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特開2024-130659テープ印刷装置およびテープ印刷装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130659
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】テープ印刷装置およびテープ印刷装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/42 20060101AFI20240920BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20240920BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B41J11/42
B41J3/36 Z
B41J3/36 T
B41J15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040509
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】甕 健二
(72)【発明者】
【氏名】樽谷 佳祐
【テーマコード(参考)】
2C055
2C058
2C060
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC05
2C058AB15
2C058AC06
2C058AE04
2C058AF06
2C058AF25
2C058AF31
2C058AF51
2C058GA11
2C058GB05
2C058GB13
2C058GB31
2C058GB49
2C060BA09
2C060BC13
(57)【要約】
【課題】輪列機構のバックラッシュの影響により、テープの印刷開始位置が、印刷ヘッドによる印刷位置からずれてしまうことを抑制する。
【解決手段】テープ印刷装置は、印刷開始命令を取得し、テープTの先端からテープTの印刷開始位置までの距離である余白距離MLが、検出位置と印刷位置との間の距離であるセンサーヘッド間距離HSより短く、且つ、テープTの先端が検出位置よりも+X方向に位置している場合、テープTを-X方向に送って、テープTの先端を検出位置よりも所定距離分、-X方向に位置させた後、テープTを+X方向に送って、テープTの先端が検出位置を通過したことを判定してから、テープTの印刷開始位置が印刷位置に達するまでテープTを+X方向に送る。
【選択図】図12

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転方向および前記第1回転方向とは逆方向の第2回転方向に回転する駆動モーターと、
プラテンローラーと係合し、前記プラテンローラーを回転させるプラテン駆動軸と、
前記駆動モーターが前記第1回転方向に回転したときに前記プラテンローラーがテープを第1送り方向に送り、前記駆動モーターが前記第2回転方向に回転したときに前記プラテンローラーが前記テープを前記第1送り方向とは逆方向の第2送り方向に送るように、前記駆動モーターの動力を前記プラテン駆動軸に伝達する輪列機構と、
前記第1送り方向に送られていく前記テープに印刷を行う印刷ヘッドと、
検出位置が前記印刷ヘッドによる印刷位置よりも前記第1送り方向に位置し、前記検出位置における前記テープの有無を検出するセンサーと、
前記駆動モーターおよび前記印刷ヘッドを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
印刷開始命令を取得し、前記テープの先端から前記テープの印刷開始位置までの距離である余白距離が、前記検出位置と前記印刷位置との間の距離であるセンサーヘッド間距離より短く、且つ、前記テープの先端が前記検出位置よりも前記第2送り方向に位置している場合、前記テープを前記第1送り方向に送って、前記テープの先端を前記検出位置よりも所定距離分、前記第1送り方向に位置させた後、前記テープを前記第2送り方向に送って、前記テープの先端が前記検出位置を通過したことを判定してから、前記テープの印刷開始位置が前記印刷位置に達するまで前記テープを前記第2送り方向に送ることを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記印刷開始命令を取得し、前記余白距離が前記センサーヘッド間距離より短く、且つ、前記テープの先端が前記検出位置よりも前記第1送り方向に位置している場合、前記テープを前記第2送り方向に送って、前記テープの先端が前記検出位置を通過したことを判定してから、前記テープの印刷開始位置が前記印刷位置に達するまで前記テープを前記第2送り方向に送ることを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。
【請求項3】
切断位置が前記検出位置より前記第1送り方向に位置し、前記テープをテープ幅方向に切断するカッターをさらに備え、
前記所定距離は、前記検出位置と前記切断位置との間の距離より短いことを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。
【請求項4】
前記テープが巻回されるテープコアと、前記プラテンローラーと、を収容したテープカートリッジが着脱自在に装着されるカートリッジ装着部をさらに備え、
前記プラテン駆動軸は、前記テープカートリッジに収容されている前記プラテンローラーと係合することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のテープ印刷装置。
【請求項5】
前記センサーは、発光部と、前記発光部と対向する位置に設けられた受光部と、を含む透過式センサーであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のテープ印刷装置。
【請求項6】
第1回転方向および前記第1回転方向とは逆方向の第2回転方向に回転する駆動モーターと、
プラテンローラーと係合し、前記プラテンローラーを回転させるプラテン駆動軸と、
