(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130585
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】映像再生システム、及び映像再生方法
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240920BHJP
H04N 21/438 20110101ALI20240920BHJP
H04N 21/44 20110101ALI20240920BHJP
H04N 5/783 20060101ALI20240920BHJP
H04N 5/93 20060101ALI20240920BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H04N7/18 J
H04N7/18 U
H04N7/18 F
H04N21/438
H04N21/44
H04N5/783
H04N5/93
B60R11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040412
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 将勝
(72)【発明者】
【氏名】川浦 晃司
【テーマコード(参考)】
3D020
5C054
5C164
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BE03
5C054CA04
5C054CC02
5C054DA07
5C054FE14
5C054FE18
5C054FE23
5C054FE28
5C054GB02
5C054GB05
5C054GB06
5C054HA26
5C054HA30
5C164FA07
5C164FA16
5C164SA26S
5C164UB04P
5C164UB24P
5C164UB81S
5C164UD44S
(57)【要約】
【課題】移動体が備えるカメラを用いて取得された複数の映像を、移動体内の装置間において、コストの増加を伴うことなく効率的に伝送して、再生し得るようにする。
【解決手段】映像再生システムは、移動体に搭載された複数のカメラを用いて取得される複数の映像を表す映像情報を送信する映像送信部と、映像情報から複数の映像をそれぞれ再生する再生部と、を備える。映像送信部は、複数の映像から順次、映像フレームを1フレームずつ抽出して、抽出したフレームを周期的に時系列に並べた一つの映像情報を生成し、再生部は、上記映像情報から複数の映像のうちの少なくとも一つの映像の映像フレームを抽出し、抽出した映像フレームを時系列に表示装置に表示して、上記少なくとも一つの映像を再生する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載された複数のカメラを用いて取得される複数の映像を表す映像情報を送信する映像送信部と、
前記映像情報から前記複数の映像をそれぞれ再生する再生部と、
を備え、
前記映像送信部は、前記複数の映像から順次、映像フレームを1フレームずつ抽出して、前記抽出したフレームを周期的に時系列に並べた一つの前記映像情報を生成し、
前記再生部は、前記映像情報から前記複数の映像のうちの少なくとも一つの映像の映像フレームを抽出し、前記抽出した映像フレームを時系列に表示装置に表示して、前記少なくとも一つの映像を再生する、
映像再生システム。
【請求項2】
前記再生部は、前記再生した映像の再生速度が、前記複数のカメラにおいて撮影した映像の時間変化の速度を再現するように、前記抽出した各映像フレームを前記表示装置に表示する際の時間間隔を調整する、
請求項1に記載の映像再生システム。
【請求項3】
前記複数の映像のうちのどの映像を表示するかの選択指示を取得する選択部を備え、
前記再生部は、前記複数の映像のうち、前記選択部が取得した選択指示により指定された映像を表示する、
請求項1に記載の映像再生システム。
【請求項4】
前記複数のカメラ及び前記映像送信部は前記移動体に備えられ、
前記再生部は、前記移動体の外部の端末装置に備えられる、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の映像再生システム。
【請求項5】
移動体に搭載された複数のカメラを用いて取得される複数の映像を表す映像情報を送信する送信ステップと、
前記映像情報から前記複数の映像をそれぞれ再生する再生ステップと、
を有し、
前記送信ステップでは、前記複数の映像から順次、映像フレームを1フレームずつ抽出して、前記抽出したフレームを周期的に時系列に並べた一つの前記映像情報を生成し、
前記再生ステップでは、前記映像情報から前記複数の映像のうちの少なくとも一つの映像の映像フレームを抽出し、前記抽出した映像フレームを時系列に表示装置に表示して、前記少なくとも一つの映像を再生する、
