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特開2024-130655無線通信システム、及び無線通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130655
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】無線通信システム、及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/18 20180101AFI20240920BHJP
   H04W 16/24 20090101ALI20240920BHJP
   H04W 92/14 20090101ALI20240920BHJP
   H04W 24/04 20090101ALI20240920BHJP
【FI】
H04W76/18
H04W16/24
H04W92/14
H04W24/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040505
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】大賀 敬之
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067AA41
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE56
5K067JJ11
5K067JJ31
(57)【要約】
【課題】緊急事態の際に、従来よりも高い信頼性の下に通信可能な指令本部と基地局を有する無線通信システム、及び無線通信方法を、より簡易な構成かつ低コストで提供する。
【解決手段】本開示の一態様に係る無線通信システム100は、回線制御装置30によって制御される第1基地局10と第2基地局20とを含む複数の基地局を有する無線通信システムである。回線制御装置30と第2基地局20との通信が切断状態の場合に、第1基地局の無線エリアA1と第2基地局の無線エリアA2とが重複する重複エリアA12に位置する、第1基地局10に帰属する移動局101及び第2基地局20に帰属する移動局201の少なくとも一方を介して、回線制御装置30と第2基地局20間で通信をおこなう。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回線制御装置によって制御される第1基地局と第2基地局とを含む複数の基地局を有する無線通信システムであって、
前記回線制御装置と前記第2基地局との通信が切断状態の場合に、前記第1基地局の無線エリアと前記第2基地局の無線エリアとが重複する重複エリアに位置する、前記第1基地局に帰属する移動局及び前記第2基地局に帰属する移動局の少なくとも一方を介して、前記回線制御装置と前記第2基地局間で通信をおこなう、
無線通信システム。
【請求項2】
前記第1基地局は、前記重複エリアに位置し、前記第2基地局に帰属する移動局を介して、前記第2基地局から送信された信号を受信する第1受信部を有し、
前記第2基地局は、前記重複エリアに位置し、前記第1基地局に帰属する移動局を介して、前記回線制御装置から送信された信号を受信する第2受信部を有する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記移動局は、前記基地局の周波数チャネルに対応できるように、周波数チャネル切換機構を有し、以下の(a)と(b)の送信処理を実行する、請求項1に記載の無線通信システム。
(a)前記回線制御装置から前記第2基地局に対して信号を送信する場合に、
前記重複エリアに位置する移動局は、
前記第1基地局の周波数チャネルにより前記回線制御装置からの信号を、前記第1基地局を介して受信した後に、前記第1基地局の周波数チャネルから前記第2基地局の周波数チャネルに切り替えて、当該受信した信号を前記第2基地局に対して送信する。
(b)前記第2基地局から前記回線制御装置に対して信号を送信する場合に、
前記重複エリアに位置する移動局は、
前記第2基地局の周波数チャネルにより前記第2基地局からの信号を受信した後に、前記第2基地局の周波数チャネルから前記第1基地局の周波数チャネルに切り替えて、前記第1基地局を介して前記回線制御装置に対して送信する。
【請求項4】
前記重複エリアに位置する移動局のいずれかは、前記基地局の周波数チャネルに対応できるように、周波数チャネル切換機構を有し、前記第1基地局に帰属した状態から前記第2基地局の周波数チャネルに切り替えて前記第2基地局に帰属する状態に遷移した後に、前記第2基地局から送信された信号を前記第1基地局の前記第1受信部に対して送信する、
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記重複エリアに位置する移動局のいずれかは、前記基地局の周波数チャネルに対応できるように、周波数チャネル切換機構を有し、前記第2基地局に帰属した状態から前記第1基地局の周波数チャネルに切り替えて前記第1基地局に帰属する状態に遷移した後に、前記第1基地局から送信された信号を前記第2基地局の前記第2受信部に対して送信する、
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記第1基地局は、
前記回線制御装置から前記第2基地局に対して送信された信号を優先して、
前記重複エリアに位置し、前記第1基地局に帰属する移動局に対して送信する、
請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記第2基地局は、
前記第2基地局から前記回線制御装置に対して送信された信号を優先して、
前記重複エリアに位置し、前記第2基地局に帰属する移動局に対して送信する、
請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記重複エリアに位置し、前記第1基地局に帰属する移動局からの前記第2基地局に対して送信される信号は、識別符号を含み、
前記第1基地局は、前記識別符号が付された信号を受信した場合、
前記第1基地局に帰属する移動局に信号を送信しないように制御する、
請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記重複エリアに位置し、前記第2基地局に帰属する移動局からの前記第1基地局に対して送信される信号は、識別符号を含み、
前記第2基地局は、前記識別符号が付された信号を受信した場合、
前記第2基地局に帰属する移動局に信号を送信しないように制御する、
請求項1又は2に記載の無線通信システム。
【請求項10】
回線制御装置と、回線制御装置によって制御される基地局間の無線通信方法であって、
前記回線制御装置と第2基地局との通信が切断状態の場合に、第1基地局の無線エリアと前記第2基地局の無線エリアとが重複する重複エリアに位置し、前記第1基地局又は前記第2基地局に帰属する移動局を選択するステップと、
選択された前記移動局を介して、前記回線制御装置と前記第2基地局間で通信をおこなうステップと、備える、
無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信システム、及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
災害発生時などの緊急事態の際に使用するため、消防無線システムや防災無線システムが開発されている。
特許文献1には、指令本部と基地局とを接続している有線回線が災害の発生によって切断された際に、有線回線による通信機能を失っていない別の基地局を経由して、有線回線が切断された基地局と指令本部とを接続する通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-242077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に開示された通信システムでは、指令本部との有線回線が接続されている基地局と指令本部との有線回線が切断されている基地局とを基地局間無線接続して、有線回線が切断されている基地局と指令本部との通信を可能としている。しかし、有線回線が切断されるほどの頻度が低い緊急事態に備えるためだけに、基地局を無線接続可能なように改良することはシステムを複雑化し、かつ高コストにする問題があった。
【0005】
本開示の目的は、上述した課題に鑑み、緊急事態の際に、従来よりも高い信頼性の下に通信可能な指令本部と基地局を有する無線通信システム、及び無線通信方法を、より簡易な構成かつ低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る無線通信システムは、
