IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特開-内燃機関の制御装置および制御方法 図1
  • 特開-内燃機関の制御装置および制御方法 図2
  • 特開-内燃機関の制御装置および制御方法 図3
  • 特開-内燃機関の制御装置および制御方法 図4
  • 特開-内燃機関の制御装置および制御方法 図5
  • 特開-内燃機関の制御装置および制御方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130569
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/40 20060101AFI20240920BHJP
   F02D 23/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F02D41/40
F02D23/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040386
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 翔大
【テーマコード(参考)】
3G092
3G301
【Fターム(参考)】
3G092AA02
3G092AA17
3G092AA18
3G092BA01
3G092BA03
3G092BB01
3G092BB06
3G092BB08
3G092BB11
3G092DB03
3G092DC01
3G092DC08
3G092DE06S
3G092EA22
3G092FA15
3G092HA01Z
3G092HA15Z
3G092HB01X
3G092HB02X
3G092HB03Z
3G092HD07Z
3G092HE01Z
3G092HF08Z
3G301HA02
3G301HA11
3G301HA13
3G301JA24
3G301JA37
3G301LA01
3G301LB11
3G301MA11
3G301MA18
3G301NE03
3G301NE08
3G301PA01Z
3G301PA11Z
3G301PB08Z
3G301PD15Z
3G301PE01Z
3G301PF03Z
(57)【要約】
【課題】複数の燃焼方式の切替え時に燃焼騒音およびスモークの悪化を抑制すること。
【解決手段】制御装置は、エンジンの制御装置である。エンジンは、制御された圧力で燃料を噴射する噴射システムを備える。制御装置は、エンジンにおける複数の燃焼方式のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射における各々の噴射時期を特定し(ステップS113,ステップS114)、各サイクルにおいて算出された各々の噴射時期で燃料を複数段、噴射するよう噴射システムを制御し(ステップS123,ステップS124,ステップS126)、燃焼方式の切替えの過渡期間には、複数段のうちの少なくともいずれかの段について、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射時期を、切替え前の燃焼方式の噴射時期から、切替え後の燃焼方式の噴射時期に徐変するように特定する(ステップS125,ステップS126)。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関は、制御された圧力で燃料を噴射する噴射システムを備え、
前記制御装置は、
前記内燃機関における複数の燃焼方式のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射における各々の噴射時期を特定し、
各サイクルにおいて算出された各々の噴射時期で燃料を複数段、噴射するよう前記噴射システムを制御し、
燃焼方式の切替えの過渡期間には、複数段のうちの少なくともいずれかの段について、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射時期を、切替え前の燃焼方式の噴射時期から、切替え後の燃焼方式の噴射時期に徐変するように特定する、内燃機関の制御装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記噴射時期を特定するときに、さらに、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射における各々の噴射量を特定し、
前記噴射システムを制御するときに、さらに、各サイクルにおいて算出された各々の噴射量で燃料を複数段、噴射するよう制御し、
燃焼方式の切替えの過渡期間には、さらに、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射量を、切替え前の燃焼方式の噴射量から、切替え後の燃焼方式の噴射量に徐変するようにさらに特定する、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項3】
複数の燃焼方式は、第1の燃焼方式と、第2の燃焼方式とを含み、
