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▶ 株式会社ニッケンフェンスアンドメタルの特許一覧

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  • 特開-鋼製型枠 図1
  • 特開-鋼製型枠 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130531
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】鋼製型枠
(51)【国際特許分類】
   E04G 9/10 20060101AFI20240920BHJP
   E04G 9/00 20060101ALI20240920BHJP
   E04G 9/06 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E04G9/10 101B
E04G9/00 C
E04G9/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040316
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】593211636
【氏名又は名称】株式会社ニッケンフェンスアンドメタル
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】七町 泰造
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150AA19
2E150AA24
2E150BA03
2E150BA12
2E150BA32
2E150BA52
2E150BA54
(57)【要約】
【課題】設置とメンテナンスの手間を低減できる断熱性能を有する鋼製型枠を提供する。
【解決手段】実施形態における鋼製型枠1は、コンクリート用の鋼製型枠であって、面板2と、面板2の外周縁に沿って立つ周縁リブ3と、周縁リブ3で囲まれた枠内を仕切る中リブ4と、面板2の背面22側に塗布される断熱塗料5と、を備える。断熱塗料5は、多孔質材料を含む。断熱塗料5は、シリカエアロゲルを含む。断熱塗料5は、周縁リブ3と中リブ4に塗布される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート用の鋼製型枠であって、
面板と、前記面板の背面側に塗布される断熱塗料と、を備えること
を特徴とする鋼製型枠。
【請求項2】
前記断熱塗料は、熱伝導率が0.4W/m・k以下であること
を特徴とする請求項1記載の鋼製型枠。
【請求項3】
前記断熱塗料は、多孔質材料を含むこと
を特徴とする請求項1記載の鋼製型枠。
【請求項4】
前記断熱塗料は、エアロゲルを含むこと
を特徴とする請求項3記載の鋼製型枠。
【請求項5】
前記断熱塗料は、シリカエアロゲルを含むこと
を特徴とする請求項4記載の鋼製型枠。
【請求項6】
前記面板の背面側に起立して配置されるリブを更に備え、
前記断熱塗料は、前記リブに塗布されること
を特徴とする請求項1記載の鋼製型枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート用の鋼製型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
主に冬季のコンクリート打設においては、外気温が低下することでコンクリート表面の凍結や表面部と内部の温度差による内部応力のひび割れの発生等が懸念される。従来、型枠全体をシートで覆うとともにジェットヒーターや蒸気で給熱する等の対策をしているものの、大変な手間がかかる。
【0003】
そこで、断熱性能を有するコンクリート用の型枠に関する技術として、特許文献1、2が開示されている。特許文献1の断熱型枠装置は、型枠背面側に発泡スチロール等の断熱成形体が取り付けられる。特許文献2の型枠は、溶剤を混入せずに塗着したポリウレタン樹脂から成る塗膜層を、膜厚が0.5mm~2mmの厚さで設けてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-26918号公報
【特許文献2】特開平7-48926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の開示技術では、断熱成形体を型枠背面に嵌め込んで取り付けている。このため、断熱成形体の設置に時間がかかる。また、使用中に脱落するおそれもあり、更なる改良が求められる。
【0006】
特許文献2の開示技術では、断熱性能を確保しつつ、平滑な表面の塗膜層により離型性を確保できるとされている。しかしながら、面板のコンクリートが接触する面に塗膜層が塗着されることから、コンクリート硬化後に脱型した際に、塗膜層が剥離するおそれがある。このため、離型する度に塗膜層を塗着するメンテナンスが必要となる。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、設置とメンテナンスの手間を低減できる断熱性能を有する鋼製型枠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る鋼製型枠は、コンクリート用の鋼製型枠であって、面板と、前記面板の背面側に塗布される断熱塗料と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設置とメンテナンスの手間を低減できる断熱性能を有する鋼製型枠を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態における鋼製型枠の一例を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態における鋼製型枠の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した鋼製型枠を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(実施形態)
