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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130648
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】芝刈機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/68 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A01D34/68 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040497
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】松澤 康平
(72)【発明者】
【氏名】松田 広志
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA01
2B083CA02
2B083CA09
2B083CA27
2B083DA03
2B083DA07
2B083FA06
2B083FA09
2B083FA14
2B083FA16
2B083FA18
(57)【要約】
【解決手段】芝刈機10Aは、芝草を刈るためのカッタブレード15と、カッタブレード15を覆うハウジング12と、ハウジング12内においてカッタブレード15よりも前方にある対象領域に上昇気流を形成する気流形成装置40Aとを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動され、芝草を刈るためのカッタブレードと、
下方に開口し、前記カッタブレードを覆うハウジングと、
前記ハウジング内において前記カッタブレードよりも前方にある対象領域に上昇気流を形成する気流形成装置と、
を備える、芝刈機。
【請求項2】
請求項1記載の芝刈機において、
前記気流形成装置は、前記ハウジングの前部に設けられた吸引開口構造を有し、
前記吸引開口構造は、前記対象領域と連通し、前記対象領域から空気を吸引する、芝刈機。
【請求項3】
請求項2記載の芝刈機において、
前記気流形成装置は、
前記吸引開口構造と連通し、前記ハウジングの外部に設けられた吸引通路と、
前記吸引通路から空気を吸引するファン装置と、を有する、芝刈機。
【請求項4】
請求項2記載の芝刈機において、
前記気流形成装置は、
前記吸引開口構造と連通し、前記ハウジングの外部に設けられた通気路と、
ベンチュリ効果による負圧が前記吸引開口構造に発生するように、前記通気路に気流を発生させるファン装置と、を有する、芝刈機。
【請求項5】
請求項4記載の芝刈機において、
前記通気路は、前記ハウジングの前端部に向けて空気を送出する出口開口を有する、芝刈機。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1項に記載の芝刈機において、
前記吸引開口構造は、複数の吸引口を有する、芝刈機。
【請求項7】
請求項1記載の芝刈機において、
前記気流形成装置は、
前記対象領域に向けて第1方向に空気を送出する第1送風部と、
前記対象領域に向けて前記第1方向とは逆方向の第2方向に空気を送出する第2送風部と、を有する、芝刈機。
【請求項8】
請求項7記載の芝刈機において、
前記第1方向は、前記ハウジングの前端から前記カッタブレードへと向かう方向であり、
前記第2方向は、前記カッタブレードから前記ハウジングの前記前端へと向かう方向である、芝刈機。
【請求項9】
請求項7記載の芝刈機において、
前記第1方向は、前記芝刈機の幅方向における右側から中央へと向かう方向であり、
前記第2方向は、前記芝刈機の前記幅方向における左側から前記中央へと向かう方向である、芝刈機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギーの効率化に貢献する技術として、二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関する研究開発が行われている。エネルギーの効率化に貢献する技術は、より多くの人々が手ごろで信頼できる持続可能且つ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするために有用である。近年、二次電池を搭載した芝刈機の研究開発も行われている。
【0003】