前記第1の燃焼方式と前記第2の燃焼方式とでは、燃料の圧力の制御範囲が異なり、
前記制御装置は、
燃焼方式に応じた燃料の圧力とするよう前記噴射システムを制御し、
前記第1の燃焼方式と前記第2の燃焼方式との切替えの過渡期間には、切替え後の燃料の圧力への追従遅れの度合いを算出し、切替え前後において対応する段の噴射時期を、算出した度合いに応じて徐変するように算出する、請求項1または請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項4】
前記第1の燃焼方式では、1サイクルにおける複数段において特定段が存在し、
前記第2の燃焼方式では、1サイクルにおける複数段において前記特定段が存在せず、
前記制御装置は、前記第2の燃焼方式の前記特定段が存在しない状態と、前記第1の燃焼方式の前記特定段が存在する状態との間で、算出した度合いに応じて前記特定段の噴射時期が徐変するよう算出する、請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
【請求項5】
内燃機関の制御装置によって実行される前記内燃機関の制御方法であって、
前記内燃機関は、制御された圧力で燃料を噴射する噴射システムを備え、
前記制御方法は、前記制御装置が、
前記内燃機関における複数の燃焼方式のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射における各々の噴射時期を特定するステップと、
各サイクルにおいて算出された各々の噴射時期で燃料を複数段、噴射するよう前記噴射システムを制御するステップと、
燃焼方式の切替えの過渡期間には、複数段のうちの少なくともいずれかの段について、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射時期を、切替え前の燃焼方式の噴射時期から、切替え後の燃焼方式の噴射時期に徐変するように特定するステップとを含む、内燃機関の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、内燃機関の制御装置および制御方法に関し、特に、制御された圧力で燃料を噴射する噴射システムを備える内燃機関の制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジンにおいて、1サイクルに複数回、燃料を噴射する場合に、メイン噴射を前段と後段とに分けて噴射する燃焼方式があった(たとえば、特許文献1参照)。以降は、この燃焼方式をメイン2段噴射燃焼と呼ぶ。メイン2段噴射燃焼においては、メイン噴射の前段の噴射時期と後段の噴射時期との間隔を調整することで、前段の燃焼時の圧力波と後段の燃焼時の圧力波とを互いに相殺させて、騒音を低減させることができる。しかし、メイン2段噴射燃焼においては、メイン噴射の後段の着火遅れが短いことによるスモークの悪化が生じることが分かっている。
【0003】
この対応として、コモンレールのレール圧を高くすることにより、スモーク特性を改善することができる。レール圧を高めることで、燃焼騒音が悪化する。しかし、これについては、レール圧を高くするのを必要最小限に留めることで、燃焼騒音およびスモークを共に目標をクリアすることができる。
【0004】
内燃機関の制御マップおいて、メイン2段噴射燃焼および他の燃焼方式が向いている領域と向いていない領域とがある。複数の燃焼方式を制御マップ上において切替えるだけでは、切替え時に燃焼騒音およびスモークが悪化することが懸念される。
【0005】
このような課題を解決する技術として、内燃機関における複数の燃焼方式のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射におけるそれぞれの噴射量が算出され、各サイクルにおいて算出されたそれぞれの噴射量で燃料を複数段、噴射するよう噴射システムが制御され、燃焼方式の切替えの過渡期間には、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射量が、切替え前の燃焼方式の噴射量から、切替え後の燃焼方式の噴射量に徐変するように算出される技術があった(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-19210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術によれば、複数の燃焼方式の切替え時に燃焼騒音およびスモークの悪化を抑制することができる。しかし、特許文献1の技術についてはさらに改良の余地があった。
【0008】
