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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130591
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】情報処理装置及び位置計測システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/12 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G01S5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040421
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】南百▲瀬▼ 勇
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA01
5J062BB05
5J062CC14
(57)【要約】
【課題】複数のセンサを用いる場合に、共通の座標系でタグの位置を特定する位置計測システムを提供する。
【解決手段】位置計測システムは、複数のセンサと、情報処理装置とを含み、前記情報処理装置は、前記複数のセンサの各々の計測範囲に存在するタグの位置を示す位置情報を取得する取得部と、前記位置情報の座標系を、前記複数のセンサのうち、基準となるセンサで用いられる座標系に変換した前記位置情報を出力する出力部と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサと、情報処理装置とを含み、
前記情報処理装置は、
前記複数のセンサの各々の計測範囲に存在するタグの位置を示す位置情報を取得する取得部と、
前記位置情報の座標系を、前記複数のセンサのうち、基準となるセンサで用いられる座標系に変換した前記位置情報を出力する出力部と、を有する、
位置計測システム。
【請求項2】
前記出力部は、
前記基準となるセンサである第1センサから取得した前記位置情報については、座標系の変換をせずに前記位置情報を出力し、
前記第1センサ以外の第2センサから取得した前記位置情報については、前記第2センサの座標系を前記第1センサの座標系に変換するためのオフセット値に基づいて、前記第2センサから取得した前記位置情報を前記第1センサで用いられる座標系に変換して出力する、
請求項1に記載の位置計測システム。
【請求項3】
前記計測範囲は、前記第1センサの計測範囲である第1計測範囲と、前記第2センサの計測範囲である第2計測範囲を含み、
前記取得部は、前記第1計測範囲及び前記第2計測範囲のうち重複する範囲に設置される前記タグを前記第1センサで測定した第1位置情報と、前記タグを前記第2センサで測定した第2位置情報とを取得し、
前記出力部は、前記第1位置情報と前記第2位置情報との差分を、前記オフセット値とする、
請求項2に記載の位置計測システム。
【請求項4】
前記出力部は、前記第1センサの位置情報と前記第2センサの位置情報との間の設置誤差による計測差を補正するための1以上の補正用パラメータに基づいて、前記第2センサから取得した前記位置情報を前記計測差が無い状態に補正し、補正した前記位置情報を、前記オフセット値に基づいて前記第1センサで用いられる座標系に変換して出力する、
請求項2に記載の位置計測システム。
【請求項5】
前記計測範囲は、前記第1センサの計測範囲である第1計測範囲と、前記第2センサの計測範囲である第2計測範囲を含み、
前記第1計測範囲及び前記第2計測範囲のうち重複する範囲に第1タグと第2タグとが設置され、
前記取得部は、前記第1タグを前記第1センサで測定した第3位置情報と、前記第2タグを前記第1センサで測定した第4位置情報と、前記第1タグを前記第2センサで測定した第5位置情報と、前記第2タグを前記第2センサで測定した第6位置情報とを取得し、
前記出力部は、前記第3位置情報及び前記第4位置情報の間の距離と、前記第5位置情報及び前記第6位置情報の間の距離との比率を、前記1以上の補正用パラメータとして算出する、
請求項4に記載の位置計測システム。
【請求項6】
前記出力部は、
前記第5位置情報及び前記第6位置情報に基づいて、前記第1センサの座標系を基準とした場合における前記第2センサの座標系の回転角を算出し、
算出した前記回転角を用いて、前記第5位置情報及び前記第6位置情報を、それぞれ、前記第2センサの座標系が前記第1センサの座標系に対し前記回転角を有していないとした場合の座標である第7位置情報及び第8位置情報に変換し、
前記第3位置情報及び前記第4位置情報の間の距離と、前記第7位置情報及び前記第8位置情報の間の距離との比率を、前記1以上の補正用パラメータとして算出する、
請求項5に記載の位置計測システム。
【請求項7】
前記取得部は、前記複数のセンサのうち調整対象のセンサで測定された、前記調整対象のセンサの設置位置を調整するために設置される4つのタグの各々の位置情報を取得し、
前記出力部は、前記4つのタグの各々の位置情報を出力する、
請求項1に記載の位置計測システム。
【請求項8】
複数のセンサの各々の計測範囲に存在するタグの位置を示す位置情報を取得する取得部と、
前記位置情報の座標系を、前記複数のセンサのうち、基準となるセンサで用いられる座標系に変換した前記位置情報を出力する出力部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