回線制御装置によって制御される第1基地局と第2基地局とを含む複数の基地局を有する無線通信システムであって、
前記回線制御装置と前記第2基地局との通信が切断状態の場合に、前記第1基地局の無線エリアと前記第2基地局の無線エリアとが重複する重複エリアに位置する、前記第1基地局に帰属する移動局及び前記第2基地局に帰属する移動局の少なくとも一方を介して、前記回線制御装置と前記第2基地局間で通信をおこなう。
【0007】
本開示の一態様に係る無線通信方法は、
回線制御装置によって制御される第1基地局と第2基地局とを含む複数の基地局を有する無線通信方法であって、
前記回線制御装置と前記第2基地局との通信が切断状態の場合に、前記第1基地局の無線エリアと前記第2基地局の無線エリアとが重複する重複エリアに位置する、前記第1基地局に帰属する移動局及び前記第2基地局に帰属する移動局の少なくとも一方を介して、前記回線制御装置と前記第2基地局間で通信をおこなう。
【発明の効果】
【0008】
本開示により、緊急事態の際に、従来よりも高い信頼性の下に通信可能な指令本部と基地局を有する無線通信システム、及び無線通信方法を、より簡易な構成かつ低コストで提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る無線通信システムの構成を示す模式図。
図2】実施形態1に係る無線通信方法の流れを示すフローチャートである。
図3】実施形態2に係る無線通信システムの構成を示す模式図である。
図4】実施形態2にかかる通信システムの処理を説明するための説明図である。
図5】実施形態2にかかる通信システムの処理を説明するための説明図である。
図6】実施形態2にかかる通信システムの処理を説明するための説明図である。
図7】実施形態2にかかる通信システムの処理を説明するための説明図である。
図8】実施形態2にかかる通信システムの処理を説明するための説明図である。
図9】実施形態3に係る無線通信システムの構成を示す模式図である。
図10】実施形態4に係る無線通信システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を通じて本開示を説明するが、請求の範囲に係る開示を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
<実施形態1>
以下、図面を参照して本開示の実施形態1について説明する。図1は、実施形態1に係る無線通信システムの構成を示す模式図である。実施の形態1に係る無線通信システム100は、指令本部H1、回線制御装置30、第1基地局10、第2基地局20、移動局101~103、移動局201~203を備える。無線通信システム100は、指令本部H1、回線制御装置30、第1基地局10及び第2基地局20、移動局101~103、移動局201~203の階層構造を有する。無線通信システム100は、例えば、防災無線システム、消防無線システムである。
【0012】
回線制御装置30と第1基地局10とは、有線経路L1によって接続されている。回線制御装置30と第2基地局20とは、有線経路L2によって接続されている。
【0013】
移動局101~103は、第1基地局10の無線エリアA1のいずれかに位置しており、第1基地局10に帰属している。移動局101~103と第1基地局10とは、無線接続されている。
【0014】
一方で、移動局201~203は、第2基地局20の無線エリアA2のいずれかに位置しており、第2基地局20に帰属している。移動局201~203と第2基地局20とは、無線接続されている。
【0015】
移動局101~103、及び移動局201~203は、それぞれが帰属している無線エリア内を自由に移動することができる。移動局101~103、及び移動局201~203は、例えば、車両に搭載される車載型無線機、人が手で持ち運べる携帯型無線機である。
【0016】
なお、複数の移動局101~103同士の通信は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、その他無線通信システムを用いて通信することができる。複数の移動局201~203同士の通信も同様である。
【0017】
図1に示すように、無線通信システム100では、回線制御装置30は、指令本部H1からの下り信号を第1基地局10及び第2基地局20に対して送信する。また、第1基地局10は、受信した指令本部H1からの下り信号を移動局101~103に対して送信する。さらに、第2基地局20は、受信した指令本部H1からの下り信号を移動局201~203に対して送信する。
【0018】
逆に、第1基地局10は、移動局101~103からの上り信号を回線制御装置30に対して送信する。また、第2基地局20は、移動局201~203からの上り信号を回線制御装置30に対して送信する。さらに、回線制御装置30は、受信した移動局101~103及び移動局201~203からの上り信号を、指令本部H1に対して送信する。
【0019】
ここで、災害発生による緊急事態の際に、回線制御装置30と、第1基地局10又は第2基地局20と、を接続している有線経路が切断される場合がある。この場合、回線制御装置30と接続できなくなった第1基地局10又は第2基地局20は、指令本部H1からの信号を受け取ることができない。以下では、回線制御装置30と第2基地局20との通信が切断状態である場合、すなわち有線経路L2が切断された場合を例にして説明する。
【0020】
図1に示すように、有線経路L2の切断時に、移動局101又は移動局201は、第1基地局10の無線エリアA1と第2基地局20の無線エリアA2とが重複する重複エリアA12に位置するように移動する。例えば、移動局101又は移動局201には、予め当該場所を記した地図情報または緯度経度情報が内蔵されていて、その地図表示に基づき移動局を携帯する人、または移動局の搭載された車両を運転する人が移動局とともに移動する。
【0021】
その他の例として、移動局101又は移動局201は、当該場所を示す地図情報または緯度経度情報に加え、GPS(Global Positioning System)など現在地情報を示す機能を内蔵し、現在地から移動すべき方向を表示し、移動局を携帯する人、または移動局の搭載された車両を運転する人が前述の表示を見ながら移動してもよい。自動運転システムの搭載された車両と連携し、車両の自動運転機能により移動してもよい。
なお、移動局101又は移動局201は、有線経路L2が切断時に重複エリアA12に位置している場合、移動しなくてもよい旨を表示してもよい。
【0022】
回線制御装置30と第2基地局20との間の通信は、重複エリアA12に位置する移動局101及び移動局201の少なくとも一方を介して行う。すなわち、回線制御装置30と第2基地局20との間の通信は、有線経路L1、無線経路L11、無線経路L12を介して行う。また、回線制御装置30と第2基地局20との間の通信は、有線経路L1、無線経路L22、無線経路L21を介して行ってもよい。
【0023】
さらに、回線制御装置30と第2基地局20との間の通信は、有線経路L1、無線経路L11、無線経路L12、無線経路L21、無線経路L22を介しておこなってもよい。
より具体的には、回線制御装置30は、指令本部H1からの下り信号を、有線経路L1を介して第1基地局10に対して送信する。第1基地局10は、受信した指令本部H1からの下り信号を無線経路L11を介して移動局101に対して送信する。移動局101は、受信した指令本部H1からの下り信号を無線経路L12を介して第2基地局20に対して送信する。第2基地局20は、受信した指令本部H1からの下り信号を、無線経路L23を介して移動局202に対して送信する。また、第2基地局20は、受信した指令本部H1からの下り信号を、無線経路L33を介して移動局203に対して送信する。すなわち、指令本部H1から移動局202、203への下り信号は、有線経路L1、無線経路L11、無線経路L12、無線経路L23、無線経路L33を介して送信される。
【0024】
一方で、移動局202は、指令本部H1からの信号に対して応答する上り信号(応答信号)を、無線経路L23を介して第2基地局20に対して送信する。また、移動局203は、指令本部H1からの信号に対して応答する上り信号(応答信号)を、無線経路L33を介して第2基地局20に対して送信する。第2基地局20は、応答信号を、無線経路L21を介して移動局201に対して送信する。移動局201は、受信した応答信号を、無線経路L22を介して第1基地局10に対して送信する。第1基地局10は、応答信号を有線経路L1を介して回線制御装置30に対して送信する。回線制御装置30は、応答信号を指令本部H1に対して送信する。すなわち、移動局202、203から指令本部H1への信号は、無線経路L23、無線経路L33、無線経路L21、無線経路L22、有線経路L1を介して送信される。
