(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130550
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】光半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20240920BHJP
G01J 1/04 20060101ALI20240920BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20240920BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20240920BHJP
G02B 5/22 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
G01J1/02 B
G01J1/04 B
H01L31/10 D
G02B5/28
G02B5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040350
(22)【出願日】2023-03-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、防衛装備庁、安全保障技術研究推進制度、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕泰
【テーマコード(参考)】
2G065
2H148
5F149
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065BA02
2G065BA34
2G065BB30
2H148CA04
2H148CA12
2H148CA17
2H148CA22
2H148CA23
2H148GA03
2H148GA11
2H148GA22
2H148GA23
2H148GA61
5F149AB02
5F149BB03
5F149BB07
5F149LA01
(57)【要約】
【課題】異なる波長域の光吸収を個別に増強する光半導体デバイスを提供する。
【解決手段】光半導体装置は、金属層と、前記金属層の上に設けられた第1の誘電体層と、前記第1の誘電体層の表面で第1の方向に延びる第1グラフェンリボンを含む第1グラフェン層と、前記第1グラフェン層を覆う第2の誘電体層と、前記第2の誘電体層の上で前記第1の方向と交わる第2の方向に延びる第2グラフェンリボンを含む第2グラフェン層と、前記第1の誘電体層の所定の深さに設けられ、前記第1グラフェンリボンと前記第2グラフェンリボンのいずれか一方と平行に延びるワイヤーグリッドと、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属層と、
前記金属層の上に設けられた第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層の表面で第1の方向に延びる第1グラフェンリボンを含む第1グラフェン層と、
前記第1グラフェン層を覆う第2の誘電体層と、
前記第2の誘電体層の上で前記第1の方向と交わる第2の方向に延びる第2グラフェンリボンを含む第2グラフェン層と、
前記第1の誘電体層の所定の深さに設けられ、前記第1グラフェンリボンと前記第2グラフェンリボンのいずれか一方と平行に延びるワイヤーグリッドと、
を有する光半導体デバイス。
【請求項2】
前記ワイヤーグリッドは前記第1グラフェンリボンと平行に延び、
前記第1グラフェン層と前記第1の誘電体層と前記金属層で第1キャビティが形成される、
請求項1に記載の光半導体デバイス。
【請求項3】
前記第2グラフェンリボンは前記第1グラフェンリボンと直交する方向に延び、前記第2グラフェン層と前記ワイヤーグリッドの間に第2キャビティが形成されている、
請求項2に記載の光半導体デバイス。
【請求項4】
前記ワイヤーグリッドは前記第2グラフェンリボンと平行に延び、
前記第1グラフェン層と前記ワイヤーグリッドの間に第1キャビティが形成される、
請求項1に記載の光半導体デバイス。
【請求項5】
前記第2グラフェンリボンは前記第1グラフェンリボンと直交する方向に延び、前記第2グラフェン層と前記金属層の間に第2キャビティが形成される請求項4に記載の光半導体デバイス。
【請求項6】
前記第1の誘電体層と前記第1グラフェン層の間に、第1ゲート電極と第1絶縁膜がこの順で設けられている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の光半導体デバイス。
【請求項7】
前記第2の誘電体層と前記第2グラフェン層の間に、第2ゲート電極と第2絶縁膜がこの順に設けられる請求項1から5のいずれか1項に記載の光半導体デバイス。
【請求項8】
前記第1グラフェン層は、前記第1グラフェンリボンの周期的な配列を含む第1領域と、前記第1グラフェンリボンの前記周期的な配列を有しない第2領域とを有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の光半導体デバイス。
【請求項9】