前記駆動モーターが前記第1回転方向に回転したときに前記プラテンローラーがテープを第1送り方向に送り、前記駆動モーターが前記第2回転方向に回転したときに前記プラテンローラーが前記テープを前記第1送り方向とは逆方向の第2送り方向に送るように、前記駆動モーターの動力を前記プラテン駆動軸に伝達する輪列機構と、
前記第1送り方向に送られていく前記テープに印刷を行う印刷ヘッドと、
検出位置が前記印刷ヘッドによる印刷位置よりも前記第1送り方向に位置し、前記検出位置における前記テープの有無を検出するセンサーと、を備えたテープ印刷装置の制御方法であって、
前記テープ印刷装置は、
印刷開始命令を取得し、前記テープの先端から前記テープの印刷開始位置までの距離である余白距離が、前記検出位置と前記印刷位置との間の距離であるセンサーヘッド間距離より短く、且つ、前記テープの先端が前記検出位置よりも前記第2送り方向に位置している場合、前記テープを前記第1送り方向に送って、前記テープの先端を前記検出位置よりも所定距離分、前記第1送り方向に位置させた後、前記テープを前記第2送り方向に送って、前記テープの先端が前記検出位置を通過したことを判定してから、前記テープの印刷開始位置が前記印刷位置に達するまで前記テープを前記第2送り方向に送ることを特徴とするテープ印刷装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ印刷装置およびテープ印刷装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、駆動モーターと、プラテンローラーを回転させるプラテン駆動軸と、駆動モーターの動力をプラテン駆動軸に伝達する輪列機構と、テープに印刷を行う印刷ヘッドと、検出位置が印刷ヘッドによる印刷位置より下流側に位置し、テープの有無を検出するセンサーと、を備えた印刷装置が知られている。この種の印刷装置は、印刷開始命令を取得したときに、センサーによりテープが検出されていない場合、すなわち、テープの先端が検出位置よりも上流側に位置している場合、以下の制御を行う。印刷装置は、印刷開始命令を取得すると、テープが正送り方向に送られ、テープが正送り方向に送られている間にセンサーでテープの先端を検出した後、テープの印刷開始位置が印刷ヘッドによる印刷位置に到達するまで、テープが逆送り方向に送られ、印刷ヘッドの駆動を開始させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-155787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている印刷装置は、テープの送り方向を正送り方向から逆送り方向に切り替えたとき、すなわち、駆動モーターを正方向の回転から逆方向の回転に切り替えたときの輪列機構のバックラッシュの影響により、テープの印刷開始位置が、印刷ヘッドによる印刷位置からずれてしまう場合がある。この場合、印刷装置は、テープの正送り方向の余白である前余白の距離に誤差を生じさせてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のテープ印刷装置は、第1回転方向および第1回転方向とは逆方向の第2回転方向に回転する駆動モーターと、プラテンローラーと係合し、プラテンローラーを回転させるプラテン駆動軸と、駆動モーターが第1回転方向に回転したときにプラテンローラーがテープを第1送り方向に送り、駆動モーターが第2回転方向に回転したときにプラテンローラーがテープを第1送り方向とは逆方向の第2送り方向に送るように、駆動モーターの動力をプラテン駆動軸に伝達する輪列機構と、第1送り方向に送られていくテープに印刷を行う印刷ヘッドと、検出位置が印刷ヘッドによる印刷位置よりも第1送り方向に位置し、検出位置におけるテープの有無を検出するセンサーと、駆動モーターおよび印刷ヘッドを制御する制御部と、を備え、制御部は、印刷開始命令を取得し、テープの先端からテープの印刷開始位置までの距離である余白距離が、検出位置と印刷位置との間の距離であるセンサーヘッド間距離より短く、且つ、テープの先端が検出位置よりも第2送り方向に位置している場合、テープを第1送り方向に送って、テープの先端を検出位置よりも所定距離分、第1送り方向に位置させた後、テープを第2送り方向に送って、テープの先端が検出位置を通過したことを判定してから、テープの印刷開始位置が印刷位置に達するまでテープを第2送り方向に送る。
【0006】
本発明のテープ印刷装置の制御方法は、第1回転方向および第1回転方向とは逆方向の第2回転方向に回転する駆動モーターと、プラテンローラーと係合し、プラテンローラーを回転させるプラテン駆動軸と、駆動モーターが第1回転方向に回転したときにプラテンローラーがテープを第1送り方向に送り、駆動モーターが第2回転方向に回転したときにプラテンローラーがテープを第1送り方向とは逆方向の第2送り方向に送るように、駆動モーターの動力をプラテン駆動軸に伝達する輪列機構と、第1送り方向に送られていくテープに印刷を行う印刷ヘッドと、検出位置が印刷ヘッドによる印刷位置よりも第1送り方向に位置し、検出位置におけるテープの有無を検出するセンサーと、を備えたテープ印刷装置の制御方法であって、テープ印刷装置は、印刷開始命令を取得し、テープの先端からテープの印刷開始位置までの距離である余白距離が、検出位置と印刷位置との間の距離であるセンサーヘッド間距離より短く、且つ、テープの先端が検出位置よりも第2送り方向に位置している場合、テープを第1送り方向に送って、テープの先端を検出位置よりも所定距離分、第1送り方向に位置させた後、テープを第2送り方向に送って、テープの先端が検出位置を通過したことを判定してから、テープの印刷開始位置が印刷位置に達するまでテープを第2送り方向に送る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】テープ印刷装置およびテープカートリッジの外観図である。
図2】印刷ヘッド、センサーおよびカッターの配置を示す図である。
図3】テープの一例を示す図である。
図4】テープ印刷装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】輪列機構の一例を示す図である。
図6】印刷処理を示すフローチャートである。