【0025】
図1に示した例では、無線通信システム100は、第1基地局10及び第2基地局20の2つの無線基地局によって構成されているが、これに限定されることはなく、3つ以上の複数の基地局を含んでもよい。
【0026】
続いて、実施形態1に係る無線通信方法を説明する。図2は、実施形態1に係る無線通信方法の流れを示すフローチャートである。図2では、回線制御装置30と第2基地局20との通信が切断状態である場合における無線通信方法の流れを示している。まず、第1基地局10の無線エリアA1と第2基地局20の無線エリアA2とが重複する重複エリアA12に位置し、第1基地局10又は第2基地局20に帰属する移動局を選択する(ST1)。次に、選択された移動局を介して、回線制御装置30と第2基地局20間で通信をおこなう(ST2)。
【0027】
このように、実施形態1に係る無線通信システム100は、回線制御装置30と第2基地局20との通信が切断状態の場合、第1基地局10に帰属する移動局101及び第2基地局20に帰属する移動局201の少なくとも一方が、重複エリアA12に位置する。第1基地局10に帰属する移動局101及び第2基地局20に帰属する移動局201の少なくとも一方を介して、回線制御装置30と第2基地局20間で通信をおこなう。これにより、緊急事態の際に、より簡易な低コストの構成で指令本部H1と第2基地局20の無線エリアA2に存在する移動局202、203との間で通信を行うことができる。
【0028】
<実施形態2>
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態2について説明する。図3は、実施形態2に係る無線通信システムの構成を示す模式図である。図3に示した無線通信システム200では、有線経路及び無線経路を上り信号用の経路と下り信号用の経路とに分けて表記している。例えば、図3における上り信号用の無線経路U11と下り信号用の無線経路D11は、図1における無線経路L11に相当する。すなわち、無線通信システム200では、上り信号と下り信号とで無線経路を分離している。無線経路の分離は、上り下りの信号で異なる信号の周波数、異なる信号を伝達する時間帯を設定することで行う。
【0029】
図3に示した無線通信システム200は、有線及び無線経路を上り信号用の経路と下り信号用の経路とに分けて表記している点と、第1基地局10が第1受信部10Rを、さらに、第2基地局20が第2受信部20Rを備えている点と、が図1に示した無線通信システム100と異なる。それ以外の構成は実施形態1に係る無線通信システム100と同様であるため、説明を省略する。以下では、実施形態1と同様に、回線制御装置30と第2基地局20との通信が切断状態である場合について説明する。
【0030】
図3に示すように、第1基地局10は、重複エリアA12に位置し、第2基地局20に帰属する移動局201を介して、第2基地局から送信された信号を受信する第1受信部10Rを有している。第1受信部10Rは、例えば、高い指向性を有するアンテナを備える。
【0031】
一方で、図3に示すように、第2基地局20は、重複エリアA12に位置し、第1基地局10に帰属する移動局101を介して、回線制御装置30から送信された信号を受信する第2受信部20Rを有している。第2受信部20Rは、例えば、高い指向性を有するアンテナを備える。
【0032】
ここで、回線制御装置30と第2基地局20との通信である有線経路U2、D2が切断状態である。そのため、回線制御装置30は、有線経路D2を介して第2基地局20に対して下り信号を送信できない。また、第2基地局20は、有線経路U2を介して回線制御装置30に対して上り信号を送信できない。
【0033】
一方で、回線制御装置30と第1基地局10との通信が切断状態でない。そのため、回線制御装置30は、有線経路D1を介して第1基地局10に対して下り信号を送信することができる。また、第1基地局10は、有線経路U1を介して回線制御装置30に対して上り信号を送信することができる。
【0034】
図3に示すように、第1基地局10と重複エリアA12に位置する移動局101とは、無線接続されているため、通信可能である。より具体的には、第1基地局10は、無線経路D11を介して移動局101に対して下り信号を送信する。また、移動局101は、無線経路U11を介して第1基地局10に対して上り信号を送信する。
【0035】
また、図3に示すように、移動局101は、無線エリアA12に位置する。移動局101は、無線経路U12を介して第2基地局20に対して上り信号を送信する。第2基地局20は、重複エリアA12に位置する移動局101から送信された信号を第2受信部20Rによって受信する。
【0036】
すなわち、回線制御装置30から送信された信号は、重複エリアA12に位置し、第1基地局10に帰属する移動局101を介して、第2基地局20の第2受信部20Rによって受信される。これにより、第2基地局20は、回線制御装置30から送信された信号を有線経路D1、無線経路U11、無線経路U12を介して、受信する。
【0037】
図3に示すように、第2基地局20と重複エリアA12に位置する移動局201とは、無線接続されているため、通信可能である。より具体的には、第2基地局20は、無線経路D21を介して移動局201に対して下り信号を送信する。また、移動局201は、無線経路U21を介して第2基地局20に対して上り信号を送信する。
【0038】
また、図3に示すように、移動局201は、無線エリアA12に位置する。移動局201は、無線経路U22を介して第1基地局10に対して上り信号を送信する。第1基地局10は、重複エリアA12に位置する移動局201から送信された信号を第1受信部10Rによって受信する。
【0039】
すなわち、第2基地局20から送信された信号は、重複エリアA12に位置し、第2基地局20に帰属する移動局201を介して、第1基地局10の第1受信部10Rによって受信される。これにより、回線制御装置30は、第2基地局20から送信された信号を無線経路D21、無線経路U22、有線経路U1を介して、受信する。
【0040】
また、第1基地局10の第1受信部10Rは、アンテナの指向性によって、移動局201からの無線経路U22の受信において利得を得ることができる。さらに、第2基地局20の第2受信部20Rは、アンテナの指向性によって、移動局101からの無線経路U21の受信において利得を得ることができる。
【0041】
ここで、第1基地局10は、回線制御装置30から第2基地局20に対して送信された信号を、第1基地局10に帰属する移動局102、103に向けて送信された信号よりも優先して、重複エリアA12に位置し、第1基地局10に帰属する移動局101に送信してもよい。
【0042】
<折り返し信号>
図3及び図4を参照しながら、第1基地局10が第2基地局20に対して送信する信号について詳細に説明する。図4は、実施形態2にかかる通信システムの処理を説明するための説明図である。
【0043】
図3及び図4に示すように、回線制御装置30と第1基地局10とは、有線接続されているため、回線制御装置30は、経路D1を介して第1基地局10に対して下り信号を送信する。また、第1基地局10は、回線制御装置30から送信された信号を、無線経路D13を介して、移動局102に対して送信する。
【0044】
移動局102は、受信した信号に対して応答するため、または自発的に、無線経路U13を介して、上り信号を第1基地局10に対して送信する。
移動局102が送信した上り信号は、第1基地局10から下り信号として無線エリアA1の移動局101、103へ送信される。これを基地局折り返しと称する。
移動局102が送信した上り信号は、第1基地局10から有線経路U1を経て回線制御装置30へ送信され、回線制御装置30は当該上り信号を、有線経路D1を経て第1基地局10へ送信し、第1基地局10から下り信号として無線エリアA1の移動局101、103へ送信される。これを回線制御装置折り返しと称する。回線制御装置折り返しの場合は、他の基地局の無線エリアに位置する移動局、例えば移動局102が送信した上り信号が、第2基地局20を経由し、第2基地局20配下の移動局201、202、203へも送信される。
【0045】

すなわち、図3及び図4に示すように、第1基地局10は、
(1)回線制御装置30から有線経路D1を介して受信した移動局101、102、103へ向けての下り信号と、
(2)移動局102から無線経路U13を介して受信した上り信号を基地局折り返しまたは回線制御装置折り返し信号として送信する下り信号と、
