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特開2024-130542工程記録管理装置、および、工程記録管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130542
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】工程記録管理装置、および、工程記録管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240920BHJP
   G01N 21/88 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
G06Q50/04
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040337
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】大西 貴子
(72)【発明者】
【氏名】藤井 心平
(72)【発明者】
【氏名】笠原 啓雅
(72)【発明者】
【氏名】紺田 隆一郎
【テーマコード(参考)】
2G051
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2G051BA05
2G051BA06
2G051BA20
2G051EA14
2G051EC01
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】検査画像の保存について好適な管理を行う。
【解決手段】工程記録管理装置(100)は、判定条件に基づいて検査画像の保存の要否を決定するルールを複数含む保存ルールデータベース(155)と、検査画像に関する情報である画像情報を保存するための画像情報データベース(156)と、保存ルールに基づいて検査画像の保存の要否を決定し、その結果に従って画像データベース(154)に検査画像を保存し、当該検査画像を保存することを決定した保存ルールの識別符号を含んだ画像情報を画像情報データベースに保存する、画像保存要否判定部(111)を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査装置から取得された検査画像を保存するための画像データベースと、
所定の判定条件に基づいて前記検査画像を保存するか否かを決定するためのルールであって、識別符号がそれぞれ付された複数の保存ルールを含む保存ルールデータベースと、
前記画像データベースに保存された前記検査画像に関する画像情報を保存するための画像情報データベースと、を記憶した記憶部と、
前記保存ルールに基づいて前記検査画像を保存するか否かを判定し、判定の結果に従って前記画像データベースに前記検査画像を記憶する処理を実行し、当該判定に供した前記保存ルールの識別符号を含む前記画像情報を前記画像情報データベースに記憶する処理を実行する、画像保存要否判定部と、を備えた、工程記録管理装置。
【請求項2】
前記画像情報に基づいて前記画像データベースに保存されたいずれの前記検査画像を消去または圧縮するかを判定し、判定結果に従って前記検査画像の消去または圧縮を実行する、画像優先度判定部を更に備えた、請求項1に記載の工程記録管理装置。
【請求項3】
前記記憶部は、
前記検査画像の優先度を含む情報である優先度情報を保存するための優先度情報データベースを更に記憶しており、
前記画像情報に基づいて前記優先度を算出して前記優先度情報データベースに優先度情報を保存し、前記優先度情報に基づいて前記画像データベースに保存されたいずれの前記検査画像を消去または圧縮するかを判定し、判定結果に従って前記画像データベースに保存された前記検査画像の消去または圧縮を実行する、画像優先度判定部を更に備えた、請求項1に記載の工程記録管理装置。
【請求項4】
前記画像優先度判定部は、
前記画像情報データベースに保存された所定の条件を満たす一部の前記画像情報のみについて前記優先度を算出して、前記優先度情報データベースに保存された前記優先度の更新を行う処理を実行する、請求項3に記載の工程記録管理装置。
【請求項5】
前記保存ルールには、前記検査画像を保存する場合のデータ圧縮率が指定されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の工程記録管理装置。
【請求項6】
前記記憶部は、
前記検査装置がワークを検査したときの前記検査装置の状態に係る情報である工程情報を保存するための工程情報データベース、
前記ワークの製品種に係る情報である品番情報を保存するための品番情報データベース、
前記検査装置が出力した検査値を保存するための検査結果データベース、のうちの少なくともいずれかのデータベースを更に記憶しており、
前記保存ルールは、前記検査画像に係る前記ワークについての、前記工程情報、前記品番情報、前記検査値のうちの少なくともいずれかの保存先に関する情報を前記画像情報に含めることを指定し得る、請求項1から4のいずれか1項に記載の工程記録管理装置。
【請求項7】
前記保存ルールは、前記検査装置が検査したワークについての、前記検査装置以外の装置による検査結果を利用した判定条件を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の工程記録管理装置。
【請求項8】
前記保存ルールは、前記検査装置が検査したワークの製品種に係る情報を利用した判定条件を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の工程記録管理装置。
【請求項9】
前記保存ルールは、前記検査装置がワークを検査したときの前記検査装置の状態に係る情報を利用した判定条件を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の工程記録管理装置。