図7図6に続くフローチャートである。
図8】テープの先端が検出位置より+X方向に位置している状態を示す図である。
図9図8の状態から、テープが-X方向に送られ、テープの先端が検出位置を通過したときの状態を示す図である。
図10図9の状態から、第2距離分、テープが-X方向に送られた状態を示す図である。
図11図10の状態から、テープが+X方向に送られ、テープの先端が検出位置を通過したときの状態を示す図である。
図12図11の状態から、第1距離分、テープが+X方向に送られた状態を示す図である。
図13】テープの先端が検出位置より-X方向に位置している状態を示す図である。
図14図13の状態から、テープが+X方向に送られ、テープの先端が検出位置を通過したときの状態を示す図である。
図15図14の状態から、第2距離分、テープが+X方向に送られた状態を示す図である。
図16図15の状態から、テープが-X方向に送られ、テープの先端が検出位置を通過したときの状態を示す図である。
図17図16の状態から、第3距離分、テープが-X方向に送られた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照して、テープ印刷装置およびテープ印刷装置の制御方法について説明する。なお、一部の図面では、XYZ直交座標系による方向を用いて説明するが、これらの方向は説明の便宜上のものにすぎず、以下の実施形態を何ら限定するものではない。
【0009】
図1は、テープ印刷装置1およびテープカートリッジCの外観図である。テープ印刷装置1は、長尺状のテープTに印刷を行う装置である。本実施形態に係るテープ印刷装置1は、テープTとして、印刷が行われる印刷テープと、剥離紙として用いられる剥離紙テープと、が重畳されたものを用いる。
【0010】
テープ印刷装置1は、装置ケース3と、装着部カバー5と、を備えている。装置ケース3の+Z方向の面には、操作キー群21と、ディスプレー22と、カートリッジ装着部23と、テープ排出口24と、が設けられている。
【0011】
操作キー群21は、テープTに印刷される印刷画像の編集操作など、ユーザーの各種操作を受け付ける。ディスプレー22は、印刷画像の編集画面など、各種情報を表示する。テープ印刷装置1は、ユーザーによる印刷画像の編集操作に基づいて、印刷データを生成し、生成した印刷データに基づいて印刷処理を行う。
【0012】
カートリッジ装着部23は、+Z方向が開放された凹部である。カートリッジ装着部23には、テープカートリッジCが着脱可能に装着される。装着部カバー5は、装置ケース3の+Y方向の端部に回動可能に取り付けられており、カートリッジ装着部23を開閉する。
【0013】
テープカートリッジCは、テープコア15と、プラテンローラー17と、繰出しコア18と、巻取りコア19と、これらを収容したカートリッジケース11と、を備えている。
【0014】
テープコア15には、テープTが巻回されている。繰出しコア18には、インクリボンRが巻回されている。繰出しコア18から繰り出されたインクリボンRは、巻取りコア19に巻き取られる。カートリッジケース11には、ヘッド挿通孔12が、Z方向に貫通して設けられている。また、カートリッジケース11の-X方向の面には、Z方向に延在するテープ送出口13が設けられている。テープコア15から繰り出されたテープTは、テープ送出口13からカートリッジケース11外に送り出される。
【0015】
カートリッジ装着部23には、印刷ヘッド26と、ヘッドカバー20と、が設けられている。印刷ヘッド26は、テープTに印刷を行う。ヘッドカバー20は、印刷ヘッド26を部分的に覆っている。
【0016】
カートリッジ装着部23の底面からは、プラテン駆動軸25と、繰出し軸28と、巻取り軸29とが、+Z方向に突出している。カートリッジ装着部23にテープカートリッジCが装着されると、プラテン駆動軸25、繰出し軸28および巻取り軸29が、それぞれ、プラテンローラー17、繰出しコア18および巻取りコア19と係合する。
【0017】
また、カートリッジ装着部23にテープカートリッジCが装着されると、印刷ヘッド26およびヘッドカバー20がヘッド挿通孔12に挿通される。続いて、装着部カバー5が閉められると、図示省略したヘッド移動機構により、印刷ヘッド26がプラテンローラー17に向かって移動する。これにより、印刷ヘッド26とプラテンローラー17との間に、テープTおよびインクリボンRが挟持される。
【0018】
この状態で、テープ印刷装置1に備えられた送り駆動モーター45a(図4参照)が第1回転方向に回転すると、テープTがテープ送出口13からカートリッジケース11外へ送り出されると共にインクリボンRが巻取りコア19に巻き取られるように、プラテンローラー17および巻取りコア19が回転する。なお、このときテープTは、テープ排出口24へ向かって-X方向に送られる。-X方向は、「第1送り方向」の一例である。また、モーターが第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転すると、テープTがカートリッジケース11内に引き戻されると共にインクリボンRが繰出しコア18に巻き戻されるように、プラテンローラー17および繰出しコア18が回転する。なお、このときテープTは、+X方向に送られる。+X方向は、「第2送り方向」の一例である。
【0019】
印刷ヘッド26は、テープTが-X方向に送られているとき、印刷データに応じて発熱する。これにより、インクリボンRのインクがテープTに転写され、印刷データに基づく印刷画像がテープTに印刷される。印刷が行われたテープTは、テープ排出口24から排出される。
【0020】
カートリッジ装着部23とテープ排出口24との間には、センサー43と、フルカッター27と、が設けられている(図2参照)。フルカッター27は、「カッター」の一例である。センサー43は、テープTの有無を検出する。フルカッター27は、テープTをZ方向、すなわちテープ幅方向に切断する。これにより、テープTの印刷済み部分が切り離される。
【0021】
図2は、印刷ヘッド26、センサー43およびフルカッター27の配置を示す図である。図2は、カートリッジ装着部23にテープカートリッジCが装着された状態における各部材の配置を示している。そのため、テープカートリッジCのカートリッジケース11に収容されているプラテンローラー17が、印刷ヘッド26とテープTを挟んで対向する位置に配置されている。
