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特開2024-130649画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130649
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 10/56 20220101AFI20240920BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240920BHJP
   G06V 20/58 20220101ALI20240920BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G06V10/56
G06T7/00 300F
G06T7/00 650Z
G06V20/58
G08G1/09 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040498
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 翔太
(72)【発明者】
【氏名】垣田 直士
(72)【発明者】
【氏名】河野 貴
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕生
(72)【発明者】
【氏名】西島 康崇
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB20
5H181CC04
5H181FF27
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA04
5L096GA38
5L096GA40
5L096GA55
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】信号機の灯火色の検出精度を向上させること。
【解決手段】実施形態に係る画像処理装置は、カメラ画像から信号機の灯火色を判定するコントローラを有する。コントローラは、上記信号機が有する各灯火器の配置に対応する上記信号機の各灯火状態における色成分の配置パターンを、上記色成分を検出する検出部間の間隔が異なる複数種類のパターンフィルタとして設定し、上記カメラ画像に対する画像認識によって上記信号機が存在する信号領域を抽出し、上記信号領域から上記複数種類のパターンフィルタを介して上記色成分ごとの上記配置パターンに対する特徴量を示す複数の特徴マップを生成し、上記複数の特徴マップに基づいて上記信号機の灯火色を判定する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ画像から信号機の灯火色を判定するコントローラを有し、
前記コントローラは、
前記信号機が有する各灯火器の配置に対応する前記信号機の各灯火状態における色成分の配置パターンを、前記色成分を検出する検出部間の間隔が異なる複数種類のパターンフィルタとして設定し、
前記カメラ画像に対する画像認識によって前記信号機が存在する信号領域を抽出し、
前記信号領域から前記複数種類のパターンフィルタを介して前記色成分ごとの前記配置パターンに対する特徴量を示す複数の特徴マップを生成し、
前記複数の特徴マップに基づいて前記信号機の灯火色を判定する、
画像処理装置。
【請求項2】
前記パターンフィルタは、
前記信号領域において前記信号機の青色灯火器の位置に対応する前記色成分を検出する前記検出部である第1検出部と、
前記信号領域において前記信号機の黄色灯火器の位置に対応する前記色成分を検出する前記検出部である第2検出部と、
前記信号領域において前記信号機の赤色灯火器の位置に対応する前記色成分を検出する前記検出部である第3検出部と、
を有し、
前記コントローラは、
前記第1検出部、前記第2検出部および前記第3検出部が、前記第1検出部と前記第2検出部との間、および、前記第2検出部と前記第3検出部との間に予め決められた前記間隔を空けて前記信号機の長手方向に沿って並ぶように前記パターンフィルタを設定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記パターンフィルタは、
前記信号機の青色灯火時、黄色灯火時、赤色灯火時および無灯火時である前記各灯火状態にそれぞれ対応する4種類と、該4種類それぞれについてSスケール、MスケールおよびLスケールの3種類の前記間隔を有する計12種類が設定され、
前記コントローラは、
12種類の前記パターンフィルタによって12の前記特徴マップを生成する、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
生成した12の前記特徴マップのうち、前記間隔の異なる前記パターンフィルタによる前記特徴マップを重ね合わせて1つの前記特徴マップとし、前記各灯火状態にそれぞれ対応する4つの前記特徴マップに基づいて前記信号機の灯火色を判定する、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記特徴量は、
前記配置パターンに該当する前記色成分の抽出量であって、
前記コントローラは、
前記特徴マップにおける青色成分、黄色成分および赤色成分の抽出量のいずれかが予め決められた値以上である場合に、前記青色成分、前記黄色成分および前記赤色成分のうち抽出量が最大の前記色成分に対応する色を前記信号機の灯火色と判定する、
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記青色成分、前記黄色成分および前記赤色成分の抽出量のいずれもが予め決められた値未満である場合に、前記特徴マップにおける無灯火色成分の抽出量が予め決められた値以上であるならば、前記信号機が無灯火であると判定する、
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記信号領域を25×25画素分の領域として抽出し、
前記第1検出部、前記第2検出部および前記第3検出部がそれぞれ、3×3画素分の領域の前記色成分を検出するように前記パターンフィルタを設定し、
前記Sスケールの前記間隔が1画素分となり、前記Mスケールの前記間隔が3画素分となり、前記Lスケールの前記間隔が5画素分となるように前記パターンフィルタを設定する、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項8】
