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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130557
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 49/00 20060101AFI20240920BHJP
   H02K 49/10 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F16H49/00 A
H02K49/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040365
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】野中 朋子
(72)【発明者】
【氏名】大矢 紫保
【テーマコード(参考)】
5H649
【Fターム(参考)】
5H649BB03
5H649GG08
5H649GG18
5H649HH08
5H649HH18
5H649JK02
(57)【要約】
【課題】部品点数を減少する。
【解決手段】装置は、静止部材と、前記静止部材に支持された第1軸受および第2軸受と、前記第1軸受に設けられた第1部材と、前記第2軸受に設けられた第2部材と、を備える。前記静止部材は、第1部材と前記第2部材との間に位置する壁を有する。軸方向において、前記壁を介して対向する前記第1部材および前記第2部材は、磁力により相互に結合される。前記第1部材又は前記第2部材は、前記磁力とは異なる外力により回転可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止部材と、
前記静止部材に支持された第1軸受および第2軸受と、
前記第1軸受に設けられた第1部材と、
前記第2軸受に設けられた第2部材と、
を備え、
前記静止部材は、第1部材と前記第2部材との間に位置する壁を有し、
軸方向において、前記壁を介して対向する前記第1部材および前記第2部材は、磁力により相互に結合され、
前記第1部材又は前記第2部材は、前記磁力とは異なる外力により回転可能である、
装置。
【請求項2】
前記壁は、非磁性体であり、
前記第1部材および前記第2部材は、前記静止部材に対して回転する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1部材および前記第2部材のそれぞれは、マグネットを備えている、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1部材および前記第2部材のそれぞれは、ロッドおよびベースを有するスリーブを備え、
径方向において、前記第1部材の前記ロッドは、前記第1軸受の内側に配置され、
前記径方向において、前記第2部材の前記ロッドは、前記第2軸受の内側に配置され、
軸方向において、前記第1部材の前記ベースは、第1マグネットと前記第1軸受との間に配置され、
前記軸方向において、前記第2部材の前記ベースは、第2マグネットと前記第2軸受との間にある、
請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1軸受および前記第2軸受のそれぞれは、前記静止部材に支持される外輪と、転動体と、を備える、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1部材の前記ロッドおよび前記第2部材の前記ロッドは、筒状であり、
前記第1部材の前記ロッドは第1軸受の内輪を形成し、
前記第2部材の前記ロッドは、前記第2軸受の内輪を形成している、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記転動体の内側に前記ロッドがある、
請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記静止部材は、
前記第1部材を収容する第1静止部材と、
前記第2部材を収容する第2静止部材と、
を備える、
