(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130567
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】パウチ容器、および接合装置
(51)【国際特許分類】
B65D 33/02 20060101AFI20240920BHJP
B31B 70/64 20170101ALI20240920BHJP
B31B 150/20 20170101ALN20240920BHJP
B31B 160/20 20170101ALN20240920BHJP
【FI】
B65D33/02
B31B70/64
B31B150:20
B31B160:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040383
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仁井 聖
(72)【発明者】
【氏名】加納 孝朗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 悠太
【テーマコード(参考)】
3E064
3E075
【Fターム(参考)】
3E064AB25
3E064BA22
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064EA07
3E064FA03
3E064GA04
3E064HF09
3E064HG03
3E064HM01
3E064HN65
3E064HS04
3E075AA12
3E075BA47
3E075BA70
3E075DD13
3E075DD45
3E075DD49
3E075DE03
3E075GA04
(57)【要約】
【課題】外力が負荷された場合に破損を抑制することができるパウチ容器を提供する。
【解決手段】パウチ容器は、表面シート部および裏面シート部と、幅方向の両側において表面シート部および裏面シート部を接合し、上下方向に延在するサイドシール部22と、サイドシール部22の上端部22aに重なるように設けられ、幅方向の両側において表面シート部と裏面シート部とを接合するサイドポイントシール部25と、を備え、サイドシール部22は、表面シート部と裏面シート部との間に形成される収容空間側に位置する第1内側ライン221を含み、サイドポイントシール部25は、収容空間側に位置し、第1内側ライン221に交差する第2内側ライン251を有し、第1内側ライン221と第2内側ライン251とが交差する交差角のうち、収容空間側を向く角度θ1は、鈍角である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に向かい合う表面シート部および裏面シート部と、
前記前後方向に直交する幅方向の両側において前記表面シート部および前記裏面シート部を接合し、上下方向に延在するサイドシール部と、
前記サイドシール部の上端部に重なるように設けられ、前記幅方向の両側において前記表面シート部と前記裏面シート部とを接合するサイドポイントシール部と、を備え、
前記サイドシール部は、その外形において、前記表面シート部と前記裏面シート部との間に形成される収容空間側に位置する第1内側ラインを含み、
前記サイドポイントシール部は、その外形において前記収容空間側に位置し、前記第1内側ラインに交差する第2内側ラインを有し、
前記第1内側ラインと前記第2内側ラインとが交差する交差角のうち、前記収容空間側を向く角度は、鈍角である、パウチ容器。
【請求項2】
前記表面シート部の上縁および前記裏面シート部の上縁に接合される天面シート部と、
前記天面シート部の周縁と、前記表面シート部の前記上縁および前記裏面シート部の前記上縁を接合するトップシール部と、
前記幅方向の両側において、前記サイドシール部と前記トップシール部とに跨がるように設けられたポイントシール部と、をさらに備え、
前記ポイントシール部は、前記サイドシール部に重なる第1部分を含み、
前記第1部分は、その外形において前記収容空間側に位置する第3内側ラインを有し、
前記第3内側ラインは、上方に向かうにつれて前記幅方向の内側に向かう傾斜部を含み、
前記第1内側ラインは、前記サイドシール部の前記上端部側に位置しかつ上方に向かうにつれて前記幅方向の外側に向かうように延在する第1ライン部と、前記第1ライン部に接続され、下方側に向けて延在する第1延在部とを有し、
前記傾斜部に平行な平行線と前記第1延在部とが交差する交差角のうち、前記平行線の下方側で前記収容空間側を向く角度は、鈍角である、請求項1に記載のパウチ容器。
【請求項3】
表面シート部と裏面シート部の側縁を接合するサイドシール部を挟み込み可能に設けられた一対の接合ヘッドを備え、