カメラ画像から信号機の灯火色を判定する画像処理装置が実行する画像処理方法であって、
前記信号機が有する各灯火器の配置に対応する前記信号機の各灯火状態における色成分の配置パターンを、前記色成分を検出する検出部間の間隔が異なる複数種類のパターンフィルタとして設定することと、
前記カメラ画像に対する画像認識によって前記信号機が存在する信号領域を抽出することと、
前記信号領域から前記複数種類のパターンフィルタを介して前記色成分ごとの前記配置パターンに対する特徴量を示す複数の特徴マップを生成することと、
前記複数の特徴マップに基づいて前記信号機の灯火色を判定することと、
を含む、画像処理方法。
【請求項9】
前記パターンフィルタは、
前記信号領域において前記信号機の青色灯火器の位置に対応する前記色成分を検出する前記検出部である第1検出部と、
前記信号領域において前記信号機の黄色灯火器の位置に対応する前記色成分を検出する前記検出部である第2検出部と、
前記信号領域において前記信号機の赤色灯火器の位置に対応する前記色成分を検出する前記検出部である第3検出部と、
を有し、
前記第1検出部、前記第2検出部および前記第3検出部が、前記第1検出部と前記第2検出部との間、および、前記第2検出部と前記第3検出部との間に予め決められた間隔を空けて前記信号機の長手方向に沿って並ぶように前記パターンフィルタを設定すること、
をさらに含む、請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記パターンフィルタは、
前記信号機の青色灯火時、黄色灯火時、赤色灯火時および無灯火時である前記各灯火状態にそれぞれ対応する4種類と、該4種類それぞれについてSスケール、MスケールおよびLスケールの3種類の前記間隔を有する計12種類が設定され、
12種類の前記パターンフィルタによって12の前記特徴マップを生成すること、
をさらに含む、請求項9に記載の画像処理方法。
【請求項11】
生成した12の前記特徴マップのうち、前記間隔の異なる前記パターンフィルタによる前記特徴マップを重ね合わせて1つの前記特徴マップとし、前記各灯火状態にそれぞれ対応する4つの前記特徴マップに基づいて前記信号機の灯火色を判定すること、
をさらに含む、請求項10に記載の画像処理方法。
【請求項12】
カメラ画像から信号機の灯火色を判定するコンピュータに、
前記信号機が有する各灯火器の配置に対応する前記信号機の各灯火状態における色成分の配置パターンを、前記色成分を検出する検出部間の間隔が異なる複数種類のパターンフィルタとして設定すること、
前記カメラ画像に対する画像認識によって前記信号機が存在する信号領域を抽出すること、
前記信号領域から前記複数種類のパターンフィルタを介して前記色成分ごとの前記配置パターンに対する特徴量を示す複数の特徴マップを生成すること、
前記複数の特徴マップに基づいて前記信号機の灯火色を判定すること、
を実行させる、プログラム。
【請求項13】
前記パターンフィルタは、
前記信号領域において前記信号機の青色灯火器の位置に対応する前記色成分を検出する前記検出部である第1検出部と、
前記信号領域において前記信号機の黄色灯火器の位置に対応する前記色成分を検出する前記検出部である第2検出部と、
前記信号領域において前記信号機の赤色灯火器の位置に対応する前記色成分を検出する前記検出部である第3検出部と、
を有し、
前記第1検出部、前記第2検出部および前記第3検出部が、前記第1検出部と前記第2検出部との間、および、前記第2検出部と前記第3検出部との間に予め決められた間隔を空けて前記信号機の長手方向に沿って並ぶように前記パターンフィルタを設定すること、
をさらに前記コンピュータに実行させる、請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記パターンフィルタは、
前記信号機の青色灯火時、黄色灯火時、赤色灯火時および無灯火時である前記各灯火状態にそれぞれ対応する4種類と、該4種類それぞれについてSスケール、MスケールおよびLスケールの3種類の前記間隔を有する計12種類が設定され、
12種類の前記パターンフィルタによって12の前記特徴マップを生成すること、
をさらに前記コンピュータに実行させる、請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
生成した12の前記特徴マップのうち、前記間隔の異なる前記パターンフィルタによる前記特徴マップを重ね合わせて1つの前記特徴マップとし、前記各灯火状態にそれぞれ対応する4つの前記特徴マップに基づいて前記信号機の灯火色を判定すること、
をさらに前記コンピュータに実行させる、請求項14に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両からのカメラ画像に対するテンプレートマッチングにより、信号機および信号機の灯火色を検出する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この技術では、地図データベースから抽出した車両前方にある信号機との距離に基づき、テンプレートの大きさを調整しつつカメラ画像から信号機を検出する。また、この技術では、検出した信号機における3つの円状の領域のうち、最も輝度レベルが高い領域に対応する灯火器の色を灯火色として検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-004256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、灯火色を判定するに際して上述の3つの円状の領域の輝度レベルのみを比較している。このため、上述した従来技術を用いた場合、強い日差しや、信号機の周囲にある照明や強反射物、外乱等の影響で、灯火していない灯火器に対応する領域が最も輝度レベルが高いと判定された場合、信号機の灯火色を誤検出してしまうおそれがある。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、信号機の灯火色の検出精度を向上させることができる画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る画像処理装置は、カメラ画像から信号機の灯火色を判定するコントローラを有する。前記コントローラは、前記信号機が有する各灯火器の配置に対応する前記信号機の各灯火状態における色成分の配置パターンを、前記色成分を検出する検出部間の間隔が異なる複数種類のパターンフィルタとして設定し、前記カメラ画像に対する画像認識によって前記信号機が存在する信号領域を抽出し、前記信号領域から前記複数種類のパターンフィルタを介して前記色成分ごとの前記配置パターンに対する特徴量を示す複数の特徴マップを生成し、前記複数の特徴マップに基づいて前記信号機の灯火色を判定する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、信号機の灯火色の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その1)である。
