(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130660
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】テープ印刷装置およびテープ印刷装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 11/42 20060101AFI20240920BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20240920BHJP
B65H 23/188 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B41J11/42
B41J3/36 T
B41J3/36 Z
B65H23/188
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040510
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】甕 健二
(72)【発明者】
【氏名】樽谷 佳祐
【テーマコード(参考)】
2C055
2C058
3F105
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC05
2C058AB15
2C058AC06
2C058AD06
2C058AE04
2C058AF06
2C058AF51
2C058GA02
2C058GB05
2C058GB19
2C058GB20
2C058GB37
2C058GB48
2C058GD01
3F105AB09
3F105BA16
3F105DA25
3F105DC12
(57)【要約】
【課題】ラベルテープにおいて被検出部とラベルの印刷開始位置との距離が、センサーの検出位置と印刷ヘッドによる印刷位置との距離より短い場合であっても、ラベルテープをテープ送り方向と逆方向に送ることなく、ラベルの頭出しを行う。
【解決手段】台紙テープ11上に、台紙テープ11の長さ方向において複数のラベルLが等間隔で配置され、ラベルLとラベルLとの間に検出孔Hが設けられたラベルテープTを-X方向に送りながらラベルLに印刷を行うテープ印刷装置であって、複数のラベルLに対して印刷を行う場合、ラベルテープTに配置されたラベルLのうち、ラベルテープTの先頭からn番目(nは、n≧2の整数)に配置されたラベルLである第nラベルの印刷開始位置を印刷ヘッドによる印刷位置に位置させる頭出しを、第(n-1)ラベルに対して-X方向に設けられている第(n-1)検出孔の検出に基づいて行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙テープ上に、前記台紙テープの長さ方向において複数のラベルが等間隔で配置され、前記ラベルと前記ラベルとの間に被検出部が設けられたラベルテープを第1方向に送る送り機構と、
前記送り機構により送られていく前記ラベルテープの前記ラベルに印刷を行う印刷ヘッドと、
検出位置が前記印刷ヘッドによる印刷位置より前記第1方向に位置し、前記送り機構により前記ラベルテープが送られている間、前記被検出部を検出するセンサーと、
前記送り機構および前記印刷ヘッドを制御する印刷制御部と、を備え、
前記印刷制御部は、
複数の前記ラベルに対して印刷を行う場合、前記ラベルテープに配置された前記ラベルのうち、前記ラベルテープの先頭からn番目(nは、n≧2の整数)に配置された前記ラベルである第nラベルの印刷開始位置を前記印刷位置に位置させる頭出しを、第(n-1)ラベルに対して前記第1方向に設けられている前記被検出部の検出に基づいて行うことを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項2】
前記印刷制御部は、
前記第nラベルの頭出しを、前記第(n-1)ラベルに対して前記第1方向に設けられている前記被検出部のうち、最も前記第(n-1)ラベルに近い前記被検出部である第(n-1)被検出部の検出に基づいて行うことを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。
【請求項3】
記憶部から、前記ラベルテープの設計上の前記被検出部間の距離である標準送りピッチを読み出す読み出し部をさらに備え、
前記印刷制御部は、
前記センサーが前記第(n-1)被検出部を検出した時点から、前記第nラベルに対して前記第1方向に設けられている前記被検出部のうち、最も前記第nラベルに近い前記被検出部である第n被検出部と前記第nラベルの印刷開始位置との距離と、前記標準送りピッチと、を合計した距離から、前記センサーの検出位置と前記印刷ヘッドによる印刷位置との距離を差し引いた距離だけ、前記ラベルテープを送ることで、前記第nラベルの頭出しを行うことを特徴とする請求項2に記載のテープ印刷装置。
【請求項4】
前記印刷制御部は、
3枚以上の前記ラベルに対して印刷を行う場合、前記ラベルテープの先頭から2枚目以降の前記ラベルについて、前記ラベルごとに前記頭出しを行うことを特徴とする請求項2に記載のテープ印刷装置。
【請求項5】
前記印刷制御部は、
前記ラベルテープの先頭に配置された前記ラベルである第1ラベルに対して前記第1方向に設けられている前記被検出部である第1被検出部と前記第1ラベルの印刷開始位置との距離が、前記センサーの検出位置と前記印刷ヘッドによる印刷位置との距離より短い場合、前記ラベルテープを前記第1方向とは逆方向の第2方向に送ることで、前記第1ラベルの頭出しを行うことを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。
【請求項6】
前記ラベルテープの種類を検出するテープ種類検出部と、
前記ラベルテープの種類と、前記標準送りピッチとを対応付けて記憶する前記記憶部と、をさらに備え、
前記読み出し部は、
前記テープ種類検出部により検出された前記ラベルテープの種類に対応する前記標準送りピッチを、前記記憶部から読み出すことを特徴とする請求項3に記載のテープ印刷装置。
【請求項7】
台紙テープ上に、前記台紙テープの長さ方向において複数のラベルが等間隔で配置され、前記ラベルと前記ラベルとの間に被検出部が設けられたラベルテープを第1方向に送る送り機構と、
前記送り機構により送られていく前記ラベルテープの前記ラベルに印刷を行う印刷ヘッドと、
検出位置が前記印刷ヘッドによる印刷位置より前記第1方向に位置し、前記送り機構により前記ラベルテープが送られている間、前記被検出部を検出するセンサーと、を備えたテープ印刷装置の制御方法であって、
前記テープ印刷装置は、