前記一対の接合ヘッドの各々は、前記サイドシール部を挟み込んで、前記サイドシール部の上端部に重なるように幅方向の両側において前記表面シート部と前記裏面シート部とを接合するサイドポイントシール部を形成するための接合用端面部を含み、
前記サイドシール部は、その外形において、前記表面シート部と前記裏面シート部との間に形成される収容空間側に位置する第1内側ラインを含み、
前記接合用端面部は、前記サイドポイントシール部の外形において前記収容空間側に位置する第2内側ラインに対応する内側接合ラインを有し、
前記内側接合ラインは、前記一対の接合ヘッドが前記サイドシール部を挟み込んだ状態において、前記第1内側ラインと交差し、かつ、前記第1内側ラインと前記内側接合ラインとが交差する交差角のうち前記収容空間側を向く角度が鈍角となるように設けられている、接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パウチ容器、および接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパウチ容器として、特開2017-43373号公報(特許文献1)には、一対の胴部シート、底部シート、天面シート、および、天面シートに装着されたスパウトを有するパウチ容器であって、幅方向両側において一対の胴部シート同士が接合されるサイドシール部と、パウチ容器の上部において一対の胴部シートと天面シートとが接合されるトップシール部と、サイドシール部とトップシール部との境界部において両シール部に跨って形成される上部ポイントシール部とを備えたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パウチ容器を製造する方法として、表面シート部と裏面シート部の側縁がサイドシール部によって接合されたチューブ状フィルム部材を準備し、当該チューブ状フィルム部材の開口端に天面シート部となる部分を含むベルト状のフィルムを接合する場合がある。
【0005】
ベルト状のフィルムを接合するにあたり、サイドシール部の上方で、罫線に沿って表面シートの上部を折り返した状態で、天面シートの周縁をトップシール部によって表面シート部の上縁と裏面シート部の上縁とに接合することが考えられる。
【0006】
この際、封止性を高めるために、罫線とサイドシール部との間に位置する部分の表面シート部と裏面シート部との間の隙間を封止するサイドポイントシール部を新たに設けることが考えられる。
【0007】
しかしながら、シール部を形成する装置の位置決め精度の如何によって、サイドポイントシール部の位置がずれてしまい、サイドシールにサイドポイントシールが重なるものの、サイドポイントシールの内側端部が、サイドシールの内側端部よりも、パウチ容器の収容空間側にはみ出すことが起こり得る。
【0008】
この場合においては、サイドシールおよびサイドポイントシールの形状の如何によって、パウチ容器に外力が負荷された場合に、サイドシールとサイドポイントシールとの交点に応力が集中してしまい、パウチ容器が破れることが懸念される。
【0009】
本開示は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、外力が負荷された場合に破損を抑制することができるパウチ容器、当該パウチ容器の製造方法、および当該パウチ容器を製造するための接合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に基づくパウチ容器は、前後方向に向かい合う表面シート部および裏面シート部と、上記前後方向に直交する幅方向の両側において上記表面シート部および上記裏面シート部を接合し、上下方向に延在するサイドシール部と、上記サイドシール部の上端部に重なるように設けられ、上記幅方向の両側において上記表面シート部と上記裏面シート部とを接合するサイドポイントシール部と、を備える。上記サイドシール部は、その外形において、上記表面シート部と上記裏面シート部との間に形成される収容空間側に位置する第1内側ラインを含む。上記サイドポイントシール部は、その外形において上記収容空間側に位置し、上記第1内側ラインに交差する第2内側ラインを有する。上記第1内側ラインと上記第2内側ラインとが交差する交差角のうち、上記収容空間側を向く角度は、鈍角である。
【0011】
上記本開示に基づくパウチ容器にあっては、上記第1内側ラインは、上記サイドシール部の上記上端部側に、上方に向かうにつれて上記幅方向の外側に向かうように延在する第1ライン部を有していてもよい。上記第2内側ラインは、上記第1ライン部に交差する第2ライン部を有する。この場合には、上記第1ライン部と上記第2ライン部とが交差する位置が上記第1ライン部上でずれた場合であっても、上記交差角が一定となってもよい。
【0012】
