IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧

特開2024-130559画像処理装置、ロボット制御システム及び画像処理方法
<>
  • 特開-画像処理装置、ロボット制御システム及び画像処理方法 図1
  • 特開-画像処理装置、ロボット制御システム及び画像処理方法 図2
  • 特開-画像処理装置、ロボット制御システム及び画像処理方法 図3
  • 特開-画像処理装置、ロボット制御システム及び画像処理方法 図4
  • 特開-画像処理装置、ロボット制御システム及び画像処理方法 図5
  • 特開-画像処理装置、ロボット制御システム及び画像処理方法 図6
  • 特開-画像処理装置、ロボット制御システム及び画像処理方法 図7
  • 特開-画像処理装置、ロボット制御システム及び画像処理方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130559
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】画像処理装置、ロボット制御システム及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040372
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中塚 均
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS04
3C707BS10
3C707BS15
3C707DS01
3C707ES01
3C707FU01
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS36
3C707KT01
3C707KT05
3C707LV14
3C707MT04
(57)【要約】
【課題】撮像対象の計測を高精度に行うことが可能な画像処理装置、ロボット制御システム及び画像処理方法を提供すること。
【解決手段】本開示の画像処理装置は、収容空間にバラ積みされた複数の物品を上方から撮像する撮像装置と、前記撮像装置を制御する制御装置と、を含むものであって、制御装置は、収容空間内の複数の物品の上面位置を検出する上面位置検出部と、撮像装置が複数の物品を撮像する際の、上面位置と前記撮像装置との間の距離として許容可能な最長値を含む撮像範囲を取得する撮像範囲取得部と、撮像装置が複数の物品を撮像する際の撮像装置の位置を、上面位置と撮像装置との間の距離が最長値よりも短くなるように調整する撮像位置調整部と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容空間にバラ積みされた複数の物品を上方から撮像する撮像装置と、前記撮像装置を制御する制御装置と、を備える画像処理装置であって、
前記制御装置は、
前記収容空間内の複数の物品の上面位置を検出する上面位置検出部と、
前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離として許容可能な最長値を含む撮像範囲を取得する撮像範囲取得部と、
前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の前記撮像装置の位置を、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離が前記最長値よりも短くなるように調整する撮像位置調整部と、を備える、
画像処理装置。
【請求項2】
前記撮像範囲取得部は、前記撮像範囲として、前記最長値に加えて、前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離として許容可能な最短値を取得し、
前記撮像位置調整部は、前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の前記撮像装置の上下方向の高さ位置を、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離が前記最長値よりも短く且つ前記最短値よりも長くなるように調整する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記撮像範囲を入力可能な入力部を更に備える、
請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記撮像範囲を表示可能な表示部を更に備える、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記撮像装置は、3次元情報を取得し、
前記上面位置検出部は、前記3次元情報を用いて前記複数の物品の上面位置を検出する、
請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記最長値を前記複数の物品の形状に関する情報に基づいて設定可能な第1の最長値特定部を更に備える、
請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記最長値を前記収容空間内の前記複数の物品の数に関する情報に基づいて設定可能な第2の最長値特定部を更に備える、
請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項8】
収容空間にバラ積みされた複数の物品を上方から撮像する撮像装置と、前記撮像装置を制御する制御装置と、を備える画像処理装置と、
先端部にエンドエフェクタを備え、前記撮像装置が撮像した画像を用いて動作するロボットと、を備えるロボット制御システムであって、
前記制御装置は、
前記収容空間内の複数の物品の上面位置を検出する上面位置検出部と、
前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離として許容可能な最長値を含む撮像範囲を取得する撮像範囲取得部と、
前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の前記撮像装置の位置を、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離が前記最長値よりも短くなるように調整する撮像位置調整部と、を備える、
ロボット制御システム。
【請求項9】
前記撮像装置は、前記ロボットの前記エンドエフェクタに隣接する位置に取り付けられている、
請求項8に記載のロボット制御システム。
【請求項10】
前記ロボットは、前記物品を前記収容空間から取り出す動作を実行し、且つ前記取り出す動作の後に基準位置に戻る動作を実行するものであり、
前記制御装置は、前記基準位置が前記撮像位置調整部で調整した前記撮像装置の位置となるように制御する、
請求項9に記載のロボット制御システム。
【請求項11】
収容空間にバラ積みされた複数の物品の上面位置を検出する工程と、