複数のセンサの各々の計測範囲に存在するタグの位置を示す位置情報を取得するステップと、
前記位置情報の座標系を、前記複数のセンサのうち、基準となるセンサで用いられる座標系に変換した前記位置情報を出力するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び位置計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業領域において作業者の位置情報を取得可能な作業評価システムが開示されている。当該作業領域の四隅にはアンカーが設置されており、作業者が保持するタグと各アンカーとの間の距離を測定することで、作業領域におけるタグの位置を特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/039559号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、作業領域が、タグとアンカーが通信可能な範囲よりも広い場合、タグとアンカーが通信可能な範囲の作業領域を多数配置した上で、各作業領域の四隅にアンカーを設置する必要がある。そのため、作業領域ごとに独自の座標系が存在してしまい、タグ位置の特定が複雑になるという課題がある。
【0005】
このような事情に鑑み、本発明は、複数のセンサを用いる場合に、共通の座標系でタグの位置を特定することを可能とする情報処理装置及び位置計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る位置計測システムは、複数のセンサと、情報処理装置とを含み、情報処理装置は、複数のセンサの各々の計測範囲に存在するタグの位置を示す位置情報を取得する取得部と、位置情報の座標系を、複数のセンサのうち、基準となるセンサで用いられる座標系に変換した位置情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
この態様によれば、複数のセンサを用いる場合に、共通の座標系でタグの位置を特定することが可能となる。
【0008】
上述した態様において、出力部は、基準となるセンサである第1センサから取得した位置情報については、座標系の変換をせずに位置情報を出力し、第1センサ以外の第2センサから取得した位置情報については、第2センサの座標系を第1センサの座標系に変換するためのオフセット値に基づいて、第2センサから取得した位置情報を第1センサで用いられる座標系に変換して出力するようにしてもよい。
【0009】
この態様によれば、基準センサである第1センサ以外の第2センサから取得した位置情報を、第1センサで用いられる座標系に変換することが可能となる。
【0010】
上述した態様において、計測範囲は、第1センサの計測範囲である第1計測範囲と、第2センサの計測範囲である第2計測範囲を含み、取得部は、第1計測範囲及び第2計測範囲のうち重複する範囲に設置されるタグを第1センサで測定した第1位置情報と、タグを第2センサで測定した第2位置情報とを取得し、出力部は、第1位置情報と第2位置情報との差分を、オフセット値とするようにしてもよい。
【0011】
この態様によれば、2つのセンサから計測可能な計測範囲に設置されたタグを用いて、オフセット値を算出することが可能になる。
【0012】
上述した態様において、出力部は、第1センサの位置情報と第2センサの位置情報との間の設置誤差による計測差を補正するための1以上の補正用パラメータに基づいて、第2センサから取得した位置情報を計測差が無い状態に補正し、補正した位置情報を、オフセット値に基づいて第1センサで用いられる座標系に変換して出力するようにしてもよい。
【0013】
この態様によれば、第1センサ及び第2センサ間に計測差が存在する場合、第2センサで計測した位置情報を、計測差が無いとした場合の位置情報に変換することができ、より高精度な位置情報を出力することが可能になる。
【0014】
上述した態様において、計測範囲は、第1センサの計測範囲である第1計測範囲と、第2センサの計測範囲である第2計測範囲を含み、第1計測範囲及び第2計測範囲のうち重複する範囲に第1タグと第2タグとが設置され、取得部は、第1タグを第1センサで測定した第3位置情報と、第2タグを第1センサで測定した第4位置情報と、第1タグを第2センサで測定した第5位置情報と、第2タグを第2センサで測定した第6位置情報とを取得し、出力部は、第3位置情報及び第4位置情報の間の距離と、第5位置情報及び第6位置情報の間の距離との比率を、1以上の補正用パラメータとして算出するようにしてもよい。
【0015】
この態様によれば、第1センサが計測する座標系のスケールと、第2センサが計測する座標系のスケールとが異なる場合、スケールの差分を補正することができ、より高精度な位置情報を出力することが可能になる。
【0016】
上述した態様において、出力部は、第5位置情報及び第6位置情報に基づいて、第1センサの座標系を基準とした場合における第2センサの座標系の回転角を算出し、算出した回転角を用いて、第5位置情報及び第6位置情報を、それぞれ、第2センサの座標系が第1センサの座標系に対し回転角を有していないとした場合の座標である第7位置情報及び第8位置情報に変換し、第3位置情報及び第4位置情報の間の距離と、第7位置情報及び第8位置情報の間の距離との比率を、1以上の補正用パラメータとして算出するようにしてもよい。