上記本開示に基づくパウチ容器にあっては、上記第1ライン部は、上方に向かうにつれて上記幅方向の外側に向かうように直線状に傾斜していてもよい。上記第2ライン部は、上方に向かうにつれて上記幅方向の内側に向かうように直線状に傾斜していてもよい。
【0013】
上記本開示に基づくパウチ容器は、上記表面シート部の上縁および上記裏面シート部の上縁に接合される天面シート部と、上記天面シート部の周縁と、上記表面シート部の上記上縁および上記裏面シート部の上記上縁を接合するトップシール部と、上記幅方向の両側において、上記サイドシール部と上記トップシール部とに跨がるように設けられたポイントシール部と、をさらに備えていてもよい。上記ポイントシール部は、上記サイドシール部に重なる第1部分を含んでいてもよい。上記第1部分は、その外形において上記収容空間側に位置する第3内側ラインを有していてもよい。上記第3内側ラインは、上方に向かうにつれて上記幅方向の内側に向かう傾斜部を含んでいてもよい。上記第1内側ラインは、上記サイドシール部の上記上端部側に位置しかつ上方に向かうにつれて上記幅方向の外側に向かうように延在する第1ライン部と、上記第1ライン部に接続され、下方側に向けて延在する第1延在部とを有していてもよい。この場合には、上記傾斜部に平行な平行線と上記第1延在部とが交差する交差角のうち、上記平行線の下方側で上記収容空間側を向く角度は、鈍角であってもよい。
【0014】
本開示に基づくパウチ容器の製造方法にあっては、上端側が開口するように、表面シート部と裏面シート部の側縁がサイドシール部によって接合されたチューブ状フィルム部材を準備する工程と、天面シート部となる部分を含むベルト状フィルムを上記チューブ状フィルム部材の開口部を閉塞するように上記チューブ状フィルム部材に接合する工程と、を備える。上記チューブ状フィルム部材に接合する工程は、上記サイドシール部の上端部に重なるように、幅方向の両側において上記表面シート部と上記裏面シート部とを接合するサイドポイントシール部を形成する工程を含む。上記サイドシール部は、その外形において、上記表面シート部と上記裏面シート部との間に形成される収容空間側に位置する第1内側ラインを含んでいる。上記サイドポイントシール部を形成する工程において、当該サイドポイントシール部の外形において上記収容空間側に位置する第2内側ラインが、上記第1内側ラインと交差し、かつ、上記第1内側ラインと上記第2内側ラインとが交差する交差角のうち、上記表面シート部と上記裏面シート部との間に形成されている収容空間側を向く角度が鈍角となるように、上記サイドポイントシール部を形成する。
【0015】
本開示に基づく接合装置は、表面シート部と裏面シート部の側縁を接合するサイドシール部を挟み込み可能に設けられた一対の溶着ヘッドを備える。上記一対の溶着ヘッドの各々は、上記サイドシール部を挟み込んで、上記サイドシール部の上端部に重なるように幅方向の両側において上記表面シート部と上記裏面シート部とを接合するサイドポイントシール部を形成するための接合用端面部を含む。上記サイドシール部は、その外形において、上記表面シート部と上記裏面シート部との間に形成される収容空間側に位置する第1内側ラインを含む。上記接合用端面部は、上記サイドポイントシール部の外形において上記収容空間側に位置する第2内側ラインに対応する内側接合ラインを有する。上記内側接合ラインは、上記一対の溶着ヘッドが上記サイドシール部を挟み込んだ状態において、上記第1内側ラインと交差し、かつ、上記第1内側ラインと上記内側接合ラインとが交差する交差角のうち上記収容空間側を向く角度が鈍角となるように設けられている。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、外力が負荷された場合に破損を抑制することができるパウチ容器、および当該パウチ容器を製造するための接合装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態に係るパウチ容器の内容物充填後の状態を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係るパウチ容器の内容物充填前の折り畳まれた状態を示す図である。
【
図3】実施の形態に係るパウチ容器において、サイドシール部とサイドポイントシール部との第1の位置関係を示す図である。
【
図4】実施の形態に係るパウチ容器において、サイドシール部とサイドポイントシール部との第2の位置関係を示す図である。
【
図5】実施の形態に係るパウチ容器において、サイドシール部とサイドポイントシール部との第3の位置関係を示す図である。
【
図6】実施の形態に係るパウチ容器において、サイドシール部と上部ポイントシール部との第1の位置関係を示す図である。
【
図7】実施の形態に係るパウチ容器において、サイドシール部と上部ポイントシール部との第2の位置関係を示す図である。