撮像装置を用いて前記複数の物品を上方から撮像する際の、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離として許容可能な最長値を含む撮像範囲を取得する工程と、
前記上面位置と前記撮像装置との間の距離が前記最長値よりも短くなるように、前記撮像装置の位置を調整する工程と、
前記撮像装置を用いて前記複数の物品を撮像する工程と、を備える、
画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、ロボット制御システム及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットの技術分野において、コンテナ等の収容空間内にバラ積みされた物品(以下、「ワーク」ともいう)を、ロボットを用いて自動で取り出す装置が知られている。例えば、下記特許文献1には、コンテナの上方に固定されコンテナの開口端面を含むように撮像領域が設定されたカメラを含み、このカメラで撮像した画像に基づいてロボットが取り出し可能な物品を特定して取り出し動作を実行するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-28415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボットを用いて収容空間内の複数のワークのうちの特定のワークを取り出すに際しては、カメラの撮像領域内のワークの3次元計測を精度良く行うことが重要である。このような3次元計測に際しては、収容空間内の複数のワークのうち、特に取り出し可能な位置にあるワーク(具体的には、収容空間の上方に積まれているワーク)の計測精度を高くすることが取り出し作業を安定して実行する上で重要である。
【0005】
ここで、ワークの3次元計測の精度は、カメラの分解能に依存する。そして、カメラに要求される最適な分解能は、ワークのサイズを含む形状等によって異なるのが通常である。しかしながら、上記特許文献1のもののように、カメラがコンテナの上方に固定されていると、撮像位置を変更できないため、ワークの形状等に合わせた適切な分解能での撮像を行うことが困難である。
【0006】
本開示は、上述した課題に鑑み、撮像対象の計測を高精度に行うことが可能な画像処理装置、ロボット制御システム及び画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様に係る画像処理装置は、収容空間にバラ積みされた複数の物品を上方から撮像する撮像装置と、前記撮像装置を制御する制御装置と、を含む画像処理装置であって、前記制御装置は、前記収容空間内の複数の物品の上面位置を検出する上面位置検出部と、前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離として許容可能な最長値を含む撮像範囲を取得する撮像範囲取得部と、前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の前記撮像装置の位置を、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離が前記最長値よりも短くなるように調整する撮像位置調整部と、を含む。
【0008】
このような画像処理装置においては、撮像装置の位置、例えば上下方向の高さ位置が、物品の上面位置に合わせて調整されるため、物品の数や大きさに関わらず、最適な分解能で物品の撮像を行うことができ、撮像画像内の物品の計測を精度良く行うことができる。
【0009】
本開示の第2の態様に係る画像処理装置は、上記本開示の第1の態様に係る画像処理装置において、前記撮像範囲取得部は、前記撮像範囲として、前記最長値に加えて、前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離として許容可能な最短値を取得し、前記撮像位置調整部は、前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の前記撮像装置の上下方向の高さ位置を、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離が前記最長値よりも短く且つ前記最短値よりも長くなるように調整する。
【0010】
このような画像処理装置においては、撮像範囲に最短値が含まれることで、例えば撮像装置と物品との距離が近すぎることによる物品の計測精度の低下を抑制することができる。
【0011】
本開示の第3の態様に係る画像処理装置は、上記本開示の第1又は第2の態様に係る画像処理装置において、前記撮像範囲を入力可能な入力部を更に含む。
【0012】
このような画像処理装置においては、撮像範囲の設定をユーザの望む値に容易に調整できる。
【0013】
本開示の第4の態様に係る画像処理装置は、上記本開示の第3の態様に係る画像処理装置において、前記撮像範囲を表示可能な表示部を更に含む。
【0014】
このような画像処理装置においては、撮像範囲を表示部に表示させた状態でユーザによる撮像範囲の入力が実施できるため、撮像範囲の入力操作が簡単になる。
【0015】
本開示の第5の態様に係る画像処理装置は、上記本開示の第1又は第2の態様に係る画像処理装置において、前記撮像装置は、3次元情報を取得し、前記上面位置検出部は、前記3次元情報を用いて前記複数の物品の上面位置を検出する。
【0016】
このような画像処理装置においては、上面位置の3次元位置を精度良く特定することができる。
【0017】
本開示の第6の態様に係る画像処理装置は、上記本開示の第1又は第2の態様に係る画像処理装置において、前記制御装置は、前記最長値を前記複数の物品の形状に関する情報に基づいて設定可能な第1の最長値特定部を更に含む。
【0018】
このような画像処理装置においては、最長値を物品に関する情報に基づいて特定できるため、最長値の入力操作を簡素化あるいは省略することができる。
【0019】
本開示の第7の態様に係る画像処理装置は、上記本開示の第1又は第2の態様に係る画像処理装置において、前記制御装置は、前記最長値を前記収容空間内の前記複数の物品の数に関する情報に基づいて設定可能な第2の最長値特定部を更に含む。
【0020】
このような画像処理装置においては、最長値を物品に関する情報に基づいて特定できるため、最長値の入力操作を簡素化あるいは省略することができる。
【0021】
本開示の第8の態様に係るロボット制御システムは、収容空間にバラ積みされた複数の物品を上方から撮像する撮像装置と、前記撮像装置を制御する制御装置と、を備える画像処理装置と、先端部にエンドエフェクタを備え、前記撮像装置が撮像した画像を用いて動作するロボットと、を含むロボット制御システムであって、前記制御装置は、前記収容空間内の複数の物品の上面位置を検出する上面位置検出部と、前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離として許容可能な最長値を含む撮像範囲を取得する撮像範囲取得部と、前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の前記撮像装置の位置を、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離が前記最長値よりも短くなるように調整する撮像位置調整部と、を含む。