【0022】
図2に示すように、センサー43の検出位置は、印刷ヘッド26の印刷位置より-X方向に位置している。センサー43は、発光部43aと、発光部43aとテープTを挟んで対向する位置に設けられた受光部43bと、を備えている。なお、以下の説明において、センサー43の検出位置と、印刷ヘッド26による印刷位置とのX方向における距離を、「センサーヘッド間距離HS」と言う。また、以下の説明において、センサー43の検出位置と、フルカッター27による切断位置とのX方向における距離を、「センサーカッター間距離SC」と言う。
【0023】
ところで、一般的に、印刷処理の終了時には、テープTの印刷済み部分が切断されるため、テープTの先端は、通常、フルカッター27の切断位置に位置している。しかしながら、テープカートリッジCの使用状況によっては、テープTの先端が、センサー43の検出位置より+X方向に位置してしまう場合がある。例えば、ユーザーが、カートリッジ装着部23からテープカートリッジCを取り出し、カートリッジケース11のテープ送出口13付近でテープTをハサミで切断してしまった場合などが考えられる。
【0024】
このように、テープTの先端は、常にフルカッター27の切断位置に位置している訳ではないため、テープ印刷装置1は、センサー43の検出結果に基づいて、テープTの先端が、検出位置よりも+X方向にあるか否かを判定している。具体的には、テープ印刷装置1は、センサー43が受光状態である場合、テープTの先端が検出位置よりも+X方向に位置していると判定し、センサー43が遮光状態である場合、テープTの先端が検出位置よりも-X方向に位置していると判定する。以下、センサー43が受光状態であることを、「センサー43によりテープTが検出されていない」と言う。また、センサー43が遮光状態であることを、「センサー43によりテープTが検出されている」と言う。
【0025】
図3は、テープTの一例を示す図である。図3において、テープT上の斜線部分は印刷対象領域E1を示している。印刷対象領域E1とは、印刷ヘッド26により印刷が行われる領域を意味する。印刷対象領域E1は、テープTに印刷される印刷画像を囲む矩形領域である。具体的には、印刷対象領域E1は、印刷画像のX方向における最小座標を「X_min」、X方向における最大座標を「X_max」、Z方向における最小座標を「Z_min」、Z方向における最大座標を「Z_max」としたとき、(X_min,Z_min)、(X_min,Z_max)、(X_max,Z_min)、(X_max,Z_max)を頂点とする矩形の範囲である。
【0026】
なお、以下の説明において、テープTの-X方向における端部であるテープTの先端から印刷対象領域E1の-X方向における端部までの距離を、「余白距離ML」と言う。印刷対象領域E1の-X方向における端部は、「テープの印刷開始位置」の一例である。
【0027】
図4を参照し、テープ印刷装置1のハードウェア構成について説明する。テープ印刷装置1は、操作キー群21と、センサー43と、制御部44と、印刷ヘッド26と、送り機構45と、切断機構46と、を備えている。
【0028】
操作キー群21は、文字キーや数字キーの他、印刷キーを含む。印刷キーは、ユーザーが印刷開始を指示するためのキーである。
【0029】
センサー43は、送り機構45によりテープTが送られている間、検出位置におけるテープTの有無を検出する。センサー43は、発光部43aと、受光部43bと、を含む透過式センサーである(図2参照)。本実施形態において、センサー43は、テープTの先端が検出位置より+X方向に位置しているか-X方向に位置しているか、およびテープTの先端が検出位置を通過したか否かを判別するために用いられる。
【0030】
制御部44は、CPU(Central Processing Unit)44aと、ROM(Read Only Memory)44bと、RAM(Random Access Memory)44cと、を含む。
【0031】
CPU44aは、ROM44bに記憶されたファームウェアなどの制御プログラムをRAM44cに展開して実行することにより、各種制御を行う。なお、制御部44は、CPU44aに代え、ASIC等のハードウェア回路をプロセッサーとして用いてもよい。また、プロセッサーは、1以上のCPUとASIC等のハードウェア回路が協働して動作する構成でもよい。
【0032】
印刷ヘッド26は、発熱素子群(図示省略)を備え、インクリボンRからテープTにインクを熱転写することにより印刷を行う。発熱素子群とは、複数の発熱素子がZ方向に沿って並べられたものである。
【0033】
送り機構45は、送り駆動モーター45aと、輪列機構50と、プラテン駆動軸25と、を含む。送り駆動モーター45aは、「駆動モーター」の一例である。送り駆動モーター45aは、第1回転方向および第1回転方向とは逆方向の第2回転方向に回転する。輪列機構50は、複数の歯車を備え、送り駆動モーター45aの動力をプラテン駆動軸25に伝達する。プラテン駆動軸25は、プラテンローラー17と係合し、プラテンローラー17を回転させる。
【0034】
なお、本実施形態において、送り駆動モーター45aは、ステッピングモーターである。制御部44は、送り駆動モーター45aを回転させるステップ数に基づいて、テープTの送り量を制御する。
【0035】
輪列機構50は、送り駆動モーター45aが第1回転方向に回転したときにプラテンローラー17がテープTを-X方向に送り、送り駆動モーター45aが第2回転方向に回転したときにプラテンローラー17がテープTを+X方向に送るように、送り駆動モーター45aの動力をプラテン駆動軸25に伝達する。
【0036】
切断機構46は、カッター駆動モーター46bと、フルカッター27と、を含む。カッター駆動モーター46bは、フルカッター27を駆動する駆動源である。カッター駆動モーター46bが駆動すると、フルカッター27が動作し、テープTがZ方向に切断される。
【0037】