複数の前記ラベルに対して印刷を行う場合、前記ラベルテープに配置された前記ラベルのうち、前記ラベルテープの先頭からn番目(nは、n≧2の整数)に配置された前記ラベルである第nラベルの印刷開始位置を前記印刷位置に位置させる頭出しを、第(n-1)ラベルに対して前記第1方向に設けられている前記被検出部の検出に基づいて行うことを特徴とするテープ印刷装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ印刷装置およびテープ印刷装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、台紙テープ上に、台紙テープの長さ方向において複数のラベルが等間隔で配置され、ラベルとラベルとの間に被検出部が設けられたラベルテープを第1方向に送りながら、ラベルに印刷を行うテープ印刷装置が知られている。テープ印刷装置は、被検出部の検出に基づいて各ラベルの頭出しを行うことで、ラベルの所望の位置に印刷を行うことができる。
【0003】
特許文献1に開示されているテープ印刷装置は、印刷ヘッドより第1方向とは逆方向である第2方向に、被検出部を検出するセンサーが設けられているが、印刷ヘッドより第1方向、すなわちテープ送り方向において印刷ヘッドの下流側にセンサーが設けられているテープ印刷装置も知られている。以下、印刷ヘッドの下流側にセンサーが設けられているテープ印刷装置を、「下流センサー型印刷装置」と言う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の下流センサー型印刷装置は、ラベルテープにおいて、被検出部とラベルの印刷開始位置との距離が、センサーの検出位置と印刷ヘッドによる印刷位置との距離であるセンサーヘッド間距離より短い場合、以下の制御を行う必要がある。すなわち、下流センサー型印刷装置は、センサーにより被検出部を検出した後、ラベルの印刷開始位置が印刷ヘッドによる印刷位置に位置するまでラベルテープを第2方向に送ることでラベルの頭出しを行う必要がある。このように、従来の下流センサー型印刷装置は、被検出部とラベルの印刷開始位置との距離がセンサーヘッド間距離より短い場合、ラベルテープを一旦第2方向に送ってラベルの頭出しを行わなければならないため、印刷処理時間が長くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテープ印刷装置は、台紙テープ上に、台紙テープの長さ方向において複数のラベルが等間隔で配置され、ラベルとラベルとの間に被検出部が設けられたラベルテープを第1方向に送る送り機構と、送り機構により送られていくラベルテープのラベルに印刷を行う印刷ヘッドと、検出位置が印刷ヘッドによる印刷位置より第1方向に位置し、送り機構によりラベルテープが送られている間、被検出部を検出するセンサーと、送り機構および印刷ヘッドを制御する印刷制御部と、を備え、印刷制御部は、複数のラベルに対して印刷を行う場合、ラベルテープに配置されたラベルのうち、ラベルテープの先頭からn番目(nは、n≧2の整数)に配置されたラベルである第nラベルの印刷開始位置を印刷位置に位置させる頭出しを、第(n-1)ラベルに対して第1方向に設けられている被検出部の検出に基づいて行う。
【0007】
本発明のテープ印刷装置の制御方法は、台紙テープ上に、台紙テープの長さ方向において複数のラベルが等間隔で配置され、ラベルとラベルとの間に被検出部が設けられたラベルテープを第1方向に送る送り機構と、送り機構により送られていくラベルテープのラベルに印刷を行う印刷ヘッドと、検出位置が印刷ヘッドによる印刷位置より第1方向に位置し、送り機構によりラベルテープが送られている間、被検出部を検出するセンサーと、を備えたテープ印刷装置の制御方法であって、テープ印刷装置は、複数のラベルに対して印刷を行う場合、ラベルテープに配置されたラベルのうち、ラベルテープの先頭からn番目(nは、n≧2の整数)に配置されたラベルである第nラベルの印刷開始位置を印刷位置に位置させる頭出しを、第(n-1)ラベルに対して第1方向に設けられている被検出部の検出に基づいて行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】テープ印刷装置およびテープカートリッジの外観図である。
【
図3】印刷ヘッド、センサーおよびカッターの配置を示す図である。
【
図4】テープ印刷装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】テープ印刷装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図10】第1印刷処理が開始されるときのラベルテープの位置を示す図である。
【
図11】第1印刷処理において、第1カウントが開始されるときのラベルテープの位置を示す図である。
【
図12】第1印刷処理において、第1ラベルの印刷が開始されるときのラベルテープの位置を示す図である。
【
図13】第1印刷処理において、第2カウントが開始されるときのラベルテープの位置を示す図である。
【
図14】第1印刷処理において、第2ラベルの印刷が開始されるときのラベルテープの位置を示す図である。
【
図15】第1印刷処理において、第2ラベルの印刷終了後、ラベルテープが切断されるときのラベルテープの位置を示す図である。
【
図16】第2印刷処理が開始されるときのラベルテープの位置を示す図である。
【
図17】第2印刷処理において、第1カウントが開始されるときのラベルテープの位置を示す図である。
【
図18】第2印刷処理において、第1ラベルの印刷が開始されるときのラベルテープの位置を示す図である。
【
図19】第2印刷処理において、第2カウントが開始されるときのラベルテープの位置を示す図である。
【
図20】第2印刷処理において、第2ラベルの印刷が開始されるときのラベルテープの位置を示す図である。
【
図21】第2印刷処理において、第2ラベルの印刷終了後、ラベルテープが切断されるときのラベルテープの位置を示す図である。
【
図22】第3印刷処理が開始されるときのラベルテープの位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して、テープ印刷装置およびテープ印刷装置の制御方法について説明する。なお、一部の図面では、XYZ直交座標系による方向を用いて説明するが、これらの方向は説明の便宜上のものにすぎず、以下の実施形態を何ら限定するものではない。
【0010】
図1は、テープ印刷装置1およびテープカートリッジCの外観図である。テープ印刷装置1は、長尺状のテープに印刷を行う装置である。本実施形態に係るテープ印刷装置1は、テープとして、台紙テープ11上に複数のラベルLが等間隔で配置されたラベルテープTを用いる(
図2参照)。
【0011】
テープ印刷装置1は、装置ケース3と、装着部カバー5と、を備えている。装置ケース3の+Z方向の面には、操作キー群21と、ディスプレー22と、カートリッジ装着部23と、テープ排出口24と、が設けられている。
【0012】
操作キー群21は、ラベルテープTのラベルLに印刷される印刷画像の編集操作など、ユーザーの各種操作を受け付ける。ディスプレー22は、印刷画像の編集画面など、各種情報を表示する。テープ印刷装置1は、ユーザーによる印刷画像の編集操作に基づいて、印刷データを生成し、生成した印刷データに基づいて印刷処理を行う。
