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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130535
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】色処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20240920BHJP
   H04N 1/62 20060101ALI20240920BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20240920BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H04N1/60
H04N1/62
G03G15/01 J
B41J2/525
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040323
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118108
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 洋之
(72)【発明者】
【氏名】横橋 麻美
(72)【発明者】
【氏名】山内 薫
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 稔弘
(72)【発明者】
【氏名】久保 昌彦
【テーマコード(参考)】
2H300
【Fターム(参考)】
2H300EB05
2H300EB12
2H300EC02
2H300EC05
2H300EF03
2H300EH22
2H300EJ01
2H300EJ10
2H300EJ48
2H300EJ50
2H300FF14
2H300FF20
2H300GG12
2H300RR21
2H300SS04
2H300SS12
2H300TT03
2H300TT04
(57)【要約】
【課題】特殊色トナーとして蛍光トナーを用いた場合に、基本色トナー及び特殊色トナーによる色域として、適切な色域を生成する。
【解決手段】1又は複数のプロセッサを備え、1又は複数のプロセッサは、基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件、及び、画像が形成される記録媒体に対する基本色トナー及び特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件の両方が満たされるか否かを示すトナー情報を取得し、基本色トナー及び特殊色トナーによる色域を、トナー情報に応じた色域の外郭の頂点を用いて生成する、色処理システム。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のプロセッサを備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件、及び、画像が形成される記録媒体に対する当該基本色トナー及び当該特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件の両方が満たされるか否かを示すトナー情報を取得し、
前記基本色トナー及び前記特殊色トナーによる色域を、前記トナー情報に応じた当該色域の外郭の頂点を用いて生成する、
色処理システム。
【請求項2】
前記トナー情報に応じた前記頂点は、前記色域の暗部における外郭の前記頂点である、請求項1に記載の色処理システム。
【請求項3】
前記第2の条件は、前記特殊色トナーが、当該特殊色トナーの色相に隣接する色相の色の前記基本色トナーである特定基本色トナーよりも上刷りされるという条件である、請求項1に記載の色処理システム。
【請求項4】
前記トナー情報に応じた前記頂点は、
前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされる場合は、前記特殊色トナーの色を含まず前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される前記頂点であり、
前記第1の条件及び前記第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、前記特殊色トナーの色及び前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される前記頂点である、
請求項3に記載の色処理システム。
【請求項5】
前記1又は複数のプロセッサは、
前記基本色トナー及び前記特殊色トナーを用いて形成された色見本の測色データを、前記トナー情報として取得する、
請求項3に記載の色処理システム。
【請求項6】
前記1又は複数のプロセッサは、
前記特殊色トナーの量が増えると明度が高くなる前記測色データを、前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされることを示す前記トナー情報として取得する、
請求項5に記載の色処理システム。
【請求項7】
前記1又は複数のプロセッサは、
他の色域から前記色域への色域圧縮を行い、
前記色域圧縮の結果を用いて、前記トナー情報に応じた作成条件に従い、色変換プロファイルを作成する、
請求項3に記載の色処理システム。
【請求項8】
前記トナー情報に応じた前記作成条件は、
前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされる場合は、前記特殊色トナーの色及び前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点の色を再現するのに用いられる当該特殊色トナーの量が最小であるという条件であり、
前記第1の条件及び前記第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、前記特殊色トナーの色を含まず前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点の色を再現するのに用いられる当該特殊色トナーの量が最大であるという条件である、
請求項7に記載の色処理システム。
【請求項9】
前記1又は複数のプロセッサは、
前記トナー情報に応じた色見本を出力するように制御する、
請求項3に記載の色処理システム。
【請求項10】
前記トナー情報に応じた前記色見本は、
前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされる場合は、前記特殊色トナーの色を含まず前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点を含む領域内の色を多くした前記色見本であり、
前記第1の条件及び前記第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、前記特殊色トナーの色及び前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点を含む領域内の色を多くした前記色見本である、
請求項9に記載の色処理システム。
【請求項11】
1又は複数のプロセッサを備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件が満たされるか否かを示す情報、及び、画像が形成される記録媒体に対する当該基本色トナー及び当該特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件が満たされるか否かを示す情報を取得し、
特定の色信号に基づいて、前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされる場合は、第1の色を再現し、前記第1の条件及び前記第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、当該第1の色とは異なる第2の色を再現する、
色処理システム。
【請求項12】
コンピュータに、
基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件、及び、画像が形成される記録媒体に対する当該基本色トナー及び当該特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件の両方が満たされるか否かを示すトナー情報とを取得する機能と、
