(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130581
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】光電センサ
(51)【国際特許分類】
H01H 35/00 20060101AFI20240920BHJP
H01H 9/18 20060101ALI20240920BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20240920BHJP
G06F 3/04847 20220101ALI20240920BHJP
【FI】
H01H35/00 V
H01H9/18 B
G06F3/0481
G06F3/04847
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040404
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 潤平
【テーマコード(参考)】
5E555
5G052
5G055
【Fターム(参考)】
5E555AA26
5E555AA76
5E555BA21
5E555BB21
5E555BC13
5E555CA17
5E555CA41
5E555CB20
5E555CC01
5E555DA13
5E555DB41
5E555DC13
5E555DD06
5E555EA09
5E555FA00
5G052AA23
5G052JA03
5G052JA09
5G052JB05
5G055AA04
5G055AA10
5G055AB03
5G055AC01
(57)【要約】
【課題】光軸を目視しながら操作しやすい光電センサを提供する。
【解決手段】光を投光可能な投光部2を備えた光電センサ1は、光電センサ1の設定を変更可能な操作部40と、操作部40によって変更された光電センサ1の設定に関する情報を文字列ABCとして表示可能な表示部20と、を更に備えている。投光部2の光軸Pに直交する直交方向Zから見たとき、表示部20は、文字列ABCの天地である縦方向Vが光軸Pを延長した仮想線Qと平行になるように配置され、かつ、操作部40は、仮想線Qと重畳するように配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を投光可能な投光部を備えた光電センサであって、
前記光電センサの設定を変更可能な操作部と、
前記操作部によって変更された前記光電センサの設定に関する情報を文字列として表示可能な表示部と、を更に備え、
前記投光部の光軸に直交する直交方向から見たとき、前記表示部は、前記文字列の天地である縦方向が前記光軸を延長した仮想線と平行になるように配置され、かつ、前記操作部は、前記仮想線と重畳するように配置されている、
光電センサ。
【請求項2】
電源のオンオフ状態及び/又はワークの検知状態を報知可能な表示灯を更に備え、
前記直交方向から見たとき、前記表示灯は、前記仮想線と重畳するように配置されている、
請求項1に記載の光電センサ。
【請求項3】
前記投光部が投光した光の当たったスポットの形状を変更可能なトリマを更に備え、
前記直交方向から見たとき、前記トリマは、前記仮想線と重畳するように配置されている、
請求項1に記載の光電センサ。
【請求項4】
前記直交方向から見たとき、前記文字列は、複数の文字が左から右への横方向に並べられる左横書きである、
請求項1に記載の光電センサ。
【請求項5】
前記光電センサは、前記投光部が投光した光の反射光を受光部が受光するまでの時間に基づいて距離を測定するTOFセンサである、
請求項1に記載の光電センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
光電センサは、投光部及び受光部を備え、投光部から投光された光が対象物に反射された反射光を受光部で受光し、ワークとの距離を測定したりワークの有無を検出したりすることができる。光電センサを使用する前には、作業者が、投光部の光軸を目視しながら決められたボタン操作を行ってティーチングを実行する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボタン操作の結果は、7セグメントLEDやドットマトリクス方式等の表示部に表示される。左横書きの文字列を表示する表示部は、横長になりがちである。扁平な筐体の天面や背面に配置された表示部には、光軸に対して傾いた向きの文字列が表示されていた。
図5及び
図6に示す従来の配置では、文字列の正面に立つと光軸を目視しにくかったり、光軸を目視しながらだと文字列を視認しにくかったりすることがあった。
【0005】
そこで、本発明は、光軸を目視しながら操作しやすい光電センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、光を投光可能な投光部を備えた光電センサであって、光電センサの設定を変更可能な操作部と、操作部によって変更された光電センサの設定に関する情報を文字列として表示可能な表示部と、を更に備えている。投光部の光軸に直交する直交方向から見たとき、表示部は、文字列の天地である縦方向が光軸を延長した仮想線と平行になるように配置され、かつ、操作部は、仮想線と重畳するように配置されている。
【0007】
この態様によれば、光軸の延長上に操作部が配置されているため、作業者が光軸を目視しながら操作部を操作しやすい。文字列の縦方向が光軸を延長した仮想線と平行であるため、操作部によって変更された設定の文字列を作業者が視認しやすい。
【0008】
上記態様において、電源オンオフ状態及び/又はワークの検知状態を報知可能な表示灯を更に備え、直交方向から見たとき、表示灯は、仮想線と重畳するように配置されていてもよい。
【0009】
この態様によれば、仮想線に沿って作業者が視線を移動すれば光電センサの状態を報知する表示灯を視認できるため、作業者が更に作業しやすい。
【0010】
上記態様において、投光部が投光した光の当たったスポットの形状を変更可能なトリマを更に備え、直交方向から見たとき、トリマは、仮想線と重畳するように配置されていてもよい。