【0013】
カートリッジ装着部23は、+Z方向が開放された凹部である。カートリッジ装着部23には、テープカートリッジCが着脱可能に装着される。装着部カバー5は、装置ケース3の+Y方向の端部に回動可能に取り付けられており、カートリッジ装着部23を開閉する。
【0014】
テープカートリッジCは、テープコア15と、プラテンローラー17と、繰出しコア18と、巻取りコア19と、これらを収容したカートリッジケース14と、を備えている。
【0015】
テープコア15には、ラベルテープTが巻回されている。繰出しコア18には、インクリボンRが巻回されている。繰出しコア18から繰り出されたインクリボンRは、巻取りコア19に巻き取られる。カートリッジケース14には、ヘッド挿通孔12が、Z方向に貫通して設けられている。また、カートリッジケース14の-X方向の面には、Z方向に延在するテープ送出口13が設けられている。テープコア15から繰り出されたラベルテープTは、テープ送出口13からカートリッジケース14外に送り出される。
【0016】
カートリッジ装着部23には、印刷ヘッド26と、ヘッドカバー20と、が設けられている。印刷ヘッド26は、ラベルテープTに印刷を行う。ヘッドカバー20は、印刷ヘッド26を部分的に覆っている。
【0017】
カートリッジ装着部23の底面からは、プラテン駆動軸25と、繰出し軸28と、巻取り軸29とが、+Z方向に突出している。カートリッジ装着部23にテープカートリッジCが装着されると、プラテン駆動軸25、繰出し軸28および巻取り軸29が、それぞれ、プラテンローラー17、繰出しコア18および巻取りコア19と係合する。
【0018】
また、カートリッジ装着部23にテープカートリッジCが装着されると、印刷ヘッド26およびヘッドカバー20がヘッド挿通孔12に挿通される。続いて、装着部カバー5が閉められると、図示省略したヘッド移動機構により、印刷ヘッド26がプラテンローラー17に向かって移動する。これにより、印刷ヘッド26とプラテンローラー17との間に、ラベルテープTおよびインクリボンRが挟持される。
【0019】
この状態で、テープ印刷装置1に備えられた送りモーター45a(
図4参照)が第1回転方向に回転すると、ラベルテープTがテープ送出口13からカートリッジケース14外へ送り出されると共にインクリボンRが巻取りコア19に巻き取られるように、プラテンローラー17および巻取りコア19が回転する。なお、このときラベルテープTは、テープ排出口24へ向かって-X方向に送られる。「-X方向」は、第1方向の一例である。また、モーターが第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転すると、ラベルテープTがカートリッジケース14内に引き戻されると共にインクリボンRが繰出しコア18に巻き戻されるように、プラテンローラー17および繰出しコア18が回転する。なお、このときラベルテープTは、+X方向に送られる。「+X方向」は、第2方向の一例である。
【0020】
印刷ヘッド26は、ラベルテープTが-X方向に送られているとき、印刷データに応じて発熱する。これにより、インクリボンRのインクがラベルテープTのラベルLに転写され、印刷データに基づく印刷画像がラベルLに印刷される。印刷が行われたラベルテープTは、テープ排出口24から排出される。
【0021】
カートリッジ装着部23とテープ排出口24との間には、センサー43と、カッター27と、が設けられている。センサー43は、ラベルテープTの有無を検出する。カッター27は、ラベルテープTをZ方向、すなわちテープ幅方向に切断する。これにより、ラベルテープTの印刷済み部分が切り離される。
【0022】
図2は、ラベルテープTの一例を示す図である。
図2に示すように、ラベルテープTは、台紙テープ11上に複数のラベルLが等間隔で配置されたものである。複数のラベルLは、同形状且つ同サイズであり、ラベルテープTの長さ方向に沿って配置されている。上記のとおり、テープカートリッジCがカートリッジ装着部23に装着されたとき、テープカートリッジCから繰り出されたラベルテープTの長さ方向は、X方向となる。以下、テープカートリッジCがカートリッジ装着部23に装着されたときの方向を用いてラベルテープTを説明する。
【0023】
ラベルテープTに配置されているラベルLは、+Y方向の面が粘着面となっており、粘着面を介して台紙テープ11の-Y方向に貼付されている。ラベルテープTには、X方向においてラベルLとラベルLとの間に検出孔Hが設けられている。検出孔Hは、「被検出部」の一例である。検出孔Hは、台紙テープ11が矩形状に切り抜かれたものであり、台紙テープ11のZ方向における略中央に設けられている。
【0024】
図2において、ラベルL上の斜線部分は印刷対象領域ESを示している。印刷対象領域ESとは、印刷ヘッド26により印刷が行われる領域を意味する。印刷対象領域ESは、ラベルLに印刷される印刷画像を囲む矩形領域である。具体的には、印刷対象領域ESは、印刷画像のX方向における最小座標を「X_min」、X方向における最大座標を「X_max」、Z方向における最小座標を「Z_min」、Z方向における最大座標を「Z_max」としたとき、(X_min,Z_min)、(X_min,Z_max)、(X_max,Z_min)、(X_max,Z_max)を頂点とする矩形の範囲である。
【0025】
なお、以下の説明において、検出孔Hの+X方向における端部から印刷対象領域ESの-X方向における端部までの距離を、「印刷開始距離KF」と言う。印刷対象領域ESの-X方向における端部は、「印刷開始位置」の一例である。また、以下の説明において、検出孔Hの+X方向における端部から印刷対象領域ESの+X方向における端部までの距離を、「印刷終了距離KB」と言う。また、以下の説明において、ラベルテープTの設計上の検出孔H間の距離を、「標準送りピッチSP」と言う。
【0026】
また、以下の説明では、複数のラベルLに対して印刷が行われる場合、ラベルテープTに配置された順番に応じて、「第1ラベルL1」などと言うものとする。例えば、第1ラベルL1は、ラベルテープTの先頭に配置されたラベルLを意味し、第2ラベルL2は、ラベルテープTの先頭から2番目に配置されたラベルLを意味する。同様に、検出孔Hについても、ラベルテープTに配置された順番に応じて、「第1検出孔H1」などと言うものとする。すなわち、第n検出孔Hnは、第(n-1)ラベルL(n-1)と第nラベルLnとの間に設けられた検出孔Hである。
【0027】
図3は、印刷ヘッド26、センサー43およびカッター27の配置を示す図である。同図に示すように、センサー43の検出位置は、印刷ヘッド26による印刷位置より-X方向に位置する。センサー43は、Z方向において、ラベルテープTの検出孔Hに対応する位置に設けられる。また、カッター27の切断位置は、センサー43の検出位置より-X方向に位置する。
【0028】