請求項1または2に記載の装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、磁気回転伝達装置等の装置の中には、静止部材である密閉容器と、第1円盤および第1磁石を有する駆動回転体と、第2円盤および第2磁石を有する従動回転体と、を備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、装置の中には、駆動回転体に、磁性材料で形成された駆動側ヨークを設け、かつ、従動回転体に、磁性材料で形成された従動側ヨークを設けるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-74900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術には、部品点数の減少に関して、さらなる改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、部品点数を減少することができる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る装置は、静止部材と、前記静止部材に支持された第1軸受および第2軸受と、前記第1軸受に設けられた第1部材と、前記第2軸受に設けられた第2部材と、を備える。前記静止部材は、第1部材と前記第2部材との間に位置する壁を有する。軸方向において、前記壁を介して対向する前記第1部材および前記第2部材は、磁力により相互に結合される。前記第1部材又は前記第2部材は、前記磁力とは異なる外力により回転可能である。
【0008】
本発明に係る装置の一態様によれば、部品点数を減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る装置の斜視図である。
図2図2は、図1に示す装置の断面図である。
図3図3は、第2実施形態に係る装置の斜視図である。
図4図4は、図3に示す装置の断面図である。
図5図5は、第3実施形態に係る装置の斜視図である。
図6図6は、図5に示す装置の断面図である。
図7図7は、第4実施形態に係る装置の斜視図である。
図8図8は、図7に示す装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、実施形態に係る装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る装置1の斜視図である。図2は、図1に示す装置1の断面図である。本実施形態にかかる装置1は、例えば、モータの駆動力を外部装置の従動軸に伝達する装置に用いられる。
【0012】
第1実施形態に係る図1に示す装置1の説明において、方向の理解を容易にするため、後述する第1シャフト321および第2シャフト421が延びる方向を軸方向Aと称呼し、シャフト321、421が回転する方向を周方向Cと称呼し、軸方向Aに対して直交する平面に含まれ、かつ、第1シャフト321の軸心321xおよび第2シャフト421の軸心421xを通過し、周方向Cに対して直交する方向を径方向Rと称呼する。
【0013】
第1実施形態に係る図1に示す装置1は、静止部材2と、駆動側部材3と、従動側部材4(被動側部材)と、を備える。静止部材2は、例えば、第1静止部材21と、第2静止部材22と、壁部(壁)23と、を有し、静止した状態に維持される。本実施形態に係る静止部材2は、非磁性材料によって、第1静止部材21と第2静止部材22と壁部23とが一体的に形成される。
【0014】
第1静止部材21は、第1収容空間21sを有する筒状に形成されたハウジングである。そして、第1静止部材21の第1収容空間21sには、駆動側部材3が配置される。
【0015】
第2静止部材22は、第2収容空間22sを有する筒状に形成されたハウジングである。そして、第2静止部材22の第2収容空間22sには、従動側部材4が配置される。
【0016】
壁部23は、後述する第1部材32と第2部材42との間に位置する。
【0017】
駆動側部材3は、第1軸受31と、第1軸受31に設けられた第1部材32と、を備える。第1軸受31は、例えば、転がり軸受であり、筒状に形成される。そして、第1軸受31のうち、後述する第1外輪312は、第1支持部材21aを介して第1静止部材21に支持される。第1軸受31は、第1部材32の荷重を支持しながら、静止部材2に対して第1部材32が周方向Cへ回転可能な状態を維持する。
【0018】
第1軸受31は、径方向Rにおいて、第1シャフト321側(内側)に位置する第1内輪311と、第1シャフト321の反対側(外側)に位置する第1外輪312と、第1内輪311と第1外輪312との間に位置し、周方向Cに沿って並べられた複数の第1ボール313(転動体)と、を有する。第1ボール313は、例えば、球形に形成される。
【0019】
第1外輪312は、軸方向Aの中央において、径方向Rの外側へ向けて凹む凹部312aを有する。凹部312aは、第1ボール313を収容するための空間31sを形成する。また、第1外輪312は、例えば、第1支持部材21aによって第1静止部材21の内周面に固定される。言い換えると、第1外輪312は、第1支持部材21aおよび静止部材2で構成される固定側に取り付けられる。また、固定側と非固定側との間に、複数の第1ボール313が介在し、第1ボール313によって、第1外輪312に対して第1内輪311が周方向Cに回転可能である。