【
図8】実施の形態に係るパウチ容器の製造フローを示す図である。
【
図9】
図8に示す製造フローにおいて、チューブ状フィルム部材を準備する工程を示す図である。
【
図10】
図8に示す製造フローにおいて、ベルト状フィルム部材をチューブ状フィルム部材に接合する工程を示す図である。
【
図11】
図10に示す接合装置によって、チューブ状フィルム部材とベルト状フィルム部材とが接合されている様子を示す図である。
【
図12】
図10に示す接合装置が有する接合用端面部の正面図である。
【
図13】
図8に示す製造フローにおいて、上部ポイントシール部を形成する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0019】
図1は、実施の形態に係るパウチ容器の内容物充填後の状態を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係るパウチ容器の内容物充填前の折り畳まれた状態を示す図である。
図1および
図2を参照して、実施の形態に係るパウチ容器10について説明する。
【0020】
図1および
図2に示すように、実施の形態に係るパウチ容器10は、いわゆるスパウト付きタイプと呼ばれるものである。パウチ容器10は、胴部としての表面シート部11および裏面シート部12、底シート部13、および天面シート部14を備える。
【0021】
表面シート部11および裏面シート部12は、容器の表面部および裏面部をそれぞれ構成する。底シート部13は、下方側において、表面シート部11および裏面シート部12との間に挿入されており、底ガゼット部を構成する。底シート部13は、
図2に示す折り畳み状態においては、幅方向に沿って形成された折り目線15により、容器の内部側に向かって山折りに折り返されている。天面シート部14は、容器の上面部を構成する。
【0022】
パウチ容器10は、前後方向に向かい合う表面シート部11および裏面シート部12との間に内容物を収容する収容空間17を有する。当該収容空間に内容物が充填されることにより、底シート部13が展開して、パウチ容器10は、自立可能となる。充填される内容物は、たとえば液状、粒状、粉状のものである。
【0023】
天面シート部14の中央部には、内容物を充填または取り出すための口栓30が設けられている。口栓30は、天面シート部14に固定されるスパウト31と、スパウト31の外周に形成されたネジ部に螺合されたキャップ32とで構成される。なお、
図2においては、キャップ32が取り外された状態でスパウト31が示されている。
【0024】
スパウト31は、天面シート部14から外側に突出する筒部31aと、筒部31aの端部に一体形成されたフランジ部31bとを有する。フランジ部31bは、天面シート部14の内面(すなわち収容空間17側の面)に熱圧着等により接合されている。フランジ部31bの形状としては、矩形形状、円形、楕円形、長円形、多角形等の適宜の形状を採用することができる。
【0025】
パウチ容器10を構成するシート部材は、樹脂フィルムによって構成されている。樹脂フィルムは、好ましくは、包装体としての基本性能(耐衝撃性、耐摩耗性、耐熱性等)を発揮するベースフィルム層と、溶着を可能にするためのシーラント層との積層体にて構成される。ベースフィルム層とシーラント層との間にガスバリア層が設けられていてもよい。ベースフィルム層、シーラント層、およびガスバリア層の構成材料は、公知のものを採用することができる。
【0026】
パウチ容器10は、トップシール部20、ボトムシール部21、サイドシール部22、下部ポイントシール部19a、ポイントシール部としての上部ポイントシール部19b、およびサイドポイントシール部25を備える。
【0027】
トップシール部20は、天面シート部14の周縁と、表面シート部11の上縁および裏面シート部12の上縁を接合する。ボトムシール部21は、底シート部13の周縁と、表面シート部11の下縁および裏面シート部12の下縁を接合する。
【0028】
サイドシール部22は、前後方向に直交する幅方向の両側において、表面シート部11および裏面シート部12を接合する。具体的には、サイドシール部22は、幅方向の両側において、表面シート部11の側縁および裏面シート部12の側縁を接合する。サイドシール部22は、上下方向に沿って延在する。
【0029】
下部ポイントシール部19aは、幅方向の両側において、ボトムシール部21とサイドシール部22の境界部に形成されている。下部ポイントシール部19aは、ボトムシール部21とサイドシール部22の双方に跨がるように設けられている。
【0030】
上部ポイントシール部19bは、幅方向の両側において、トップシール部20とサイドシール部22の境界部に形成されている。上部ポイントシール部19bは、トップシール部20とサイドシール部22との双方に跨がるように設けられている。
