部3Bとが連結されて一体化した第2アタッチメント3を、本体部1に取り付けることで車載用カメラ装置91Bが形成される。
具体的には、図1に示されるように、筐体11に対して基部ユニット3Aを、上方から一対の腕部311,312の間に筐体11が入るように装着し(矢印DRc参照)、ボルトN1を、腕部311の貫通孔314に通して筐体11の固定用ねじ孔14の雌ねじに螺着させる。これにより、第2アタッチメント3は本体部1に対して回動可能に取り付けられて車載用カメラ装置91Bが形成される。
【0028】
車載用カメラ装置91Bでは、基部ユニット3Aは、ボルトN1の締め付けによって筐体11に回動不能に固定し、第2台座部3Bを基部ユニット3Aに対して所望の回動角度となる姿勢で固定して被取り付け部材に取り付ける。また、基部ユニット3Aが筐体11に固定される姿勢は、図2Bにおいて時計まわりに最も回動させた姿勢である。すなわち、基部ユニット3Aに対し筐体11は、図2Bにおける軸線CL1を軸として反時計まわりに最も回動させた姿勢となっている。また、軸線CL1は、光軸CLcと直交し、第2取り付け面である貼着面33a(図1及び図2B参照)と平行である。
【0029】
図2Bに示されるように、第2台座部3Bは、ボルトN2を緩めることで基部ユニット3Aに対し軸線CL3まわりに回動可能となる(矢印DR2参照)。許容される回動範囲は、筐体11の左側面に形成され左方側に突出する段部11aと腕部311の当接などで機械的に設定される。例えば、図2Bにおいて、水平の仮想線LN4で示される貼着部材33の第2取り付け面である貼着面33aが水平面となる第1B回動位置と、第2台座部3Bが図2Bにおける時計まわりに回動し、仮想線LN7で示される貼着面33aが鉛直姿勢を越えてわずかに右下向きとなる第4B回動位置との間の範囲とされる。すなわち、第2アタッチメント3は、貼着面33aの、カメラユニット15の光軸CLcと平行な姿勢と直交する姿勢との間の第1の向きとは反対の第2の向きの側(後方側)の回動が許容されている。
第2アタッチメント3の腕部311における、筐体11の段部11aに当接する部位と貫通孔314との位置関係は、第1アタッチメント2の腕部211における、段部11aに当接する部位と貫通孔24との位置関係と同じになっている。そのため、第1アタッチメント2及び第2アタッチメント3は、本体部1の固定用ねじ孔14に選択的に取り付けることができる。
【0030】
第2アタッチメント3は、許容される回動範囲の任意の回動位置でボルトN2を締め付けることで固定される。例えば貼着部材33の貼着面33aが、第1B回動位置から時計まわりに回動して、仮想線LN5で示されるように、後方側が低い傾斜面となる第2B回動位置、及び第2B回動位置からさらに時計まわりに回動させて、仮想線LN6でしめされるように、貼着面33aが鉛直面となる第3B回動位置でも固定できる。
【0031】
車載用カメラ装置91Bは、第2アタッチメント3が、貼着部材33の貼着面33aが水平となる第1B回動位置から、後方に回動して倒れ鉛直を越えた姿勢となる第4B回動位置まで回動可能となっており、本体部1の前方側へは回動しないようになっている。これにより、第1B回動位置において、貼着面33aと本体部1の筐体11の上面11bとの間の上下方向の距離Hbをより小さくできる。すなわち、車載用カメラ装置91Bはコンパクトになる。
【0032】
図2Bに示されるように、第2アタッチメント3が、貼着部材33の貼着面33aが鉛直面となる第3B回動位置にあるときに、筐体11の後端面11cよりも貼着面33aが後方側に位置している。これにより、車載用カメラ装置91Bは、仮想線LN6沿って鉛直に配置された車両のボディ或いは窓ガラスなどの被取り付け部材に第2アタッチメント3を取り付けて、本体部1のカメラユニット15によって被取り付け部材を通さず直接光景を撮像することができる。
【0033】
次に、上述の車載用カメラ装置91Aの取り付け態様例を図4A及び図4Bを参照して、また、車載用カメラ装置91Bの取り付け態様例を図4Cを参照して説明する。
【0034】
図4Aに示される取り付け態様例のように、車載用カメラ装置91Aは、車両のフロントガラスM1の車室側となる内面に取り付けることができる。この例において、第1アタッチメント2は、貼着面22aが前方が低くなるように傾斜した第2A回動位置とされ、光軸CLcが概ね水平となる姿勢の本体部1によって車両の前方の光景を透明部材であるフロントガラスM1を通して撮像可能である。
【0035】
図4Bに示される取り付け態様例のように、車載用カメラ装置91Aは、車両のほぼ鉛直姿勢のリアガラスM2の車室側となる内面に取り付けることができる。この例において、第1アタッチメント2は、貼着面22aが概ね鉛直となる第3A回動位置とされ、光軸CLcが概ね水平となる姿勢の本体部1によって車両の後方の光景を透明部材であるリアガラスM2を通して撮像可能である。
【0036】
図4C(a)及び(b)に示される取り付け態様例のように、車載用カメラ装置91Bは、車両MのボディMaの後部Mb(例えばナンバープレートの近傍)の外面に取り付けることができる。この例において、第2アタッチメント3は、第3B回動位置とされ、光軸CLcが概ね水平となる姿勢の本体部1によって車両の後方の光景を、ガラスなどの部材を通さず被取り付け部材となるボディMaを背にして直接撮像できる。
