(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130526
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】冷凍機
(51)【国際特許分類】
F25B 1/10 20060101AFI20240920BHJP
F25B 1/053 20060101ALI20240920BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20240920BHJP
H02K 7/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F25B1/10 F
F25B1/053 D
H02K7/14 B
H02K7/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040310
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春木 悠
(72)【発明者】
【氏名】袴田 和英
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607AA02
5H607BB01
5H607BB14
5H607DD03
5H607FF07
5H607GG01
5H607GG14
(57)【要約】
【課題】ポンプ等を用いずに電動機を冷却できる構成としながらも冷却効率が高い冷凍機を提供する。
【解決手段】冷凍機は、第1段圧縮機と、第2段圧縮機と、前記第1段圧縮機からの冷媒を前記第2段圧縮機に導く冷媒流路と、前記第1段圧縮機及び前記第2段圧縮機を駆動する電動機と、を含む圧縮機アッセンブリと、前記第2段圧縮機からの冷媒が導かれる凝縮器と、前記凝縮器からの冷媒が導かれる膨張弁と、前記膨張弁からの冷媒が導かれ、前記第1段圧縮機に前記冷媒を導く蒸発器と、前記圧縮機アッセンブリ、前記凝縮器、前記膨張弁及び前記蒸発器を閉ループ状に接続する冷媒循環流路と、前記圧縮機アッセンブリにおいて前記第1段圧縮機と前記第2段圧縮機との間の前記冷媒流路を前記電動機に接続する冷却前流路、及び、前記電動機を前記冷媒循環流路に接続する冷却後流路を含む冷却流路と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1段圧縮機と、第2段圧縮機と、前記第1段圧縮機からの冷媒を前記第2段圧縮機に導く冷媒流路と、前記第1段圧縮機及び前記第2段圧縮機を駆動する電動機と、を含む圧縮機アッセンブリと、
前記第2段圧縮機からの冷媒が導かれる凝縮器と、
前記凝縮器からの冷媒が導かれる膨張弁と、
前記膨張弁からの冷媒が導かれ、前記第1段圧縮機に前記冷媒を導く蒸発器と、
前記圧縮機アッセンブリ、前記凝縮器、前記膨張弁及び前記蒸発器を閉ループ状に接続する冷媒循環流路と、
前記圧縮機アッセンブリにおいて前記第1段圧縮機と前記第2段圧縮機との間の前記冷媒流路を前記電動機に接続する冷却前流路、及び、前記電動機を前記冷媒循環流路に接続する冷却後流路を含む冷却流路と、を備える、冷凍機。
【請求項2】
前記冷却後流路は、前記電動機を、前記冷媒循環流路における前記膨張弁と前記蒸発器との間の部分に接続する、請求項1に記載の冷凍機。
【請求項3】
前記電動機は、
ロータと、
前記ロータの径方向外方にあるステータと、
前記ロータに接続された回転軸と、
前記回転軸を支持する軸受と、
前記ロータ、前記ステータ、前記回転軸及び前記軸受を収容するハウジングと、
前記冷却前流路に接続された流入口と、
前記冷却後流路に接続された流出口と、
前記流入口を前記流出口に連通させる内部流路と、を含み、
前記内部流路は、前記ステータ、前記ロータ及び前記軸受のいずれかを冷却する少なくとも1つの冷却部を有する、請求項1又は2に記載の冷凍機。
【請求項4】
前記軸受は、前記内部流路に連通する流体軸受である、請求項3に記載の冷凍機。
【請求項5】
前記少なくとも1つの冷却部は、前記ステータと前記ロータとの間のギャップであるステータ内周空間と、前記軸受に冷媒を吐出する吐出口と、を含み、
前記ステータ内周空間は、前記内部流路において前記吐出口よりも上流側にある、請求項3に記載の冷凍機。
【請求項6】
前記少なくとも1つの冷却部は、前記ハウジングと前記ステータとの間のギャップであるステータ外周空間と、前記軸受に冷媒を吐出する吐出口と、を含み、