映像再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像再生システム、及び映像再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に貢献する車両の安全性に関する研究開発が行われている。
【0003】
特許文献1には、車両周囲を撮影する車載カメラから第一映像情報を取得し、車両走行における危険領域を示す危険マップに基づいて第一映像情報よりデータ量が低減した第二映像情報を作成して、遠隔監視装置へ送信する映像伝送装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両の安全性向上においては、車両に搭載し得る限られた通信リソースの範囲内で、コストの増加を伴うことなく、複数の車載カメラが捉えた車両周囲の映像(例えば、駐車中の車両へ接近する不審者等の映像)を、車載の制御装置間で効率的に伝送して再生し得るようにすることが課題である。
【0006】
本願は上記課題の解決のため、移動体が備えるカメラを用いて取得された複数の映像を、移動体内の装置間において、コストの増加を伴うことなく、再生し得るように効率的に伝送することを目的としたものである。そして、延いては交通の安全性をより一層改善して持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様は、移動体に搭載された複数のカメラを用いて取得される複数の映像を表す映像情報を送信する映像送信部と、前記映像情報から前記複数の映像をそれぞれ再生する再生部と、を備え、前記映像送信部は、前記複数の映像から順次、映像フレームを1フレームずつ抽出して、前記抽出したフレームを周期的に時系列に並べた一つの前記映像情報を生成し、前記再生部は、前記映像情報から前記複数の映像のうちの少なくとも一つの映像の映像フレームを抽出し、前記抽出した映像フレームを時系列に表示装置に表示して、前記少なくとも一つの映像を再生する、映像再生システムである。
本発明の他の態様によると、前記再生部は、前記再生した映像の再生速度が、前記複数のカメラにおいて撮影した映像の時間変化の速度を再現するように、前記抽出した各映像フレームを前記表示装置に表示する際の時間間隔を調整する。
本発明の他の態様によると、前記複数の映像のうちのどの映像を表示するかの選択指示を取得する選択部を備え、前記再生部は、前記複数の映像のうち、前記選択部が取得した選択指示により指定された映像を表示する。
本発明の他の態様によると、前記複数のカメラ及び前記映像送信部は前記移動体に備えられ、前記再生部は、前記移動体の外部の端末装置に備えられる。
本発明の他の態様は、移動体に搭載された複数のカメラを用いて取得される複数の映像を表す映像情報を送信する送信ステップと、前記映像情報から前記複数の映像をそれぞれ再生する再生ステップと、を有し、前記送信ステップでは、前記複数の映像から順次、映像フレームを1フレームずつ抽出して、前記抽出したフレームを周期的に時系列に並べた一つの前記映像情報を生成し、前記再生ステップでは、前記映像情報から前記複数の映像のうちの少なくとも一つの映像の映像フレームを抽出し、前記抽出した映像フレームを時系列に表示装置に表示して、前記少なくとも一つの映像を再生する、映像再生方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動体が備えるカメラを用いて取得された複数の映像を、移動体内の装置間において、コストの増加を伴うことなく、再生し得るように効率的に伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る映像再生システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、映像再生システムを構成する、移動体に備えられる映像取得装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、映像再生システムを構成する携帯端末の構成を示す図でる。
【
図4】
図4は、映像取得装置において生成される映像情報の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、携帯端末の再生部における再生動作について説明するための図である。
【
図6】
図6は、携帯端末に表示される、映像選択のための監視映像画面の例を示す図である。
【
図7】
図7は、携帯端末に表示される、映像再生が行われている監視映像画面の例を示す図である。
【
図8】
図8は、映像再生システムの動作の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る映像再生システム1の構成を示す図である。映像再生システム1は、移動体2に搭載された複数のカメラを用いて取得される複数の映像を、移動体2の外部にいるユーザUの端末装置8へ送信して再生する。本実施形態では、一例として、上記複数の映像は、上記複数のカメラからの映像に基づいて生成される、移動体2の周囲のそれぞれ異なる方向の4つの映像である。
