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特開2024-130634建材パネルの接合構造および建材パネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130634
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】建材パネルの接合構造および建材パネル
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/684 20060101AFI20240920BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20240920BHJP
   E04B 1/68 20060101ALI20240920BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20240920BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E04B1/684 E
E04B2/74 501K
E04B1/68 B
E04B2/56 621A
E04B1/94 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040474
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】596066482
【氏名又は名称】明正工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】永上 修一
【テーマコード(参考)】
2E001
2E002
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001DE01
2E001FA03
2E001FA16
2E001GA24
2E001HB01
2E001HD11
2E001HF01
2E001HF12
2E001MA02
2E002EA01
2E002EA02
2E002FB08
2E002GA04
2E002MA23
2E002MA36
(57)【要約】
【課題】芯材を有するサンドイッチ構造の建材パネルにおいて、芯材への水分の侵入を効果的に防止する。
【解決手段】互いに対向配置される一対の面材21、22と、面材21、22の間に挟まれて配置される芯材30と、を有するパネル10の第1の接合端部40を、隣接させた当該建材パネル10の第2の接合端部50に嵌合させて、パネル10どうしを接合する接合構造であって、第1の接合端部40と2の接合端部との間に、これら接合端部40、50双方の芯材30の露出面75、85を覆う防水層91、92を配置する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向配置される一対の面材と、前記一対の面材の間に挟まれて配置される芯材と、を有する建材パネルに設けられた第1の接合端部を、隣接させた当該建材パネルに設けられた第2の接合端部に嵌合させて、当該建材パネルどうしを接合する接合構造であって、
前記第1の接合端部と前記第2の接合端部との間に、これら第1の接合端部および第2の接合端部の双方の前記芯材の露出面を覆う防水層が配置されることを特徴とする建材パネルの接合構造。
【請求項2】
前記防水層は、防水性のシート部材であることを特徴とする請求項1に記載の建材パネルの接合構造。
【請求項3】
前記防水層は、防水性塗料による塗膜であることを特徴とする請求項1に記載の建材パネルの接合構造。
【請求項4】
前記防水層は、耐火性を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の建材パネルの接合構造。
【請求項5】
複数が接合される建材パネルであって、
互いに対向配置される一対の面材と、前記一対の面材の間に挟まれて配置される芯材と、第1の接合端部と、前記第1の接合端部に篏合される形状を有する第2の接合端部と、を有し、
前記第1の接合端部および前記第2の接合端部の少なくともいずれか一方に、当該第1の接合端部に当該第2の接合端部が篏合した状態で、これら第1の接合端部および第2の接合端部の双方の前記芯材の露出面を覆う防水層が設けられていることを特徴とする建材パネル。
【請求項6】
前記防水層は、防水性のシート部材であることを特徴とする請求項5に記載の建材パネル。
【請求項7】
前記防水層は、防水性塗料による塗膜であることを特徴とする請求項5に記載の建材パネル。
【請求項8】
前記防水層は、耐火性を有することを特徴とする請求項5~7のいずれかに記載の建材パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材パネルの接合構造および建材パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫等の屋根や外壁等を、複数の建材パネルを接合することによって簡易に施工する場合がある。例えば、一対の金属板からなる面材の間に断熱性を有する芯材を挟んだ金属サンドイッチパネルは、密閉性や断熱機能に優れるとともに、施工性が良好である。このような建材パネルを接合する構造としては、一端側の接合端部に形成した溝状の凹部に他端側の接合端部に形成した凸部を嵌合させる形態が知られている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-168820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記金属サンドイッチパネルの芯材が、透湿性や吸水性を有する断熱性材料で構成されている場合、その芯材が水蒸気や水滴などの水分を含むと、著しく断熱性能が低下したり面材の内側に錆が発生したりするため、改善の余地がある。