前記ステータ外周空間は、前記内部流路において前記吐出口よりも上流側にある、請求項3に記載の冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を備えた冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器に冷媒を循環させる冷媒循環流路を備えた冷凍機が知られている。特許文献1には、圧縮機及びその圧縮機を駆動する電動機を備えた冷凍機が開示されている。電動機は、駆動に伴って発熱するため冷却することが望まれる。当該冷凍機では、冷媒循環流路から抽出した冷媒を電動機に導くことで、ポンプを用いることなく電動機が冷却されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷媒循環流路から抽出した冷媒が電動機に向かって流れて電動機内を通流するためには、電動機に導く冷媒が高圧であることが望まれる。しかし、高圧の冷媒を電動機に導くと、電動機内を冷媒が流れるときに圧損が大きくなり、冷凍機の冷却効率が低下する。
【0005】
そこで本開示の一態様では、ポンプ等を用いずに圧縮機を駆動する電動機を冷却できる構成としながらも冷却効率が高い冷凍機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る冷凍機は、第1段圧縮機と、第2段圧縮機と、前記第1段圧縮機からの冷媒を前記第2段圧縮機に導く冷媒流路と、前記第1段圧縮機及び前記第2段圧縮機を駆動する電動機と、を含む圧縮機アッセンブリと、前記第2段圧縮機からの冷媒が導かれる凝縮器と、前記凝縮器からの冷媒が導かれる膨張弁と、前記膨張弁からの冷媒が導かれ、前記第1段圧縮機に前記冷媒を導く蒸発器と、前記圧縮機アッセンブリ、前記凝縮器、前記膨張弁及び前記蒸発器を閉ループ状に接続する冷媒循環流路と、前記圧縮機アッセンブリにおいて前記第1段圧縮機と前記第2段圧縮機との間の前記冷媒流路を前記電動機に接続する冷却前流路、及び、前記電動機を前記冷媒循環流路に接続する冷却後流路を含む冷却流路と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、ポンプ等を用いずに圧縮機を駆動する電動機を冷却できる構成としながらも冷却効率が高い冷凍機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る冷凍機の模式図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る冷凍機の電動機の模式図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係る冷凍機の電動機の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る冷凍機1の模式図である。
図1に示すように、冷凍機1は、圧縮機アッセンブリ2、凝縮器3、膨張弁4、蒸発器5、冷媒循環流路6、及び、冷却流路7を備える。
【0011】
圧縮機アッセンブリ2は、第1段圧縮機11、第2段圧縮機12、電動機13、及び、冷媒流路14を含むユニットである。第1段圧縮機11及び第2段圧縮機12は、インペラを備えたターボ式圧縮機であるが、他の種類の圧縮機であってもよい。冷媒流路14は、第1段圧縮機11を第2段圧縮機12に流体的に接続している。第2段圧縮機12には、冷媒流路14を介して第1段圧縮機11からの冷媒が導かれる。電動機13は、第1段圧縮機11及び第2段圧縮機12を駆動する。
【0012】
電動機13は、第1段圧縮機11と第2段圧縮機12との間に配置されている。第1段圧縮機11は、電動機13の回転軸22の第1端部に接続されている。第2段圧縮機12は、電動機13の回転軸22の第2端部に接続されている。
【0013】
凝縮器3には、第2段圧縮機12からの冷媒が導かれる。凝縮器3は、圧縮機アッセンブリ2から出た高圧高温の気体冷媒を凝縮して液化させる。凝縮器3は、冷却空気、冷却水又は代替フロンのような冷却流体によって気体冷媒を間接冷却することで気体冷媒を液化させる熱交換器である。
【0014】
膨張弁4には、凝縮器3からの冷媒が導かれる。膨張弁4は、凝縮器3から出た高圧の液体冷媒を減圧する。膨張弁4を通過した液体冷媒は、少し蒸気を含む程度に低圧化されて蒸発しやすい状態になる。膨張弁4を出る冷媒は、膨張弁4に入る冷媒よりも低温となる。
【0015】
蒸発器5には、膨張弁4からの冷媒が導かれる。蒸発器5は、膨張弁4から出た低温の冷媒を気化させる。蒸発器5は、空気、水又は代替フロンのような流体によって冷媒を間接的に加熱することで、冷媒を気化する熱交換器である。