前記基本色トナー及び前記特殊色トナーによる色域を、前記トナー情報に応じた当該色域の外郭の頂点を用いて生成する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件が満たされるか否かを示す情報、及び、画像が形成される記録媒体に対する当該基本色トナー及び当該特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件が満たされるか否かを示す情報を取得する機能と、
特定の色信号に基づいて、前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされる場合は、第1の色を再現し、前記第1の条件及び前記第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、当該第1の色とは異なる第2の色を再現する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、目標色が得られるM個の色成分の値の組み合わせのうち、M個の色成分の値の総和が最小となるM個の色成分の値の組み合わせであって、あらかじめ設定されている制限を満たす組み合わせを条件選択部で選択し、選択したM個の色成分の値の組み合わせについて、変更部で制限を満たす範囲内で変更したM個の色成分の値の組み合わせを取得し、数調整部が、得られたM個の色成分の組み合わせの数を、色領域に応じて増減して、色票色の集合を得る色処理装置が記載されている。
特許文献2には、cmyk色変換処理部が、入力画像データをCMYK画像データに変換し、CMYKOG色変換処理部が、CMYK画像データを受け取り、色変換LUTを参照して、CMYKOGの画像信号へ変換し、色変換LUT作成部が、プロセス色材と特色色材の混色で最高彩度となる色を、入力cmyk空間の最高彩度に相当する辺上に色相順に配置して、隣接する色間の色差に応じて割り付け、その割り付けに応じた色変換LUTを作成する色変換処理方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-10083号公報
【特許文献2】特開2014-123893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基本色トナーに特殊色トナーを追加した場合、基本色トナー及び特殊色トナーによる色域を生成することになる。ここで、一般に、減法混色の原理により、トナーを重ねると色は暗くなっていくが、特殊色トナーとして蛍光トナーを用いた場合、トナーを重ねても色が暗くならないことがあり、トナーを重ねると色は暗くなるという前提の元では、適切な色域を生成することができない。
【0005】
本発明の目的は、特殊色トナーとして蛍光トナーを用いた場合に、基本色トナー及び特殊色トナーによる色域として、適切な色域を生成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、1又は複数のプロセッサを備え、前記1又は複数のプロセッサは、基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件、及び、画像が形成される記録媒体に対する当該基本色トナー及び当該特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件の両方が満たされるか否かを示すトナー情報を取得し、前記基本色トナー及び前記特殊色トナーによる色域を、前記トナー情報に応じた当該色域の外郭の頂点を用いて生成する、色処理システムである。
請求項2に記載の発明は、前記トナー情報に応じた前記頂点は、前記色域の暗部における外郭の前記頂点である、請求項1に記載の色処理システムである。
請求項3に記載の発明は、前記第2の条件は、前記特殊色トナーが、当該特殊色トナーの色相に隣接する色相の色の前記基本色トナーである特定基本色トナーよりも上刷りされるという条件である、請求項1に記載の色処理システムである。
請求項4に記載の発明は、前記トナー情報に応じた前記頂点は、前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされる場合は、前記特殊色トナーの色を含まず前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される前記頂点であり、前記第1の条件及び前記第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、前記特殊色トナーの色及び前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される前記頂点である、請求項3に記載の色処理システムである。
請求項5に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、前記基本色トナー及び前記特殊色トナーを用いて形成された色見本の測色データを、前記トナー情報として取得する、請求項3に記載の色処理システムである。
請求項6に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、前記特殊色トナーの量が増えると明度が高くなる前記測色データを、前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされることを示す前記トナー情報として取得する、請求項5に記載の色処理システムである。
請求項7に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、他の色域から前記色域への色域圧縮を行い、前記色域圧縮の結果を用いて、前記トナー情報に応じた作成条件に従い、色変換プロファイルを作成する、請求項3に記載の色処理システムである。
請求項8に記載の発明は、前記トナー情報に応じた前記作成条件は、前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされる場合は、前記特殊色トナーの色及び前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点の色を再現するのに用いられる当該特殊色トナーの量が最小であるという条件であり、前記第1の条件及び前記第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、前記特殊色トナーの色を含まず前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点の色を再現するのに用いられる当該特殊色トナーの量が最大であるという条件である、請求項7に記載の色処理システムである。
請求項9に記載の発明は、前記1又は複数のプロセッサは、前記トナー情報に応じた色見本を出力するように制御する、請求項3に記載の色処理システムである。
請求項10に記載の発明は、前記トナー情報に応じた前記色見本は、前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされる場合は、前記特殊色トナーの色を含まず前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点を含む領域内の色を多くした前記色見本であり、前記第1の条件及び前記第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、前記特殊色トナーの色及び前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点を含む領域内の色を多くした前記色見本である、請求項9に記載の色処理システムである。
請求項11に記載の発明は、1又は複数のプロセッサを備え、前記1又は複数のプロセッサは、基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件が満たされるか否かを示す情報、及び、画像が形成される記録媒体に対する当該基本色トナー及び当該特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件が満たされるか否かを示す情報を取得し、特定の色信号に基づいて、前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされる場合は、第1の色を再現し、前記第1の条件及び前記第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、当該第1の色とは異なる第2の色を再現する、色処理システムである。
