(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130576
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】顔認識装置、顔認識システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240920BHJP
G06V 40/60 20220101ALI20240920BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20240920BHJP
G06V 40/16 20220101ALI20240920BHJP
A61B 5/1171 20160101ALI20240920BHJP
H04N 23/611 20230101ALI20240920BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240920BHJP
【FI】
G06T7/00 660A
G06V40/60
G06T7/70 B
G06V40/16 A
G06T7/00 510F
G06V40/16 Z
A61B5/1171 200
H04N23/611
H04N23/60 500
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040397
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】古殿 龍弥
【テーマコード(参考)】
4C038
5B043
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
4C038VA07
4C038VB03
4C038VC05
5B043AA04
5B043AA09
5B043BA04
5B043DA05
5B043EA07
5B043EA08
5B043HA01
5B043HA05
5B043HA20
5C122EA42
5C122FD01
5C122FH07
5C122FH11
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5C122FK08
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB01
5C122HB05
5L096BA08
5L096BA18
5L096CA04
5L096CA15
5L096CA18
5L096DA02
5L096DA03
5L096FA09
5L096FA62
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA51
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】対象者に合わせて位置調整する可能な顔認識装置、顔認識システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】顔認識装置は、人物の顔を撮影して位置用画像を取得するように構成される第1カメラと、前記撮影された顔の位置用画像を表示するように構成される表示部と、前記表示部内の顔認識領域における前記位置用画像に基づいて、前記顔を撮影して、前記人物の特徴を示す特徴情報を取得するように構成される第2カメラと、前記表示部の中心部である基準部と、前記表示部に表示された前記顔のうちの有効顔領域の中心部である第1中心と、のずれを検出するように構成される検出部と、前記ずれに基づいて、顔認識装置の動きに関する装置動き信号を生成するように構成される信号生成部と、前記装置動き信号を出力するように構成される信号出力部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の人物の第1の顔を撮影して第1の位置用画像を取得するように構成される第1カメラと、
前記撮影された第1の顔の第1の位置用画像を表示するように構成される表示部と、
前記表示部内の顔認識領域における前記第1の位置用画像に基づいて、前記第1の顔を撮影して、前記第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得するように構成される第2カメラと、
前記表示部の中心部である基準部と、前記表示部に表示された前記第1の顔のうちの有効顔領域の中心部である第1中心と、の第1のずれを検出するように構成される検出部と、
前記第1のずれに基づいて、顔認識装置の動きに関する装置動き信号を生成するように構成される信号生成部と、
前記装置動き信号を出力するように構成される信号出力部と
を備える顔認識装置。
【請求項2】
前記装置動き信号は、前記顔認識装置の移動量と、移動方向と、動く角度との少なくとも1つを含む
請求項1に記載の顔認識装置。
【請求項3】
通知部をさらに備え、
前記検出部は、前記顔認識領域と、前記有効顔領域との重なりを検出するようにさらに構成され、
前記重なりに基づいて、前後方向と、水平方向と、高さ方向との少なくとも1つへの前記第1の人物の動きを促す人物動き信号を前記信号生成部は生成するように構成され、
前記通知部は、前記人物動き信号を通知するように構成される
請求項1に記載の顔認識装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記顔認識領域と、前記有効顔領域との重なりを検出するようにさらに構成され、
前記第1カメラは、前記重なりに基づいて、前記第1カメラが備えるレンズの焦点距離を変化させるように構成される
請求項1に記載の顔認識装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記顔認識領域と、前記有効顔領域との重なりを検出するようにさらに構成され、
前記表示部は、前記重なりに基づいて、前記第1の位置用画像を拡大又は縮小させるように構成される
請求項1に記載の顔認識装置。
【請求項6】
前記第2カメラは、赤外線センサを備えるサーマルカメラである
請求項1に記載の顔認識装置。
【請求項7】
前記第1カメラは、前記第1の人物と異なる1又は複数の第2の人物それぞれの1又は複数の第2の顔を撮影して第2の位置用画像を取得するようにさらに構成され、
前記表示部は、前記撮影された1又は複数の第2の顔それぞれの1又は複数の第2の位置用画像を表示するようにさらに構成され、
前記検出部は、前記基準部と、前記表示部に表示された前記1又は複数の第2の顔のうちの有効顔領域それぞれの中心部である1又は複数の第2中心と、の1又は複数の第2のずれを検出するようにさらに構成され、
前記信号生成部は、前記第1のずれが前記1又は複数の第2のずれのいずれより小さい場合、前記第1の人物についての前記装置動き信号を生成するように構成される
請求項1に記載の顔認識装置。
【請求項8】
前記第2カメラは前記第1カメラより高精細撮影が可能である
請求項1に記載の顔認識装置。
【請求項9】
前記有効顔領域は、前記第1の人物の2つの眉、2つの目、鼻及び口の少なくとも1つを含む領域である
請求項1に記載の顔認識装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の顔認識装置が移動可能に接続された支持部を備える
顔認識システム。
【請求項11】
顔認識装置によって実行される顔認識の方法であって、
第1の人物の第1の顔を撮影して第1の位置用画像を取得するステップと、
前記撮影された第1の顔の第1の位置用画像を表示するステップと、