【0017】
この態様によれば、第2センサが計測する座標系が、第1センサが計測する座標系に対し回転している場合、当該回転が無い状態に補正することができ、より高精度な位置情報を出力することが可能になる。
【0018】
上述した態様において、取得部は、複数のセンサのうち調整対象のセンサで測定された、調整対象のセンサの設置位置を調整するために設置される4つのタグの各々の位置情報を取得し、出力部は、4つのタグの各々の位置情報を出力するようにしてもよい。
【0019】
この態様によれば、センサを設置する作業者に対し、センサの設置位置を調整するための情報を提供することが可能になる。
【0020】
また、本発明の他の態様に係る情報処理装置は、複数のセンサの各々の計測範囲に存在するタグの位置を示す位置情報を取得する取得部と、位置情報の座標系を、複数のセンサのうち、基準となるセンサで用いられる座標系に変換した位置情報を出力する出力部と、を備える。
【0021】
この態様によれば、複数のセンサを用いる場合に、共通の座標系でタグの位置を特定することが可能となる。
【0022】
また、本発明の他の態様に係るプログラムは、コンピュータに、複数のセンサの各々の計測範囲に存在するタグの位置を示す位置情報を取得するステップと、位置情報の座標系を、複数のセンサのうち、基準となるセンサで用いられる座標系に変換した位置情報を出力するステップと、を実行させる。
【0023】
この態様によれば、複数のセンサを用いる場合に、共通の座標系でタグの位置を特定することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、複数のセンサを用いる場合に、共通の座標系でタグの位置を特定することを可能とする情報処理装置及び位置計測システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係る位置計測システムの一例を示す図である。
図2】情報処理装置のハードウェア及び機能構成の一例を示す図である。
図3】位置計測システムが、補正用パラメータ及びオフセット値を算出する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4】三次元極座標を説明するための図である。
図5】座標系が回転している状態を示す図である。
図6】座標系のスケールが異なる状態を示す図である。
図7】位置計測システム1が、タグTの位置情報を出力する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8】センサの設置位置を調整するために4つのタグを設置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。ただし、図面は模式的なものであり、具体的な寸法などは以下の説明を照らし合わせて判断するべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0027】
<システム構成>
図1は、実施形態に係る位置計測システムの一例を示す図である。図1に示す位置計測システムは、例えば、情報処理装置10と、タグの位置を計測する複数のセンサ20A、20B及び20Cと、作業者P1、P2及びP3の位置を計測するためのタグT1、T2及びT3と、センサ調整用のタグT10、T11、T12及びT13を含む。なお、以下の説明において、任意のセンサを表す場合、センサ20と記載する。また、任意のタグを表す場合、タグTと記載する。
【0028】
実施形態に係る位置計測システム1は、例えば工場における作業ラインD100において、作業者Pに取り付けられたタグTの位置をセンサで計測し、計測されたタグTの位置を示す位置情報(座標値)を出力する。これにより、作業者Pに取り付けられたタグTが、作業者Pの動作に伴って移動する様子を、トラッキングすることが可能になる。タグTを取り付けるのは、作業者の体に関わらず、作業者の腕や手であってもよい。また、タグTを取り付けるのは、作業者に限定されない。例えば、作業者が作業を行う際に用いる部品や治工具などにタグTを取り付けてもよい。つまり、作業動作を行う対象にタグTを取り付けることが好ましい。
【0029】
図1の例では、センサ20A、センサ20B及びセンサ20Cは、それぞれ、サブエリアR101、サブエリアR102及びサブエリアR103に存在するタグTの位置を計測する。なお、センサ20がタグTの位置を計測することが可能な範囲を「計測範囲」と言う。なお、各センサ20の計測範囲は、必ずしもサブエリアと同一範囲でなくてもよい。例えば、各センサの計測範囲は、サブエリアよりも広くてもよく、各センサ20の計測範囲は、隣接するセンサ20間で一部が重複していてもよい。
【0030】
図1に示す位置計測システム1は、各センサで測定されたタグの位置に対し、センサ間の座標の差分を示す値(以下、「オフセット値」と言う。)を加えることで、エリアR100に存在するタグTの位置を、センサ20間で共通の座標系を用いて表現する。
【0031】
センサ20は、センサ20が備えるアンテナと、タグTとの間でやり取りされる無線通信の電波を利用して、センサ20とタグTとの距離(r)、センサ20とタグTとの水平角(Azimuth)及びセンサ20とタグTとの仰角(Elevation)をそれぞれ測定する。センサ20とタグTとの距離は、例えば、公知のToA(Time of Arrive)方式を用いて測定することができる。ToA方式では、送信機と受信機との間の電波の伝搬遅延時間を用いて、送信機と受信機との間の距離を測定する(距離=時間×光速)。