請求項12に記載の発明は、コンピュータに、基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件、及び、画像が形成される記録媒体に対する当該基本色トナー及び当該特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件の両方が満たされるか否かを示すトナー情報とを取得する機能と、前記基本色トナー及び前記特殊色トナーによる色域を、前記トナー情報に応じた当該色域の外郭の頂点を用いて生成する機能と、を実現させるためのプログラムである。
請求項13に記載の発明は、コンピュータに、基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件が満たされるか否かを示す情報、及び、画像が形成される記録媒体に対する当該基本色トナー及び当該特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件が満たされるか否かを示す情報を取得する機能と、特定の色信号に基づいて、前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされる場合は、第1の色を再現し、前記第1の条件及び前記第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、当該第1の色とは異なる第2の色を再現する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、特殊色トナーとして蛍光トナーを用いた場合に、基本色トナー及び特殊色トナーによる色域として、適切な色域を生成することができる。
請求項2の発明によれば、トナー情報に応じた色域の外郭の頂点として、適切な頂点を設定することができる。
請求項3の発明によれば、特殊色トナーとして蛍光トナーを用いた場合に、基本色トナー及び特殊色トナーによる色域として、より適切な色域を生成することができる。
請求項4の発明によれば、トナー情報に応じた色域の外郭の頂点として、より適切な頂点を設定することができる。
請求項5の発明によれば、トナー情報を入力する手間を削減することができる。
請求項6の発明によれば、特殊色トナーが蛍光トナーであり特定基本色トナーよりも上刷りされることを示すトナー情報を容易に取得することができる。
請求項7の発明によれば、トナー情報に応じた色変換プロファイルを作成することができる。
請求項8の発明によれば、色変換プロファイルの品質を向上することができる。
請求項9の発明によれば、トナー情報に応じた色見本を出力することができる。
請求項10の発明によれば、色変換プロファイルの精度を効率的に向上可能な色見本を出力することができる。
請求項11の発明によれば、特殊色トナーとして蛍光トナーを用いた場合に、基本色トナー及び特殊色トナーにより、適切な色再現を行うことができる。
請求項12の発明によれば、特殊色トナーとして蛍光トナーを用いた場合に、基本色トナー及び特殊色トナーによる色域として、適切な色域を生成することができる。
請求項13の発明によれば、特殊色トナーとして蛍光トナーを用いた場合に、基本色トナー及び特殊色トナーにより、適切な色再現を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a),(b)は、基本色トナーに蛍光ピンクトナーを追加した場合の色域外郭について模式的に示す図である。
図2】本実施の形態における画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】本実施の形態における画像形成装置の機構例を示す図である。
図4】画像処理装置内のプロファイル作成装置の機能構成例を示すブロック図である。
図5】プロファイル作成装置内の色域作成部の機能構成例を示すブロック図である。
図6】トナー情報取得部がトナー情報を取得する第1の方法を示す図である。
図7】トナー情報取得部がトナー情報を取得する第2の方法を示す図である。
図8】トナー情報取得部がトナー情報を取得する第3の方法を示す図である。
図9】特殊色トナー及び基本色トナーの刷り順ごとに特殊色トナーが基本色トナーより上刷りか下刷りかを示す図である。
図10】本実施の形態における色域作成部の動作例を示すフローチャートである。
図11】(a),(b)は、基本色トナーに特殊色トナーを追加した場合の色域外郭付近における特殊色トナー量の変化について説明するための図である。
図12】(a),(b)は、基本色トナーに特殊色トナーを追加した場合の色域外郭付近におけるパッチの密度について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
[本実施の形態の概要]
プリンタ、モニタ等の色装置で出力可能な色の領域のことを色域という。
色域は、各色の頂点をつないでいくことによって作成することができる。
本実施の形態は、印刷の基本色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の基本色トナーに加えて特殊色トナーを使用する際の色域の作成に関するものである。
【0011】
一般に、減法混色の原理により、トナーを重ねるほど色域外郭の頂点は暗くなっていく。
しかしながら、特殊色トナーとして蛍光トナー等の蛍光発光成分を含むトナーを用いる場合は、トナーを重ねても暗くならないことがあり、トナーを重ねるほど暗くなるという前提の下では、暗部領域の最大色域を取得することができない。
従って、このような手法で色域を計算し、プロファイルを作成してしまうと、再現できるはずの色を使用できなくなる虞がある。
また、同じ蛍光トナーでも、基本色トナーの上に重ねる場合は発光により明るくなるが、基本色トナーの下に敷く場合は遮蔽されて発光しないため、蛍光トナーの使い方によって色域外郭をフレキシブルに変更することが求められる。
【0012】
そこで、本実施の形態は、基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件、及び、画像が形成される記録媒体に対する基本色トナー及び特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件の両方が満たされるか否かを示すトナー情報を取得し、基本色トナー及び特殊色トナーによる色域を、トナー情報に応じた色域の外郭の頂点を用いて生成する、色処理システムを提供する。
この色処理システムでは、色域の如何なる領域における外郭の頂点をトナー情報に応じたものとしてもよいが、色域の暗部における外郭の頂点をトナー情報に応じたものとすることが好ましい。
【0013】
換言すれば、本実施の形態は、特殊色トナーの種類の情報と、刷り順の情報とに基づいて、暗部の外郭頂点を切り替えて色域を作成する、というものである。ここで、刷り順とは、画像が形成される用紙等の記録媒体を基準として、特殊色トナーが基本色トナーよりも遠い側に形成されるか近い側に形成されるかの順序である。以下では、特殊色トナーが基本色トナーよりも記録媒体から遠い側に形成される場合、特殊色トナーが基本色トナーよりも「上刷り」されると称する。また、特殊色トナーが基本色トナーよりも記録媒体に近い側に形成される場合、特殊色トナーが基本色トナーよりも「下刷り」されると称する。
【0014】
例えば、特殊色トナーとして蛍光トナーであるピンク(P)トナー(以下、「蛍光ピンクトナー」という)を用いる場合のピンク付近の領域を考える。ここで、特殊色トナーがピンク(P)トナーである場合に、上刷りか下刷りかを判断する対象となる基本色トナーは、シアン(C)トナー及びマゼンタ(M)トナーである。これは、シアン(C)トナー及びマゼンタ(M)トナーが、ピンク(P)トナーの色に隣接する色相の色の基本色トナーだからである。
【0015】
即ち、上述した記録媒体に対する基本色トナー及び特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件は、特殊色トナーが、特殊色トナーの色に隣接する色相の色の基本色トナーである特定基本色トナーよりも上刷りされるという条件であってよい。
【0016】
図1(a),(b)は、基本色トナーに特殊色トナーを追加した場合の色域外郭について模式的に示す図である。尚、図中、縦軸L*は明度軸を示し、横軸C*は彩度軸を示し、Wは白を示す。
【0017】
図1(a)には、特殊色トナーとして蛍光ピンクトナーを基本色トナーの上に重ねる場合の色域外郭を示す。この場合、特殊色トナーを追加すると色が明るくなる。図では、矢印で示すように、CMにPを追加した場合やCMKにPを追加した場合に色が明るくなっている。そこで、本実施の形態では、細実線で示すように、暗部領域では、特殊色を含まない色で構成される頂点を用いて色域外郭を作成する。具体的には、W、CP、CMP、CM、CMK、CMYKの各頂点をつないでいくことによって、色域外郭を作成する。
【0018】