なお、以下の説明において、センサー43の検出位置と、印刷ヘッド26による印刷位置とのX方向における距離を、「センサーヘッド間距離HS」と言う。印刷ヘッド26による印刷位置とは、印刷ヘッド26に設けられた発熱素子群26aの位置である。発熱素子群26aとは、複数の発熱素子がZ方向に沿って並べられたものである。また、以下の説明において、センサー43の検出位置と、カッター27による切断位置とのX方向における距離を、「センサーカッター間距離SC」と言う。
【0029】
図4を参照し、テープ印刷装置1のハードウェア構成について説明する。テープ印刷装置1は、テープ種類検出部41と、センサー43と、制御部44と、印刷ヘッド26と、送り機構45と、切断機構46と、を備えている。
【0030】
テープ種類検出部41は、ラベルテープTの種類を検出する。テープ種類検出部41は、例えば、カートリッジ装着部23に装着されたテープカートリッジCの外面に設けられたコード画像(図示省略)を光学的に読み取ることにより、ラベルテープTの種類を検出する。この場合、コード画像は、ラベルテープTの種類を示すテープ種類情報をコード化した画像であり、例えば2次元コードやバーコードである。
【0031】
なお、テープ種類検出部41は、テープカートリッジCに設けられたメモリー素子を有する回路基板またはRFID(Radio Frequency Identification)タグ(いずれも図示省略)からテープ種類情報を取得することにより、ラベルテープTの種類を検出してもよい。
【0032】
センサー43は、送り機構45によりラベルテープTが送られている間、検出孔Hを検出する。センサー43は、例えば、透過型のフォトインターラプターで構成されており、互いに対向した発光素子および受光素子を含む。本実施形態において、センサー43は、検出孔Hの+X側の端部が、発光素子と受光素子との間を通過したタイミングを検出する。
【0033】
制御部44は、CPU(Central Processing Unit)44aと、ROM(Read Only Memory)44bと、RAM(Random Access Memory)44cと、を含む。
【0034】
CPU44aは、ROM44bに記憶されたファームウェアなどの制御プログラムをRAM44cに展開して実行することにより、各種制御を行う。なお、制御部44は、CPU44aに代え、ASIC等のハードウェア回路をプロセッサーとして用いてもよい。また、プロセッサーは、1以上のCPUとASIC等のハードウェア回路が協働して動作する構成でもよい。
【0035】
なお、ROM44bには、ラベルテープTの種類と、標準送りピッチSPとを対応付けた対応テーブルが記憶されている。ROM44bは、「記憶部」の一例である。
【0036】
印刷ヘッド26は、発熱素子群26a(
図3参照)を備え、インクリボンRからラベルテープTのラベルLにインクを熱転写することにより印刷を行う。
【0037】
送り機構45は、送りモーター45aと、プラテン駆動軸25と、を含む。送りモーター45aは、プラテン駆動軸25を駆動する駆動源である。なお、本実施形態において、送りモーター45aは、ステッピングモーターである。CPU44aは、送りモーター45aを回転させるステップ数に基づいて、ラベルテープTの送り量を制御する。
【0038】
切断機構46は、カッターモーター46aと、カッター27と、を含む。カッターモーター46aは、カッター27を駆動する駆動源である。カッターモーター46aが駆動すると、カッター27が動作し、ラベルテープTがZ方向に切断される。
【0039】
図5を参照し、テープ印刷装置1の機能構成について説明する。テープ印刷装置1は、読み出し部110と、印刷制御部120と、を備えている。これらの機能は、いずれもCPU44aが、ROM44bに記憶されているファームウェアを実行することにより実現される機能である。
【0040】
読み出し部110は、テープ種類検出部41(
図4参照)により検出されたテープ種類情報に基づいて、ROM44bから、ラベルテープTの設計上の検出孔H間の距離である標準送りピッチSPを読み出す。より具体的には、読み出し部110は、検出されたテープ種類情報が示すラベルテープTの種類に対応する標準送りピッチSPを、ROM44bに記憶されている対応テーブルから読み出す。
【0041】
印刷制御部120は、複数のラベルLに対して印刷を行う場合、第nラベルLn(nは、n≧2の整数)の印刷開始位置を、印刷ヘッド26による印刷位置に位置させる頭出しを、第(n-1)ラベルL(n-1)に対して-X方向に設けられている検出孔Hの検出に基づいて行う。上記のとおり、第nラベルLnは、ラベルテープTに配置されたラベルLのうち、ラベルテープTの先頭からn番目に配置されたラベルLである。本実施形態において、印刷制御部120は、第nラベルLnの頭出しを、第(n-1)検出孔H(n-1)の検出に基づいて行う。
【0042】
また、印刷制御部120は、3枚以上のラベルLに対して印刷を行う場合、ラベルテープTの先頭から2枚目以降のラベルLについて、ラベルLごとに頭出しを行う。つまり、印刷制御部120は、第2ラベルL2の頭出しを、第1検出孔H1の検出に基づいて行い、第3ラベルL3の頭出しを、第2検出孔H2の検出に基づいて行う、といったように、ラベルLごとに頭出しを行う。
【0043】
また、印刷制御部120は、センサー43が第(n-1)検出孔H(n-1)を検出した時点から、第nラベルLnの印刷開始距離KFと、標準送りピッチSPと、を合計した距離から、センサーヘッド間距離HSを差し引いた第2距離D2だけ、ラベルテープTを送ることで、第nラベルLnの頭出しを行う。第nラベルLnの印刷開始距離KFとは、第n検出孔Hnと第nラベルLnの印刷開始位置との距離である。
【0044】
また、印刷制御部120は、第1ラベルL1の印刷開始距離KFが、センサーヘッド間距離HSより短い場合、ラベルテープTを+X方向に送ることで、第1ラベルL1の頭出しを行う。
【0045】
なお、本実施形態では、説明を分かりやすくするため、印刷制御部120は、複数のラベルLに印刷を行う場合、それぞれのラベルLにおいて同じ印刷対象領域ES(
図2参照)に印刷を行うように印刷ヘッド26を制御するものとする。すなわち、印刷開始距離KFは、ラベルLによって変化しないものとする。
【0046】
図6ないし
図9のフローチャートを参照し、テープ印刷装置1の処理の流れを説明する。これらのフローチャートに示すテープ印刷装置1の処理は、「テープ印刷装置の制御方法」の一例である。
【0047】
まず、
図6のフローチャートを参照し、テープ印刷装置1のメイン処理について説明する。メイン処理は、印刷指示をトリガーとして実行される処理である。テープ印刷装置1は、印刷指示に伴って印刷データを生成する。
図6ないし
図9に示す印刷処理は、この印刷データに基づいて実行される。
【0048】