前記第2グラフェン層は、前記第2グラフェンリボンの周期的な配列を含む第3領域と、前記第2グラフェンリボンの前記周期的な配列を有しない第4領域とを有する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の光半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
物質は、その物質がもつ温度に応じた熱輻射光を放出している。室温程度の物質から放射される熱輻射光は、赤外線の波長帯で最も強度が大きい。このため、熱輻射を検出する赤外線センサは、夜間の暗視やサーモグラフィなどに広く用いられている。赤外光を吸収する受光層にグラフェンを適用したデバイスが研究されている。グラフェンは、炭素原子が二次元ハニカム状に配列された層状の材料である。グラフェンは特徴的なエネルギーバンド構造を有するため、紫外域からテラヘルツ帯におよぶ広い波長範囲の光を吸収する。
【0003】
グラフェンは、原子層1層の物質であることから、光吸収効率はたかだか数%程度であり、光センサの材料としては光電変換効率が低い。グラフェンを光センサに応用するために、光吸収を増強する様々な構造が提案されている。光吸収を増強する構造の一つとして、グラフェンにキャビティまたは光共振器を付加する構造がある。この構造では、位相整合条件が満たされる場合に、理論上、光を完全に吸収することができる。単純なグラフェン層とキャビティの構造では、吸収できる光の波長はテラヘルツ帯に制限される。赤外線に対して完全吸収を実現するために、リボン状の周期構造に加工されたグラフェンとキャビティを組み合わせた構成が提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Rasoul Alace, Mohamed Farhat, Carsten Rockstuhl, and Falk Lederer, "A perfect absorber made of a graphene micro-ribbon metamaterial," Optics Express, Vol. 20, No. 27, 28017 (2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱輻射光を検出する場合、2つの異なる波長の入射光量を個別に検出したいという需要がある。熱輻射光を単一の波長帯でのみ検出すると、遠方の高温物体による輻射と、近くの低温物体による輻射を区別できないからである。2つの異なる波長域の光量を個別に検出することで、高温物体と低温物体の間に距離の違いがあっても、目標とする物体を識別することができる。それぞれの波長での輻射量の比は、物体の温度によって異なるため、目標の温度を持つ物体の存在を抽出できるからである。
【0006】
キャビティを付加して光吸収を増強する構造において、キャビティの長さは、吸収を高める目標の光の波長に合わせて設計する必要がある。基本的に、ある波長に合わせて設計されたキャビティは、別の波長の光吸収増強には適さない。異なる波長の輻射光を個別に検出する場合、それぞれの波長で光吸収を増強できる構成が望まれる。本開示のひとつの側面で、異なる波長域の光吸収を個別に増強する光半導体デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、光半導体デバイスは、
金属層と、
前記金属層の上に設けられた第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層の表面で第1の方向に延びる複数の第1グラフェンリボンを含む第1グラフェン層と、
前記第1グラフェン層を覆う第2の誘電体層と、
前記第2の誘電体層の上で前記第1の方向と交わる第2の方向に延びる複数の第2グラフェンリボンを含む第2グラフェン層と、
前記第1の誘電体層の所定の深さに設けられ、前記第1グラフェンリボンと前記第2グラフェンリボンのいずれか一方と平行に延びるワイヤーグリッドと、
を有する。
【発明の効果】
【0008】
異なる波長域の光吸収を個別に増強する光半導体デバイスが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の光半導体デバイスの模式図である。
【
図2】光半導体デバイスの動作原理を示す図である。
【
図3】光半導体デバイスの動作原理を示す図である。
【
図4】実施例1の光半導体デバイスの上面模式図である。
【
図5】
図4のIV-IVラインに沿った断面模式図である。
【
図6】実施例2の光半導体デバイスの上面模式図である。。
【
図7】
図6のVI-VIラインに沿った断面模式図である。
【
図8】実施例3の光半導体デバイスの上面模式図である。
【
図9】
図8の第1グラフェン層と第2グラフェン層の平面形状を示す図である。
【
図10】