芝刈機は、芝草に沿ってカッタブレードを回転させることにより、芝草を刈る作業機である。芝刈機により芝草を刈る際、芝草が倒れていると均一に芝草を刈ることができず、芝草を刈り取った後の芝面が不均一になる。そこで、例えば下記特許文献1では、翼部を有するカッタブレードを開示している。カッタブレードの回転に伴って、翼部により上昇気流が発生し、上昇気流によって芝草が起立する。起立させた芝草を刈るため、芝草を刈り取った後の芝面を均一にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-145648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カッタブレードの回転中心よりも後方は、芝草がすでに刈り取られた領域であるため、上昇気流は不要である。翼部を有するカッタブレードを採用した場合、カッタブレードの回転中心よりも後方にも上昇気流が発生する。その分、カッタブレードを回転させるためのエネルギー消費量が多くなる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、回転駆動され、芝草を刈るためのカッタブレードと、下方に開口し、前記カッタブレードを覆うハウジングと、前記ハウジング内において前記カッタブレードよりも前方にある対象領域に上昇気流を形成する気流形成装置と、を備える、芝刈機である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の芝刈機によれば、気流形成装置が、ハウジング内におけるカッタブレードの前方に上昇気流を発生させるため、芝刈機の前進走行時にハウジングの前部によって芝草が倒れても、カッタブレードの前方で芝草を起立させることができる。このため、芝草を均一な高さで刈ることができる。また、カッタブレードの前方(対象領域)のみに上昇気流を形成するため、上昇気流を形成するためにカッタブレードに翼部(エアリフト部)を設けた構成と比較して、エネルギー損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る芝刈機の側面図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る芝刈機における気流形成装置及びその周辺の構造説明図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係る芝刈機の平面図である。
図4図4は、本発明の第2実施形態に係る芝刈機における気流形成装置及びその周辺の構造説明図である。
図5図5は、本発明の第2実施形態に係る芝刈機の平面図である。
図6図6は、本発明の第3実施形態に係る芝刈機における気流形成装置及びその周辺の構造説明図である。
図7図7は、本発明の第3実施形態に係る芝刈機の平面図である。
図8図8は、本発明の第4実施形態に係る芝刈機における気流形成装置及びその周辺の構造説明図である。
図9図9は、本発明の第4実施形態に係る芝刈機の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
図1に示す芝刈機10Aは、芝草GR(図2参照)を刈る歩行型自走式作業機である。図1(及び図2図9)において、矢印Frは芝刈機10Aの前方(作業者から見た前方と同じ)を示し、矢印Rrは芝刈機10Aの後方(作業者から見た後方と同じ)を示す。
【0011】
芝刈機10Aは、機体を構成するハウジング12と、ハウジング12の前部121に配置された左右の前輪14Fと、ハウジング12の後部に配置された左右の後輪14Rと、ハウジング12内に収納された芝刈用のカッタブレード15とを備える。ハウジング12は、地面G(芝地)に向かい合う部分だけが下方に開放されたケーシングである。芝刈機10Aは、ハウジング12の上部に配置された駆動源16と、ハウジング12から後方に延出した操作ハンドル18とをさらに備える。
【0012】
芝刈機10Aは、駆動源16によってカッタブレード15を平面視で時計回り方向(図3中の矢印R方向)に回転させることにより、芝刈機10Aの下方に存在する芝草GRを刈り取る。このとき、ハウジング12内にカッタブレード15と同方向に旋回する空気の流れ(旋回風)を発生させる。この旋回風により、カッタブレード15によって刈った芝草GRを、ハウジング12内に形成された刈り芝搬出通路13(図3参照)を介して刈り芝収納体20に送り込んで収納する。以下、カッタブレード15によって刈られた芝草GRのことを「刈り芝」という場合がある。
【0013】
図3において、刈り芝搬出通路13には、図示しない操作レバーによって操作可能なモード切換ダンパ19が設けられている。モード切換ダンパ19の開閉状態の切換えによって、刈り芝を刈り芝収納体20に収納するバギングモードと、刈り芝をハウジング12の下方に排出するマルチングモードとに選択的に切換え可能となっている。