【0005】
そこで本発明は、芯材を有するサンドイッチ構造の建材パネルにおいて、芯材への水分の侵入を効果的に防止することができる建材パネルの接合構造および建材パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の建材パネルの接合構造は、互いに対向配置される一対の面材と、前記一対の面材の間に挟まれて配置される芯材と、を有する建材パネルに設けられた第1の接合端部を、隣接させた当該建材パネルに設けられた第2の接合端部に嵌合させて、当該建材パネルどうしを接合する接合構造であって、前記第1の接合端部と前記第2の接合端部との間に、これら第1の接合端部および第2の接合端部の双方の前記芯材の露出面を覆う防水層が配置されることを特徴とする。
【0007】
(2)本発明の建材パネルの接合構造おいては、前記防水層は、防水性のシート部材であることを含む。
【0008】
(3)本発明の建材パネルの接合構造おいては、前記防水層は、防水性塗料による塗膜であることを含む。
【0009】
(4)本発明の建材パネルの接合構造おいては、前記防水層は、耐火性を有することが好ましい。
【0010】
(5)本発明の建材パネルは、複数が接合される建材パネルであって、互いに対向配置される一対の面材と、前記一対の面材の間に挟まれて配置される芯材と、第1の接合端部と、前記第1の接合端部に篏合される形状を有する第2の接合端部と、を有し、前記第1の接合端部および前記第2の接合端部の少なくともいずれか一方に、当該第1の接合端部に当該第2の接合端部が篏合した状態で、これら第1の接合端部および第2の接合端部の双方の前記芯材の露出面を覆う防水層が設けられていることを特徴とする。
【0011】
(6)本発明の建材パネルにおいては、前記防水層は、防水性のシート部材であることを含む。
【0012】
(7)本発明の建材パネルにおいては、前記防水層は、防水性塗料による塗膜であることを含む。
【0013】
(8)本発明の建材パネルにおいては、前記防水層は、耐火性を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、芯材を有するサンドイッチ構造の建材パネルにおいて、芯材への水分の侵入を効果的に防止することができる建材パネルの接合構造および建材パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る建材パネルの接合構造が適用された外壁の一部を概略的に示す斜視図である。
図2】実施形態の建材パネルの横断面図である。
図3】実施形態の建材パネルの接合構造を示す横断面図である。
図4】他の実施形態の建材パネルの接合構造を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、実施形態の複数のパネル(建材パネル)10を横方向に接合して構築される外壁1の一部を示している。パネル10は長手方向を有する長方形の形状を有し、長手方向を上下方向に沿った状態で外壁1として組み込まれる。図2は、幅方向(短手方向)に沿ったパネル10の横断面を示している。図3は、横方向すなわち幅方向に接合される一対のパネル10の接合端部40、50どうしが接合された状態を示す横断面図である。
【0017】
図2に示すように、パネル10は、互いに対向配置される一対の金属製の面材21,22と、一対の面材21、22の間に挟まれて配置される芯材30と、を有する。すなわちパネル10は、2枚の面材21、22の間に芯材30が挟まれた金属サンドイッチパネルである。
【0018】
金属製の面材21、22は、例えば、カラー鋼板、フッ素鋼板、塩ビ鋼板、溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板:登録商標)、SUS等のステンレス板等の弾性を有する薄板材であるが、これらに限定されない。一方の面材21と他方の面材22は、材質が同じでもよく、異なっていてもよいが、同じである方が好ましい。面材21、22の厚さは、例えば0.35~1.2mm程度であるが、この範囲に限定されない。
【0019】
芯材30は、例えば、製鉄プロセスで得られるガラス状の鉄炉スラグに石灰等を混合して高温で溶解し生成されるロックウールや、グラスウール等の無機系人造繊維、あるいは、ポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレン等の有機系樹脂発泡材、さらにはこれら無機系繊維および有機系樹脂の組合せ等による材質が挙げられるが、これらに限定されない。無機系材料の場合、120~220kg/m程度の高密度に圧縮したものを素材として芯材30に成形される。芯材30を構成する材料は、概ね透湿性や吸水性を有する。