図8のVIII-VIIIラインに沿った断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下で、図面を参照しながら発明を実施するための形態を説明する。下記で述べる実施形態は、発明の技術思想を具体化するための例示であり、本発明を下記の構成や数値に限定するものではない。図面中、同一の機能を有する構成要素には、同一符号を付して、重複する記載を省略する場合がある。異なる実施形態や構成例の間での部分的な置換または組み合わせは可能である。各図面が示す各部材の大きさ、位置関係等は、発明の理解を容易にするために誇張して描かれている場合がある。位置関係で「上に」または「下に」というときは積層方向の上下を指し、絶対的な方向ではない。
【0011】
<基本構成>
図1は、実施形態の光半導体デバイス10の模式図であり、(A)は積層体の斜視図、(B)は電極の接続構成を示す。光半導体デバイス10は、金属層11と、金属層11の上に設けられた第1の誘電体層14と、第1の誘電体層14の上に設けられる第1グラフェン層15Aと、第1グラフェン層を覆う第2の誘電体層16と、第2の誘電体層16の上に設けられる第2グラフェン層15Bと、第1の誘電体層14の所定の深さに設けられるワイヤーグリッド13と、を有する。
【0012】
第1グラフェン層15Aは、第1の誘電体層14の表面で第1の方向に延びる複数の第1グラフェンリボン151を含む。光半導体デバイス10の積層方向をZ方向とすると、
図1の例では、第1グラフェンリボン151はZ方向と直交するXY面内でY方向に延びる。第2グラフェン層15Bは、第2の誘電体層16の表面で、第1の方向と交わる第2の方向に延びる複数の第2グラフェンリボン152を含む。この例で第2グラフェンリボン152はX方向に延びる。ワイヤーグリッド13は、第1グラフェンリボン151と第2グラフェンリボン152のいずれか一方と平行に延びる。この例では、ワイヤーグリッド13は、第1グラフェンリボン151と平行にY方向に延びている。
【0013】
後述するように、光半導体デバイス10は2つの異なる波長域の光を個別に検出する。第1グラフェンリボン151と第2グラフェンリボン152は、それぞれ異なる幅と周期(またはピッチ)を有し、異なる波長域の光に共鳴して吸収する。吸収された光の量に応じたキャリアが生成され、第1グラフェン層15Aと第2グラフェン層15Bは、それぞれが光電変換層として機能する。
【0014】
図1の(B)に示すように、第1グラフェン層15Aには一対の電極17と18が接続され、第2グラフェン層15Bには一対の電極19と20が接続される。電極17と18を「第1の電極対」、電極19と20を「第2の電極対」と呼んでもよい。電極17と18の間に所定の電圧が印加され、第1グラフェン層15Aで生じた光吸収を、電流の変化として検出する。電極19と20の間に所定の電圧が印加され、第2グラフェン層15Bで生じた光吸収を、電流の変化として検出する。
【0015】
<動作原理>
図2と
図3は、光半導体デバイスの動作原理を示す図である。
図2で、ワイヤーグリッド13は第1グラフェンリボン151と平行なY方向に延びている。
図3で、ワイヤーグリッド13は、第2グラフェンリボン152と平行なX方向に延びている。ワイヤーグリッド13が延びる方向によってキャビティ構成が変わるので、
図2の光半導体デバイス10-1と、
図3の光半導体デバイス10-2のそれぞれについて動作を説明する。
【0016】
図2の(A)は、光半導体デバイス10-1で第1波長の光を吸収する第1グラフェン層15Aの動作を示し、
図2の(B)は、第2波長の光を吸収する第2グラフェン層15Bの動作を示す。第1グラフェン層15Aの第1グラフェンリボン151は、第1波長λ1の光を吸収する幅と間隔で配置され、第2グラフェン層15Bの第2グラフェンリボン152は、第2波長λ2の光を吸収する幅と間隔で配置される。金属層11と反対側の面、すなわち第2グラフェン層15Bが設けられる面を光入射面とする。
【0017】
第1グラフェンリボン151と第2グラフェンリボン152は、リボンの幅方向と平行な電界成分をもつ偏光によりプラズモン共鳴を生じ、この方向の偏光を吸収するが、幅方向と交わる方向に電界成分をもつ偏光をほとんど吸収しない。
【0018】
図2の(A)で、X方向に電界成分Eをもつ偏光は、この電界成分Eと平行に延びる第2グラフェンリボン152で吸収されず、第2グラフェン層15Bをそのまま透過する。第1グラフェン層15Aでは、第1グラフェンリボン151の幅方向がこの電界成分Eと平行である。第1グラフェンリボン151はこの偏光によりプラズモン共鳴を生じ、第1波長λ1の偏光が第1グラフェン層15Aで選択的に吸収される。第1グラフェン層15Aで吸収しきれずに透過した光は金属層11に向かって進行する。
【0019】
ワイヤーグリッド13は偏光子を構成し、ワイヤーの線長方向(Y方向)に平行な電界成分をもつ偏光に対してミラーとして働き、線長方向と直交する電界成分Eをもつ偏光を透過させる。ワイヤーの線長方向に電界が振動する偏光の入射により、ワイヤー中を電子が光の電界をキャンセルする方向に移動してこの偏光を反射するからである。ワイヤーグリッド13の線長方向と直交する電界成分Eの偏光は、ワイヤーグリッド13を透過し、金属層11で反射される。反射された偏光は、ワイヤーグリッド13を透過して、再度、第1グラフェン層15Aに入射し、第1グラフェンリボン151で吸収される。このように、第1グラフェン層15Aと、第1の誘電体層14と、金属層11によって第1キャビティ131Aが形成される。