【0014】
図1において、ハウジング12の上方に駆動源16が配置されている。芝刈機10Aでは、駆動源16として電動モータ16Aが搭載されている。このため、ハウジング12の上方で電動モータ16Aの前方には、電動モータ16Aに電力を供給するバッテリ17が配置されている。駆動源16及びバッテリ17がケース11内に収容されている。バッテリ17は、電動モータ16Aの後方に配置されてもよく、あるいは、電動モータ16Aの右方又は左方に配置されてもよい。駆動源16は、電動モータ16Aに限らず、例えばエンジン(内燃機関)が用いられてもよい。駆動源16は、下方に突出するとともにハウジング12内まで延出した出力シャフト16aを有する。
【0015】
駆動源16で発生させた駆動力は、出力シャフト16aに連結された走行動力伝達機構24及び変速機25を介して、走行駆動力として左右の後輪14Rに伝達される。従って、左右の後輪14Rは、駆動輪として構成されている。走行動力伝達機構24は、例えば、ベルト機構である。
【0016】
カッタブレード15は、駆動源16の出力シャフト16aの下端に、ブレードホルダ32を介して連結されており、出力シャフト16aから回転駆動力が伝達されて回転する。カッタブレード15の両端部において回転方向側の前縁に、鋭利な刃先を有する刃部150(図3参照)が形成されている。
【0017】
ブレードホルダ32は、カッタブレード15の中心部に取り付けられている。ブレードホルダ32は、出力シャフト16aの下端部に、出力シャフト16aと同軸に連結されている。以下、カッタブレード15の回転軸線を「ブレード回転軸線a1」という。第1実施形態において、ブレード回転軸線a1は、鉛直軸に対して前方に僅かに傾斜している。このため、カッタブレード15は、カッタブレード15の回転時における前側が後側よりも低くなるように、水平面に対して僅かに傾斜した状態で回転する。なお、ブレード回転軸線a1は、鉛直方向と平行でもよい。
【0018】
図2に示すように、芝刈機10Aは、ハウジング12内においてカッタブレード15よりも前方にある対象領域TAに上昇気流FLを形成する気流形成装置40Aをさらに備える。対象領域TAは、ハウジング12の前端壁122と、カッタブレード15の回転軌跡BL(図3参照)との間の領域である。
【0019】
気流形成装置40Aは、ハウジング12の前部121に設けられた吸引開口構造42と、ハウジング12の外部に設けられた吸引通路44と、吸引通路44から空気を吸引するファン装置48とを有する。ハウジング12の前部121は、回転時におけるカッタブレード15の最前部よりも前方に設けられている。
【0020】
吸引開口構造42は、対象領域TAと連通し、対象領域TAから空気を吸引する。吸引開口構造42は、前部121を構成する壁の厚み方向に貫通する。吸引開口構造42は、対象領域TAの直上に設けられている。図3に示すように、吸引開口構造42は、芝刈機10Aの幅方向(左右方向)に配列された複数の吸引口421を有する。吸引開口構造42は、芝刈機10Aの幅方向に延在する。吸引開口構造42は、多数の小さい吸引口421が芝刈機10Aの幅方向及び前後方向にそれぞれ配列されたメッシュ構造であってもよい。
【0021】
図2に示すように、ハウジング12には前部121を覆うように吸引ダクト部材46が固定されている。吸引ダクト部材46の内部に吸引通路44が形成されている。吸引通路44は、吸引開口構造42と連通している。従って、吸引通路44は、吸引開口構造42を介して対象領域TAと連通している。図3に示すように、吸引ダクト部材46は、吸引開口構造42を覆うダクト本体461と、ダクト本体461の左右一方側から後方に延びる延出部462とを有する。延出部462の内部にファン装置48が配置されている。
【0022】
図2に示すように、ファン装置48は、吸引ダクト部材46内の下流領域に配置されている。ファン装置48は、バッテリ17からの電力供給を受けて駆動する。ファン装置48の駆動により、吸引開口構造42及び吸引通路44を介して対象領域TAから空気が吸引され、吸引ダクト部材46の出口開口460から空気が排出される。
【0023】
芝刈機10Aは、以下のように使用される。
【0024】