【0022】
このようなロボット制御システムにおいては、撮像装置の位置、例えば上下方向の高さ位置が、物品の上面位置に合わせて調整されるため、物品の数や大きさに関わらず、最適な分解能で物品の撮像を行うことができ、撮像画像内の物品の計測を精度良く行うことができる。
【0023】
本開示の第9の態様に係るロボット制御システムは、上記本開示の第8の態様に係るロボット制御システムにおいて、前記撮像装置は、前記ロボットの前記エンドエフェクタに隣接する位置に取り付けられている。
【0024】
このようなロボット制御システムにおいては、撮像装置の位置の調整をロボットを動作させることで行うことができるようになり、システム全体を簡素化できる。
【0025】
本開示の第10の態様に係るロボット制御システムは、上記本開示の第9の態様に係るロボット制御システムにおいて、前記ロボットは、前記物品を前記収容空間から取り出す動作を実行し、且つ前記取り出す動作の後に基準位置に戻る動作を実行するものであり、前記制御装置は、前記基準位置が前記撮像位置調整部で調整した前記撮像装置の位置となるように制御する。
【0026】
このようなロボット制御システムにおいては、ロボットの基準位置と撮像装置が物品を撮像する位置とが一致しているため、ロボット制御システムの制御を簡素化できる。
【0027】
本開示の第11の態様に係る画像処理方法は、収容空間にバラ積みされた複数の物品の上面位置を検出する工程と、撮像装置を用いて前記複数の物品を上方から撮像する際の、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離として許容可能な最長値を含む撮像範囲を取得する工程と、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離が前記最長値よりも短くなるように、前記撮像装置の位置を調整する工程と、前記撮像装置を用いて前記複数の物品を撮像する工程と、を含む。
【0028】
このような画像処理方法においては、撮像装置の位置、例えば上下方向の高さ位置が、物品の上面位置に合わせて調整されるため、物品の数や大きさに関わらず、最適な分解能で物品の撮像を行うことができ、撮像画像内の物品の計測を精度良く行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
上述した画像処理装置、ロボット制御システム及び画像処理方法によれば、撮像対象の計測を高精度に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本開示の第1の実施の形態に係る画像処理装置を含むロボット制御システムの一例を示した概略構造図である。
図2図1に示す3Dカメラの撮像領域を説明するための模式図である。
図3図1に示すロボット制御システムを用いて相対的に大きなワークを取り出す場合の撮像位置の一例を示した説明図である。
図4図1に示すロボット制御システムを用いて相対的に小さなワークを取り出す場合の撮像位置の一例を示した説明図である。
図5】収容空間内にバラ積みされたワークの一例を示した平面図である。
図6】表示部に表示される最長値及び最短値の入力画面の一例を示した図である。
図7】本開示の一実施の形態に係る画像処理方法の一例を示したフローチャートである。
図8】本開示の第2の実施の形態に係る画像処理装置を含むロボット制御システムの一例を示した概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本開示を実施するための各実施の形態について説明する。なお、以下では本開示の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本開示の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0032】
<第1の実施の形態>
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る画像処理装置を含むロボット制御システムの一例を示した概略構造図である。本開示の第1の実施の形態に係る画像処理装置1としては、図1に示すように、所定の収容空間Sにバラ積みされた複数の物品の一例としてのワークWを取り出す(ピッキングする)ためのロボット10を含むロボット制御システム2の一部として機能するものを例示する。なお、本開示の画像処理装置1は、以下に説明するロボット制御システム2の一部としての利用に限定されず、対象物の計測が必要な種々の用途で利用可能である。
【0033】
本実施の形態に係る画像処理装置1は、ワークWを撮像可能な撮像装置の一例としての3次元(3D)カメラ20と、3Dカメラ20を制御可能な制御装置の一例としてのカメラ制御装置30とを含む。なお、以下においては、図1に示す矢印Xが示す方向を左右方向とし、以下同様に、矢印Yが示す方向を前後方向、矢印Zが示す方向を上下方向(あるいは垂直方向)として説明を行うものとする。
【0034】
3Dカメラ20は、例えばコンテナ3内の空間で構成された収容空間S内にバラ積みされた複数のワークWを、収容空間S内の上方から撮像することが可能なものであってよい。この3Dカメラ20には、例えばレーザー光等を照射可能な投光部とCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)センサ等を含む受光部とで構成された三角測量センサを採用することができる。なお、3Dカメラ20は対象物の3次元情報を取得可能なものであれば上述した三角測量センサに限定されない。具体的には、3Dカメラ20として、ステレオカメラ、ストラクチャードライト、あるいはToF(Time of Flight)センサ等の深度センサ付きカメラ等を採用することもできる。これらの3Dカメラ20は、一般に、撮像対象物(本実施の形態においてはワークW)との距離によって分解能が変化するものである。
【0035】
本実施の形態において、撮像装置の一例としての3Dカメラ20は、少なくともその上下方向位置が変更可能である。そして、本実施の形態においては、3Dカメラ20の上下方向位置を変更可能とするために、3Dカメラ20を、後述するロボット10のエンドエフェクタ12に隣接する位置に取り付けたものを例示している。したがって、3Dカメラ20の上下方向を含む位置は、ロボット10の動作に追従して変更することができる。
【0036】
カメラ制御装置30は、3Dカメラ20に有線又は無線通信を介して接続されて、3Dカメラ20の動作を制御するものであってよい。このカメラ制御装置30は、例えば周知のコンピュータで構成することができる。ここで、周知のコンピュータとは、例えば、少なくとも、CPU(Central Processing Unit)等からなるプロセッサと、メモリの一例としてのROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)と、ストレージと、入出力インタフェースとを含んだものとすることができる。また、これらの構成要素は、内部バスを介して相互に通信可能に接続されていてよい。