【0016】
冷媒循環流路6は、圧縮機アッセンブリ2、凝縮器3、膨張弁4、及び、蒸発器5を閉ループ状に接続する。冷媒循環流路6は、圧縮機アッセンブリ2の第2段圧縮機12を凝縮器3に接続する冷媒流路31と、凝縮器3を膨張弁4に接続する冷媒流路32と、膨張弁4を蒸発器5に接続する冷媒流路33と、蒸発器5を第1段圧縮機11に接続する冷媒流路34と、を含む。冷媒流路34は、第1段圧縮機11、冷媒流路14及び第2段圧縮機12を介して、冷媒流路31に接続されている。
【0017】
冷却流路7は、冷却前流路41、電動機流路42、及び、冷却後流路43を含む。冷却前流路41は、圧縮機アッセンブリ2における第1段圧縮機11と第2段圧縮機12との間の冷媒流路14を、電動機13の電動機流路42に接続している。電動機流路42は、電動機13の内部に画定された流路である。冷却後流路43は、電動機13の電動機流路42を冷媒循環流路6に接続している。
【0018】
具体的には、冷却後流路43は、電動機13の電動機流路42を、冷媒循環流路6における膨張弁4と蒸発器5との間の冷媒流路33に接続している。そのため、電動機13を冷却して昇温した冷媒が冷媒循環流路6に戻って蒸発器5を通過して冷媒が再び適切に低温化される。なお、冷却後流路43は、膨張弁4と蒸発器5との間の冷媒流路33に接続される代わりに、凝縮器3と膨張弁4との間の冷媒流路32に接続されてもよい。
【0019】
第1段圧縮機11と第2段圧縮機12との間の冷媒流路14の冷媒圧力は、蒸発器5と第1段圧縮機11との間の冷媒流路34の冷媒圧力よりも高い。第2段圧縮機12と凝縮器3との間の冷媒流路31の冷媒圧力は、第1段圧縮機11と第2段圧縮機12との間の冷媒流路14の冷媒圧力よりも高い。
【0020】
第1段圧縮機11と第2段圧縮機12との間の冷媒流路14の冷媒温度は、蒸発器5と第1段圧縮機11との間の冷媒流路34の冷媒温度よりも高い。第2段圧縮機12と凝縮器3との間の冷媒流路31の冷媒温度は、第1段圧縮機11と第2段圧縮機12との間の冷媒流路14の冷媒温度よりも高い。なお、
図1に記載された圧力及び温度の値は、技術理解の容易化のために記載した一例に過ぎず、特にそれに限定されるものではない。
【0021】
電動機13は、ハウジング21、回転軸22、ロータ23、ステータ24、第1ラジアル軸受25、第2ラジアル軸受26、スラスト軸受27、第1シール28、及び、第2シール29と、を備える。ハウジング21は、回転軸22、ロータ23、ステータ24、第1ラジアル軸受25、第2ラジアル軸受26、及び、スラスト軸受27を収容する。回転軸22は、ハウジング21に収容されるとともにハウジング21の両側から外方に突出している。ロータ23は、回転軸22と共回転するように回転軸22に接続されている。以下、ロータ23の回転軸線が延びる方向を単に「軸方向」と称し、ロータ23の軸方向に直交する径方向を単に「径方向」と称する。
【0022】
ステータ24は、ロータ23の径方向外方にあり、ロータ23に径方向外方から対向している。ステータ24は、ハウジング21の径方向内方にあり、ハウジング21に径方向内方から対向している。ロータ23とステータ24との間のギャップは、ステータ内周空間C1と称する。ステータ24とハウジング21の間のギャップは、ステータ外周空間C2と称する。
【0023】
第1ラジアル軸受25は、回転軸22の第1端部を径方向に支持するようにハウジング21内に配置されている。第2ラジアル軸受26は、回転軸22の第2端部を径方向に支持するようにハウジング21内に配置されている。スラスト軸受27は、回転軸22から径方向に突出した軸フランジ30を軸方向に支持するようにハウジング21内に配置されている。第1ラジアル軸受25、第2ラジアル軸受26及びスラスト軸受27は、流体軸受である。なお、
図1において矢印線で描かれた電動機流路42のうち軸受25,26,27に沿って描かれた矢印線部分は、軸受25,26,27の内部を流れていることを意味している。また、軸受25~27は、流体軸受とする代わりに他の種類の軸受としてもよい。
【0024】
電動機13は、冷媒が通流可能な電動機流路42を有する。電動機流路42は、流入口51、流出口52~54、及び、内部流路55を含む。流入口51は、ハウジング21に設けられ、冷却前流路41に接続されている。流出口52~54は、ハウジング21に設けられ、冷却後流路43に接続されている。なお、ハウジング21は、複数の流入口を有してもよく、1つのみの流出口を有してもよい。
【0025】