【0020】
第1内輪311は、軸方向Aの中央において、径方向Rの内側へ向けて凹む凹部311aを有する。凹部311aは、第1ボール313を収容するための空間31sを形成する。また、第1内輪311は、後述する第1スリーブ322を介して第1シャフト321の外周面に固定される。言い換えると、第1内輪311は、第1シャフト321等で構成される非固定側の部材に取り付けられる。
【0021】
本実施形態に係る第1内輪311は、磁性材料によって形成され、後述する第1マグネット323のヨークをして機能する。つまり、磁性材料によって形成された第1内輪311によって、第1マグネット323の磁力を向上させることができる。より具体的に説明すると、本実施形態に係る第1内輪311は、軸方向Aにおいて、第1スリーブ322の第1ベース322bを挟んで第1マグネット323に隣接して配置される。つまり、第1内輪311は、第1マグネット323の近傍に配置されるため、第1マグネット323の磁力を向上させることができる。
【0022】
第1部材32は、第1シャフト321と、第1スリーブ322と、第1マグネット323を、を備える。第1シャフト321は、例えば、磁性材料によって円柱状に形成される。第1シャフト321は、例えば、モータの駆動軸に連結される。そして、第1シャフト321は、モータを駆動して駆動軸が周方向Cへ回転した場合には、駆動軸と共に周方向Cへ回転する。
【0023】
また、第1シャフト321は、第1軸受31の軸方向Aにおける他方側の端部を超えて、軸方向Aにおいて、一方側から他方側に向けて延び、後述する第1ベース322bにおける軸方向Aの他方側の端部と同一の位置まで延びる。
【0024】
第1スリーブ322は、円筒状に形成された第1ロッド322aと、円環状に形成された第1ベース322bと、を有する。
【0025】
第1ロッド322aは、径方向Rにおいて、第1軸受31の内側に配置される。また、第1ロッド322aの内周面は、第1シャフト321の外周面に固定される。さらに、第1ロッド322aの外周面は、第1内輪311の内周面に固定される。
【0026】
第1ベース322bは、軸方向Aにおいて、第1マグネット323と第1軸受31との間に配置される。また、第1ベース322bは、第1ロッド322aにおける軸方向Aの他方側の端部に配置される。
【0027】
第1ベース322bにおける軸方向Aの一方側は、第1内輪311に固定される。第1ベース322bにおける軸方向Aの他方側は、第1マグネット323に固定される。
【0028】
第1マグネット323は、例えば、永久磁石で構成され、円筒状に形成される。
【0029】
そして、非固定側に配置された第1内輪311、第1シャフト321、第1スリーブ322、および、第1マグネット323は、固定側に配置された静止部材2、第1支持部材21a、および、第1外輪312に対して径方向Rへ回転可能である。
【0030】
また、本実施形態に係る装置1において、第1内輪311と、第1シャフト321と、第1スリーブ322とは、別体に形成される。
【0031】
従動側部材4は、第2軸受41と、第2軸受41に設けられた第2部材42と、を備える。第2軸受41は、例えば、転がり軸受であり、筒状に形成される。そして、第2軸受41のうち後述する第2外輪412は、第2支持部材22aを介して第2静止部材22に支持される。第2軸受41は、第2部材42の荷重を支持しながら、静止部材2に対して第2部材42が周方向Cへ回転可能な状態を維持する。
【0032】
第2軸受41は、径方向Rにおいて、第2シャフト421側(内側)に位置する第2内輪411と、第2シャフト421の反対側(外側)に位置する第2外輪412と、第2内輪411と第2外輪412との間に位置し、周方向Cに沿って並べられた複数の第2ボール413(転動体)と、を有する。第2ボール413は、例えば、球形に形成される。
【0033】
第2外輪412は、軸方向Aの中央において、径方向Rの外側へ向けて凹む凹部412aを有する。凹部412aは、第2ボール413を収容するための空間41sを形成する。また、第2外輪412は、例えば、第2支持部材22aによって第2静止部材22の内周面に固定される。言い換えると、第2外輪412は、第2支持部材22aおよび静止部材2で構成される固定側に取り付けられる。また、固定側と非固定側との間に、複数の第2ボール413が介在し、第2ボール413によって、第2外輪412に対して第2内輪411が周方向Cに回転可能である。