図2図2は、実施形態に係る灯火色パターンフィルタの構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その2)である。
図4図4は、灯火色パターンフィルタにおける各検出部の間隔によって灯火色が誤判定されるおそれがある場合の説明図である。
図5図5は、スケール別の灯火色パターンフィルタの構成例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その3)である。
図7図7は、実施形態に係る画像処理装置の構成例を示す図である。
図8図8は、変形例に係る画像処理装置の構成例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る画像処理装置が実行する処理手順を示すフローチャート(その1)である。
図10図10は、実施形態に係る画像処理装置が実行する処理手順を示すフローチャート(その2)である。
図11図11は、実施形態に係る画像処理装置が実行する処理手順を示すフローチャート(その3)である。
図12図12は、特徴マップ生成処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する画像処理装置、画像処理方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
また、以下では、実施形態に係る画像処理装置10が、車両に搭載される車載装置であるものとする。画像処理装置10は、カメラ画像の画像認識によって、画像中の対象物や対象物の状態を検出可能に設けられた装置である。本実施形態では、検出する対象物が信号機300であるものとする。また、検出する対象物の状態が信号機300の灯火状態であるものとする。灯火状態は、信号機300の青色灯火、黄色灯火、赤色灯火、無灯火のいずれかの状態を指す。
【0012】
また、以下では、「所定」との表現は、「予め決められた」と読み替えてもよい。
【0013】
まず、実施形態に係る画像処理方法の概要について、図1図6を用いて説明する。図1は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その1)である。図2は、実施形態に係る灯火色パターンフィルタ500の構成例を示す図である。図3は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その2)である。図4は、灯火色パターンフィルタ500における各検出部501,502,503の間隔iによって灯火色が誤判定されるおそれがある場合の説明図である。図5は、スケール別の灯火色パターンフィルタ500の構成例を示す図である。図6は、実施形態に係る画像処理方法の概要説明図(その3)である。
【0014】
画像処理装置10は、信号機300の灯火状態を検出し、検出結果に基づいて例えば車両の信号無視判定を行う。かかる情報処理は、画像処理装置10が備えるコントローラ12(図7参照)が実行する。
【0015】
図1に示すように、コントローラ12は、カメラ画像を入力とし、画像中から信号機300が存在する矩形領域を抽出する(ステップS1)。ステップS1は、公知技術である。ステップS1では、コントローラ12は、機械学習のアルゴリズムを用いて学習されたDNN(Deep Neural Network)モデル等を使用して、画像中から信号機300が存在する矩形領域を抽出する。なお、以下では、かかる矩形領域を「信号領域SR」と呼ぶ。
【0016】
つづいて、コントローラ12は、信号領域SRを入力として信号機300の灯火状態を判定する(ステップS2)。ステップS2では、コントローラ12は、信号領域SRを画像解析し、信号機300が青色灯火、黄色灯火、赤色灯火、無灯火のいずれの灯火状態にあるかを判定する。
【0017】
次に、コントローラ12は、カメラ画像のフレーム間の差異により信号機300が走行する車両に対して相対的にどのように動くかを推定する動き推定を行う(ステップS3)。そして、コントローラ12は、ステップS2での灯火状態判定結果と、ステップS3での動き推定結果とに基づいて信号無視に該当するか否かを判定し(ステップS4)、その判定結果を出力する。
【0018】
本実施形態に係る画像処理方法は、破線の矩形で囲まれたステップS2において適用される。本実施形態に係る画像処理方法では、ステップS2で、コントローラ12が公知技術である色抽出フィルタを用いて信号領域SRから信号機300の各灯火色に対応する各色成分を抽出する。そして、コントローラ12が、抽出した各色成分に対して実施形態に係る灯火色パターンフィルタ500(図2参照)を適用し、信号機300の各灯火状態における色成分の配置パターンに対する各色成分の特徴量を示す特徴マップ700(図6参照)を生成する。そして、コントローラ12が、特徴マップ700の示す各色成分の抽出量に基づいて信号機300の灯火色を判定する。
【0019】
実施形態に係る灯火色パターンフィルタ500は、信号機300が有する各灯火器の配置に対応する信号機300の各灯火状態における色成分の配置パターンを表すようにコントローラ12によって設定されるフィルタである。
【0020】
具体的には、図2に示すように、灯火色パターンフィルタ500は、第1検出部501と、第2検出部502と、第3検出部503とを有する。第1検出部501は、信号領域SRにおいて信号機300の青色灯火器301の位置に対応する色成分を検出する検出部である。第2検出部502は、信号領域SRにおいて信号機300の黄色灯火器302の位置に対応する色成分を検出する検出部である。第3検出部503は、信号領域SRにおいて信号機300の赤色灯火器303の位置に対応する色成分を検出する検出部である。