【請求項10】
前記保存ルールの判定条件におけるパラメタが変更可能に構成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の工程記録管理装置。
【請求項11】
前記工程記録管理装置外部から、前記保存ルールデータベースにおける保存ルールの変更、追加または削除が実行可能に構成されている、請求項10に記載の工程記録管理装置。
【請求項12】
所定の判定条件に基づいて検査装置から取得された検査画像の保存をするか否かを決定するためのルールであって、識別符号がそれぞれ付された複数の保存ルールを含む保存ルールデータベースを生成するステップと、
前記保存ルールデータベースに含まれる前記保存ルールに基づいて前記検査画像を保存するか否かを判定するステップと、
判定した結果に従って、前記検査画像を画像データベースとして保存し、当該検査画像の識別符号と、当該検査画像を保存することを判定した前記保存ルールの識別符号とを含んだ画像情報を、画像情報データベースとして保存するステップと、を備えた工程記録管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工程記録管理装置、および、工程記録管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生産工程における検査装置が撮影した検査画像の保存についての管理を行う技術が知られている。検査画像の全てを検査画像データベースで保存することは、膨大なデータ量となり非現実的であるため、これらの技術ではデータ量を抑制することが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開公報WO02/023480
【特許文献2】特開2021-144000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査画像データベースに保存された検査画像は、例えば特定の個別の製品において市場での不具合が判明したときに、当該製品が製造されたときの状況を確認するためにも利用される。このような用途はトレーサビリティ用途とも称される。
【0005】
一方、検査画像は日々蓄積していくため、後日利用される可能性の低い検査画像については検査画像データベースから消去する必要が生じる。この場合に、例えば一律に古いデータを削除するようなことが従来行われてきたが、トレーサビリティ用途の観点からすると望ましくはない。本発明の一態様は、トレーサビリティ用途の観点から検査画像の保存についての好適な管理を行うことができる、工程記録管理装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る工程記録管理装置は、検査装置から取得された検査画像を保存するための画像データベースと、所定の判定条件に基づいて前記検査画像を保存するか否かを決定するためのルールであって、識別符号がそれぞれ付された複数の保存ルールを含む保存ルールデータベースと、前記画像データベースに保存された前記検査画像に関する画像情報を保存するための画像情報データベースと、を記憶した記憶部と、前記保存ルールに基づいて前記検査画像を保存するか否かを判定し、判定の結果に従って前記画像データベースに前記検査画像を記憶する処理を実行し、当該判定に供した前記保存ルールの識別符号を含む前記画像情報を前記画像情報データベースに記憶する処理を実行する、画像保存要否判定部と、を備える。
【0007】
本態様によれば、トレーサビリティ用途の観点から検査画像の保存についての好適な管理を行うことができる、工程記録管理装置が実現できる。
【0008】
上記態様において工程記録管理装置が、前記画像情報に基づいて前記画像データベースに保存されたいずれの前記検査画像を消去または圧縮するかを判定し、判定結果に従って前記検査画像の消去または圧縮を実行する、画像優先度判定部を更に備えてもよい。本態様によれば、画像情報データベースのメモリ資源使用量の好適な管理を行うことが実現できる。
【0009】
上記態様において工程記録管理装置が、前記記憶部は、前記検査画像の優先度を含む情報である優先度情報を保存するための優先度情報データベースを更に記憶しており、前記画像情報に基づいて前記優先度を算出して前記優先度情報データベースに優先度情報を保存し、前記優先度情報に基づいて前記画像データベースに保存されたいずれの前記検査画像を消去または圧縮するかを判定し、判定結果に従って前記画像データベースに保存された前記検査画像の消去または圧縮を実行する、画像優先度判定部を更に備えてもよい。
【0010】
本態様によれば、画像情報データベースのメモリ資源使用量の好適な管理を行うことが実現できる。
【0011】
上記態様において、前記画像優先度判定部は、前記画像情報データベースに保存された所定の条件を満たす一部の前記画像情報のみについて前記優先度を算出して、前記優先度情報データベースに保存された前記優先度の更新を行う処理を実行してもよい。本態様によれば、効率的にメモリ資源使用量の管理を行うことができる。
【0012】
上記態様において、前記保存ルールには、前記検査画像を保存する場合のデータ圧縮率が指定されていてもよい。本態様によれば、画像情報データベースのメモリ資源使用量を削減することができるようになる。
【0013】
上記態様において、前記記憶部は、前記検査装置がワークを検査したときの前記検査装置の状態に係る情報である工程情報を保存するための工程情報データベース、前記ワークの製品種に係る情報である品番情報を保存するための品番情報データベース、前記検査装置が出力した検査値を保存するための検査結果データベース、のうちの少なくともいずれかのデータベースを更に記憶しており、前記保存ルールは、前記検査画像に係る前記ワークについての、前記工程情報、前記品番情報、前記検査値のうちの少なくともいずれかの保存先に関する情報を前記画像情報に含めることを指定し得る。
