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特開2024-130553車両用検出器及び車両用検出システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130553
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両用検出器及び車両用検出システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/48 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B60R22/48 104
B60R22/48 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040355
(22)【出願日】2023-03-15
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 昇平
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018QA02
(57)【要約】
【課題】座席側に設けられる子機ユニットを適正に稼働し続けることができる車両用検出器及び車両用検出システムを提供する。
【解決手段】車両用検出器1は、子機ユニット5が、充電池17と、充電池17の電力により駆動し、状態信号を送信するBLE制御回路19とを備える。着座検出ユニット3は、検出した着座状態に対応する着座状態信号を状態信号として子機ユニット5に出力する着座センサ10と、着座による圧力に応じて発電し、得られた電力を充電池17に充電する圧力発電素子11とを有する。着用検出ユニット4は、検出した着用状態に対応する着用状態信号を状態信号として子機ユニット5に出力するシートベルトセンサ12と、バックル8に対するタング7の着脱に応じて発電し、得られた電力を充電池17に充電するダイナモ13とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の座席に設けられ、当該車両の搭乗者の着座状態を検出する着座検出ユニットと、
前記座席のシートベルトに設けられた挿入部材を着脱可能にするバックルに設けられ、当該座席に着座した前記搭乗者のシートベルトの着用状態を検出する着用検出ユニットと、
前記座席に設けられ、前記着座検出ユニット及び前記着用検出ユニットから出力される状態信号を、車両側に設けられた親機ユニットに対して無線通信により送信する子機ユニットと、を備え、
前記子機ユニットは、
電力を蓄電可能である充電池と、
前記充電池の電力により駆動し、前記状態信号を送信する無線通信部と、を備え、
前記着座検出ユニットは、
前記座席に対する前記搭乗者の着座状態を検出し、検出した前記着座状態に対応する着座状態信号を前記状態信号として前記子機ユニットに出力する着座センサと、
前記座席への着座による圧力に応じて発電し、得られた電力を前記子機ユニットの前記充電池に充電する着座発電部と、を有し、
前記着用検出ユニットは、
前記座席に着座した前記搭乗者のシートベルトの着用状態を検出し、検出した前記着用状態に対応する着用状態信号を前記状態信号として前記子機ユニットに出力するシートベルトセンサと、
前記バックルに対する前記挿入部材の着脱に応じて発電し、得られた電力を前記子機ユニットの前記充電池に充電する着用発電部と、を有する
ことを特徴とする車両用検出器。
【請求項2】
前記バックルは、
バックル本体と、
前記バックル本体に収容され、当該バックル本体に対する前記挿入部材の挿抜に応じて挿抜方向に伸縮するように支持されたコイルスプリングと、
前記バックル本体に収容され、当該バックル本体に対する前記挿入部材の前記挿抜方向の移動を回動に変換して前記着用発電部の回転軸を回転させるギア機構と、を備え、
前記挿抜方向のうちの挿入方向への前記挿入部材の移動時に前記コイルスプリングに加わる挿入力に応じて前記回転軸を正方向に回転させる場合において、前記回転軸の前記正方向の回転速度が前記着用発電部の発電可能な回転速度以上となるように、前記コイルスプリングのばね定数及び前記ギア機構のギア比が設定される
請求項1に記載の車両用検出器。
【請求項3】
前記子機ユニットは、
前記充電池に流れる電流を全波整流する整流回路を有し、
前記バックルは、