【0021】
各検出部501,502,503は、図2に示すように、例えば3×3画素(px)分の領域の色成分を検出するように設定される。
【0022】
また、灯火色パターンフィルタ500は、第1検出部501、第2検出部502および第3検出部503が、予め決められた間隔iを空けて信号機300の長手方向に沿って並ぶように設定される。これにより、少なくとも3灯式の信号機300の各灯火状態における色成分の配置パターンを網羅した灯火色パターンフィルタ500の設定が可能となる。
【0023】
そして、灯火色パターンフィルタ500は、第1検出部501、第2検出部502および第3検出部503のうちの少なくとも2つが無灯火色(例えば、黒色)成分を検出し、残りの1つが各灯火色(青色、黄色または赤色)成分あるいは無灯火色成分を検出する。図2には、灯火色パターンフィルタ500が、信号機300において青色灯火器301の灯火する青色灯火時における色成分の配置パターンを示す青色パターンフィルタである場合の例を示している。
【0024】
なお、以下では、青色パターンフィルタを適宜「青色パターンフィルタ500-B」と呼び、黄色パターンフィルタを適宜「黄色パターンフィルタ500-Y」と呼ぶ。また、赤色パターンフィルタを適宜「赤色パターンフィルタ500-R」と呼び、無灯火色パターンフィルタを適宜「無灯火色パターンフィルタ500-N」と呼ぶ。
【0025】
そして、図3に示すように、実施形態に係る画像処理方法では、コントローラ12が、ステップS1で抽出した信号領域SRに対し、灯火色パターンフィルタ500を適用する。このとき、コントローラ12は、青色、黄色、赤色、無灯火色の各パターンフィルタ500-B,500-Y,500-R,500-Nをそれぞれ信号領域SRに対し適用する。その結果、信号機300の色成分の配置パターンが例えば青色パターンに該当すると判定されれば、コントローラ12は信号機300を青色灯火であると判定する。
【0026】
ところで、コントローラ12は、ステップS1において、図3に示すように信号領域SRが例えば25×25画素の常に同じ形状、同じサイズの画像となるようにカメラ画像からサンプリングすることによって信号領域SRを抽出する。ただし、路面の勾配や車載カメラの取り付け角度等によって車載カメラと信号機300との距離には誤差が生じるため、信号領域SRにおける信号機300は、常に同じサイズとはならないことが想定される。
【0027】
このため、図4の左図に示すように、例えば信号機300が通常よりも大きく検出された場合、コントローラ12は、上述の間隔iが一定の青色パターンフィルタ500-Bを用いていると、青色灯火にも関わらず青色パターンに該当しないと判定するおそれがある。図4の左図の例の場合、少なくとも第3検出部503は、黄色灯火器302と赤色灯火器303との間の色成分を検出してしまい、青色灯火時における赤色灯火器303の無灯火色を検出できないおそれがあるためである。
【0028】
また、図4の右図に示すように、信号機300が通常よりも小さく検出された場合についても同様に、コントローラ12は、間隔iが一定の青色パターンフィルタ500-Bを用いていると、青色灯火にも関わらず青色パターンに該当しないと判定するおそれがある。図4の右図の例の場合、少なくとも第3検出部503は、信号機300の背景の色成分を検出してしまい、青色灯火時における赤色灯火器303の無灯火色を検出できないためである。また、第2検出部502も、黄色灯火器302と赤色灯火器303との間の色成分を検出してしまい、青色灯火時における黄色灯火器302の無灯火色を検出できないおそれがあるためである。なお、図4では青色パターンフィルタ500-Bを例に挙げているが、他の灯火色の各パターンフィルタ500-Y,500-R,500-Nについても同様である。
【0029】
そこで、実施形態に係る画像処理方法では、各パターンフィルタ500-B,500-Y,500-R,500-Nのそれぞれにつき、間隔iの異なる複数のスケールの灯火色パターンフィルタ500を設けることとした。
【0030】
具体的には、図5に示すように、コントローラ12は、各パターンフィルタ500-B,500-Y,500-R,500-Nのそれぞれにつき、間隔iの異なる例えば3種類を設定する。S(small)スケールフィルタは、間隔iが例えば1画素分に設定される。M(medium)スケールフィルタは、間隔iが例えば3画素分に設定される。L(large)スケールフィルタは、間隔iが例えば5画素分に設定される。コントローラ12は、信号領域SRに対し、信号機300の灯火色に対応する各色成分のそれぞれにつき、これら間隔iの異なる各スケールフィルタをそれぞれ適用する。
【0031】
これにより、25×25画素で抽出される信号領域SRにおいて信号機300が常に同じサイズとはならない場合であっても、信号機300のサイズの変化および信号領域SRのサイズに応じつつ上記配置パターンに該当するか否かの判定が可能となる。
【0032】
なお、以下では、青色パターンフィルタ500-BのうちのSスケールフィルタに対し符号「500-BS」を付し、Mスケールフィルタに対し符号「500-BM」を付し、Lスケールフィルタに対し符号「500-BL」を付す。また、Sスケールフィルタ500-BSによって生成される特徴マップ700に適宜「-BS」を付し、Mスケールフィルタ500-BMによって生成される特徴マップ700に適宜「-BM」を付す。同様に、Lスケールフィルタ500-BLによって生成される特徴マップ700に適宜「-BL」を付す。
【0033】
また、黄色パターンフィルタ500-YのうちのSスケールフィルタに対し符号「500-YS」を付し、Mスケールフィルタに対し符号「500-YM」を付し、Lスケールフィルタに対し符号「500-YL」を付す。また、Sスケールフィルタ500-YSによって生成される特徴マップ700に適宜「-YS」を付し、Mスケールフィルタ500-YMによって生成される特徴マップ700に適宜「-YM」を付す。同様に、Lスケールフィルタ500-YLによって生成される特徴マップ700に適宜「-YL」を付す。
【0034】