(3)回線制御装置30から有線経路D1を介して受信した第2基地局20へ向けての下り信号と、
を下り信号として送信する場合がある。
【0046】
この場合、第1基地局10は、回線制御装置30から受信した第2基地局20へ向けての下り信号を、他の下り信号よりも優先して、移動局101に対して送信する。移動局101は、受信した信号を無線経路U12を介して、第2基地局20に上り信号として送信する。
なお、図4には、上述した信号(1)~(3)が無線経路に併記されている。
【0047】
回線制御装置30から経路D1を介して送信された第2基地局20へ向けての下り信号の方が、回線制御装置30から移動局101、102、103へ向けての下り信号や、基地局折り返しまたは回線制御装置折り返し信号としての下り信号よりも重要である場合が多い。そのため、第1基地局10は、回線制御装置30から経路D1を介して受信した第2基地局20へ向けての下り信号を、優先して移動局101に対して送信する。しかし、これに限定されることはなく、第1基地局10は、回線制御装置30から移動局101、102、103へ向けての下り信号や、基地局折り返しまたは回線制御装置折り返し信号としての下り信号を、優先して移動局101に対して送信してもよい。
【0048】
ここでは、移動局102を例にして説明したが、移動局101及び移動局103でも同様である。
【0049】
また、第2基地局20は、第2基地局20から回線制御装置30に対して送信する信号を第2基地局20に帰属する移動局201~203から受信した信号よりも優先して、
重複エリアA12に位置し、第2基地局20に帰属する移動局201に送信してもよい。
【0050】
図3及び図5を参照しながら、第2基地局20が第1基地局10に対して送信する信号について詳細に説明する。図5は、実施形態2にかかる通信システムの処理を説明するための説明図である。
【0051】
図3及び図5に示すように、第2基地局20と重複エリアA12に位置する移動局101とは、無線接続されているため、移動局101は、無線経路U12を介して第2基地局20に上り信号を送信する。また、第2基地局20は、受信した信号を無線経路D23を介して、移動局202に対して送信する。
移動局202は、受信した信号に対して応答するため、または自発的に、無線経路U23を介して、上り信号を第2基地局20に対して送信する。移動局202が送信した上り信号は第2基地局20から下り信号として無線エリアA2の移動局201、203へ送信される。これは基地局折り返しである。
【0052】
回線制御装置30と第2基地局20を接続する有線経路U2、有線経路D2が切断されていない場合は、移動局202が送信した上り信号は、第2基地局20から有線経路U2を経て回線制御装置30へ送信され、回線制御装置30は前記上り信号を有線経路D2を経て第2基地局20へ送信し、第2基地局20から下り信号として無線エリアA2の移動局201、203へ送信される。これは回線制御装置折り返しである。回線制御装置折り返しの場合は、他の基地局の無線エリアに位置する移動局、例えば移動局202が送信した上り信号が、第1基地局10配下の移動局101、102、103へも送信される。
なお、有線経路U2、有線経路D2が切断されている状態にあっては、回線制御装置折り返しは実行されない。
【0053】
すなわち、図3及び図5に示すように、第2基地局20は、
(1)回線制御装置30から移動局101、無線経路U12を介して送信された移動局201、202、203へ向けての下り信号と、
(2)移動局202から無線経路U23を介して送信された上り信号に対する基地局折り返し信号と、
を送信する場合がある。
【0054】
この場合、第2基地局20は、移動局101から受信した上り信号、換言すると、回線制御装置30から送信された下り信号を、移動局202から送信された上り信号に対する基地局折り返し信号よりも優先して、移動局201、202、203に送信する。
なお、図5には、上述した信号(1)、(2)が無線経路に併記されている。
【0055】
また、図3及び図6に示すように、第2基地局20は、
(3)移動局202から送信された回線制御装置30へ向けての上り信号と、
(4)移動局203から経路U33を介して送信された移動局201、202に向けての上り信号と、
を受信する場合がある。
【0056】
この場合、第2基地局20は、移動局202からの上り信号のうち、回線制御装置30へ送信する信号を、移動局203から送信された移動局201,202に向けての上り信号よりも優先して、移動局201へ送信する。移動局201は、受信した信号を、無線経路U22を介して、第1基地局10に上り信号として送信する。
なお、図6には、上述した信号(3)、(4)が無線経路に併記されている。
【0057】
ここでは、移動局202を例にして説明したが、移動局203でも同様である。
【0058】
<送信規制>
ここまでは、回線制御装置30と第2基地局20が第1基地局10経由で通信する場合に、第1基地局10及び第2基地局20がどの信号を優先的に移動局に送信するかについて説明した。ここで、第1基地局10及び第2基地局20は、回線制御装置30と通信中において、それぞれに帰属する移動局が上り信号を送信しないように制御してもよい(送信規制)。
【0059】
<遅延送信>
また、移動局101~103及び移動局201~203は、受信した下り通信の情報を記録することによって、受信時刻に対し送信時刻を遅らせて、信号を送信できる。これにより、移動局101~103及び移動局201~203は送信規制を受けている間に記録された送信信号を送信規制が解除されたのちに送信することができる(遅延送信)。
【0060】
<送信規制識別符号(下り)>
ここで、重複エリアA12に位置し第1基地局10に帰属する移動局から、第2基地局20に対して送信される信号は、送信規制識別符号を含む。第1基地局10は、送信規制識別符号が付された信号を受信した場合、第1基地局10に帰属する移動局に下り折り返し信号を送信しないように自らを制御してもよい。
【0061】
図3及び図7を参照しながら、送信規制識別符号が付された、第1基地局10に帰属する移動局から第2基地局20に対して送信される信号について説明する。図7は、実施形態2にかかる通信システムの処理を説明するための説明図である。図7における実線の矢印では矢印が示す経路を介して信号を送信しているが、破線の矢印では矢印が示す経路を介して信号を送信しないこと意味している。例えば、図7における無線経路D13を示す実線の矢印では、第1基地局10は、回線制御装置30から有線経路D1を介して受信した下り信号を、無線経路D13を介して、移動局102に対して送信する。一方で、図7における無線経路D13を示す破線の矢印では、第1基地局10は、移動局101から無線経路U11を介して受信した送信規制識別符号が付された上り信号を、無線経路D13を介して、移動局102に対して送信しない。以下、図3及び図7を参照しながらより具体的に説明する。
【0062】
図3及び図7に示すように、回線制御装置30と第1基地局10とは、有線接続されている。そのため、回線制御装置30は、有線経路D1を介して第1基地局10に対して下り信号を送信する。第1基地局10は、第1基地局10に帰属する移動局101及び移動局102と無線接続されている。そのため、第1基地局10は、回線制御装置30から有線経路D1を介して受信した下り信号を、無線経路D11を介して、移動局101に対して送信する。また、第1基地局10は、回線制御装置30から有線経路D1を介して受信した下り信号を、無線経路D13を介して、移動局102に対して送信する。なお、無線経路D11と無線経路D13は、第1基地局10からの同一の周波数による送信に基づくものである。
【0063】
移動局101は、第1基地局10から送信された信号を、無線経路U12を介して、第2基地局20に対して送信する。このとき、移動局101は、第1基地局10から送信された信号を、無線経路U11を介して、第1基地局10にも同時に送信していることになる。移動局101から送信される信号には、送信規制識別符号が付されている。
【0064】
第1基地局10は、無線経路U11を介して、移動局101から送信規制識別符号が付された上り信号を受信する。第1基地局10は、送信規制識別符号が付された上り信号を受信したときには、当該上り信号に対応する下り折り返し信号を送信しないように、自らを制御する。換言すると、第1基地局10は、移動局101から無線経路U11を介して受信した送信規制識別符号が付された上り信号を、無線経路D13を介して、移動局102に対して送信しない。すなわち、送信規制識別符号は、第1基地局10が移動局101、102に回線制御装置30から第2基地局20に向けた信号を、移動局101から第1基地局10への上り信号と識別し無線エリアA1内へ2回重複して送信しないよう制御するために付された識別情報である。