【0031】
図3は、実施の形態に係るパウチ容器において、サイドシール部とサイドポイントシール部との第1の位置関係を示す図である。
図3を参照して、サイドシール部22とサイドポイントシール部25の詳細について説明する。
【0032】
なお、
図3の第1の位置関係においては、サイドシール部22とサイドポイントシール部25とは、位置ずれなく設けられている。
【0033】
サイドシール部22は、上端部22aを有する。当該上端部22aは、たとえば、天面シート部14に達しないように設けられている。より特定的には、上端部22aは、
図2において、表面シート部11の内表面が紙面垂直方向の手前側に向くように折り返すための罫線18に到達しないように設けられている。
【0034】
サイドシール部22は、第1内側ライン221および第1外側ライン222を有する。第1内側ライン221は、サイドシール部22の外形において、収容空間17側に位置する内側のラインを構成する。第1外側ライン222は、サイドシール部22の外形において収容空間側とは反対側に位置する外側のラインを構成する。
【0035】
第1内側ライン221は、上端部22a側に第1ライン部221aを有する。第1ライン部221aは、上方に向かうにつれて幅方向の外側に向かうように延在する。第1ライン部221aは、たとえば、直線状に延在していてもよい。
【0036】
サイドポイントシール部25は、サイドシール部22の上端部22aに重なるように設けられており、幅方向の両側において表面シート部11と裏面シート部12とを接合する。より特定的には、サイドポイントシール部25は、上記罫線18と上端部22aとの間に位置する部分の表面シート部11と裏面シート部12とを主として接合する。
【0037】
サイドポイントシール部25は、四角形状における下部側の内側端部の一部が切り掛かれた略五角形形状を有する。サイドポイントシール部25の角部は、丸みを帯びている。
【0038】
サイドポイントシール部25は、第2内側ライン251および第2外側ライン252を有する。第2内側ライン251は、サイドポイントシール部25の外形において内側のラインを構成する。第2外側ライン252は、サイドポイントシール部25の外形において外側のラインを構成する。
【0039】
第2内側ライン251は、上記第1ライン部221aに交差する第2ライン部251aを有する。第2ライン部251aは、上方に向かうにつれて幅方向の内側に向かうように延在する。第2ライン部251aは、直線状に延在していてもよい。
【0040】
ここで、第2内側ライン251は、第1内側ライン221と交差している。第1内側ライン221と第2内側ライン251とが交差する交差角のうち上記収容空間17側を向く角度θ1は、鈍角となっている。
【0041】
一般的に、内容物が充填されたパウチ容器10が落下してパウチ容器10に外力が負荷された場合には、収容空間17内の内容物からの圧力がシール部に作用する。サイドポイントシール部25とサイドシール部22が交差する場合には、その交点に応力が集中しやすい。上記角度θ1が、90度以下となる場合には、当該交点に集中する応力によって、当該交点からパウチ容器10が破損することが懸念される。ここで、本実施の形態においては、上記角度θ1が鈍角となっていることにより、交点を作る面に応力が分散することによって、サイドポイントシール部25とサイドシール部22との交点に作用する応力を緩和することができる。これにより、当該交点に応力が集中することを抑制し、パウチ容器10が破損することを抑制することができる。
【0042】
さらに、上記第1ライン部221aと前記第2ライン部251aとが交差する位置が第1ライン部221a上でずれた場合であっても、交差角(角度θ1)が常に鈍角となることにより、サイドシール部22とサイドポイントシール部25とが位置ずれした場合であっても、パウチ容器10の破損を抑制することができる。
【0043】
図4は、実施の形態に係るパウチ容器において、サイドシール部とサイドポイントシール部との第2の位置関係を示す図である。
図4は、
図3に示す第1の位置関係から、サイドポイントシール部25が相対的に幅方向の内側(収容空間17側)にずれた状態を示している。
【0044】
図4に示すように、サイドポイントシール部25が相対的に幅方向の内側(収容空間17側)にずれた状態であっても、第1ライン部221aと第2ライン部251aは、鈍角で交差している。また、第1ライン部221aと第2ライン部251aとがたとえば、直線状に設けられていることにより、交差角(上記角度θ1)は、
図3における交差角と同じ角度になっている。
【0045】
図5は、実施の形態に係るパウチ容器において、サイドシール部とサイドポイントシール部との第3の位置関係を示す図である。