【0011】
移動体2は、本実施形態では、例えば車両である。ただし、移動体2は、車両に限らず、その移動体が備える複数のカメラからの映像を乗員その他のユーザに提供することが求められ得る任意の移動体であり得る。そのような移動体は、乗用車、バス、タクシー等の陸上移動体のほか、船舶、潜水艇等の海洋移動体、eVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)を含む航空機、飛行船等の空中移動体、あるいは、宇宙船、人工衛星などの宇宙移動体であってもよい。
【0012】
映像再生システム1は、上記複数のカメラとして、移動体2に備えられた前方左カメラ3aと、前方右カメラ3bと、後方左カメラ3cと、後方右カメラ3dと、を含む。前方左カメラ3a、前方右カメラ3b、後方左カメラ3c、及び後方右カメラ3dは、それぞれ、移動体2の車体に配されて、移動体2の前方左側、前方右側、後方左側、及び後方右側の周囲エリアを撮影する。以下、前方左カメラ3a、前方右カメラ3b、後方左カメラ3c、及び後方右カメラ3dを総称してカメラ3ともいうものとする。
【0013】
映像再生システム1は、また、移動体2に搭載された映像取得装置4と、映像処理装置5と、移動体2のユーザが所有する端末装置8と、を含む。端末装置8は、例えば、スマートホン等の携帯端末である。映像再生システム1は、さらに、さらに、通信ネットワーク6を介して移動体2と通信可能に接続された中継サーバ7を含んでも良い。
【0014】
図2は、移動体2に搭載された映像取得装置4の構成を示す図である。映像取得装置4は、カメラ3を用いて取得される複数の映像を表す映像情報を映像処理装置5へ送信する。映像取得装置4は、例えば、移動体2に備えられたセキュリティ装置10からセキュリティアラームを受信したときに、カメラ3からの映像の受信を開始し、受信した映像に基づいて取得される映像の映像情報を、通信バス12を介して映像処理装置5へ送信する。セキュリティ装置10は、例えば、イモビライザ機能及び又は車体衝撃検知の機能を有し、従来技術に従い、不正な車両キーの使用や車体への衝撃及び又は振動を検知したときに、セキュリティアラームを出力する。
【0015】
映像処理装置5は、コンピュータであるプロセッサとメモリとを備えて、映像取得装置4から送信された映像情報を、移動体2に備えられた無線通信装置11により、中継サーバ7を介してユーザUの端末装置8へ送信する。その際、映像処理装置5は、上記映像処理についての映像圧縮等の処理を行ってもよい。
【0016】
映像取得装置4は、第1プロセッサ20と、第1メモリ21と、を備える。第1メモリ21は、例えば、揮発性及び又は不揮発性の半導体メモリにより構成される。第1プロセッサ20は、例えば、CPU等を備えるコンピュータである。第1プロセッサ20は、プログラムが書き込まれたROM、データの一時記憶のためのRAM等を有する構成であってもよい。そして、第1プロセッサ20は、機能要素又は機能ユニットとして、監視部22と、ビュー生成部23と、映像送信部24と、を有する。
【0017】
第1プロセッサ20が備えるこれらの機能要素は、例えば、コンピュータである第1プロセッサ20が、第1メモリ21に保存されたプログラムを実行することにより実現される。なお、プログラムは、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。これに代えて、第1プロセッサ20が備える上記機能要素の全部又は一部を、それぞれ一つ以上の電子回路部品を含むハードウェアにより構成することもできる。そのようなハードウェアは、例えば、SoC(System on Chip)として実現され得る。
【0018】
監視部22は、移動体2に備えられたセキュリティ装置10からセキュリティアームを受信したときに、4つのカメラ3からの移動体2周囲の映像の受信を開始する。監視部22は、例えば、セキュリティアラームを受信してから、所定時間(例えば、10分)が経過するまでの間、カメラ3から映像を受信する。カメラ3から受信される映像は、ビュー生成部23に入力される。
【0019】
ビュー生成部23は、カメラ3から受信される映像から視点変換した映像を生成する。例えば、ビュー生成部23は、前方左カメラ3a及び前方右カメラ3bからの映像から、移動体2の前方映像VFを生成し、後方左カメラ3c及び後方右カメラ3dからの映像から、移動体2の後方映像VBを生成する。また、ビュー生成部23は、前方左カメラ3a及び後方左カメラ3cからの映像から、移動体2の左側方映像VLを生成し、前方右カメラ3b及び後方右カメラ3dからの映像から、移動体2の右側方映像VRを生成する。これらの視点変換は、例えば、リアルタイムに行われ得る。