前記挿抜方向のうちの抜去方向への前記挿入部材の移動時に前記コイルスプリングの反発力に応じて前記回転軸を前記正方向と反対側の逆方向に回転させる場合において、前記回転軸の前記逆方向の回転により前記着用発電部から前記充電池に流れる充電電流を前記整流回路により全波整流して前記充電池の充電に用いる
請求項2に記載の車両用検出器。
【請求項4】
車両の座席に設けられ、当該車両の搭乗者の着座状態を検出する着座検出ユニットと、
前記座席のシートベルトに設けられた挿入部材を着脱可能にするバックルに設けられ、当該座席に着座した前記搭乗者のシートベルトの着用状態を検出する着用検出ユニットと、
前記座席に設けられ、前記着座検出ユニット及び前記着用検出ユニットから出力される状態信号を無線通信により送信する子機ユニットと、
前記車両側に設けられ、前記子機ユニットから受信した前記状態信号に応じて前記搭乗者の着座状態および前記シートベルトの着用状態を判定する親機ユニットと、を備え、
前記子機ユニットは、
電力を蓄電可能である充電池と、
前記充電池の電力により駆動し、前記状態信号を送信する無線通信部と、を備え、
前記着座検出ユニットは、
前記座席に対する前記搭乗者の着座状態を検出し、検出した前記着座状態に対応する着座状態信号を前記状態信号として前記子機ユニットに出力する着座センサと、
前記座席への着座による圧力に応じて発電し、得られた電力を前記子機ユニットの前記充電池に充電する着座発電部と、を有し、
前記着用検出ユニットは、
前記座席に着座した前記搭乗者のシートベルトの着用状態を検出し、検出した前記着用状態に対応する着用状態信号を前記状態信号として前記子機ユニットに出力するシートベルトセンサと、
前記バックルに対する前記挿入部材の着脱に応じて発電し、得られた電力を前記子機ユニットの前記充電池に充電する着用発電部と、を有する
ことを特徴とする車両用検出システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用検出器及び車両用検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の搭乗者の座席への着座状態やシートベルトの装着状態を検出し、それらの検出結果に応じて搭乗者に警告を行う車両用検出器がある。このような車両用検出器では、シートベルトの装着状態を示す検出信号を座席側の子機から車両側の親機に無線通信により送信するものがある(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-238947号公報
【特許文献2】特開2015-104929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の車両用検出器では、座席側の子機と車両側の親機との間の電線の配索等が不要となるが、着座状態や装着状態の検出を担う子機に供給する電力を内蔵電池等により供給している。そのため、従来の車両用検出器では、内蔵電池の消耗による交換が必要となるなど、外部から子機への充電無しに当該子機を稼働させ続けることが容易でない点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、座席側に設けられる子機ユニットを適正に稼働し続けることができる車両用検出器及び車両用検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用検出器は、車両の座席に設けられ、当該車両の搭乗者の着座状態を検出する着座検出ユニットと、前記座席のシートベルトに設けられた挿入部材を着脱可能にするバックルに設けられ、当該座席に着座した前記搭乗者のシートベルトの着用状態を検出する着用検出ユニットと、前記座席に設けられ、前記着座検出ユニット及び前記着用検出ユニットから出力される状態信号を、車両側に設けられた親機ユニットに対して無線通信により送信する子機ユニットと、を備え、前記子機ユニットは、電力を蓄電可能である充電池と、前記充電池の電力により駆動し、前記状態信号を送信する無線通信部と、を備え、前記着座検出ユニットは、前記座席に対する前記搭乗者の着座状態を検出し、検出した前記着座状態に対応する着座状態信号を前記状態信号として前記子機ユニットに出力する着座センサと、前記座席への着座による圧力に応じて発電し、得られた電力を前記子機ユニットの前記充電池に充電する着座発電部と、を有し、前記着用検出ユニットは、前記座席に着座した前記搭乗者のシートベルトの着用状態を検出し、検出した前記着用状態に対応する着用状態信号を前記状態信号として前記子機ユニットに出力するシートベルトセンサと、前記バックルに対する前記挿入部材の着脱に応じて発電し、得られた電力を前記子機ユニットの前記充電池に充電する着用発電部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用検出器及び車両用検出システムによれば、座席側に設けられる子機ユニットを適正に稼働し続けることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る車両検出器を含む車両用検出システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、車両の座席に適用された車両用検出器の配置例を示す模式図である。