前記顔認識装置に含まれる表示部内の顔認識領域における前記第1の位置用画像に基づいて、前記第1の顔を撮影して、前記第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得するステップと、
前記表示部の中心部である基準部と、前記表示部に表示された前記第1の顔のうちの有効顔領域の中心部である第1中心と、の第1のずれを検出するステップと、
前記第1のずれに基づいて、顔認識装置の動きに関する装置動き信号を生成するステップと、
前記装置動き信号を出力するステップと、を含む
方法。
【請求項12】
コンピュータに、
第1の人物の第1の顔を撮影して第1の位置用画像を取得するステップと、
撮影された第1の顔の第1の位置用画像を表示するステップと、
前記コンピュータに含まれる表示部内の顔認識領域における前記第1の位置用画像に基づいて、前記第1の顔を撮影して、前記第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得するステップと、
前記表示部の中心部である基準部と、前記表示部に表示された前記第1の顔のうちの有効顔領域の中心部である第1中心と、の第1のずれを検出するステップと、
前記第1のずれに基づいて、顔認識装置の動きに関する装置動き信号を生成するステップと、
前記装置動き信号を出力するステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、顔認識装置、顔認識システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、病院や店舗の入り口においてカメラ付き装置が設置されることが珍しくない、そのようなカメラ付き装置は、撮影対象の人物の顔の位置をその画面に合わせてその人物の体温を測定する機能を備える。入国審査において本人確認のため、パスポートの写真と、人物の顔とを照合するカメラ付き装置が設置されることもある。
【0003】
特許文献1において、対象物(例えば、人物又は顔等)が広角画像の中心にくるように、対象物を自動追尾して撮像することができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来のカメラ付き装置は固定の高さ、向きとなっており、人間が装置の高さに顔を合わせるのに時間がかかるケースがという課題があった。
【0006】
本開示は、対象者に合わせて位置調整する可能な顔認識装置、顔認識システム、方法及びプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る顔認識装置、顔認識システム、方法及びプログラムは、以下の構成を採用した。
【0008】
(1)この発明の一態様に係る顔認識装置は、第1の人物の第1の顔を撮影して第1の位置用画像を取得するように構成される第1カメラと、前記撮影された第1の顔の第1の位置用画像を表示するように構成される表示部と、前記表示部内の顔認識領域における前記第1の位置用画像に基づいて、前記第1の顔を撮影して、前記第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得するように構成される第2カメラと、前記表示部の中心部である基準部と、前記表示部に表示された前記第1の顔のうちの有効顔領域の中心部である第1中心と、の第1のずれを検出するように構成される検出部と、前記第1のずれに基づいて、顔認識装置の動きに関する装置動き信号を生成するように構成される信号生成部と、前記装置動き信号を出力するように構成される信号出力部とを備える。
【0009】
(2)この発明の一態様に係る方法は、顔認識装置によって実行される顔認識の方法であって、第1の人物の第1の顔を撮影して第1の位置用画像を取得するステップと、前記撮影された第1の顔の第1の位置用画像を表示するステップと、前記顔認識装置に含まれる表示部内の顔認識領域における前記第1の位置用画像に基づいて、前記第1の顔を撮影して、前記第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得するステップと、前記表示部の中心部である基準部と、前記表示部に表示された前記第1の顔のうちの有効顔領域の中心部である第1中心と、の第1のずれを検出するステップと、前記第1のずれに基づいて、顔認識装置の動きに関する装置動き信号を生成するステップと、前記装置動き信号を出力するステップとを含む。
【0010】
(3)この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、第1の人物の第1の顔を撮影して第1の位置用画像を取得するステップと、前記撮影された第1の顔の第1の位置用画像を表示するステップと、前記顔認識装置に含まれる表示部内の顔認識領域における前記第1の位置用画像に基づいて、前記第1の顔を撮影して、前記第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得するステップと、前記表示部の中心部である基準部と、前記表示部に表示された前記第1の顔のうちの有効顔領域の中心部である第1中心と、の第1のずれを検出するステップと、前記第1のずれに基づいて、顔認識装置の動きに関する装置動き信号を生成するステップと、前記装置動き信号を出力するステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
(1)から(3)によれば、顔の高さの位置が違うさまざまな利用者に適合できる顔認識装置、顔認識システム、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の第1実施形態における顔認識装置10の動作例を示す図である。
【
図2】本開示の第1実施形態における顔認識装置10の機能構成図である。
【
図3】本開示の第1実施形態における顔認識装置10に含まれる表示部13の構成例を示す図である。
【
図4】本開示の第1実施形態における有効顔領域31の一例を示す図である。
【
図5】本開示の第1実施形態における顔認識装置10の処理フローを示すフローチャートである。
【
図6】本開示の第2実施形態における顔認識装置10の機能構成図である。
【
図7】本開示の第2実施形態における顔認識装置10の動作例を示す図である。
【
図8】本開示の第2実施形態における顔認識装置10の動作例を示す図である。
【
図9】本開示の第2実施形態における顔認識装置10の処理フローを示すフローチャートである。
【
図10】本開示の第2実施形態における顔認識装置10の処理フローを示すフローチャートである。
【
図11】本開示の第3実施形態における顔認識装置10の動作例を示す図である。
【
図12】本開示の第3実施形態における顔認識装置10の処理フローを示すフローチャートである。
【
図13】本開示の第3実施形態における顔認識装置10の処理フローを示すフローチャートである。
【
図14】本開示の第4実施形態における顔認識システムの構成例を示す図である。
【
図15】本実施形態に係る各装置のハードウェア構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本開示の顔認識装置、顔認識システム、方法及びプログラムの実施形態について説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態における顔認識装置10の動作例を示す図である。
【0015】