ステップS01において、テープ印刷装置1は、印刷開始距離KFがセンサーヘッド間距離HSより大きいか否かを判別する。印刷開始距離KFは、印刷データに基づいて算出される距離である。テープ印刷装置1は、印刷開始距離KFがセンサーヘッド間距離HSより大きいと判別した場合、ステップS02に進む。また、テープ印刷装置1は、印刷開始距離KFがセンサーヘッド間距離HSより大きくない、すなわち印刷開始距離KFがセンサーヘッド間距離HS以下であると判別した場合、ステップS03に進む。
【0049】
ステップS02において、テープ印刷装置1は、第1印刷処理を行う(
図7参照)。
【0050】
ステップS03において、テープ印刷装置1は、印刷終了距離KB(
図2参照)がセンサーヘッド間距離HSより大きいか否かを判別する。印刷終了距離KBは、印刷データに基づいて算出される距離である。テープ印刷装置1は、印刷終了距離KBがセンサーヘッド間距離HSより大きいと判別した場合、ステップS04に進む。また、テープ印刷装置1は、印刷終了距離KBがセンサーヘッド間距離HSより大きくない、すなわち印刷終了距離KBがセンサーヘッド間距離HS以下であると判別した場合、ステップS05に進む。
【0051】
ステップS04において、テープ印刷装置1は、第2印刷処理を行う(
図8参照)。
【0052】
ステップS05において、テープ印刷装置1は、第3印刷処理を行う(
図9参照)。
【0053】
図7のフローチャートを参照し、テープ印刷装置1の第1印刷処理について説明する。第1印刷処理の説明では、
図10ないし
図15を参照する。なお、
図10以降の図面において、文字「C」を含む下向き三角マークは、X方向におけるカッター27の切断位置を示す。また、文字「S」を含む下向き三角マークは、X方向におけるセンサー43の検出位置を示す。また、文字「H」を含む下向き三角マークは、X方向における印刷ヘッド26の印刷位置を示す。以下、X方向におけるカッター27の位置を「カッター位置」と言い、X方向における印刷ヘッド26の位置を「ヘッド位置」と言う。また、第1印刷処理ないし第3印刷処理では、複数のラベルLに対して印刷を行うものとする。
【0054】
第1印刷処理は、
図10に示すように、印刷開始距離KFがセンサーヘッド間距離HSより大きいと判別された場合に行われる処理である。
図10は、第1印刷処理が開始されるときのラベルテープTの位置を示す図である。第1印刷処理が開始されるときは、X方向における検出孔Hの中央位置がカッター位置にあるものとする。
【0055】
ステップS11において、テープ印刷装置1は、センサー43が第1検出孔H1を検出するまでラベルテープTを+X方向に送る(
図11参照)。
【0056】
ステップS12において、テープ印刷装置1は、第1カウントを開始する(
図11参照)。なお、第1カウントとは、センサー43が第1検出孔H1を検出した後、送りモーター45aを回転させるステップ数のカウントである。以下、第n検出孔Hnを検出してからのカウントを、「第nカウント」と言う。第nカウントのカウント値は、第(n+1)カウントが開始されるか、第nラベルLnへの印刷が開始されるとリセットされる。
【0057】
ステップS13において、テープ印刷装置1は、第1ラベルL1の頭出しを行う(
図12参照)。テープ印刷装置1は、第1カウントの開始から第1距離D1分ラベルテープTを-X方向に送ることにより第1ラベルL1の頭出しを行う。第1距離D1は、印刷開始距離KFからセンサーヘッド間距離HSを差し引いた距離である。テープ印刷装置1は、送りモーター45aの1ステップあたりの送り量をXとしたとき、第1カウントのカウント値が、第1距離D1をXで除算した値に達すると、第1ラベルL1の頭出しを行ったと看做す。
【0058】
ステップS14において、テープ印刷装置1は、第1ラベルL1の印刷を開始する(
図12参照)。テープ印刷装置1は、ラベルテープTを-X方向に送りつつ印刷ヘッド26を駆動することにより、ラベルLへの印刷を行う。
【0059】
ステップS15において、テープ印刷装置1は、第1ラベルL1の印刷を終了する。
【0060】
ステップS16において、テープ印刷装置1は、センサー43が次の検出孔Hである第n検出孔Hnを検出するまでラベルテープTを-X方向に送る(
図13参照)。nの初期値は、「2」である。
図13において、テープ印刷装置1は、第2検出孔H2を検出するまでラベルテープTを送っている。
【0061】
ステップS17において、テープ印刷装置1は、第nカウントを開始する(
図13参照)。
図13において、テープ印刷装置1は、第2カウントを開始している。この時点で、テープ印刷装置1は、第1カウントをリセットする。
【0062】
ステップS18において、テープ印刷装置1は、第nラベルLnの頭出しを行う(
図14参照)。
図14において、テープ印刷装置1は、第2ラベルL2の頭出しを行っている。テープ印刷装置1は、第(n-1)カウントの開始から第2距離D2分ラベルテープTを-X方向に送ることにより第nラベルLnの頭出しを行う。第2距離D2は、印刷開始距離KFと、標準送りピッチSPと、を合計した距離から、センサーヘッド間距離HSを差し引いた距離である。
【0063】
ステップS19において、テープ印刷装置1は、第nラベルLnの印刷を開始する(
図14参照)。
図14において、テープ印刷装置1は、第2ラベルL2の印刷を開始している。
【0064】
ステップS20において、テープ印刷装置1は、第nラベルLnの印刷を終了する。
【0065】
ステップS21において、テープ印刷装置1は、印刷データに基づいて、次に印刷するラベルLがあるか否かを判別する。テープ印刷装置1は、次に印刷するラベルLがあると判別した場合、ステップS22に進む。テープ印刷装置1は、次に印刷するラベルLがないと判別した場合、すなわち全てのラベルLの印刷を終了したと判別した場合、ステップS23に進む。
【0066】
ステップS22において、テープ印刷装置1は、nの値をインクリメントする。テープ印刷装置1は、ステップS22の後、ステップS16に戻る。
【0067】
ステップS23において、テープ印刷装置1は、第(n+1)検出孔H(n+1)の中央位置がカッター位置にくるまでラベルテープTを送る(
図15参照)。
図15において、テープ印刷装置1は、第3検出孔H3の中央位置がカッター位置にくるまでラベルテープTを送っている。テープ印刷装置1は、第(n+1)検出孔H(n+1)を検出してから、センサーカッター間距離SCから、X方向における検出孔Hの長さの1/2を差し引いた長さだけラベルテープTを送ることで、第(n+1)検出孔H(n+1)の中央位置をカッター位置に合わせる。
【0068】
ステップS24において、テープ印刷装置1は、ラベルテープTをカッター27により切断する(
図15参照)。
【0069】
図8のフローチャートを参照し、テープ印刷装置1の第2印刷処理について説明する。第2印刷処理の説明では、
図16ないし
図21を参照する。第2印刷処理は、
図16に示すように、印刷開始距離KFがセンサーヘッド間距離HS以下、且つ、印刷終了距離KBがセンサーヘッド間距離HSより大きいと判別された場合に行われる処理である。
図16は、第2印刷処理が開始されるときのラベルテープTの位置を示す図である。