この開示は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、複数の燃焼方式の切替え時に燃焼騒音およびスモークの悪化をさらに抑制することが可能な内燃機関の制御装置および制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この開示に係る制御装置は、内燃機関の制御装置である。内燃機関は、制御された圧力で燃料を噴射する噴射システムを備える。制御装置は、内燃機関における複数の燃焼方式のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射における各々の噴射時期を特定し、各サイクルにおいて算出された各々の噴射時期で燃料を複数段、噴射するよう噴射システムを制御し、燃焼方式の切替えの過渡期間には、複数段のうちの少なくともいずれかの段について、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射時期を、切替え前の燃焼方式の噴射時期から、切替え後の燃焼方式の噴射時期に徐変するように特定する。
【0010】
制御装置は、噴射時期を特定するときに、さらに、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射における各々の噴射量を特定し、噴射システムを制御するときに、さらに、各サイクルにおいて算出された各々の噴射量で燃料を複数段、噴射するよう制御し、燃焼方式の切替えの過渡期間には、さらに、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射量を、切替え前の燃焼方式の噴射量から、切替え後の燃焼方式の噴射量に徐変するようにさらに特定するようにしてもよい。
【0011】
複数の燃焼方式は、第1の燃焼方式と、第2の燃焼方式とを含むようにしてもよい。第1の燃焼方式と第2の燃焼方式とでは、燃料の圧力の制御範囲が異なる。制御装置は、燃焼方式に応じた燃料の圧力とするよう噴射システムを制御し、第1の燃焼方式と第2の燃焼方式との切替えの過渡期間には、切替え後の燃料の圧力への追従遅れの度合いを算出し、切替え前後において対応する段の噴射時期を、算出した度合いに応じて徐変するように算出するようにしてもよい。
【0012】
第1の燃焼方式では、1サイクルにおける複数段において特定段が存在し、第2の燃焼方式では、1サイクルにおける複数段において特定段が存在せず、制御装置は、第2の燃焼方式の特定段が存在しない状態と、第1の燃焼方式の特定段が存在する状態との間で、算出した度合いに応じて特定段の噴射時期が徐変するよう算出するようにしてもよい。
【0013】
この開示の他の局面によれば、内燃機関の制御方法は、内燃機関の制御装置によって実行される。内燃機関は、制御された圧力で燃料を噴射する噴射システムを備える。制御方法は、制御装置が、内燃機関における複数の燃焼方式のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射における各々の噴射時期を特定するステップと、各サイクルにおいて算出された各々の噴射時期で燃料を複数段、噴射するよう噴射システムを制御するステップと、燃焼方式の切替えの過渡期間には、複数段のうちの少なくともいずれかの段について、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射時期を、切替え前の燃焼方式の噴射時期から、切替え後の燃焼方式の噴射時期に徐変するように特定するステップとを含む。
【発明の効果】
【0014】
この開示によれば、複数の燃焼方式の切替え時に燃焼騒音およびスモークの悪化をさらに抑制することが可能な内燃機関の制御装置および制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この開示の実施の形態における車両のエンジンシステムの構成の概略を示す図である。
図2】この実施の形態における燃料噴射処理の流れを示すフローチャートである。
図3】この実施の形態における燃焼方式の切替を説明するための図である。
図4】この実施の形態におけるメイン一段燃焼方式とメイン二段燃焼方式との切替における噴射圧および噴射パラメータの変化を示す図である。
図5】この実施の形態におけるメイン一段燃焼方式とメイン二段燃焼方式との切替における燃焼パターン、熱発生および熱発生開始タイミングの変化を示す図である。
図6】この実施の形態におけるメイン一段燃焼方式とメイン二段燃焼方式との切替における燃焼パターン、熱発生および燃焼ピークの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、この開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返されない。
【0017】
図1は、この開示の実施の形態における車両1のエンジンシステム10の構成の概略を示す図である。図1を参照して、エンジンシステム10は、エンジン11と、燃料タンク12と、燃料噴射装置13と、燃料ポンプ14と、コモンレール15と、吸気通路8と、排気通路7と、EGR通路18と、EGR弁19と、エアフローメータ2と、吸気絞り弁16と、開度センサ17と、エンジン回転速度センサ20と、圧力センサ21と、アクセル開度センサ22と、制御装置100とを含む。
【0018】