【0034】
第2内輪411は、軸方向Aの中央において、径方向Rの内側へ向けて凹む凹部411aを有する。凹部411aは、第2ボール413を収容するための空間41sを形成する。また、第2内輪411は、後述する第2スリーブ422を介して第2シャフト421の外周面に固定される。言い換えると、第2内輪411は、第2シャフト421等で構成される非固定側の部材に取り付けられる。
【0035】
本実施形態に係る第2内輪411は、磁性材料によって形成され、後述する第2マグネット423のヨークをして機能する。つまり、磁性材料によって形成された第2内輪411によって、第2マグネット423の磁力を向上させることができる。より具体的に説明すると、本実施形態に係る第2内輪411は、軸方向Aにおいて、第2スリーブ422の第2ベース422bを挟んで第2マグネット423に隣接して配置される。つまり、第2内輪411は、第2マグネット423の近傍に配置されるため、第2マグネット423の磁力を向上させることができる。
【0036】
第2部材42は、第2シャフト421と、第2スリーブ422と、第2マグネット423を、を備える。第2シャフト421は、例えば、磁性材料によって円柱状に形成される。
【0037】
第2シャフト421は、例えば、モータの駆動力を作用させる外部装置の従動軸に連結される。本実施形態に係る第2シャフト421は、外部装置の従動軸に対して、モータの駆動力を伝達する。
【0038】
本実施形態に係る装置1の軸方向Aにおいて、壁部23を介して対向する第1部材32における第1マグネット323、および、第2部材42における第2マグネット423は、磁力によって結合(つまり、磁気的に結合)される。つまり、モータを駆動して駆動軸が周方向Cへ回転した場合には、駆動軸と共に、第1シャフト321および第1マグネット323が周方向Cへ回転する。そして、第1マグネット323と磁力によって結合される第2マグネット423は、第1マグネット323と共に周方向Cへ回転する。そして、第2マグネット423の周方向Cへの回転により、第2シャフト421および従動軸が周方向Cへ回転する。
【0039】
また、第2シャフト421は、第2軸受41の軸方向Aにおける一方側の端部を超えて、軸方向Aにおいて、他方側から一方側に向けて延び、後述する第2ベース422bにおける軸方向Aの一方側の端部と同一の位置まで延びる。
【0040】
第2スリーブ422は、円筒状に形成された第2ロッド422aと、円環状に形成された第2ベース422bと、を有する。
【0041】
第2ロッド422aは、径方向Rにおいて、第2軸受41の内側に配置される。また、第2ロッド422aの内周面は、第2シャフト421の外周面に固定される。さらに、第2ロッド422aの外周面は、第2内輪411の内周面に固定される。
【0042】
第2ベース422bは、軸方向Aにおいて、第2マグネット423と第2軸受41との間に配置される。また、第2ベース422bは、第2ロッド422aにおける軸方向Aの一方側の端部に配置される。
【0043】
第2ベース422bにおける軸方向Aの他方側は、第2内輪411に固定される。第2ベース422bにおける軸方向Aの一方側は、第2マグネット423に固定される。
【0044】
第2マグネット423は、例えば、永久磁石で構成され、円筒状に形成される。
【0045】
そして、非固定側に配置された第2内輪411、第2シャフト421、第2スリーブ422、および、第2マグネット423は、固定側に配置された静止部材2、第2支持部材22a、および、第2外輪412に対して径方向Rへ回転可能である。
【0046】
本実施形態に係る装置1において、第2内輪411と、第2シャフト421と、第2スリーブ422とは、別体に形成される。
【0047】
以上に説明したように、本実施形態に係る装置1において、第1軸受31の第1内輪311および第2軸受41の第2内輪411のそれぞれは、磁性材料で形成されてマグネット323、423のヨークとして機能する。そのため、マグネットのヨークを、軸受とは別体に設ける従来の装置と比較して部品点数を減少することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る装置1は、静止部材2と、静止部材2に支持された第1軸受31および第2軸受41と、第1軸受31に設けられた第1部材32と、第2軸受41に設けられた第2部材42と、を備え、静止部材2は、第1部材32と第2部材42との間に位置する壁部(壁)23を有し、軸方向Aにおいて、壁部23を介して対向する第1部材32および第2部材42は、磁力により相互に結合され、第1部材32又は第2部材42は、磁力とは異なる外力(モータの駆動力)により回転可能である。