また、赤色パターンフィルタ500-RのうちのSスケールフィルタに対し符号「500-RS」を付し、Mスケールフィルタに対し符号「500-RM」を付し、Lスケールフィルタに対し符号「500-RL」を付す。また、Sスケールフィルタ500-RSによって生成される特徴マップ700に適宜「-RS」を付し、Mスケールフィルタ500-RMによって生成される特徴マップ700に適宜「-RM」を付す。同様に、Lスケールフィルタ500-RLによって生成される特徴マップ700に適宜「-RL」を付す。
【0035】
また、無灯火色パターンフィルタ500-NのうちのSスケールフィルタに対し符号「500-NS」を付し、Mスケールフィルタに対し符号「500-NM」を付し、Lスケールフィルタに対し符号「500-NL」を付す。また、Sスケールフィルタ500-NSによって生成される特徴マップ700に適宜「-NS」を付し、Mスケールフィルタ500-NMによって生成される特徴マップ700に適宜「-NM」を付す。同様に、Lスケールフィルタ500-NLによって生成される特徴マップ700に適宜「-NL」を付す。
【0036】
これまでの説明をまとめると、図6に示すように、実施形態に係る画像処理方法では、コントローラ12は信号領域SRに対し、既存技術である色抽出フィルタCFを適用して信号機300の各灯火色に対応する各色成分を抽出する。ここに言う各色成分は、青色、黄色、赤色、無灯火色の4種類の色成分である。
【0037】
そのうえで、実施形態に係る画像処理方法では、コントローラ12は抽出した各色成分に対して灯火色パターンフィルタ500を適用することによって、各色の特徴マップ700を生成する。図6に示すように青色の場合、コントローラ12は色抽出フィルタCFによって抽出された青色成分(厳密にはさらに無灯火色成分)に対し、青色のSスケールフィルタ500-BS、Mスケールフィルタ500-BM、Lスケールフィルタ500-BLを適用する。
【0038】
これにより、コントローラ12は、Sスケールフィルタ500-BS、Mスケールフィルタ500-BM、Lスケールフィルタ500-BLのそれぞれに応じた3つのスケール別の特徴マップ700-BS,700-BM,700-BLを生成する。上述したように、特徴マップ700は、信号機300の各灯火状態における色成分の配置パターンに対する各色成分の特徴量を示すものである。ここに言う特徴量は、例えば信号機300の各灯火状態における色成分の配置パターンに該当する色成分の抽出量である。特徴マップ生成処理の詳細については、図12を用いた説明で後述する。
【0039】
そして、コントローラ12は、3つのスケール別の特徴マップ700-BS,700-BM,700-BLをマージする(重ね合わせる)ことによって、青色の特徴マップ700-Bを生成する。
【0040】
なお、図示は略しているが、青色以外の他の色についても同様である。黄色の場合、コントローラ12は、抽出された各色成分のうちの黄色成分(厳密にはさらに無灯火色成分)に対し、黄色のSスケールフィルタ500-YS、Mスケールフィルタ500-YM、Lスケールフィルタ500-YLを適用する。これにより、コントローラ12は、3つのスケール別の特徴マップ700-YS,700-YM,700-YLを生成し、これらをマージして黄色の特徴マップ700-Yを生成する。
【0041】
赤色の場合、コントローラ12は、抽出された各色成分のうちの赤色成分(厳密にはさらに無灯火色成分)に対し、赤色のSスケールフィルタ500-RS、Mスケールフィルタ500-RM、Lスケールフィルタ500-RLを適用する。これにより、コントローラ12は、3つのスケール別の特徴マップ700-RS,700-RM,700-RLを生成し、これらをマージして赤色の特徴マップ700-Rを生成する。
【0042】
無灯火色の場合、コントローラ12は、抽出された各色成分のうちの無灯火色成分に対し、無灯火色のSスケールフィルタ500-NS、Mスケールフィルタ500-NM、Lスケールフィルタ500-NLを適用する。これにより、コントローラ12は、3つのスケール別の特徴マップ700-NS,700-NM,700-NLを生成し、これらをマージして無灯火色の特徴マップ700-Nを生成する。
【0043】
すなわち、コントローラ12は、スケール別を含めると12の特徴マップ700を生成し、12のうちのスケール別分をマージすることによって、各色成分に対応する4つの特徴マップ700にする。
【0044】
コントローラ12は、スケール別を含む12の特徴マップ700を生成することにより、信号領域SRにおける信号機300が常に同じサイズとならない場合であっても、抽出した各色成分の配置が上記配置パターンに該当するか否かを判定することが可能となる。
【0045】
また、コントローラ12は、12の特徴マップ700のうちのスケール別分をマージする。これにより、コントローラ12は、信号領域SRにおける信号機300が常に同じサイズとならない場合であっても、抽出した各色成分の配置が上記配置パターンに該当するか否かを容易に判定することが可能となる。また、このマージにより、コントローラ12は、SスケールとMスケールの間の中間的なスケールの信号機300の色成分の配置パターンについても検出可能な特徴マップ700を生成することができる。同じく、コントローラ12は、MスケールとLスケールの間の中間的なスケールの信号機300の色成分の配置パターンについても検出可能な特徴マップ700を生成することができる。
【0046】
そして、コントローラ12は、スケール別分をマージした後の4つの特徴マップ700に基づいて灯火色を判定する。具体的には、コントローラ12は、特徴マップ700-B,700-Y,700-Rにおいて、青色成分、黄色成分、赤色成分の抽出量のいずれかが所定値以上である場合、抽出量が最大の色成分に対応する色を信号機300の灯火色と判定する。抽出量は、各色成分に該当するとして各特徴マップ700にマッピングされた画素の数である。これにより、コントローラ12は、信号機300の各灯火状態における色成分の配置パターンに該当するとして抽出された色成分のうち、抽出量が最大のものを灯火色と判定することができる。すなわち、コントローラ12は、1つの灯火器の輝度レベル等のみによらず、予め設定された複数の灯火器の位置に応じた色成分の配置パターンに基づく判定を行うことで、信号機300の灯火色を精度よく検出することが可能となる。
【0047】
また、コントローラ12は、青色成分、黄色成分、赤色成分の抽出量のいずれもが所定値未満である場合、特徴マップ700-Nにおいて無灯火色成分の抽出量が所定値以上ならば、信号機300が無灯火であると判定する。これにより、コントローラ12は、1つの灯火器の輝度レベル等のみによっては検出できない信号機300が無灯火である状態を、予め設定された複数の灯火器の位置に応じた色成分の配置パターンに基づく判定を行うことで検出することが可能となる。