【0014】
本態様によれば、トレーサビリティ用途の観点から検査画像の保存についてのより好適な管理を行うことができる、工程記録管理装置が実現できる。
【0015】
上記態様において、前記保存ルールは、前記検査装置が検査したワークについての、前記検査装置以外の装置による検査結果を利用した判定条件を含んでもよい。本態様によれば、トレーサビリティ用途の観点から検査画像の保存についてのより好適な管理を行うことができる、工程記録管理装置が実現できる。
【0016】
上記態様において、前記保存ルールは、前記検査装置が検査したワークの製品種に係る情報を利用した判定条件を含んでもよい。本態様によれば、トレーサビリティ用途の観点から検査画像の保存についてのより好適な管理を行うことができる、工程記録管理装置が実現できる。
【0017】
上記態様において、前記保存ルールは、前記検査装置がワークを検査したときの前記検査装置の状態に係る情報を利用した判定条件を含んでもよい。本態様によれば、トレーサビリティ用途の観点から検査画像の保存についてのより好適な管理を行うことができる、工程記録管理装置が実現できる。
【0018】
上記態様において、前記保存ルールの判定条件におけるパラメタが変更可能に構成されていてもよい。本態様によれば、工程記録管理装置の管理者が生産工程に応じて柔軟に検査画像の保存についてのより管理を行うことができるようになる。
【0019】
上記態様において、前記工程記録管理装置外部から、前記保存ルールデータベースにおける保存ルールの変更、追加または削除が実行可能に構成されていてもよい。本態様によれば、検査装置の製造者等が、適正な保存ルールを設定できるようになる。
【0020】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る工程記録管理方法は、所定の判定条件に基づいて検査装置から取得された検査画像の保存をするか否かを決定するためのルールであって、識別符号がそれぞれ付された複数の保存ルールを含む保存ルールデータベースを生成するステップと、前記保存ルールデータベースに含まれる前記保存ルールに基づいて前記検査画像を保存するか否かを判定するステップと、判定した結果に従って、前記検査画像を画像データベースとして保存し、当該検査画像の識別符号と、当該検査画像を保存することを判定した前記保存ルールの識別符号とを含んだ画像情報を、画像情報データベースとして保存するステップと、を備える。
【0021】
本態様によれば、トレーサビリティ用途の観点から検査画像の保存についての好適な管理を行うことができる、工程記録管理装置が実現できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、トレーサビリティ用途の観点から検査画像の保存についての好適な管理を行うことができる、工程記録管理装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る工程記録管理装置の構成を、関連する機器の構成とともに示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る工程記録管理装置が行う、検査画像の保存処理を説明するためのフローチャートである。
図3】本発明の実施形態に係る工程記録管理装置における保存ルールデータベースの内容を説明するためのテーブルである。
図4】本発明の実施形態に係る工程記録管理装置における画像情報データベースの内容を説明するためのテーブルである。
図5】本発明の実施形態に係る工程記録管理装置における検査結果データベースの内容を説明するためのテーブルである。
図6】本発明の実施形態に係る工程記録管理装置が行う、画像データベースの管理処理を説明するためのフローチャートである。
図7】本発明の実施形態に係る工程記録管理装置における優先度ルールデータベースの内容を説明するためのテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
§1 適用例
図1図2を参照しつつ、本開示の適用例に係る工程記録管理装置100が説明される。工程記録管理装置100は、制御部110と記憶部150とを備えている。
【0025】
記憶部150は、検査装置20から取得された検査画像を保存するための画像データベース154を記憶している。記憶部150は、所定の判定条件に基づいて前記検査画像を保存するか否かを決定するためのルールであって、識別符号がそれぞれ付された複数の保存ルールを含む保存ルールデータベース155を記憶している。また記憶部150は、画像データベース154に保存された検査画像に関する情報である画像情報を保存するための画像情報データベース156を記憶している。
【0026】
制御部110は画像保存要否判定部111を備えている。画像保存要否判定部111は、保存ルールデータベース155に含まれる保存ルールに基づいて検査画像を保存するか否かを判定する。また画像保存要否判定部111は、判定の結果に従って画像データベースに検査画像を記憶する処理を実行し、当該判定に供した保存ルールの識別符号を含む画像情報を画像情報データベースに記憶する処理を実行する。
【0027】
よって本適用例によれば、トレーサビリティ用途の観点から検査画像の保存についての好適な管理を行うことができる、工程記録管理装置を実現することが可能となる。
【0028】
§2 構成例
〔実施形態〕
<生産工程の概要>
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る工程記録管理装置100が適用された生産工程1の概要を、工程記録管理装置100の構成と共に示す機能ブロック図である。
【0029】
生産工程1(生産システム)は、製造実行装置10、検査装置20、工程記録管理装置100を備えており、これらの装置が通信ネットワーク90を介して相互に接続されている。生産工程1は更に、図示されたこれら以外の加工装置、組立て装置、搬送装置、検査装置、制御システム、情報管理システム等を備えていてもよい。