図5を参照し、輪列機構50について説明する。図5に示すように、輪列機構50は、第1歯車51と、第2歯車52と、を含む。第1歯車51は、送り駆動モーター45aから動力が入力される駆動側歯車である。また、第2歯車52は、第1歯車51から動力が入力される被駆動側歯車である。
【0038】
例えば、送り駆動モーター45aが第1回転方向に回転すると、第1歯車51が回転方向R1に回転し、第2歯車52が回転方向R3に回転する。また、送り駆動モーター45aが第2回転方向に回転すると、第1歯車51が回転方向R2に回転し、第2歯車52が回転方向R4に回転する。
【0039】
第1歯車51および第2歯車52との歯面間には、バックラッシュBLと言われる僅かな隙間が設けられている。バックラッシュBLは、噛み合う一対の歯車を滑らかに回転させるための歯面間の遊びである。このように、歯車の歯面間にはバックラッシュBLが設けられているため、送り駆動モーター45aの回転方向を切り替えたとき、送り駆動モーター45aの駆動ステップ数に基づく設計上のテープTの送り量と、実際のテープTの送り量とにずれが生じる。
【0040】
そのため、本実施形態に係るテープ印刷装置1は、送り駆動モーター45aの回転方向を切り替えたときの輪列機構50のバックラッシュBLの影響により、テープTの印刷開始位置にずれが生じることを抑制するための制御を行う。具体的には、テープ印刷装置1は、余白距離MLがセンサーヘッド間距離HSより小さく、且つ、テープTの先端がセンサー43の検出位置より+X方向に位置している場合、印刷開始命令を取得した後、テープTの印刷開始位置を、印刷ヘッド26による印刷位置に合わせるまでの送り制御において、以下の制御を行う。この場合、テープ印刷装置1は、テープTの先端がセンサー43の検出位置に到達するまでテープTを-X方向に送り、その後頭出しをするためテープTを+X方向に送る必要がある。すなわち、テープ印刷装置1は、送り制御において、送り駆動モーター45aを第1回転方向から第2回転方向に切り替える必要があるが、回転方向の切り替え前ではなく、回転方向の切り替え後に、テープTの先端がセンサー43の検出位置を通過したことを判定する。
【0041】
これにより、テープ印刷装置1は、送り駆動モーター45aの回転方向を切り替えたときに発生するバックラッシュBLの影響を受けることなく、テープTの印刷開始位置を、印刷ヘッド26による印刷位置に正確に合わせることができる。また、これにより、テープ印刷装置1は、テープTの余白距離ML(図3参照)に誤差が生じることを抑制することができる。以下、このようなテープTの印刷開始位置にずれが生じることを抑制するための制御について詳述する。なお、図5に示した輪列機構50は一例であり、2つの歯車に限らず、3つ以上の歯車で構成してもよい。
【0042】
ここで、図4に示したテープ印刷装置1の構成における制御部44の機能について説明する。制御部44は、印刷開始命令を取得し、余白距離MLがセンサーヘッド間距離HSより短く、且つ、テープTの先端が検出位置よりも+X方向に位置している場合、以下のように送り制御を行う。制御部44は、テープTを-X方向に送って、テープTの先端を検出位置よりも第2距離L2分(図10参照,L2は、L2>0)、-X方向に位置させた後、テープTを+X方向に送って、テープTの先端が検出位置を通過したことを判定してから、テープTの印刷開始位置が印刷位置に達するまでテープTを+X方向に送る。
【0043】
なお、制御部44は、ユーザーが操作キー群21(図4参照)に含まれる印刷キーを操作することにより、印刷開始命令を取得する。また、余白距離MLは、印刷開始命令を取得したとき、制御部44が、印刷データに基づいて算出する距離である。また、センサーヘッド間距離HSは、ROM44bに記憶されている情報である。また、第2距離L2は、「所定距離」の一例である。第2距離L2は、固定値であり、センサーカッター間距離SCより短い距離である。
【0044】
なお、制御部44は、テープTを+X方向に送って、テープTの先端が検出位置を通過したことを判定してから、第1距離L1分(図12参照,L1は、L1≧0)、テープTを+X方向に送ることで、テープTの印刷開始位置を印刷位置に合わせる。第1距離L1は、センサーヘッド間距離HS(図2参照)から余白距離MLを差し引いた長さである。
【0045】
また、制御部44は、印刷開始命令を取得し、余白距離MLがセンサーヘッド間距離HSより短く、且つ、テープTの先端が検出位置よりも-X方向に位置している場合、テープTを-X方向に送らない。この場合、制御部44は、印刷開始命令の取得後、テープTを+X方向に送って、テープTの先端が検出位置を通過したことを判定してから、テープTの印刷開始位置が印刷位置に達するまでテープTを+X方向に送る。
【0046】
次に、図6および図7のフローチャートを参照し、テープ印刷装置1の印刷処理の流れを説明する。テープ印刷装置1の印刷処理は、「テープ印刷装置の制御方法」の一例である。また、この印刷処理は、制御部44が、印刷開始命令を取得することにより開始される。上記のとおり、制御部44は、印刷開始命令を取得すると、ユーザーによる印刷画像の編集結果に基づいて印刷データを生成する。以下に示す印刷処理は、この印刷データに基づいて実行される。
【0047】
ステップS01において、制御部44は、余白距離MLがセンサーヘッド間距離HSより短いか否かを判別する。制御部44は、余白距離MLがセンサーヘッド間距離HSより短いと判定した場合、ステップS02に進む。また、制御部44は、余白距離MLがセンサーヘッド間距離HSより短くないと判定した場合、図7のステップS21に進む。
【0048】
ステップS02において、制御部44は、テープTの先端が検出位置よりも+X方向に位置しているか否かを判別する。制御部44は、センサー43によりテープTが検出されていない場合、テープTの先端が検出位置よりも+X方向に位置していると判定し、センサー43によりテープTが検出されている場合、テープTの先端が検出位置よりも+X方向に位置していないと判定する。図8は、テープTの先端が検出位置より+X方向に位置している状態を示す図であり、図13は、テープTの先端が検出位置より+X方向に位置していない状態、すなわちテープTの先端が検出位置より-X方向に位置している状態を示す図である。制御部44は、テープTの先端が検出位置よりも+X方向に位置していると判定した場合、ステップS03に進む。また、制御部44は、テープTの先端が検出位置よりも+X方向に位置していないと判定した場合、ステップS07に進む。