制御装置100は、各種処理を行なうCPU(Central Processing Unit)110と、プログラムおよびデータを記憶するROM(Read Only Memory)およびCPUのワークメモリとして用いられたり処理結果等を記憶したりするRAM(Random Access Memory)を含むメモリ150と、制御装置100の外部の機器と情報のやり取りを行なうための入力ポートおよび出力ポート(いずれも図示せず)とを含む。入力ポートには、エアフローメータ2、開度センサ17、エンジン回転速度センサ20、圧力センサ21、および、アクセル開度センサ22等が接続される。
【0019】
制御装置100は、入力ポートに接続された各機器から信号を受信し、受信した信号に基づいて、所定の処理を実行し、処理の結果に基づいて、出力ポートに接続された、吸気絞り弁16、燃料噴射装置13、燃料ポンプ14、および、EGR弁19等を制御する。
【0020】
吸気通路8の一方端には、エアクリーナ(図示せず)が設けられる。吸気通路8の他方端は、エンジン11(より具体的には、気筒11a)に接続される。吸気通路8の途中には、EGR通路18が接続される。
【0021】
エアフローメータ2は、吸気通路8の一方端と、EGR通路18の合流位置との間に設けられる。エアフローメータ2は、吸気通路8からエンジンシステム10に導入される新気の流量(吸入空気量)を検出し、検出された吸入空気量を示す信号を制御装置100に出力する。
【0022】
吸気絞り弁16は、エアフローメータ2と、EGR通路18の合流位置との位置に設けられる。吸気絞り弁16は、制御装置100からの制御信号によって開閉動作を行なう。開度センサ17は、吸気絞り弁16の位置に設けられる。開度センサ17は、吸気絞り弁16の開度を検出し、検出した吸気絞り弁16の開度を示す信号を制御装置100に出力する。
【0023】
エンジン11は、ディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン11は、複数の気筒11aと複数のピストン11bとを含む。たとえば、エンジン11が4気筒エンジンである場合には、エンジン11には、4つの気筒11aが設けられる。なお、図1においては、複数の気筒11aのうちの1つの構成を例示的に示しており、他の気筒についても同様の構成を有する。そのため、その詳細な説明については繰り返さない。
【0024】
燃料噴射装置13は、気筒11aの頂部に設けられる。燃料噴射装置13は、たとえば、噴孔が形成されたボディと、ボディ内部に設けられ、噴孔を開閉するニードルとを有するインジェクタによって構成される。燃料噴射装置13は、コモンレール15を介して燃料ポンプ14および燃料タンク12に接続される。燃料ポンプ14は、制御装置100からの制御信号に応じて、圧力センサ21で検出されるコモンレール15内の燃料の圧力が所定の圧力になるように燃料タンク12内の燃料をコモンレール15に供給する。燃料噴射装置13は、制御装置100からの制御信号に応じてニードルを動作させて、噴孔を開状態(すなわち、噴孔とコモンレール15とを連通状態)にすることによってコモンレール15内の燃料を気筒11a内の燃焼室に噴射する。
【0025】
制御装置100は、アクセル開度センサ22で検出されるアクセルペダルのユーザによる操作量に応じて、燃料噴射装置13において1サイクル中に噴射される全噴射量Qに対応する制御指令値を決定する。制御装置100は、決定された制御指令値に基づいて燃料噴射装置13を制御する。制御指令値は、たとえば、燃料噴射装置13からの燃料の噴射時間(噴射の開時間)または噴射量を示す値である。
【0026】
制御装置100は、たとえば、1サイクル中に噴射される全噴射量Qを複数回に分けて噴射するよう燃料噴射装置13を制御する。制御装置100は、たとえば、1サイクル中にパイロット噴射と、メイン噴射と、アフタ噴射とが実行されるように燃料噴射装置13を制御する。パイロット噴射は、たとえば、燃焼音や燃焼圧の発生を抑制するために実行される。メイン噴射は、たとえば、エンジン11に要求されたトルクを実現するために実行される。アフタ噴射は、たとえば、スモークなどの発生を抑制するために実行される。
【0027】
ピストン11bは、出力軸であるクランク軸(図示せず)に接続されている。エンジン回転速度センサ20は、クランク軸に設けられ、クランク軸の回転速度(以下、エンジン11の回転速度NEと記載する)を検出する。エンジン回転速度センサ20は、制御装置100に接続され、検出されたエンジン11の回転速度NEを示す信号を制御装置100に送信する。
【0028】
排気通路7の一方端は、エンジン11(より具体的には、気筒11a)に接続される。排気通路7には、排気中のPM(Particulate Matter),HC(炭化水素),CO(一酸化炭素),NOx(窒素酸化物)を浄化する排気処理装置(不図示)が設けられる。
【0029】
エンジン11には、さらにEGR(排気再循環)システムが設けられる。EGRシステムは、EGR通路18とEGR弁19とを含む。EGR通路18は、気筒11aを経由しないで排気通路7と吸気通路8とを連通して、排気通路7に排出された排気の一部を吸気通路8に戻す。EGR弁19は、制御装置100からの制御信号に応じて、EGR通路18によって循環するガス流量を調整する。制御装置100は、エンジン11の運転状態に基づいてEGR弁19の開度を制御する。