【0049】
本実施形態に係る装置1は、壁部23は、非磁性体であり、第1部材32および第2部材42は、静止部材2に対して回転する。
【0050】
本実施形態に係る装置1において第1部材32および第2部材42のそれぞれは、マグネット323、423をそれぞれ備えている。
【0051】
本実施形態に係る装置1において、第1部材32および第2部材42のそれぞれは、ロッド322a、422aおよびベース322b、422bを有するスリーブ322、422を備え、径方向Rにおいて、第1部材32の第1ロッド322aは、第1軸受31の内側に配置され、径方向Rにおいて、第2部材42の第2ロッド422aは、第2軸受41の内側に配置され、軸方向Aにおいて、第1部材32の第1ベース322bは、第1部材32の第1マグネット323と第1軸受31との間に配置され、軸方向Aにおいて、第2部材42の第2ベース422bは、第2部材42の第2マグネット423と第2軸受41との間に配置される。
【0052】
本実施形態に係る装置1において、第1軸受31および第2軸受41のそれぞれは、静止部材2に支持される外輪312、412と、転動体であるボール313、413と、を備える。
【0053】
本実施形態に係る装置1の静止部材2は、第1部材32を収容する第1静止部材21と、第2部材42を収容する第2静止部材22と、を備える。
【0054】
なお、上述した実施形態に係る装置1は、モータの駆動力を伝達する装置として用いるものを説明した。しかし、本実施形態に係る装置1の用途は、それに限られない。例えば、駆動側部材3の第1シャフト321に連結される駆動軸は、気流、風などの自然に発生した力によって周方向Cに回転する駆動力を発生させるものでもよい。一例をあげると、第1シャフト321に連結される駆動軸は、例えば、水蒸気等の流体が当たることによって周方向Cに回転する駆動力が発生する。つまり、本実施形態に係る装置1は、水蒸気を用いるタービンに連結して用いることができる。もちろん、本実施形態に係る装置1は、それらに限られない。例えば、駆動側部材3の第1部材32と従動側部材4の第2部材42との磁気的な結合を利用し、予め設定された所定のトルクを超えるトルクが駆動側部材3の第1部材32と従動側部材4の第2部材42との間に加えられると、駆動側部材3の第1部材32と従動側部材4の第2部材42との間の磁気的な結合が解除され、駆動力の伝達が解除されるトルクリミッタに用いてもよい。
【0055】
また、上述した実施形態に係る装置1の静止部材2は、第1静止部材21と第2静止部材22と壁部23とが一体的に形成されるものを説明した。しかし、本実施形態に係る静止部材2は、それに限られない。例えば、静止部材2は、第1静止部材21および壁部23と、第2静止部材22とを別体に形成してもよいし、第1静止部材21と、第2静止部材22および壁部23とを別体に形成してもよいし、第1静止部材21と、第2静止部材22と、壁部23とを、それぞれ別体に形成してもよい。
【0056】
さらに、本実施形態に係る装置1において、駆動側部材3が第1マグネット323を有し、かつ、従動側部材4が第2マグネット423を有するものを説明した。しかし、本実施形態に係る装置1は、それに限られない。例えば、装置1において、駆動側部材3および従動側部材4のうち、いずれか一方がマグネット323、423を備える一方、他方がマグネット323、423を備えていなくても良い。ただし、マグネット323、423を備えていない部材3、4は、いずれかの部品を磁性材料で形成することによって、第1部材32と第2部材42とが磁力により相互に結合される。
【0057】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る装置1Aに関して図3図4を用いて説明する。図3は、第2実施形態に係る装置1Aの斜視図である。図4は、図2に示す装置1Aの断面図である。第2実施形態に係る装置1Aの部材32A、42Aと、第1実施形態に係る装置1の部材32、42とは、異なる。より具体的に説明すると、第2実施形態に係る装置1Aのシャフト321A、421Aおよびスリーブ322A、422Aの形状は、第1実施形態に係る装置1のシャフト321、421およびスリーブ322、422の形状と異なる。また、第2実施形態に係る装置1Aにおけるスリーブ322A、422Aに対するマグネット323A、423Aの固定は、第1実施形態に係る装置1におけるスリーブ322、422に対するマグネット323、423の固定と異なる。なお、第2実施形態に係る装置1Aの構成において、第1実施形態に係る装置1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