【0037】
上述した画像処理装置1を含むロボット制御システム2は、図1に示すように、ロボット10をさらに含む。ロボット10は、その先端にエンドエフェクタ12を有し、3Dカメラ20が撮像した画像を用いて生成された指令に基づいて動作するものである。
【0038】
ロボット10は、ロボット本体11と、ロボット本体11の先端部に取り付けられたエンドエフェクタ12と、ロボット本体11及びエンドエフェクタ12の動作を制御可能なロボット制御装置13とを含んでいてよい。そして、このロボット10は、コンテナ3の近傍に配置され、コンテナ3内の複数のワークWを1つずつ把持することが可能なものであってよい。図1では、本実施の形態に係るロボット10が垂直多関節ロボットである場合を例示している。なお、ロボットの種類については特に限定されず、例えば水平多関節ロボット等であってもよい。
【0039】
ロボット本体11は、主に、基端部が旋回可能なベースで構成され、その間に回転自在のジョイントを介して連結された複数本のリンクアームを備える多関節ロボットであってよい。
【0040】
エンドエフェクタ12は、1個あるいは複数個のワークWを把持可能なものであってよく、例えばグリッパで構成することができる。なお、エンドエフェクタ12の具体的な構成はワークWの形状等を考慮して適宜変更することができる。具体的には、例えば多指ハンドや吸着タイプのもの等を採用することができる。
【0041】
ロボット制御装置13は、ロボット本体11及びエンドエフェクタ12を制御することが可能な装置であってよい。このロボット制御装置13は、カメラ制御装置30と同様に、周知のコンピュータで構成することができる。また、ロボット制御装置13は、カメラ制御装置30に通信可能に接続され、カメラ制御装置30において、撮像画像を用いて生成された指令情報に基づいて、ロボット10を動作させることが可能なものであってよい。
【0042】
また、このロボット制御装置13は、ワークWの取り出し動作を実行する度に、基準位置(ホームポジションと呼ばれることもある)に戻るようにロボット10の動作を制御するものであってよい。そして、ここでいう基準位置は、本実施の形態に係るロボット制御システム2においては、3Dカメラ20の撮像位置と同じ位置に設定されていてよい。
【0043】
上述した構成を含むロボット制御システム2は、3Dカメラ20で撮像された撮像画像に基づいて取り出し可能なワークWの有無を特定し、取り出し可能なワークWがある場合には、当該ワークWを取り出すための指令情報に基づいてロボット10を動作させることができる。以下には、当該ロボット10を動作させるための指令情報を生成するための画像処理装置1の構成等の一例について詳述する。
【0044】
図2は、図1に示す3Dカメラの撮像領域を説明するための模式図である。本実施の形態の画像処理装置1の3Dカメラ20は、図2に示すように、レンズ(図示省略)から下方に放射状に形成される撮像領域21のうち、レンズから所定距離離れた領域(以下、この領域を「3次元計測可能範囲23」という)にある対象物の3次元情報が取得可能なものであってよい。そして、この3次元計測可能範囲23内の、特にその中央部分(以下、この領域を「3次元計測範囲22」という)にある対象物に対する3次元情報の取得を、安定して且つ高精度に実施できるものであってよい。したがって、本実施の形態に係る画像処理装置1においては、ロボット10により取り出し可能な位置にある複数のワークWが、3Dカメラ20の3次元計測範囲22に収まる位置で撮像動作を実施するとよい。
【0045】
ところで、一般的に、収容空間Sにバラ積みされた複数のワークWのうちの取り出し可能なワークWとは、収容空間Sの上方に積まれているワークWを指す。したがって、3Dカメラ20は収容空間S内の特に上方に位置するワークWが3次元計測範囲22に確実に収まるように、その位置を調整するとよい。
【0046】
図3は、図1に示すロボット制御システムを用いて相対的に大きなワークを取り出す場合の撮像位置の一例を示した説明図である。また、図4は、図1に示すロボット制御システムを用いて相対的に小さなワークを取り出す場合の撮像位置の一例を示した説明図である。さらに、図5は、収容空間内にバラ積みされたワークの一例を示した平面図であって、図5(A)は収容空間内に相対的に大きなワークがバラ積みされたものを示し、図5(B)は収容空間内に相対的に小さなワークがバラ積みされたものを示す。
【0047】
3Dカメラ20で複数のワークWを撮像する場合、ワークWとの間の最適な距離は、ワークWの大きさによって相違する。具体的には、例えば、図5(A)に示すもののように、撮像対象が、そのサイズが相対的に大きなワークW1である場合は、当該大きなワークW1と3Dカメラ20の距離が近いと、撮像領域21内に収まる大きなワークW1の数が少なくなり、取り出し作業の効率が低下する。そこで、このような場合は、3Dカメラ20の撮像領域21内に当該大きなワークW1が複数個(例えば5個以上)位置するように、3Dカメラ20の上下方向の位置を、大きなワークW1から一定距離以上離れた位置とすると好ましい。したがって、比較的大きなワークW1を撮像する場合には、図3に示すように、3Dカメラ20の撮像位置を高く設定し、その3次元計測範囲22Aが水平方向に大きくなるよう調整して撮像を実行すると好ましい。
【0048】
他方、3Dカメラ20の撮像対象が、例えば、図5(B)に示すように、上述した相対的に大きなワークW1に対して相対的に小さいワークW2である場合は、3Dカメラ20の撮像位置を例えば図3に示した高さと同じ高さとすると、撮像領域21内に多くの(例えば30個以上の)ワークWが位置することになる。このように、撮像画像内に多くの小さなワークW2が存在していると、カメラ制御装置30において取り出し可能か否かを特定する対象が多くなり、取り出し可能なワークを認識するのに多くの時間を要することになる。したがって、このような場合には、図4に示すように、3Dカメラ20の上下方向の位置を相対的に低く設定し、その3次元計測範囲22Bを水平方向に小さく設定することで、3次元計測範囲22B内に位置する小さなワークW2の数を調整して撮像を実行すると好ましい。
【0049】
本実施の形態に係る画像処理装置1のカメラ制御装置30は、上述の点を考慮して3Dカメラ20の撮像位置の制御を実行する。具体的には、収容空間S内の複数のワークWの、最も上方に位置する面の位置(以下、「上面位置TP」という)に合わせて3Dカメラ20の上下方向の位置を調整することができる。以下、カメラ制御装置30のソフトウェア構成について説明する。
【0050】