【0048】
このように、実施形態に係る画像処理方法では、コントローラ12が、信号機300の有する各灯火器301,302,303の配置に対応する信号機300の各灯火状態における色成分の配置パターンを、上記色成分を検出する検出部間の間隔iが異なる複数種類の灯火色パターンフィルタ500として設定する。また、コントローラ12が、カメラ画像に対する画像認識によって信号機300が存在する信号領域SRを抽出する。また、コントローラ12が、信号領域SRから複数種類の灯火色パターンフィルタ500を介して上記色成分ごとの上記配置パターンに対する特徴量を示す複数の特徴マップ700を生成し、複数の特徴マップに基づいて信号機300の灯火色を判定する。
【0049】
これにより、コントローラ12は、信号機300の各灯火状態における色成分の配置パターンに該当する色成分を抽出することができる。したがって、コントローラ12は、各灯火器301,302,303の配置に対応する色成分による灯火色の判定を行うことができるので、例えば1つの灯火器の輝度レベルによってのみ灯火色を判定する場合に比べて、誤判定が起きることを抑制することができる。すなわち、実施形態に係る画像処理方法によれば、信号機300の灯火色の検出精度を向上させることができる。
【0050】
以下、上述した実施形態に係る画像処理方法を適用した画像処理装置10の構成例について、より具体的に説明する。
【0051】
図7は、実施形態に係る画像処理装置10の構成例を示す図である。図7に示すように、画像処理装置10は、記憶部11と、コントローラ12とを備える。また、画像処理装置10は、カメラ3と、出力部5とが接続される。
【0052】
カメラ3は、車両に搭載され、車両の前方を撮像可能に設けられる。なお、カメラ3は、車両の前方に限らず、車両の全周囲を撮像可能な360度カメラであってもよい。
【0053】
出力部5は、画像処理装置10からの出力情報を提示する出力デバイスである。出力部5は、ディスプレイやスピーカ等によって実現される。
【0054】
画像処理装置10は、車両に搭載されるコンピュータである。画像処理装置10は、少なくとも、図1を用いて説明したステップS1~S4の情報処理を実行する。
【0055】
記憶部11は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の記憶デバイスによって実現される。記憶部11は、コントローラ12が実行する実施形態に係るプログラムを記憶する。また、記憶部11は、コントローラ12が実行する情報処理において用いられる各種の情報を記憶する。
【0056】
記憶部11は、例えば画像認識用のAI(Artificial Intelligence)モデルを記憶する。また、記憶部11は、色抽出フィルタCFの設定情報および灯火色パターンフィルタ500の設定情報を記憶する。
【0057】
コントローラ12は、いわゆるプロセッサに相当する。コントローラ12は、CPU(Central Processing Unit)や、MPU(Micro Processing Unit)や、GPU(Graphics Processing Unit)等によって実現される。コントローラ12は、記憶部11に記憶されている実施形態に係るプログラムを読み込んでRAMを作業領域として実行する。コントローラ12は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することもできる。
【0058】
コントローラ12は、図9図11の各フローチャートに示す処理手順による情報処理を実行する。図9図11を用いた説明は後述する。
【0059】
なお、図7に示すように、カメラ3、出力部5および画像処理装置10は、ドライブレコーダ1として実現することができる。この場合、カメラ3は、ドライブレコーダ1に搭載されるカメラユニットによって実現される。出力部5は、ドライブレコーダ1に搭載されるディスプレイやスピーカによって実現される。画像処理装置10は、ドライブレコーダ1に搭載されるマイコンによって実現される。
【0060】
図7に示す構成例は一例であり、この他にも変形例を挙げることができる。図8は、変形例に係る画像処理装置10の構成例を示す図である。図8に示すように、画像処理装置10は、画像処理ECU(Electronic Control Unit)9として実現することができる。この場合、カメラ3は、例えばドライブレコーダ1に搭載されるカメラユニットによって実現される。カメラ3は、ドライブレコーダ1以外の車載カメラユニットによって実現されてもよい。出力部5は、車両に搭載される車載出力装置7である車載ディスプレイや車載スピーカによって実現される。
【0061】
図8の例の場合、カメラ3および出力部5は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを介して画像処理装置10と接続される。カメラ3および出力部5は、Bluetooth(登録商標)や、Wi-Fi(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)等を介して無線により画像処理装置10と接続されてもよい。
【0062】
次に、画像処理装置10のコントローラ12が実行する情報処理の処理手順について、図9図11を用いて説明する。図9は、実施形態に係る画像処理装置10が実行する処理手順を示すフローチャート(その1)である。図10は、実施形態に係る画像処理装置10が実行する処理手順を示すフローチャート(その2)である。図11は、実施形態に係る画像処理装置10が実行する処理手順を示すフローチャート(その3)である。
【0063】
コントローラ12は、図1に示した信号無視判定を行うにあたり、図9に示すように、カメラ3からカメラ画像を取得する(ステップS101)。つづいて、コントローラ12は、取得したカメラ画像から信号機300が存在する信号領域SRを抽出する(ステップS102)。
【0064】
つづいて、コントローラ12は、抽出した信号領域SRに基づいて信号機300の灯火状態を判定する「灯火状態判定処理」を実行する(ステップS103)。
【0065】