図3図3は、着用検出ユニットが適用されたバックル(シートベルト未装着状態)の概略構成を示す模式図である。
図4図4は、着用検出ユニットが適用されたバックル(シートベルト装着状態)の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る車両用検出器及び車両用検出システムについて図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれ、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0010】
[実施形態]
本実施形態に係る車両用検出器1及び車両用検出システムSは、図2に示す自動車等の車両100に設けられる。車両100は、車室内に配置され、当該車両100の搭乗者が着座する座席101を備える。座席101は、車室内に1つ配置されていても、複数配置されていてもよい。座席101は、例えば、図2に示すように、背もたれ部102と、座面部103とを備え、座面部103側にシートベルト6に設けられたタング(挿入部材)7を固定するためのバックル8が設けられている。シートベルト6は、図2に示すように、いわゆる3点式シートベルトであるが、これに限定されるものではない。バックル8は、搭乗者の操作に応じてタング7の着脱を可能にするシートベルトバックルである。座面部103は、座席101に着座した搭乗者と接触する着座領域103aを有する。着座領域103aは、座面部103の形状に応じて、身長や体重、体型等が異なる様々な搭乗者に対応するように設定される。
【0011】
車両用検出器1は、座席101への搭乗者の着座状態及びシートベルト6の着用状態の検出を行う。車両用検出システムSは、車両用検出器1による検出結果に基づいて搭乗者の着座状態、シートベルト6の着用状態を判定する。本実施形態の車両用検出システムSは、図1に示すように、親機ユニット2と、着座検出ユニット3と、着用検出ユニット4と、子機ユニット5とを備える。
【0012】
なお、以下の説明において、便宜上、図示のX方向、Y方向、及び、Z方向のうち、X方向をバックル8に対するタング7の「挿抜方向X」といい、Y方向をバックル8の「幅方向Y」といい、Z方向をバックル8の「厚さ方向Z」という。挿抜方向Xと幅方向Yと厚さ方向Zとは、相互に直交する。挿抜方向Xは、バックル8の延在方向に沿う方向に相当する。特に、挿抜方向Xは、一方を「挿入方向X1」、他方を「抜去方向X2」という。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向として説明する。
【0013】
親機ユニット2は、車両100の車体側、例えば、車室内のインナールーフの車両前方側の端部に配置される。なお、親機ユニット2は、これに限らず、インストルメントパネル(不図示)やインナールーフ(不図示)の中央に配置されていてもよい。親機ユニット2は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)による通信技術を用いて子機ユニット5との間で無線通信を行う。親機ユニット2は、着座検出ユニット3及び着用検出ユニット4から出力される状態信号を無線通信により受信する。親機ユニット2は、子機ユニット5から受信した状態信号に応じて搭乗者の着座状態およびシートベルト6の着用状態を判定する。親機ユニット2は、例えば、車両電源により給電されて駆動し、車両100全体を制御する車両側制御部(ECU:Electronic Control Unit)に電気的に接続され、当該車両側制御部から各種情報を取得することができる。親機ユニット2は、子機ユニット5から受信した状態信号に応じて搭乗者の着座状態およびシートベルト6の着用状態を判定する。
【0014】