【0049】
ステップS03において、制御部44は、テープTを-X方向に送る。制御部44は、送り駆動モーター45aを第1回転方向に回転させることにより、テープTを-X方向に送る。
【0050】
ステップS04において、制御部44は、テープTの先端が検出位置を通過したか否かを判別する。ここでは、制御部44は、センサー43の検出結果が「テープ無し」から「テープ有り」に変化したとき、テープTの先端が検出位置を通過したと判定する。図9は、テープTの先端が検出位置を通過したときの状態を示す図である。制御部44は、テープTの先端が検出位置を通過したと判定した場合、ステップS05に進む。また、制御部44は、テープTの先端が検出位置を通過していないと判定した場合、ステップS03に戻る。
【0051】
ステップS05において、制御部44は、第2距離L2分、テープTを-X方向に送る。図10は、テープTの先端が検出位置を通過したと判定した時点(図9参照)から、第2距離L2分、テープTが-X方向に送られた状態を示す図である。第2距離L2は、固定値である。
【0052】
ステップS06において、制御部44は、送り駆動モーター45aの回転方向を切り替える。ここでは、制御部44は、送り駆動モーター45aの回転方向を第1回転方向から第2回転方向に切り替える。
【0053】
ステップS07において、制御部44は、テープTを+X方向に送る。
【0054】
ステップS08において、制御部44は、テープTの先端が検出位置を通過したか否かを判別する。ここでは、制御部44は、センサー43の検出結果が「テープ有り」から「テープ無し」に変化したとき、テープTの先端が検出位置を通過したと判定する。図11は、テープTの先端が検出位置を通過したときの状態を示す図である。制御部44は、テープTの先端が検出位置を通過したと判定した場合、ステップS09に進む。また、制御部44は、テープTの先端が検出位置を通過していないと判定した場合、ステップS07に戻る。
【0055】
ステップS09において、制御部44は、第1距離L1分、テープTを+X方向に送る。図12は、テープTの先端が検出位置を通過したと判定した時点(図11参照)から、第1距離L1分、テープTが+X方向に送られた状態を示す図である。第1距離L1は、センサーヘッド間距離HSから余白距離MLを差し引いた長さである。
【0056】
ステップS10において、制御部44は、送り駆動モーター45aの回転方向を切り替える。ここでは、制御部44は、送り駆動モーター45aの回転方向を第2回転方向から第1回転方向に切り替える。
【0057】
ステップS11において、制御部44は、テープTを-X方向に送りつつ、印刷ヘッド26を駆動する。
【0058】
ステップS12において、制御部44は、印刷が終了したか否かを判別する。「印刷が終了した」とは、印刷データに基づく制御を終えたことを意味する。制御部44は、印刷が終了したと判定した場合、印刷処理を終了する。また、制御部44は、印刷が終了していないと判定した場合、ステップS11に戻る。
【0059】
図7は、制御部44が、余白距離MLがセンサーヘッド間距離HSより短くない、すなわち、余白距離MLがセンサーヘッド間距離HS以上の長さであると判定した場合の処理を示す図である。
【0060】
ステップS21において、制御部44は、テープTの先端が検出位置よりも+X方向に位置しているか否かを判別する。図8は、テープTの先端が検出位置より+X方向に位置している状態を示す図であり、図13は、テープTの先端が検出位置より-X方向に位置している状態を示す図である。制御部44は、テープTの先端が検出位置よりも+X方向に位置していると判定した場合、ステップS26に進む。また、制御部44は、テープTの先端が検出位置よりも+X方向に位置していないと判定した場合、ステップS22に進む。
【0061】
ステップS22において、制御部44は、テープTを+X方向に送る。制御部44は、送り駆動モーター45aを第2回転方向に回転させることにより、テープTを+X方向に送る。
【0062】
ステップS23において、制御部44は、テープTの先端が検出位置を通過したか否かを判別する。ここでは、制御部44は、センサー43の検出結果が「テープ有り」から「テープ無し」に変化したとき、テープTの先端が検出位置を通過したと判定する。図14は、テープTの先端が検出位置を通過したときの状態を示す図である。制御部44は、テープTの先端が検出位置を通過したと判定した場合、ステップS24に進む。また、制御部44は、テープTの先端が検出位置を通過していないと判定した場合、ステップS22に戻る。
【0063】
ステップS24において、制御部44は、第2距離L2分、テープTを+X方向に送る。図15は、テープTの先端が検出位置を通過したと判定した時点(図14参照)から、第2距離L2分、テープTが+X方向に送られた状態を示す図である。
【0064】
ステップS25において、制御部44は、送り駆動モーター45aの回転方向を切り替える。ここでは、制御部44は、送り駆動モーター45aの回転方向を第2回転方向から第1回転方向に切り替える。
【0065】
ステップS26において、制御部44は、テープTを-X方向に送る。
【0066】
ステップS27において、制御部44は、テープTの先端が検出位置を通過したか否かを判別する。ここでは、制御部44は、センサー43の検出結果が「テープ無し」から「テープ有り」に変化したとき、テープTの先端が検出位置を通過したと判定する。図16は、テープTの先端が検出位置を通過したときの状態を示す図である。制御部44は、テープTの先端が検出位置を通過したと判定した場合、ステップS28に進む。また、制御部44は、テープTの先端が検出位置を通過していないと判定した場合、ステップS26に戻る。
【0067】
ステップS28において、制御部44は、第3距離L3分(図17参照,L3は、L3≧0)、テープTを-X方向に送る。図17は、テープTの先端が検出位置を通過したと判定した時点(図16参照)から、第3距離L3分、テープTが-X方向に送られた状態を示す図である。第3距離L3は、余白距離MLからセンサーヘッド間距離HSを差し引いた長さである。