顔認識装置10は、第1カメラ11、第2カメラ12及び表示部13を備えている。表示部13内には、さらに顔認識領域131が含まれている。顔認識装置10は支持部20に取り付けられている。顔認識装置10及び支持部20は顔認識システムSを構成している。なお、図示していないが、顔認識システムSは顔認識装置10の背後に顔認識装置角度制御部21及び顔認識装置可動部22を備え、顔認識装置角度制御部21及び顔認識装置可動部22により、顔認識装置10は支持部20に接続される。支持部20の例は支柱である。第2カメラ12は赤外線センサを備えており、第1カメラ11が検出した人物Jの体温を推定して表示部13に表示する。
図1において、人物Jはお年寄りであるとする。
【0016】
顔認識装置10については、支持部20への取り付け具合が調整可能となっている。顔認識装置10は、例えば、人物Jの背の高さに応じて、第1カメラ11及び第2カメラ12が撮影できる向きを適応可能なように構成されている。この機能は、顔認識装置10の背後において支柱(支持部20)に備え付けられている顔認識装置角度制御部21によって実現される。
【0017】
顔認識装置10は、例えば、人物Jの背の高さや顔の向きに応じて、第1カメラ11及び第2カメラ12が撮影できる高さを適応可能なように、その表示部13の面の方向(垂線方向)は調整可能に構成されている。この機能は、顔認識装置10の背後において支柱に備え付けられている顔認識装置角度制御部21及び顔認識装置可動部22の少なくとも1つによって実現される。顔認識装置角度制御部21及び顔認識装置可動部22については後述する。
【0018】
図1において、お年寄りの背は低く、顔認識装置10とお年寄りとの高さに差があるため、最初、第2カメラ12はお年寄りの顔を捉えることができず、お年寄りの体温を測ることもできなかった。顔認識装置10は、顔認識装置角度制御部21及び顔認識装置可動部22の少なくとも1つの機能により、その高さ及び向きの少なくとも1つを自律的に調整する。
【0019】
その結果、第2カメラ12は、お年寄りの顔面から発せられる赤外線を取得することによってお年寄りに負担をかけることなくお年寄りの体温を成功裏に測定している。表示部13はお年寄りの体温を「36.5℃」と表示している。
【0020】
図2は、本開示の第1実施形態における顔認識装置10の機能構成図である。
【0021】
顔認識装置10は、第1カメラ11、第2カメラ12、表示部13、検出部14、信号生成部15及び信号出力部16を備える。顔認識装置10はタブレット端末でもよいし、ラップトップPCでもよい。
【0022】
第1カメラ11は、第1カメラ11の被写体を検出する。本開示において第1カメラ11は、被写体たる人物の顔を撮影して、位置用画像を取得する。位置用画像は、被写体の人物の位置に応じて顔認識装置10の位置を適応制御するための画像である。
【0023】
第2カメラ12は、第1カメラ11によって撮影された画像と表示部13に表示されるその撮影画像に基づいて、被写体の人物の特徴を取得する。被写体の人物の特徴は、その人物の体温でもよいし、顔の画像でもよい。第2カメラ12によって撮影された顔の画像は、オフィスビル入り口における本人確認や入国ゲートにおける本人確認といった認証に用いられてもよい。第2カメラ12は第1カメラ11より高精細な画像を撮影可能なカメラでもよい。
【0024】
表示部13は表示素子である。表示部13は、例えば液晶ディスプレイでもよいし有機ELディスプレイでもよい。第1カメラ11及び第2カメラ12が撮影した画像を表示部13は表示する。表示部13の構成と機能は後述する。
【0025】
検出部14は、第1カメラ11により撮影された人物の顔の画像が表示部13の中心部分又はその近傍に表示されているか否かを検出する。検出部14の動作例の詳細は後述する。
【0026】
信号生成部15は、第2カメラ12による人物の撮影画像と検出部14による検出結果とに基づいて、動き信号を生成する。動き信号は、顔認識装置動き信号(装置動き信号)と人物動き信号とを含む。顔認識装置動き信号は、顔認識装置10の高さ及び向きの少なくとも1つを変化させるための信号である。
【0027】
顔認識装置動き信号は、例えば、「1段階高さを上げる」又は「1段階高さを下げる」という情報を示してもよいし、「10cm高さを上げる」又は「5cm高さを下げる」という具体的な距離と方向とを示してもよい。「1段階」は、例えば5cmでもよく、事前に設定されていてもよいし、準静的に設定されてもよい。顔認識装置動き信号は、「左方向に5度顔認識装置10を回転させる」又は「右方向に10度、下方向に5度、顔認識装置10を回転させる」という情報を示してもよい。
【0028】
人物動き信号は、第1カメラ11が撮影している人物に対して、1歩前進すること又は1歩後退することを促すことを示してもよいし、第1カメラ11が撮影している人物に対して顔を若干左、右、上及び下の少なくとも1つに向けることを促すことを示してもよい。
【0029】
信号出力部16は、信号生成部15が生成した動き信号を外部に出力する。信号出力部16は、顔認識装置動き信号を顔認識装置角度制御部21及び顔認識装置可動部22の少なくとも1つに出力してもよい。信号出力部16は、人物動き信号を表示部13に表示させてもよい。この場合、人物動き信号は、その内容をテキストで表すものでもよい。信号出力部16はスピーカーでもよく、人物動き信号を音声の形式で出力してもよい。
【0030】
図3は、本開示の第1実施形態における顔認識装置10に含まれる表示部13の構成例を示す図である。
【0031】
顔認識装置10の表面の外周部は縁となっており、第1カメラ11及び第2カメラ12が埋め込まれている。縁は無い構成でもよく、この場合、表示部13は顔認識装置10の画面全体を覆う構成となり、第1カメラ11及び第2カメラ12は表示部13に一体的に形成されてもよい。第1カメラ11及び第2カメラ12は顔認識装置10の表面のどこに配置されていてもよい。
【0032】
表示部13は顔認識領域131を含んでいる。顔認識領域131は、第1カメラ11が撮影する人物の顔の位置を検出部14が有効に認識する領域である。顔認識領域131は、表示部13上において実線又は点線によって表示されていてもよいしされていなくてもよいが、顔認識領域131は、表示部13上において表示されている方が人物の動きを補助する点で好ましい。
【0033】
基準部132は、顔認識領域131の中心部を示す領域である。
図3において、基準部132は、表示部13の中心部に基準部132は横方向に帯状に形成されている。基準部132は、顔認識領域131の座標上の中心を、基準部132の中心として含む帯状領域でもよい。この場合、基準部132の垂直方向(高さ方向)の幅は、顔認識領域131の高さの所定割合以下の長さでもよく、所定割合は5%でもよいし10%でもよいし、20%でもよい。所定割合が小さいほど、人物の特徴を第2カメラ12により認識する際の精度が上がる。
【0034】
基準部132の中心部基準部132はこの例に限られず、顔認識領域131の座標上の中心を、基準部132の座標上の中心として含む矩形領域でもよく、この場合、この矩形領域は顔認識領域131の面積の所定割合以下の領域でもよい。
【0035】
図4は、本開示の第1実施形態における有効顔領域31の一例を示す図である。
【0036】
有効顔領域31は、顔30のうちの特定の領域であり、中心32を含む。有効顔領域31は、第1カメラ11及び第2カメラ12が撮影する人物の顔の特徴的な部分である。有効顔領域31は一対の眉、一対の目、鼻及び口の少なくとも1つを含む領域でもよいし、さらに耳を含んでもよいし、さらに顎を含んでもよい。
【0037】