着座検出ユニット3は、座席101に設けられ、車両100の搭乗者の着座状態を検出するものである。着座検出ユニット3は、子機ユニット5との間で電線等の配索材を介して電気的に接続されている。着座検出ユニット3は、着座センサ10と、圧力発電素子11とを備える。
【0015】
着座センサ10は、座席101に対する搭乗者の着座状態を検出する。着座センサ10は、子機ユニット5に配索材を介して電気的に接続され、検出した着座状態に対応する着座状態信号を状態信号として子機ユニット5に出力する。着座センサ10は、例えば、座席101の座面部103に埋め込まれ、座面部103にかかる圧力を検出する。着座センサ10は、例えば、座面部103の着座領域103aに配置される。
【0016】
圧力発電素子(着座発電部)11は、座席101への着座による圧力に応じて発電する。圧力発電素子11は、子機ユニット5に配索材を介して電気的に接続され、得られた電力を子機ユニット5に出力する。圧力発電素子11は、例えば、座席101の座面部103に埋め込まれた圧電素子(ピエゾ素子)であり、当該圧電素子にかかる圧力により発電する。圧力発電素子11は、座面部103の着座領域103aに配置される。本実施形態の着座検出ユニット3は、例えば、着座センサ10と圧力発電素子11が同一サイズで2層に積層されている。
【0017】
着用検出ユニット4は、バックル8に設けられ、座席101に着座した搭乗者のシートベルト6の着用状態を検出するものである。着用検出ユニット4は、子機ユニット5との間で電線等の配索材を介して電気的に接続されている。着用検出ユニット4は、シートベルトセンサ12と、ダイナモ13とを備える。
【0018】
シートベルトセンサ12は、座席101に着座した搭乗者のシートベルト6の着用状態を検出する。シートベルトセンサ12は、子機ユニット5に配索材を介して電気的に接続され、検出した着用状態に対応する着用状態信号を状態信号として当該子機ユニット5に出力する。シートベルトセンサ12は、例えば、バックル8内に設けられ、当該バックル8に対するタング7の挿入状態を検出する。
【0019】
ダイナモ(着用発電部)13は、例えば、バックル8内に設けられた発電機であり、当該バックル8に対するタング7の着脱に応じて発電する。ダイナモ13は、子機ユニット5に配索材を介して電気的に接続され、得られた電力を当該子機ユニット5に出力する。ダイナモ13は、回転軸13aの正方向の回転、及び、正方向と反対側の逆方向の回転、それぞれに応じて発電する。
【0020】
ここで、バックル8の構成について説明する。バックル8は、図4に示すように、バックル8に対して挿入方向X1に挿入されたタング7を係止突起26により係止して固定する。バックル8は、バックル本体9と、コイルスプリング21と、ギア機構22と、シートベルトセンサ12とを備える。
【0021】
バックル本体9は、シートベルトセンサ12、ダイナモ13、コイルスプリング21、ギア機構22、可動部材25、及び係止突起26を収容する筐体である。
【0022】
コイルスプリング21は、バックル本体9に対するタング7の挿抜に応じて挿抜方向Xに伸縮するように支持されている。コイルスプリング21は、挿入方向X1側の端部がバックル本体9に固定され、抜去方向X2側の端部が可動部材25に連結されている。コイルスプリング21は、タング7がバックル本体9に挿入されると、挿入方向側に圧縮される。
【0023】
ギア機構22は、バックル本体9に対するタング7の挿抜方向Xの移動を回動に変換してダイナモ13の回転軸13aを回転させる。ギア機構22は、可動部材25の幅方向Yの一方の端部と、ダイナモ13との間に介在し、可動部材25の挿抜方向Xの移動をダイナモ13の回転軸13aの回動に変換する。ギア機構22は、ラックギア23と、ピニオンギア24とで構成される。
【0024】
ラックギア23は、挿抜方向Xに沿うコイルスプリング21の伸縮方向に沿って延在し、当該ラックギア23の幅方向Yにおけるコイルスプリング21側に歯形部が形成される。この歯形は、ラックギア23の挿抜方向Xにおける挿入方向X1側に形成される。ラックギア23は、抜去方向X2側の端部が可動部材25に連結され、挿入方向X1側の歯形部がピニオンギア24に噛み合っている。
【0025】
ピニオンギア24は、いわゆる変速ギアであり、小径ギアと大径ギアが積層された2層構造を有する。小径ギアは、ラックギア23と噛み合い、大径ギアがダイナモ13の回転軸13aに噛み合っている。
【0026】