ここでは、移動局102を例にして説明したが、移動局103でも同様である。
【0065】
<送信規制識別符号(上り)>
また、重複エリアA12に位置し、第2基地局20に帰属する移動局から第1基地局10に対して送信される信号は、送信規制識別符号を含む。第2基地局20は、送信規制識別符号が付された信号を受信した場合、第2基地局20に帰属する移動局に下り折り返し信号を送信しないように自らを制御してもよい。
【0066】
図3及び図8を参照しながら、送信規制識別符号が付された、第2基地局20に帰属する移動局から第1基地局10に対して送信される信号について説明する。図8は、実施形態2にかかる通信システムの処理を説明するための説明図である。図8における実線の矢印では矢印が示す経路を介して信号を送信しているが、破線の矢印では矢印が示す経路を介して信号を送信しないこと意味している。例えば、図8における無線経路D23を示す実線の矢印では、第2基地局20は、回線制御装置30から移動局101経由で受信した信号を、無線経路D23を介して移動局202に対して送信する。一方で、図8における無線経路D23を示す破線の矢印では、第2基地局20は、移動局201から無線経路U21を介して受信した送信規制識別符号が付された上り信号を、移動局202に対して送信しない。以下、図3及び図8を参照しながらより具体的に説明する。
【0067】
図3及び図8に示すように、第2基地局20と重複エリアA12に位置する移動局101とは、移動局101から第2基地局20への上り通信、無線経路U12のみが無線接続されている。移動局101は、無線経路U12を介して第2基地局20に上り信号を送信する。第2基地局20は、第2基地局20に帰属する移動局201及び移動局202と、上り下り双方向で無線接続されている。第2基地局20は、回線制御装置30から移動局101経由で受信した信号に対して回線制御装置30へ応答するための信号を、無線経路D21を介して移動局201に対して送信する。また、第2基地局20は、回線制御装置30から移動局101経由で受信した信号を、無線経路D23を介して、移動局202に対して送信する。なお、無線経路D21と無線経路D23は、第2基地局20からの同一の周波数による送信に基づくものである。
【0068】
移動局201は、第2基地局20から送信された信号を、無線経路U22を介して第1基地局10に対して送信する。このとき、移動局201は、第2基地局20から送信された信号を、無線経路U21を介して第2基地局20にも同時に送信していることになる。移動局201から送信される信号には、送信規制識別符号が付されている。
【0069】
第2基地局20は、無線経路U21を介して、移動局201から送信規制識別符号が付された上り信号を受信する。第2基地局20は、送信規制識別符号が付された上り信号を受信したときには、当該上り信号に対応する下り折り返し信号を送信しないように、自らを制御する。換言すると、第2基地局20は、移動局201から無線経路U21を介して受信した送信規制識別符号が付された上り信号を、無線経路D23を介して、移動局202に対して送信しない。すなわち、送信規制識別符号は、第2基地局20が回線制御装置30に向けた第1基地局10への信号を無線エリアA2内の移動局201、202へ重複して送信しないよう制御するために付された識別情報である。
ここでは、移動局202を例にして説明したが、移動局203でも同様である。
【0070】
実施形態2に係る無線通信システム200では、第1基地局10は、重複エリアA12に位置し第2基地局20に帰属する移動局201を介して、第2基地局20から回線制御装置30へ向けて送信された信号を受信するための、第1受信部10Rを有する。また、第2基地局20は、重複エリアA12に位置し第1基地局10に帰属する移動局101を介して、回線制御装置30から第1基地局10を経て送信された信号を受信するための、第2受信部20Rを有する。これにより、重複エリアA12に位置する第1基地局10に帰属する移動局101及び第2基地局20に帰属する移動局201を介して、回線制御装置30と第2基地局20間で双方向通信をおこなう。よって、回線制御装置30と第2基地局20の通信経路が切断状態となる緊急事態の際に、より簡易な構成で指令本部H1と第2基地局20間で通信を回復させることができる。
【0071】
また、実施形態2に係る無線通信システム200では、基地局の受信機能の追加のみであり、アンテナの指定を含む免許取得、送信品質管理などの追加コストの必要がない。送信機能に必要な電力消費も抑制できる。そのため、安価かつ省エネルギーな構成で指令本部H1と第2基地局20間で通信をおこなうことができる。
【0072】
さらに、第1受信部10R及び第2受信部20Rのアンテナは、重複エリアA12へ指向性を持たせ利得を得ることができるため、対向して無線通信する移動局101及び201の送信電力を利得分だけ下げることができる。移動局101及び201電源が二次電池である場合は、電池の持ち時間を延ばすことができる。
【0073】
<切断の検出>
ここまでは、回線制御装置30と第2基地局20との通信が切断状態である場合について説明した。回線制御装置30と第1基地局10、第2基地局20との通信が切断状態となったことを検出するために、回線制御装置30と第1基地局10又は第2基地局20間の通信では、定期的に通信できているかの確認(ヘルスチェック)が実施される。
【0074】
<下り通信における切断の検出>
例えば、回線制御装置30が第2基地局20に対して送信する下り通信において、回線制御装置30はタイマを有し、定期的に予め決められた内容の確認用信号(下り通信確認信号)を第2基地局20に対して送信する。第2基地局20はタイマを有し、下り通信確認信号が到着すると予想される時間帯(受信予定時間帯)に下り通信確認信号を受信できる場合、回線制御装置30からの下り信号が正常に受信できていると判断する。
【0075】
一方で、第2基地局20は、通信確認信号が受信予定時間帯に下り通信確認信号を受信できない場合、回線制御装置からの下り信号が正常に受信できていないと判断する。また、第2基地局20は、受信した下り通信確認信号が、回線制御装置30から受信されるべき予め決められた内容と異なる場合、回線制御装置からの下り信号が正常に受信できていないと判断する。すなわち、回線制御装置30から第2基地局20に対する下り通信が切断されたと判断する。
【0076】
なお、切断の判断は、受信予定時間帯に受信できない事象が所定の回数以上繰り返された場合としてもよい。また、受信内容が異なる事象が所定の回数以上繰り返された場合としてもよい。
【0077】
<上り通信における切断の検出>
第2基地局20が回線制御装置30に対して送信する上り通信について、第2基地局20はタイマを有し、定期的に予め決められた内容の確認用の信号(上り通信確認信号)を回線制御装置30に対して発信する。回線制御装置30はタイマを有し、上り通信確認信号が到着すると予想される時間帯(受信予定時間帯)内に上り通信確認信号を受信できる場合、第2基地局20からの上り信号が正常に受信できていると判断する。
【0078】
一方で、回線制御装置30は、受信予定時間帯内に上り通信確認信号を受信できない場合、第2基地局20からの上り信号が正常に受信できていないと判断する。また、回線制御装置30は、受信した上り通信確認信号が、第2基地局20から受信されるべき予め決められた内容と異なる場合、第2基地局20からの上り信号が正常に受信できていないと判断する。すなわち、第2基地局20から回線制御装置30に対する上り通信が切断されたと判断する。
【0079】
なお、切断の判断は、受信予定時間帯に受信できない事象が所定の回数以上繰り返された場合としてもよい。また、受信内容が異なる事象が所定の回数以上繰り返された場合としてもよい。
【0080】
<移動局による中継>
図3に示した無線通信システム200では、移動局101又は移動局201が有線経路D2及びU2の切断時に、重複エリアA12に位置している場合を説明した。ここでは、有線経路D2及びU2の切断時に、移動局101又は移動局201が重複エリアA12に位置して通信を開始するまでについて説明する。
【0081】
<中継要求(第2基地局側)>