内部流路55は、ハウジング21内において流入口51を流出口52~54に連通させる流路である。内部流路55は、ステータ内周空間C1及びステータ外周空間C2を含む。内部流路55は、第1ラジアル軸受25に冷媒を吐出する吐出口C3と、第2ラジアル軸受26に冷媒を吐出する吐出口C4と、スラスト軸受27に冷媒を吐出する吐出口C5と、を更に含む。本実施形態では、軸受25~27が流体軸受であるため、内部流路55は、軸受25~27も含むことになる。
【0026】
内部流路55は、ロータ23、ステータ24、第1ラジアル軸受25、第2ラジアル軸受26及びスラスト軸受27を冷却する複数の冷却部55aを有する。本実施形態では、前記複数の冷却部55aは、ステータ内周空間C1、ステータ外周空間C2及び吐出口C3~C5である。ステータ内周空間C1の冷媒は、ロータ23の外周面及びステータ24の内周面を冷却する。ステータ外周空間C2の冷媒は、ステータ24の外周面を冷却する。吐出口C3から出る冷媒は、第1ラジアル軸受25を冷却する。吐出口C4から出る冷媒は、スラスト軸受27を冷却する。吐出口C5から出る冷媒は、第2ラジアル軸受26を冷却する。
【0027】
第1ラジアル軸受25、第2ラジアル軸受26及びスラスト軸受27は、気体冷媒が流れる内部流路55に連通している。即ち、軸受25~27は、内部流路55を流れる気体冷媒が供給される気体軸受である。吐出口C3から吐出された冷媒が第1ラジアル軸受25の流体膜として利用される。吐出口C4から吐出された冷媒がスラスト軸受27の流体膜として利用される。吐出口C5から吐出されて冷媒が第2ラジアル軸受26の流体膜として利用される。なお、スラスト軸受27をハウジング21の外部に露出させる領域には、スラスト軸受27を密封する第1シール28が配置されている。第2ラジアル軸受26をハウジング21の外部に露出させる領域には、第2ラジアル軸受26を密封する第2シール29が配置されている。
【0028】
図2は、
図1の電動機13の冷却系統のブロック図である。
図1及び2に示すように、電動機流路42の内部流路55は、互いに並列配置された3つの流路P1~P3を含む。第1流路P1では、流入口51からの冷媒が、ステータ内周空間C1、第2ラジアル軸受26及び流出口52の順に流れる。第2流路P2では、流入口51からの冷媒が、第1側軸受(即ち、第1ラジアル軸受25及びスラスト軸受27)及び流出口53の順に流れる。スラスト軸受27は、内部流路55においてラジアル軸受25の下流側に直列配置されている。第3流路P3では、流入口51からの冷媒が、ステータ外周空間C2及び流出口54の順に流れる。
【0029】
ステータ内周空間C1は、内部流路55において吐出口C5及び第2ラジアル軸受26よりも上流側にある。そのため、1つの流路P1が、ステータ内周空間C1に冷媒を流す流路と、第2ラジアル軸受26に冷媒を流す流路と、を兼ねる。これにより、流路を増やし過ぎずに、ロータ23及びステータ24を効果的に冷却することができる。
【0030】
以上に説明した構成によれば、二段圧縮式の圧縮機アッセンブリ2を用い、圧縮機アッセンブリ2における第1段圧縮機11と第2段圧縮機12との間の冷媒流路14から冷媒が抽出される。そのため、抽出される冷媒の圧力が第1段圧縮機11によって適度に高められる一方で、圧縮機アッセンブリ2の下流側から冷媒が抽出される場合比べ、抽出される冷媒の圧力が低くなり、電動機13を冷媒が流れるときの圧損が低減される。よって、ポンプ等を用いずに電動機13を冷却できる構成としながらも冷却効率が高い冷凍機1を提供できる。更に、第1段圧縮機11と第2段圧縮機12との間の冷媒流路14から冷媒が抽出されることで、圧縮機アッセンブリ2の下流側から冷媒が抽出される場合に比べ、抽出される冷媒の温度が低くなり、電動機13を冷却する性能を高めることができる。
【0031】
電動機13の冷却系統は
図2の例に限られない。例えば、
図3に示すように、1つの流路が、ステータ内周空間C1に冷媒が流れる流路と、第1ラジアル軸受25及びスラスト軸受27に流れる流路と、を兼ねるようにしてもよい。これによっても、流路を増やし過ぎずにロータ23及びステータ24を効果的に冷却することができる。
【0032】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態に係る冷凍機の電動機113の模式図である。
図5は、
図4の電動機113の冷却系統のブロック図である。なお、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明を省略する。