即ち、上述したトナー情報に応じた色域の外郭の頂点は、第1の条件及び第2の条件の両方が満たされる場合は、特殊色トナーの色を含まず特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される頂点としてよい。
【0019】
一方、図1(b)には、特殊色トナーとして蛍光ピンクトナーを基本色トナーの下に敷く場合の色域外郭を示す。この場合、特殊色トナーを追加すると色が暗くなる。図では、矢印で示すように、CMにPを追加した場合やCMKにPを追加した場合に色が暗くなっている。そこで、本実施の形態では、太破線で示すように、暗部領域では、特殊色を含む色で構成される頂点を用いて色域外郭を作成する。具体的には、W、CP、CMP、CMPK、CMK、CMYKの各頂点をつないでいくことによって、色域外郭を作成する。
尚、特殊色トナーとして蛍光トナーではないピンクトナーを用いる場合は、ピンクトナーを基本色トナーの上に重ねるか基本色トナーの下に敷くかに関わらず、図1(b)のように色域外郭を作成する。
【0020】
即ち、上述したトナー情報に応じた色域の外郭の頂点は、第1の条件及び第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、特殊色トナーの色及び特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される頂点としてよい。
【0021】
ここで、上述した色処理システムは、画像読取装置、画像形成装置等を備える画像処理装置やこのような画像処理装置以外の他の装置等の単一の装置でもよいし、画像処理装置と他の装置とによって構成されたものでもよい。但し、以下では、色処理システムとして、画像処理装置を例にとって説明する。
【0022】
[画像処理装置のハードウェア構成]
図2は、本実施の形態における画像処理装置10のハードウェア構成例を示した図である。図示するように、画像処理装置10は、プロセッサ11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、HDD(Hard Disk Drive)14と、操作パネル15と、通信インターフェース(以下、「通信I/F」と表記する)16と、画像読取装置20と、画像形成装置30とを備える。
【0023】
プロセッサ11は、ROM13等に記憶された各種プログラムをRAM12にロードして実行することにより、後述する各機能を実現する。
RAM12は、プロセッサ11の作業用メモリ等として用いられるメモリである。
ROM13は、プロセッサ11が実行する各種プログラム等を記憶するメモリである。
HDD14は、画像読取装置20が読み取った画像データや画像形成装置30における画像形成にて用いる画像データ等を記憶する例えば磁気ディスク装置である。
操作パネル15は、各種情報の表示やユーザからの操作入力の受付を行う例えばタッチパネルである。ここで、操作パネル15は、各種情報が表示されるディスプレイと、指やスタイラスペン等の指示手段で指示された位置を検出する位置検出シートとからなる。或いは、タッチパネルに代えて、ディスプレイ及びキーボードを用いてもよい。
通信I/F16は、通信回線を介して他の装置との間で各種情報の送受信を行う。
【0024】
画像読取装置20は、紙等の記録媒体に記録された画像を読み取る。ここで、画像読取装置20は、例えばスキャナであり、光源から原稿に照射した光に対する反射光をレンズで縮小してCCD(Charge Coupled Devices)で受光するCCD方式や、LED光源から原稿に順に照射した光に対する反射光をCIS(Contact Image Sensor)で受光するCIS方式のものを用いるとよい。
画像形成装置30は、紙等の記録媒体に画像を形成する。ここで、画像形成装置30は、例えばプリンタであり、感光体に付着させたトナーを記録媒体に転写して像を形成する電子写真方式や、インクを記録媒体上に吐出して像を形成するインクジェット方式のものを用いるとよい。
【0025】
[画像形成装置の全体構成]
図3は、本実施の形態における画像形成装置30の機構例を示す図である。画像形成装置30は、所謂タンデム型の装置であって、例えば、電子写真方式にて各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット31(31P1、31Y、31M、31C、31K、31P6)、各画像形成ユニット31にて形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる中間転写ベルト36、中間転写ベルト36上に転写された重ね画像を記録媒体Mに一括転写(二次転写)させる二次転写装置310、二次転写された画像を記録媒体M上に定着させる定着装置340、記録媒体M上に定着されたトナー像から色に関する特徴量を計測する測色センサ350を備えている。
【0026】
この画像形成装置30では、基本色のトナー像を形成する画像形成ユニット31Y、31M、31C、31Kの他に、ピンク(P)のトナー像を形成する2つの画像形成ユニット31P1、31P6がタンデムを構成する画像形成ユニットとして設けられている。尚、画像形成ユニット31P1、31P6は、これらを区別しない場合は、画像形成ユニット31Pと称する。
【0027】
本実施の形態において、各画像形成ユニット31(31P1、31Y、31M、31C、31K、31P6)は、矢印A方向に回転する感光体ドラム32の周囲に、これらの感光体ドラム32を帯電させる帯電器33、感光体ドラム32上に静電潜像を書き込むレーザ露光器34(図中露光ビームを符号Bmで示す)、各色成分トナーが収容されて感光体ドラム32上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器35、感光体ドラム32上に形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト36に転写する一次転写ロール37、感光体ドラム32上の残留トナーを除去するドラムクリーナ38等の電子写真用デバイスが順次配設されている。これらの画像形成ユニット31は、中間転写ベルト36の上流側から、ピンク(P色)、イエロー(Y色)、マゼンタ(M色)、シアン(C色)、黒(K色)、ピンク(P色)の順に配置されている。
【0028】
また、中間転写ベルト36は、各種ロールによって図に示す矢印B方向に回転可能に構成されている。この各種ロールとして、図示しないモータにより駆動されて中間転写ベルト36を回転させる駆動ロール315、中間転写ベルト36に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト36の蛇行を防止する機能を備えたテンションロール316、中間転写ベルト36を支持するアイドルロール317及びバックアップロール312(後述)を有している。
【0029】
また、一次転写ロール37には、トナーの帯電極性と逆極性の電圧が印加されるようになっており、これにより各々の感光体ドラム32上のトナー像が中間転写ベルト36に順次、静電吸引され、中間転写ベルト36上に重ねトナー像が形成されるようになっている。
【0030】
更に、二次転写装置310は、中間転写ベルト36のトナー像保持面側に圧接配置される二次転写ロール311と、中間転写ベルト36の裏面側に配置されて二次転写ロール311の対向電極をなすバックアップロール312とを備えており、このバックアップロール312には二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール313が接触配置されている。そして、二次転写ロール311には、二次転写ロール311に付着した汚れを除去するブラシロール314が接触配置されている。
【0031】
また、二次転写ロール311の下流側には二次転写後の中間転写ベルト36の表面をクリーニングするベルトクリーナ321が設けられている。
【0032】
更に、本実施の形態では、媒体搬送系として、記録媒体Mを収容する媒体収容部330、この媒体収容部330に集積された記録媒体Mを取り出して搬送するピックアップロール331、ピックアップロール331にて繰り出された記録媒体Mを搬送する搬送ロール332、搬送ロール332により搬送された記録媒体Mを二次転写装置310による二次転写位置へと送り込む媒体搬送路333、二次転写後の記録媒体Mを定着装置340へと搬送する搬送ベルト334を備えている。
【0033】
尚、この画像形成装置30では、ピンク(P)のトナー像を形成する画像形成ユニット31を2つ設けたが、ピンク(P)のトナー像を形成する画像形成ユニット31は1つだけ設けるようにしてもよい。この場合は、画像形成ユニット31の順番に基づいて、ピンクトナーが基本色トナーより上刷りされるか否かが判定可能となる。そして、この場合、ピンク(P)のトナー像を形成するために用いられなくなった画像形成ユニット31は、例えばグリーン(G)等のピンク以外の特殊色のトナー像を形成するために用いてもよい。