ここで、ビュー生成部23が生成する前方映像VF、後方映像VB、左側方映像VL、及び右側方映像VRは、本開示における、移動体に搭載された複数のカメラを用いて取得される複数の映像に相当する。
【0020】
映像送信部24は、移動体2に搭載された複数のカメラ3を用いて取得される複数の映像を表す映像情報を、映像処理装置5へ送信する。本実施形態では、上記複数の映像は、ビュー生成部23が生成した前方映像VF、後方映像VB、左側方映像VL、及び右側方映像VRである。以下、前方映像VF、後方映像VB、左側方映像VL、及び右側方映像VRを、方向映像ともいうものとする。
【0021】
映像送信部24は、上記複数の方向映像のそれぞれから、順次、映像フレームを1フレームずつ抽出して、上記抽出したフレームを周期的に時系列に並べて一つの映像情報を生成する。
【0022】
例えば、映像送信部24には、複数の方向映像の映像フレームの送信順序が予め定められており、映像送信部24は、上記抽出したフレームを上記送信順序に従って周期的に並べた映像情報を生成する。
【0023】
図4は、映像送信部24が生成する映像情報の構成を示す図である。
図4に示す例では、方向画像の映像フレームの送信順序が、前方映像VF、右側方映像VR、後方映像VB、左側方映像VLの順に定められており、それぞれ1映像フレームである前方映像フレーム、右側方映像フレーム、後方映像フレーム、左側方映像フレームが、この順に周期的に並べられて、映像情報が生成される。
【0024】
詳細には、例えば、前方映像VF、右側方映像VR、後方映像VB、左側方映像VLの、それぞれの最初の映像フレームである前方映像フレーム41、右側方映像フレーム42、後方映像フレーム43、左側方映像フレーム44がこの順に並べられて、4つの方向映像の映像フレームの最初のセットが構成される。この4方向映像の映像フレームセットは、これに先行するタイムインデックス40と組み合わされて、タイムインデックス(TI)=tが示す時刻の映像データを構成する。以下、タイムインデックスをTIと略記する。
【0025】
TI=tに続く、TI=t+1、…、t+n、…の映像データも同様に構成され、これらの映像データが時系列に並べられて、一つの映像情報として送信される。映像情報には、また、最初の映像データに先行する位置に、TI=tが示す時刻(すなわち、映像取得が開始された時刻)を示す開始時刻情報STを含めてもよい。なお、各映像データの前後には、デリミタが挿入されていてもよい。
【0026】
これにより、映像再生システム1では、4つのカメラ3を用いて取得された複数の方向映像は、それらの映像フレームが周期的に並べられた一つの映像情報として、映像取得装置4から映像処理装置5へ送信されるので、映像取得装置4から映像処理装置5への映像送信に必要な通信容量(通信速度)が低減され、通信処理の負荷も軽減される。このため、例えば、映像取得装置4と映像処理装置5を接続する通信バス12は、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)等の通信規格に準拠した安価なシリアル通信バスを用いることができる。その結果、映像再生システム1では、移動体2内の装置間(例えば、映像取得装置4と映像処理装置5との間)において、コストの増加を伴うことなく、複数の方向映像を効率的に伝送することができる。
【0027】
図2を参照し、映像取得装置4は、上記映像情報と共に、監視部22が取得したセキュリティアラームの情報であるアラーム情報を、映像処理装置5へ送信する。アラーム情報には、セキュリティアラームが発生した旨の情報とその発生時刻の情報が含まれるものとすることができる。これに加えて、アラーム情報には、移動体2が備えるGPS装置(不図示)により取得される移動体2の現在位置の情報が含まれてもよい。
【0028】
映像取得装置4からアラーム情報及び映像情報を受信した映像処理装置5は、例えば、映像情報についての映像圧縮等の処理を行ったのち、処理後の映像情報とアラーム情報とを、無線通信装置11により、中継サーバ7へ送信する。
【0029】
中継サーバ7は、コンピュータであるプロセッサとメモリとを備えて、移動体2から送信されたアラーム情報と映像情報とを受信し、受信したアラーム情報と映像情報とを記憶する。また、中継サーバ7は、例えば、従来技術に従い、上記アラーム情報を受信したことに応じて、アラームが発生したことを移動体2のユーザUの端末装置8に通知する。この通知は、例えば、アラームの発生を通知するテキストを含んだプッシュ通知として端末装置8へ送信され、当該テキストが端末装置8のタッチパネル32(後述)に表示される。なお、ユーザUの端末装置8と通信するためのアクセス情報は、中継サーバ7に予め記憶されているものとすることができる。
【0030】