図1に示す芝刈機10Aにおいて、駆動源16が回転すると、駆動源16の回転駆動力がカッタブレード15と後輪14Rとに伝達される。これにより、カッタブレード15がブレード回転軸線a1を中心に回転するとともに、後輪14Rの駆動によって芝刈機10Aが前進走行する。芝刈機10Aの前進走行中、回転するカッタブレード15によって、芝刈機10Aの真下の芝地に生えた芝草GRが刈り取られる。刈り取られた芝草GR(刈り芝)は、カッタブレード15の回転に伴って発生した搬送風(旋回風)によって、ハウジング12内に形成された刈り芝搬出通路13(図3参照)を介して刈り芝収納体20に送り込まれる。
【0025】
第1実施形態は、以下の効果を奏する。
【0026】
図2に示すように、芝刈機10Aは、ハウジング12内においてカッタブレード15よりも前方にある対象領域TAに上昇気流FLを形成する気流形成装置40Aを備える。この気流形成装置40Aが、ハウジング12内におけるカッタブレード15の前方に上昇気流FLを発生させるため、芝刈機10Aの前進走行時にハウジング12の前端壁122によって芝草GRが倒れても、カッタブレード15の前方で芝草GRを起立させることができる。このため、芝草GRを均一な高さで刈ることができる。また、カッタブレード15の前方(対象領域TA)のみに上昇気流FLを形成するので、上昇気流FLを形成するためにカッタブレード15に翼部(エアリフト部)を設けた構成と比較して、エネルギー損失を低減することができる。
【0027】
気流形成装置40Aは、ハウジング12の前部121に設けられた吸引開口構造42を有する。吸引開口構造42は、対象領域TAと連通し、対象領域TAから空気を吸引する。この構成により、吸引開口構造42を介してハウジング12内の対象領域TAから空気を吸引するため、カッタブレード15の前方に上昇気流FLを良好に発生させることができる。
【0028】
気流形成装置40Aは、吸引開口構造42と連通し、ハウジング12の外部に設けられた吸引通路44と、吸引通路44から空気を吸引するファン装置48とをさらに有する。この構成により、吸引開口構造42を介して吸引通路44から空気を吸引するため、カッタブレード15の前方に上昇気流FLを良好に発生させることができる。
【0029】
図3に示すように、吸引開口構造42は、複数の吸引口421を有する。吸引開口構造42が比較的小さい複数の吸引口421に分割されているため、サッチ(刈り草、冬枯れした葉等)の吸引が抑制される。これにより、吸引開口構造42の下流に設けられたファン装置48を保護することができる。
【0030】
[第2実施形態]
図4に示すように、第2実施形態に係る芝刈機10Bは、ハウジング12内においてカッタブレード15よりも前方にある対象領域TAに上昇気流FLを形成する気流形成装置40Bを備える。気流形成装置40Bは、ハウジング12の前部121に設けられた吸引開口構造52と、ハウジング12の外部に設けられた通気路54と、通気路54に気流を発生させるファン装置58とを有する。
【0031】
吸引開口構造52は、対象領域TAと連通し、対象領域TAから空気を吸引する。通気路54は、吸引開口構造52と連通する。図5に示すように、吸引開口構造52は、芝刈機10Bの幅方向(左右方向)に配列された複数の吸引口521を有する。吸引開口構造52は、芝刈機10Bの左右方向に延在する。吸引開口構造52は、多数の小さい吸引口521が芝刈機10Bの幅方向及び前後方向にそれぞれ配列されたメッシュ構造であってもよい。
【0032】
図4に示すように、通気路54は、ハウジング12の前端下部に向けて空気を送出する出口開口541を有する。ハウジング12には前部121を覆うように通気ダクト部材56が固定されている。通気ダクト部材56の内部に通気路54が形成されている。通気路54は、吸引開口構造52と連通している。従って、通気路54は、吸引開口構造52を介して対象領域TAと連通している。
【0033】
図5に示すように、通気ダクト部材56は、吸引開口構造52を覆うダクト本体561と、ダクト本体561の左右一方側から後方に延びる延出部562とを有する。延出部562の内部にファン装置58が配置されている。
【0034】
図4に示すように、ファン装置58は、通気ダクト部材56内の上流領域に配置されている。ファン装置58は、バッテリ17からの電力供給を受けて駆動する。ファン装置58は、ベンチュリ効果による負圧が吸引開口構造52に発生するように、通気路54に気流を発生させる。具体的には、ファン装置58の駆動により、通気路54内で出口開口541に向かって空気が流れる。通気路54内の空気の流れが、吸引開口構造52を介して、対象領域TAから空気を通気路54内に引き込む。
【0035】
第2実施形態は、以下の効果を奏する。
【0036】