また、この画像形成装置30のように、ピンク(P)のトナー像を形成する画像形成ユニット31を2つ設ける場合は、何れか一方の画像形成ユニット31を中間転写ベルト36からリトラクトさせることにより、上刷り及び下刷りを切り替えるようにしてもよい。
【0034】
[プロファイル作成装置の機能構成]
図4は、図2の画像処理装置10内のプロファイル作成装置40の機能構成例を示すブロック図である。ここで、プロファイル作成装置40は、画像処理装置10のプロセッサ11(図2参照)が、後述する各処理部を実現するプログラムを例えばHDD14(図2参照)からRAM12(図2参照)に読み込んで実行することにより、実現される装置として捉えられる。図示するように、プロファイル作成装置40は、色域作成部50と、色域圧縮部60と、色分解部70とを備える。
【0035】
色域作成部50は、測色データと、トナー情報とに基づいて、色域を作成する。ここで、トナー情報は、詳しくは後述するが、特殊色トナーの種類を示すトナー種類情報と、基本色トナー及び特殊色トナーの刷り順を示すトナー順情報とを含む。色域の作成方法の詳細についても後述する。
【0036】
色域圧縮部60は、デバイス非依存のLab色空間内で、画像処理装置10で出力できない出力目標色域内の色に対して、画像処理装置10の色域内の色を割り当てる色域圧縮を行う。ここで、出力目標色域は、外部から与えられ、例えば、モニタに表示された色を画像処理装置10で再現する場合は、モニタの色域である。また、画像処理装置10の色域は、色域作成部50によって作成された色域である。
本実施の形態では、他の色域の一例として、出力目標色域を用いており、他の色域から生成された色域への色域圧縮を行う処理の一例として、色域圧縮部60の処理を行っている。
【0037】
色分解部70は、色域圧縮部60により画像処理装置10で出力できない出力目標色域内の色に割り当てられたLab色空間の色値を、デバイス依存のCMYKP色空間の色値に変換する色分解を行う。色分解部70は、この色分解により、色変換用のプロファイルを作成する。
【0038】
これにより、画像処理装置10は、ピンクトナーが蛍光トナーでありかつ基本色トナーより上刷りされている場合と、それ以外の場合とで、異なる色再現を行う。
即ち、画像処理装置10は、特定の色信号に基づいて、第1の条件及び第2の条件の両方が満たされる場合は、第1の色を再現し、第1の条件及び第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、第1の色とは異なる第2の色を再現する、色処理システムの一例である。
【0039】
図5は、図4のプロファイル作成装置40内の色域作成部50の機能構成例を示すブロック図である。図示するように、色域作成部50は、トナー情報取得部51と、色域頂点設定部52と、色域外郭算出部53と、測色データ取得部54と、色変換部55とを備える。
【0040】
トナー情報取得部51は、前述したように、特殊色トナーの種類を示すトナー種類情報と、基本色トナー及び特殊色トナーの刷り順を示すトナー順情報とを含むトナー情報を取得する。ここで、トナー種類情報は、特殊色トナーの色を示す情報と、特殊色トナーが蛍光トナーであるか否かを示す情報とを含む。また、トナー順情報は、特殊色トナーが基本色トナーよりも上刷りされているか否かを示す情報を含む。特殊色トナーが基本色トナーよりも上刷りされているか否かを示す情報は、特殊色トナーが特殊色に隣接する色相の基本色トナーよりも上刷りされているか否かを示す情報であってよい。
【0041】
本実施の形態では、基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件、及び、画像が形成される記録媒体に対する基本色トナー及び特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件の両方が満たされるか否かを示すトナー情報を取得する処理の一例として、トナー情報取得部51の処理を行っている。
また、本実施の形態では、基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件が満たされるか否かを示す情報、及び、画像が形成される記録媒体に対する基本色トナー及び特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件が満たされるか否かを示す情報を取得する処理の一例として、トナー情報取得部51の処理を行っている。
更に、本実施の形態では、第2の条件の一例として、特殊色トナーがその特殊色トナーの色相に隣接する色相の色の基本色トナーである特定基本色トナーよりも上刷りされるという条件を用いている。
【0042】
色域頂点設定部52は、トナー情報取得部51が取得したトナー情報に基づいて、色域外郭の頂点を設定する。
具体的には、色域頂点設定部52は、トナー種類情報を参照して、特殊色トナーが蛍光トナーであるか否かを判定し、トナー順情報を参照して、特殊色トナーが特殊色に隣接する色相の基本色トナーよりも上刷りされているか否かを判定する。
ここで、特殊色トナーが蛍光トナーであり、かつ、特殊色トナーが特殊色に隣接する色相の基本色トナーよりも上刷りされていると判定した場合、色域頂点設定部52は、図1(a)に示したように色域外郭の頂点を設定する。つまり、色域頂点設定部52は、暗部領域では、特殊色を含まず、特殊色に隣接する色相の基本色を含む色の組み合わせで構成された頂点を、色域外郭の頂点に設定する。
また、特殊色トナーが蛍光トナーでない、又は、特殊色トナーが特殊色に隣接する色相の基本色トナーよりも上刷りされていないと判定した場合、色域頂点設定部52は、図1(b)に示したように色域外郭の頂点を設定する。つまり、色域頂点設定部52は、特殊色及び特殊色に隣接する色相の基本色を含む色の組み合わせで構成された頂点を、色域外郭の頂点に設定する。
【0043】
本実施の形態では、トナー情報に応じた色域の外郭の頂点を設定する処理の一例として、色域頂点設定部52の処理を行っている。ここで、トナー情報に応じた色域の外郭の頂点は、色域の暗部における外郭の頂点であってよい。
また、本実施の形態では、トナー情報に応じた色域の外郭の頂点として、第1の条件及び第2の条件の両方が満たされる場合は、特殊色トナーの色を含まず特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される頂点を設定し、第1の条件及び第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、特殊色トナーの色及び特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される頂点を設定する処理の一例として、色域頂点設定部52の処理を行っている。
【0044】
色域外郭算出部53は、色域頂点設定部52が設定した頂点をつなげることにより、色域の外郭を算出する。
【0045】
測色データ取得部54は、画像処理装置10が出力した色を測色した結果である測色データを取得する。測色データは、例えば、画像処理装置10が色を出力する際に用いたデバイス依存のCMYKP色空間の色値と、その色を測色した結果であるデバイス非依存のLab色空間の色値とを対応付けたものとすればよい。
【0046】
色変換部55は、色域外郭算出部53が算出した色域の外郭のCMYKP色空間の色値を、測色データ取得部54が取得した測色データを用いて、Lab色空間の色値に変換する。これによって、画像処理装置10の色域が作成される。
【0047】
本実施の形態では、基本色トナー及び特殊色トナーによる色域を、トナー情報に応じた色域の外郭の頂点を用いて生成する処理の一例として、色域外郭算出部53及び色変換部55の処理を行っている。
【0048】
尚、ここでは、図4のプロファイル作成装置40がプロファイルを作成する際に、図5の色域作成部50を使用することとしたが、それ以外のタイミングで図5の色域作成部50を使用することとしてもよい。
【0049】
ここで、トナー情報取得部51がトナー情報を取得する方法について説明する。
図6は、トナー情報取得部51がトナー情報を取得する第1の方法を示す図である。第1の方法では、トナー情報取得部51は、操作パネル15(図2参照)に表示されたプロファイル作成UI520からトナー情報を取得する。図示するように、プロファイル作成UI520は、トナー種類情報入力欄521と、トナー順情報入力欄522とを含む。図では、トナー種類情報入力欄521に「蛍光ピンク」と入力されているので、トナー情報取得部51は、トナー種類情報として、特殊色トナーが蛍光ピンクトナーであることを示す情報を取得する。また、トナー順情報入力欄522に「ピンク:上刷り」と入力されているので、トナー情報取得部51は、トナー順情報として、特殊色トナーが基本色トナーより上刷りされていることを示す情報を取得する。