本実施形態のコイルスプリング21のばね定数及びギア機構22のギア比は、ダイナモ13の発電可能な回転速度以上になるように設定される。具体的には、バックル8は、バックル本体9にタング7を挿入したときにコイルスプリング21に加わる挿入力F(図3参照)に応じてダイナモ13の回転軸13aを正方向に回転させる。すなわち、バックル8は、挿入方向X1へのタング7の移動時にコイルスプリング21に加わる挿入力Fに応じて回転軸13aを正方向に回転させる場合において、当該回転軸13aの正方向の回転速度がダイナモ13の発電可能な回転速度以上となるように、コイルスプリング21のばね定数及びギア機構22のギア比が設定される。
【0027】
また、バックル8は、バックル本体9から抜去方向X2にタング7を抜いたとき、コイルスプリング21による反発力(抜去力)Faに応じてダイナモ13の回転軸13aを逆方向に回転させる。すなわち、バックル8は、抜去方向X2へのタング7の移動時にコイルスプリング21の反発力Faに応じて回転軸13aを逆方向に回転させる場合において、回転軸13aの逆方向の回転によりダイナモ13から充電池17に流れる充電電流を整流回路14により全波整流して充電池17の充電に用いる。
【0028】
シートベルトセンサ12は、可動部材25の幅方向Yの他方の端部に連結され、バックル本体9に支持されたレール部材27上を挿抜方向Xに移動可能に配置される。
【0029】
子機ユニット5は、座席101内に設けられ、着座検出ユニット3及び着用検出ユニット4から出力される状態信号を、車両100側に設けられた親機ユニット2に対して無線通信により送信するものである。子機ユニット5は、図1に示すように、主たる構成として、整流回路14、平滑回路15、充放電回路16、充電池17、制御回路18、及びBLE制御回路19を有する。本実施形態の子機ユニット5は、充電池17により駆動する。
【0030】
整流回路14は、ダイオードD1を介して着用検出ユニット4内のダイナモ13に接続され、かつダイオードD2を介して着座検出ユニット3内の圧力発電素子11に接続されている。整流回路14は、ダイナモ13、圧力発電素子11により発電された交流電力を全波整流する全波整流回路である。整流回路14は、平滑回路15に接続されている。
【0031】
平滑回路15は、充放電回路16に接続され、整流回路14により整流された電流に含まれる脈流をより直流に近い状態に平滑化するものである。
【0032】
充放電回路16は、充電池17、制御回路18、及びBLE制御回路19に接続されており、これらに供給する電流、電圧を充電池17、制御回路18、及びBLE制御回路19に合わせて制御するものである。
【0033】
充電池17は、電力を蓄電可能な蓄電池であり、主に、着用検出ユニット4、着座検出ユニット3に電力を供給してこれらを駆動する。また、充電池17は、子機ユニット5内の制御回路18、BLE制御回路19を駆動する。
【0034】
制御回路18は、制御回路18は、着用検出ユニット4、着座検出ユニット3、及び子機ユニット5を制御するものである。制御回路18は、着用検出ユニット4内のシートベルトセンサ12及び着座検出ユニット3内の着座センサ10に接続され、シートベルトセンサ12及び着座センサ10から、状態信号として着用状態信号及び着座状態信号を取得する。また、制御回路18は、BLE制御回路19に接続され、当該BLE制御回路19を介して親機ユニット2に着用状態信号及び着座状態信号を送信する。制御回路18は、ダイナモ13、圧力発電素子11により発電された電力を制御して充電池17の充電を行う。また、制御回路18は、充電池17から着用検出ユニット4及び着座検出ユニット3に供給する電力を制御する。制御回路18は、電流消費を抑えるため、各検出ユニットの発電部(圧力発電素子11、ダイナモ13)からの電流変化をトリガーにして当該制御回路18のウェイクアップ、各検出ユニットへの電力供給、状態信号の取得、親機ユニット2への状態信号の送信を行い、それぞれの動作が完了した後、一定時間が経過すると、省電力モードに移行する。
【0035】
BLE制御回路19は、アンテナATを介して親機ユニット2との間で無線通信を行うものである。BLE制御回路19は、例えば、上述したBLEによる通信技術を用いて親機ユニット2との間で無線通信を行う。BLE制御回路19は、親機ユニット2に対して着用状態信号及び着座状態信号を送信する。
【0036】
次に、車両用検出器1の動作例について図1図2を参照しつつ図3図4に基づいて説明する。
【0037】
座席101は、搭乗者の着座に応じて、充電池17に充電する電力を発電すると共に、当該搭乗者の着座状態を検出する。
【0038】