第2基地局20は、回線制御装置30との通信が切断されたと判断すると、通信エリアA2の移動局201~203に対して、重複エリアA12に移動し、中継動作をおこなうことを要求する(中継要求)。例えば移動局201が中継要求を受信した場合、移動局201は重複エリアA12に移動し、中継動作を開始する。移動局201は、第2基地局20から中継要求を受領したことを示す信号(中継要求受領信号)、及び中継動作を開始したことを示す信号(中継動作開始信号)を第2基地局20に対して送信する。第2基地局20は、移動局201から中継要求受領信号、及び中継動作開始信号の少なくとも一つを受信した場合、その他の移動局202及び203に対して、中継要求を取り下げてもよい。
【0082】
移動局201は、中継要求受領信号、及び中継動作開始信号を、第1基地局10に対しても送信する。これらの信号は、第2基地局20への信号と共通であってもよい。
第1基地局10は、移動局201からの中継要求受領信号、及び中継動作開始信号を、回線制御装置30に対して送信する。
第2基地局20は、中継要求受領信号及び中継動作開始信号を受信すると、第2基地局20から回線制御装置30に対して送信する通信を、移動局201、及び第1基地局10を介しての通信に切り替える。
回線制御装置30は、中継要求受領信号及び及びや中継動作開始信号を受信すると、第2基地局20から回線制御装置30に対して送信する通信を、移動局201、及び第1基地局10を介しての通信に切り替える。
【0083】
<中継要求(回線制御装置側)>
回線制御装置30は、第2基地局20との接続が切断されたと判断すると、回線制御装置に予め登録されていた第1基地局10に、第2基地局20との接続が切断されたことを連絡する。第1基地局10は、切断連絡を受信すると、通信エリアA1の移動局101~103に対して、重複エリアA12に移動し、中継動作をおこなうことを要求する(中継要求)。移動局101は中継要求を受信すると、重複エリアA12に移動し、中継動作を開始する。
移動局101は、第1基地局10から中継要求を受領したことを示す信号(中継要求受領信号)、及び中継動作を開始したことを示す信号(中継動作開始信号)を第1基地局10に対して送信する。第1基地局10は、移動局101から中継要求受領信号、及び中継動作開始信号の少なくとも一つを受信した場合、その他の移動局102及び103への中継要求を取り下げてもよい。
【0084】
第1基地局10は、中継要求受領信号及び中継動作開始信号を回線制御装置30に対して送信する。
回線制御装置30は、中継要求受領信号及び中継動作開始信号を受信すると、回線制御装置30から第2基地局20に対して送信する通信を、第1基地局10、及び移動局101を介しての通信に切り替える。
移動局101は、中継要求受領信号及び中継動作開始信号を、第2基地局20に対しても送信する。これらの信号は、第1基地局10への信号と共通であってもよい。
第2基地局20は、移動局101から中継要求受領信号及び中継動作開始信号を受信すると、回線制御装置30から第2基地局20に対して送信する通信を、第1基地局10、及び移動局101を介しての通信に切り替える。
【0085】
<実施形態3>
<周波数チャネル切換機構>
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態3について説明する。図9は、実施形態3に係る無線通信システムの構成を示す模式図である。実施の形態3に係る無線通信システム300は、指令本部H1、回線制御装置30、第1基地局10、第2基地局20、移動局101~104、移動局202及び203を備える。
【0086】
移動局101~104は、第1基地局10の無線エリアA1のいずれかに位置しており、第1基地局10に帰属している。一方で、移動局202及び203は、第2基地局20の無線エリアA2のいずれかに位置しており、第2基地局20に帰属している。
【0087】
図9に示した無線通信システム300は、第1基地局に帰属している移動局101及び104が重複エリアA12に位置している点と移動局が周波数チャネル切換機構を有する点とが図3に示した無線通信システム200と異なる。それ以外の構成は実施形態2に係る無線通信システム200と同様であるため、説明を省略する。以下では、実施形態1及び実施形態2と同様に、回線制御装置30と第2基地局20との通信が切断状態である場合について説明する。
【0088】
図9に示した無線通信システム300では、重複エリアA12に位置する移動局のいずれかは、複数の基地局の周波数チャネルに対応できるように、周波数チャネル切換機構を有する。移動局は、例えば最初に第1基地局10に帰属した状態から、第2基地局20の周波数チャネルに切り替えて第2基地局20に帰属する状態に遷移した後に、第2基地局20から送信された信号を第1基地局10の第1受信部10Rに対して送信する。
【0089】
図9を参照しながら、より詳細に説明する。移動局101と移動局104とは、第1基地局10に帰属しているため、第1基地局10の周波数チャネルが設定され、第1基地局10と通信できる。また、移動局101と移動局104とは、重複エリアA12に位置するため、位置的には第2基地局20にも帰属することもできる。移動局101と移動局104とは、周波数チャネル切換機構によって第1基地局10の周波数チャネルから第2基地局20の周波数チャネルに切り替えた場合、第2基地局20との通信をおこなうことができる。ここでは、移動局104が第1基地局10の周波数チャネルから第2基地局20の周波数チャネルに切り替えたとする。
【0090】
この場合、図9に示すように、回線制御装置30は、有線経路D1を介して第1基地局10に対して下り信号を送信する。また、第1基地局10は、回線制御装置30から送信された下り信号を、無線経路D11を介して、移動局101に対して送信する。移動局101は、無線経路U12を介して第2基地局20に対して上り信号を送信する。これにより、第2基地局20は、回線制御装置30から送信された信号を有線経路D1、無線経路D11、無線経路U12を介して、受信する。
【0091】
すなわち、回線制御装置30から送信された信号は、重複エリアA12に位置し、第1基地局10に帰属する移動局101を介して、第2受信部20Rによって受信される。
【0092】
また、図9に示すように、第2基地局20は、無線経路D21を介して移動局104に対して下り信号を送信する。移動局104は、無線経路U22を介して、第1基地局10に上り信号を送信する。これにより、回線制御装置30は、第2基地局20から送信された信号を無線経路D21、無線経路U22、有線経路U1を介して、受信することができる。
【0093】
すなわち、第2基地局20から送信された信号は、重複エリアA12に位置し、第2基地局20に帰属する移動局104を介して、第1受信部10Rによって受信される。
【0094】
このように、図9に示した無線通信システム300では、回線制御装置30と第2基地局20とを接続している有線経路が切断された場合、移動局104が第1基地局10の周波数チャネルから第2基地局20の周波数チャネルに切り替わる。これにより、回線制御装置30と第2基地局20間で通信をおこなうことができる。換言すると、図9に示した無線通信システム300における移動局104は、図3に示した無線通信システム200における移動局201と同じ役割を担う。
【0095】
ここでは、図9に示すように、第1基地局10に帰属する移動局101及び移動局104の2つが重複エリアA12に位置しているが、これに限定されることはなく、第1基地局10に帰属する移動局のうち少なくとも2つ以上が重複エリアA12に位置すればよい。
【0096】
また、重複エリアA12に位置する少なくとも2つ以上の移動局は、最初に第1基地局10に帰属する移動局に限定されることはなく、第2基地局20に帰属する移動局でもよい。この場合、第2基地局20に帰属した状態から第1基地局10の周波数チャネルに切り替えて第1基地局10に帰属する状態に遷移した後に、第1基地局10から送信された信号を第2基地局20の第2受信部20Rに対して送信する。
【0097】
例えば、図9に示した移動局202と移動局203とが移動して、重複エリアA12に位置するようになった場合、移動局203が第2基地局20の周波数チャネルから第1基地局10の周波数チャネルに切り替わる。これにより、回線制御装置30と第2基地局20間で通信をおこなうことができる。換言すると、移動局203は、図3に示した無線通信システム200における移動局101と同じ役割を担う。
【0098】
このように、第1基地局10または第2基地局20、どちらか一方の配下にある移動局のみで、回線制御装置30と第2基地局20の通信を維持することができる。上位基地局からの指示が容易にかつ迅速になる、という効果を奏する。
【0099】
<実施形態4>
<周波数チャネルの交互切換>
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態4について説明する。図10は、実施形態4に係る無線通信システムの構成を示す模式図である。