【0070】
ステップS31において、テープ印刷装置1は、センサー43が第1検出孔H1を検出するまでラベルテープTを+X方向に送る(
図17参照)。
【0071】
ステップS32において、テープ印刷装置1は、第1カウントを開始する(
図17参照)。
【0072】
ステップS33において、テープ印刷装置1は、第1ラベルL1の頭出しを行う(
図18参照)。テープ印刷装置1は、第1カウントの開始から第3距離D3分ラベルテープTを+X方向に送ることにより第1ラベルL1の頭出しを行う。第3距離D3は、センサーヘッド間距離HSから印刷開始距離KFを差し引いた距離である。テープ印刷装置1は、送りモーター45aの1ステップあたりの送り量をXとしたとき、第1カウントのカウント値が、「第3距離D3/X」に達するまで送りモーター45aを第2回転方向に回転させることにより第1ラベルL1の頭出しを行う。
【0073】
ステップS34において、テープ印刷装置1は、第1ラベルL1の印刷を開始する(
図18参照)。この時点で、テープ印刷装置1は、第1カウントをリセットする。
【0074】
ステップS35において、テープ印刷装置1は、センサー43が第1検出孔H1を検出するまでラベルテープTを-X方向に送る(
図19参照)。
【0075】
ステップS36において、テープ印刷装置1は、第1カウントを開始する(
図19参照)。
【0076】
ステップS37において、テープ印刷装置1は、第1ラベルL1の印刷を終了する。
【0077】
ステップS38において、テープ印刷装置1は、第nラベルLnの頭出しを行う(
図20参照)。
図20において、テープ印刷装置1は、第2ラベルL2の頭出しを行っている。テープ印刷装置1は、第(n-1)カウントの開始から第2距離D2分ラベルテープTを-X方向に送ることにより第nラベルLnの頭出しを行う。第2距離D2は、印刷開始距離KFと、標準送りピッチSPと、を合計した距離から、センサーヘッド間距離HSを差し引いた距離である。
【0078】
ステップS39において、テープ印刷装置1は、第nラベルLnの印刷を開始する(
図20参照)。
図20において、テープ印刷装置1は、第2ラベルL2の印刷を開始している。
【0079】
ステップS40において、テープ印刷装置1は、センサー43が次の検出孔Hである第n検出孔Hnを検出するまでラベルテープTを-X方向に送る。
【0080】
ステップS41において、テープ印刷装置1は、第nカウントを開始する。この時点で、テープ印刷装置1は、第(n-1)カウントをリセットする。
【0081】
ステップS42において、テープ印刷装置1は、第nラベルLnの印刷を終了する。
【0082】
ステップS43において、テープ印刷装置1は、印刷データに基づいて、次に印刷するラベルLがあるか否かを判別する。テープ印刷装置1は、次に印刷するラベルLがあると判別した場合、ステップS44に進む。テープ印刷装置1は、次に印刷するラベルLがないと判別した場合、すなわち全てのラベルLの印刷を終了したと判別した場合、ステップS45に進む。
【0083】
ステップS44において、テープ印刷装置1は、nの値をインクリメントする。テープ印刷装置1は、ステップS44の後、ステップS38に戻る。
【0084】
ステップS45において、テープ印刷装置1は、第(n+1)検出孔H(n+1)の中央位置がカッター位置にくるまでラベルテープTを送る(
図21参照)。
図21において、テープ印刷装置1は、第3検出孔H3の中央位置がカッター位置にくるまでラベルテープTを送っている。テープ印刷装置1は、第(n+1)検出孔H(n+1)を検出してから、センサーカッター間距離SCから、X方向における検出孔Hの長さの1/2を差し引いた長さだけラベルテープTを送ることで、第(n+1)検出孔H(n+1)の中央位置をカッター位置に合わせる。
【0085】
ステップS46において、テープ印刷装置1は、ラベルテープTをカッター27により切断する(
図21参照)。
【0086】
図9のフローチャートを参照し、テープ印刷装置1の第3印刷処理について説明する。
図22は、第3印刷処理が開始されるときのラベルテープTの位置を示す図である。第3印刷処理は、
図22に示すように、印刷開始距離KFおよび印刷終了距離KBが、いずれもセンサーヘッド間距離HS以下と判別された場合に行われる処理である。したがって、第3印刷処理では、ラベルLの印刷を終えた後、そのラベルLの検出孔Hを検出することになる。第3印刷処理はこの点以外は第2印刷処理と同様であるため、ラベルテープTの位置を示す図示を省略し、処理の流れのみ説明する。
【0087】
ステップS51において、テープ印刷装置1は、センサー43が第1検出孔H1を検出するまでラベルテープTを+X方向に送る。
【0088】
ステップS52において、テープ印刷装置1は、第1カウントを開始する。
【0089】
ステップS53において、テープ印刷装置1は、第1ラベルL1の頭出しを行う。テープ印刷装置1は、第1カウントの開始から第3距離D3分ラベルテープTを+X方向に送ることにより第1ラベルL1の頭出しを行う。
【0090】
ステップS54において、テープ印刷装置1は、第1ラベルL1の印刷を開始する。この時点で、テープ印刷装置1は、第1カウントをリセットする。
【0091】
ステップS55において、テープ印刷装置1は、第1ラベルL1の印刷を終了する。
【0092】
ステップS56において、テープ印刷装置1は、センサー43が第1検出孔H1を検出するまでラベルテープTを-X方向に送る。
【0093】
ステップS57において、テープ印刷装置1は、第1カウントを開始する。
【0094】
ステップS58において、テープ印刷装置1は、第nラベルLnの頭出しを行う。テープ印刷装置1は、第(n-1)カウントの開始から第2距離D2分ラベルテープTを-X方向に送ることにより第nラベルLnの頭出しを行う。
【0095】
ステップS59において、テープ印刷装置1は、第nラベルLnの印刷を開始する。
【0096】
ステップS60において、テープ印刷装置1は、第nラベルLnの印刷を終了する。
【0097】
ステップS61において、テープ印刷装置1は、センサー43が次の検出孔Hである第n検出孔Hnを検出するまでラベルテープTを-X方向に送る。
【0098】
ステップS62において、テープ印刷装置1は、第nカウントを開始する。この時点で、テープ印刷装置1は、第(n-1)カウントをリセットする。
【0099】
ステップS63において、テープ印刷装置1は、印刷データに基づいて、次に印刷するラベルLがあるか否かを判別する。テープ印刷装置1は、次に印刷するラベルLがあると判別した場合、ステップS64に進む。テープ印刷装置1は、次に印刷するラベルLがないと判別した場合、すなわち全てのラベルLの印刷を終了したと判別した場合、ステップS65に進む。
【0100】
ステップS64において、テープ印刷装置1は、nの値をインクリメントする。テープ印刷装置1は、ステップS64の後、ステップS58に戻る。
【0101】