【0037】
以上詳述したように、本発明の車載用カメラキット91及び車載用カメラ装置の取り付け構造TKは、取り付け位置或いは用途に応じて、第1アタッチメント2と第2アタッチメント3とを使いわけ可能である。すなわち、本体部1に取り付け可能な第1アタッチメント2及び第2アタッチメント3のうち、一方を選択的に取り付けることで、小型でありながら車室内及び車室外の両方に取り付けできる。すなわち、車載用カメラキット91及び車載用カメラ装置の取り付け構造TKによれば、車両のフロントガラス,サイドガラス,及びリアガラスの内面に取り付けて車室内及び車室外の撮像が可能であり、車室外のボディに取り付けて車両周囲の光景を撮像することができる。
【0038】
具体的には、車載用カメラキット91及び車載用カメラ装置の取り付け構造TKは、例えば、車両の窓ガラスの内側の面に取り付けて窓ガラスを通して車室外の光景を撮像する第1用途と、例えば車両のボディ表面などに取り付けて窓ガラスを通さずに直接車両周囲の光景を撮像する第2用途との両方の用途に利用可能である。このため、使い勝手が良好である。
【0039】
また、特許文献1に記載されたような従来の技術を用いてこのような第1用途と第2用途との両方に利用可能にするには、被取り付け部材に取り付けるベースを、本体部に対し前後方向の広範囲に回動可能にする必要がある。詳しくは、第1用途ではベースを本体部に対し前方側に回動させ、第2用途ではベースを本体部に対し後方側に回動させる。この場合、回動させるベースが本体部に干渉しないように支持部を長くする必要があり、車載用カメラ装置全体が大型化する、という問題が生じる。これに対し、車載用カメラキット91及び車載用カメラ装置の取り付け構造TKは、第1アタッチメント2及び第2アタッチメント3の回動範囲が大きくないことからこれらをコンパクトに形成できる。これにより、車載用カメラ装置91A,91Bは小型化可能である。
【0040】
以上詳述した一態様は、その構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形した変形例としてもよい。
【0041】
第2アタッチメント3は、第2台座部3Bとして形状の異なる複数種類のものを用意し、ユーザ或いは車両への取り付けを行う販売店などが、その複数種類のものから、取り付け態様に応じて最適なものを選択して利用するようにしてもよい。
例えば、第2台座部3Bとして、上述のような貼着部材33が貼付されたもの、貼着部材33が取り付けられてなく被取り付け部材にボルトナットで取り付けるための取り付け孔が形成されているもの、などを用意しておくとよい。
【0042】
車載用カメラキット91は、例えば、本体部1と、第1アタッチメント2と、第2アタッチメント3とが独立して梱包されていてもよく、本体部1に対し、第1アタッチメント2及び第2アタッチメント3の一方が取り付け済みで、他方が同梱されているものであってもよい。
【0043】
第1アタッチメント2及び第2アタッチメント3を取り付けるための固定用ねじ孔14が設けられる面は、本体部1の左側面に限定されず、右側面であってもよい。
【0044】
第2アタッチメント3は、基部ユニット3Aを有さずに第2台座部3Bが直接的に本体部1の筐体11に回動可能に取り付けられるものであってもよい。この場合、本体部1の左側面又は右側面における上後方位置に、上前方位置に設けられた固定用ねじ孔14とは別の、第2台座部3Bを直接取り付けるための固定用ねじ孔を設けるとよい。
【0045】
車載用カメラ装置91A,91Bは、単にカメラ装置であるものに限定されず、カメラの機能を備えた装置であればよい。例えば、ドライブレコーダ、カメラ付き情報端末などであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 本体部
11 筐体
11a 段部
11b 上面
11c 後端面
12 突出部
14 固定用ねじ孔
15 カメラユニット
16 レセプタクル
2 第1アタッチメント
21 第1台座部
211,212 腕部
213 連結板
22 貼着部材
22a 貼着面
23 ザグリ穴
24 貫通孔
3 第2アタッチメント
3A 基部ユニット
3B 第2台座部
31 第1基部
311,312 腕部
313 ザグリ穴
314 貫通孔
315 固定用ねじ孔
315a 凹部
32 第2基部
33 貼着部材
33a 貼着面
34,35 腕部
342 貫通孔
6 プラグ
6c ケーブル
91 車載用カメラキット
91A,91B 車載用カメラ装置
CLc 光軸
CL1,CL3,CL32 軸線
Ha,Hb 距離
LN1~LN7 仮想線
M 車両
Ma ボディ(被取り付け部材)
Mb 後部
M1 フロントガラス(被取り付け部材)
M2 リアガラス(被取り付け部材)
N1,N2 ボルト
TK 車載用カメラ装置の取り付け構造
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C