中継サーバ7は、また、ユーザUの端末装置8から映像情報の送信要求を受信したことに応じて、従来技術に従い、上記アラーム情報と共に記憶した映像情報を端末装置8へ送信する。
【0031】
図3は、端末装置8の構成を示す図である。上述したように、本実施形態では、端末装置8は、例えばスマートフォン等の携帯端末である。
端末装置8は、第2プロセッサ30と、第2メモリ31と、タッチパネル32と、通信装置33と、を備える。第2メモリ31は、例えば、揮発性及び又は不揮発性の半導体メモリにより構成される。通信装置33は、端末装置8が通信ネットワーク6を介して他の装置と通信するための送受信器である。タッチパネル32は、本開示における表示装置に相当する。
【0032】
第2プロセッサ30は、例えば、CPU等を備えるコンピュータである。第2プロセッサ30は、プログラムが書き込まれたROM、データの一時記憶のためのRAM等を有する構成であってもよい。そして、第2プロセッサ30は、機能要素又は機能ユニットとして、再生部34と、選択部35と、を有する。
【0033】
第2プロセッサ30が備えるこれらの機能要素は、例えば、コンピュータである第2プロセッサ30が、第2メモリ31に保存されたプログラム37を実行することにより実現される。なお、プログラム37は、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。あるいは、プログラム37は、通信ネットワーク6に接続されたサーバ装置(不図示)からダウンロードされるものとすることができる。
【0034】
プログラム37は、例えば、映像情報を再生するためのアプリケーションプログラムである。以下、プログラム37が実行されることにより起動されるアプリケーションを映像再生アプリと称する。端末装置8は、従来技術に従い、映像再生アプリの起動アイコンをタッチパネル32に表示し、対応する起動アイコンが操作されたときに、プログラム37を実行して、映像再生アプリの機能を実行するための再生部34と選択部35とを、第2プロセッサ30内で実現(又は実体化)する。
【0035】
端末装置8は、従来技術に従い、中継サーバ7からプッシュ通知として送信された上述のアラーム発生を通知するテキストを受信して、タッチパネル32に表示する。上記プッシュ通知としてタッチパネル32に表示されたアラーム発生を示すテキスト通知を見たユーザUは、タッチパネル32に表示されている上述の映像再生アプリの起動アイコンを操作することによりプログラム37を起動する。
【0036】
再生部34は、映像取得装置4の映像送信部24が生成した映像情報から、上述した移動体2周囲の映像である4つの方向映像をそれぞれ再生する。
選択部35は、複数の方向映像のうちどの方向映像を表示するかの選択指示を取得する。
【0037】
具体的には、再生部34は、まず、中継サーバ7へ映像情報の送信要求を送信し、中継サーバ7から最新の映像情報を取得して第2メモリ31に記憶する。その際、再生部34は、中継サーバ7から受信した映像情報が映像圧縮されたものであるときは、映像伸張の処理を行う。
【0038】
本実施形態では、特に、再生部34は、映像情報から、複数の方向映像のうちの少なくとも一つの方向映像の時系列の映像フレームを抽出する。例えば、上記少なくとも一つの方向映像は、選択部35が取得した選択指示により指定された方向映像である。そして、再生部34は、上記抽出した一つの方向映像の時系列の複数の映像フレームを、タッチパネル32において、順次、時系列に切り替えて表示して、上記少なくとも一つの方向映像を動画像として再生する。
【0039】
その際、再生部34は、動画像として再生した上記方向映像の再生速度が、複数のカメラ3において撮影した映像の時間変化の速度を再現するように、上記抽出した各映像フレームをタッチパネル32に表示する際の時間間隔を調整する。
【0040】
図5は、再生部34における再生動作について説明するための図である。図示の例は、映像情報から前方映像VFを再生する動作が示されている。例えば、再生部34には、映像取得装置4の映像送信部24に設定されている映像フレームの送信順序の情報が予め与えられている。再生部34は、上記送信順序の情報に基づいて、映像情報の映像データ毎に、TIの後に最初(1番目)に送信される前方映像VFの映像フレームを順次抽出する。そして、再生部34は、抽出した映像フレーム(
図5に示すVF(t)、VF(t+1)、…、VF(t+n)…)を、タッチパネル32に時系列に、順次、切り替えて表示することで、前方映像VFをタッチパネル32に動画像として表示する。
【0041】
再生部34は、選択部35が取得した選択指示により指定された方向映像を、上記のように再生して、タッチパネル32に表示する。選択部35は、ユーザUからの上記選択指示をタッチパネル32を介して取得するものとすることができる。
【0042】