【0050】
図7は、トナー情報取得部51がトナー情報を取得する第2の方法を示す図である。第2の方法では、トナー情報取得部51は、画像処理装置10が出力したチャートを測色して得られた測色データ540に埋め込まれたトナー情報を取得する。図示するように、測色データ540は、要素記述541と、色値記述542とを含む。要素記述541は、色の要素の記述である。要素記述541のうち、トナー順に対応する部分は、左側を上刷り側、右側を下刷り側として、特殊色トナーが基本色トナーより上刷りされているか否かを示す。図では、要素記述541として「K C M Y P」と記述されているので、トナー情報取得部51は、トナー順情報として、特殊色トナーが基本色トナーより上刷りされていないことを示す情報を取得する。
【0051】
加えて、トナー情報取得部51は、測色データ540からトナー種類情報を取得してもよい。例えば、トナー順情報として特殊色トナーが基本色トナーより上刷りされていることを示す情報を取得した場合、トナー情報取得部51は、次のように、トナー種類情報を取得することが可能である。即ち、トナー情報取得部51は、測色データ540の色値記述542のK値、C値、M値、Y値が同じものにおけるP値及びL値を比較する。そして、P値が大きくなるに従ってL値が大きくなっていれば、トナー情報取得部51は、トナー種類情報として、特殊色トナーが蛍光トナーであることを示す情報を取得する。また、P値が大きくなるに従ってL値が小さくなっていれば、トナー情報取得部51は、トナー種類情報として、特殊色トナーが蛍光トナーでないことを示す情報を取得する。
【0052】
この場合、トナー情報取得部51の処理は、基本色トナー及び特殊色トナーを用いて形成された色見本の測色データを、トナー情報として取得する処理の一例である。
また、トナー情報取得部51の処理は、特殊色トナーの量が増えると明度が高くなる測色データを、第1の条件及び第2の条件の両方が満たされることを示すトナー情報として取得する処理の一例である。
【0053】
図8は、トナー情報取得部51がトナー情報を取得する第3の方法を示す図である。第3の方法では、トナー情報取得部51は、操作パネル15(図2参照)に表示されたプロファイル作成UI560からトナー情報を取得する。図示するように、プロファイル作成UI560は、プリントボタン561と、トナー順情報入力欄562とを含む。このプロファイル作成UI560において、ユーザがベースデータ用のチャートを出力するためにプリントボタン561を押下したとする。すると、例えばRAM12(図2参照)に記憶された画像形成ユニット31(図3参照)の順番又はリトラクト状態の情報に基づいて、破線矢印で示すように、ユーザの操作なしにトナー順情報入力欄562にトナー順情報が入力される。図では、トナー順情報入力欄562に「ピンク:上刷り」と入力されているので、トナー情報取得部51は、トナー順情報として、特殊色トナーが基本色トナーより上刷りされていることを示す情報を取得する。
【0054】
また、ここで、トナーの刷り順について具体的に説明する。
図9(a),(b)は、特殊色トナー及び基本色トナーのトナー順ごとに特殊色トナーが基本色トナーより上刷りか下刷りかを示す図である。尚、トナー順欄においては、左側が記録媒体から遠い側、右側が記録媒体に近い側であるものとする。また、これらはあくまで例であって、全てのトナー順を網羅しているわけではない。
【0055】
図9(a)は、基本色トナーにピンク(P)トナーを追加した場合について示す。ピンク(P)に隣接する色相の基本色は、シアン(C)及びマゼンタ(M)である。
従って、ピンク(P)がシアン(C)及びマゼンタ(M)の両方より記録媒体から遠い側にある「PYMCK」、「YPMCK」は、ピンク上刷りとなっている。
また、ピンク(P)がシアン(C)及びマゼンタ(M)の少なくとも一方より記録媒体に近い側にある「YMCKP」、「YMCPK」、「YMPCK」は、ピンク下刷りとなっている。
【0056】
図9(b)は、基本色トナーにピンク(P)トナー及びグリーン(G)トナーを追加した場合について示す。ピンク(P)に隣接する色相の基本色は、シアン(C)及びマゼンタ(M)であり、グリーン(G)に隣接する色相の基本色は、シアン(C)及びイエロー(Y)である。
従って、ピンク(P)がシアン(C)及びマゼンタ(M)の両方より記録媒体から遠い側にあり、グリーン(G)がシアン(C)及びイエロー(Y)の両方より記録媒体から遠い側にある「PGYMCK」、「GYPMCK」は、ピンク上刷りかつグリーン上刷りとなっている。
また、ピンク(P)がシアン(C)及びマゼンタ(M)の両方より記録媒体から遠い側にあり、グリーン(G)がシアン(C)及びイエロー(Y)の少なくとも一方より記録媒体に近い側にある「PYGMCK」、「PYMCKG」は、ピンク上刷りかつグリーン下刷りとなっている。
更に、ピンク(P)がシアン(C)及びマゼンタ(M)の少なくとも一方より記録媒体に近い側にあり、グリーン(G)がシアン(C)及びイエロー(Y)の両方より記録媒体から遠い側にある「GYMCKP」、「GYMPCK」は、ピンク下刷りかつグリーン上刷りとなっている。
更にまた、ピンク(P)がシアン(C)及びマゼンタ(M)の少なくとも一方より記録媒体に近い側にあり、グリーン(G)がシアン(C)及びイエロー(Y)の少なくとも一方より記録媒体に近い側にある「YMCKPG」は、ピンク下刷りかつグリーン下刷りとなっている。
【0057】
[色域作成部の動作例]
図10は、本実施の形態における色域作成部50の動作例を示すフローチャートである。
図示するように、色域作成部50では、まず、トナー情報取得部51が、トナー種類情報とトナー順情報とを含むトナー情報を取得する(ステップ501)。
【0058】
次に、色域頂点設定部52が、特殊色を含む点が暗部で最大色域をとると仮定して、色域外郭の各頂点を設定する(ステップ502)。ここで、色域頂点設定部52は、基本色については、事前に与えられた色値を用いて、特殊色については、ステップ501で取得されたトナー種類情報に含まれる特殊色の色情報を用いて、各頂点を設定するとよい。
【0059】
次に、色域頂点設定部52は、ステップ501で取得されたトナー種類情報に基づいて、特殊色トナーが蛍光トナーであるか否かを判定する(ステップ503)。
ステップ503で特殊色トナーが蛍光トナーでないと判定されれば、色域頂点設定部52は、処理をステップ506へ進める。
ステップ503で特殊色トナーが蛍光トナーであると判定されれば、色域頂点設定部52は、ステップ501で取得されたトナー順情報に基づいて、特殊色トナーが、特殊色に隣接する色相の基本色トナーより上刷りであるか否かを判定する(ステップ504)。
【0060】
ステップ504で、特殊色トナーが、特殊色に隣接する色相の基本色トナーより上刷りでないと判定されれば、色域頂点設定部52は、処理をステップ506へ進める。
ステップ504で、特殊色トナーが、特殊色に隣接する色相の基本色トナーより上刷りであると判定されれば、色域頂点設定部52は、特殊色と、特殊色に隣接する色相の基本色2色と、黒(K)とで構成される頂点を、特殊色に隣接する色相の基本色2色で構成される頂点に置き換える(ステップ505)。つまり、色域頂点設定部52は、特殊色で明るくなる場合に、暗部の頂点を、特殊色を含まない点に置き換える。そして、色域頂点設定部52は、処理をステップ506へ進める。
【0061】
その後、色域外郭算出部53が、ステップ502で設定された頂点を用いて、又は、ステップ502で設定された頂点及びステップ505で置き換えられた後の頂点を用いて、色域外郭を算出する(ステップ506)。
次に、測色データ取得部54が、測色データを取得する(ステップ507)。
そして最後に、色変換部55が、ステップ506で算出された色域外郭と、ステップ507で取得された測色データとに基づいて、色変換を行う(ステップ508)。これにより、色域が作成される。
【0062】
尚、特殊色が複数ある場合は、ステップ502~ステップ505の処理をその特殊色数分繰り返して行うとよい。
【0063】
[第1の変形例]
第1の変形例は、色域作成部50が色域を切り替えるだけではなく、色分解部70がプロファイル作成条件を切り替えることで、品質を向上させる、というものである。
具体的には、色分解部70が色分解を行う際に用いる特殊色トナー量比率を切り替えることで、特殊色トナー量の急峻な変化を防ぎ、階調性を保つ。ここで、特殊色トナー量比率とは、CMYKの一部を特殊色に置き換えて同じ色を再現する場合の特殊色トナー量の比率である。