座席101は、搭乗者が着座して圧力発電素子11に圧力が加わると、当該圧力に応じて圧力発電素子11が発電する。圧力発電素子11で発電させた電力は、子機ユニット5内の整流回路14等で交流電力が直流電力に整流されて充電池17に供給される。これにより、車両用検出器1は、外部から充電することなく、充電池17を充電することができる。そして、座席101は、搭乗者が着座して着座センサ10に圧力が加わると、当該圧力に応じて着座センサ10が着座状態信号を子機ユニット5内の制御回路18に出力する。制御回路18は、入力した着座状態信号を「非着座」から「着座」に変更してBLE制御回路19により親機ユニット2に送信する。
【0039】
座席101は、搭乗者が離席して圧力発電素子11に圧力が加わらなくなると、圧力発電素子11の発電で停止する。そして、座席101は、搭乗者が離席して着座センサ10が圧力を検出しなくなると、制御回路18が着座状態信号を「着座」から「非着座」に変換してBLE制御回路19により親機ユニット2に送信する。
【0040】
バックル8は、バックル本体9に対するタング7の挿抜に応じて、充電池17に充電する電力を発電すると共に、搭乗者のシートベルトの着用状態を検出する。
【0041】
バックル8は、バックル本体9に対するタング7が挿入されると、可動部材25が挿入方向X1側に押し下げられ、当該可動部材25に連動したギア機構22の駆動によりダイナモ13の回転軸13aが正方向に回転して発電する。ダイナモ13で発電された電力は、子機ユニット5内の整流回路14等で交流電力が直流電力に整流されて充電池17に供給される。これにより、車両用検出器1は、外部から充電することなく、充電池17を充電することができる。そして、バックル8は、可動部材25が挿入方向X1側に押し下げられると、シートベルトセンサ12が抜去方向X2側の初期位置から挿入方向X1側の装着位置に移動する。これにより、シートベルトセンサ12は、着用状態信号を「非着用」から「着用」に変換して子機ユニット5内の制御回路18に出力する。制御回路18は、入力した着用状態信号をBLE制御回路19により親機ユニット2に送信する。
【0042】
バックル8は、バックル本体9からタング7が抜かれると、可動部材25が抜去方向X2側に押し上げられ、当該可動部材25に連動したギア機構22の駆動によりダイナモ13の回転軸13aが逆方向に回転して発電する。ダイナモ13で発電された電力は、子機ユニット5内の整流回路14等で交流電力が直流電力に整流されて充電池17に供給される。これにより、車両用検出器1は、バックル8からタング7を抜き去る場合であっても、外部から充電することなく、充電池17を充電することができる。そして、バックル8は、可動部材25が抜去方向X2側に押し上げられると、シートベルトセンサ12が挿入方向X1側の装着位置から抜去方向X2側の初期位置に移動する。これにより、シートベルトセンサ12は、着用状態信号を「着用」から「非着用」に変換して子機ユニット5内の制御回路18に出力する。制御回路18は、入力した着用状態信号をBLE制御回路19により親機ユニット2に送信する。
【0043】
親機ユニット2は、子機ユニット5から受信した着座状態信号及び着用状態信号に基づいて、座席101への搭乗者の着座状態及び当該座席101に対応するシートベルト6の着用状態を判定する。例えば、親機ユニット2は、着座状態信号に基づいて座席101への搭乗者の着座状態が「着座」であると判定した場合、着用状態信号に基づくシートベルト6の着用状態が「非着用」であると判定したときは、当該判定結果に対応する情報を車両側制御部に出力する。車両側制御部は、例えば、座席101に着座した搭乗者に対して「シートベルトが非装着である」旨の警告を行う。
【0044】
以上説明した車両用検出器1及び車両用検出システムSは、座席101に設けられ、搭乗者の着座状態を検出する着座検出ユニット3と、バックル8に設けられ、着座した搭乗者のシートベルト6の着用状態を検出する着用検出ユニット4と、座席101に設けられ、着座検出ユニット3及び着用検出ユニット4から出力される状態信号を、親機ユニット2に対して無線通信により送信する子機ユニット5とを備える。子機ユニット5が、充電池17と、充電池17の電力により駆動し、状態信号を送信するBLE制御回路19とを備える。着座検出ユニット3は、検出した着座状態に対応する着座状態信号を状態信号として子機ユニット5に出力する着座センサ10と、着座による圧力に応じて発電し、得られた電力を充電池17に充電する圧力発電素子11とを有する。着用検出ユニット4は、検出した着用状態に対応する着用状態信号を状態信号として子機ユニット5に出力するシートベルトセンサ12と、バックル8に対するタング7の着脱に応じて発電し、得られた電力を充電池17に充電するダイナモ13とを有する。