【0030】
具体的には、制御装置100は、たとえば、全噴射量Qとエンジン11の回転速度NEとに基づいてEGR率の目標値を設定する。制御装置100の後述するメモリ150には、たとえば、全噴射量Qとエンジン11の回転速度NEとEGR率の目標値との関係を示すマップが記憶される。制御装置100は、制御指令値に対応する全噴射量Qとエンジン11の回転速度NEと上述したマップとからEGR率の目標値を設定する。制御装置100は、EGR率が目標値になるようにEGR弁19の開度を制御する。
【0031】
さらに、エンジン11には、排気通路7を流通する排気エネルギーを用いて吸気通路8内の空気を過給する過給機(図示せず)が設けられる。過給機は、たとえば、排気通路7に設けられ、タービンブレードを収納するタービンと、吸気通路8に設けられ、コンプレッサブレードを収納するコンプレッサと、タービンブレードとコンプレッサブレードとを連結するシャフトとを含む。排気通路7に流通する排気によってタービン内のタービンブレードが回転すると、タービンブレードに連結されたシャフトおよびコンプレッサブレードが一体的に回転し、コンプレッサから気筒に空気が圧送されることによって過給が行なわれる。また、タービン内のタービンブレードの周囲には、排気のタービンブレードへの流入速度を変化可能に構成される複数のベーンが設けられる。複数のベーンは、アクチュエータによって動作する。制御装置100は、エンジン11の運転状態に基づいてベーン間の開度を制御する。
【0032】
[課題]
従来、エンジン11において、1サイクルに複数回、燃料を噴射する場合に、メイン噴射を前段と後段とに分けて噴射する燃焼方式があった。この燃焼方式をメイン2段噴射燃焼という。メイン2段噴射燃焼においては、メイン噴射の前段の噴射時期と後段の噴射時期との間隔を調整することで、前段の燃焼時の圧力波と後段の燃焼時の圧力波とを互いに相殺させて、騒音を低減させることができる。しかし、メイン2段噴射燃焼においては、メイン噴射の後段の着火遅れが短いことによるスモークの悪化が生じることが分かっている。
【0033】
この対応として、コモンレール15のレール圧を高くすることにより、スモーク特性を改善することができる。レール圧を高めることで、燃焼騒音が悪化する。しかし、これについては、レール圧を高くするのを必要最小限に留めることで、燃焼騒音およびスモークを共に目標をクリアすることができる。
【0034】
エンジン11の制御マップおいて、メイン2段噴射燃焼および他の燃焼方式が向いている領域と向いていない領域とがある。複数の燃焼方式を制御マップ上において切替えるだけでは、切替え時に燃焼騒音およびスモークが悪化することが懸念される。
【0035】
このような課題を解決する技術として、エンジン11における複数の燃焼方式のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射におけるそれぞれの噴射量が算出され、各サイクルにおいて算出されたそれぞれの噴射量で燃料を複数段、噴射するよう噴射システムが制御され、燃焼方式の切替えの過渡期間には、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射量が、切替え前の燃焼方式の噴射量から、切替え後の燃焼方式の噴射量に徐変するように算出される技術があった。
【0036】
この技術によれば、複数の燃焼方式の切替え時に燃焼騒音およびスモークの悪化を抑制することができる。しかし、この技術についてはさらに改良の余地があった。
【0037】
そこで、制御装置100は、エンジン11における複数の燃焼方式のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射における各々の噴射時期を特定し、各サイクルにおいて算出された各々の噴射時期で燃料を複数段、噴射するよう燃料噴射装置13を制御し、燃焼方式の切替えの過渡期間には、複数段のうちの少なくともいずれかの段について、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射時期を、切替え前の燃焼方式の噴射時期から、切替え後の燃焼方式の噴射時期に徐変するように特定する。
【0038】
これにより、複数の燃焼方式の切替え時に燃焼騒音およびスモークの悪化をさらに抑制することができる。
【0039】
以下、この実施の形態での制御を説明する。図2は、この実施の形態における燃料噴射処理の流れを示すフローチャートである。図2を参照して、この燃料噴射処理は、エンジン11の各気筒11aの1サイクルごとに、当該サイクルとなる直前に、制御装置100のCPU110によって、上位の処理から呼出されて実行される。
【0040】