【0064】
図11(a),(b)は、基本色トナーに特殊色トナーを追加した場合の色域外郭付近における特殊色トナー量の変化について説明するための図である。
【0065】
図11(a)には、特殊色トナーとして蛍光ピンクトナーを基本色トナーの上に重ねる場合の色域外郭を示す。この場合、領域R11において、太破線で表される面の特殊色トナー量比率を最大にすると、矢印で示す方向に急峻にピンク量が減少し、階調段差が生じる。そこで、第1の変形例では、領域R11において、太破線で表される面の特殊色トナー量比率を最小にすることにより、矢印で示す方向に緩やかにピンク量を変化させる。
その際、CMP、CMPK、CMKを結ぶ領域の全体にわたって特殊色トナー量比率を最小とすることが好ましいが、この領域の一部のみ特殊色トナー量比率を最小にしてもよい。例えば、特殊色トナーを含むCMPKのみ特殊色トナー量比率を最小にしてもよい。
【0066】
この場合、色分解部70の処理は、色域圧縮の結果を用いて、トナー情報に応じた作成条件に従い、色変換プロファイルを作成する処理の一例である。
また、色分解部70の処理は、第1の条件及び第2の条件の両方が満たされる場合は、特殊色トナーの色及び特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点の色を再現するのに用いられる特殊色トナーの量が最小であるという作成条件に従い、色変換プロファイルを作成する処理の一例である。
【0067】
一方、図11(b)には、特殊色トナーとして蛍光ピンクトナーを基本色トナーの下に敷く場合の色域外郭を示す。この場合、領域R12において、細実線で表される面の特殊色トナー量比率を最小にすると、矢印で示す方向に急峻にピンク量が増加し、階調段差が生じる。そこで、第1の変形例では、領域R12において、細実線で表される面の特殊色トナー量比率を最大にすることにより、矢印で示す方向に緩やかにピンク量を変化させる。
その際、CMP、CM、CMKを結ぶ領域の全体にわたって特殊色トナー量比率を最大とすることが好ましいが、この領域の一部のみ特殊色トナー量比率を最大にしてもよい。例えば、特殊色トナーを含まないCMのみ特殊色トナー量比率を最大にしてもよい。
尚、特殊色トナーが蛍光トナーでない場合も、図11(b)の考え方を適用すればよい。
【0068】
この場合、色分解部70の処理は、色域圧縮の結果を用いて、トナー情報に応じた作成条件に従い、色変換プロファイルを作成する処理の一例である。
また、色分解部70の処理は、第1の条件及び第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、特殊色トナーの色を含まず特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点の色を再現するのに用いられる特殊色トナーの量が最大であるという作成条件に従い、色変換プロファイルを作成する処理の一例である。
【0069】
[第2の変形例]
本実施の形態では、トナーの刷り順によって色域を判定できるので、チャートの測色を行うことなく色域作成方法を変更することができる。
本実施の形態のような多色プロファイラでは、プロファイルを作成するために用いるパッチ数が非常に多く、これを少しでも少なくしたいという要求がある。
暗部外郭付近の領域は色が振れやすいため、その領域のベースデータをより細かくとれるチャートを選定した方が、色の予測精度が上がり、プロファイルの精度を向上できる。
そこで、第2の変形例では、チャートを印刷する前に外郭となる色の組み合わせを判定し、必要性の高いパッチセットを採用することで、最低限必要なパッチ数でプロファイルの精度を向上する。
【0070】
図12(a),(b)は、基本色トナーに特殊色トナーを追加した場合の色域外郭付近におけるパッチの密度について説明するための図である。
【0071】
図12(a)には、特殊色トナーとして蛍光ピンクトナーを基本色トナーの上に重ねる場合の色域外郭を示す。この場合、外郭付近の領域R21において、パッチを細かくとることが好ましい。即ち、特殊色を含む色の組み合わせのパッチの密度よりも、特殊色を含まない色の組み合わせのパッチの密度を高くしたチャートを用いて測色した方がよい。
【0072】
この場合、画像処理装置10は、トナー情報に応じた色見本を出力するように制御する色処理システムの一例である。
また、画像処理装置10は、第1の条件及び第2の条件の両方が満たされる場合は、特殊色トナーの色を含まず特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点を含む領域内の色を多くした色見本を出力するように制御する色処理システムの一例である。
【0073】
一方、図12(b)には、特殊色トナーとして蛍光ピンクトナーを基本色トナーの下に敷く場合の色域外郭を示す。この場合、外郭付近の領域R22において、パッチを細かくとることが好ましい。即ち、特殊色を含まない色の組み合わせのパッチの密度よりも、特殊色を含む色の組み合わせのパッチの密度を高くしたチャートを用いて測色した方がよい。
尚、特殊色トナーが蛍光トナーでない場合も、図12(b)の考え方を適用すればよい。
【0074】
この場合、画像処理装置10は、トナー情報に応じた色見本を出力するように制御する色処理システムの一例である。
また、画像処理装置10は、第1の条件及び第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、特殊色トナーの色及び特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点を含む領域内の色を多くした色見本を出力するように制御する色処理システムの一例である。
【0075】
[本実施の形態の効果]
本実施の形態では、特殊色トナーの種類の情報と、刷り順の情報とに基づいて、暗部の外郭頂点を切り替えて色域を作成するようにした。これにより、特殊色トナーとして蛍光トナーを用いた場合の色域として、適切な色域が生成されることとなった。
また、本実施の形態では、同色相かつ最高彩度となる基本色と特殊色の組み合わせを探索し、特殊色を使用した場合の方が外側にある場合はその組み合わせを採用するような手法に比べて、計算負荷が低いため、短時間で適切な色域が生成される。
【0076】
[プロセッサ]
本実施の形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
また、本実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、本実施の形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、変更してもよい。
【0077】
[プログラム]
本実施の形態における色域作成部50が行う処理は、例えば、アプリケーションソフトウェア等のプログラムとして用意される。
この場合、本実施の形態を実現する第1のプログラムは、コンピュータに、基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件、及び、画像が形成される記録媒体に対する基本色トナー及び特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件の両方が満たされるか否かを示すトナー情報とを取得する機能と、基本色トナー及び特殊色トナーによる色域を、トナー情報に応じた色域の外郭の頂点を用いて生成する機能と、を実現させるためのプログラムとして捉えられる。
また、本実施の形態を実現する第2のプログラムは、コンピュータに、基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件が満たされるか否かを示す情報、及び、画像が形成される記録媒体に対する基本色トナー及び特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件が満たされるか否かを示す情報を取得する機能と、特定の色信号に基づいて、第1の条件及び第2の条件の両方が満たされる場合は、第1の色を再現し、第1の条件及び第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、第1の色とは異なる第2の色を再現する機能と、実現させるためのプログラムとして捉えられる。
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0078】
[付記]
(((1)))