鋼製型枠1は、コンクリートを打設する際に用いられるコンクリート用の鋼製型枠である。鋼製型枠1は、面板2と、リブと、断熱塗料5と、を備える。
【0013】
面板2は、外形が矩形状に形成された鋼製の板材である。面板2は、コンクリートが接する正面21と、正面21の反対側の背面22と、を有する。リブは、面板2の背面22側に起立して配置される。リブは、周縁リブ3と、中リブ4と、を有する。周縁リブ3は、面板2の外周縁に沿って立つ鋼製の板材である。中リブ4は、周縁リブ3で囲まれた枠内を仕切る鋼製の板材である。
【0014】
断熱塗料5は、断熱性能を有する。面板2の背面22側に塗布される。断熱塗料5は、周縁リブ3の枠内側に塗布される。断熱塗料5は、中リブ4の主面に塗布される。断熱塗料5は、例えばローラーにより塗布することができる。断熱塗料5は、図示しないプライマーを介して面板2、周縁リブ3及び中リブ4に接着される。
【0015】
断熱塗料5は、例えば熱伝導率が0.4W/m・k以下である。断熱塗料5は、多孔質材料を含む。断熱塗料5として、例えば株式会社日進産業製のガイナ(登録商標)、株式会社シンマテリアルワン社製のキルコ(登録商標)、東日本塗料株式会社製の断熱コート、日本ペイント株式会社製のパーフェクトクーラーサーフ、株式会社プラスエコ製のエコキットHS-300が挙げられる。断熱塗料5としては、市販の塗料に、例えば有限会社東亜システムクリエイト社製のヒートカットパウダー(登録商標)を含むものであってもよい。
【0016】
断熱塗料5は、エアロゲルを含んでもよい。エアロゲルとして、例えばCABOT製のENOVA(登録商標)IC3120が挙げられる。断熱塗料5は、シリカエアロゲルを含んでもよい。シリカエアロゲルとして、例えば住友理工株式会社製のファインシュライト(登録商標)が挙げられる。
【0017】
断熱塗料5は、例えば中空バルーンを含んでもよい。断熱塗料5は、例えば真空バルーンを含んでもよい。
【0018】
断熱塗料5は、断熱性能を有する断熱層51と、断熱層51の上面に設けられて断熱層51を保護するための保護層52と、を有してもよい。保護層52を有することにより、断熱層51を保護することができる。保護層52として、例えばオキツモ株式会社製のエアロヒートカット等が挙げられる。
【0019】
本実施形態では、面板2の背面22側に塗布される断熱塗料5を備える。断熱塗料5が塗布されることにより、短時間で施工できる。このため、従来の断熱成形体を嵌め込む場合よりも、設置の手間を低減できる。
【0020】
また、本実施形態では、面板2の背面22側に塗布される断熱塗料5を備える。これにより、断熱塗料5がコンクリートに接しないものとなる。このため、コンクリートを離型する際に、断熱塗料5が剥離されるのを防止できる。その結果、メンテナンスの手間を低減できる。
【0021】
また、本実施形態によれば、面板2の背面22側に塗布される断熱塗料5を備える。これにより、断熱性能が確保されることから、冬季のコンクリート打設における凍害防止や内部応力の発生に伴うひび割れ対策に寄与する。また、夏季においては鋼製型枠1自体が高温になるのを抑制できる。
【0022】
本実施形態では、断熱塗料5は、熱伝導率が0.4W/m・k以下である。これにより、断熱性能をより確保できる。
【0023】
本実施形態では、断熱塗料5は、多孔質材料を含む。これにより、断熱性能をより確保できる。
【0024】
本実施形態では、断熱塗料5は、エアロゲルを含む。これにより、断熱性能を更に確保できる。
【0025】
本実施形態では、断熱塗料5は、シリカエアロゲルを含む。これにより、断熱性能を一層確保できる。
【0026】
本実施形態では、断熱塗料5は、中リブ4に塗布される。これにより、中リブ4から面板2への熱の伝達が抑制される。このため、断熱性能をより確保できる。
【0027】
本実施形態では、断熱塗料5は、周縁リブ3に塗布される。これにより、周縁リブ3から面板2への熱の伝達が抑制される。このため、断熱性能をより確保できる。
【0028】
以上、この発明のいくつか実施形態を説明したが、これら実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。さらに、この発明は、上記の実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記の実施形態は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
1 :鋼製型枠
2 :面板
21 :正面
22 :背面
3 :周縁リブ
4 :中リブ
5 :断熱塗料
51 :断熱層
52 :保護層
図1
図2