ユーザUが上記選択指示をタッチパネル32に入力する際に、再生部34は、4つの方向映像のそれぞれの静止画像のサムネイルを、タッチパネル32に表示するものとすることができる。サムネイルに用いる静止画像は、映像送信部24が生成した映像情報のうちの、最初のタイムインデックス(TI=t)の映像データから生成されるものとすることができる。なお、サムネイルに用いる静止画像は、中継サーバ7において生成されるものとしてもよい。
【0043】
図6及び
図7は、映像再生アプリの実行時に第2プロセッサ30によりタッチパネル32に表示される監視映像画面の一例を示す図である。
図6は、複数の方向映像のうちどの方向映像を表示するかの選択指示をユーザUから取得する際の画面である。また、
図7は、
図6の画面において取得された選択指示に従って、4つの方向映像のうちの1の方向映像を拡大表示した際の画面である。
【0044】
図6において、監視映像画面は、サムネイル表示50と、選択操作部51と、サムネイル表示ボタン52と、終了ボタン53と、を含む。また、監視映像画面には、日時表示54と位置表示55も表示されている。日時表示54及び位置表示55は、中継サーバ7から端末装置8へ映像情報と共に送信されたアラーム情報である。すなわち、日時表示54及び位置表示55は、それぞれ、この監視映像画面に表示されている方向映像の取得原因となったセキュリティアラームの発生日時及び発生場所を示している。
【0045】
サムネイル表示50には、4つの方向映像のそれぞれの静止画像のサムネイルが表示されている。これらのサムネイルは、上述したように、再生部34又は中継サーバ7において作成され得る。
【0046】
選択操作部51には、移動体2の車体を模した図示点線の車体表示60を中心として、前方映像VFの指定に用いられる前方映像ボタン61aと、右側方映像VRの指定に用いられる右側方映像ボタン61bと、後方映像VBの指定に用いられる後方映像ボタン61cと、左側方映像VLの指定に用いられる左側方映像ボタン61dと、が表示されている。以下、前方映像ボタン61a、右側方映像ボタン61b、後方映像ボタン61cと、及び左側方映像ボタン61dを総称して映像選択ボタン61ともいうものとする。
【0047】
サムネイル表示ボタン52は、サムネイル表示50をタッチパネル32に表示させるボタンである。サムネイル表示ボタン52は、例えば、
図7に示すようなサムネイル表示50が表示されていない画面において、サムネイル表示50を表示させるのに用いられる。
図6に示す画面では、既にサムネイル表示50が表示されているので、サムネイル表示ボタン52は、無効状態を示すグレイアウト表示(
図6では、ハッチングで表示)となっている。
終了ボタン53は、この映像再生アプリを終了するのに用いられる。
【0048】
図6に示す画面において、ユーザUは、サムネイル表示50から、拡大して表示させたい一の方向映像を決定し、決定した方向映像に対応する映像選択ボタン61にタッチすることにより、選択指示を入力することができる。入力された選択指示は、選択部35により取得される。これにより、再生部34は、選択部35が取得した選択指示に従い、当該選択指示により指示された方向映像を、
図5を参照して上述した動作により再生して、タッチパネルに表示する。
【0049】
図7は、ユーザUからの選択指示に従って再生部34により再生された方向映像を表示する監視映像画面の一例を示す図である。
図7において、
図6に示す監視映像画面と同じ構成要素については、
図6における符号と同じ符号を用いて示すものとし、上述した
図6についての説明を援用する。
【0050】
図7の例では、ユーザUは、前方映像ボタン61aにタッチすることにより前方映像の表示を選択している。タッチされた前方映像ボタン61aは、例えば、グレイアウト表示(
図7ではハッチング表示)となる。そして、
図6においてサムネイル表示50が表示されていた位置に、方向映像表示56が表示される。方向映像表示56には、映像選択ボタン61により選択された方向映像が拡大して表示される。
図7の例では、方向映像表示56には、前方映像ボタン61aにより選択された前方映像VFが表示されている。
【0051】
また、
図7に示す画面では、サムネイル表示ボタン52は、グレイアウト表示ではなく通常表示となっている。ユーザUは、
図7の画面においてサムネイル表示ボタン52にタッチすることにより、タッチパネル32の画面を
図6の画面に戻すことができる。
【0052】
次に、映像再生システム1における動作の手順について説明する。
図8は、映像再生システム1のコンピュータである映像取得装置4の第1プロセッサ20及び端末装置8の第2プロセッサ30が協働して実行する映像再生方法の手順を示すフロー図である。
図8に示す処理は、繰り返し実行される。
【0053】
処理を開始すると、まず、映像取得装置4の監視部22は、セキュリティ装置10からセキュリティアラームを受信したか否かを判断する(S100)。そして、監視部22は、セキュリティアラームを受信しないときは(S100、NO)、ステップS100に戻って処理を繰り返し、セキュリティアラームを受信するのを待機する。