【0032】
センサ20とタグTとの水平角及び仰角は、例えば、公知のAoA(Angle of Arrival)方式を用いて測定することができる。AoA方式では、受信機の複数のアンテナを利用し、送信機から発信される電波を複数のアンテナで受信する際に生ずる電波信号の位相差を用いて送信機との角度を測定する。
【0033】
センサ20は、測定した距離、水平角及び仰角を、タグTの位置情報として情報処理装置10に送信する。
【0034】
情報処理装置10は、センサ20で計測されたタグTの位置情報を出力する。ここで、各センサ20は独自の座標系を備えているが、センサ20を、天井等に設置する際の設置位置の誤差(以下、「設置誤差」と言う)により、各センサ20が計測する位置情報にも誤差(以下、「計測差」と言う)が生じる可能性がある。そこで、情報処理装置10は、基準となるセンサ20と他のセンサ20との間の計測差に基づいて、他のセンサ20で計測される位置情報を、当該計測差が無い場合の正しい位置情報に補正するための1以上のパラメータ(以下、「補正用パラメータ」と言う。)を算出するようにしてもよい。また、情報処理装置10は、算出した1以上の補正用パラメータに基づいて、他のセンサ20により計測されたタグTの位置情報を、計測差が無い場合の正しい位置情報に補正するようにしてもよい。
【0035】
補正用パラメータには、例えば、基準センサ20の座標系を基準(0度)とした場合に、他のセンサの座標系が回転している角度(以下、「回転角」という。)が含まれる。このような回転角は、センサ20を設置する際、センサ20の水平角の基準方向(0度の方向)が、基準センサ20の水平角の基準方向からずれて設置されている場合に生じ得る。
【0036】
また、補正用パラメータには、例えば、基準センサの座標系のスケールを基準(つまり1)とした場合に、基準センサの座標系のスケール(寸法)と、他のセンサの座標系のスケールの比率を示す係数(以下、「スケール補正係数」と言う。)が含まれる。例えば、基準センサのxy座標のスケールは、1.0cm=1であるのに対し、他のセンサのxy座標のスケールは、1.1cm=1であるというケースが考えられる。このようなスケールの違いは、例えば、他のセンサ20の設置高さが、基準センサ20の設置高さと異なるような場合に生じ得る。
【0037】
なお、各センサが高精度に設置されており、回転角及びスケールの補正が不要である場合、センサ調整用タグは、隣接するサブエリア間で1つ存在すれば足りる。一方、回転角又はスケールの補正を行う場合、センサ調整用タグは、隣接するサブエリア間で少なくとも2つ存在する必要がある。
【0038】
<ハードウェア及び機能構成>
図2は、情報処理装置10のハードウェア及び機能構成の一例を示す図である。図2に示す情報処理装置10は、物理的な構成として、例えば、プロセッサ11と、通信インタフェース12と、記憶装置13と、を備える。
【0039】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などである。プロセッサ11は、記憶装置13に記憶されているプログラムを実行することで、情報処理装置10の各種機能を実現する。
【0040】
通信インタフェース12は、センサ20などを含む外部機器と接続して通信するためのインタフェースである。
【0041】
記憶装置13は、例えば、ディスクドライブ又は半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。記憶装置13は、情報処理装置10の各種機能を実現するためのプログラム及びそのプログラムで使用される各種のデータなどを記憶する。
【0042】
情報処理装置10は、機能的な構成として、例えば、取得部11a及び出力部11bを有する。取得部11a及び出力部11bについて、以下に説明する。
【0043】
取得部11aは、複数のセンサの各々の検知範囲に存在するタグTの位置を示す位置情報を取得する。
【0044】
出力部11bは、取得部11aで取得したタグTの位置情報を表す座標系を、複数のセンサのうち、基準となるセンサで用いられる座標系に変換した位置情報を出力する。
【0045】
出力部11bは、基準センサ20(第1センサ)から取得した位置情報については、座標系の変換をせずに位置情報を出力し、基準センサ20以外の他のセンサ20(第2センサ)から取得した位置情報については、当該他のセンサの座標系を基準センサ20の座標系に変換するためのオフセット値に基づいて、当該他のセンサから取得した位置情報を基準センサで用いられる座標系に変換して出力するようにしてもよい。また、出力部11bは、基準センサの位置情報と他のセンサの位置情報との間の設置誤差による計測差を補正するための1以上の補正用パラメータに基づいて、当該他のセンサから取得した位置情報を計測差が無い状態に補正し、補正した位置情報を、オフセット値に基づいて基準センサで用いられる座標系に変換して出力するようにしてもよい。
【0046】
計測範囲は、基準センサの計測範囲である第1計測範囲と、他のセンサの計測範囲である第2計測範囲を含んでいてもよい。取得部11aは、第1計測範囲及び第2計測範囲のうち重複する範囲に設置されるタグ(例えば、センサ調整用タグ)を基準センサで測定した第1位置情報と、当該タグを他のセンサで測定した第2位置情報とを取得するようにしてもよい。また、出力部11bは、第1位置情報と第2位置情報との差分を、オフセット値とするようにしてもよい。