この「灯火状態判定処理」では、図10に示すように、コントローラ12は、信号領域SRに対して色抽出フィルタCFを適用し、色抽出フィルタCFにより信号領域SRから各色成分を抽出する(ステップS201)。
【0066】
そして、コントローラ12は、どの色成分かにより処理を分ける(ステップS202)。色成分が青の場合(ステップS202,青)、コントローラ12は、青色パターンのSスケールフィルタ500-BSにより特徴マップ700-BSを生成する(ステップS203)。
【0067】
また、コントローラ12は、青色パターンのMスケールフィルタ500-BMにより特徴マップ700-BMを生成する(ステップS204)。また、コントローラ12は、青色パターンのLスケールフィルタ500-BLにより特徴マップ700-BLを生成する(ステップS205)。ステップS203~S205の順番は任意でよい。また、ステップS203~S205は、並列に実行されてもよい。
【0068】
ここで、特徴マップ生成処理について、図12を用いて具体的に説明する。図12は、特徴マップ生成処理の説明図である。図12では、コントローラ12が、青色パターンフィルタ500-Bを用いて青色の特徴マップ700-Bを生成する場合を例に挙げる。他の色については、各色に応じた色成分および灯火色パターンフィルタ500を用いればよい。また、図12に示す例は、スケールの違いを問わない。
【0069】
青色の特徴マップ700-Bを生成する場合、図12に示すように、コントローラ12は、色抽出フィルタCFによって抽出された各色成分のうち、青色成分および無灯火色成分を入力とする。そして、コントローラ12は、信号領域SRに対応する25×25画素において青色成分に該当するとして抽出された各画素について、注目画素を1つずつずらしながら青色パターンフィルタ500-Bによる走査を行う。あわせて、コントローラ12は、無灯火色成分についても同期して青色パターンフィルタ500-Bによる走査を行う。なお、コントローラ12は、青色成分および無灯火色成分を重ね合わせたうえで青色パターンフィルタ500-Bを適用してもよい。
【0070】
そして、コントローラ12は、注目画素に対して第1検出部501に相当する領域に6画素以上の青色成分がある場合に第2検出部502および第3検出部503に相当する領域にそれぞれ6画素以上の無灯火色成分があるか否かを判定する。
【0071】
そして、コントローラ12は、第2検出部502および第3検出部503に相当する領域にそれぞれ6画素以上の無灯火色成分がある場合、青色の特徴マップ700-Bの注目画素に該当する位置に青色成分をマッピングする。注目画素をずらしながらこれを繰り返すことにより、コントローラ12は、信号機300の青色灯火時における各色成分の配置パターンに該当する青色成分のみを検出した青色の特徴マップ700-Bを生成することができる。
【0072】
図10の説明に戻る。そして、コントローラ12は、青色パターンのスケール別の特徴マップ700-BS,700-BM,700-BLをマージする(ステップS206)。これにより、コントローラ12は、青色の特徴マップ700-Bを生成する。
【0073】
また、色成分が黄の場合(ステップS202,黄)、コントローラ12は、黄色パターンのSスケールフィルタ500-YSにより特徴マップ700-YSを生成する(ステップS207)。
【0074】
また、コントローラ12は、黄色パターンのMスケールフィルタ500-YMにより特徴マップ700-YMを生成する(ステップS208)。また、コントローラ12は、黄色パターンのLスケールフィルタ500-YLにより特徴マップ700-YLを生成する(ステップS209)。ステップS207~S209の順番は任意でよい。また、ステップS207~S209は、並列に実行されてもよい。
【0075】
そして、コントローラ12は、黄色パターンのスケール別の特徴マップ700-YS,700-YM,700-YLをマージする(ステップS210)。これにより、コントローラ12は、黄色の特徴マップ700-Yを生成する。
【0076】
また、色成分が赤の場合(ステップS202,赤)、コントローラ12は、赤色パターンのSスケールフィルタ500-RSにより特徴マップ700-RSを生成する(ステップS211)。
【0077】
また、コントローラ12は、赤色パターンのMスケールフィルタ500-RMにより特徴マップ700-RMを生成する(ステップS212)。また、コントローラ12は、赤色パターンのLスケールフィルタ500-RLにより特徴マップ700-RLを生成する(ステップS213)。ステップS211~S213の順番は任意でよい。また、ステップS211~S213は、並列に実行されてもよい。
【0078】
そして、コントローラ12は、赤色パターンのスケール別の特徴マップ700-RS,700-RM,700-RLをマージする(ステップS214)。これにより、コントローラ12は、赤色の特徴マップ700-Rを生成する。
【0079】
また、色成分が無灯火色の場合(ステップS202,無灯火色)、コントローラ12は、無灯火色パターンのSスケールフィルタ500-NSにより特徴マップ700-NSを生成する(ステップS215)。
【0080】
また、コントローラ12は、無灯火色パターンのMスケールフィルタ500-NMにより特徴マップ700-NMを生成する(ステップS216)。また、コントローラ12は、無灯火色パターンのLスケールフィルタ500-NLにより特徴マップ700-NLを生成する(ステップS217)。ステップS215~S217の順番は任意でよい。また、ステップS215~S217は、並列に実行されてもよい。
【0081】
そして、コントローラ12は、無灯火色パターンのスケール別の特徴マップ700-NS,700-NM,700-NLをマージする(ステップS218)。これにより、コントローラ12は、無灯火色の特徴マップ700-Nを生成する。
【0082】
つづいて、図11に示すように、コントローラ12は、4つの特徴マップ700-B,700-Y,700-R,700-Nに基づき、青色、黄色、赤色の抽出量のいずれかが所定値以上であるか否かを判定する(ステップS219)。
【0083】
青色、黄色、赤色の抽出量のいずれかが所定値以上である場合(ステップS219,Yes)、コントローラ12は、抽出量が最大の色を灯火色と判定する(ステップS220)。青色、黄色、赤色の抽出量のいずれもが所定値未満である場合(ステップS219,No)、コントローラ12は、無灯火色の抽出量が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS221)。