【0054】
一方、セキュリティアラームを受信したときは(S100、YES)、第1プロセッサ20は、監視部22及びビュー生成部23により、移動体2の前方、右側方、後方、左側方の4つの方向映像を取得する(S102)。具体的には、監視部22は、移動体2に備えられた4つのカメラ3により、移動体2の周囲の映像を、所定時間(例えば、10分)の間、取得する。そして、ビュー生成部23は、上記取得された4つのカメラ3からの映像についての視点変換処理を行って、前方映像VF、右側方映像VR、後方映像VB、及び左側方映像VLの、4つの方向映像を生成する。
【0055】
次に、映像送信部24は、上記取得された方向映像から、一つの映像情報を生成する(S104)。具体的には、
図4を参照して上述したように、映像送信部24は、上記複数の方向映像から順次、映像フレームを1フレームずつ抽出して、上記抽出したフレームを周期的に時系列に並べて一つの映像情報を生成する。
【0056】
映像送信部24は、上記生成した映像情報を、映像処理装置5および中継サーバ7を介して端末装置8へ送信し(S106)、端末装置8は、上記映像情報を受信する(S108)。上述したように、端末装置8における映像情報の受信は、例えば、ユーザUが端末装置8において映像再生アプリを起動したときに、再生部34により行われる。
【0057】
続いて、端末装置8の選択部35は、端末装置8のタッチパネル32を介してユーザUから入力される、複数の方向映像のうちどの方向映像を表示するかの選択指示を取得する(S110)。具体的には、ユーザUは、例えば、端末装置8のタッチパネル32に表示される
図6に示したような監視映像画面において、いずれかの映像選択ボタン61にタッチすることにより、上記選択指示を入力する。
【0058】
再生部34は、選択部35が選択指示を取得したことに応じて、上記取得された選択指示により指定された方向映像を再生する(S112)。上述したように、再生部34は、映像情報から上記指定された方向映像の映像フレームを抽出する。そして、再生部34は、上記抽出した映像フレームを、タッチパネル32において、順次、時系列に切り替えて表示することで、上記指定された方向映像を動画像として再生する。この動画像は、例えば、
図7に示す監視映像画面において、方向映像表示56において表示される。
【0059】
続いて、選択部35は、
図7に示す監視映像画面においてサムネイル表示ボタン52が押された否かを判断する(S114)。そして、サムネイル表示ボタン52が押されたときは(S114、YES)、選択部35は、ステップS110に戻って処理を繰り返す。
【0060】
一方、サムネイル表示ボタン52が押されないときは(S114、NO)、再生部34は、
図7に示す監視映像画面において終了ボタン53が押された否かを判断する(S116)。そして、終了ボタンが押されないときは(S116、NO)、再生部34は、ステップS112に戻って処理を繰り返す。一方、終了ボタンが押されたときは(S116、YES)、再生部34は、本処理を終了する。
【0061】
ここで、
図8において、ステップS102、S104、及びS106は、本開示における送信ステップに相当する。また、
図8のステップS112は、本開示における再生ステップに相当する。
【0062】
[他の実施形態]
上述した実施形態では、ビュー生成部23が4つのカメラ3からの4つの映像の視点変換処理を行って生成した4つの方向映像を、4つのカメラ3を用いて取得される複数の映像であるものとした。これに代えて、監視部22により受信される4つのカメラ3からの映像を、そのまま、4つのカメラ3を用いて取得される複数の映像であるものとしてもよい。すなわち、映像取得装置4の映像送信部24は、監視部22により受信される4つのカメラ3からの映像を表す映像情報を生成してもよい。
【0063】
また、上述した実施形態では、映像情報として送信される方向映像の数は4つであるものとしたが、映像情報として送信される方向映像の数は2つ以上の任意の数であるものとすることができる。
【0064】
また、上述した実施形態では、映像取得装置4は、映像処理装置5を介して、無線通信装置11により映像情報を移動体2の外部へ送信するものとした。これに代えて、映像取得装置4は、映像情報を無線通信装置11に直接送信して、その映像情報を無線通信装置11から移動体2の外部へ送信するものとしてもよい。この場合でも、映像取得装置4から無線通信装置11への映像送信に必要な通信容量(通信速度)が低減されるので、移動体2内において、コストの増加を伴うことなく複数の方向映像を効率的に伝送することができる。
【0065】
また、上述した実施形態では、端末装置8の再生部34は、
図5に示すように、映像情報から、一の特定の方向映像(