【0045】
車両用検出器1及び車両用検出システムSは、上記構成により、子機ユニット5に接続された着座検出ユニット3の圧力発電素子11及び着用検出ユニット4のダイナモ13により当該子機ユニット5の充電池17が充電可能となる。この結果、車両用検出器1及び車両用検出システムSは、座席101側に設けられる子機ユニット5を外部から充電することなく稼働させることができる。そして、車両用検出器1及び車両用検出システムSは、座席101側に設けられる子機ユニット5を適正に稼働し続けることができる。
【0046】
また、車両用検出器1及び車両用検出システムSは、子機ユニット5と親機ユニット2を有線で接続する場合と比較して無線で接続するので、部品点数を削減して車両コストを低減することができる。また、車両用検出器1及び車両用検出システムSは、着座検出ユニット3及び着用検出ユニット4に発電部である圧力発電素子11、ダイナモ13を追加する構成であることから、発電部を別個に設ける場合と比較して低コストで製造することが可能となる。また、車両用検出器1及び車両用検出システムSは、子機ユニット5に対して着座検出ユニット3及び着用検出ユニット4が別個に設けられているので、これらの検出ユニットを備える車両であれば、例えば同一の品番を部品に使用することが可能となり、部品の数量をまとめることで検出ユニットの単価を下げることが可能となり、車両コストをより低減することができる。
【0047】
また、本実施形態における車両用検出器1及び車両用検出システムSは、バックル8が、バックル本体9に対するタング7の挿抜に応じて挿抜方向Xに伸縮するように支持されたコイルスプリング21と、バックル本体9に対するタング7の挿抜方向Xの移動を回動に変換してダイナモ13の回転軸13aを回転させるギア機構22とを備える。バックル8は、挿入方向X1へのタング7の移動時にコイルスプリング21に加わる挿入力Fに応じて回転軸13aを正方向に回転させる場合において、当該回転軸13aの正方向の回転速度がダイナモ13の発電可能な回転速度以上となるように、コイルスプリング21のばね定数及びギア機構22のギア比が設定される。これにより、車両用検出器1及び車両用検出システムSは、子機ユニット5に接続された着用検出ユニット4のダイナモ13により当該子機ユニット5の充電池17が充電可能となり、当該子機ユニット5を外部から充電することなく稼働し続けることができる。
【0048】
また、車両用検出器1及び車両用検出システムSは、子機ユニット5が、充電池17に流れる電流を全波整流する整流回路14を有する。バックル8は、抜去方向X2へのタング7の移動時にコイルスプリング21の反発力Faに応じてダイナモ13の回転軸13aを正方向と反対側の逆方向に回転させる場合において、当該回転軸13aの逆方向の回転によりダイナモ13から充電池17に流れる充電電流を整流回路14により全波整流して充電池17の充電に用いる。これにより、車両用検出器1及び車両用検出システムSは、子機ユニット5に接続された着用検出ユニット4のダイナモ13により当該子機ユニット5の充電池17が充電可能となり、当該子機ユニット5を外部から充電することなく稼働し続けることができる。
【0049】
なお、上記実施形態では、着座検出ユニット3が、座席101の座面部103に設けられているが、これに限定されず、背もたれ部102側に設けられていてもよいし、座面部103と背もたれ部102の両方に設けられていてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、着座検出ユニット3における着座センサ10と圧力発電素子11が同一サイズで2層に積層されているとしたが、これに限定されるものではない。例えば、着座センサ10は、圧力発電素子11に対して小さいサイズであってもよいし、大きいサイズであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 車両用検出器
2 親機ユニット
3 着座検出ユニット
4 着用検出ユニット
5 子機ユニット
6 シートベルト
7 タング(挿入部材)
8 バックル
10 着座センサ
11 圧力発電素子(着座発電部)
12 シートベルトセンサ
13 ダイナモ(着用発電部)
17 充電池
21 コイルスプリング
22 ギア機構
100 車両
101 座席
102 背もたれ部
103 座面部
S 車両用検出システム
図1
図2
図3
図4