この実施の形態のエンジン11においては、メイン一段燃焼方式とメイン二段燃焼方式とを切替える。図3は、この実施の形態における燃焼方式の切替を説明するための図である。図3を参照して、図3(A)で示すように、メイン一段燃焼方式においては、1サイクルにおいて、先頭パイロット噴射、近接パイロット噴射、メイン1噴射、および、アフタ噴射を行う。図3(E)で示すように、メイン二段燃焼方式においては、1サイクルにおいて、先頭パイロット噴射、近接パイロット噴射、メイン1噴射、および、メイン2噴射を行う。
【0041】
図2に戻って、CPU110は、対象サイクルのメイン一段燃焼方式用の目標噴射圧を決定し、メモリ150に記憶させる(ステップS111)とともに、対象サイクルのメイン二段燃焼方式用の目標噴射圧を決定し、メモリ150に記憶させる(ステップS112)。目標噴射圧は、特開2022-19210号公報などに記載の公知の方法で決定できる。
【0042】
また、CPU110は、対象サイクルのメイン一段燃焼方式用の各段の噴射量および噴射時期を決定し、メモリ150に記憶させる(ステップS113)とともに、対象サイクルのメイン二段燃焼方式用の各段の噴射量および噴射時期を決定し、メモリ150に記憶させる(ステップS114)。各燃焼方式の噴射量および噴射時期は、特開2022-19210号公報などに記載の公知の方法で決定できる。
【0043】
次に、CPU110は、対象サイクルが切替過渡中であるか否かを判断する(ステップS121)。切替過渡中でない(ステップS121でNO)と判断した場合、CPU110は、対象サイクルの燃焼方式がメイン一段燃焼方式であるかメイン二段燃焼方式であるかを判断する(ステップS122)。
【0044】
メイン一段燃焼方式であると判断した場合、CPU110は、メモリ150に記憶された、メイン一段燃焼方式用の各段の噴射量および噴射時期で対象サイクルの噴射制御を開始し(ステップS123)、実行する処理をこの燃料噴射処理の呼出元の上位の処理に戻す。
【0045】
メイン二段燃焼方式であると判断した場合、CPU110は、メモリ150に記憶された、メイン二段燃焼方式用の各段の噴射量および噴射時期で対象サイクルの噴射制御を開始し(ステップS124)、実行する処理をこの燃料噴射処理の呼出元の上位の処理に戻す。
【0046】
一方、切替過渡中である(ステップS121でYES)と判断した場合、CPU110は、対象サイクルの目標噴射圧に対する実噴射圧の追従割合を算出する(ステップS125)。
【0047】
図4は、この実施の形態におけるメイン一段燃焼方式とメイン二段燃焼方式との切替における噴射圧および噴射パラメータの変化を示す図である。図4を参照して、切替開始時t1から切替終了時t2までの間の追従割合は、メイン2段燃焼方式の目標噴射圧P2に実噴射圧Pが追従している場合を「1」とし、メイン1段燃焼方式の目標噴射圧P1に実噴射圧Pが追従している場合を「0」とする。追従割合rは、たとえば、以下の数式(1)で算出する。つまり、0≦追従割合r≦1となる。
【0048】
追従割合r=(実噴射圧P-メイン1段燃焼方式の目標噴射圧P1)/(メイン2段燃焼方式の目標噴射圧P2-メイン1段燃焼方式の目標噴射圧P1)・・・(1)
図2を再び参照して、次に、CPU110は、噴射圧の追従割合rに応じた各段の噴射量および噴射時期などの噴射パラメータを算出し、算出した各段の噴射パラメータで対象サイクルの噴射制御を開始し(ステップS126)、実行する処理をこの燃料噴射処理の呼出元の上位の処理に戻す。
【0049】
図4を再び参照して、ステップS126において、切替開始時t1から切替終了時t2までの間の各段の噴射量および噴射時期などの噴射パラメータは、たとえば、以下の数式(2)で算出する。
【0050】
噴射パラメータX=メイン一段燃焼方式用の噴射パラメータX1+(メイン二段燃焼方式用の噴射パラメータX2-メイン一段燃焼方式用の噴射パラメータX1)×追従割合r・・・(2)
図3を再び参照して、噴射量は、各噴射を示す長方形の幅(時間軸方向)で示され、噴射時期は、各噴射を示す長方形の左辺の時間軸における位置の時刻で示される。図2で示したように制御することによって、メイン一段燃焼方式の先頭パイロット噴射から、メイン二段燃焼方式の先頭パイロット噴射への切替過渡において、噴射量は、ほぼ変化せず、噴射時期は、徐々に早いタイミングとなるように変化する。
【0051】
メイン一段燃焼方式の近接パイロット噴射から、メイン二段燃焼の近接パイロット噴射およびメイン1噴射への切替過渡において、まず、噴射量は、近接パイロット噴射およびメイン1噴射に分割され、近接パイロット噴射の噴射量は、徐々に減少し、近接パイロット噴射の噴射時期は徐々に早いタイミングとなるように変化し、メイン1噴射の噴射量は、徐々に増加し、メイン1噴射の噴射時期は、徐々に遅いタイミングとなるように変化する。
【0052】
メイン一段燃焼方式のメイン1噴射およびアフタ噴射から、メイン二段燃焼方式のメイン2噴射への切替過渡において、メイン一段燃焼方式のメイン1噴射およびアフタ噴射の噴射量は、徐々に減少し、メイン一段燃焼方式のメイン1噴射およびアフタ噴射の噴射時期は、徐々に早いタイミングとなるように変化し、アフタ噴射の噴射量が0となることでアフタ噴射はメイン二段燃焼方式のメイン2噴射に統合される。