中心32は、有効顔領域31の座標的な中心部でもよく、この場合、中心32は、有効顔領域31を構成する矩形領域に含まれる2本の対角線の交点付近でもよい。中心32は、鼻頭でもよいし、鼻と上唇の間でもよいし、両目の中間付近の場所でもよい。第1カメラ11及び第2カメラ12が撮影する人物を第1の人物とすると、この人物については第1の顔及び第1中心が定義される。
【0038】
図5は、本開示の第1実施形態における顔認識装置10の処理フローを示すフローチャートである。
【0039】
ステップS101において、信号出力部16は、初期位置に動くことを指示する装置動き信号を顔認識装置角度制御部21及び顔認識装置可動部22の少なくとも1つに出力する。なお、この処理の後、顔認識装置角度制御部21及び顔認識装置可動部22の少なくとも1つは、顔認識装置10を初期位置に移動させ、及び/又は動かす。
【0040】
ステップS102において、検出部14は、第2カメラ12が第1の人物を検出したか否かを判定する。第1の人物が検出された場合、処理はステップS103に進み、そうでない場合、第1の人物を第2カメラ12及び検出部14が検出するまで処理はステップS102に留まる。
【0041】
ステップS103において、第1カメラ11は第1の人物の第1の顔を撮影し、第1の人物の第1の位置用画像を取得する。
【0042】
ステップS104において、表示部13は、第1カメラ11が撮影した第1の顔の第1の位置用画像を表示する。
【0043】
ステップS105において、検出部14は、表示部13の中心部である基準部132と、表示部13に表示された第1の顔のうちの有効顔領域の中心部である第1中心32との第1のずれを検出する。第1のずれは、表示部13上の距離でもよい。基準部132が
図3に示すように帯状の場合は、第1中心が基準部132内に含まれていれば第1のずれは0でよく、第1中心が基準部132内に含まれていなければ、第1のずれは、第1中心と帯の外縁との最短距離でもよい。
【0044】
ステップS106において、検出部14は、第1のずれが所定の閾値(例えば、第1の閾値)より小さいか否かを判定する。第1のずれが所定の閾値より小さい場合、処理はステップS107に進み、そうでない場合処理はステップS108に進む。所定の閾値は、表示部13上の距離でもよいし、表示部13のサイズに対する第1のずれの比でもよい。この場合、基準となる表示部13のサイズは、表示部13を構成する矩形に含まれる2本の対角線のうちの1本の距離でもよい。
【0045】
ステップS107において、第2カメラ12は、表示部13内の顔認識領域における第1の位置用画像に基づいて、第1の顔を撮影して、第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得する。第1の特徴情報は、第1の人物を一意に特定可能な程度に第1の人物の特徴を表す画像でもよいし、第1の人物の体温を表す情報でもよい。第1の人物の体温を表す情報は、第2カメラ12が備える赤外線センサにより取得される各波長の強度でもよい。この場合、表示部13は第1の人物の体温を表示してもよい。処理はその後終了する。
【0046】
ステップS108において、信号生成部15は、第1のずれに基づいて装置動き信号を生成する。装置動き信号は、第1の人物と顔認識装置10の高さの差が小さくなるように、顔認識装置10を移動させる信号である。代替的に、または追加的に、顔認識装置10の角度を変化させる場合、装置動き信号は顔認識装置10を上、下、左及び右の少なくとも1つに動かす角度を示してもよい。装置動き信号の示す具体的な内容については既に述べたとおりである。
【0047】
ステップS109において、信号出力部16は、顔認識装置角度制御部21及び顔認識装置可動部22の少なくとも1つに装置動き信号を出力する。その後処理はステップS102に遷移する。
【0048】
以上説明したように、本開示の第1実施形態に係る顔認識装置10は、第1の人物の第1の顔を撮影して第1の位置用画像を取得するように構成される第1カメラ11と、撮影された第1の顔の第1の位置用画像を表示するように構成される表示部13と、表示部13内の顔認識領域131における第1の位置用画像に基づいて、第1の顔を撮影して、第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得するように構成される第2カメラ12と、表示部13の中心部である基準部132と、表示部13に表示された第1の顔のうちの有効顔領域31の中心部である第1中心32と、の第1のずれを検出するように構成される検出部14と、第1のずれに基づいて、顔認識装置10の動きに関する装置動き信号を生成するように構成される信号生成部15と、装置動き信号を出力するように構成される信号出力部16とを備える。
【0049】
これにより、顔の高さの位置が違うさまざまな利用者に適合できる顔認識手段を提供することができる。
【0050】
また、装置動き信号は、顔認識装置10の移動量と、移動方向と、動く角度との少なくとも1つを含む。
【0051】
(第2実施形態)
図6は、本開示の第2実施形態における顔認識装置10の機能構成図である。
【0052】
顔認識装置10は、第1実施形態に加えて通知部17を備える。第2実施形態において、信号生成部15は人物動き信号を生成する。人物動き信号は、第1カメラ11及び第2カメラ12により撮影される第1の人物に対して顔認識装置10への前進又は顔認識装置10からの後退を促す情報を示す。人物動き信号は、さらに、水平方向と、高さ方向との少なくとも1つへの第1の人物の動きを促す情報を示してもよい。
【0053】
通知部17は、顔認識装置10が備えるスピーカーを介して、音声により人物動き信号を第1の人物に通知してもよいし、表示部13上にテキストメッセージとして表示することによって人物動き信号を第1の人物に通知してもよいし、表示部13上の何らかのアニメーションにより、人物動き信号を第1の人物に通知してもよい。
【0054】
図7は、本開示の第2実施形態における顔認識装置10の動作例を示す図である。
【0055】
図7において、顔認識領域131と有効顔領域31は重なっている。有効顔領域31は顔認識領域131より大きく、顔認識領域131そのものが重なりと等しい。この状態は、第1の人物の第1の顔と顔認識装置10との距離が近すぎる状態を示す。そこで、信号生成部15は、第1の人物に対して顔認識装置10からの後退を促す情報を示す人物動き信号を生成し、通知部17は音声によって「1歩離れてください」との通知を第1の人物に出力している。
【0056】
図8は、本開示の第2実施形態における顔認識装置10の動作例を示す図である。
【0057】
図8において、顔認識領域131と有効顔領域31との重なりは、顔認識領域131の面積より小さすぎる。この状態は、第1の人物の第1の顔と顔認識装置10との距離が遠すぎる状態を示す。そこで、信号生成部15は、第1の人物に対して顔認識装置10への前進を促す情報を示す人物動き信号を生成し、通知部17は、人物動き信号に基づき、テキストメッセージによって「1歩近寄ってください」との通知を、表示部13を介して第1の人物に出力している。
【0058】
図9及び10は、本開示の第2実施形態における顔認識装置10の処理フローを示すフローチャートである。
【0059】
ステップS1101からステップS1105までの処理は、ステップS101からステップS105の処理に対応する。
【0060】
ステップS1106において、検出部14は、第1のずれが第1の所定の閾値以下であるか否かを判定する。第1のずれが第1の所定の閾値以下である場合、処理はステップS1107に進み、そうでない場合、処理はステップS1108に進む。なお、第1の所定の閾値の内容は第1実施形態と同様である。