図5は、
図3に示す第1の位置関係から、サイドポイントシール部25が相対的に幅方向の外側にずれた状態を示している。
【0046】
図5に示すように、サイドポイントシール部25が相対的に幅方向の内側(収容空間17側)にずれた状態であっても、第1ライン部221aと第2ライン部251aは、鈍角で交差している。また、第1ライン部221aと第2ライン部251aとがたとえば、直線状に設けられていることにより、交差角(上記角度θ1)は、
図3における交差角と同じ角度になっている。
【0047】
第1ライン部221aと第2ライン部251aとは、必ずしも直線状に限定されないが、直線状にすることにより、サイドポイントシール部25とサイドシール部22との位置関係がずれた場合であっても、上記交差角を確実に一定にすることができる。これにより、第1ライン部221aおよび第2ライン部251aが曲線状に設けられて位置ずれによって交差角度が変動する場合と比較して、サイドポイントシール部25とサイドシール部22の位置ずれによる品質を一定に保つことができる。
【0048】
図6および
図7は、実施の形態に係るパウチ容器において、サイドシール部と上部ポイントシール部との第1および第2の位置関係を示す図である。
図6および
図7においては、上部ポイントシール部19bのうちサイドシール部22に重なる第1部分19cと、サイドシール部22との関係を示している。
図6および
図7を参照して、上部ポイントシール部19bおよびサイドシール部22の詳細について説明する。
【0049】
図6に示すように、上部ポイントシール部19bが有する第1部分19cは、サイドシール部22に重なっている。具体的には、第1部分19cは、上記罫線18から上端部22aに向かうように延在しており、表面シート部11と裏面シート部12とを接合している。
【0050】
図6に示す第1の位置関係においては、サイドシール部22と上部ポイントシール部19bとは位置ずれなく設けられており、第1部分19cは、第1内側ライン221と第1外側ライン222との間に配置されている。
【0051】
第1部分19cは、上下方向に延在する細長形状を有する。第1部分19cは、その外形において内側ラインを構成する第3内側ライン191を含む。第3内側ライン191は、上方に向かうにつれて幅方向の内側に向かう傾斜部191aを有する。傾斜部191aは、第3内側ライン191の下部に設けられている。
【0052】
サイドシール部22の第1内側ラインは、上記第1ライン部221aと、第1延在部221bとを有する。第1延在部221bは、第1ライン部221aの下端に接続され、下方側に向けて延在する。
【0053】
この場合において、傾斜部191aに平行な平行線(仮想ラインPL1)と、第1延在部221bとが交差する交差角のうち当該平行線の下方側で収容空間17側を向く角度θ2は、鈍角である。
【0054】
図7に示すように、第2の位置関係においては、上部ポイントシール部19bがサイドシール部22に対して幅方向の内側にずれている。当該第2の位置関係においては、傾斜部191aと第1延在部221bとが交差している。傾斜部191aと第1延在部221bとの交差角のうち収容空間側を向く角度θ2が鈍角となっている。
【0055】
以上のように、傾斜部191aを設けることにより、上部ポイントシール部19bがサイドシール部22に対して幅方向に相対的にずれて、傾斜部191aと第1延在部221bとが交差した場合であっても、その交差角(特定的には上記角度θ2)を鈍角とすることができる。これにより、上述のサイドシール部22とサイドポイントシール部25との位置関係と同様の効果が得られる。すなわち、傾斜部191aと第1延在部221bとが交差した場合に、傾斜部191aと第1延在部221bとの交点に作用する応力を緩和することができる。
【0056】
図8は、実施の形態に係るパウチ容器の製造フローを示す図である。
図8を参照して、実施の形態に係るパウチ容器10の製造方法について説明する。
【0057】
図8に示すように、パウチ容器10を製造するに際して、まず、工程(S10)にて、チューブ状フィルム部材110を準備する。
【0058】
図9は、
図8に示す製造フローにおいて、チューブ状フィルム部材を準備する工程を示す図である。なお、
図9の二点鎖線は、表面シート部11の上部が罫線18で手前側に折り畳まれた状態における表面シート部11の上縁を示している。
【0059】
図9に示すように、チューブ状フィルム部材110は、上端側が開口するように、表面シート部11と裏面シート部12の側縁をサイドシール部22によって接合することで準備される。
【0060】