図4及び5に示すように、電動機流路142の内部流路155は、1つの流路P10と、その流路P10の下流側に直列的に接続された流路P11,P12とを含み、流路P11と流路P12とは互いに並列配置されている。第1流路P10では、流入口51からの冷媒がステータ外周空間C2を流れる。第2流路P11では、ステータ外周空間C2からの冷媒が、ステータ内周空間C1、第2ラジアル軸受26及び流出口152の順に流れる。第3流路P12では、ステータ外周空間C2からの冷媒が、第1側軸受(即ち、第1ラジアル軸受25及びスラスト軸受27)及び流出口153の順に流れる。
【0033】
ステータ外周空間C2には、流入口51からの冷媒が十分な流量で流れるため、ステータ24の冷却効果が高められる。また、ステータ内周空間C1は、内部流路155において第2ラジアル軸受26よりも上流側にある。そのため、1つの流路P11が、ステータ内周空間C1に冷媒が流れる流路と、第2ラジアル軸受26に流れる流路と、を兼ねる。これにより、流路を増やし過ぎずに、ロータ23及びステータ24を効果的に冷却することができる。
【0034】
なお、電動機113の冷却系統は
図5の例に限られない。例えば、
図6に示すように、1つの流路が、ステータ内周空間C1に冷媒が流れる流路と、第1側軸受(即ち、第1ラジアル軸受25及びスラスト軸受27)に流れる流路と、を兼ねるようにしてもよい。これによっても、流路を増やし過ぎずにロータ23及びステータ24を効果的に冷却することができる。なお、他の構成は前述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0035】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係る冷凍機の電動機213の模式図である。
図8は、
図7の電動機213の冷却系統のブロック図である。なお、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明を省略する。
図7及び8に示すように、電動機流路242の内部流路255は、互いに並列配置された2つの流路P21,P22を含む。第1流路P21では、流入口51Aからの冷媒が、ステータ内周空間C1及び第2ラジアル軸受26の順に流れる。第2流路P2では、流入口51Bからの冷媒が、ステータ外周空間C2、第1ラジアル軸受25及びスラスト軸受27の順に流れる。
【0036】
ステータ内周空間C1は、内部流路255において第2ラジアル軸受26よりも上流側にある。そのため、1つの流路P21がステータ内周空間C1に冷媒が流れる流路と、第2ラジアル軸受26に流れる流路と、を兼ねる。また、ステータ外周空間C2は、内部流路255において第1側軸受(即ち、第1ラジアル軸受25及びスラスト軸受27)よりも上流側にある。そのため、1つの流路P22が、ステータ外周空間C2に冷媒が流れる流路と、第1側軸受(即ち、第1ラジアル軸受25及びスラスト軸受27)に流れる流路と、を兼ねる。これにより、流路を増やし過ぎずに、ロータ23及びステータ24を効果的に冷却することができる。
【0037】
なお、電動機213の冷却系統は
図8の例に限られない。例えば、
図9に示すように、1つの流路が、ステータ外周空間C2に冷媒が流れる流路と、第2ラジアル軸受26に流れる流路と、を兼ねるとともに、別の1つの流路が、ステータ内周空間C1に冷媒が流れる流路と、第1側軸受(即ち、第1ラジアル軸受25及びスラスト軸受27)に冷媒が流れる流路と、を兼ねるようにしてもよい。これによっても、流路を増やし過ぎずにロータ23及びステータ24を効果的に冷却することができる。なお、他の構成は前述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0038】
なお、本開示の技術は、前述した各実施形態に限定されるものではない。例えば、第1段圧縮機11及び第2段圧縮機12の両方とも、電動機13の第1側に配置されて電動機13の回転軸22の第1端部に接続されてもよい。第1段圧縮機11又は第2段圧縮機12のいずれか一方を廃止して、1つの電動機13に1つの圧縮機を設けてもよい。即ち、二段圧縮式の圧縮機アッセンブリの代わりに、一段圧縮式の圧縮機アッセンブリが用いられてもよい。また、三段圧縮式の圧縮機アッセンブリが用いられてもよい。