【0047】
第1計測範囲及び第2計測範囲のうち重複する範囲に、第1タグと第2タグとが設置されていてもよい。取得部11aは、第1タグを基準センサで測定した第3位置情報と、第2タグを基準センサで測定した第4位置情報と、第1タグを他のセンサで測定した第5位置情報と、第2タグを他のセンサで測定した第6位置情報とを取得するようにしてもよい。また、出力部11bは、第3位置情報及び第4位置情報の間の距離と、第5位置情報及び第6位置情報の間の距離との比率を、スケール補正係数(1以上の補正用パラメータ)として算出するようにしてもよい。
【0048】
また、出力部11bは、第5位置情報及び第6位置情報に基づいて、基準センサの座標系を基準とした場合における他のセンサの座標系の回転角を算出するようにしてもよい。また、出力部11bは、算出した回転角を用いて、第5位置情報及び第6位置情報を、それぞれ、他のセンサの座標系が基準センサの座標系に対し回転角を有していないとした場合の座標である第7位置情報及び第8位置情報に変換するようにしてもよい。また、出力部11bは、第3位置情報及び第4位置情報の間の距離と、第7位置情報及び第8位置情報の間の距離との比率を、スケール補正係数(1以上の補正用パラメータ)として算出するようにしてもよい。また、出力部11bは、第3位置情報と第7位置情報との差分、若しくは、第4位置情報と第8位置情報との差分を、オフセット値として算出するようにしてもよい。
【0049】
<処理手順>
続いて、位置計測システム1が、補正用パラメータ及びオフセット値を算出し、算出した補正用パラメータ及びオフセット値に基づいて、タグTの位置情報(座標)を出力する際の処理手順を説明する。以下の説明では、便宜上、図1に示すセンサ20A及びセンサ20Bが、サブエリアR101及びサブエリアR102に存在するタグTの位置を計測する場合を想定して説明する。また、センサ20A及びセンサ20Bは、仰角が0度である方向が下方向(図1のz軸方向)と一致するように設置されている前提とする。また、センサ20Aは基準センサであり、センサ20Bは基準センサ以外の他のセンサであるものとする。
【0050】
また、以下の説明において、センサ20Aで計測されたタグT10の座標をT10A(x11、y11)と表す。また、センサ20Aで計測されたタグT11の座標をT11A(x12、y12)と表す。また、センサ20Bで計測されたタグT10の座標をT10B(x21、y21)と表す。また、センサ20Bで計測されたタグT11の座標をT11B(x22、y22)と表す。
【0051】
(補正用パラメータ及びオフセット値の算出)
図3は、位置計測システム1が、補正用パラメータ及びオフセット値を算出する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0052】
ステップS10で、センサ20Aは、タグT10及びタグT11の座標を計測し、計測した座標を情報処理装置10に送信する。続いて、情報処理装置10の出力部11bは、センサ20Aから受信したタグT10及びタグT11の座標を、三次元極座標から三次元直交座標に変換する。
【0053】
図4は、三次元極座標を説明するための図である。図4に示すように、タグTとの距離をrとし、タグTとの水平角をθとし、タグTとの仰角をφとし、これらを要素とするタグTの三次元極座標を(r、θ、φ)と表す。また、その極座標に対応するタグTの三次元直交座標を(x、y、z)と表す。三次元の極座標(r、θ、φ)を、三次元の直交座標(x、y、z)に変換する式は、以下の式(1)~式(3)により表すことができる。
x=r×cos(Φ)cos(θ) … (1)
y=r×cos(Φ)sin(θ) … (2)
z=r×sin(Φ) … (3)
【0054】
図3のステップS20で、センサ20Aに隣接するセンサ20Bは、タグT10及びタグT11の座標を計測し、計測した座標を情報処理装置10に送信する。続いて、情報処理装置10の出力部11bは、センサ20Bから受信したタグT10及びタグT11の座標を、三次元極座標から三次元直交座標に変換する。
【0055】
ステップS30で、情報処理装置10の出力部11bは、センサ20Bのxy座標が、センサ20Aのxy座標に対し回転している角度(以下、「回転角」と言う。)を算出する。
【0056】
ここで、回転角が0以外である場合の、センサ20Aのxy座標(20A-XY)及びセンサ20Bのxy座標(20B-XY)を図5に示す。軸Ax及び軸Ayは、それぞれ、センサ20Aの座標系におけるx軸及びy軸である。軸Bx及び軸Byは、それぞれ、センサ20Bの座標系におけるx軸及びy軸である。なお、軸By´は軸Ayと並行な軸を意味しており、軸Byと軸By´の角度差はαである。つまり、センサ20Bのxy座標(20B-XY)は、センサ20Aのxy座標(20A-XY)に対して反時計回りにα回転している。
xy座標(20B-XY´)は、センサ20Bのxy座標が回転していないと仮定した場合のxy座標を意味する。センサ20Bのxy座標が回転していない場合、図5に示すように、センサ20Bで計測したタグT10及びT11の座標は、座標20B-XY´の左上端及び左下端に位置するものとして計測される。しかしながら、センサ20Bのxy軸が回転していることで、センサ20Bで計測したタグT10及びT11の座標は、座標20B-XYの左上端及び左下端から、それぞれ右上及び左上にずれた位置で計測される。