チューブ状フィルム部材110は、底シート部13を含んでおり、底シート部13は、表面シート部11および裏面シート部12の下部側で、表面シート部11および裏面シート部12に接合されている。また、チューブ状フィルム部材110には、上述の下部ポイントシール部19aも形成されている。
【0061】
チューブ状フィルム部材110の上端側において、表面シート部11と裏面シート部12の内表面には、接合しろ114(
図10参照)が設けられている。
【0062】
続いて、工程(S11)において、ベルト状フィルム部材120(
図10参照)をチューブ状フィルム部材110に接合する。より特定的には、天面シート部14となる部分を含むベルト状フィルム部材120をチューブ状フィルム部材110の開口部を閉塞するようにチューブ状フィルム部材110に接合する。
【0063】
当該工程(S11)は、工程(S12)、工程(S13)、および工程(S14)を含んでいる。
【0064】
工程(S12)においては、サイドポイントシール部25を形成する。具体的には、サイドシール部22の上端部22aに重なるように、幅方向の両側において表面シート部11と裏面シート部12とを接合するサイドポイントシール部25を形成する。サイドポイントシール部25は、上記罫線18と上端部22aとの間の隙間を埋めるように形成される。サイドポイントシール部25は、上記罫線18と上端部22aとの間に位置する部分の表面シート部11と裏面シート部12とを主として接合する。
【0065】
工程(S13)においては、トップシール部20を形成する。より特定的には、ベルト状フィルム部材120のうち接合しろ114に対向する部分の周縁部と、表面シート部11の上縁および裏面シート部12の上縁とを接合するようにトップシール部20を形成する。
【0066】
工程(S14)においては、上部ポイントシール部19bを形成する。より特定的には、幅方向の両側において、サイドシール部22とトップシール部20とに跨がるように上部ポイントシール部19bを形成する。
【0067】
本実施の形態においては、工程(S12)と工程(S13)が同時に行われる場合を例示して以下に説明するが、工程(S12)と工程(S13)とは同時に行われなくてもよい。
【0068】
図10は、
図8に示す製造フローにおいて、ベルト状フィルム部材をチューブ状フィルム部材に接合する工程を示す図である。
【0069】
図10に示すように、ベルト状フィルム部材120は、チューブ状フィルム部材110の上方において、搬送方向(DR1方向)に沿って搬送されている。チューブ状フィルム部材110のうち天面シート部14となる部分に口栓30が設けられている。チューブ状フィルム部材110は、搬送方向に連続する帯状形状を有し、天面シート部14となる部分を搬送方向に沿って複数含んでいる。
【0070】
チューブ状フィルム部材110は、ベルト状フィルム部材120の下方側で、搬送方向(DR2方向)に沿って接合ステーションST1に搬送される。接合ステーションST1は、ベルト状フィルム部材120とチューブ状フィルム部材110とが接合されるエリアである。チューブ状フィルム部材110は、一枚ずつ接合ステーションST1に搬送され、ベルト状フィルム部材120に接合されていく。
【0071】
チューブ状フィルム部材110は、接合しろ114が拡開した状態で接合ステーションST1に搬送される。接合しろ114は、サイドシール部22の上端部22aよりも上方に位置する部分の表面シート部11および裏面シート部12が折り返されることによって構成されている。
【0072】
ベルト状フィルム部材120とチューブ状フィルム部材110との接合は、接合装置50によって実施される。
【0073】
接合装置50は、一対の接合ヘッドとしての一対の第1溶着ヘッド51、これらを駆動する駆動機構52、第2溶着ヘッド53、およびこれを駆動する駆動機構54とを備える。
【0074】
一対の第1溶着ヘッド51は、チューブ状フィルム部材110を挟むように対向配置されており、駆動機構52によって
図10中に示す矢印AR10方向に沿って駆動されるとともに、図示しない他の駆動機構によって
図5中に示す矢印AR11方向に沿って駆動される。
【0075】
第2溶着ヘッド53は、一対の第1溶着ヘッド51に対向可能となるようにチューブ状フィルム部材110の上方に位置しており、駆動機構54によって
図10中に示す矢印AR12方向に沿って駆動される。
【0076】
図11は、
図10に示す接合装置によって、チューブ状フィルム部材とベルト状フィルム部材とが接合されている様子を示す図である。
【0077】
図11に示すように、接合ステーションST1では、チューブ状フィルム部材110の溶着しろ114と、ベルト状フィルム部材120の口栓30が組付けられた部分(すなわち、天面シート部14となる部分)とが重なり合うとともに、この重ね合わされた部分が、一対の第1溶着ヘッド51と第2溶着ヘッド53とによって挟み込まれる。
【0078】