【0030】
<製造実行装置>
製造実行装置10は、生産工程1における製品の生産を管理する情報処理システムであり、MESサーバ(Manufacturing Execution System Server)と呼称されることがある。
【0031】
製造実行装置10は、生産工程1で加工、検査、搬送等されるワークに関する情報を保存したワーク情報データベース12、検査装置20が所要の検査を行うために実行する検査プログラムを保存した、検査プログラムデータベース13等を備えている。また、製造実行装置10は、各種の制御を実行する制御部11を備えている。
【0032】
ワーク情報データベース12が保存するワークに関する情報には、例えば、品番、ロット番号、シリアル番号、供給者の情報が含まれてよい。検査プログラムデータベース13は、ワークの種類またはワークが組み込まれる製品に応じた複数の検査プログラムを保存していてよい。
【0033】
<検査装置>
本実施形態における検査装置20は、ワークの検査を行い、また検査の一部として撮影等により画像を生成し、検査画像として出力し得る装置である。検査画像は、X線、紫外光、可視光、赤外光、テラヘルツ波を含む電磁波の検出により構成された画像であってよい。しかしそれ以外にも、音波、電流、電圧その他の信号の検出により構成された画像であってもよい。また検査画像は、2次元画像であってもよいし、3次元画像であってもよい。また検査画像は、動画であってもよい。
【0034】
検査装置20は、例えば、撮像部22、検査部23、状態取得部24とメモリ25とを備えている。また検査装置20は、検査装置20の各部を制御する制御部21を備えている。検査装置20の各機能ブロックは、メモリ25を利用して所用の動作を実行する。また、メモリ25には、検査対象のワークに応じて製造実行装置10から取得した、検査プログラムが記憶される。撮像部22は、典型的には撮像素子を有したカメラであるが、別の手段でワークの検査画像を出力する機能ブロックであってもよい。
【0035】
検査部23は、ワークの検査を行い、検査値(測定値)等の検査画像以外の検査結果を出力する機能ブロックである。検査部23が出力する検査結果には、ワークの出来栄えに関する評価結果が含まれていてもよい。このような評価結果の例としては、検査をパスしたかしなかったかの情報(OK、NG)が挙げられるが、出来栄えによって複数段階に分類される情報であってもよい。あるいは評価結果としては、複数の検査項目ごとの情報が含まれていてもよい。このような、ワークの出来栄えに関する評価結果は、良否判定結果とも称される。
【0036】
状態取得部24は、検査装置20自身の状態に関する情報を取得する機能ブロックである。このような情報には、例えば、検査装置20のキャリブレーションを実行した記録、検査装置20の部品の交換を行った記録が含まれていてもよい。検査装置20の状態に関する情報は、後述する工程情報データベース151に適宜格納される。
【0037】
<工程記録管理装置の構成>
工程記録管理装置100は、制御部110と記憶部150とを備えている。制御部110は、画像保存要否判定部111、画像優先度判定部112、保存ルール更新部113、および、優先度ルール更新部114の各機能ブロックを備えている。
【0038】
画像保存要否判定部111は、少なくとも保存ルールデータベース155に含まれる保存ルールに基づいて検査画像の保存の要否を決定する。また少なくとも画像保存要否判定部111は、その結果に従って画像データベース154に検査画像を保存し、当該画像を保存することを決定した保存ルールの識別符号を含んだ画像情報を画像情報データベース156に保存する。制御部110が備える各機能ブロックが実行する動作の詳細は後述される。
【0039】
記憶部150は、公知のメモリによって構成される。記憶部150は、制御部110を構成するハードウェアの一例であるプロセッサが実行することにより、制御部110の各機能ブロックとしての機能を実現させるための不図示の実行プログラムを記憶していてもよい。また記憶部150は、制御部110が所要の動作を実行するための不図示の一時的なデータを記憶するための記憶領域を備えている。記憶部150は、工程情報データベース151、品番情報データベース152、検査結果データベース153、および、画像データベース154を記憶している。
【0040】
工程情報データベース151には、生産工程1で処理される各ワークの処理時(生産時)の情報が格納される。工程情報データベース151に格納される情報の例として、ワークがいずれの装置で処理されたかの情報、ワークが処理されたときの作業者の情報、生産工程1における各装置の保全履歴が挙げられる。
【0041】
品番情報データベース152には、ワークの品番すなわち製品種に関する情報が格納される。品番情報データベース152に格納される情報の例として、品番の使用履歴に関する情報、生産工程1での検査を通過していたにも係らず不良が発生した事象の品番ごとの記録(見逃し履歴)があげられる。
【0042】
検査結果データベース153(参考:図5)には、検査装置20を含む、生産工程1における各検査装置による、検査画像以外の検査結果が格納される。また検査装置によらず作業者による検査の結果、例えば目視検査結果が格納されてもよい。検査結果データベース153に格納される情報の例として、各ワークについての、良否判定結果、検査装置による検査値(測定値)、いずれの装置で検査したかの情報が含まれてもよい。更に、検査結果データベース153には、生産工程1で処理されるワークについての、他の工程での検査結果が格納されていてもよい。
【0043】
画像データベース154には、検査装置20を含む、生産工程1における各検査装置による、検査画像が格納される。検査画像の例については上述のとおりである。画像データベース154には、各検査画像を識別するための画像ID(画像識別符号)が付された状態で各検査画像が保存される。