【0053】
メイン二段燃焼方式からメイン一段燃焼方式への切替過渡においては、図3で示した図3(A)から図3(E)への変化と逆の、図3(E)から図3(A)への変化となる。
【0054】
図5は、この実施の形態におけるメイン一段燃焼方式とメイン二段燃焼方式との切替における燃焼パターン、熱発生および熱発生開始タイミングの変化を示す図である。図5を参照して、各段の三角形の高さが、各段の熱発生量を示し、各段の三角形の底辺の長さが、各段の熱発生期間を示す。なお、図5においては、メイン一段燃焼方式のアフタ噴射は記載していない。
【0055】
図5で示すように、たとえば、メイン1噴射の熱発生が開始するタイミングに丸印を付けている。メイン一段燃焼方式からメイン二段燃焼方式への切替過渡において、図2のように各段の噴射パラメータを制御することによって、たとえば、メイン1噴射の熱発生が開始するタイミングが、噴射圧の追従度合いにしたがい、徐々に早められる。このように、燃焼を繋ぐ上で急変させない要素として、熱発生が開始するタイミング(燃焼の立ち上がり時期)を挙げることができる。熱発生が開始するタイミングが急変しないことを狙いとして、図2のステップS126において各段の噴射量および噴射時期などの噴射パラメータを決定するようにしてもよい。
【0056】
図6は、この実施の形態におけるメイン一段燃焼方式とメイン二段燃焼方式との切替における燃焼パターン、熱発生および燃焼ピークの変化を示す図である。図6を参照して、各段の三角形の高さが、各段の熱発生量を示し、各段の三角形の底辺の長さが、各段の熱発生期間を示す。なお、図6においては、メイン一段燃焼方式のアフタ噴射は記載していない。
【0057】
図6で示すように、メイン一段燃焼方式からメイン二段燃焼方式への切替過渡において、図2のように各段の噴射パラメータを制御することによって、たとえば、メイン1噴射およびメイン2噴射の燃焼ピークの間隔Δtおよび燃焼ピークの高さ比Hp/Hmが、噴射圧の追従度合いにしたがい、徐々に小さくされる。燃焼ピークの間隔Δtおよび燃焼ピークの高さ比Hp/Hmについては、たとえば、特開2021-116773号公報に示されている。このように、燃焼を繋ぐ上で急変させない要素として、メイン1噴射およびメイン2噴射の燃焼ピークの間隔Δtおよび燃焼ピークの高さ比Hp/Hmを挙げることができる。燃焼ピークの間隔Δtおよび燃焼ピークの高さ比Hp/Hmが急変しないことを狙いとして、図2のステップS126において各段の噴射量および噴射時期などの噴射パラメータを決定するようにしてもよい。
【0058】
[変形例]
(1) 前述した実施の形態においては、図2および図3等で示したように、エンジン11において、メイン一段燃焼方式とメイン二段燃焼方式とを切替えるようにした。しかし、これに限定されず、複数の燃焼方式を切替えるのであれば、どのような燃焼方式を切替えるものであってもよく、たとえば、3以上の複数の燃焼方式を切替えるようにしてもよいし、メイン一段燃焼方式に含まれる複数の燃焼方式を切替えるようにしてもよいし、メイン二段燃焼方式に含まれる複数の燃焼方式を切替えるようにしてもよい。
【0059】
(2) 前述した実施の形態においては、図2および図3等で示したように、切替前後の燃焼方式のすべての段について、噴射量および噴射時期などの噴射パラメータを徐変させるようにした。しかし、これに限定されず、噴射パラメータを徐変させる噴射の段は、1サイクルにおける少なくとも一部の段であってもよい。
【0060】
(3) 前述した実施の形態においては、図2および図3等で示したように、徐変させる噴射パラメータは、噴射量および噴射時期の2つであることとした。しかし、これに限定されず、徐変させる噴射パラメータは、他のパラメータであってもよく、3つ以上のパラメータであってもよく、また、噴射量および噴射時期の噴射パラメータのうちのいずれか1つであってもよい。
【0061】
(4) 前述した実施の形態においては、図4で示したように、切替期間において、噴射パラメータを線形的に増減させるようにした。しかし、これに限定されず、噴射パラメータを徐変させるのであれば、線形的でなく、非線形的に増減させるようにしてもよく、たとえば、図4の噴射パラメータのグラフで示すように折れ線状に変化させるではなく、曲線状に滑らかに変化させるようにしてもよいし、段階的に変化させるようにしてもよい。
【0062】
(5) 前述した実施の形態においては、メイン一段燃焼方式の噴射圧の制御範囲と比較して、メイン二段噴射燃焼の噴射圧の制御範囲は高いことを示した。両者の制御範囲の一部は重なり合っていてもよい。
【0063】
(6) 前述した実施の形態においては、図1で示したように、エンジン11が、ディーゼルエンジンであることとした。しかし、これに限定されず、エンジン11が、燃料の噴射圧を変化可能に構成されていればよく、ガソリンエンジンなど他の燃料を用いる内燃機関であってもよい。
【0064】