【0011】
この態様によれば、光軸の延長上にトリマが配置されているため、作業者が光軸を目視しながらトリマを操作しやすい。
【0012】
上記態様において、直交方向から見たとき、文字列は、複数の文字が左から右への横方向に並べられる左横書きであってもよい。
【0013】
この態様によれば、広く使われている左横書きで文字列を表示するため、作業者が違和感なく操作しやすい。
【0014】
上記態様において、光電センサは、前記投光部が投光した光の反射光を前記受光部が受光するまでの時間に基づいて距離を測定するTOFセンサであってもよい。
【0015】
TOFセンサは、受光部が大きく筐体が横方向に大きいため、横長の表示部に好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光軸を目視しながら操作しやすい光電センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態の光電センサの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された光電センサの投光部及び受光部を示す正面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示された光電センサを直交方向の一例である上下方向から見た平面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示された光電センサの天面及び背面を模式的に示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図4との対比のために示す従来の光電センサの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、
図4との対比のために示す従来の光電センサの他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の参照符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。以下、図面を参照して各構成について詳しく説明する。
図1から
図4において、光電センサ1の一例として、投光部2が一定の周期で投光した光の反射光を受光部3が受光するまでの時間に基づいて距離を測定するTOF(Time Of Flight)センサを開示している。光電センサ1は、図示した例に限定されず、TOF方式以外の光電センサであってもよい。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態の光電センサ1の一例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示された光電センサ1の投光部2及び受光部3を示す正面図である。
図1及び
図2に示すように、光電センサ1は、略直方体に形成された筐体10と、筐体10の各面11~17に配置された投光部2、受光部3、ケーブル9、表示部20、表示灯30、操作部40、トリマ50等と、を備えている。
【0020】
図1に示すように、筐体10は、正面11、背面12、左側面13、右側面14、天面15、底面16、傾斜面17等を有している。以下の説明において、背面12から正面11への向きを前方、正面11から背面12への向きを後方と呼び、右側面14から左側面13への向きを左方、左側面13から右側面14への向きを右方と呼び、底面16から天面15への向きを上方、天面15から底面16への向きを下方と呼ぶ。
【0021】
図1中の参照符号Xは前後方向、参照符号Yは左右方向、参照符号Zは上下方向を示している。筐体10の傾斜面17は、後方に向かうに従い下方に向かうように傾斜し、天面15と背面12との間を繋いている。
図2に示すように、投光部2及び受光部3は、筐体10の正面11に配置されている。
【0022】
投光部2は、レーザダイオード等の光源を備え、ワーク等に光を投光する。受光部3は、CMOSイメージセンサ等の受光素子を備え、ワーク等に反射して返ってきた反射光を受光する。投光部2及び受光部3に接続された回路基板は、投光部2から投光された光が反射して返ってくるまでの時間を計測することで光電センサ1とワーク等との距離を演算する。
【0023】
図1に示すように、表示部20、表示灯30、トリマ50は、筐体10の天面15に配置されている。表示部20は、有機ELディスプレイ等であり、操作部40によって変更された光電センサの設定に関する情報や受光部3が受光した反射光に関する検出値等の情報を文字列として表示可能に構成されている。図示した例では、表示灯30が、電源のオンオフ状態を報知可能な第1表示灯31、ワークの検知状態を報知可能な第2表示灯32等で構成されている。第1及び第2表示灯31,32は、互いに異なる色の灯光であってもよい。
【0024】
トリマ50は、投光部2が投光した光の当たったスポットの形状をワークに合わせて変更することができる。図示した例では、トリマ50を時計回り又は反時計回りに回転させてスポットの形状を変更可能に構成されている。凹部や貫通孔がないワークでは、スポットのサイズが小さい方が、外乱で誤動作しにくく安定してワークを検出できる。他方、凹部や貫通孔があるワークでは、スポットのサイズを広げた方が、凹部で光の反射率が変化しても安定してワークを検出できる。
【0025】
操作部40は、天面15よりも低い位置にある傾斜面17に配置されている。図示した例では、操作部40が、Techボタン41、UPボタン42、DOWNボタン43で構成され、様々な使用環境において適切な判定閾値を自動で設定するためのティーチング等に用いられる。
【0026】
Techボタン41は、例えば、光電センサ1のティーチングや機能操作に使用され、UPボタン42及びDOWNボタン43は、例えば、センサの閾値の微調整やメニューの変遷に使用される。傾斜面17に配置された操作部40を操作するとき、傾斜面17よりも高い位置にある天面15に配置された表示部20が作業者の手指で隠れにくい。
【0027】
図3は、