第1シャフト321Aおよび第2シャフト421Aのそれぞれは、非磁性材料で形成される。また、第1シャフト321Aは、第1軸受31の軸方向Aにおける他方側の端部を超えて、軸方向Aにおいて、一方側から他方側に向けて延び、第1マグネット323Aの内部にまで延びる。つまり、第1シャフト321Aは、第1部材32Aの軸方向Aにおいて、最も他方側における先端まで延びる。
【0059】
第2シャフト421Aは、第2軸受41の軸方向Aにおける一方側の端部を超えて、軸方向Aにおいて、他方側から一方側に向けて延び、第2マグネット423Aの内部にまで延びる。つまり、第2シャフト421Aは、第2部材42Aの軸方向Aにおいて、最も一方側における先端まで延びる。
【0060】
第1スリーブ322Aにおいて、第1ロッド322aAは、第1ベース322bAにおける軸方向Aの一方側に延びると共に、第1ベース322bAにおける軸方向Aの他方側に延びる。言い方を変えると、第1ベース322bAは、軸方向Aにおいて、第1ロッド322aAの途中に配置される。
【0061】
第2スリーブ422Aにおいて、第2ロッド422aAは、第2ベース422bAにおける軸方向Aの他方側に延びると共に、第2ベース422bAにおける軸方向Aの一方側に延びる。言い方を変えると、第2ベース422bAは、軸方向Aにおいて、第2ロッド422aAの途中に配置される。
【0062】
第1マグネット323Aは、第1マグネット323Aの内周面と、第1ロッド322aAにおける先端側の外周面とが固定されると共に、第2マグネット423Aの軸方向Aにおける一方側の端部と、第2ベース422bAの軸方向Aにおける他方側の端部とが固定される。
【0063】
第2マグネット423Aは、第2マグネット423Aの内周面と、第2ロッド422aAにおける先端側の外周面とが固定されると共に、第2マグネット423Aの軸方向Aにおける他方側の端部と、第2ベース422bAの軸方向Aにおける一方側の端部とが固定される。
【0064】
本実施形態に係る装置1Aにおいて、マグネット323A、423Aは、ベース322bA、422bAに固定されると共に、ロッド322aA、422aAに固定されるため、スリーブ322A、422Aに対するマグネット323A、423Aの固定作業が容易である。その上、スリーブ322A、422Aに対するマグネット323A、423Aの固定を確実に行うことが出来る。
【0065】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る装置1Bに関して図5図6を用いて説明する。図5は、第3実施形態に係る装置1Bの斜視図である。図6は、図5に示す装置1Bの断面図である。第3実施形態に係る装置1Bの部材32B、42Bと、第1実施形態に係る部材32、42とは、異なる。より具体的に説明すると、第3実施形態に係る装置1Bのスリーブ322B、422Bおよび内輪311B、411Bは、第1実施形態に係る装置1のスリーブ322、422および内輪311、411と異なる。なお、第3実施形態に係る装置1Bの構成において、第1実施形態に係る装置1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
第1実施形態の装置1において、スリーブ322、422におけるロッド322a、422aと、内輪311、411と、は別体に形成するものを説明した。しかし、本実施形態に係る装置1Bにおいて、スリーブ322B、422Bにおけるロッド322aB、422aBと、内輪311B、411Bとは、一体に形成してある。
【0067】
より具体的に説明すると、第1内輪311Bは、軸方向Aに向けて延びる円筒状に形成された第1ロッド322aBと、第1ロッド322aの軸方向Aにおける他方側の端部において、径方向Rの外側へ向けて突出する第1ベース322bBと、を有する。そして、本実施形態に係る第1内輪311Bは、第1実施形態に係る第1ロッド322aの機能を有すると共に、第1内輪311の機能を有する。より詳細に説明すると、第1内輪311Bにおける第1ロッド322aBは、第1ロッド322aBの軸方向Aの中央において、径方向Rの内側へ向けて凹む凹部311aを有する。別の言い方をすると、第1ロッド322aBは、筒状であり、第1軸受31Bの第1内輪311Bを形成している。また、径方向Rにおいて、転動体である第1ボール313の内側に第1ロッド322aBが配置される。さらに、第1内輪311Bにおける第1ベース322bBの軸方向Aにおける他方側には、第1マグネット323が固定される。このような、第1内輪311Bは、磁性材料で形成され、第1マグネット323のヨークとして機能する。