【0068】
ステップS29において、制御部44は、テープTを-X方向に送りつつ、印刷ヘッド26を駆動する。
【0069】
ステップS30において、制御部44は、印刷が終了したか否かを判別する。制御部44は、印刷が終了したと判定した場合、印刷処理を終了する。また、制御部44は、印刷が終了していないと判定した場合、ステップS29に戻る。
【0070】
以上説明したとおり、テープ印刷装置1は、印刷開始命令を取得し、余白距離MLがセンサーヘッド間距離HSより短く、且つ、テープTの先端が検出位置よりも+X方向に位置している場合、テープTを-X方向に送って、テープTの先端を検出位置よりも-X方向に位置させた後、テープTを+X方向に送る。そして、テープ印刷装置1は、テープTを+X方向に送っている間に、テープTの先端が検出位置を通過したことを判定してから、テープTの印刷開始位置が印刷位置に達するまでテープTを+X方向に送る。このように、テープ印刷装置1は、テープTの送り方向を切り替えた後、テープTの先端が検出位置を通過したことを判定するため、送り駆動モーター45aの回転方向を切り替えたときの輪列機構50のバックラッシュBLの影響により、テープTの印刷開始位置が、印刷ヘッド26による印刷位置からずれてしまうことを抑制することができる。また、これにより、テープ印刷装置1は、テープTの余白距離MLに誤差が生じることを抑制することができる。
【0071】
また、テープ印刷装置1は、余白距離MLがセンサーヘッド間距離HSより短い場合であって、印刷開始命令を取得したときに、テープTの先端が検出位置よりも-X方向に位置している場合は、テープTを-X方向に送らないため、印刷開始命令の取得から印刷ヘッド26の駆動を開始するまでの時間をできるだけ短くすることができる。
【0072】
また、テープ印刷装置1は、テープTを-X方向に送っている間にテープTの先端が検出位置を通過したと判定した時点から、第2距離L2分、テープTを-X方向に送るため、テープTの先端をセンサー43の検出位置よりも-X方向に確実に位置させることができる。また、第2距離L2は、センサーカッター間距離SCより短いため、テープ印刷装置1は、印刷開始命令の取得から印刷ヘッド26の駆動を開始するまでの時間をできるだけ短くすることができる。
【0073】
また、テープ印刷装置1は、カートリッジ装着部23を備え、テープカートリッジCからテープTが供給される構成であるため、ユーザーは、テープTの交換を容易に行うことができる。
【0074】
また、テープ印刷装置1は、センサー43として、透過式センサーを用いるため、テープTの色や材質によらず、テープTの有無を正確に検出することができる。
【0075】
以上の実施形態によらず、以下の変形例を採用可能である。
[変形例1]
テープ印刷装置1は、印刷開始命令を取得したとき、テープTの先端が検出位置よりも-X方向に位置している場合であって、余白距離MLがセンサーヘッド間距離HSより長い場合、以下の変形例を採用してもよい。
テープTの先端を検出位置より+X方向に位置させるためにテープTを送る送り量は、第2距離L2とは異なる距離でもよい。すなわち、図7のステップS24で、テープTを+X方向に送る送り量は、第2距離L2と異なる距離でもよい。
また、テープ印刷装置1は、図7のステップS24からステップS27を省略してもよい。この構成によれば、テープ印刷装置1は、送り駆動モーター45aの回転方向を第2回転方向から第1回転方向に切り替えたときの輪列機構50のバックラッシュBLの影響が印刷結果に及ぶものの、印刷開始命令を取得してから印刷処理を終了するまでの処理時間を、短くすることができる。また、輪列機構50のバックラッシュBLの影響を受けたとしても、余白距離MLがセンサーヘッド間距離HSより長いため、印刷結果に大きな支障はない。
【0076】
[変形例2]
テープ印刷装置1は、テープカートリッジCを装着可能な構成でなくてもよい。例えば、テープ印刷装置1は、プラテンローラーを備え、テープ印刷装置1の外部から供給されたテープTに印刷を行うものでもよい。
【0077】
[変形例3]
センサー43は、透過式センサーではなく、反射式センサーでもよい。
【0078】
[変形例4]
「カッター」は、フルカッター27ではなく、ハーフカッターでもよい。ハーフカッターとは、印刷テープと剥離紙テープとから成るテープTの印刷テープのみをZ方向にカットするカッターである。
また、テープ印刷装置1は、フルカッター27およびハーフカッターを備えた構成でもよい。この場合、テープ印刷装置1は、ハーフカッターを用いて、テープTの-X方向における端部に、印刷テープから剥離紙テープを剥離しやすくするための手がかりを形成してもよい。すなわち、テープ印刷装置1は、テープTの-X方向における端部に、手がかりとなる余白領域を設け、余白領域の+X方向における端部を、ハーフカッターによりカットすればよい。テープTの-X方向における端部に余白領域を設けるか否かは、ユーザーの設定に基づいて決定されることが好ましい。
【0079】
[変形例5]
テープ印刷装置1は、テープTを-X方向に送って、テープTの先端が検出位置を通過してから第2距離L2分テープTを-X方向に送ることで、テープTの先端を検出位置よりも-X方向に位置させたが、印刷開始命令を取得した後、一定の距離だけテープTを-X方向に送ることで、テープTの先端を検出位置よりも-X方向に位置させてもよい。この場合、一定の距離は、テープTの先端を検出位置よりも確実に-X方向に位置させられる距離であり、カートリッジケース11のテープ送出口13とセンサー43の検出位置との距離より長い距離であることが好ましい。例えば、一定の距離は、センサーヘッド間距離HSでもよい。
【0080】
[変形例6]
テープ印刷装置1のファームウェアは、プログラムとして顧客に提供されてもよい。また、テープ印刷装置1のファームウェアを記録した記憶媒体が、顧客に提供されてもよい。また、テープ印刷装置1は、熱転写方式以外に、インクジェット方式など他の印刷方式でもよい。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【0081】