1又は複数のプロセッサを備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件、及び、画像が形成される記録媒体に対する当該基本色トナー及び当該特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件の両方が満たされるか否かを示すトナー情報を取得し、
前記基本色トナー及び前記特殊色トナーによる色域を、前記トナー情報に応じた当該色域の外郭の頂点を用いて生成する、
色処理システム。
(((2)))
前記トナー情報に応じた前記頂点は、前記色域の暗部における外郭の前記頂点である、(((1)))に記載の色処理システム。
(((3)))
前記第2の条件は、前記特殊色トナーが、当該特殊色トナーの色相に隣接する色相の色の前記基本色トナーである特定基本色トナーよりも上刷りされるという条件である、(((1)))又は(((2)))に記載の色処理システム。
(((4)))
前記トナー情報に応じた前記頂点は、
前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされる場合は、前記特殊色トナーの色を含まず前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される前記頂点であり、
前記第1の条件及び前記第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、前記特殊色トナーの色及び前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される前記頂点である、
(((3)))に記載の色処理システム。
(((5)))
前記1又は複数のプロセッサは、
前記基本色トナー及び前記特殊色トナーを用いて形成された色見本の測色データを、前記トナー情報として取得する、
(((3)))又は(((4)))に記載の色処理システム。
(((6)))
前記1又は複数のプロセッサは、
前記特殊色トナーの量が増えると明度が高くなる前記測色データを、前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされることを示す前記トナー情報として取得する、
(((5)))に記載の色処理システム。
(((7)))
前記1又は複数のプロセッサは、
他の色域から前記色域への色域圧縮を行い、
前記色域圧縮の結果を用いて、前記トナー情報に応じた作成条件に従い、色変換プロファイルを作成する、
(((3)))乃至(((6)))の何れかに記載の色処理システム。
(((8)))
前記トナー情報に応じた前記作成条件は、
前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされる場合は、前記特殊色トナーの色及び前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点の色を再現するのに用いられる当該特殊色トナーの量が最小であるという条件であり、
前記第1の条件及び前記第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、前記特殊色トナーの色を含まず前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点の色を再現するのに用いられる当該特殊色トナーの量が最大であるという条件である、
(((7)))に記載の色処理システム。
(((9)))
前記1又は複数のプロセッサは、
前記トナー情報に応じた色見本を出力するように制御する、
(((3)))乃至(((8)))の何れかに記載の色処理システム。
(((10)))
前記トナー情報に応じた前記色基本は、
前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされる場合は、前記特殊色トナーの色を含まず前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点を含む領域内の色を多くした前記色見本であり、
前記第1の条件及び前記第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、前記特殊色トナーの色及び前記特定基本色トナーの色を含む色の組み合わせで構成される点を含む領域内の色を多くした前記色見本である、
(((9)))に記載の色処理システム。
(((11)))
1又は複数のプロセッサを備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件が満たされるか否かを示す情報、及び、画像が形成される記録媒体に対する当該基本色トナー及び当該特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件が満たされるか否かを示す情報を取得し、
特定の色信号に基づいて、前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされる場合は、第1の色を再現し、前記第1の条件及び前記第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、当該第1の色とは異なる第2の色を再現する、
色処理システム。
(((12)))
コンピュータに、
基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件、及び、画像が形成される記録媒体に対する当該基本色トナー及び当該特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件の両方が満たされるか否かを示すトナー情報とを取得する機能と、
前記基本色トナー及び前記特殊色トナーによる色域を、前記トナー情報に応じた当該色域の外郭の頂点を用いて生成する機能と、
を実現させるためのプログラム。
(((13)))
コンピュータに、
基本色トナーに追加される特殊色トナーが蛍光トナーであるという第1の条件が満たされるか否かを示す情報、及び、画像が形成される記録媒体に対する当該基本色トナー及び当該特殊色トナーの刷り順に関する第2の条件が満たされるか否かを示す情報を取得する機能と、
特定の色信号に基づいて、前記第1の条件及び前記第2の条件の両方が満たされる場合は、第1の色を再現し、前記第1の条件及び前記第2の条件の少なくとも一方が満たされない場合は、当該第1の色とは異なる第2の色を再現する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【0079】
(((1)))の発明によれば、特殊色トナーとして蛍光トナーを用いた場合に、基本色トナー及び特殊色トナーによる色域として、適切な色域を生成することができる。
(((2)))の発明によれば、トナー情報に応じた色域の外郭の頂点として、適切な頂点を設定することができる。
(((3)))の発明によれば、特殊色トナーとして蛍光トナーを用いた場合に、基本色トナー及び特殊色トナーによる色域として、より適切な色域を生成することができる。
(((4)))の発明によれば、トナー情報に応じた色域の外郭の頂点として、より適切な頂点を設定することができる。
(((5)))の発明によれば、トナー情報を入力する手間を削減することができる。
(((6)))の発明によれば、特殊色トナーが蛍光トナーであり特定基本色トナーよりも上刷りされることを示すトナー情報を容易に取得することができる。
(((7)))の発明によれば、トナー情報に応じた色変換プロファイルを作成することができる。
(((8)))の発明によれば、色変換プロファイルの品質を向上することができる。
(((9)))の発明によれば、トナー情報に応じた色見本を出力することができる。
(((10)))の発明によれば、色変換プロファイルの精度を効率的に向上可能な色見本を出力することができる。
(((11)))の発明によれば、特殊色トナーとして蛍光トナーを用いた場合に、基本色トナー及び特殊色トナーにより、適切な色再現を行うことができる。
(((12)))の発明によれば、特殊色トナーとして蛍光トナーを用いた場合に、基本色トナー及び特殊色トナーによる色域として、適切な色域を生成することができる。
(((13)))の発明によれば、特殊色トナーとして蛍光トナーを用いた場合に、基本色トナー及び特殊色トナーにより、適切な色再現を行うことができる。
【符号の説明】
【0080】
10…画像処理装置、30…画像形成装置、40…プロファイル作成装置、50…色域作成部、51…トナー情報取得部、52…色域頂点設定部、53…色域外郭算出部、54…測色データ取得部、55…色変換部、60…色域圧縮部、70…色分解部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12