【0044】
また記憶部150は、保存ルールデータベース155(参考:図3)、画像情報データベース156(参考:図4)、優先度ルールデータベース157(参考:図7)、および、優先度情報データベース158を記憶している。これら各データベース155~158の詳細は後述される。
【0045】
工程記録管理装置100は情報処理システムであるため、情報処理システムについて公知の通り、例えば一式の汎用コンピュータで構成されていてもよいが、必ずしもその必要はない。図1に示された工程記録管理装置100の各機能ブロック111~114および各データベース151~158は、分散した複数の装置にまたがって構成されていてもよい。
【0046】
例えば、制御部110における各機能ブロック111~114のそれぞれは、全部の機能または一部の機能が検査装置20に内蔵されていてもよい。また例えば、記憶部150の各データベース151~158のそれぞれは、全部または一部が製造実行装置10または別の情報管理システムに組み込まれていてもよい。更には、工程記録管理装置100の各機能ブロック111~114および各データベース151~158のそれぞれは、全部の機能または一部の機能が、クラウド上に配置されていてもよい。
【0047】
<工程記録管理装置による検査画像の保存処理>
図2~5を参照して、工程記録管理装置100が実行する特徴的な動作である、検査画像の保存処理が以下に説明される。図2は、当該保存処理を説明するためのフローチャートである。図3は、保存ルールデータベース155の内容の事例を示した図表である。図4は、画像情報データベース156の内容の事例を示した図表である。図5は、検査結果データベース153の内容の事例を示した図表である。
【0048】
ステップS1:検査装置20がワークを検査する。その結果、検査装置20の撮像部22から検査画像が出力され、検査部23から検査値を含む検査結果が出力される。検査画像及び上記検査結果はリアルタイムで工程記録管理装置100に転送されてもよい。あるいは検査画像及び上記検査結果は、検査装置20のメモリ25に一旦保存されてから、所定のタイミングで、工程記録管理装置100に転送されてもよい。
【0049】
あるいは検査画像及び上記検査結果は、検査装置20から図1には不図示の他のデータベースに転送されて一時的に保管されてから、工程記録管理装置100に転送されてもよい。工程記録管理装置100は検査装置20または当該データベースから検査画像及び上記検査結果を受け取ると、記憶部150の一時的なデータを記憶するための記憶領域にこれらのデータを保存する。
【0050】
ステップS2:続いて画像保存要否判定部111は、保存ルールデータベース155に格納されている保存ルールを参照して、検査装置20から取得した検査画像を画像データベース154に格納するか否かを判定する。図3に示されるように、保存ルールデータベース155には複数の保存ルールが格納されており、各保存ルールには、保存ルールIDが付されている。
【0051】
保存ルールは、判定条件を含んでおり、判定条件におけるパラメタ(変数)は、工程記録管理装置100のオペレータにより変更可能なように構成されている。判定条件は、当該条件を満たした場合に検査画像を画像データベース154に格納することを決定するための条件である。項目「ON/OFF」に指定されるように、各保存ルールを適用するか否かを工程記録管理装置100のオペレータにより変更可能なように構成されている。
【0052】
判定条件には、ワークの品番(製品種)に係る条件を含んでいてもよい。図3における保存ルールIDがSR002及びSR003である保存ルールの判定条件が、このようなケースに該当する。この場合に、画像保存要否判定部111は、品番情報データベース152から、ワークの品番に係る情報を得てもよい。
【0053】
判定条件には、検査装置20以外の検査装置による検査結果に係る条件を含んでいてもよい。図3における保存ルールIDがSR004である保存ルールの判定条件が、このようなケースに該当する。この場合に、画像保存要否判定部111は、検査結果データベース153から、ワークの他の検査結果に係る情報を得てもよい。
【0054】
判定条件には、検査装置20がワークを検査したときの検査装置20の状態に係る条件を含んでいてもよい。図3における保存ルールIDがSR005である保存ルールの判定条件が、このようなケースに該当する。この場合に、画像保存要否判定部111は、工程情報データベース151から、検査装置20の状態に係る情報を得てもよい。
【0055】
関連リンクの項目は、工程情報データベース151、品番情報データベース152及び検査結果データベース153のいずれかにおける、検査画像に係るワークに関する情報の保存先に関する情報、すなわちリンク先の情報を当該ワークの画像情報に含めることを指定するための項目である。
【0056】
保存フォーマットの項目は、当該保存ルールの判定条件を満たした場合の検査画像の保存条件を指定するための項目である。保存条件には、検査画像データのデータ量の圧縮を可逆的な手法で行うことを指定できる。可逆圧縮によれば、画像データベース154に格納された検査画像のデータから、もとの検査画像のデータを100%復元できる。
【0057】
また保存条件には、不可逆的な圧縮を行う場合のデータの圧縮率を指定することもできる。なお圧縮率とは、もとのデータサイズに対する圧縮後のデータサイズで規定することとする。また、保存条件には検査画像のデータの圧縮を行う場合の手法を指定することもできる。図3においてJPGと記載されているのは、このような画像の圧縮手法の指定例である。
【0058】