【0020】
芯材30の両面に各面材21、22が接着剤によって接着されてパネル10が構成される。その接着剤としては、面材21、22および芯材30の材質等に応じて選択され、例えば、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤等の樹脂系接着剤が用いられる。なお、芯材30が有機系樹脂発泡材の場合、面材21、22の間に配置した材料を発泡させ、面材21、22に自己接着させる場合もある。
【0021】
パネル10の全体寸法は任意であって、施工する外壁1に対応したものとされるが、例えば、長手方向(外壁1での上下方向)の寸法が900~13000mm程度、幅方向の寸法が400~1200mm程度、厚さが30~300mm程度である。
【0022】
図2および図3に示すように、パネル10は、幅方向の一端側(図2で右端側)および他端側(図2で左端側)のそれぞれに、第1の接合端部40および第2の接合端部50を有する。第1の接合端部40および第2の接合端部50のそれぞれは、互いに篏合する形状を有する。1枚のパネル10の第1の接合端部40に、そのパネル10に隣接させた他のパネル10の第2の接合端部50を篏合させて、パネル10どうしが接合される。
【0023】
第1の接合端部40には、パネル10の長手方向(図2で紙面表裏方向)に沿って延びる溝状の凹部41が形成され、さらに凹部41の底部41aに、長手方向に沿って延びる断面台形状の内側凸部42が形成されている。凹部41は、各芯材30の幅方向側端面から幅方向にそれぞれ突出する面材21、22の各突片部21a、22aにより形成されている。凹部41内の底部41aおよび内側凸部42は、芯材30を加工することにより形成されている。各突片部21a、22aは、面材21、22のそれぞれの幅方向の端部が内側に折り返し加工されることにより形成されている。内側凸部42は、パネル10の厚さ方向の中央に配置されている。底部41aから接合方向である幅方向外側に突出する内側凸部42の高さは、各突片部21a、22aの突出長さよりも小さく、凹部41から幅方向外側に突出してはいない。第1の接合端部40は、面材21、22で覆われずに芯材30が露出する第1の露出面45を有する。第1の露出面45は、底部41aおよび内側凸部42の表面を含む。
【0024】
第2の接合端部50には、パネル10の長手方向に沿って延びる凸部51が形成され、さらに凸部51には、長手方向に沿って延びる断面逆台形状の内側凹部52が形成されている。凸部51は、パネル10の厚さを、厚さ方向の両側から減じることで形成されている。内側凹部52は、パネル10の厚さ方向の中央に配置されている。凸部51の、内側凹部52を除く部分は各面材21、22で覆われている。内側凹部52は、芯材30を加工することにより形成されている。第2の接合端部50は、面材21、22で覆われずに芯材30が露出する第2の露出面55を有する。第2の露出面55は、内側凹部52の底面を含む。
【0025】
第1の接合端部40には、第1の防水層61が設けられている。第1の防水層61は、芯材30の第1の露出面45の全面を覆っている。第1の防水層61は、第1の露出面45が露出しないように、第1の接合端部40に配置されている各面材21、22の一部を覆い、さらに第1の露出面45の全面を覆っている。第1の防水層61は、第1の露出面45および各面材21、22に密着するように、第1の露出面45の形状に沿って屈曲している。
【0026】
第2の接合端部50には、第2の防水層62が設けられている。第2の防水層62は、芯材30の第2の露出面55の全面を覆っている。第2の防水層62は、第2の露出面55が露出しないように、第2の接合端部50に配置されている各面材21、22の一部を覆い、さらに第2の露出面55の全面を覆っている。第2の防水層62は、第2の露出面55および各面材21、22に密着するように、第2の露出面55の形状に沿って屈曲している。
【0027】
第1の防水層61および第2の防水層62は、いずれも防水性を有し、各接合端部40、50において、外部から芯材30への水分の侵入を防ぐ機能を有する。第1の防水層61および第2の防水層62は、そのような防水機能を有していればいかなるものであってよい。例えば、防水性のシート部材が貼着されて構成されてよく、そのようなシート部材としては、可撓性を有する樹脂テープ、アルミニウム等の金属製の薄膜テープ等が挙げられるが、これらに限定されない。また、防水性塗料を塗布して形成される塗膜であってもよい。さらに、芯材30が耐火性を有する場合、各防水層61、62は耐火性を有することが好ましい。耐火性を有する防水層としては、限定はされないが、例えば、ペースト状の耐火シール材、または耐火塗料を塗布し乾燥させるなどによって形成されるものであってよい。
【0028】
図3に示すように、一方(図3で左側)のパネル10の第1の接合端部40に、当該一方のパネル10に隣接させた他方(図3で左側)のパネル10の第2の接合端部50を篏合させて、一対のパネル10が横方向に接合される。詳しくは、第1の接合端部40の凹部41に第2の接合端部50の凸部51を嵌合させるとともに、第2の接合端部50の内側凹部52に第1の接合端部40の内側凸部42を嵌合させる。