気流形成装置40Bは、吸引開口構造52と連通し、ハウジング12の外部に設けられた通気路54と、ベンチュリ効果による負圧が吸引開口構造52に発生するように、通気路54に気流を発生させるファン装置58とを有する。このように気流形成装置40Bが構成されるため、ベンチュリ効果による負圧によって、カッタブレード15の前方に上昇気流FLを良好に発生させることができる。
【0037】
通気路54は、ハウジング12の前端部に向けて空気を送出する出口開口541を有する。この構成により、ハウジング12内に入る直前の芝草GRの倒れ方向を揃えて、カッタブレード15に向かう方向に芝草GRが傾くように、芝草GRを押し込むことができる。
【0038】
なお、第2実施形態のうち、第1実施形態と共通する部分については、第1実施形態と同一又は同様の作用及び効果が得られる。
【0039】
[第3実施形態]
図6に示すように、第3実施形態に係る芝刈機10Cは、ハウジング12内においてカッタブレード15よりも前方にある対象領域TAに上昇気流FLを形成する気流形成装置40Cを備える。気流形成装置40Cは、対象領域TAに向けて第1方向に空気を送出する第1送風部61と、対象領域TAに向けて第1方向とは逆方向の第2方向に空気を送出する第2送風部62とを有する。
【0040】
第3実施形態において、第1方向は、ハウジング12の前端からカッタブレード15へと向かう方向であり、第2方向は、カッタブレード15からハウジング12の前端へと向かう方向である。従って、第1送風部61は、後方に向かって空気を送出する。第2送風部62は、第1送風部61よりも後方且つカッタブレード15の下方に配置されており、前方に向かって空気を送出する。
【0041】
気流形成装置40Cは、第1送風部61及び第2送風部62に空気を供給する送気ダクト部材66と、送気ダクト部材66内に配置されたファン装置68(第1ファン装置681及び第2ファン装置682)とを有する。送気ダクト部材66はハウジング12の外面に固定されている。
【0042】
図7に示すように、送気ダクト部材66は、平面視で略U字状に構成されたダクト本体661と、ダクト本体661から左右にそれぞれ分岐した一対の分岐ダクト662とを有する。図6に示すように、ダクト本体661は、ハウジング12の前部121まで延びて、ハウジング12の前部121を覆う。ダクト本体661の先端は、ハウジング12の先端下部まで達する。ダクト本体661の内部に通気路64が形成されている。
【0043】
図7に示すように、ダクト本体661は、右側ダクト66Rと、左側ダクト66Lと、右側ダクト66R及び左側ダクト66Lの先端に連なる集合ダクト66Cとを有する。右側ダクト66Rの通気路64における上流領域に第1ファン装置681が配置されている。左側ダクト66Lの通気路64における上流領域に第2ファン装置682が配置されている。
【0044】
ダクト本体661の下流端に第1送風部61が設けられている。第1送風部61は、芝刈機10Cの幅方向(左右方向)に延在する。第1送風部61は、芝刈機10Cの幅方向に間隔を置いて設けられた複数の第1吹出開口610を有する。第1吹出開口610は、後方に開口する。第1吹出開口610は、後方に向かって(第2送風部62に向かって)空気を吹き出す。なお、第1吹出開口610は、芝刈機10Cの幅方向に延在する一本のスリット状開口であってもよい。
【0045】
一対の分岐ダクト662の下流端に第2送風部62が設けられている。第2送風部62は、管状部材により構成されており、芝刈機10Cの幅方向に延在する。右側の分岐ダクト662は、第1ファン装置681よりも下流でダクト本体661の右側から分岐して下方に延びる。右側の分岐ダクト662の下流端(下端)に第2送風部62の一端(右端)が接続されている。左側の分岐ダクト662は、第2ファン装置682よりも下流でダクト本体661の左側から分岐して下方に延びる。左側の分岐ダクト662の下流端(下端)に第2送風部62の他端(左端)が接続されている。
【0046】
第2送風部62は、芝刈機10Cの幅方向に間隔を置いて設けられた複数の第2吹出開口620を有する。第2吹出開口620は、前方に開口する。第2吹出開口620は、前方に向かって(第1送風部61に向かって)空気を吹き出す。なお、第2吹出開口620は、芝刈機10Cの幅方向に延在する一本のスリット状開口であってもよい。
【0047】
第3実施形態は、以下の効果を奏する。
【0048】
図6に示すように、芝刈機10Cの気流形成装置40Cは、対象領域TAに向けて第1方向に空気を送出する第1送風部61と、対象領域TAに向けて第1方向とは逆方向の第2方向に空気を送出する第2送風部62とを有する。この構成により、対象領域TAに上昇気流FLを形成できるとともに、対象領域TAに向けて互いに反対方向から送出された空気により芝草GRを挟み込むことで、芝草GRを起立させることができる。これにより、芝草GRをカッタブレード15の前方に集合させることができ、芝刈りの品質を向上させることができる。