画像保存要否判定部111は、保存ルールデータベース155に格納されている保存ルールのうち、ON/OFFの項目がONすなわち保存ルールを適用することが指定されている保存ルールについて判定条件に従って判断を行う。なお、適用される保存ルールのうち、複数の保存ルールについて判定条件を満たしたものがあった場合には、最もデータサイズが大きくなる保存フォーマットが検査画像の保存条件として選択されることとする。
【0059】
ステップS3:ステップS2における判定の結果、判定条件を満たしたものがあった場合にはフローはS4に進み(YES)、無かった場合にはフローはS6に進む(NO)。
【0060】
ステップS4:画像保存要否判定部111は、ワークの検査画像をステップS2で指定された保存フォーマットで、画像IDを付して画像データベース154に格納する。
【0061】
ステップS5:続いて画像保存要否判定部111は、画像データベース154に格納した検査画像に紐づけた画像情報を生成し、画像情報データベース156に格納する。図4に示されるように、画像情報は当該画像情報に紐づいている検査画像の画像ID、当該検査画像の保存日時、当該検査画像のファイル名、当該検査画像の保存フォーマットについての情報を有している。また、ステップ2において判定条件が満たされた保存ルールの保存ルールIDと、当該保存ルールによって画像情報に含めることを指定されたリンク先がある場合のリンク先の情報を有している。次にフローはステップS6に進む。
【0062】
ステップS6:画像保存要否判定部111は、ワークについての上記検査結果を含む検査結果情報を、検査結果DBに格納する。次にフローは終了する。
【0063】
図5に示されるように、各検査結果情報は、識別のための検査結果ID、検査日時の情報、ワークの識別情報を含んでよい。図5においてワークの識別情報は、いわゆるロット番号に当たる識別符号がワークID-1に、ロット番号に更に付されたワーク個別の識別符号がワークID-2として表されている。また各検査結果情報には、ワークの品番、良否判定結果、検査画像が画像情報データベース156に格納された場合の画像ID、検査値等の情報等が含まれてもよい。
【0064】
<工程記録管理装置による画像データベースの管理処理>
工程記録管理装置100は、画像データベース154が消費するメモリ資源の量が所定の範囲を超えないようにするために、以下に説明される画像データベースの管理処理を適宜実施する。当該管理処理は、定期的に実施されてもよいし、例えば生産工程1における生産量に応じた適宜のタイミングで実施されるように構成されていてもよい。
【0065】
図6は、画像データベースの管理処理を説明するためのフローチャートである。図7は、画像データベースの管理処理において利用される優先度ルールデータベース157の内容の事例を示した図表である。なお、優先度は検査画像が保存された当初が100で、所定の条件を満たすごとに減っていくように設定されている。
【0066】
ステップS11:画像優先度判定部112は、画像データベース154に許容されたメモリ資源の残量を確認する。
【0067】
ステップS12:続いて画像優先度判定部112は、上記残量が規定値以下か否かを判断する。規定値以下である場合、フローはステップS13に進む(YES)。それ以外の場合、フローは終了する(NO)。
【0068】
ステップS13:画像優先度判定部112は、優先度ルールデータベース157に格納されている優先度ルールを参照して、画像情報データベース156に格納された各画像情報について優先度を算出する。画像情報データベース156に格納された各画像情報は画像データベース154に格納された検査画像に紐づいているため、画像データベース154に格納された検査画像について優先度を算出することと同義である。
【0069】
またこのとき、画像優先度判定部112は、優先度情報データベース158に格納された優先度情報を併せて確認する。優先度情報は、画像IDと優先度とを含む。優先度情報は、画像情報データベース156に格納された各画像情報について、過去に優先度が算出された場合に生成されている。つまり、優先度情報データベース158は、優先度が算出された履歴を保持しているといってもよい。
【0070】
画像優先度判定部112は、画像情報について過去に優先度が算出されている場合、すなわち当該画像情報に付された画像IDを持つ優先度情報が優先度情報データベース158にあった場合、当該優先度情報における優先度を優先度の初期値とする。画像優先度判定部112は、画像情報について過去に優先度が算出されていない場合、すなわち当該画像情報に付された画像IDを持つ優先度情報が優先度情報データベース158になかった場合、優先度の初期値を100とする。
【0071】
図7に示されるように、優先度ルールデータベース157には複数の優先度ルールが格納されており、各優先度ルールには、優先度ルールIDが付されている。優先度ルールは、判定条件を含んでおり、判定条件におけるパラメタ(変数)は、工程記録管理装置100のオペレータにより変更可能なように構成されている。判定条件は、当該条件を満たした場合に優先度を変更すると決定するための条件である。項目「ON/OFF」に指定されるように、各優先度ルールを適用するか否かを工程記録管理装置100のオペレータにより変更可能なように構成されている。
【0072】
判定条件には、画像情報に含まれる情報に係る条件を含んでいる。例えば、図7における優先度ルールIDのPR001~PR004は、画像情報に含まれる保存日時の情報に係る条件を含んでいる。PR002~PR004は、画像情報に含まれる保存ルールIDの情報に係る条件を含んでいる。
【0073】
優先度変更値の項目は、当該優先度ルールの判定条件を満たした場合に優先度を初期値から変更する差異を表している。画像優先度判定部112は、優先度ルールデータベース157に格納されている優先度ルールのうち、ON/OFFの項目がONすなわち優先度ルールを適用することが指定されている優先度ルールについて判定条件に従って判断を行う。
【0074】