ステップS65において、テープ印刷装置1は、第(n+1)検出孔H(n+1)の中央位置がカッター位置にくるまでラベルテープTを送る。
【0102】
ステップS66において、テープ印刷装置1は、ラベルテープTをカッター27により切断する。
【0103】
以上説明したとおり、本実施形態に係るテープ印刷装置1は、複数のラベルLに対して印刷を行う場合、第nラベルLnの頭出しを、第(n-1)ラベルL(n-1)に対して-X方向に設けられている検出孔Hの検出に基づいて行う。これにより、テープ印刷装置1は、印刷開始距離KFがセンサーヘッド間距離HSより短い場合であっても、ラベルテープTを+X方向に送ることなく、第nラベルLnの頭出しを行うことができるため、印刷処理時間が長くなることを抑制することができる。
【0104】
また、テープ印刷装置1が本構成を採用することにより、ラベルテープTの印刷開始距離KFを短く設定することができる。つまり、テープ印刷装置1は、印刷開始距離KFが短くなりがちな、検出孔HとラベルLとのX方向における距離が短いラベルテープTを使用した場合でも、印刷処理時間が長くなることがない。これにより、ラベルテープTの単位長さ当たりに配置可能なラベルL数を増やすことができ、ラベルL単価のコストダウンを図ることができる。
【0105】
また、テープ印刷装置1は、第nラベルLnの頭出しを、第(n-2)検出孔H(n-2)や第(n-3)検出孔H(n-3)ではなく、第(n-1)検出孔H(n-1)の検出に基づいて行うため、第nラベルLnの頭出しをより正確に行うことができる。
【0106】
また、テープ印刷装置1は、センサー43が第(n-1)検出孔H(n-1)を検出した時点から、第2距離D2だけラベルテープTを送ることにより、正確に第nラベルLnの頭出しを行うことができる。
【0107】
また、テープ印刷装置1は、3枚以上のラベルLに対して印刷を行う場合、ラベルテープTの先頭から2枚目以降のラベルLについて、ラベルLごとに頭出しを行う。これにより、テープ印刷装置1は、印刷開始距離KFがセンサーヘッド間距離HSより短い場合であっても、ラベルLごとにラベルテープTを+X方向に送ってから印刷を開始する必要がないため、印刷処理時間が長くなることをより抑制することができる。
【0108】
また、テープ印刷装置1は、印刷開始距離KFがセンサーヘッド間距離HSより短い場合、ラベルテープTを+X方向に送ることで第1ラベルL1の頭出しを行う。これにより、テープ印刷装置1は、第1ラベルL1について、ユーザーが所望する印刷開始位置から印刷を開始することができる。
【0109】
また、テープ印刷装置1は、テープ種類検出部41によりラベルテープTの種類を検出し、検出したラベルテープTの種類に対応する標準送りピッチSPをROM44bから読み出すため、複数種類のラベルテープTを用いることができる。
【0110】
上記の実施形態によらず、以下の変形例を採用可能である。
[変形例1]
センサー43により検出される「被検出部」は、台紙テープ11のZ方向における中央部を切り抜いた検出孔Hでなく、
図23に示すように、台紙テープ11の+Z方向における端部を凹状に切り抜いた凹部61でもよい。また、「被検出部」は、台紙テープ11の+Z方向における端部を凸状に突出させた凸部(図示省略)でもよい。また、「被検出部」は、台紙テープ11の-Z方向における端部に形成されてもよい。なお、いずれの場合においても、「被検出部」は、X方向において、ラベルLとラベルLとの間に設けられる。また、これらの場合、センサー43は、Z方向において「被検出部」に対応した位置に設けられる。すなわち、センサー43は、台紙テープ11のZ方向における略中央に設けられることに限定されない。
【0111】
[変形例2]
また、「被検出部」は、検出孔Hの位置に貼付された検出用ラベルでもよい。また、ラベルテープTが台紙テープ11の略全面にラベル部材が貼着されたものであり、ラベルLがダイカットされたものである場合、すなわちラベルテープTがカス上げされていない場合、検出孔Hの位置だけラベル部材を切り抜いたものを、「被検出部」としてもよい。
また、ラベルテープTの台紙テープ11に印刷されたマークを、「被検出部」としてもよい。
また、ラベルL自体が、「被検出部」として用いられる構成でもよい。この場合、センサー43は、ラベルLの-X方向における端部位置を検出すればよい。また、この場合、台紙テープ11は透明テープでもよい。
【0112】
[変形例3]
テープ印刷装置1は、テープカートリッジCを装着可能な構成でなくてもよい。例えば、テープ印刷装置1は、プラテンローラーを備え、テープ印刷装置1の外部から供給されたラベルテープTに印刷を行うものでもよい。
【0113】
[変形例4]
また、テープ印刷装置1は、第nラベルLnの頭出しを、第(n-1)検出孔H(n-1)ではなく、第(n-2)検出孔H(n-2)や第(n-3)検出孔H(n-3)の検出に基づいて行ってもよい。すなわち、第1検出孔H1の検出に基づいて、第2ラベルL2の頭出しだけではなく、第3ラベルL3や第4ラベルL4の頭出しを行ってもよい。
【0114】
[変形例5]
ラベルテープTの種類と、標準送りピッチSPとを対応付けた対応テーブルは、テープ印刷装置1の外部にあってもよい。例えば、テープ印刷装置1と通信可能なサーバーに、対応テーブルが記憶されていてもよい。この場合、サーバーは、「記憶部」の一例である。
また、読み出し部110は、テープカートリッジCに設けられた回路基板またはRFIDタグから(いずれも図示省略)、標準送りピッチSPを読み出してもよい。この場合、回路基板またはRFIDタグは、「記憶部」の一例である。
また、読み出し部110は、テープカートリッジCの外面に設けられたコード画像から、標準送りピッチSPを読み出してもよい。
【0115】
[変形例6]
上記の実施形態は、ラベルLによって印刷開始距離KFが変化する場合にも適用可能である。この場合、第1距離D1は、第1ラベルL1の印刷開始距離KFからセンサーヘッド間距離HSを差し引いた距離である。また、第2距離D2は、頭出しを行うラベルLの印刷開始距離KFと、標準送りピッチSPと、を合計した距離から、センサーヘッド間距離HSを差し引いた距離である。また、第3距離D3は、センサーヘッド間距離HSから第1ラベルL1の印刷開始距離KFを差し引いた距離である。
【0116】
[変形例7]
また、上記の実施形態と重複する内容を含むが、より実用的な実施形態として、本変形例を示す。テープ印刷装置1は、ラベルLによって印刷開始距離KFが変化しない場合、以下のように場合分けを行ってラベルLの頭出しを行ってもよい。テープ印刷装置1は、印刷開始距離KFがセンサーヘッド間距離HSより長い場合、第nラベルLnの頭出しを、第n検出孔Hnの検出に基づいて行い、印刷開始距離KFがセンサーヘッド間距離HS以下の場合、第nラベルLnの頭出しを、第(n-1)検出孔H(n-1)の検出に基づいて行ってもよい。