【0049】
第1方向は、ハウジング12の前端からカッタブレード15へと向かう方向である。第2方向は、カッタブレード15からハウジング12の前端へと向かう方向である。この構成により、対象領域TAの芝草GRに向けて前後から風圧を与えるため、カッタブレード15の前方で芝草GRを良好に集合させることができる。
【0050】
なお、第3実施形態のうち、第1実施形態と共通する部分については、第1実施形態と同一又は同様の作用及び効果が得られる。
【0051】
[第4実施形態]
図8に示すように、第4実施形態に係る芝刈機10Dは、ハウジング12内においてカッタブレード15よりも前方にある対象領域TAに上昇気流FLを形成する気流形成装置40Dを備える。図9に示すように、気流形成装置40Dは、対象領域TAに向けて第1方向に空気を送出する第1送風部71と、対象領域TAに向けて第1方向とは逆方向の第2方向に空気を送出する第2送風部72とを有する。
【0052】
第4実施形態において、第1方向は、芝刈機10Dの幅方向における右側から中央へと向かう方向であり、第2方向は、芝刈機10Dの幅方向における左側から中央へと向かう方向である。従って、第1送風部71は、左方に向かって空気を送出する。第2送風部72は、右方に向かって空気を送出する。第1送風部71と第2送風部72は、芝刈機10Dの幅方向に離間して互いに向かい合う。
【0053】
気流形成装置40Dは、右側ユニット74Rと左側ユニット74Lとを有する。右側ユニット74Rは、第1送風部71に空気を供給する第1送気ダクト部材761と、第1送気ダクト部材761内に配置された第1ファン装置681とを有する。第1送気ダクト部材761は、ハウジング12の外面に固定されている。第1送気ダクト部材761の内部に第1通気路763が形成されている。第1送気ダクト部材761の下流端(下端)に第1送風部71の上流端が接続されている。第1ファン装置681は、第1送風部71に向けて空気を供給する。
【0054】
第1送風部71は、第1送気ダクト部材761の下端から芝刈機10Dの幅方向中央に向かって延在する。第1送風部71は、ハウジング12の下方に配置されている。第1送風部71は、管状部材により構成されており、芝刈機10Dの幅方向中央に向かって開口した第1吹出開口710を有する。第1吹出開口710は、左方に向かって(第2送風部72に向かって)空気を吹き出す。
【0055】
気流形成装置40Dの左側ユニット74Lは、第2送風部72に空気を供給する第2送気ダクト部材762と、第2送気ダクト部材762内に配置された第2ファン装置682とを有する。第2送気ダクト部材762は、ハウジング12の外面に固定されている。第2送気ダクト部材762の内部に第2通気路764が形成されている。第2送気ダクト部材762の下流端(下端)に第2送風部72の上流端が接続されている。第2ファン装置682は、第2送風部72に向けて空気を供給する。
【0056】
第2送風部72は、第2送気ダクト部材762の下端から芝刈機10Dの幅方向中央に向かって延在する。第2送風部72は、ハウジング12の下方に配置されている。第2送風部72は、管状部材により構成されており、芝刈機10Dの幅方向中央に向かって開口した第2吹出開口720を有する。第2吹出開口720は、右方に向かって(第1送風部71に向かって)空気を吹き出す。
【0057】
第4実施形態は、以下の効果を奏する。
【0058】
図9に示すように、芝刈機10Dの気流形成装置40Dは、対象領域TAに向けて互いに反対方向から空気を送出する。このため、図8に示すように、芝刈機10Dによっても、対象領域TAに上昇気流FLを形成できるとともに、対象領域TAに向けて互いに反対方向から送出された空気により芝草GRを挟み込むことで、芝草GRを起立させることができる。
【0059】
第1方向(第1送風部71が空気を送出する方向)は、芝刈機10Dの幅方向における右側から中央へと向かう方向であり、第2方向(第2送風部72が空気を送出する方向)は、芝刈機10Dの幅方向における左側から中央へと向かう方向である。この構成により、対象領域TAの芝草GRに向けて左右から風圧を与えるため、カッタブレード15の前方で芝草GRを良好に集合させることができる。
【0060】
なお、第4実施形態のうち、第3実施形態と共通する部分については、第1実施形態と同一又は同様の作用及び効果が得られる。
【0061】