【0068】
また、第2内輪411Bは、軸方向Aに向けて延びる円筒状に形成された第2ロッド422aBと、第2ロッド422aの軸方向Aにおける一方側の端部において、径方向Rの外側へ向けて突出する第2ベース422bBと、を有する。そして、本実施形態に係る第2内輪411Bは、第1実施形態に係る第2ロッド422aの機能を有すると共に、第2内輪411の機能を有する。より詳細に説明すると、第2内輪411Bにおける第2ロッド422aBは、第2ロッド422aBの軸方向Aの中央において、径方向Rの内側へ向けて凹む凹部411aを有する。別の言い方をすると、第2ロッド422aBは、筒状であり、第2軸受41Bの第2内輪411Bを形成している。また、径方向Rにおいて、転動体である第2ボール413の内側に第2ロッド422aBが配置される。さらに、第2内輪411Bにおける第2ベース422bBの軸方向Aにおける一方側には、第2マグネット423が固定される。また、第2内輪411Cは、磁性材料で形成され、第2マグネット423のヨークとして機能する。
【0069】
本実施形態に係る第1内輪311Bは、軸方向Aにおいて第1マグネット323に接触するように配置される。つまり、第1内輪311Bは、第1マグネット323の近傍に配置されるため、第1マグネット323の磁力を向上させることができる。
【0070】
本実施形態に係る第2内輪411Bは、軸方向Aにおいて第2マグネット423に接触するように配置される。つまり、第2内輪411Bは、第2マグネット423の近傍に配置されるため、第2マグネット423の磁力を向上させることができる。
【0071】
本実施形態に係る装置1Bにおいて、ロッド322aB、422aBと、内輪311B、411Bとは、一体に形成してあるため、部品点数を減少することができる。
【0072】
本実施形態に係る装置1Bにおいて、第1部材32Bの第1ロッド322aBおよび第2部材42Bの第2ロッド422aは、筒状であり、第1部材32Bの第1ロッド322aBは第1軸受31Bの第1内輪311Bを形成し、第2部材42Bの第2ロッド422aBは、第2軸受41Bの第2内輪411Bを形成している。
【0073】
本実施形態に係る装置1Bにおいて、転動体であるボール313、413の径方向Rの内側にロッド322aB、422aBの機能を有する内輪311B、411Bがある。
【0074】
なお、本実施形態において、内輪311B、411Bは、円柱状に形成されるものを説明した。しかし、本実施形態に係る内輪311B、411Bは、それに限られない。例えば、内輪311B、411Bは、円筒状等の他の形状に形成されてもよい。
【0075】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る装置1Cに関して図7図8を用いて説明する。図7は、第4実施形態に係る装置1Cの斜視図である。図8は、図7に示す装置1Cの断面図である。第4実施形態に係る装置1Cの部材32C、42Cと、第1実施形態に係る部材32、42とは、異なる。より具体的に説明すると、第4実施形態に係る装置1Cのシャフト321C、421C、スリーブ322C、422C、および、内輪311C、411Cは、第1実施形態に係る装置1のシャフト321、421、スリーブ322、422および、内輪311、411と異なる。なお、第4実施形態に係る装置1Cの構成において、第1実施形態に係る装置1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
第1実施形態の装置1において、シャフト321、421と、スリーブ322、422と、内輪311、411と、は別体に形成するものを説明した。しかし、本実施形態に係る装置1Cにおいて、シャフト321C、421Cと、スリーブ322C、422Cと、内輪311C、411Cとは、一体に形成してある。
【0077】
より具体的に説明すると、本実施形態に係る第1軸受31Cの第1内輪311Cは、第1実施形態に係る装置1において、第1シャフト321の機能および第1スリーブ322の機能を有すると共に、第1軸受31の第1内輪311の機能を有する。つまり、本実施形態に係る第1内輪311Cは、例えば、軸方向Aに延びる円柱状に形成された第1シャフト321Cと、第1シャフト321Cの外周面から径方向Rの外側に向けて突出する第1ベース322bCと、を有する。そして、第1シャフト321Cは、第1シャフト321Cの外周面において、径方向Rの内側へ向けて凹む凹部311aを有する。別の言い方をすると、第1シャフト321は、柱状であり、第1軸受31Cの第1内輪311Cを形成している。また、径方向Rにおいて、転動体である第1ボール313の内側に第1シャフト321が配置される。さらに、第1内輪311Cにおける第1ベース322bCの軸方向Aにおける他方側には、第1マグネット323が固定される。このような第1内輪311Cは、磁性材料で形成され、第1マグネット323のヨークとして機能する。