また、テープ印刷装置1は、ラベルLによって印刷開始距離KFが変化する場合、上記の場合分けをラベルLごとに行ってもよい。例えば、第2ラベルL2の印刷開始距離KFはセンサーヘッド間距離HSより短く、第3ラベルL3の印刷開始距離KFはセンサーヘッド間距離HSより長い場合を想定する。この場合、テープ印刷装置1は、第1検出孔H1の検出に基づいて第2ラベルL2の頭出しを行い、第3検出孔H3の検出に基づいて第3ラベルL3の頭出しを行ってもよい。
【0117】
[変形例8]
また、テープ印刷装置1のファームウェアは、プログラムとして顧客に提供されてもよい。また、テープ印刷装置1のファームウェアを記録した記憶媒体が、顧客に提供されてもよい。また、テープ印刷装置1は、熱転写方式以外に、インクジェット方式など他の印刷方式でもよい。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【0118】
[付記]
以下、テープ印刷装置およびテープ印刷装置の制御方法について付記する。
テープ印刷装置1は、台紙テープ11上に、台紙テープ11の長さ方向において複数のラベルLが等間隔で配置され、ラベルLとラベルLとの間に検出孔Hが設けられたラベルテープTを-X方向に送る送り機構45と、送り機構45により送られていくラベルテープTのラベルLに印刷を行う印刷ヘッド26と、検出位置が印刷ヘッド26による印刷位置より-X方向に位置し、送り機構45によりラベルテープTが送られている間、検出孔Hを検出するセンサー43と、送り機構45および印刷ヘッド26を制御する印刷制御部120と、を備え、印刷制御部120は、複数のラベルLに対して印刷を行う場合、ラベルテープTに配置されたラベルLのうち、ラベルテープTの先頭からn番目(nは、n≧2の整数)に配置されたラベルLである第nラベルLnの印刷開始位置を印刷位置に位置させる頭出しを、第(n-1)ラベルL(n-1)に対して-X方向に設けられている検出孔Hの検出に基づいて行う。
【0119】
テープ印刷装置1の制御方法は、台紙テープ11上に、台紙テープ11の長さ方向において複数のラベルLが等間隔で配置され、ラベルLとラベルLとの間に検出孔Hが設けられたラベルテープTを-X方向に送る送り機構45と、送り機構45により送られていくラベルテープTのラベルLに印刷を行う印刷ヘッド26と、検出位置が印刷ヘッド26による印刷位置より-X方向に位置し、送り機構45によりラベルテープTが送られている間、検出孔Hを検出するセンサー43と、を備えたテープ印刷装置1の制御方法であって、テープ印刷装置1は、複数のラベルLに対して印刷を行う場合、ラベルテープTに配置されたラベルLのうち、ラベルテープTの先頭からn番目(nは、n≧2の整数)に配置されたラベルLである第nラベルLnの印刷開始位置を印刷位置に位置させる頭出しを、第(n-1)ラベルL(n-1)に対して-X方向に設けられている検出孔Hの検出に基づいて行う。
【0120】
この構成によれば、テープ印刷装置1は、複数のラベルLに対して印刷を行う場合、第nラベルLnの頭出しを、第(n-1)ラベルL(n-1)に対して-X方向に設けられている検出孔Hの検出に基づいて行う。これにより、テープ印刷装置1は、ラベルテープTにおける検出孔HとラベルLの印刷開始位置との距離が、センサー43の検出位置と印刷ヘッド26による印刷位置との距離より短い場合であっても、ラベルテープTを+X方向に送ることなく、第nラベルLnの頭出しを行うことができるため、印刷処理時間が長くなることを抑制することができる。
【0121】
上記のテープ印刷装置1において、印刷制御部120は、第nラベルLnの頭出しを、第(n-1)ラベルL(n-1)に対して-X方向に設けられている検出孔Hのうち、最も第(n-1)ラベルL(n-1)に近い検出孔Hである第(n-1)検出孔H(n-1)の検出に基づいて行うことが好ましい。
【0122】
この構成によれば、テープ印刷装置1は、第nラベルLnの頭出しを第(n-1)検出孔H(n-1)の検出に基づいて行うため、第nラベルLnの頭出しをより正確に行うことができる。
【0123】
上記のテープ印刷装置1において、ROM44bから、ラベルテープTの設計上の検出孔H間の距離である標準送りピッチSPを読み出す読み出し部110をさらに備え、印刷制御部120は、センサー43が第(n-1)検出孔H(n-1)を検出した時点から、第nラベルLnに対して-X方向に設けられている検出孔Hのうち、最も第nラベルLnに近い検出孔Hである第n検出孔Hnと第nラベルLnの印刷開始位置との距離と、標準送りピッチSPと、を合計した距離から、センサー43の検出位置と印刷ヘッド26による印刷位置との距離を差し引いた距離だけ、ラベルテープTを送ることで、第nラベルLnの頭出しを行うことが好ましい。
【0124】
この構成によれば、テープ印刷装置1は、センサー43が第(n-1)検出孔H(n-1)を検出した時点から、第nラベルLnの頭出しを行うまでにラベルテープTを送る距離を算出することができる。
【0125】
上記のテープ印刷装置1において、印刷制御部120は、3枚以上のラベルLに対して印刷を行う場合、ラベルテープTの先頭から2枚目以降のラベルLについて、ラベルLごとに頭出しを行うことが好ましい。
【0126】
この構成によれば、テープ印刷装置1は、3枚以上のラベルLについて、印刷開始距離KFがセンサーヘッド間距離HSより短い場合でも、ラベルLごとにラベルテープTを一旦+X方向に送ってから印刷を開始する必要がないため、印刷処理時間が長くなることを抑制することができる。
【0127】
上記のテープ印刷装置1において、印刷制御部120は、ラベルテープTの先頭に配置されたラベルLである第1ラベルL1に対して-X方向に設けられている検出孔Hである第1検出孔H1と第1ラベルL1の印刷開始位置との距離が、センサー43の検出位置と印刷ヘッド26による印刷位置との距離より短い場合、ラベルテープTを-X方向とは逆方向の+X方向に送ることで、第1ラベルL1の頭出しを行うことが好ましい。
【0128】
この構成によれば、テープ印刷装置1は、第1ラベルL1の印刷開始距離KFがセンサーヘッド間距離HSより短い場合、ラベルテープTを+X方向に送ることで第1ラベルL1の頭出しを行う。これにより、テープ印刷装置1は、第1ラベルL1について、ユーザーが所望する印刷開始位置から印刷を開始することができる。
【0129】
上記のテープ印刷装置1において、ラベルテープTの種類を検出するテープ種類検出部41と、ラベルテープTの種類と、標準送りピッチSPとを対応付けて記憶するROM44bと、をさらに備え、読み出し部110は、テープ種類検出部41により検出されたラベルテープTの種類に対応する標準送りピッチSPを、ROM44bから読み出すことが好ましい。
【0130】
この構成によれば、テープ印刷装置1は、ラベルテープTの種類を検出することで、対応する標準送りピッチSPをROM44bから読み出すことができる。
【符号の説明】
【0131】
1…テープ印刷装置、11…台紙テープ、26…印刷ヘッド、41…テープ種類検出部、43…センサー、110…読み出し部、120…印刷制御部、H…検出孔、L…ラベル、SP…標準送りピッチ、T…ラベルテープ。