(7) 前述した開示を、エンジン11の制御装置100の開示と捉えることができる。また、前述した開示を、制御装置100を備えるエンジンシステム10または車両1の開示と捉えることができるし、制御装置100によって実行される制御方法または制御プログラムの開示と捉えることができる。
【0065】
[まとめ]
(1) 図1および図2で示したように、制御装置100は、エンジン11の制御装置である。図1で示したように、エンジン11は、制御された圧力で燃料を噴射する噴射システム(たとえば、燃料噴射装置13、燃料ポンプ14、コモンレール15、燃料タンク12および圧力センサ21で構成されるシステム)を備える。図2から図6で示したように、制御装置100は、エンジン11における複数の燃焼方式のいずれかに切替える場合、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射における各々の噴射時期を特定し(たとえば、ステップS113,ステップS114)、各サイクルにおいて算出された各々の噴射時期で燃料を複数段、噴射するよう噴射システムを制御し(たとえば、ステップS123,ステップS124,ステップS126)、燃焼方式の切替えの過渡期間には、複数段のうちの少なくともいずれかの段について、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射時期を、切替え前の燃焼方式の噴射時期から、切替え後の燃焼方式の噴射時期に徐変するように特定する(たとえば、ステップS125,ステップS126)。
【0066】
これにより、複数の燃焼方式の切替え時に燃焼騒音およびスモークの悪化を抑制することができる。また、噴射量を徐変するので、燃焼音の音色の変化も最小限に抑えることができ、燃焼音の音色の繋がりをよくすることができる。
【0067】
(2) 図2で示したように、制御装置100は、噴射時期を特定するときに、さらに、切替えた燃焼方式に応じた1サイクル当り複数段の燃料の噴射における各々の噴射量を特定し(たとえば、ステップS113,ステップS114)、噴射システムを制御するときに、さらに、各サイクルにおいて算出された各々の噴射量で燃料を複数段、噴射するよう制御し(たとえば、ステップS123,ステップS124,ステップS126)、燃焼方式の切替えの過渡期間には、さらに、切替え前後の燃焼方式において対応する段の噴射量を、切替え前の燃焼方式の噴射量から、切替え後の燃焼方式の噴射量に徐変するようにさらに特定する(たとえば、ステップS125,ステップS126)ようにしてもよい。
【0068】
これにより、複数の燃焼方式の切替え時に燃焼騒音およびスモークの悪化をさらに抑制することができる。また、噴射量を徐変するので、燃焼音の音色の変化も最小限に抑えることができ、燃焼音の音色の繋がりをさらによくすることができる。
【0069】
(3) 図2から図6で示したように、複数の燃焼方式は、第1の燃焼方式と、第2の燃焼方式とを含むようにしてもよい。図2および図4で示したように、第1の燃焼方式と第2の燃焼方式とでは、燃料の圧力の制御範囲が異なる。図2で示したように、制御装置100は、燃焼方式に応じた燃料の圧力とするよう噴射システムを制御し(たとえば、ステップS123,ステップS124,ステップS126)、第1の燃焼方式と第2の燃焼方式との切替えの過渡期間には、切替え後の燃料の圧力への追従遅れの度合いを算出し(たとえば、ステップS125)、切替え前後において対応する段の噴射時期を、算出した度合いに応じて徐変するように算出する(たとえば、ステップS126)ようにしてもよい。
【0070】
これにより、噴射圧の追従遅れの度合いに応じて、燃料の噴射時期を適切に徐変させることができる。
【0071】
(4) 図3で示したように、第1の燃焼方式(たとえば、メイン一段燃焼方式)では、1サイクルにおける複数段において特定段(たとえば、アフタ噴射の段)が存在し、第2の燃焼方式(たとえば、メイン二段燃焼方式)では、1サイクルにおける複数段において特定段が存在しない。図2および図3で示したように、制御装置100は、第2の燃焼方式の特定段が存在しない状態と、第1の燃焼方式の特定段が存在する状態との間で、算出した度合いに応じて特定段の噴射時期が徐変するよう算出する(たとえば、ステップS125,ステップS126)ようにしてもよい。これにより、特定段の噴射時期を適切に制御することができる。
【0072】
今回開示された各実施の形態は、適宜組合わせて実施することも予定されている。そして、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
1 車両、2 エアフローメータ、7 排気通路、8 吸気通路、10 エンジンシステム、11 エンジン、11a 気筒、11b ピストン、12 燃料タンク、13 燃料噴射装置、14 燃料ポンプ、15 コモンレール、16 吸気絞り弁、17 開度センサ、18 EGR通路、19 EGR弁、20 エンジン回転速度センサ、21 圧力センサ、22 アクセル開度センサ、100 制御装置、110 CPU、150 メモリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6