そうして判定条件を満たした優先度ルールがあった場合には、優先度変更値に従って初期値から優先度を変更する。なお、複数の優先度ルールについて判定条件が満たされた場合には、それらの優先度変更値を加算して、初期値から優先度を変更する。判定条件を満たした優先度ルールがない場合には、優先度は初期値から変更されない。
【0075】
ステップS14:続いて画像優先度判定部112は、画像情報について過去に優先度が算出されている場合、優先度情報データベース158に格納された優先度情報の優先度をステップS13で算出された値に変更する。すなわち画像優先度判定部112は、優先度情報データベース158に格納された優先度情報の優先度を更新する。画像優先度判定部112は、画像情報について過去に優先度が算出されていない場合、ステップS13で算出された優先度を含む優先度情報を優先度情報データベース158に追加する。
【0076】
ステップS15:続いて画像優先度判定部112は、優先度情報データベース158を参照して、画像データベース154が消費するメモリ資源量を削減する。すなわち画像優先度判定部112は、優先度が最も低いレベルの検査画像については画像データベース154から削除する。また画像優先度判定部112は、優先度が次に低いレベルの検査画像について検査画像の圧縮率を小さくするなどの処理を実行する。
【0077】
またこれらの処理に対応して、画像情報データベース156からの画像情報の削除または画像情報における圧縮フォーマットの情報の更新、優先度情報データベース158からの優先度情報の削除を実行する。次にフローは終了する。
【0078】
<工程記録管理装置によるその他の動作>
保存ルール更新部113は、工程記録管理装置100のオペレータの指示により、保存ルールデータベース155に格納された保存ルールのON/OFF項目の情報の変更およびパラメタの変更を実行できる。そのため、工程記録管理装置100の利用者は、検査画像を画像データベースに保存する条件を、生産工程1の事情に応じて柔軟に設定できる。
【0079】
また、保存ルール更新部113は、工程記録管理装置100の外部の特定者からの指示を受け付けて、保存ルールデータベース155に格納された保存ルールの変更、削除、追加を実行し得る。このような特定者は、例えば検査装置20の製造者である。そのため、例えば検査装置20の製造者が、特定の検査に係る製品に市場不良が多発した等の情報を得た場合に、当該検査に関する保存ルールを追加するなどの対応を取ることができるようになる。
【0080】
優先度ルール更新部114は、工程記録管理装置100のオペレータの指示により、優先度ルールデータベース157に格納された優先度ルールのON/OFF項目の情報の変更およびパラメタの変更を実行できる。そのため、工程記録管理装置100の利用者は、過去の検査画像を画像データベースから消去あるいはデータ量を削減する場合の条件を、生産工程1の事情に応じて柔軟に設定できる。
【0081】
<作用効果>
本実施形態の工程記録管理装置100によれば、画像データベースに保存された検査画像に紐付けて、検査画像を保存することにした理由(保存ルール)が画像情報として保存される。したがって、画像データベースのメモリ資源消費量を削減するときに、市場での不具合の発生のリスクが高い製品に係る検査画像を優先的に残すことができるようになる。
【0082】
例えば、検査装置の部品変更直後に検査が行われた製品、過去に市場不良が発生した部品に係る検査画像を優先的に残すようにすることが可能になる。そのため本実施形態の工程記録管理装置100によればトレーサビリティ用途の観点からして、適切な画像データベースの管理ができることになる。また本実施形態によれば、人手によらずとも工程記録管理装置100が画像データベースのメモリ資源使用量の管理を自動的に実行するため、生産工程1の管理の多大な省力化が図れる。
【0083】
〔変形例〕
優先度ルール更新部114は、上述のステップS13からS14までの処理において、画像情報データベース156に格納された全ての画像情報について優先度を算出し更新保存するのではなく、所定の条件を満たした一部の画像情報のみについて優先度を算出し更新保存してもよい。
【0084】
すなわち、優先度ルール更新部114は、全ての画像情報について優先度を算出し更新保存する画像データベースの管理処理と、一部の画像情報のみについて優先度を算出し更新保存画像データベースの管理処理とを織り交ぜて実行するように構成されていてもよい。このようにすることで、工程記録管理装置100の処理量を削減することができる。所定の条件とは、例えば、新たに追加された検査画像に係る画像情報のみについてとすることができる。
【0085】
また、工程記録管理装置100による処理を効率化するため、適用された保存ルール、品番等で、画像情報データベース156に格納された画像情報をグループ分けし、グループごとに画像データベースの管理処理を実行するタイミングを適宜設定していてもよい。また、画像情報データベース156に格納された画像情報、または上記グループの画像情報を、保存日時でソートしておき、画像優先度判定部112による優先度ルールの判定条件における保存日時に係る判断の効率化を図ってもよい。
【0086】
〔ソフトウェアによる実現例〕