【0078】
また、第2軸受41Cの第2内輪411Cは、第1実施形態に係る装置1において、第2シャフト421の機能および第2スリーブ422の機能を有すると共に、第2軸受41の第2内輪411の機能を有する。つまり、本実施形態に係る第2内輪411Cは、例えば、軸方向Aに延びる円柱状に形成された第2シャフト421Cと、第2シャフト421Cの外周面から径方向Rの外側に向けて突出する第2ベース422bCと、を有する。そして、第2シャフト421Cは、第2シャフト421Cの外周面において、径方向Rの内側へ向けて凹む凹部411aを有する。別の言い方をすると、第2シャフト421は、柱状であり、第2軸受41Cの第2内輪411Cを形成している。また、径方向Rにおいて、転動体である第2ボール413の内側に第2シャフト421が配置される。さらに、第2内輪411Cにおける第2ベース422bCの軸方向Aにおける一方側には、第2マグネット423が固定される。このような第2内輪411Cは、磁性材料で形成され、第2マグネット423のヨークとして機能する。
【0079】
本実施形態に係る第1内輪311Cは、軸方向Aにおいて第1マグネット323に接触するように配置される。つまり、第1内輪311Cは、第1マグネット323の近傍に配置されるため、第1マグネット323の磁力を向上させることができる。
【0080】
本実施形態に係る第2内輪411Cは、軸方向Aにおいて第2マグネット423に接触するように配置される。つまり、第2内輪411Cは、第2マグネット423の近傍に配置されるため、第2マグネット423の磁力を向上させることができる。
【0081】
本実施形態に係る装置1Cにおいて、シャフト321C、421Cと、スリーブ322C、422Cと、内輪311C、411Cとは、一体に形成してあるため、部品点数を減少することができる。
【0082】
本実施形態に係る装置1Cにおいて、転動体であるボール313、413の径方向Rの内側にシャフト321C、421Cの機能を有する内輪311B、411Bがある。
【0083】
なお、本実施形態において、内輪311C、411Cにおけるシャフト321C、421Cは、円柱状に形成されるものを説明した。しかし、本実施形態に係る内輪311C、411Cにおけるシャフト321C、421Cは、それに限られない。例えば、内輪311C、411Cにおけるシャフト321C、421Cは、円筒状等の他の形状に形成されてもよい。また、第1マグネット323は、円柱などの他の形状に形成されても構わない。さらに、第2マグネット423は、円柱などの他の形状に形成されても構わない。
【0084】
以上、本発明に係る装置1、1A、1B、1Cの実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもない。上述した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0085】
1、1A、1B、1C 装置、 2 静止部材、 21 第1静止部材、 22 第2静止部材、 23 壁部(壁)、 31、31B、31C 第1軸受、 311、311B、311C 第1内輪(内輪)、 312 第1外輪(外輪)、 313 第1ボール(転動体)、 32、32A、32B、32C 第1部材、 322、322A、322B 第1スリーブ(スリーブ)、 322a、322aA、322aB 第1ロッド(ロッド)、 322b、322bC 第1ベース(ベース)、 323、323A 第1マグネット(マグネット)、 41、41B、41C 第2軸受、 411、411B、411C 第2内輪(内輪)、 412 第2外輪(外輪)、 413 第2ボール(転動体)、 42、42A、42B、42C 第2部材、 422、422A、422B 第2スリーブ(スリーブ)、 422a、422aA、422aB 第2ロッド(ロッド)、 422b、422bC 第2ベース(ベース)、 423、423A 第2マグネット(マグネット)、 A 軸方向、 R 径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8