【0084】
無灯火色の抽出量が所定値以上である場合(ステップ221,Yes)、コントローラ12は、信号機300は無灯火であると判定する(ステップS222)。無灯火色の抽出量が所定値未満である場合(ステップ221,No)、コントローラ12は、判定不可と判定する(ステップS223)。
【0085】
つづいて、コントローラ12は、灯火状態判定処理の結果をリターンする(ステップS224)。そして、コントローラ12は、灯火状態判定処理を終了する。
【0086】
図9の説明に戻る。ステップS103を終了すると、コントローラ12は、車両に対する信号機300の動きを推定する(ステップS104)。コントローラ12は、上述したように例えばカメラ画像のフレーム間の差異により信号機300が走行する車両に対して相対的にどのように動くかを推定する。
【0087】
つづいて、コントローラ12は、ステップ103の灯火状態判定処理の結果とステップ104の動きの推定結果とに基づいて信号無視を判定する(ステップS105)。
【0088】
ステップS105にてコントローラ12は、例えば車両の進行方向における通行の優先権の有無を提示する信号機300が赤色灯火の状態にあるにも関わらず、車両が予め決められた時間以上および速度以上で通行を続けた場合、車両が信号無視をしたと判定する。
【0089】
そして、コントローラ12は、出力部5へステップS105での判定結果を出力し(ステップS106)、処理を終了する。
【0090】
なお、図示は略しているが、コントローラ12は、カメラ画像のフレーム間における判定結果の安定度に基づいて出力部5へ出力を行うようにしてもよい。一例として、コントローラ12は、フレーム間において同じ判定結果が連続するなど安定度が高いと見なせる場合に、出力部5への出力を行うようにしてもよい。これにより、外乱等の影響を受けにくい安定した判定結果の出力が可能となる。
【0091】
上述してきたように、実施形態に係る画像処理装置10は、カメラ画像から信号機300の灯火色を判定するコントローラ12を有する。また、コントローラ12は、信号機300が有する各灯火器301,302,303の配置に対応する信号機300の各灯火状態における色成分の配置パターンを、上記色成分を検出する検出部間の間隔iが異なる複数種類の灯火色パターンフィルタ500(「パターンフィルタ」の一例に相当)として設定する。また、コントローラ12は、上記カメラ画像に対する画像認識によって信号機300が存在する信号領域SRを抽出する。また、コントローラ12は、信号領域SRから複数種類の灯火色パターンフィルタ500を介して上記色成分ごとの上記配置パターンに対する特徴量を示す複数の特徴マップ700を生成し、複数の特徴マップ700に基づいて信号機300の灯火色を判定する。これにより、コントローラ12は、信号機300の各灯火状態における色成分の配置パターンに該当する色成分を抽出することができる。したがって、コントローラ12は、各灯火器301,302,303の配置に対応する色成分による灯火色の判定を行うことができるので、例えば1つの灯火器の輝度レベルによってのみ灯火色を判定する場合に比べて、誤判定が起きることを抑制することができる。すなわち、実施形態に係る画像処理方法によれば、信号機300の灯火色の検出精度を向上させることができる。
【0092】
なお、上述した実施形態では、灯火色パターンフィルタ500は、Sスケール、MスケールおよびLスケールの3種類のスケールを有することとしたが一例であって、スケールの種類を3種類に限定するものではない。
【0093】
また、上述した実施形態では、灯火色パターンフィルタ500は、信号機300の各灯火状態に対応する青色、黄色、赤色、無灯火色の4種類の色成分ごとに設定されることとしたが一例であって、色成分は4種類に限定されない。例えば信号機300の各灯火状態に対応する色成分は、矢印式の信号機300の矢印色を含んでもよい。この場合、灯火色パターンフィルタ500は、矢印灯火器の位置に対応する色成分の配置パターンを含むものとなる。
【0094】
また、上述した実施形態では、信号領域SRが25×25画素分の矩形領域である例を挙げたが、一例であり、信号領域SRのサイズおよび形状を限定するものではない。信号領域SRを構成する画素数は画像処理装置10の処理能力等に応じて適宜変更可能である。また、信号領域SRは、矩形領域として正方形でなくともよい。
【0095】
また、上述した実施形態では、各検出部501,502,503が、例えば3×3画素分の領域の色成分を検出するように設定される例を挙げたが、各検出部501,502,503のサイズを限定するものではない。各検出部501,502,503のサイズは、例えば信号領域SRを構成する画素数の変更に応じて適宜変更可能である。また、上述した特徴マップ生成処理における6画素以上との条件は、各検出部501,502,503のサイズの変更に応じて適宜変更可能である。
【0096】
また、上述した間隔iは、スケールの種類や、信号領域SRを構成する画素数や、各検出部501,502,503のサイズ等に応じて適宜変更可能である。また、上述した実施形態では、信号領域SRは矩形領域であるとしたが、信号領域SRは矩形領域に限らなくともよい。
【0097】
また、上述した実施形態では、画像認識に基づいて信号機300の灯火状態、動きおよび信号無視を判定することとしたが、無論、車両に搭載された各種センサのセンサデータを適宜組み合わせてもよい。例えば、車両の挙動は、ステアリングセンサや加速度センサのセンサ値を利用して推定してもよい。自車速度は、速度センサのセンサ値を利用して取得してもよい。
【0098】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 ドライブレコーダ
3 カメラ
5 出力部
7 車載出力装置
9 画像処理ECU
10 画像処理装置
11 記憶部
12 コントローラ
300 信号機
301 青色灯火器
302 黄色灯火器
303 赤色灯火器
500 灯火色パターンフィルタ
501 第1検出部
502 第2検出部
503 第3検出部
700 特徴マップ
CF 色抽出フィルタ
i 間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12