【0100】
図10に示した無線通信システム400は、第1基地局に帰属している移動局101のみが重複エリアA12に位置している点と第1受信部10R及び第2受信部20Rを備えていない点とが図8に示した無線通信システム300と異なる。それ以外の構成は実施形態3に係る無線通信システム300と同様であるため、説明を省略する。以下では、実施形態3と同様に、回線制御装置30と第2基地局20との通信が切断状態である場合について説明する。
【0101】
移動局101は、第1基地局10に帰属しているため、第1基地局10の周波数チャネルを有し、第1基地局10と通信できる。また、移動局101は、重複エリアA12に位置するため、位置的には第2基地局20とも通信することができる。移動局101は、周波数チャネル切換機構を有するため、第1基地局10の周波数チャネルから第2基地局20周波数チャネルに切り替えた場合、第2基地局20に帰属し第2基地局20と通信することができる。
【0102】
ここで、移動局101が第1基地局10の周波数チャネルを有し、第1基地局10と通信をおこなう場合を移動局101A1と称する。一方で、移動局101が、第1基地局10の周波数チャネルから第2基地局20周波数チャネルに切り替わり、第2基地局20と通信をおこなう場合を、移動局101A2と称する。なお、当然のことながら、移動局101A2は、第1基地局10の周波数チャネルから第2基地局20周波数チャネルに切り替えただけであるため、移動局101A1と同じ位置に位置する。
【0103】
図10を参照しながら、移動局101が周波数チャネルを切り替えることによって、回線制御装置30と第2基地局20との通信が行える例を説明する。ここでは、移動局101が最初に第1基地局10の周波数チャネルを有し、移動局101A1であるとする。
【0104】
この場合、図10に示すように、回線制御装置30は、第2基地局20への信号を、有線経路D1を介して第1基地局10への下り信号として送信する。第1基地局10は、回線制御装置30から送信された信号を、無線経路D11を介して、移動局101A1に向けて送信する。ここで、移動局101A1は、第1基地局10からの信号を受信し信号を記録したら、第1基地局10の周波数チャネルから第2基地局20の周波数チャネルに切り替わり、移動局101A2となる。移動局101A2は、記録した信号を無線経路U12を介して第2基地局20に上り信号として送信する。これにより、第2基地局20は、回線制御装置30から送信された信号を有線経路D1、無線経路D11、無線経路U21を介して、受信することができる。
【0105】
また、図10に示すように、第2基地局20は、回線制御装置30への信号を、無線経路D21を介して移動局101A2への下り信号として送信する。ここで、移動局101A2は、第2基地局20からの信号を受信し信号を記録したら、第2基地局20の周波数チャネルから第1基地局10周波数チャネルに切り替わり、移動局101A1となる。移動局101A1は、記録した信号を無線経路U11を介して、第1基地局10に上り信号として送信する。これにより、回線制御装置30は、第2基地局20から送信された信号を無線経路D21、無線経路U11、有線経路U1を介して、受信することができる。
【0106】
このように、図10に示した無線通信システム400では、移動局101は、第1基地局10の周波数チャネルにより回線制御装置30からの信号を第1基地局10を介して受信する。移動局101は、回線制御装置30からの信号を受信した後に、第1基地局10の周波数チャネルから第2基地局20の周波数チャネルに切り替えて、当該受信した信号を第2基地局20に対して送信する。
【0107】
また、移動局101は、第2基地局20の周波数チャネルにより第2基地局20からの信号を受信した後に、第2基地局20の周波数チャネルから第1基地局10の周波数チャネルに切り替えて、第1基地局10を介して回線制御装置30に対して送信する。これにより、回線制御装置30と第2基地局20間で通信をおこなうことができる。
【0108】
このように、複数の移動局を必要とせず、1台の移動局で、回線制御装置30と第2基地局20間の通信を維持することができる。より少ないハードウェアリソースで、迅速に対応できる、という効果を奏する。
【0109】
<移動局の電界強度測定による位置判定>
移動局が重複エリアA12に位置している否かを判定する例を説明する。移動局は、第1基地局10及び第2基地局20からの電界強度を測定する測定部を備えてもよい。この場合、移動局が測定部を用いて測定した、第1基地局10及び第2基地局20から送信される電波の電界強度の値と、重複エリアA12における第1基地局10及び第2基地局20からの電界強度の所定値と、比較することにより、重複エリアA12に位置している否かを判定する。
【0110】
より具体的には、移動局が測定部を用いて測定した、第1基地局10及び第2基地局20から送信される電波の電界強度が、両方とも重複エリアA12における第1基地局10及び第2基地局20からの電界強度の所定値(移動局が重複エリアA12内に位置するときに見込まれる電界強度)の範囲内にある場合、重複エリアA12に位置していると判定する。移動局が測定部を用いて測定した、第1基地局10及び第2基地局20からの電界強度の少なくとも一方が、重複エリアA12における第1基地局10及び第2基地局20からの電界強度の所定値の範囲内でない場合、重複エリアA12に位置していないと判定する。
【0111】
また、第1基地局10は、第1基地局10に帰属する移動局から送信された電波の電界強度を測定する第1測定部(不図示)を有し、第2基地局20は、第2基地局20に帰属する移動局からの電界強度を測定する第2測定部(不図示)を有してもよい。
【0112】
この場合、第1測定部(不図示)を用いて測定した値と、重複エリアにおける移動局から送信された電波の第1基地局10における電界強度の所定値と、を比較することにより移動局が第1基地局10の無線エリアA1に位置するかを判定する。一方で、第2測定部(不図示)を用いて測定した値と、重複エリアA12における移動局から送信された電波の第2基地局20における電界強度の所定値と、を比較することにより、移動局が第2基地局20の無線エリアA2に位置するかを判定する。これにより、移動局が重複エリアA12に位置している否かを判定する。第1基地局10は第1測定部(不図示)を用いて測定した値を、第2基地局20は第2測定部(不図示)を用いて測定した値を、各々移動局に報知する。
【0113】
より具体的には、第1測定部(不図示)を用いて測定した値が重複エリアにおける移動局からの第1基地局に対する電界強度の所定値の範囲内である場合、無線エリアA1に位置していると判定する。さらに、第2測定部(不図示)を用いて測定した値が重複エリアA12における移動局からの第2基地局20に対する電界強度の所定値の範囲内である場合、無線エリアA2に位置していると判定する。すなわち、移動局は、無線エリアA1と無線エリアA2とに位置しているため、重複エリアA12に位置していると判定する。
【0114】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
回線制御装置によって制御される第1基地局と第2基地局とを含む複数の基地局を有する無線通信システムであって、
前記回線制御装置と前記第2基地局との通信が切断状態の場合に、前記第1基地局の無線エリアと前記第2基地局の無線エリアとが重複する重複エリアに位置する、前記第1基地局に帰属する移動局及び前記第2基地局に帰属する移動局の少なくとも一方を介して、前記回線制御装置と前記第2基地局間で通信をおこなう、
無線通信システム。
(付記2)
前記第1基地局は、前記重複エリアに位置し、前記第2基地局に帰属する移動局を介して、前記第2基地局から送信された信号を受信する第1受信部を有し、
前記第2基地局は、前記重複エリアに位置し、前記第1基地局に帰属する移動局を介して、前記回線制御装置から送信された信号を受信する第2受信部を有する、
付記1に記載の無線通信システム。
(付記3)
前記移動局は、前記基地局の周波数チャネルに対応できるように、周波数チャネル切換機構を有し、以下の(a)と(b)の送信処理を実行する、付記1に記載の無線通信システム。
(a)前記回線制御装置から前記第2基地局に対して信号を送信する場合に、
前記重複エリアに位置する移動局は、
前記第1基地局の周波数チャネルにより前記回線制御装置からの信号を、前記第1基地局を介して受信した後に、前記第1基地局の周波数チャネルから前記第2基地局の周波数チャネルに切り替えて、当該受信した信号を前記第2基地局に対して送信する。
(b)前記第2基地局から前記回線制御装置に対して信号を送信する場合に、