【0020】
第1の誘電体層14の厚さd1は、金属層11への入射光と金属層11からの反射光の干渉が、第1グラフェン層15Aの位置で強め合う条件となる厚さに設定されている。換言すると、干渉光の光電界の強度分布が第1グラフェン層15Aで最大になるように厚さd1が設定されている。第1の誘電体層14の厚さd1は、第1キャビティ131Aのキャビティ長である。第1の誘電体層14の屈折率をnとすると、厚さd1は、
d1=mλ1/4n
を満たすように設計されている。ここでmは奇数である。
【0021】
第1キャビティ131Aにより、第1グラフェン層15Aでの第1波長λ1の光吸収が増強される。
【0022】
図2の(B)は、光半導体デバイス10-1で第2波長の光を吸収する第2グラフェン層15Bの動作を示す。第2グラフェンリボン152の幅方向は、Y方向の電界成分Eと平行である。第2グラフェンリボン152は、このY方向の電界成分Eをもつ偏光によりプラズモン共鳴を生じ、第2波長λ2の偏光が第2グラフェン層15Bで選択的に吸収される。Y方向の電界成分Eをもつ偏光のうち、第2グラフェン層15Bで吸収されなかった偏光は、Y方向に延びる第1グラフェン層15Aをそのまま透過する。
【0023】
上述したように、ワイヤーグリッド13は、ワイヤーの線長方向(Y方向)に平行な電界成分をもつ偏光に対してミラーとして働く。ワイヤーグリッド13の線長方向と平行なY方向に振動する偏光は、ワイヤーグリッド13で反射される。反射光は第1グラフェン層15Aを透過し、再度、第2グラフェン層15Bに入射して吸収される。このように、第2グラフェン層15Bと、ワイヤーグリッド13と、第2グラフェン層15Bとワイヤーグリッド13の間の誘電体層とによって、第2キャビティ131Bが形成される。
【0024】
第2グラフェン層15Bとワイヤーグリッド13の間の長さd2は、第2キャビティ131Bのキャビティ長である。長さd2は、ワイヤーグリッド13への入射光とワイヤーグリッド13からの反射光の干渉が、第2グラフェン層15Bの位置で強め合う条件となる厚さに設定されている。換言すると、干渉光の光電界の強度分布が第2グラフェン層15Bで最大になるように、長さd2が設計されている。
【0025】
長さd2は、第2の誘電体層16の厚さと、第1の誘電体層14のうち、ワイヤーグリッド13よりも上側の部分の厚さとで決まる。第1の誘電体層14と第2の誘電体層16が同じ屈折率nを持つ場合、長さd2は、
d2=mλ2/4n
を満たすように設計されている。ここでmは奇数である。
【0026】
第1の誘電体層14におけるワイヤーグリッド13の位置は、第2の誘電体層16の厚さが適切に設定されれば、おのずから決まる。第2キャビティ131Bにより、第2グラフェン層15Bでの第2波長λ2の光吸収が増強される。
【0027】
このように、第1グラフェンリボン151と第2グラフェンリボン152に対して、それぞれ個別に実効的なキャビティ長の異なる第1キャビティ131Aと第2キャビティ131Bを付加し、第1波長λ1と第2波長λ2の光を個別に増強することができる。
【0028】
図3の(A)は、光半導体デバイス10-2で第1波長の光を吸収する第1グラフェン層15Aの動作を示し、
図3の(B)は、第2波長の光を吸収する第2グラフェン層15Bの動作を示す。光半導体デバイス10-2では、ワイヤーグリッド13は、第2グラフェンリボン152と平行なX方向に延設される。第1グラフェン層15Aの第1グラフェンリボン151は、第1波長λ1の光を吸収する幅と間隔で配置され、第2グラフェン層15Bの第2グラフェンリボン152は、第2波長λ2の光を吸収する幅と間隔で配置される。金属層11と反対側の面、すなわち第2グラフェン層15Bが設けられる面を光入射面とする。
【0029】
図3の(A)で、X方向に電界成分Eをもつ偏光は、この電界成分Eと平行に延びる第2グラフェンリボン152で吸収されず、第2グラフェン層15Bをそのまま透過する。第1グラフェンリボン151は、その幅方向がこの電界成分Eと平行であり、プラズモン共鳴により光吸収が生じる。第1グラフェン層15Aは、第1波長λ1の偏光を選択的に吸収する。第1グラフェン層15Aで吸収しきれずに透過した光は金属層11に向かって進行する。
【0030】
ワイヤーグリッド13は、ワイヤーの線長方向(X方向)に平行な電界成分Eをもつ偏光に対してミラーとして働き、入射した偏光を反射する。ワイヤーグリッド13で反射された偏光は、第1グラフェン層15Aに戻って、吸収される。このように、第1グラフェン層15Aと、第1の誘電体層14のうちワイヤーグリッド13よりも第1グラフェン層15A側にある第1と、ワイヤーグリッド13で第1キャビティ132Aが形成される。
【0031】
第1グラフェン層15Aとワイヤーグリッド13との間の長さd3は、ワイヤーグリッド13への入射光と、ワイヤーグリッド13からの反射光の干渉が、第1グラフェン層15Aの位置で強め合う条件となる厚さに設定されている。換言すると、干渉光の光電界の強度分布が第1グラフェン層15Aで最大になるように長さd3が設定されている。長さd3は、第1キャビティ132Aのキャビティ長であり、かつ、第1の誘電体層14におけるワイヤーグリッド13の深さである。第1の誘電体層14の屈折率をnとすると、キャビティの長さd3は、