カメラ制御装置30は、図1に示すように、種々のソフトウェア構成を含む。具体的には、少なくとも、収容空間S内の複数のワークWの上面位置TPを検出する上面位置検出部31と、3Dカメラ20の撮像時において、3Dカメラ20と上面位置TPとの間の距離として許容可能な最長値WD1を含む撮像範囲IRを取得可能な撮像範囲取得部32と、3Dカメラ20の撮像時における位置を、上面位置TPと3Dカメラ20との間の距離が最長値WD1よりも短くなるように調整する撮像位置調整部33と、を含む。これらの構成は、カメラ制御装置30を構成するコンピュータのプロセッサ等によって実現することができる。
【0051】
上面位置検出部31は、収容空間S内の複数のワークWのうち、最も上方に位置する面、換言すると、最も3Dカメラ20に近接する位置にある面を上面位置TPとして検出するものである。上面位置TPは、例えば、収容空間Sを3Dカメラ20で撮像した撮像画像からワークWの各面を計算や画像認識等を用いて特定するとよい。より具体的には、例えば、3Dカメラ20で撮像した撮像画像から計算等により取得される3次元点群データ(3次元情報の一例)を用いて、最も3Dカメラ20に近い点を含む水平面を最も上方に位置する面、すなわち上面位置TPと特定するものであってよい。なお、上面位置TPの具体的な特定方法については特に限定されない。また、本実施の形態では、上面位置TPを、複数のワークWのうち最も上方に位置する面と規定しているが、ワークWの形状等によってはこれに限定されない。例えば、最も上方に位置する面に凹凸がある場合等はそれらの平均値を上面位置TPとして検知する、あるいは、最も上方に位置する点あるいは辺を上面位置TPとして検知するようにしてもよい。
【0052】
撮像範囲取得部32は、少なくとも、3Dカメラ20が複数のワークWを撮像する際の、上面位置TPと3Dカメラ20との間の距離として許容可能な最長値WD1を取得するものである。最長値WD1は、図1に示すように、水平方向に延びる面で表すことができる。
【0053】
加えて、本実施の形態に係る撮像範囲取得部32は、3Dカメラ20が複数のワークWを撮像する際の、上面位置TPと3Dカメラ20との間の距離として許容可能な最短値WD2を取得することもできる。最短値WD2も、最長値WD1と同様に、図1に示すように、水平方向に延びる面で表すことができる。この最短値WD2は、例えば3Dカメラ20のスペック情報に基づいて特定されるものであってもよい。本実施の形態に係る撮像範囲取得部32は、最長値WD1と最短値WD2とを取得することができ、撮像時に好適な、3Dカメラ20から上面位置TPまでの距離の許容可能な範囲としての撮像範囲IRを取得することができる。
【0054】
撮像範囲取得部32は、最長値WD1及び最短値WD2を含む撮像範囲IRを、例えば後述する入力部37からのユーザによる入力操作に基づいて取得することができる。なお、撮像範囲IRの取得方法はこれに限定されない。
【0055】
撮像位置調整部33は、3Dカメラ20の撮像時における位置を調整するものである。具体的には、この撮像位置調整部33は、3Dカメラ20が複数のワークWを撮像する際の3Dカメラ20の上下方向の高さ位置を含む位置を、上面位置TPと3Dカメラ20との間の距離が最長値WD1よりも短く且つ最短値WD2よりも長くなるように調整するものであってよい。換言すると、上面位置検出部31で検出された上面位置TPが、撮像範囲取得部32にて特定された撮像範囲IR内に位置するように、3Dカメラ20の高さ位置を調整するものであってよい。
【0056】
本実施の形態における3Dカメラ20は、上述した通り、ロボット10のエンドエフェクタ12に隣接する位置に取り付けられている。これに関連して、3Dカメラ20の位置の調整は、ロボット10を動作させることで実現できる。したがって、本実施の形態に係る画像処理装置1は、3Dカメラ20の位置調整のために別途の可動装置を用いる必要がない。なお、本実施の形態では、3Dカメラ20をエンドエフェクタ12に隣接する位置に取り付けたものを例示しているが、3Dカメラ20の取り付け位置はワークWが撮像可能な位置であれば特に限定されない。例えば、3Dカメラ20を、収容空間Sの上部に、高さ方向の位置を調整可能な可動装置を介して取り付けるようにしてもよい。
【0057】
3Dカメラ20の撮像方向は、上下方向とすることができる。一方、この3Dカメラ20は、図示しない回転機構により単独で、あるいはエンドエフェクタ12を動作させることで、上下方向に対して斜めに傾けることもできる。3Dカメラ20を上下方向に対して傾けることにより、ワークWの形状を認識しやすくしたり、ロボット10の移動を効率的にしたりすることができる。なお、3Dカメラ20を傾斜させる際の角度は、収容空間S内のワークWの形状やロボット10の動作内容によって調整できる。
【0058】
本実施の形態に係るカメラ制御装置30は、上述した構成に加えて、さらに、撮像画像取得部34と、計測部35と、指令生成部36と、入力部37と、表示部38とを含むことができる。このうち、撮像画像取得部34は、3Dカメラ20に有線又は無線通信を介して接続し、3Dカメラ20で撮像された撮像画像を取得することができるものであってよい。
【0059】
計測部35は、撮像画像内の各部の3次元座標を計測するものであってよい。加えて、撮像画像内のワークWから、取り出し可能なワークWを特定するための各種演算を実行することが可能なものであってもよい。計測部35にて取り出し可能なワークWを特定する場合は、例えば、撮像画像から3次元の点群データを生成し、この点群データからエンドエフェクタ12で取り出し(具体的には把持)可能なワークWをサーチして、当該取り出し可能と推測できるワークWを認識するとよい。ここで取り出し可能と推測されたワークWは、取り出し候補として特定される。
【0060】
指令生成部36は、ロボット制御装置13に接続されて、ロボット10を動作させることが可能な各種指令を生成し、ロボット制御装置13へ送信できるものであってよい。当該指令には、撮像位置調整部33にて特定された、3Dカメラ20を所望の撮像位置へ移動させるための指令が含まれる。
【0061】
入力部37は、撮像範囲IR、より詳細には最長値WD1及び最短値WD2の少なくとも一方を入力可能なものであってよい。この入力部37は、キーボード、タッチパネル、ポインティングデバイスといった周知のユーザインタフェースで構成することができる。また、入力部37は、ワークWに関する情報(例えばワークWのサイズを含む形状や収容空間S内のワークWの数)を入力することが可能であってよい。
【0062】
表示部38は、撮像範囲IR、より詳細には最長値WD1及び最短値WD2の少なくとも一方を表示可能なものであってよい。この表示部38は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)や有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescent Display、OELD)といった周知のディスプレイ装置を含むユーザインタフェースで構成することができる。
【0063】