上述した開示に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0062】
(付記1)
芝刈機(10)は、回転駆動され、芝草(GR)を刈るためのカッタブレード(15)と、下方に開口し、前記カッタブレードを覆うハウジング(12)と、前記ハウジング内において前記カッタブレードよりも前方にある対象領域(TA)に上昇気流(FL)を形成する気流形成装置(40A)と、を備える。この構成により、気流形成装置が、ハウジング内におけるカッタブレードの前方に上昇気流を発生させるため、芝刈機の前進走行時にハウジングの前部によって芝草が倒れても、カッタブレードの前方で芝草を起立させることができる。このため、芝草を均一な高さで刈ることができる。また、カッタブレードの前方(対象領域)のみに上昇気流を形成するため、上昇気流を形成するためにカッタブレードに翼部(エアリフト部)を設けた構成と比較して、エネルギー損失を低減することができる。
【0063】
(付記2)
付記1記載の芝刈機において、前記気流形成装置は、前記ハウジングの前部(121)に設けられた吸引開口構造(42)を有し、前記吸引開口構造は、前記対象領域と連通し、前記対象領域から空気を吸引してもよい。この構成により、吸引開口構造を介してハウジング内の対象領域から空気を吸引するため、カッタブレードの前方に上昇気流を良好に発生させることができる。
【0064】
(付記3)
付記2記載の芝刈機において、前記気流形成装置は、前記吸引開口構造と連通し、前記ハウジングの外部に設けられた吸引通路(44)と、前記吸引通路から空気を吸引するファン装置(48)と、を有してもよい。この構成により、吸引開口構造を介して吸引通路から空気を吸引するため、カッタブレードの前方に上昇気流を良好に発生させることができる。
【0065】
(付記4)
付記2記載の芝刈機において、前記気流形成装置は、前記吸引開口構造と連通し、前記ハウジングの外部に設けられた通気路(54)と、ベンチュリ効果による負圧が前記吸引開口構造に発生するように、前記通気路に気流を発生させるファン装置(58)と、を有してもよい。この構成により、ベンチュリ効果による負圧によって、カッタブレードの前方に上昇気流を良好に発生させることができる。
【0066】
(付記5)
付記4記載の芝刈機において、前記通気路は、前記ハウジングの前端部に向けて空気を送出する出口開口(541)を有してもよい。この構成により、ハウジング内に入る直前の芝草の倒れ方向を揃えて、カッタブレードに向かう方向に芝草が傾くように芝草を押し込むことができる。
【0067】
(付記6)
付記2~5のいずれか1項に記載の芝刈機において、前記吸引開口構造は、複数の吸引口(421)を有してもよい。この構成により、吸引開口構造が複数の吸引口に分割されているため、サッチの吸引が抑制される。
【0068】
(付記7)
付記1記載の芝刈機において、前記気流形成装置は、前記対象領域に向けて第1方向に空気を送出する第1送風部(61)と、前記対象領域に向けて前記第1方向とは逆方向の第2方向に空気を送出する第2送風部(62)と、を有してもよい。この構成により、対象領域に上昇気流を形成できるとともに、対象領域に向けて互いに反対方向から送出された空気により芝草を挟み込むことで、芝草を起立させることができる。これにより、芝草をカッタブレードの前方に集合させることができ、芝刈りの品質を向上させることができる。
【0069】
(付記8)
付記7記載の芝刈機において、前記第1方向は、前記ハウジングの前端から前記カッタブレードへと向かう方向であり、前記第2方向は、前記カッタブレードから前記ハウジングの前記前端へと向かう方向であってもよい。この構成により、対象領域の芝草に向けて前後から風圧を与えるため、カッタブレードの前方で芝草を良好に集合させることができる。
【0070】
(付記9)
付記7記載の芝刈機において、前記第1方向は、前記芝刈機の幅方向における右側から中央へと向かう方向であり、前記第2方向は、前記芝刈機の前記幅方向における左側から前記中央へと向かう方向であってもよい。この構成により、対象領域の芝草に向けて左右から風圧を与えるため、カッタブレードの前方で芝草を良好に集合させることができる。
【0071】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0072】
10A~10D…芝刈機
12…ハウジング
15…カッタブレード
40A~40D…気流形成装置
42、52…吸引開口構造
121…前部
TA…対象領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9