d3=mλ1/4n
を満たすように設計されている。ここでmは奇数である。
【0032】
第1キャビティ132Aにより、第1グラフェン層15Aでの第1波長λ1の光吸収が増強される。
【0033】
図3の(B)は、光半導体デバイス10-2で第2波長の光を吸収する第2グラフェン層15Bの動作を示す。第2グラフェンリボン152の幅方向は、Y方向の電界成分Eと平行である。第2グラフェンリボン152は、このY方向の電界成分Eをもつ偏光によりプラズモン共鳴を生じ、第2波長λ2の偏光が第2グラフェン層15Bで選択的に吸収される。Y方向の電界成分Eをもつ偏光のうち、第2グラフェン層15Bで吸収されなかった偏光は、Y方向に延びる第1グラフェン層15Aをそのまま透過する。
【0034】
上述したように、ワイヤーグリッド13は、ワイヤーの線長方向(Y方向)と直交する方向に電界成分をもつ偏光を透過する。したがって、Y方向の電界成分Eをもつ偏光はワイヤーグリッド13を透過し、金属層11で反射される。金属層11で反射された光は、ワイヤーグリッド13と第1グラフェン層15Aを透過し、再度第2グラフェン層15Bに入射して吸収される。このように、第2グラフェン層15Bと、金属層11と、第1の誘電体層14及び第2の誘電体層16とで、第2キャビティ132Bが形成される。
【0035】
第2グラフェン層15Bと金属層11の間の長さd4は、第2キャビティ132Bのキャビティ長である。長さd4は、金属層11への入射光と金属層11からの反射光の干渉が、第2グラフェン層15Bの位置で強め合う条件となる長さ厚さに設定されている。換言すると、干渉光の光電界の強度分布が第2グラフェン層15Bで最大になるように、長さd4が設計されている。
【0036】
長さd4は、第1の誘電体層14の厚さと、第2の誘電体層16の厚さの合計である。第1の誘電体層14と第2の誘電体層16が同じ屈折率nを持つ場合、キャビティの長さd4は、
d4=mλ2/4n
を満たすように設計されている。ここでmは奇数である。第2キャビティ132Bにより、第2グラフェン層15Bでの第2波長λ2の光吸収が増強される。
【0037】
このように、第1グラフェンリボン151と第2グラフェンリボン152に対して、それぞれ実効的なキャビティ長が異なる第1キャビティ132Aと132Bを付加し、第1波長λ1と第2波長λ2の光を個別に増強することができる。
【0038】
<第1実施例>
図4は、第1実施例の光半導体デバイス10の上面模式図、
図5は、
図4のIV-IVラインに沿った断面模式図である。金属層11は、入射光に対して高い反射率をもつ材料で形成されている。この例では、赤外で広い帯域にわたって高い反射率を有する金(Au)の薄膜で金ミラーが形成されているが、アルミニウム(Al)、銀(Ag)など赤外域で高い反射率を有する他の金属を用いてもよい。
【0039】
Auの金属層11の上に、第1の誘電体層14が設けられ、第1の誘電体層14の所定の深さにAu細線のワイヤーグリッド13が埋め込まれている。第1の誘電体層14は、赤外領域での共振が可能であれば無機材料であっても有機材料でもよい。ここでは、エポキシ樹脂ベースのフォトレジストであるSU-8で第1の誘電体層14を形成する。SU-8を厚さt1に塗布し、90℃から100℃の温度でベークして第1の誘電体層14の第1部分141を形成する。第1部分141の表面に所定の方向に延びる金ワイヤーを一定間隔で配置して、ワイヤーグリッド13を形成する。ワイヤーグリッド13を覆って、第1の誘電体層14の第2部分142をSU-8で形成する。
【0040】
たとえば、SU-8で厚さ0.6μmの第1部分141を形成する。第1部分141の表面に、Y方向に延びる直径0.25μmの金ワイヤーを、X方向に0.5μm周期で配置してワイヤーグリッド13を形成する。ワイヤーグリッド13を覆って、第1の誘電体層14の第2部分142として、厚さ1.1μmのSU-8の層が設けられている。第1の誘電体層14のトータルの厚さは1.7μmであり、金属層11から0.6μmの位置にワイヤーグリッド13が位置する。
【0041】
第1の誘電体層14の表面に、第1グラフェンリボン151で第1グラフェン層15Aが形成されている。光吸収を高める観点から、第1グラフェンリボン151は数層から数十層の多層グラフェンであるのが望ましい。第1グラフェンリボン151は、ワイヤーグリッド13と平行に設けられる。第1グラフェンリボン151の幅は150nm、X方向の周期は300nmである。
【0042】
第1グラフェン層15Aの上に、厚さ100nmの第2の誘電体層16がSU-8で形成されている。第2の誘電体層16の上に、第1グラフェンリボン151と直交するX方向に延びる第2グラフェンリボン152が配置され、第2グラフェン層15Bが設けられる。第2グラフェンリボン152の幅は100nm、Y方向の周期は200nmである。
【0043】