図6は、表示部に表示される最長値及び最短値の入力画面の一例を示した図である。表示部38には、図6に示すように、ユーザが入力部37から最長値WD1及び最短値WD2を入力する際の入力画面(「撮像範囲設定画面」ともいう)を表示することができる。ユーザは、表示部38に表示された撮像範囲設定画面を見ながら、例えばタッチパネル等を介して最長値WD1及び最短値WD2を示した面を移動させることで、最長値WD1及び最短値WD2の調整を行うことができる。このように、表示部38を撮像範囲IRの入力を補助するために利用すれば、ユーザの入力作業を簡単にできる。
【0064】
本実施の形態に係るカメラ制御装置30は、図示しないデータ格納部をさらに有しており、3Dカメラ20のスペック情報や取り出しを行うワークWに関する情報を格納することができるものであってよい。当該データ格納部に格納された3Dカメラ20のスペック情報やワークWに関する情報は、計測部35や撮像範囲取得部32、撮像位置調整部33等で適宜参酌され得る。
【0065】
上述した構成を備える画像処理装置1及びロボット制御システム2では、3Dカメラ20を用いて収容空間S内のワークWを撮像する際、3Dカメラ20の上下方向の位置を、その撮像範囲IR内にワークWの上面位置TPが含まれるように調整した状態で撮像することができる。このように、ワークWの上面位置TPに合わせて3Dカメラ20の上下方向位置が調整されることで、ロボット10を用いたワークWの取り出し作業を行う際に利用される撮像画像の分解能が、ワークWの数や形状等に合わせて常に適正な値に調整できる。そして、このように撮像画像の分解能が適正に調整されれば、撮像したいワークWが3次元計測範囲22から外れてしまったり、3次元座標を正確に計測できなかったりすることを抑制できる。これに伴って、取り出し可能なワークWの認識精度も高くなることが期待できる。
【0066】
ところで、コンテナ3内の複数のワークWを連続して取り出すと、ワークWの取り出し作業の進行に伴ってコンテナ3内のワークWが減少してワークWの上面位置TPが徐々に3Dカメラ20から遠ざかるように、換言すると、垂直方向に沿って下降するように推移する。このような場合、仮に3Dカメラ20が固定されていると、ワークの取り出し作業の進行に伴ってその分解能が低下する。しかし、本実施の形態に係る画像処理装置1及びロボット制御システム2においては、上面位置TPの変化に合わせて3Dカメラ20の撮像位置を調整するため、このような場合でも適正な分解能を維持した撮像が可能である。したがって、ワークWの取り出し作業を連続して実施する場合であっても、一貫して高い精度でのワークの計測及び認識を実行できる。
【0067】
次に、本実施の形態に係る画像処理方法について、主に図7を用いて以下に説明する。なお、以下の説明においては、本実施の形態に係る画像処理方法を、上述した画像処理装置1を含むロボット制御システム2で実行する場合を例示的に記載する。また、以下に示す一連の画像処理方法は、画像処理装置1を構成するコンピュータを動作させるプログラムを実行することにより実施されるものであってよい。なお、当該プログラムは、カメラ制御装置30を構成するコンピュータ内部の記録手段(例えばストレージ)に格納され、あるいはコンピュータ読取可能な記録媒体の形態で提供され得る。
【0068】
図7は、本開示の一実施の形態に係る画像処理方法の一例を示したフローチャートである。ロボット制御システム2の動作が開始し、本実施の形態に係る画像処理方法が開始されると、図7に示すように、先ず表示部38に、図6に示したような、撮像範囲設定画面を表示する(工程S1)。ここで表示される撮像範囲設定画面は、予め格納された3Dカメラ20のスペック情報、入力部37を介して入力等されたワークに関する情報等に基づいて生成されたもの、あるいは直前の撮像時に設定された撮像範囲IRを表示したものであってよい。
【0069】
撮像範囲設定画面が表示された後、ユーザの入力操作等によって最長値WD1及び最短値WD2の入力が完了すると、撮像範囲取得部32は、当該入力結果を撮像範囲IRとして取得する(工程S2)。なお、本実施の形態では、撮像範囲IRが最長値WD1と最短値WD2とを含む範囲の場合を例示しているが、ここでいう撮像範囲IRは、最長値WD1のみ特定されるものであってもよい。
【0070】
次に、3Dカメラ20、より詳しくは3Dカメラ20が取り付けられたロボット10を所定の位置へ移動させるための指令を指令生成部36で生成し、ロボット制御装置13へ送信することで、3Dカメラ20を所定の撮像位置へ移動させる(工程S3)。ここで、上述した工程S3がロボット制御システム2の動作が開始してから初めて実行されたものである場合等には、3Dカメラ20の移動先を予め設定された初期撮像位置とするとよい。当該初期撮像位置としては、例えばコンテナ3の上部開口を上面位置TPと仮に規定して調整される撮像位置、あるいは収容空間S全体を撮像可能な任意の撮像位置とすることができる。
【0071】
3Dカメラ20の撮像位置への移動が完了すると、次に3Dカメラ20を用いて複数のワークWの撮像を行う。そして、この撮像により生成された撮像画像を撮像画像取得部34にて取得すると共に、計測部35にて撮像画像内の各部の3次元座標を計測する(工程S4)。計測部35では、撮像画像内の各部の3次元座標を取得するために、撮像画像の3次元の点群データを生成するとよい。次に、収容空間Sにバラ積みされた複数のワークWの上面位置TPを検出する(工程S5)。具体的には、上面位置検出部31において、例えば、計測部35にて計測された3次元座標を利用して、収容空間S内の複数のワークWの上面位置TPを検出する。ここで、上面位置TPを検出する際は、3次元座標を利用してワークWを認識し、当該ワークWの位置、姿勢を取得した上で、認識できたワークWの上面位置のみを検出に使用することもできる。
【0072】
この工程S5において、検出された上面位置TPが撮像範囲IR内である場合(工程S6でYes)は、3Dカメラ20の撮像位置は修正する必要がないと判断し、以降の取り出し可能なワークWの有無を特定するための各工程(工程S8及びS9)に移行する。他方、工程S5において検出された上面位置TPが撮像範囲IR外である場合(工程S6でNo)は、3Dカメラ20の撮像位置を修正する必要があると判断し、撮像位置の更新を実行する(工程S7)。
【0073】
工程S7における撮像位置の更新作業は、上面位置TPの座標が撮像範囲IR内となるような位置、換言すると、3Dカメラ20と上面位置TPとの間の距離が、少なくとも最長値WD1よりも短くなる位置、より好ましくは、最長値WD1よりも短く且つ最短値WD2よりも長くなる位置を新たな撮像位置と設定することで実行できる。撮像位置が更新されると、工程S3に戻って更新された撮像位置へ3Dカメラ20を移動させた後、工程S4乃至S6を再度実行すればよい。
【0074】
工程S6でワークの上面位置TPが撮像範囲IR内にあると特定されると、次に計測部35による取り出し候補となるワークの特定作業を実施する。具体的には、点群データ内を3次元サーチすることで、エンドエフェクタ12で取り出し可能なワークWを判断(工程S8)する。より詳細には、点群データ内を3次元サーチしてワークWの存在の有無、位置及び姿勢を認識し、当該ワークWがエンドエフェクタ12で取り出し可能かどうかを判断する。そして、前述した3次元サーチの結果、取り出し可能と推測できるワークWを認識する(工程S9)。なお、上述した3次元サーチでは、サーチの対象となるワークWの3次元形状に関する情報を予め登録しておくことができる。