【0057】
回転角αは、センサ20AでタグT10及びタグT11を計測した際の座標と、センサ20BでタグT10及びタグT11を計測した際の座標とを用いて、以下の式(4)により算出することができる。
α=tan-1(Δx/Δy) ・・・ (4)
Δx=x21-x22
Δy=y21-y22
【0058】
図3のステップS40で、情報処理装置10の出力部11bは、センサ20Bで計測された座標T10B及びT11Bと、回転角αとに基づいて、回転角αがゼロであった場合のセンサ20Bのxy座標(20B-XY´)で計測されるタグT10の座標T10B´(x21´、y21´)及びタグT11の座標T11B´(x22´、y22´)を算出する。座標T10B´及び座標T11B´は以下の式(5)~式(8)により算出することができる。
x21´=x21cos(α)-y21sin(α) ・・・ (5)
y21´=x21sin(α)+y21cos(α) ・・・ (6)
x22´=x22cos(α)-y22sin(α) ・・・ (7)
y22´=x22sin(α)+y22cos(α) ・・・ (8)
【0059】
ステップS50で、情報処理装置10の出力部11bは、センサ20A及びセンサ20B間のスケール補正係数を算出する。
【0060】
センサ20Aのxy座標のスケールと、センサ20Bのxy座標のスケールが異なる様子を図6に示す。xy座標(20B-XY´)は、センサ20Bのxy座標(20B-XY)のスケールを、センサ20Aのxy座標(20A-XY)のスケールと同一になるように補正した後のxy座標である。また、T10A及びT11Aは、センサ20Aで計測されたタグT10及びタグT11の座標を示し、T10B及びT11Bは、センサ20Bで計測されたタグT10及びタグT11の座標を示す。このように、センサ20Bのスケールが、センサ20Aのスケールと異なることから、センサ20A及びセンサ20Bで同一のタグTを計測した場合、当該タグTは異なる位置に存在するように計測されることになる。
【0061】
スケール補正係数は、以下の式(9)を用いて算出することができる。
スケール補正係数=(y11-y12)/(y21´-y22´) ・・・ (9)
【0062】
ステップS60で、情報処理装置10の出力部11bは、センサ20A及びセンサ20B間のオフセット値を算出する。
【0063】
オフセット値は、以下の式(10)乃至式(13)を用いて算出することができる。なお、式(10)及び式(12)で算出したオフセット値(x方向)は同一値になる。また、式(11)及び式(13)で算出したオフセット値(y方向)は同一値になる。したがって、オフセット値(x方向)を算出する場合、式(10)及び式(12)のいずれか一方を利用して算出してもよい。また、オフセット値(y方向)を算出する場合、式(11)及び式(13)のいずれか一方を利用して算出してもよい。
オフセット値(x方向)=x21´-x11 ・・・ (10)
オフセット値(y方向)=y21´-y11 ・・・ (11)
オフセット値(x方向)=x22´-x12 ・・・ (12)
オフセット値(y方向)=y22´-y12 ・・・ (13)
なお、図1図5及び図6におけるy軸方向のオフセット値はゼロである。y軸方向のオフセットがゼロ以外である場合とは、例えば、サブエリアがy軸方向にも並べられているようなケース(不図示)に該当する。
【0064】
以上説明した処理手順において、センサ20Bの設置位置及び設置方向が高精度で調整済みである場合など、センサ20Bの回転角αがゼロであることが予め判明している場合、ステップS30の処理手順及びステップS40の処理手順は省略されてもよい。この場合、式(9)は、「スケール補正係数=(y11-y12)/(y21-y22)」に置き換えられてもよい。
【0065】
また、センサ20Bの設置高さがセンサ20Aの設置高さと一致している場合など、センサ20Aとセンサ20Bのスケールが同一であることが予め判明している場合、ステップS50の処理手順は省略されてもよい。
【0066】
また、タグT10及びタグT11は、それぞれ、前述した第1タグ及び第2タグに対応してもよい。また、センサ20Aで計測されたタグT10及びタグT11の座標は、それぞれ、前述した第3位置情報及び第4位置情報に対応してもよい。また、センサ20Bで計測されたタグT10及びタグT11の座標は、それぞれ、前述した第5位置情報及び第6位置情報に対応してもよい。
【0067】
また、センサ20Bの回転角αがゼロであり、かつ、センサ20Aとセンサ20Bのスケールが同一であることが予め判明している場合、ステップS30乃至ステップS50の処理手順は省略されてもよい。この場合、タグT10又はタグT11の両方を設置する必要はなく、いずれか一方が設置されていればよい。つまり、情報処理装置10は、ステップS10及びステップS20の処理手順で、センサ20A及びセンサ20Bを用いて、タグT10(又はタグT11)座標を計測し、計測した2つの座標の差分を計算することで、オフセット値を算出するようにしてもよい。この場合、センサ20Aで計測されたタグT10(又はタグT11)の座標及びセンサ20Bで計測されたタグT10(又はタグT11)の座標は、それぞれ、前述した第1位置情報及び第2位置情報に対応してもよい。
【0068】