【0061】
ステップS1107において、検出部14は、顔認識領域131と有効顔領域31との重なり具合を検出する。
【0062】
ステップS1108及びステップS1110の処理はステップS108及びステップS109の処理に対応する。
【0063】
ステップS1109において、顔認識領域131より重なりが小さいかどうかを検出部14は検出する。顔認識領域131より重なりが小さい場合、処理はステップS1111に進む。そうでない場合、処理はステップS1112に進む。
【0064】
ステップS1111において、検出部14は、顔認識領域に対する重なりの比が第2の所定の閾値以上であるか否かを判定する。第2の所定の閾値以上の場合、処理はステップS1115に進み、そうでない場合、処理はステップS1113に進む。
【0065】
ステップS1112において、信号生成部15は、顔認識装置10から離れることを促す人物動き信号を生成し、処理はステップS1114に進む。
【0066】
ステップS1113において、信号生成部15は、顔認識装置10に近づくことを促す人物動き信号を生成する。処理はステップS1114に進む。
【0067】
ステップS1114において、通知部17は、人物動き信号を通知する。通知の態様は既述の通りである。
【0068】
図10に移り、ステップS1115において、検出部14は、表示部13上に表示された第1の人物の顔の画像に基づいて、既知のアルゴリズムないしエンジンを用いて第1の人物の顔の向きを取得する。既知のアルゴリズムないしエンジンは、撮影画像に含まれる顔のパーツとそれらの位置関係により、顔を認識してもよい。
【0069】
人の顔を構成するパーツは、髪の毛、2つの眉、睫毛、両目、両耳、鼻、髭及び口を含むが、顔の形状、各パーツの形状、パーツ間の位置関係には一定のパターンが存在する。そこで、例えば、既知のアルゴリズムないしエンジンは、撮影画像に含まれる髪の毛と、少なくとも1つの眉と、睫毛と、少なくとも1つの目と、少なくとも1つの耳と、鼻と、髭と、口と、の少なくとも1つ若しくはそれらの位置関係又は大きさに基づいて、人物の顔及び顔の向きを認識してもよい。既知のアルゴリズムないしエンジンは、撮影画像に含まれる顔のパーツ各々を構成する複数の座標と、それらの位置関係とについての複数のサンプルを教師データとする機械学習により生成された学習済モデルに基づいて、撮影画像から人物の顔及び顔の向きを推定してもよい。
【0070】
また、人物の顔の向きを推定するための学習済モデルは、人物の顔についての撮影画像を入力として、人物の顔の領域の向きを出力とする教師データに基づいていてもよいし、これらに限らず、市場において入手可能な任意のモデルでもよい。機械学習は、多層構造、例えば3層以上のニューラルネットワークを用いた機械学習である深層学習でもよい。多層構造のニューラルネットワークとして、例えば、畳み込みニューラルネットワークが用いられてもよい。
【0071】
ステップS1116において、検出部14は、第1の人物の顔の向きが正面か否かを判定する。正面の場合、処理はステップS1117に進み、そうでない場合処理はステップS1118に進む。
【0072】
ステップS1117の処理はステップS107の処理に対応する。つまり、第2カメラ12は、表示部13内の顔認識領域における第1の位置用画像に基づいて、第1の顔を撮影して、第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得する。
【0073】
ステップS1118において、信号生成部15は、装置動き信号を生成する。装置動き信号は、第1の人物の顔の正面の向きに顔認識装置10、特に、第2カメラ12を正対させるように、顔認識装置10を動かす角度を示す。
【0074】
ステップS1119において、信号出力部16は、装置動き信号を顔認識装置角度制御部21に出力する。これにより、顔認識装置角度制御部21は顔認識装置10の向きを第1の人物の顔の正面に対して正対させるように顔認識装置10を動かす。
【0075】
ステップS1120において、検出部14は、内蔵するタイマを起動させる。このタイマは、顔認識装置10が装置動き信号に基づく動きを完了させるために十分な時間に設定される。
【0076】
ステップS1121において、タイマが満了すると処理はステップS1122に進む。
【0077】
ステップS1122において、検出部14は、第1カメラ11が第1の人物の顔を検出したか否かを判定する。第1の人物の顔が検出された場合処理はステップS1115に進み、そうでない場合、処理は「START」に戻る。
【0078】
以上説明したように、本開示の第2実施形態に係る顔認識装置10は、通知部17をさらに備え、検出部14は、顔認識領域131と、有効顔領域31との重なりを検出するようにさらに構成され、重なりに基づいて、前後方向と、水平方向と、高さ方向との少なくとも1つへの第1の人物の動きを促す人物動き信号を信号生成部15は生成するように構成され、通知部17は、人物動き信号を通知するように構成される。
【0079】
また、顔認識装置10の検出部17は、顔認識領域131と、有効顔領域31との重なりを検出するようにさらに構成され、第1カメラ11は、重なりに基づいて、第1カメラ11が備えるレンズの焦点距離を変化させるように構成される。つまり、第1カメラ11は、第1の人物と顔認識装置10との距離に応じて、第1カメラ11の光学ズーム機能を調節する。
【0080】
また、顔認識装置10の検出部17は、顔認識領域131と、有効顔領域31との重なりを検出するようにさらに構成され、表示部13は、重なりに基づいて、第1の位置用画像を拡大又は縮小させるように構成される。つまり、表示部13は、第1の人物と顔認識装置10との距離に応じて、第1カメラ11のデジタルズーム機能を調節する。
【0081】
これにより、顔の高さの位置が違うさまざまな利用者に適合できる顔認識手段を、被写体たる人物とインタラクティブな態様により提供することができる。
【0082】
(第3実施形態)
図11は、本開示の第3実施形態における顔認識装置10の動作例を示す図である。
【0083】
図11において、表示部13は顔認識領域131に第1の顔30a及び第2の顔30bを表示している。つまり、顔認識装置10付近に2人の人物がいて、第1カメラ11が2人の人物それぞれの顔を検出している。顔認識領域131において、第1の顔30aは第2の顔30bより基準部132に近いことがわかる。本実施形態において、顔認識領域131に複数の人物の顔が表示される場合に、検出部14は、基準部132に近い方の顔を優先して検出し、検出された顔について第2カメラ12は特徴情報を取得するように構成される。
【0084】
図12及び13は、本開示の第3実施形態における顔認識装置10の処理フローを示すフローチャートである。
【0085】
ステップS2101及びステップS2102の処理はステップS101及びステップS102の処理に対応する。
【0086】
ステップS2103において、第1カメラ11は人物の顔を撮影し、位置用画像を取得する。この場合、第1カメラ11は複数の人物の顔を撮影することがある。
【0087】
ステップS2104において、表示部13は、撮影された顔の位置用画像を表示する。この場合、表示部13は複数の顔を撮影することがある。
【0088】
ステップS2105において、検出部14は、表示部13に表示された顔が2以上か否かを判定する。表示部13に表示された顔が2以上の場合、処理はステップS2106に進み、そうでない場合処理はステップS2107に進む。
【0089】