【0075】
工程S8におけるワークWがエンドエフェクタ12で取り出し可能かどうかの判断は、例えば3次元サーチでワークWを認識したときの一致度が所定値よりも大きいかどうかで判断することができる。また、上述した判断手法以外にも、例えばワークWの姿勢が予め登録されている条件に適合する場合に取り出し可能と判断するようにしてもよい。あるいは、上述した方法とは別に、あるいは上述した方法と組み合わせて、ワークW上に予め設定されている把持の場所が他のワークWが障害となりエンドエフェクタ12がワークWに到達できない場合は取り出し不可能と判断するようにしてもよい。
【0076】
工程S9において、取り出し候補に該当するワークWが認識された場合(工程S10でYes)には、指令生成部36にて当該取り出し候補に該当するワークWを取り出すための指令を生成すると共にロボット制御装置13へ送信し(工程S11)、ロボット10による取り出し動作を実行する。なお、取り出し候補に該当するワークWが複数個ある場合にはロボット10による取り出し動作を複数回実施するとよい。取り出し候補に該当するワークWの取り出し作業が完了すると、ロボット10は、工程S3に戻ると共に基準位置に戻る動作を実行する。ここで、ロボット10の基準位置とは、3Dカメラ20の撮像位置と同じであってよい。したがってカメラ制御装置30は、基準位置の少なくとも上下方向の高さ位置が、撮像位置調整部33で調整した3Dカメラ20の上下方向の高さ位置と同様となるように制御するとよい。ロボット10の基準位置への戻り動作が完了すると、上述した工程S3以降の一連の動作を繰り返す。
【0077】
工程S9において取り出し候補に該当するワークWが認識されなかった場合(工程S10でNo)は、工程S12において収容空間SにワークWがあるか否かが判断され、収容空間S内にワークWが残っている場合(工程S12でYes)には、工程S3に戻ると共にロボット10を基準位置に戻す動作を実行する。他方、収容空間S内にワークが残っていない場合(工程S12でNo)には一連の工程を終了する。
【0078】
以上説明した通り、本実施の形態に係る画像処理方法、画像処理装置1及びロボット制御システム2によれば、3Dカメラ20の位置、すなわち少なくとも上下方向の高さ位置を、収容空間S内のワークWの上面位置TPに合わせて調整することができる。これにより、撮像したいワークWを、3Dカメラ20の高い分解能で撮像可能な3次元計測範囲22内に常に位置させることができ、撮像画像内のワークWの3次元計測を精度良く実行できる。また、収容空間S内のワークWの取り出しが進行してワークWの上面位置TPが垂直方向に沿って低下した場合であっても、定期的に撮像位置の更新を行うことができるため、撮像画像内のワークWの計測や認識を安定して精度良く行うことができる。
【0079】
なお、本実施の形態においては、撮像位置調整部33が3Dカメラ20の上下方向位置を調整するものを説示しているが、水平方向位置の調整を行うこともできる。特に、収容空間S内のワークWのサイズが小さい場合には、撮像位置調整部33は、収容空間S内のワークWの配置を考慮して、3Dカメラ20の上下方向位置に加えて水平方向位置を調整できるものとするとよい。また、上述した3Dカメラ20の位置の調整に加えて、上述した3Dカメラ20の撮像方向の調整も可能である。
【0080】
<第2の実施の形態>
本開示の画像処理装置、ロボット制御システム及び画像処理方法では、上述したように、撮像対象としての収容空間S内のワークWの数や形状は変わり得るものである。そして、撮像対象としてのワークWの数や形状が異なれば、最適な3Dカメラの位置、具体的には少なくとも上下方向の高さ位置が異なることは上述した通りである。したがって、ワークWの数や形状と、3Dカメラの撮像位置との間には相関が認められる。そこで、以下には、本開示の第2の実施の形態として、撮像位置の調整に用いられる最長値WD1を、ワークWに関する情報に基づいて取得する方法を採用した画像処理装置1A、ロボット制御システム2A及び画像処理方法を説明する。
【0081】
図8は、本開示の第2の実施の形態に係る画像処理装置を含むロボット制御システムの一例を示した概略構造図である。本実施の形態に係る画像処理装置1A及びこれを含むロボット制御システム2Aは、図8に示すように、カメラ制御装置30Aの一部の構成が異なる点を除き、上述した第1の実施の形態に係るものと同様の構成を有していてよい。そこで以下には、本実施の形態に係る画像処理装置1A及びこれを含むロボット制御システム2Aのうち、第1の実施の形態に係るものと異なる構成部分を中心に説明し、第1の実施の形態に係るものと同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略するものとする。
【0082】
本実施の形態に係るカメラ制御装置30Aは、図8に示すように、上述した第1の実施の形態に係るカメラ制御装置30の各種構成要素に加えて、第1及び第2の最長値特定部の一例としての最長値特定部39をさらに含んでいる。また、これに関連して、撮像範囲取得部32Aは、最長値WD1のみを取得するものが例示されている。
【0083】
最長値特定部39は、最長値WD1を、収容空間S内の複数のワークWに関する情報に基づいて特定するものである。具体的には、最長値特定部39は、ワークWに関する情報のうち、特にワークWの形状と、収容空間S内のワークWの数の少なくとも一方に関する情報に基づいて、最長値WD1を特定するものであってよい。
【0084】
最長値特定部39において、ワークWの形状に基づいて最長値WD1を特定する際は、例えば以下の方法で特定すればよい。すなわち、先ずワークWの形状に関する情報から、ワークWの長辺Lの長さを特定する。ここでいう長辺Lとは、例えば図5(B)に示すようなブロック状のワークW2では、その対角線の長さであってよい。そして、最長値WD1を、コンテナ3内部の底面からの高さ位置H1が長辺Lの2倍以上の任意の位置、及び/又は最長値の水平方向の長さW1が長辺Lの3倍以上となる任意の位置と特定する。なお、上述した最長値WD1の高さ位置H1及び水平方向の長さW1の値は一例であって、ワークWのサイズ等を考慮して適宜調整するとよい。
【0085】
また、最長値特定部39において、ワークの数に基づいて最長値WD1を特定する場合は、例えば以下の方法で特定すればよい。すなわち、先ず収容空間S内のワークWの数に関する情報から、ワークの大まかなサイズを推定し、3次元計測範囲22のサイズが、3次元計測範囲22内に予め設定した数のワークWが位置するような最長値WD1を特定する。
【0086】