第1グラフェン層15Aの両端に電極17と18が接続され、第2グラフェン層15Bの両端に電極19と21が接続されている。第1グラフェン層15Aの面内方向にポテンシャル分布を生じさせるために、電極17と18を異なる材料で形成するなどして、非対称の構成にする。たとえば、電極17と18の一方をAuで形成し、他方をCrで形成する。AuとCrの仕事関数の違いによって、Auと第1グラフェン層150Aの界面と、Crと第1グラフェン層150Aの界面で、エネルギーバンドの勾配が非対称になり、ポテンシャル分布が生じる。
【0044】
ゼーベック係数はグラフェンのポテンシャルに応じて変化するため、第1グラフェン層150A内のポテンシャル分布によって、ゼーベック係数の面内分布が形成される。電子温度分布と、ゼーベック係数分布が同時に存在することで、ゼーベック効果により起電力が形成される。同様に、電極19と21を非対称の構成とすることで、第2グラフェン層150Bの面内方向にポテンシャル分布を生じさせる。
【0045】
グラフェンは金属のように電気を通すが、細長いリボン形状にすることで、半導体の性質を持たせることができる。リボンの幅によってバンドギャップが変化し、通常はリボン幅が細くなって周期が細かくなるほどバンドギャップが広がる。第1実施例の光半導体デバイス10は、第1グラフェン層15Aで波長8~15μmの長波赤外光を吸収し、第2グラフェン層15Bで波長3~5μmの中m波赤外光を吸収するように設計されている。第1グラフェン層15Aと第2グラフェン層15Bでの光吸収から生じたキャリアは、第1グラフェン層15Aと第2グラフェン層15Bのポテンシャル勾配に沿って移動し、電流の変化としてそれぞれ個別に検出される。
【0046】
第1グラフェンリボン151と第2グラフェンリボン152のそれぞれに対して、波長に応じたキャビティ長のキャビティが付加され、2つの異なる波長の光吸収は個別に増強される。第1実施例では、ワイヤーグリッド13を第1グラフェンリボン151と平行に設けたが、
図3に示したように、ワイヤーグリッド13を第2グラフェンリボン152と平行に設ける場合も、第1の誘電体層14の第1部分141と第2部分の厚さと、第2の誘電体層16の厚さを適切に設計して、異なる波長の光の吸収を個別に増強することができる。
【0047】
<第2実施例>
図6は、第2実施例の光半導体デバイス20の上面模式図、
図7は、
図6のVI-VIラインに沿った断面模式図である。第2実施例では、第1グラフェン層15Aと第2グラフェン層15Bにそれぞれ、第1ゲート電極22と第2ゲート電極24を設ける。グラフェンにゲート電圧を印加することで、グラフェン中のキャリア密度を増やすことができる。印加するゲート電圧を制御することで、キャリア密度の調整が可能である。第1グラフェン層15Aと第2グラフェン層15Bのいずれか一方、たとえば光吸収を促進したい層にだけ、ゲート電極を設けてもよい。
【0048】
Auの金属層11の上に、SU-8で形成された第1の誘電体層14が設けられ、第1の誘電体層14の所定の深さに、Au細線のワイヤーグリッド13が埋め込まれている。第1の誘電体層14の全体の厚さは1.7μmであり、ワイヤーグリッド13は、第1の誘電体層14の表面から1.1μmの深さ、すなわち、金属層11の表面から0.6μmの位置に設けられている。ワイヤーグリッド13の各Au細線はY方向に延び、X方向に0.5μm周期で配置されている。
【0049】
第1の誘電体層14の表面に、第1ゲート電極22として厚さ数nm程度以下のグラファイト層が形成されている。第1ゲート電極22の上に、厚さ10~30nmの第1絶縁膜23を介して、第1グラフェンリボン151の第1グラフェン層15Aが形成されている。第1グラフェンリボン151は、この例ではワイヤーグリッド13と平行に設けられ、第1グラフェン層15Aと金属層11の間に、第1波長の光吸収を増強する第1キャビティ131A(
図2(A)参照)が形成される。第1グラフェンリボン151の幅は150nm、X方向の周期は300nmである。第1絶縁膜23はゲート絶縁膜として機能できるものであれば材料の種類は問わないが、たとえばAl2O3の薄膜を用いる。Al2O3に代えて、HfO2、Zr2、La2O3などの高誘電率の絶縁膜を用いてもよい。
【0050】
第1グラフェン層15Aの上に、厚さ100nmの第2の誘電体層16がSU-8で形成されている。第2の誘電体層16の上に、第2ゲート電極24として厚さ数nm程度以下のグラファイト層が形成されている。第2ゲート電極24の上に、厚さ10~30nmの第2絶縁膜25を介して、第2グラフェンリボン152の第2グラフェン層15Bが形成されている。第2グラフェンリボン152は、ワイヤーグリッド13及び第1グラフェンリボン151と直交する方向(X方向)に延びる。第2グラフェンリボン152の幅は100nm、Y方向の周期は200nmである。第2グラフェン層15Bとワイヤーグリッド13の間に、第2波長の光吸収を増強する第2キャビティ131B(
図2(B)参照)が形成される。
【0051】