図1に示された光電センサ1を直交方向の一例である上下方向Zから見た平面図である。図示した例では、投光部2の光軸Oが、前後方向Xと平行である。
図4は、
図1に示された光電センサ1の天面15及び背面12を模式的に示す平面図である。
図4に示すように、本実施形態の光電センサ1は、背面12に表示部20、表示灯30、操作部40、トリマ50等が配置されていない。光軸Pを目視しながら作業するときに背面12をのぞき込む必要がない。
【0028】
投光部2の光軸Pに直交する直交方向(例えば、上下方向Z)から見たとき、表示部20は、文字列ABCの天地である縦方向Vが光軸Pを延長した仮想線Qと平行になるように配置されている。操作部40及び表示灯30は、仮想線Qと重畳するように配置されている。表示部20に表示可能な文字列ABCは、例えば、「Response 50ms」「Response 10ms」「Response 1.5ms」等の応答時間を切り換えるボタン操作の結果であってもよい。例えば、「PUSH TEACH」「Background Teach...」「Object Teach」「Success」「Teach Cancel」「Teach Error」等のティーチングを実行するための操作結果であってもよい。例えば、「LOCKED」「UNLOCKED」等のキーロックの状態であってもよい。例えば、しきい値の設定値を示す「500」等の数値であってもよい。光電センサ1が前述したTOFセンサの場合、対象物までの距離を測定し、あらかじめ設定されたしきい値と測定値とを比較した大小関係から対象物が検出されたかどうかを判断できる。これらの文字列は、操作部40によって変更された光電センサの設定に関する情報の例である。
【0029】
表示部20に表示可能な文字列ABCは、その他の機能に関連するものであってもよい。例えば、対象物までの距離を数値化した「150.0」「500」等の検出値であってもよい。検出値は、mm等の単位を省略した数値のみであってもよい。それらの文字列は、一行であってもよいし、二行以上であってもよい。表示部20は、前述した文字列に加えて種々のアイコンを表示してもよい。
【0030】
図示した例では、文字列ABCが、複数の文字A,B,Cが左から右への横方向Hに並べられる左横書きである。横方向Hは、文字列ABCの天地である縦方向Vに直交している。文字列ABCは、作業者から見て前方、すなわち投光部2に近く作業者から遠い方が天地の天になり、作業者から見て後方、すなわち投光部2から遠く作業者に近い方が天地の地になる向きで表示される。
【0031】
図5は、
図4との対比のために示す従来の光電センサ101の一例を示す図である。
図5に示された従来例では、光軸Pに直交する上下方向Zから見たとき、天面115に配置された表示部120は、文字列ABCの縦方向Vが光軸Pを延長した仮想線Qと直交するように配置されている。操作部140を構成するTechボタン141、UPボタン142、DOWNボタン143のうちのUPボタン142、DOWNボタンが仮想線Qと重畳していない。
【0032】
そのような構成では、表示部120の文字列ABCの正面に作業者が立つと、前方ではなく90度傾いた左方へ向かう光軸Pを目視しながら操作部140を操作しなければならなかった。また、
図6に示された従来例では、トリマ150が背面112に配置されている。そのような構成では、光軸Pを目視しながらトリマ150を調整するとき、腰をかがめて背面112をのぞき込む必要があった。
【0033】
図6は、
図4との対比のために示す従来の光電センサ201の一例を示す図である。
図6に示された従来例では、光軸Pに直交する上下方向Zから見たとき、背面212に配置された表示部220を視認できない。腰をかがめて背面212をのぞき込む必要があった。不自然な姿勢になるため、天面215に配置された操作部240のTechボタン241、UPボタン242、DOWNボタン243を操作しにくいことがあった。
【0034】
図5や
図6に示された従来例と比べて、
図4に示された本実施形態の光電センサ1では、光軸Pの延長上に操作部40が配置されているため、作業者が光軸Pを目視しながら操作部40を操作しやすい。文字列ABCの縦方向Vが光軸Pを延長した仮想線Qと平行であるため、操作部40によって変更された設定の文字列ABCを作業者が視認しやすい。そのため、光軸Pを目視しながら操作しやすい光電センサ1を提供することができる。
【0035】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【0036】
[付記]
光を投光可能な投光部(2)を備えた光電センサ(1)であって、
前記光電センサ(1)の設定を変更可能な操作部(40)と、
前記操作部(40)によって変更された前記光電センサ(1)の設定に関する情報を文字列(ABC)として表示可能な表示部(20)と、を更に備え、
前記投光部(2)の光軸(P)に直交する直交方向(Z)から見たとき、前記表示部(20)は、前記文字列(ABC)の天地である縦方向(V)が前記光軸(P)を延長した仮想線(Q)と平行になるように配置され、かつ、前記操作部(40)は、前記仮想線(P)と重畳するように配置されている、
光電センサ(1)。
【符号の説明】
【0037】
1…光電センサ、2…投光部、3…受光部、9…ケーブル、10…筐体、11…正面、12…背面、13…左側面、14…右側面、15…天面、16…底面、17…傾斜面、19…取付孔、20…表示部、30…表示灯、31…第1表示灯、32…第2表示灯、40…操作部、41…Techボタン、42…UPボタン、43…DOWNボタン、50…トリマ、ABC…文字列、101,201…従来例の光電センサ、112,212…背面、115,215…天面、120,220…表示部、130,230…表示灯、140,240…操作部、141,241…Techボタン、142,242…UPボタン、143,243…DOWNボタン、150,250…トリマ、A,B,C…文字、H…文字の横方向、P…光軸、Q…仮想線、V…文字の縦方向、X…センサの前後方向、Y…センサの左右方向、Z…センサの上下方向(直交方向の一例)。