前記重複エリアに位置する移動局は、
前記第2基地局の周波数チャネルにより前記第2基地局からの信号を受信した後に、前記第2基地局の周波数チャネルから前記第1基地局の周波数チャネルに切り替えて、前記第1基地局を介して前記回線制御装置に対して送信する。
(付記4)
前記重複エリアに位置する移動局のいずれかは、前記基地局の周波数チャネルに対応できるように、周波数チャネル切換機構を有し、前記第1基地局に帰属した状態から前記第2基地局の周波数チャネルに切り替えて前記第2基地局に帰属する状態に遷移した後に、前記第2基地局から送信された信号を前記第1基地局の前記第1受信部に対して送信する、
付記2に記載の無線通信システム。
(付記5)
前記重複エリアに位置する移動局のいずれかは、前記基地局の周波数チャネルに対応できるように、周波数チャネル切換機構を有し、前記第2基地局に帰属した状態から前記第1基地局の周波数チャネルに切り替えて前記第1基地局に帰属する状態に遷移した後に、前記第1基地局から送信された信号を前記第2基地局の前記第2受信部に対して送信する、
付記2に記載の無線通信システム。
(付記6)
前記第1基地局は、
前記回線制御装置から前記第2基地局に対して送信された信号を優先して、
前記重複エリアに位置し、前記第1基地局に帰属する移動局に対して送信する、
付記1又は2に記載の無線通信システム。
(付記7)
前記第2基地局は、
前記第2基地局から前記回線制御装置に対して送信された信号を優先して、
前記重複エリアに位置し、前記第2基地局に帰属する移動局に対して送信する、
付記1又は2に記載の無線通信システム。
(付記8)
前記重複エリアに位置し、前記第1基地局に帰属する移動局からの前記第2基地局に対して送信される信号は、識別符号を含み、
前記第1基地局は、前記識別符号が付された信号を受信した場合、
前記第1基地局に帰属する移動局に信号を送信しないように制御する、
付記1又は2に記載の無線通信システム。
(付記9)
前記重複エリアに位置し、前記第2基地局に帰属する移動局からの前記第1基地局に対して送信される信号は、識別符号を含み、
前記第2基地局は、前記識別符号が付された信号を受信した場合、
前記第2基地局に帰属する移動局に信号を送信しないように制御する、
付記1又は2に記載の無線通信システム。
(付記10)
前記移動局は、前記第1基地局及び前記第2基地局からの電界強度を測定する測定部を備え、
前記測定部を用いて測定した値と、前記重複エリアにおける前記第1基地局及び前記第2基地局からの電界強度の所定値と、比較することにより、前記重複エリアに位置している否かを判定する、
付記1又は2に記載の無線通信システム。
(付記11)
前記第1基地局は、前記第1基地局に帰属する移動局からの電界強度を測定する第1測定部を有し、
前記第2基地局は、前記第2基地局に帰属する移動局からの電界強度を測定する第2測定部を有し、
前記第1測定部を用いて測定した電界強度値と、前記重複エリアにおける移動局からの前記第1基地局に対する電界強度の所定値と、を比較し、
前記第2測定部を用いて測定した値と、前記重複エリアにおける移動局からの前記第2基地局に対する電界強度の所定値と、を比較することにより、
前記重複エリアに位置している否かを判定する、
付記1又は2に記載の無線通信システム。
(付記12)
回線制御装置と、回線制御装置によって制御される基地局間の無線通信方法であって、
前記回線制御装置と第2基地局との通信が切断状態の場合に、第1基地局の無線エリアと前記第2基地局の無線エリアとが重複する重複エリアに位置し、前記第1基地局又は前記第2基地局に帰属する移動局を選択するステップと、
選択された前記移動局を介して、前記回線制御装置と前記第2基地局間で通信をおこなうステップと、備える、
無線通信方法。
(付記13)
前記第1基地局は、前記重複エリアに位置し、前記第2基地局に帰属する移動局を介して、前記第2基地局から送信された信号を受信し、
前記第2基地局は、前記重複エリアに位置し、前記第1基地局に帰属する移動局を介して、前記回線制御装置から送信された信号を受信する、
付記12に記載の無線通信方法。
(付記14)
前記移動局は、前記基地局の周波数チャネルに対応できるように、周波数チャネル切換機構を有し、以下の(a)と(b)の送信処理を実行する、付記12に記載の無線通信方法。
(a)前記回線制御装置から前記第2基地局に対して信号を送信する場合に、
前記重複エリアに位置する移動局は、
前記第1基地局の周波数チャネルにより前記回線制御装置からの信号を前記第1基地局を介して受信した後に、前記第1基地局の周波数チャネルから前記第2基地局の周波数チャネルに切り替えて、当該受信した信号を前記第2基地局に対して送信する。
(b)前記第2基地局から前記回線制御装置に対して信号を送信する場合に、
前記重複エリアに位置する移動局は、
前記第2基地局の周波数チャネルにより前記第2基地局からの信号を受信した後に、前記第2基地局の周波数チャネルから前記第1基地局の周波数チャネルに切り替えて、前記第1基地局を介して前記回線制御装置に対して送信する。
(付記15)
前記重複エリアに位置する移動局のいずれかは、前記基地局の周波数チャネルに対応できるように、周波数チャネル切換機構を有し、前記第1基地局に帰属した状態から前記第2基地局の周波数チャネルに切り替えて前記第2基地局に帰属する状態に遷移した後に、前記第2基地局から送信された信号を前記第1基地局の前記第1受信部に対して送信する、
付記13に記載の無線通信方法。
(付記16)
前記重複エリアに位置する移動局のいずれかは、前記基地局の周波数チャネルに対応できるように、周波数チャネル切換機構を有し、前記第2基地局に帰属した状態から前記第1基地局の周波数チャネルに切り替えて前記第1基地局に帰属する状態に遷移した後に、前記第1基地局から送信された信号を前記第2基地局の前記第2受信部に対して送信する、
付記13に記載の無線通信方法。
(付記17)
前記第1基地局は、
前記回線制御装置から前記第2基地局に対して送信された信号を優先して、
前記重複エリアに位置し、前記第1基地局に帰属する移動局に対して送信する、
付記12又は13に記載の無線通信方法。
(付記18)
前記第2基地局は、
前記第2基地局から前記回線制御装置に対して送信された信号を優先して、
前記重複エリアに位置し、前記第2基地局に帰属する移動局に対して送信する、
付記12又は13に記載の無線通信方法。
(付記19)
前記重複エリアに位置し、前記第1基地局に帰属する移動局からの前記第2基地局に対して送信される信号は、識別符号を含み、
前記第1基地局は、前記識別符号が付された信号を受信した場合、
前記第1基地局に帰属する移動局に信号を送信しないように制御する、
付記12又は13に記載の無線通信方法。
(付記20)
前記重複エリアに位置し、前記第2基地局に帰属する移動局からの前記第1基地局に対して送信される信号は、識別符号を含み、
前記第2基地局は、前記識別符号が付された信号を受信した場合、
前記第2基地局に帰属する移動局に信号を送信しないように制御する、
付記12又は13に記載の無線通信方法。
(付記21)
前記移動局は、前記第1基地局及び前記第2基地局から送信される電流の電界強度を測定し、
前記測定した電界強度の値と、前記重複エリアにおける前記第1基地局及び前記第2基地局からの電界強度の所定値と、比較することにより、前記重複するエリアに位置している否かを判定する、
付記12又は13に記載の無線通信方法。
(付記22)
前記第1基地局は、前記第1基地局に帰属する移動局からの電界強度を測定し、
前記第2基地局は、前記第2基地局に帰属する移動局からの電界強度を測定し、
前記第1基地局が測定した値と、前記重複エリアにおける移動局からの前記第1基地局に対する電界強度の所定値と、を比較し、
前記第2基地局が測定した値と、前記重複エリアにおける移動局からの前記第2基地局に対する電界強度の所定値と、を比較することにより、
前記重複するエリアに位置している否かを判定する、
付記12又は13に記載の無線通信方法。
【符号の説明】
【0115】
10 第1基地局
20 第2基地局
30 回線制御装置
100、200、300、400 無線通信システム
101、102、103、104、201、202、203 移動局
101A1、101A2 移動局
A1 無線エリア
A2 無線エリア
A12 重複エリア
L1、L2、D1、D2、U1、U2 有線経路
L11、L12、L21、L22 無線経路
D11、D13、D21、D23 無線経路
U11、U12、U13、U21、U22,U23 無線経路
H1 指令本部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10