ステップS2106において、検出部14は、表示部13に表示された全ての顔のそれぞれについて、有効顔領域31の中心部と表示部13の基準部132とのずれを検出する。
【0090】
ステップS2107の処理はステップS105の処理に対応する。つまり、検出部14は、表示部13の中心部である基準部132と、表示部13に表示された第1の顔のうちの有効顔領域の中心部である第1中心32との第1のずれを検出する。
【0091】
ステップS2108において、検出部14は、表示部13に表示された全ての顔のうち、有効顔領域31の中心部と表示部13の基準部132とのずれがもっとも小さい顔を「第1の顔」として特定する。つまり、特定された「第1の顔」は、第2カメラ12によって人物の特徴を取得する対象として特定された顔である。
【0092】
ステップS2109の処理はステップS106の処理に対応する。つまり、検出部14は、第1のずれが所定の閾値(例えば、第1の閾値)より小さいか否かを判定する。第1のずれが所定の閾値より小さい場合、処理はステップS2110に進み、そうでない場合処理はステップS2111に進む。
【0093】
ステップS2110の処理はステップS1109の処理に対応する。つまり、顔認識領域131より重なりが小さいかどうかを検出部14は検出する。顔認識領域131より重なりが小さい場合、処理はステップS2114に進む。そうでない場合、処理はステップS2115に進む。
【0094】
ステップS2111の処理は、ステップS108の処理に対応する。つまり、信号生成部15は、第1のずれに基づいて装置動き信号を生成する。
【0095】
ステップS2112の処理は、ステップS1109の処理に対応する。つまり、顔認識領域131より重なりが小さいかどうかを検出部14は検出する。顔認識領域131より重なりが小さい場合、処理はステップS2114に進む。そうでない場合、処理はステップS2115に進む。
【0096】
ステップS2113の処理は、ステップS109の処理に対応する。つまり、信号出力部16は、顔認識装置角度制御部21及び顔認識装置可動部22の少なくとも1つに装置動き信号を出力する。処理はその後ステップS2102に遷移する。
【0097】
図13に移り、ステップS2114の処理はステップS1111の処理に対応する。つまり、検出部14は、顔認識領域に対する重なりの比が第2の所定の閾値以上であるか否かを判定する。重なりの比が第2の所定の閾値以上の場合、処理はステップS2116に進み、そうでない場合、処理はステップS2117に進む。
【0098】
ステップS2115の処理は、ステップS1112の処理に対応する。つまり、信号生成部15は、顔認識装置10から離れることを促す人物動き信号を生成し、処理はステップS2118に進む。
【0099】
ステップS2116の処理はステップS1115の処理に対応する。つまり、検出部14は、表示部13上に表示された第1の人物の画像に基づいて、既知のアルゴリズムないしエンジンを用いて第1の人物の顔の向きを取得する。処理はステップS2119に進む。
【0100】
ステップS2117の処理はステップS1113の処理に対応する。つまり、信号生成部15は、顔認識装置10に近づくことを促す人物動き信号を生成する。処理はステップS2118に進む。
【0101】
ステップS2118の処理はステップS1114の処理に対応する。つまり、通知部17は、人物動き信号を通知する。通知の態様は既述の通りである。処理はステップS2102に遷移する。
【0102】
ステップS2119の処理はステップS1116の処理に対応する。つまり、検出部14は、第1の人物の顔の向きが正面か否かを判定する。正面の場合、処理はステップS2120に進み、そうでない場合処理はステップS2121に進む。
【0103】
ステップS2120の処理はステップS1117の処理に対応する。つまり、つまり、第2カメラ12は、表示部13内の顔認識領域における第1の位置用画像に基づいて、第1の顔を撮影して、第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得する。処理はその後終了する。
【0104】
ステップS2121からステップS2125の処理は、ステップS1118からステップS1122の処理に対応する。
【0105】
ステップS2121において、信号生成部15は、装置動き信号を生成する。装置動き信号は、第1の人物の第1の顔の正面の向きに顔認識装置10、特に、第2カメラ12を正対させるように、顔認識装置10を動かす角度を示す。
【0106】
ステップS2122において、信号出力部16は、装置動き信号を顔認識装置角度制御部21に出力する。これにより、顔認識装置角度制御部21は顔認識装置10の向きを第1の人物の第1の顔の正面の向きに対して正対させるように顔認識装置10を動かす。
【0107】
ステップS2123において、検出部14は、内蔵するタイマを起動させる。
【0108】
ステップS2124において、タイマが満了すると処理はステップS2125に進む。
【0109】
ステップS2125において、検出部14は、第1カメラ11が第1の人物の顔を検出したか否かを判定する。第1の人物の顔が検出された場合処理はステップS2116に進み、そうでない場合、処理は「START」に戻る。
【0110】
なお、本実施形態において、第2の顔は複数でもよい。つまり、第2カメラ12は複数のだい2の人物の顔を撮影してもよい。例えば、第2の顔30bの他に、第2の顔30cがあってもよい。この場合、第1カメラ11は、複数の第2の人物それぞれの第2の顔を撮影して複数の第2の位置用画像を取得してもよい。表示部13は、撮影された複数の第2の顔のそれぞれの第2の位置用画像を表示してもよい。
【0111】
検出部14は、基準部132と、表示部13に表示された複数の第2の顔のうちの有効顔領域それぞれの中心部である複数の第2中心と、の複数の第2のずれを検出してもよい。信号生成部15は、第1のずれが複数の第2のずれのいずれより小さい場合、第1の人物についての装置動き信号を生成してもよい。
【0112】
以上説明したように、本実施形態に係る顔認識装置10において、第1カメラ11は、第1の人物と異なる1又は複数の第2の人物それぞれの1又は複数の第2の顔を撮影して第2の位置用画像を取得するようにさらに構成され、表示部13は、撮影された1又は複数の第2の顔それぞれの1又は複数の第2の位置用画像を表示するようにさらに構成され、検出部14は、基準部132と、表示部13に表示された1又は複数の第2の顔のうちの有効顔領域それぞれの中心部である1又は複数の第2中心と、の1又は複数の第2のずれを検出するようにさらに構成され、信号生成部15は、第1のずれが1又は複数の第2のずれのいずれより小さい場合、第1の人物についての装置動き信号を生成するように構成される。
【0113】
これにより、表示部13に複数の人物の顔が表示された場合であっても、基準部132に最も近く表示された顔について第2カメラ12はその特徴情報を取得することができ、顔の高さの位置が違うさまざまな利用者に適合できる顔認識手段を、被写体たる人物とインタラクティブな態様により提供することができる。
【0114】
(第4実施形態)
図14は、本開示の第4実施形態における顔認識システムSの構成例を示す図である。
【0115】
図14左側は、顔認識システムSの正面図であり、
図14右側は、顔認識システムSの側面図である。
【0116】
顔認識システムSは顔認識装置10、支持部20、顔認識装置角度制御部21及び顔認識装置可動部22を備える。
【0117】