[付記]
以下、テープ印刷装置およびテープ印刷装置の制御方法について付記する。
テープ印刷装置1は、第1回転方向および第1回転方向とは逆方向の第2回転方向に回転する送り駆動モーター45aと、プラテンローラー17と係合し、プラテンローラー17を回転させるプラテン駆動軸25と、送り駆動モーター45aが第1回転方向に回転したときにプラテンローラー17がテープTを-X方向に送り、送り駆動モーター45aが第2回転方向に回転したときにプラテンローラー17がテープTを-X方向とは逆方向の+X方向に送るように、送り駆動モーター45aの動力をプラテン駆動軸25に伝達する輪列機構50と、-X方向に送られていくテープTに印刷を行う印刷ヘッド26と、検出位置が印刷ヘッド26による印刷位置よりも-X方向に位置し、検出位置におけるテープTの有無を検出するセンサー43と、送り駆動モーター45aおよび印刷ヘッド26を制御する制御部44と、を備え、制御部44は、印刷開始命令を取得し、テープTの先端からテープTの印刷開始位置までの距離である余白距離MLが、検出位置と印刷位置との間の距離であるセンサーヘッド間距離HSより短く、且つ、テープTの先端が検出位置よりも+X方向に位置している場合、テープTを-X方向に送って、テープTの先端を検出位置よりも第2距離L2分、-X方向に位置させた後、テープTを+X方向に送って、テープTの先端が検出位置を通過したことを判定してから、テープTの印刷開始位置が印刷位置に達するまでテープTを+X方向に送る。
【0082】
テープ印刷装置1の制御方法は、第1回転方向および第1回転方向とは逆方向の第2回転方向に回転する送り駆動モーター45aと、プラテンローラー17と係合し、プラテンローラー17を回転させるプラテン駆動軸25と、送り駆動モーター45aが第1回転方向に回転したときにプラテンローラー17がテープTを-X方向に送り、送り駆動モーター45aが第2回転方向に回転したときにプラテンローラー17がテープTを-X方向とは逆方向の+X方向に送るように、送り駆動モーター45aの動力をプラテン駆動軸25に伝達する輪列機構50と、-X方向に送られていくテープTに印刷を行う印刷ヘッド26と、検出位置が印刷ヘッド26による印刷位置よりも-X方向に位置し、検出位置におけるテープTの有無を検出するセンサー43と、を備えたテープ印刷装置1の制御方法であって、テープ印刷装置1は、印刷開始命令を取得し、テープTの先端からテープTの印刷開始位置までの距離である余白距離MLが、検出位置と印刷位置との間の距離であるセンサーヘッド間距離HSより短く、且つ、テープTの先端が検出位置よりも+X方向に位置している場合、テープTを-X方向に送って、テープTの先端を検出位置よりも第2距離L2分、-X方向に位置させた後、テープTを+X方向に送って、テープTの先端が検出位置を通過したことを判定してから、テープTの印刷開始位置が印刷位置に達するまでテープTを+X方向に送る。
【0083】
この構成によれば、テープ印刷装置1は、テープTの送り方向を-X方向から+X方向に切り替えた後、テープTの先端が検出位置を通過したことを判定する。このため、テープ印刷装置1は、送り駆動モーター45aの回転方向を切り替えたときの輪列機構50のバックラッシュBLの影響により、テープTの印刷開始位置が、印刷ヘッド26による印刷位置からずれてしまうことを抑制することができる。また、これにより、テープ印刷装置1は、テープTの余白距離MLに誤差が生じることを抑制することができる。
【0084】
上記のテープ印刷装置1において、制御部44は、印刷開始命令を取得し、余白距離MLがセンサーヘッド間距離HSより短く、且つ、テープTの先端が検出位置よりも-X方向に位置している場合、テープTを+X方向に送って、テープTの先端が検出位置を通過したことを判定してから、テープTの印刷開始位置が印刷位置に達するまでテープTを+X方向に送ることが好ましい。
【0085】
この構成によれば、テープ印刷装置1は、印刷開始命令を取得したときに、テープTの先端が検出位置よりも-X方向に位置している場合は、テープTを-X方向に送らないため、印刷開始命令の取得から印刷ヘッド26の駆動を開始するまでの時間をできるだけ短くすることができる。
【0086】
上記のテープ印刷装置1において、切断位置が検出位置より-X方向に位置し、テープTをテープT幅方向に切断するカッターをさらに備え、第2距離L2は、検出位置と切断位置との間の距離より短いことが好ましい。
【0087】
この構成によれば、第2距離L2は、センサー43の検出位置とカッターによる切断位置との間の距離より短いため、テープ印刷装置1は、印刷開始命令の取得から印刷ヘッド26の駆動を開始するまでの時間をできるだけ短くすることができる。
【0088】
上記のテープ印刷装置1において、テープTが巻回されるテープコア15と、プラテンローラー17と、を収容したテープカートリッジCが着脱自在に装着されるカートリッジ装着部23をさらに備え、プラテン駆動軸25は、テープカートリッジCに収容されているプラテンローラー17と係合することが好ましい。
【0089】
この構成によれば、テープ印刷装置1は、テープカートリッジCからテープTが供給される場合においても、テープTの余白距離MLに誤差が生じることを抑制することができる。
【0090】
上記のテープ印刷装置1において、センサー43は、発光部43aと、発光部43aと対向する位置に設けられた受光部43bと、を含む透過式センサーであることが好ましい。
【0091】
この構成によれば、透過式センサーを用いるため、テープ印刷装置1は、テープTの色や材質によらず、テープTの有無を正確に検出することができる。
【符号の説明】
【0092】
1…テープ印刷装置、17…プラテンローラー、23…カートリッジ装着部、25…プラテン駆動軸、26…印刷ヘッド、27…フルカッター、43…センサー、43a…発光部、43b…受光部、44…制御部、45a…送り駆動モーター、46…切断機構、50…輪列機構、C…テープカートリッジ、HS…センサーヘッド間距離、L2…第2距離、ML…余白距離、SC…センサーカッター間距離、T…テープ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17