【0029】
ここで、各接合端部40、50の間には、第1の接合端部40側に第1の防水層61が配置され、第2の接合端部50側に第2の防水層62が配置され、各防水層61、62が近接する。場合によって各防水層61、62は、少なくとも一部どうしが接触する。すなわちパネル10の接合構造としては、各接合端部40、50の間に、これら接合端部40、50の双方の露出面45、55を覆う防水層61、62が配置されている。
【0030】
上記実施形態によれば、複数のパネル10が接合されて外壁1が構築された状態で、パネル10の間の目地から雨水等の水分が侵入しても、第1の防水層61および第2の防水層62により、水分が芯材30に侵入することが効果的に防止される。芯材30が透湿性や吸水性を有する断熱性材料で構成されている場合、芯材30が水蒸気や水滴などの水分を含むと著しく断熱性能が低下するが、実施形態のパネル10は、そのような不具合は起こらず、断熱性能は保持される。また、各面材21、22の内側に錆が発生する事態も起こりにくい。
【0031】
各防水層61、62が、防水性のシート部材で構成される場合、あるいは防水性塗料による塗膜である場合、各接合端部40、50への配置を容易に行うことができる。したがって施工前に予めそれら防水層61、62を設けておくことができるため、施工時間の短縮等が図られ、施工性が向上する。防水層61、62が耐火性を有する場合、火事発生の場合などにおいて防水層61、62の高温による損傷を抑えることができ、芯材30の防水性を保持しやすい。
【0032】
次いで、図4を参照して、接合端部の形態が上記実施形態と異なる他の実施形態の建材パネルおよびその接合構造を説明する。以下の説明では、上記実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0033】
図4は、当該実施形態のパネル10の、幅方向両端の第1の接合端部40と第2の接合端部50とを篏合させて、一対のパネル10を接合した接合構造を示している。第1の接合端部40および第2の接合端部50のそれぞれは、互いに篏合する形状を有する。パネル10は、図1に示したように外壁1を構築する。図4では、屋外側を矢印Xで示し、屋内側を矢印Yで示している。この場合のパネル10は、屋外側に面材21が配置され、屋内側に面材22が配置される。
【0034】
第1の接合端部40は、屋外側の第1の凸部71および屋内側の第2の凸部72と、第1の凸部71と第2の凸部72との間の溝状の凹部73と、を有する。各凸部71、72および凹部73のそれぞれは、パネル10の長手方向(図3で紙面表裏方向)に沿って延びている。パネル10の幅方向外側に突出する各凸部71、72は、第2の凸部72の方が第1の凸部71よりも突出高さが大きい。第1の凸部71は、面材21の折り返し加工により形成されている。第2の凸部72は、芯材30および面材22により形成されている。第2の凸部72は、芯材30の屋外側の面および幅方向側端面が、面材21、22で覆われず外部に露出する。第1の接合端部40は、面材21、22で覆われずに芯材30が露出する第1の露出面75を有する。第1の露出面75は、第2の凸部72の屋外側の面および側端面を含む。
【0035】
第1の接合端部40の屋外側の面には、厚さが減じる表側段部48が形成され、屋内側の面には、厚さが減じる裏側段部49が形成されている。面材21は、表側段部48から第1の凸部71に連続し、さらに凹部73の底部を覆っている。面材22は、裏側段部49から第2の凸部72に連続し、第2の凸部72の屋内側の面および幅方向側端面の一部を覆っている。
【0036】
第2の接合端部50は、溝状の第1の凹部81および第2の凹部82と、これら凹部81、82の間の凸部83と、を有する。さらに第2の接合端部50は、屋外側カバー部84Aと、屋内側カバー部84Bと、を有する。各凹部81、82、凸部83、各カバー部84A、84Bのそれぞれは、パネル10の長手方向に沿って延びている。
【0037】
屋外側カバー部84Aは、面材21が幅方向外側に所定長さ延びる折り返し加工されることにより形成されている。屋外側カバー部84Aを形成する面材21は、第1の凹部81および凸部83を連続して形成している。
【0038】
屋内側カバー部84Bは、面材22が幅方向外側に所定長さ延びる折り返し加工されることにより形成されている。屋内側カバー部84Bの先端内側には、膨らみ部84bが形成されている。第2の凹部82は、屋内側カバー部84Bと芯材30の凸部86とに囲まれて形成されている。
【0039】
第1の凹部81と第2の凹部82とは、パネル10の幅方向で互いにずれており、第1の凹部81の方が第2の凹部82よりも幅方向外側に位置する。屋外側カバー部84Aと屋内側カバー部84Bも、パネル10の幅方向で互いにずれており、屋外側カバー部84Aの方が屋内側カバー部84Bよりも幅方向外側に位置する。
【0040】
第2の凹部82の底面と、芯材30の凸部86の内側側面および幅方向側端面は、面材21、22で覆われず外部に露出している。第2の接合端部50は、面材21、22で覆われずに芯材30が露出する第2の露出面85を有する。第2の露出面85は、第2の凹部82の底面と、芯材30の凸部86の内側側面および幅方向側端面を含む。
【0041】