顔認識装置角度制御部21により、顔認識装置10は垂直方向及び水平方向の少なくとも1つの角度調整が可能になる。水平方向の角度調整は、人物が顔認識装置10と正対していない場合、人物の位置に顔認識装置10、特に第1カメラ11及び第2カメラ12の向きをその人物の顔の方向に向ける調整である。
【0118】
垂直方向の角度調整は、人物の顔の高さと顔認識装置10の高さとが合っていない場合に、顔認識装置10の角度を変化させることにより、人物の顔と顔認識装置10とが正対するように制御する調整である。
【0119】
顔認識装置可動部22は、顔認識装置10の高さそのものを変化させる。
【0120】
顔認識装置角度制御部21及び顔認識装置可動部22の制御粒度は任意である。例えば、顔認識装置角度制御部21は、信号出力部16からの装置動き信号に基づいて、1回の制御で5度ごと角度調整してもよい。信号生成部15は、人物の顔と顔認識装置10の向きとのずれに応じた角度を適宜生成してもよい。
【0121】
顔認識装置可動部22は、信号出力部16からの装置動き信号に基づいて、1回の制御で5cmあるいは10cmごと高さ調整してもよいし、信号生成部15は、人物の第1中心と基準部132とのずれに応じて、ずれに対応する距離を示す装置動き信号を生成してもよい。
【0122】
図15は、本実施形態に係る各装置のハードウェア構成を説明する説明図である。顔認識装置10は、入出力モジュールI、記憶モジュールM、及び制御モジュールPを含んで構成される。入出力モジュールIは、通信モジュールH11、接続モジュールH12、ポインティングデバイスH21、キーボードH22、ディスプレイH23、ボタンH3、マイクH41、スピーカーH42、カメラH51、又はセンサH52の一部或いは全部を含んで実現される。
【0123】
記憶モジュールMは、ドライブH7を含んで実現される。記憶モジュールMは、さらに、メモリH8の一部或いは全部を含んで構成されてもよい。制御モジュールPは、メモリH8及びプロセッサH9を含んで実現される。これらのハードウェア構成要素は、バス(Bus)を介して、相互に通信可能に接続されるとともに、電源H6から電力を供給されている。
【0124】
接続モジュールH12は、USB(Universal Seriul Bus)等のデジタル入出力ポートである。携帯機器の場合、ポインティングデバイスH21、キーボードH22、及びディスプレイH23は、タッチパネルである。センサH52は、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPS受信モジュール、近接センサ等である。電源H6は、各装置を動かすために必要な電気を供給する電源ユニットである。携帯機器の場合、電源H6は、バッテリーである。
【0125】
ドライブH7は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等の補助記憶媒体である。ドライブH7は、EEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、又は、光磁気ディスクドライブやフレキシブルディスクドライブであってもよい。また、ドライブH7は、例えば、各装置に内蔵されるものに限らず、IFモジュールH12のコネクタに接続された外付け型の記憶装置でもよい。
【0126】
メモリH8は、ランダムアクセスメモリ等の主記憶媒体である。なお、メモリH8は、キャッシュメモリであってもよい。メモリH8は、一又は複数のプロセッサH9によって命令が実行されるときに、これらの命令を格納する。プロセッサH9は、CPU(中央演算装置)である。プロセッサH9は、MPU(マイクロプロセッシングユニット)又はGPU(グラフィックスプロセッシングユニット)であってもよい。プロセッサH9は、メモリH8を介してドライブH7から、プログラム及び各種データを読み出して演算を行うことで、一又は複数のメモリH8に格納した命令を実行する。
【0127】
入出力モジュールIは、表示部13、信号出力部16及び通知部17を実現する。
【0128】
制御モジュールPは、検出部14及び信号生成部15を実現する。
【0129】
以上、この発明の一態様として各実施形態や変形例に関して図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は各実施形態や変形例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、本開示の一態様は、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態や変形例に記載された要素であり、同様の効果を奏する要素同士を置換した構成も含まれる。
【0130】
例えば、上記各実施形態の一部又は全部を組み合わせることで本開示の一態様を実現してもよい。
【0131】
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0132】
(付記1)
第1の人物の第1の顔を撮影して第1の位置用画像を取得するように構成される第1カメラと、
前記撮影された第1の顔の第1の位置用画像を表示するように構成される表示部と、
前記表示部内の顔認識領域における前記第1の位置用画像に基づいて、前記第1の顔を撮影して、前記第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得するように構成される第2カメラと、
前記表示部の中心部である基準部と、前記表示部に表示された前記第1の顔のうちの有効顔領域の中心部である第1中心と、の第1のずれを検出するように構成される検出部と、
前記第1のずれに基づいて、顔認識装置の動きに関する装置動き信号を生成するように構成される信号生成部と、
前記装置動き信号を出力するように構成される信号出力部と
を備える顔認識装置。
【0133】
(付記2)
前記装置動き信号は、前記顔認識装置の移動量と、移動方向と、動く角度との少なくとも1つを含む
付記1に記載の顔認識装置。
【0134】
(付記3)
通知部をさらに備え、
前記検出部は、前記顔認識領域と、前記有効顔領域との重なりを検出するようにさらに構成され、
前記重なりに基づいて、前後方向と、水平方向と、高さ方向との少なくとも1つへの前記第1の人物の動きを促す人物動き信号を前記信号生成部は生成するように構成され、
前記通知部は、前記人物動き信号を通知するように構成される
付記1又は2に記載の顔認識装置。
【0135】
(付記4)
前記検出部は、前記顔認識領域と、前記有効顔領域との重なりを検出するようにさらに構成され、
前記第1カメラは、前記重なりに基づいて、前記第1カメラが備えるレンズの焦点距離を変化させるように構成される
付記1から3のいずれかに一記載の顔認識装置。
【0136】
(付記5)
前記検出部は、前記顔認識領域と、前記有効顔領域との重なりを検出するようにさらに構成され、
前記表示部は、前記重なりに基づいて、前記第1の位置用画像を拡大又は縮小させるように構成される
付記1から4のいずれか一に記載の顔認識装置。
【0137】
(付記6)
前記第2カメラは、赤外線センサを備えるサーマルカメラである
付記1から5のいずれか一に記載の顔認識装置。
【0138】
(付記7)
前記第1カメラは、前記第1の人物と異なる1又は複数の第2の人物それぞれの1又は複数の第2の顔を撮影して第2の位置用画像を取得するようにさらに構成され、
前記表示部は、前記撮影された1又は複数の第2の顔それぞれの1又は複数の第2の位置用画像を表示するようにさらに構成され、
前記検出部は、前記基準部と、前記表示部に表示された前記1又は複数の第2の顔のうちの有効顔領域それぞれの中心部である1又は複数の第2中心と、の1又は複数の第2のずれを検出するようにさらに構成され、