工程記録管理装置100(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部110に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0087】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0088】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0089】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0090】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0091】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係る工程記録管理装置は、検査装置から取得された検査画像を保存するための画像データベースと、所定の判定条件に基づいて前記検査画像を保存するか否かを決定するためのルールであって、識別符号がそれぞれ付された複数の保存ルールを含む保存ルールデータベースと、前記画像データベースに保存された前記検査画像に関する画像情報を保存するための画像情報データベースと、を記憶した記憶部と、前記保存ルールに基づいて前記検査画像を保存するか否かを判定し、判定の結果に従って前記画像データベースに前記検査画像を記憶する処理を実行し、当該判定に供した前記保存ルールの識別符号を含む前記画像情報を前記画像情報データベースに記憶する処理を実行する、画像保存要否判定部と、を備える。
【0092】
本開示の態様2に係る工程記録管理装置は、上記態様1において、前記画像情報に基づいて前記画像データベースに保存されたいずれの前記検査画像を消去または圧縮するかを判定し、判定結果に従って前記検査画像の消去または圧縮を実行する、画像優先度判定部を更に備える。
【0093】
本開示の態様3に係る工程記録管理装置は、上記態様1において、前記記憶部は、前記検査画像の優先度を含む情報である優先度情報を保存するための優先度情報データベースを更に記憶しており、前記画像情報に基づいて前記優先度を算出して前記優先度情報データベースに優先度情報を保存し、前記優先度情報に基づいて前記画像データベースに保存されたいずれの前記検査画像を消去または圧縮するかを判定し、判定結果に従って前記画像データベースに保存された前記検査画像の消去または圧縮を実行する、画像優先度判定部を更に備える。
【0094】
本開示の態様4に係る工程記録管理装置は、上記態様3において、前記画像優先度判定部は、前記画像情報データベースに保存された所定の条件を満たす一部の前記画像情報のみについて前記優先度を算出して、前記優先度情報データベースに保存された前記優先度の更新を行う処理を実行する。
【0095】
本開示の態様5に係る工程記録管理装置は、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記保存ルールには、前記検査画像を保存する場合のデータ圧縮率が指定されている。
【0096】
本開示の態様6に係る工程記録管理装置は、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記記憶部は、前記検査装置がワークを検査したときの前記検査装置の状態に係る情報である工程情報を保存するための工程情報データベース、前記ワークの製品種に係る情報である品番情報を保存するための品番情報データベース、前記検査装置が出力した検査値を保存するための検査結果データベース、のうちの少なくともいずれかのデータベースを更に記憶しており、前記保存ルールは、前記検査画像に係る前記ワークについての、前記工程情報、前記品番情報、前記検査値のうちの少なくともいずれかの保存先に関する情報を前記画像情報に含めることを指定し得る。
【0097】
本開示の態様7に係る工程記録管理装置は、上記態様1から6のいずれかにおいて、前記保存ルールは、前記検査装置が検査したワークについての、前記検査装置以外の装置による検査結果を利用した判定条件を含む。
【0098】
本開示の態様8に係る工程記録管理装置は、上記態様1から7のいずれかにおいて、前記保存ルールは、前記検査装置が検査したワークの製品種に係る情報を利用した判定条件を含む。
【0099】
本開示の態様9に係る工程記録管理装置は、上記態様1から8のいずれかにおいて、前記保存ルールは、前記検査装置がワークを検査したときの前記検査装置の状態に係る情報を利用した判定条件を含む。
【0100】
本開示の態様10に係る工程記録管理装置は、上記態様1から9のいずれかにおいて、前記保存ルールの判定条件におけるパラメタが変更可能に構成されている。
【0101】
本開示の態様12に係る工程記録管理装置は、上記態様1から10のいずれかにおいて、前記工程記録管理装置外部から、前記保存ルールデータベースにおける保存ルールの変更、追加または削除が実行可能に構成されている。
【0102】
本開示の態様13に係る工程記録管理方法は、所定の判定条件に基づいて検査装置から取得された検査画像の保存をするか否かを決定するためのルールであって、識別符号がそれぞれ付された複数の保存ルールを含む保存ルールデータベースを生成するステップと、前記保存ルールデータベースに含まれる前記保存ルールに基づいて前記検査画像を保存するか否かを判定するステップと、判定した結果に従って、前記検査画像を画像データベースとして保存し、当該検査画像の識別符号と、当該検査画像を保存することを判定した前記保存ルールの識別符号とを含んだ画像情報を、画像情報データベースとして保存するステップと、を備える。
【0103】
本発明は上述した各実施形態等に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態等にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
1 生産工程
10 製造実行装置
20 検査装置
90 通信ネットワーク
100 工程記録管理装置
110 制御部
111 画像保存要否判定部
112 画像優先度判定部
113 保存ルール更新部
114 優先度ルール更新部
150 記憶部
151 工程情報データベース
152 品番情報データベース
153 検査結果データベース
154 画像データベース
155 保存ルールデータベース
156 画像情報データベース
157 優先度ルールデータベース
158 優先度情報データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7