第1グラフェン層15Aの両端に電極17と18が接続され、第2グラフェン層15Bの両端に電極19と21が接続されている。第1ゲート電極22は、ゲート電極用金属パッド27に接続され、第2ゲート電極24は、ゲート電極用金属パッド28に接続されている。ゲート電極用金属パッド27または28を介して第1ゲート電極22または第2ゲート電極24に電圧を印加することで、第1グラフェン層15Aまたは第2グラフェン層15Bのキャリア密度を制御することができる。
【0052】
第2実施例の構成は、第1グラフェンリボン151と第2グラフェンリボン152に個別に設けられるキャビティ構造に加えて、ゲート電圧によるキャリア密度の制御が可能である。第1グラフェン層15Aと第2グラフェン層15Bでの光吸収をさらに向上することができる。
【0053】
<第3実施例>
図8は、第3実施例の光半導体デバイス30の上面模式図、
図9は第3実施形態で用いられる第1グラフェン層35Aと第2グラフェン層35Bの平面模式図、
図10は
図8のVIII-VIIIラインに沿った断面模式図である。第3実施例では、非対称の第1グラフェン層35Aと、非対称の第2グラフェン層35Bを用いる。
【0054】
図9に示すように、第1グラフェン層35Aは、第1グラフェンリボン351の周期的な配列を含む第1領域353と、グラフェンリボンの周期的な配列を有しない第2領域354とを有する。第1領域353の第1グラフェンリボン351の幅は150nm、X方向の周期は300nmである。第1領域353の端部に電極38が接続され、第2領域354の端部に電極37が接続される。
【0055】
第1グラフェン層35Aの非対称性により、第1グラフェン層35Aの面内にポテンシャル分布が生じる。また、第1領域353と電極38の界面と、第2領域354と電極37の界面で温度分布が生じる。第1波長の光の入射による起電力の変化が電気信号として電極37と38から読み出される。
【0056】
第2グラフェン層35Bは、第2グラフェンリボン352の周期的な配列を含む第3領域355と、グラフェンリボンの周期的な配列を有しない第4領域356とを有する。第3領域355の第2グラフェンリボン352の幅は100nm、Y方向の周期は200nmである。第3領域355の端部に電極41が接続され、第4領域356の端部に電極39が接続される。
【0057】
第2グラフェン層35Bの非対称性により、第2グラフェン層35Bの面内にポテンシャル分布が生じる。また、第3領域355と電極41の界面と、第4領域356と電極39の界面で温度分布が生じる。第1波長よりも短い第2波長の光の入射による起電力の変化が、電気信号として電極39と41から読み出される。第3実施形態では、第1波長の光検出のための非対称性が第1グラフェン層35Aの形状で実現されているので、電極37と38は同一の金属材料で形成されてもよい。同様に、第2波長の光検出のための非対称性が第2グラフェン層35Bの形状で実現されているので、電極39と41は同一の金属材料で形成されてもよい。
【0058】
光半導体デバイス30のその他の構成は、第2実施例の構成と同じである。第1の誘電体層14と第1グラフェン層35Aの間に、第1ゲート電極22と第1絶縁膜23がこの順に設けられている。第2の誘電体層16と第2グラフェン層35Bの間に、第2ゲート電極24と第2絶縁膜25がこの順に設けられている。第1グラフェン層35Aと第2グラフェン層35Bのいずれか一方にだけゲート電極を設けてもよい。
【0059】
第1グラフェン層15Aの第1領域353と金属層11の間に、第1波長の光吸収を増強する第1キャビティ131A(
図2(A)参照)が形成される。第2グラフェン層15Bの第3領域355とワイヤーグリッド13の間に、第2波長の光吸収を増強する第2キャビティ131B(
図2(B)参照)が形成される。
【0060】
第3実施例の構成は、光吸収とその増強に寄与する面積が第2実施例と比較して狭くなるが、ゲート電圧によりキャリア密度の増大が可能である。また、各グラフェン層に接続される電極対を一度の工程で形成することができる。
【0061】
<光半導体デバイスアレイへの適用>
図11は、基板101の上に複数の光半導体デバイス10(または20、または30、以下、単に「光半導体デバイス10」とする)を一次元または二次元のアレイ状に配置した光半導体デバイスアレイ100の模式図である。個々の光半導体デバイス10で画素を構成してもよい。個々の光半導体デバイス10で、第1グラフェン層15Aと第2グラフェン層15Bにそれぞれ個別のキャビティが付加されるので、2つの異なる波長の光吸収を個別に増幅でき、感度のよいイメージセンサを構成することができる。
【0062】