前記信号生成部は、前記第1のずれが前記1又は複数の第2のずれのいずれより小さい場合、前記第1の人物についての前記装置動き信号を生成するように構成される
付記1から6のいずれか一に記載の顔認識装置。
【0139】
(付記8)
前記第2カメラは前記第1カメラより高精細撮影が可能である
付記1から7のいずれか一に記載の顔認識装置。
【0140】
(付記9)
前記有効顔領域は、前記第1の人物の2つの眉、2つの目、鼻及び口の少なくとも1つを含む領域である
付記1から8のいずれか一に記載の顔認識装置。
【0141】
(付記10)
付記1から9のいずれか一に記載の顔認識装置が移動可能に接続された支持部を備える
顔認識システム。
【0142】
(付記11)
顔認識装置によって実行される顔認識の方法であって、
第1の人物の第1の顔を撮影して第1の位置用画像を取得するステップと、
前記撮影された第1の顔の第1の位置用画像を表示するステップと、
前記顔認識装置に含まれる表示部内の顔認識領域における前記第1の位置用画像に基づいて、前記第1の顔を撮影して、前記第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得するステップと、
前記表示部の中心部である基準部と、前記表示部に表示された前記第1の顔のうちの有効顔領域の中心部である第1中心と、の第1のずれを検出するステップと、
前記第1のずれに基づいて、顔認識装置の動きに関する装置動き信号を生成するステップと、
前記装置動き信号を出力するステップと、を含む
方法。
【0143】
(付記12)
コンピュータに、
第1の人物の第1の顔を撮影して第1の位置用画像を取得するステップと、
撮影された第1の顔の第1の位置用画像を表示するステップと、
前記コンピュータに含まれる表示部内の顔認識領域における前記第1の位置用画像に基づいて、前記第1の顔を撮影して、前記第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得するステップと、
前記表示部の中心部である基準部と、前記表示部に表示された前記第1の顔のうちの有効顔領域の中心部である第1中心と、の第1のずれを検出するステップと、
前記第1のずれに基づいて、顔認識装置の動きに関する装置動き信号を生成するステップと、
前記装置動き信号を出力するステップと
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0144】
10…顔認識装置、11…第1カメラ、12…第2カメラ、13…表示部、14…検出部、15…信号生成部、16…信号出力部、17…通知部
【手続補正書】
【提出日】2024-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の人物の第1の顔を撮影して第1の位置用画像を取得するように構成される第1カメラと、
前記撮影された第1の顔の第1の位置用画像を表示するように構成される表示部と、 前記表示部内の顔認識領域における前記第1の位置用画像に基づいて、前記第1の顔を撮影して、前記第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得するように構成される第2カメラと、
前記表示部の中心部である基準部と、前記表示部に表示された前記第1の顔のうちの有効顔領域の中心部である第1中心と、の第1のずれを検出するように構成される検出部と、
前記第1のずれに基づいて、顔認識装置の動きに関する装置動き信号を生成するように構成される信号生成部と、
前記装置動き信号を出力するように構成される信号出力部と
を備える顔認識装置。
【請求項2】
前記装置動き信号は、前記顔認識装置の移動量と、移動方向と、動く角度との少なくとも1つを含む
請求項1に記載の顔認識装置。
【請求項3】
通知部をさらに備え、
前記検出部は、前記顔認識領域と、前記有効顔領域との重なりを検出するようにさらに構成され、
前記重なりに基づいて、前後方向と、水平方向と、高さ方向との少なくとも1つへの前記第1の人物の動きを促す人物動き信号を前記信号生成部は生成するように構成され、 前記通知部は、前記人物動き信号を通知するように構成される
請求項1に記載の顔認識装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記顔認識領域と、前記有効顔領域との重なりを検出するようにさらに構成され、
前記第1カメラは、前記重なりに基づいて、前記第1カメラが備えるレンズの焦点距離を変化させるように構成される
請求項1に記載の顔認識装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記顔認識領域と、前記有効顔領域との重なりを検出するようにさらに構成され、
前記表示部は、前記重なりに基づいて、前記第1の位置用画像を拡大又は縮小させるように構成される
請求項1に記載の顔認識装置。
【請求項6】
前記第2カメラは、赤外線センサを備えるサーマルカメラである
請求項1に記載の顔認識装置。
【請求項7】
前記第1カメラは、前記第1の人物と異なる1又は複数の第2の人物それぞれの1又は複数の第2の顔を撮影して第2の位置用画像を取得するようにさらに構成され、
前記表示部は、前記撮影された1又は複数の第2の顔それぞれの1又は複数の第2の位置用画像を表示するようにさらに構成され、
前記検出部は、前記基準部と、前記表示部に表示された前記1又は複数の第2の顔のうちの有効顔領域それぞれの中心部である1又は複数の第2中心と、の1又は複数の第2のずれを検出するようにさらに構成され、
前記信号生成部は、前記第1のずれが前記1又は複数の第2のずれのいずれより小さい場合、前記第1の人物についての前記装置動き信号を生成するように構成される
請求項1に記載の顔認識装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の顔認識装置が移動可能に接続された支持部を備える
顔認識システム。
【請求項9】
顔認識装置によって実行される顔認識の方法であって、
第1の人物の第1の顔を撮影して第1の位置用画像を取得するステップと、
前記撮影された第1の顔の第1の位置用画像を表示するステップと、
前記顔認識装置に含まれる表示部内の顔認識領域における前記第1の位置用画像に基づいて、前記第1の顔を撮影して、前記第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得するステップと、
前記表示部の中心部である基準部と、前記表示部に表示された前記第1の顔のうちの有効顔領域の中心部である第1中心と、の第1のずれを検出するステップと、
前記第1のずれに基づいて、顔認識装置の動きに関する装置動き信号を生成するステップと、
前記装置動き信号を出力するステップと、を含む
方法。
【請求項10】
コンピュータに、
第1の人物の第1の顔を撮影して第1の位置用画像を取得するステップと、
撮影された第1の顔の第1の位置用画像を表示するステップと、
前記コンピュータに含まれる表示部内の顔認識領域における前記第1の位置用画像に基づいて、前記第1の顔を撮影して、前記第1の人物の特徴を示す第1の特徴情報を取得するステップと、
前記表示部の中心部である基準部と、前記表示部に表示された前記第1の顔のうちの有効顔領域の中心部である第1中心と、の第1のずれを検出するステップと、
前記第1のずれに基づいて、顔認識装置の動きに関する装置動き信号を生成するステップと、
前記装置動き信号を出力するステップと
を実行させるためのプログラム。