第1の接合端部40には第1の防水層91が設けられている。第1の防水層91は、芯材30の第1の露出面75の全面を覆っている。第1の防水層91は、第1の露出面75が露出しないように、第1の接合端部40に配置されている各面材21、22の一部を覆い、さらに第1の露出面75全面を覆っている。第1の防水層91は、第1の露出面75および各面材21、22に密着するように、第1の露出面75の形状に沿って屈曲している。
【0042】
第2の接合端部50には第2の防水層92が設けられている。第2の防水層92は、芯材30の第2の露出面85の全面を覆っている。第2の防水層92は、第2の露出面85が露出しないように、第2の接合端部50に配置されている各面材21、22の一部を覆い、さらに第2の露出面85の全面を覆っている。第2の防水層92は、第2の露出面85および各面材21、22に密着するように、第2の露出面85の形状に沿って屈曲している。
【0043】
図4に示すように、一方(図4で左側)のパネル10の第1の接合端部40に、当該一方のパネル10に隣接させた他方(図4で右側)のパネル10の第2の接合端部50を篏合させて、一対のパネル10が横方向に接合される。この場合、先に図4の左側のパネル10を、胴縁等の図示しない支持部材に固定し、固定したそのパネル10の第1の接合端部40に、次に接合するパネル10の第2の接合端部50を篏合させる。胴縁等の支持部材へのパネル10の固定は、第1の接合端部40に貫通させたビス100により行う。ビス100は、屋外側の表側段部48から第1の接合端部40を貫通させて、当該支持部材に締結される。
【0044】
各接合端部40、50においては、第1の接合端部40の第1の凸部71が第2の接合端部50の第1の凹部81に嵌合し、第2の接合端部50の凸部83が第1の接合端部40の凹部73に嵌合する。このように嵌合する際に、第2の接合端部50の凸部83が第1の凹部81に弾性的に当接しながら嵌合する。第2の接合端部50の屋外側カバー部84Aは、第1の接合端部40の表側段部48に収まり、この表側段部48を覆う。また、第1の接合端部40の第2の凸部72は、第2の接合端部50の第2の凹部82に嵌合する。この状態で、屋内側カバー部84Bの膨らみ部84bが裏側段部49に弾性的に当接するとともに、屋内側カバー部84Bは、裏側段部49に収まり、この裏側段部49を覆う。接合端部40、50の間に隙間が空く場合、適宜箇所に止水パッキン110が配置される。
【0045】
ここで、各接合端部40、50の間には、第1の接合端部40側に第1の防水層91が配置され、第2の接合端部50側に第2の防水層92が配置され、各防水層91、92が近接する。場合によって各防水層91、92は、少なくとも一部どうしが接触する。すなわちパネル10の接合構造としては、各接合端部40、50の間に、これら接合端部40。50双方の露出面75、85を覆う防水層91、92が配置されている。また、ビス100の頭部100aは、第1の接合端部40の屋外側の面材21の表側段部48上に配置される。そして、ビス100の頭部100aは、第2の接合端部50の、屋外側の面材21の屋外側カバー部84Aで覆われ、外部から目視不可能となる。
【0046】
上記実施形態と同様に、第1の防水層91および第2の防水層92は防水性を有する。各接合端部40、50において、外部から芯材30への水分の侵入が各防水層91、92によって防止される。各防水層91、92は、防水性のシート部材、防水性塗料による塗膜等で構成される。さらに各防水層91、92は、耐火性を有していてもよい。
【0047】
上記のように、この実施形態によっても、第1の防水層91および第2防水層92によって水分が芯材30に侵入することが防止される。これにより、芯材30が透湿性や吸水性を有する断熱性材料で構成されている場合においては芯材30の断熱性能が保持されるとともに、面材21、22の錆の発生が抑制される。各防水層91、92が耐火性を有する場合には、火事発生の場合などにおいて各防水層91、92の高温による損傷を抑えることができ、芯材30の防水性を保持しやすい。
【0048】
本発明は上記各実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、互いに篏合する第1の接合端部40および第2の接合端部50の双方に防水層が設けられているが、防水層はいずれか一方の接合端部に設けられ、各接合端部40、50が接合した状態で、その1つの防水層により、接合される2枚のパネル10の双方の芯材30の露出面が一括して覆われる形態であってもよい。
【0049】
防水層は、パネル10の幅方向両端の各接合端部40、50に設けられるほかに、パネル10の長手方向両端において露出する芯材30の端面を覆う防水層を設けてもよい。すなわち、パネル10の四辺の端面の全てに、芯材30を露出させず芯材30への水分の侵入を防ぐ防水層を設けてもよい。
【0050】
接合端部の形態は上記各実施形態に限定されず、種々の形状の接合端部において芯材が露出する形態であれば、本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 建材パネル
21、22 面材
30 芯材
40 第1の接合端部
50 第2の接合端部
61、91 第1の防水層
62、92 第2の防水層
図1
図2
図3
図4