【0039】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかし、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。例えば、1つの実施形態中の一部の構成又は方法を他の実施形態に適用してもよく、実施形態中の一部の構成は、その実施形態中の他の構成から分離して任意に抽出可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれる。
【0040】
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0041】
[項目1]
第1段圧縮機と、第2段圧縮機と、前記第1段圧縮機からの冷媒を前記第2段圧縮機に導く冷媒流路と、前記第1段圧縮機及び前記第2段圧縮機を駆動する電動機と、を含む圧縮機アッセンブリと、
前記第2段圧縮機からの冷媒が導かれる凝縮器と、
前記凝縮器からの冷媒が導かれる膨張弁と、
前記膨張弁からの冷媒が導かれ、前記第1段圧縮機に前記冷媒を導く蒸発器と、
前記圧縮機アッセンブリ、前記凝縮器、前記膨張弁及び前記蒸発器を閉ループ状に接続する冷媒循環流路と、
前記圧縮機アッセンブリにおいて前記第1段圧縮機と前記第2段圧縮機との間の前記冷媒流路を前記電動機に接続する冷却前流路、及び、前記電動機を前記冷媒循環流路に接続する冷却後流路を含む冷却流路と、を備える、冷凍機。
【0042】
この構成によれば、二段圧縮式の圧縮機アッセンブリを用い、圧縮機アッセンブリにおける第1段圧縮機と第2段圧縮機との間の冷媒流路から冷媒が抽出される。そのため、抽出される冷媒の圧力が第1段圧縮機によって適度に高められる一方で、圧縮機アッセンブリの下流側から冷媒が抽出される場合比べ、抽出される冷媒の圧力が低くなり、電動機を冷媒が流れるときの圧損が低減される。よって、ポンプ等を用いずに圧縮機を駆動する電動機を冷却できる構成としながらも冷却効率が高い冷凍機を提供できる。
【0043】
[項目2]
前記冷却後流路は、前記電動機を、前記冷媒循環流路における前記膨張弁と前記蒸発器との間の部分に接続する、項目1に記載の冷凍機。
【0044】
この構成によれば、電動機を冷却して昇温した冷媒が冷媒循環流路に戻って蒸発器を通過することで、その冷媒を再び適切に低温化できる。
【0045】
[項目3]
前記電動機は、
ロータと、
前記ロータの径方向外方にあるステータと、
前記ロータに接続された回転軸と、
前記回転軸を支持する軸受と、
前記ロータ、前記ステータ、前記回転軸及び前記軸受を収容するハウジングと、
前記冷却前流路に接続された流入口と、
前記冷却後流路に接続された流出口と、
前記流入口を前記流出口に連通させる内部流路と、を含み、
前記内部流路は、前記ステータ、前記ロータ及び前記軸受のいずれかを冷却する少なくとも1つの冷却部を有する、項目1又は2に記載の冷凍機。
【0046】
この構成によれば、電動機のステータ、ロータ及び軸受の少なくとも1つを好適に冷却できる。
【0047】
[項目4]
前記軸受は、前記内部流路に連通する流体軸受である、項目3に記載の冷凍機。
【0048】
この構成によれば、冷凍機の冷媒を流体軸受に利用しながら当該軸受を冷却できる。
【0049】
[項目5]
前記少なくとも1つの冷却部は、前記ステータと前記ロータとの間のギャップであるステータ内周空間と、前記軸受に冷媒を吐出する吐出口と、を含み、
前記ステータ内周空間は、前記内部流路において前記吐出口よりも上流側にある、項目3又は4に記載の冷凍機。
【0050】
この構成によれば、ステータ及びロータを効果的に冷却しながら軸受も冷却できる。
【0051】
[項目6]
前記少なくとも1つの冷却部は、前記ハウジングと前記ステータとの間の空間であるステータ外周空間と、前記軸受に冷媒を吐出する吐出口と、を含み、
前記ステータ外周空間は、前記内部流路において前記吐出口よりも上流側にある、項目3乃至5のいずれかに記載の冷凍機。
【0052】
この構成によれば、ステータ及びロータを効果的に冷却しながら軸受も冷却できる。
【符号の説明】
【0053】
1 冷凍機
2 圧縮機アッセンブリ
3 凝縮器
4 膨張弁
5 蒸発器
6 冷媒循環流路
7 冷却流路
11 第1段圧縮機
12 第2段圧縮機
13 電動機
14 冷媒流路
21 ハウジング
22 回転軸
23 ロータ
24 ステータ
25 第1ラジアル軸受
26 第2ラジアル軸受
27 スラスト軸受
41 冷却前流路
42 電動機流路
43 冷却後流路
51 流入口
52~54 流出口
55 内部流路
55a 冷却部
C1 ステータ内周空間
C2 ステータ外周空間
C3~C5 吐出口