以上、特定の例に基づいて本開示を説明してきたが、本開示は、上述した例に限定されない。第1実施例から第3実施例の構成を個別に組み合わせてもよい。たとえば第1実施例の第1グラフェン層15Aと第2グラフェン層に代えて、第3実施形態の非対称な第1グラフェン層35Aと第2グラフェン層35Bを用いてもよい。第1グラフェンリボン151と第2グラフェンリボン152は、機械的剥離法、転写法などで、第1の誘電体層14と第2の誘電体層16の表面に配置されてもよい。あるいは、マイクロ波プラズマCVDなどにより500℃程度の低温で、第1の誘電体層14と第2の誘電体層16の上に直接グラフェンを成長してもよい。あるいは、第1の誘電体層14と第2の誘電体層16の上に直接グラフェンを成長した後に、金属層11とワイヤーグリッド13を含む積層体を貼り合わせてもよい。第1グラフェン層15A、35Aと第2グラフェン層15B、35Bに接続される電極はAu、Ti、Pd、Cr、Pt等の良導体で形成され得る。電極材料で非対称性を実現する場合は、これら良導体の中で適切な仕事関数の組み合わせを選択してもよい。いずれの場合も、第1波長の光吸収と第2波長の光吸収を個別に増強することができる。
【0063】
実施形態の光センサは、物質の熱輻射光を検出する赤外線センサや、夜間の暗視サーモグラフィなどに適用される。2つの波長の光の入射量を高感度で検出できるので、目標とする物体の温度を精度よく識別できる。
【0064】
以上の開示に対し、以下の付記を提示する。
(付記1)
金属層と、
前記金属層の上に設けられた第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層の表面で第1の方向に延びる第1グラフェンリボンを含む第1グラフェン層と、
前記第1グラフェン層を覆う第2の誘電体層と、
前記第2の誘電体層の上で前記第1の方向と交わる第2の方向に延びる第2グラフェンリボン(152)を含む第2グラフェン層と、
前記第1の誘電体層の所定の深さに設けられ、前記第1グラフェンリボンと前記第2グラフェンリボンのいずれか一方と平行に延びるワイヤーグリッドと、
を有する光半導体デバイス。
(付記2)
前記ワイヤーグリッドは前記第1グラフェンリボンと平行に延び、
前記第1グラフェン層と前記第1の誘電体層と前記金属層で第1キャビティが形成される、
付記1に記載の光半導体デバイス。
(付記3)
前記第2グラフェンリボンは前記第1グラフェンリボンと直交する方向に延び、前記第2グラフェン層と前記ワイヤーグリッドの間に第2キャビティが形成されている、
付記2に記載の光半導体デバイス。
(付記4)
前記第1グラフェン層は、前記第1グラフェンリボンの周期構造を有し、
前記第1の誘電体層の厚さ(d1)は、前記第1グラフェンリボンの幅と周期で決まる第1波長の奇数倍に比例する、
付記2に記載の光半導体デバイス。
(付記5)
前記第2グラフェン層と前記ワイヤーグリッドの間の長さは、前記第1波長と異なる第2波長の奇数倍に比例する、
付記4に記載の光半導体デバイス。
(付記6)
前記ワイヤーグリッドは前記第2グラフェンリボンと平行に延び、
前記第1グラフェン層と前記ワイヤーグリッドの間に第1キャビティが形成される、
付記1に記載の光半導体デバイス。
(付記7)
前記第2グラフェンリボンは前記第1グラフェンリボンと直交する方向に延び、前記第2グラフェン層と前記金属層の間に第2キャビティが形成される、
付記6に記載の光半導体デバイス。
(付記8)
前記第1グラフェン層は、前記第1グラフェンリボンの周期構造を有し、
前記第第1グラフェン層と前記ワイヤーグリッドの間の長さは、前記第1グラフェンリボンの幅と周期で決まる第1波長の奇数倍に比例する、
付記6に記載の光半導体デバイス。
(付記9)
前記第2グラフェン層と前記金属層の間の長さは、前記第1波長と異なる第2波長の奇数倍に比例する、
付記8に記載の光半導体デバイス。
(付記10)
前記第1の誘電体層と前記第1グラフェン層の間に、第1ゲート電極と第1絶縁膜がこの順で設けられている、
付記1から9のいずれかに記載の光半導体デバイス。
(付記11)
前記第2の誘電体層と前記第2グラフェン層の間に、第2ゲート電極と第2絶縁膜がこの順に設けられる、
付記1から10のいずれかに記載の光半導体デバイス。(請求項7;第2実施例)
(付記12)
前記第1グラフェン層は、前記第1グラフェンリボンの周期的な配列を含む第1領域と、前記第1グラフェンリボンの前記周期的な配列を有しない第2領域とを有する、
付記1から11のいずれかに記載の光半導体デバイス。
(付記13)
前記第2グラフェン層は、前記第2グラフェンリボンの周期的な配列を含む第3領域と、前記第2グラフェンリボンの前記周期的な配列を有しない第4領域とを有する、
付記1から12のいずれかに記載の光半導体デバイス。
(付記14)
前記第1グラフェン層に接続される第1の電極対と、前記第2グラフェン層に接続される第2の電極対と、を有する
付記1から13のいずれかに記載の光半導体デバイス。
【符号の説明】
【0065】
10、10-1、10-2、20、30 光半導体デバイス
11 金属層
13 ワイヤーグリッド
14 第1の誘電体層
15A、35A 第1グラフェン層
15B、35B 第2グラフェン層
16 第2の誘電体層
17、18、19、21、37、38、39,41 電極
22 第1ゲート電極
23 第1絶縁膜
24 第2ゲート電極
25 第2絶縁膜
27、28 ゲート電極用金属パッド
100 光半導体デバイスアレイ
131A、132A 第1キャビティ
131B、132B 第2キャビティ
151、351 第1グラフェンリボン
152、352 第2グラフェンリボン
353 第1領域
354 第2領域
355 第3領域
356 第4領域