(タグ位置の計測)
図7は、位置計測システム1が、タグTの位置情報を出力する際の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0069】
ステップS100で、各センサ20は、計測範囲に存在するタグTの座標を計測し、計測した座標を、タグTの識別子と対応づけて情報処理装置10に送信する。続いて、情報処理装置10の出力部11bは、センサ20から受信したタグTの座標を、三次元極座標から三次元直交座標に変換する。
【0070】
ステップS110で、情報処理装置10の出力部11bは、受信したタグTの座標が、基準センサで測定された座標である場合はステップS120に進み、基準センサ以外の他のセンサで測定された座標である場合はステップS130に進む。
【0071】
ステップS120で、情報処理装置10の出力部11bは、受信したタグTの座標が、基準センサで測定された座標である場合、座標系の変換をせずに、受信した座標をそのまま出力する。
【0072】
ステップS130で、情報処理装置10の出力部11bは、測定されたタグTの座標、タグTの座標を測定したセンサの回転角、当該センサのスケール補正係数、及び、当該センサのオフセット値に基づいて、受信したタグTの座標を、共通の座標系に変換して出力する。受信したタグTの座標(x、y)を共通の座標系に変換した座標(x´、y´)は、以下の式(14)及び式(15)を利用して算出することができる。
x´=オフセット値(x方向)+(xcos(α)-ysin(α))×スケール補正係数・・・(14)
y´=オフセット値(y方向)+(xsin(α)+ycos(α))×スケール補正係数・・・(15)
なお、センサ20Bの回転角αがゼロであることが予め判明している場合、出力部11bは、式(14)及び式(15)におけるαに「0」を設定する。つまり、式(14)における「xcos(α)-ysin(α)」は「x」になり、式(15)における「xsin(α)+ycos(α)」は「y」になる。
【0073】
また、センサ20Aとセンサ20Bのスケールが同一であることが予め判明している場合、出力部11bは、スケール補正係数に「1」を設定する。
【0074】
(センサの設置位置の調整)
センサ20を天井等に設置する際、正確な座標測定を実現するためには、センサ20の仰角が0度である方向が下方向(図1のz軸方向)と一致するように、センサ20を設置する必要がある。本実施形態では、センサ20を設置する設置者が、センサ20を容易に設置可能にするため、センサ20は、仰角が0度である方向にレーザ光を発するようにしてもよい。設置者は、レーザ光の方向を確認しながらセンサ20の設置角度を適切に調整することが可能になる。
【0075】
また、他の方法として、図8に示すように、各サブエリアの4隅にタグTを設置し、センサ20から4隅のタグTまでの距離が同一になるようにセンサ20の位置及び向きを調整する方法が考えられる。このような設置方法に対応するため、情報処理装置10の取得部11aは、複数のセンサ20のうち調整対象のセンサ20で測定された、調整対象のセンサ20の設置位置を調整するために設置される4つのタグTの各々の位置情報を取得するようにしてもよい。また、出力部11bは、当該4つのタグの各々の位置情報を出力するようにしてもよい。出力する位置情報は、三次元極座標で表現されていてもよいし、三次元直交座標で表現されていてもよい。設置者は、4つのタグの位置情報を確認することで、調整対象のセンサの設置位置や方向を調整することが可能になる。
【0076】
<変形例>
以上説明した実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。また、上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。
【0077】
(変形例1)
センサ20の設置位置は、サブエリアの天井ではなく床であってもよい。また、センサ20の設置位置は、複数のサブエリア間において天井及び床の順に交互に設置するようにしてもよい。例えば図1の例において、センサ20A及びセンサ20Cは、サブエリアR101及びサブエリアR103の天井に設置され、センサ20BはサブエリアR102の床に設置されていてもよい。
【0078】
(変形例2)
以上説明した「(補正用パラメータ及びオフセット値の算出)」では、センサ20Aを基準センサとし、センサ20Bを他のセンサとした場合を例に説明したが、センサ20Bを基準センサとし、センサ20A及びセンサ20Cを他のセンサとするようにしてもよい。これにより、センサ20A、センサ20B及びセンサ20Cで計測されたタグTの座標を、共通の座標系(つまりセンサ20Bの座標系)で表現することが可能になる。
【0079】
(変形例3)
以上説明した実施形態において、情報処理装置10は、更に、センサ20Bを基準センサとした場合における、センサ20Cで計測されたタグTの座標を補正するための補正用パラメータ及びオフセット値の算出を行うようにしてもよい。また、情報処理装置10は、センサ20Cで計測されたタグTの座標を、センサ20Bを基準センサとした場合における補正用パラメータ及びオフセット値を用いて、センサ20Bの座標系に変換し、更に、変換された当該タグTの座標を、センサ20Aを基準センサとした場合における補正用パラメータ及びオフセット値を用いて、センサ20Aの座標系で表現された当該タグTの座標に変換するようにしてもよい。これにより、センサ20A、センサ20B及びセンサ20Cで計測されたタグTの座標を、共通の座標系(つまりセンサ20Bの座標系)で表現することが可能になる。