一対の第1溶着ヘッド51の各々は、接合用端面部51aを含んでいる。当該接合用端面部51aは、サイドシール部22を挟み込んで、サイドシール部22の上端部22aに重なるように幅方向の両側において表面シート部11と裏面シート部12とを接合するサイドポイントシール部25を形成するためのものである。
【0079】
上述のように、一対の第1溶着ヘッド51と第2溶着ヘッド53で溶着しろ114とベルト状フィルム部材120とを挟み込む際に、一対の第1溶着ヘッド51の各々が有する接合用端面部51aは、サイドシール部22の上端部22aに重なるように、チューブ状フィルム部材110の表面シート部11および裏面シート部12を挟み込む。
【0080】
この際、一対の第1溶着ヘッド51と第2溶着ヘッド53とで挟み込まれた部分、および接合用端面部51aによって挟み込まれた部分が熱溶着される。このようにして、上記工程(S12)および工程(S13)が同時に実施され、トップシール部20およびサイドポイントシール部25が形成される。
【0081】
図12は、
図10に示す接合装置が有する接合用端面部の正面図である。
図12に示すように、接合用端面部51aは、サイドポイントシール部25の外形において内側のラインを構成する第2内側ライン251に対応する内側接合ライン511を有する。内側接合ライン511は、第2ライン部251aに対応する第3ライン511aを有する。
【0082】
内側接合ライン511は、一対の第1溶着ヘッド51がサイドシール部22を挟み込んだ状態において、第1内側ライン221と交差し、かつ、第1内側ライン221と内側接合ライン511とが交差する交差角のうち表面シート部11と裏面シート部12との間に形成されている収容空間側を向く角度が鈍角となるように設けられている。
【0083】
これにより、上記工程(S12)において、第1内側ライン221と第2内側ライン251とが交差する交差角のうち表面シート部11と裏面シート部12との間に形成されている収容空間側を向く角度が鈍角となるように、サイドポイントシール部25が形成される。
【0084】
図13は、
図8に示す製造フローにおいて、上部ポイントシール部を形成する工程を示す図である。
【0085】
続いて、
図13に示すように、工程(S14)において、上部ポイントシール部19bを形成する。上部ポイントシール部19bは、接合ステーションST2で実施される。
【0086】
上述のように、トップシール部20およびサイドポイントシール部25が形成されて、チューブ状フィルム部材110とベルト状フィルム部材120とが接合された接合体は、折り畳まれた状態で接合ステーションST2に搬送される。当該接合体は、チューブ状フィルム部材110のうちの溶着しろ114以外の部分が、接合しろ114と平行となるように折り畳まれている。
【0087】
この状態で、幅方向の両側において、第3溶着ヘッド71および第4溶着ヘッド73に、天面シート部14となる部分、表面シート部11および裏面シート部12が挟み込まれる。より特定的には、表面シート部11が折り返された部分、当該部分を裏面シート部12および天面シート部14となる部分で覆う部分が、第3溶着ヘッド71および第4溶着ヘッド73に挟み込まれる。この際、第3溶着ヘッド71および第4溶着ヘッド73によって挟み込まれた箇所が熱溶着されて、上部ポイントシール部19bが形成される。
【0088】
続いて、工程(S15)において、上記接合体から余剰部を切断する。これにより、個別にパウチ容器10が切り出される。このような工程を経て上記パウチ容器10を製造することができる。
【0089】
以上、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0090】
10 パウチ容器、11 表面シート部、12 裏面シート部、13 底シート部、14 天面シート部、15 折り目線、17 収容空間、18 罫線、19a 下部ポイントシール部、19b 上部ポイントシール部、19c 第1部分、20 トップシール部、21 ボトムシール部、22 サイドシール部、22a 上端部、25 サイドポイントシール部、30 口栓、31 スパウト、31a 筒部、31b フランジ部、32 キャップ、50 接合装置、51 第1溶着ヘッド、51a 接合用端面部、52 駆動機構、53 第2溶着ヘッド、54 駆動機構、71 第3溶着ヘッド、73 第4溶着ヘッド、110 チューブ状フィルム部材、120 ベルト状フィルム部材、191 第3内側ライン、191a 傾斜部、221 第1内側ライン、221a 第1ライン部、221b 第1延在部、222 第1外側ライン、251 第2内側ライン、251a 第2ライン部、252 第2外側ライン、511 内側接合ライン、511a 第3ライン、PL1 仮想ライン、ST1,ST2 接合ステーション。