最長値特定部39は、上述した2つの特定方法の少なくとも一方により、最長値WD1を特定する。なお、上述した方法で最長値WD1を特定する場合であっても、3Dカメラ20の分解能がワークWの3次元計測の精度が低くなりすぎる場合には、所望の分解能での撮像を優先した最長値WD1の設定を行うとよい。
【0087】
最長値特定部39により特定された最長値WD1は、撮像範囲取得部32Aにて取得され、撮像位置の調整に利用することができる。当該最長値WD1を用いた一連の画像処理方法は、最長値WD1を特定するための工程が追加される点以外は第1の実施の形態において説明したものと同様であるので、詳細な説明は省略する。また、撮像範囲取得部32Aでは、最長値特定部39にて特定された最長値WD1をそのまま採用してもよいし、撮像範囲設定画面に特定された最長値WD1を表示することで、ユーザによる調整が可能なようにしてもよい。
【0088】
以上説明した通り、本実施の形態に係る画像処理装置1A、ロボット制御システム2A及び画像処理方法においても、3Dカメラ20の位置を、収容空間S内のワークWの上面位置TPに合わせて調整することができる。これにより、撮像したいワークWを、3Dカメラ20の高い分解能での撮像が可能な3次元計測範囲22内に常に位置させることができ、撮像画像内のワークWの3次元計測を精度良く実行できる。また、収容空間S内のワークWの取り出しが進行してワークWの上面位置TPが垂直方向に沿って低下した場合であっても、定期的に撮像位置の更新を行うことができるため、撮像画像内のワークWの計測や認識を安定して精度良く行うことができる。さらに、最長値WD1がワークWに関する情報に基づいて特定されるため、最長値WD1の設定作業が簡略化できる。
【0089】
本開示は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本開示の技術思想に含まれるものである。
【0090】
(付記)
以下、本開示の態様について付記する。
【0091】
(付記1)
収容空間にバラ積みされた複数の物品を上方から撮像する撮像装置と、前記撮像装置を制御する制御装置と、を備える画像処理装置であって、
前記制御装置は、
前記収容空間内の複数の物品の上面位置を検出する上面位置検出部と、
前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離として許容可能な最長値を含む撮像範囲を取得する撮像範囲取得部と、
前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の前記撮像装置の位置を、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離が前記最長値よりも短くなるように調整する撮像位置調整部と、を備える、
画像処理装置。
(付記2)
前記撮像範囲取得部は、前記撮像範囲として、前記最長値に加えて、前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離として許容可能な最短値を取得し、
前記撮像位置調整部は、前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の前記撮像装置の上下方向の高さ位置を、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離が前記最長値よりも短く且つ前記最短値よりも長くなるように調整する、
上記付記1に記載の画像処理装置。
(付記3)
前記撮像範囲を入力可能な入力部を更に備える、
上記付記1又は付記2に記載の画像処理装置。
(付記4)
前記撮像範囲を表示可能な表示部を更に備える、
上記付記1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
(付記5)
前記撮像装置は、3次元情報を取得し、
前記上面位置検出部は、前記3次元情報を用いて前記複数の物品の上面位置を検出する、
上記拭き1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置。
(付記6)
前記制御装置は、前記最長値を前記複数の物品の形状に関する情報に基づいて設定可能な第1の最長値特定部を更に備える、
上記付記1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置。
(付記7)
前記制御装置は、前記最長値を前記収容空間内の前記複数の物品の数に関する情報に基づいて設定可能な第2の最長値特定部を更に備える、
上記付記1乃至6のいずれかに記載の画像処理装置。
(付記8)
収容空間にバラ積みされた複数の物品を上方から撮像する撮像装置と、前記撮像装置を制御する制御装置と、を備える画像処理装置と、
先端部にエンドエフェクタを備え、前記撮像装置が撮像した画像を用いて動作するロボットと、を備えるロボット制御システムであって、
前記制御装置は、
前記収容空間内の複数の物品の上面位置を検出する上面位置検出部と、
前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離として許容可能な最長値を含む撮像範囲を取得する撮像範囲取得部と、
前記撮像装置が前記複数の物品を撮像する際の前記撮像装置の位置を、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離が前記最長値よりも短くなるように調整する撮像位置調整部と、を備える、
ロボット制御システム。
(付記9)
前記撮像装置は、前記ロボットの前記エンドエフェクタに隣接する位置に取り付けられている、
上記付記8に記載のロボット制御システム。
(付記10)
前記ロボットは、前記物品を前記収容空間から取り出す動作を実行し、且つ前記取り出す動作の後に基準位置に戻る動作を実行するものであり、
前記制御装置は、前記基準位置が前記撮像位置調整部で調整した前記撮像装置の位置となるように制御する、
上記付記8又は9に記載のロボット制御システム。
(付記11)
収容空間にバラ積みされた複数の物品の上面位置を検出する工程と、
撮像装置を用いて前記複数の物品を上方から撮像する際の、前記上面位置と前記撮像装置との間の距離として許容可能な最長値を含む撮像範囲を取得する工程と、
前記上面位置と前記撮像装置との間の距離が前記最長値よりも短くなるように、前記撮像装置の位置を調整する工程と、
前記撮像装置を用いて前記複数の物品を撮像する工程と、を備える、
画像処理方法。
【符号の説明】
【0092】
1、1A 画像処理装置
2、2A ロボット制御システム
10 ロボット
11 ロボット本体
12 エンドエフェクタ
13 ロボット制御装置
20 3Dカメラ(撮像装置の一例)
22、22A、22B 3次元計測範囲
30、30A カメラ制御装置(制御装置の一例)
31 上面位置検出部
32 撮像範囲取得部
33 撮像位置調整部
39 最長値特定部(第1及び第2の最長値特定部の一例)
S 収容空間
W、W1、W2 ワーク
TP 上面位置
IR 撮像範囲
WD1 最長値
WD2 最短値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8