【0080】
<付記>
本実施形態における態様は、以下のような開示を含む。
【0081】
(付記1)
複数のセンサ(20)と、
情報処理装置(10)とを含み、
前記情報処理装置(10)は、
前記複数のセンサ(20)の各々の計測範囲に存在するタグの位置を示す位置情報を取得する取得部(11a)と、
前記位置情報の座標系を、前記複数のセンサ(20)のうち、基準となるセンサ(20)で用いられる座標系に変換した前記位置情報を出力する出力部(11b)と、を有する、
位置計測システム(1)。
【0082】
(付記2)
前記出力部(11b)は、
前記基準となるセンサ(20)である第1センサ(20)から取得した前記位置情報については、座標系の変換をせずに前記位置情報を出力し、
前記第1センサ(20)以外の第2センサ(20)から取得した前記位置情報については、前記第2センサ(20)の座標系を前記第1センサ(20)の座標系に変換するためのオフセット値に基づいて、前記第2センサ(20)から取得した前記位置情報を前記第1センサ(20)で用いられる座標系に変換して出力する、
付記1に記載の位置計測システム(1)。
【0083】
(付記3)
前記計測範囲は、前記第1センサ(20)の計測範囲である第1計測範囲と、前記第2センサ(20)の計測範囲である第2計測範囲を含み、
前記取得部(11a)は、前記第1計測範囲及び前記第2計測範囲のうち重複する範囲に設置される前記タグを前記第1センサ(20)で測定した第1位置情報と、前記タグを前記第2センサ(20)で測定した第2位置情報とを取得し、
前記出力部(11b)は、前記第1位置情報と前記第2位置情報との差分を、前記オフセット値とする、
付記2に記載の位置計測システム(1)。
【0084】
(付記4)
前記出力部(11b)は、前記第1センサ(20)の位置情報と前記第2センサ(20)の位置情報との間の設置誤差による計測差を補正するための1以上の補正用パラメータに基づいて、前記第2センサ(20)から取得した前記位置情報を前記計測差が無い状態に補正し、補正した前記位置情報を、前記オフセット値に基づいて前記第1センサ(20)で用いられる座標系に変換して出力する、
付記2又は3に記載の位置計測システム(1)。
【0085】
(付記5)
前記計測範囲は、前記第1センサ(20)の計測範囲である第1計測範囲と、前記第2センサ(20)の計測範囲である第2計測範囲を含み、
前記第1計測範囲及び前記第2計測範囲のうち重複する範囲に第1タグと第2タグとが設置され、
前記取得部(11a)は、前記第1タグを前記第1センサ(20)で測定した第3位置情報と、前記第2タグを前記第1センサ(20)で測定した第4位置情報と、前記第1タグを前記第2センサ(20)で測定した第5位置情報と、前記第2タグを前記第2センサ(20)で測定した第6位置情報とを取得し、
前記出力部(11b)は、前記第3位置情報及び前記第4位置情報の間の距離と、前記第5位置情報及び前記第6位置情報の間の距離との比率を、前記1以上の補正用パラメータとして算出する、
付記4に記載の位置計測システム(1)。
【0086】
(付記6)
前記出力部(11b)は、
前記第5位置情報及び前記第6位置情報に基づいて、前記第1センサ(20)の座標系を基準とした場合における前記第2センサ(20)の座標系の回転角を算出し、
算出した前記回転角を用いて、前記第5位置情報及び前記第6位置情報を、それぞれ、前記第2センサ(20)の座標系が前記第1センサ(20)の座標系に対し前記回転角を有していないとした場合の座標である第7位置情報及び第8位置情報に変換し、
前記第3位置情報及び前記第4位置情報の間の距離と、前記第7位置情報及び前記第8位置情報の間の距離との比率を、前記1以上の補正用パラメータとして算出する、
付記5に記載の位置計測システム(1)。
【0087】
(付記7)
前記取得部(11a)は、前記複数のセンサ(20)のうち調整対象のセンサ(20)で測定された、前記調整対象のセンサ(20)の設置位置を調整するために設置される4つのタグの各々の位置情報を取得し、
前記出力部(11b)は、前記4つのタグの各々の位置情報を出力する、
付記1から6のいずれか一つに記載の位置計測システム(1)。
【0088】
(付記8)
複数のセンサ(20)の各々の計測範囲に存在するタグの位置を示す位置情報を取得する取得部(11a)と、
前記位置情報の座標系を、前記複数のセンサ(20)のうち、基準となるセンサ(20)で用いられる座標系に変換した前記位置情報を出力する出力部(11b)と、
を備える、情報処理装置(10)。
【0089】
(付記9)
コンピュータに、
複数のセンサ(20)の各々の計測範囲に存在するタグの位置を示す位置情報を取得するステップと、
前記位置情報の座標系を、前記複数のセンサ(20)のうち、基準となるセンサ(20)で用いられる座標系に変換した前記位置情報を出力するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0090】
1 位置計測システム、10 情報処理装置、11 プロセッサ、11a 取得部、11b 出力部、12 通信インタフェース、13 記憶装置、20 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8