図5の例では、前方映像VF)の映像フレームを、タイムインデックス毎にすべての映像データから取得するものとした。これに代えて、再生部34は、第2プロセッサ30における処理の負荷状況に応じて、いくつかのタイムインデックスの映像データについては、映像フレームの抽出を行わないものとすることができる。例えば、再生部34は、タイムインデックスt+1、t+3、t+4の映像データを読み飛ばして、タイムインデックスt、t+2、t+4、・・・の映像データから映像フレームを抽出して、映像を再生してもよい。
【0066】
なお、本発明は上記の実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0067】
[上記実施形態によりサポートされる構成]
上述した実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0068】
(構成1)移動体に搭載された複数のカメラを用いて取得される複数の映像を表す映像情報を送信する映像送信部と、前記映像情報から前記複数の映像をそれぞれ再生する再生部と、を備え、前記映像送信部は、前記複数の映像から順次、映像フレームを1フレームずつ抽出して、前記抽出したフレームを周期的に時系列に並べた一つの前記映像情報を生成し、前記再生部は、前記映像情報から前記複数の映像のうちの少なくとも一つの映像の映像フレームを抽出し、前記抽出した映像フレームを時系列に表示装置に表示して、前記少なくとも一つの映像を再生する、映像再生システム。
構成1の映像再生システムによれば、複数の映像から順次抽出された映像フレームが周期的に時系列に並べられて一つの映像情報として送信されるので、それら複数の映像を移動体内の装置間において、コストの増加を伴うことなく効率的に伝送して再生し得るようにすることができる。
【0069】
(構成2)前記再生部は、前記再生した映像の再生速度が、前記複数のカメラにおいて撮影した映像の時間変化の速度を再現するように、前記抽出した各映像フレームを前記表示装置に表示する際の時間間隔を調整する、構成1に記載の映像再生システム。
構成2の映像再生システムによれば、一つの映像情報として送信された複数の映像の映像フレームを、映像毎に抽出して、もとの映像と同じ速度で再生することができる。
【0070】
(構成3)前記複数の映像のうちのどの映像を表示するかの選択指示を取得する選択部を備え、前記再生部は、前記複数の映像のうち、前記選択部が取得した選択指示により指定された映像を表示する、構成1又は2に記載の映像再生システム。
構成3の映像再生システムによれば、ユーザは、映像情報に含まれる一の映像を指定して、映像再生システムにその映像を再生させることができる。
【0071】
(構成4)前記複数のカメラ及び前記映像送信部は前記移動体に備えられ、前記再生部は、前記移動体の外部の端末装置に備えられる、構成1ないし3のいずれかに記載の映像再生システム。
構成4の映像再生システムによれば、移動体において取得された複数の映像を、移動体内において効率的に伝送しつつ、ユーザの端末装置において再生することができる。
【0072】
(構成5)移動体に搭載された複数のカメラを用いて取得される複数の映像を表す映像情報を送信する送信ステップと、前記映像情報から前記複数の映像をそれぞれ再生する再生ステップと、を有し、前記送信ステップでは、前記複数の映像から順次、映像フレームを1フレームずつ抽出して、前記抽出したフレームを周期的に時系列に並べた一つの前記映像情報を生成し、前記再生ステップでは、前記映像情報から前記複数の映像のうちの少なくとも一つの映像の映像フレームを抽出し、前記抽出した映像フレームを時系列に表示装置に表示して、前記少なくとも一つの映像を再生する、映像再生方法。
構成5の映像再生方法によれば、複数の映像から順次抽出された映像フレームが周期的に時系列に並べられて一つの映像情報として送信されるので、それら複数の映像を移動体内の装置間において、コストの増加を伴うことなく効率的に伝送して再生し得るようにすることができる。
【符号の説明】
【0073】
1…映像再生システム、2…移動体、3…カメラ、3a…前方左カメラ、3b…前方右カメラ、3c…後方左カメラ、3d…後方右カメラ、4…映像取得装置、5…映像処理装置、6…通信ネットワーク、7…中継サーバ、8…端末装置、10…セキュリティ装置、11…無線通信装置、12…通信バス、20…第1プロセッサ、21…第1メモリ、22…監視部、23…ビュー生成部、24…映像送信部、30…第2プロセッサ、31…第2メモリ、32…タッチパネル、33…通信装置、34…再生部、35…選択部、50…サムネイル表示、51…選択操作部、52…サムネイル表示ボタン、53…終了ボタン、54…日時表示、55…位置表示、56…方向映像表示、60…車体表示、61…映像選択ボタン、61a…前方映像ボタン、61b…右側方映像ボタン、61c…後方映像ボタン、61d…左側方映像ボタン61d、U…ユーザ。