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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130666
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】表示装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H10K 50/858 20230101AFI20240920BHJP
   H10K 50/852 20230101ALI20240920BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240920BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240920BHJP
   H10K 50/13 20230101ALI20240920BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20240920BHJP
【FI】
H10K50/858
H10K50/852
G02B3/00
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
H10K50/13
H10K59/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040516
(22)【出願日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】色部 潤
(72)【発明者】
【氏名】濱出 唯芽
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC06
3K107CC37
3K107DD10
3K107EE06
3K107EE07
3K107EE29
3K107FF13
3K107FF15
5C094AA08
5C094AA12
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA13
5C094ED01
5C094FA03
5C094HA03
5C094HA05
(57)【要約】
【課題】色視野角特性を向上できる表示装置を提供する。
【解決手段】第1基板と、前記第1基板に対向配置された透光性の第2基板と、を有し、前記第1基板は、複数の画素を構成し、前記複数の画素の各々は、第1色光を出射する第1サブ画素と、前記第1色光と異なる色の第2色光を出射する第2サブ画素と、を有し、前記第1サブ画素は、第1発光素子と、前記第1発光素子からの光が通過する発散レンズと、を有し、前記第2サブ画素は、第2発光素子を有し、前記第1発光素子の発光領域の面積は、前記第2発光素子の発光領域の面積よりも小さく、前記第1発光素子からの光は、前記発散レンズを介して、前記第2基板から出射され、前記第2発光素子からの光は、発散レンズを介さずに、前記第2基板から出射される、表示装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向配置された透光性の第2基板と、
を有し、
前記第1基板は、複数の画素を構成し、
前記複数の画素の各々は、
第1色光を出射する第1サブ画素と、
前記第1色光と異なる色の第2色光を出射する第2サブ画素と、
を有し、
前記第1サブ画素は、
第1発光素子と、
前記第1発光素子からの光が通過する発散レンズと、
を有し、
前記第2サブ画素は、第2発光素子を有し、
前記第1発光素子の発光領域の面積は、前記第2発光素子の発光領域の面積よりも小さく、
前記第1発光素子からの光は、前記発散レンズを介して、前記第2基板から出射され、
前記第2発光素子からの光は、発散レンズを介さずに、前記第2基板から出射される、表示装置。
【請求項2】
第1基板と、
前記第1基板に対向配置された透光性の第2基板と、
を有し、
前記第1基板は、複数の画素を構成し、
前記複数の画素の各々は、
第1色光を出射する第1サブ画素と、
前記第1色光と異なる色の第2色光を出射する第2サブ画素と、
を有し、
前記第1サブ画素は、第1発光素子を有し、
前記第2サブ画素は、
第2発光素子と、
前記第2発光素子からの光が通過する集光レンズと、
を有し、
前記第1発光素子の発光領域の面積は、前記第2発光素子の発光領域の面積よりも小さく、
前記第1発光素子からの光は、集光レンズを介さずに、前記第2基板から出射され、
前記第2発光素子からの光は、前記集光レンズを介して、前記第2基板から出射される、表示装置。
【請求項3】
第1基板と、
前記第1基板に対向配置された透光性の第2基板と、
を有し、
前記第1基板は、複数の画素を構成し、
前記複数の画素の各々は、
第1色光を出射する第1サブ画素と、
前記第1色光と異なる色の第2色光を出射する第2サブ画素と、
を有し、
前記第1サブ画素は、
前記第1色光を発生させる第1発光層を有する第1発光素子と、
前記第1発光素子からの光が通過する発散レンズと、
を有し、
前記第2サブ画素は、前記第2色光を発生させる第2発光層を有する第2発光素子を有し、
前記第1発光層における発光スペクトルの半値幅は、前記第2発光層における発光スペクトルの半値幅よりも小さく、
前記第1発光素子からの光は、前記発散レンズを介して、前記第2基板から出射され、
前記第2発光素子からの光は、発散レンズを介さずに、前記第2基板から出射される、表示装置。
【請求項4】
第1基板と、
前記第1基板に対向配置された透光性の第2基板と、
を有し、
前記第1基板は、複数の画素を構成し、
前記複数の画素の各々は、
第1色光を出射する第1サブ画素と、
前記第1色光と異なる色の第2色光を出射する第2サブ画素と、
を有し、
前記第1サブ画素は、前記第1色光を発生させる第1発光層を有する第1発光素子を有し、
前記第2サブ画素は、
前記第2色光を発生させる第2発光層を有する第2発光素子と、
前記第2発光素子からの光が通過する集光レンズと、
を有し、
前記第1発光層における発光スペクトルの半値幅は、前記第2発光層における発光スペクトルの半値幅よりも小さく、
前記第1発光素子からの光は、集光レンズを介さずに、前記第2基板から出射され、
前記第2発光素子からの光は、前記集光レンズを介して、前記第2基板から出射される、表示装置。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記第1発光素子は、前記第1発光層で発生した光を共振させる第1光共振部を有し、
前記第2発光素子は、前記第2発光層で発生した光を共振させる第2光共振部を有する、表示装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1発光素子は、前記第2色光と同じ色の光を発生させる第3発光層を有し、
前記第2発光素子は、前記第1色光と同じ色の光を発生させる第4発光層を有する、表示装置。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載された表示装置を有する、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(electroluminescence)素子などの発光素子を有する表示装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、電極と第1の光学距離だけ離間して設けられた第1の反射層を含む第1の発光素子と、電極と第2の光学距離だけ離間して設けられた第2の反射層を含む第2の発光素子と、第1の発光素子から出射された光のうち、第1の光学距離に対応する第1の色光が入射する第1のマイクロレンズと、第2の発光素子から出射された光のうち、第2の光学距離に対応する第2の色光が入射する第2のマイクロレンズと、を備えた電気光学装置が記載されている。第1の色光のスペクトルの半値幅は、第2の色光のスペクトルの半値幅と異なり、第1のマイクロレンズの曲率は、第2のマイクロレンズの曲率よりも小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-80507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような電気光学装置では、色視野角特性を向上させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る表示装置の一態様は、
第1基板と、
前記第1基板に対向配置された透光性の第2基板と、
を有し、
前記第1基板は、複数の画素を構成し、
前記複数の画素の各々は、
第1色光を出射する第1サブ画素と、
前記第1色光と異なる色の第2色光を出射する第2サブ画素と、
を有し、
前記第1サブ画素は、
第1発光素子と、
前記第1発光素子からの光が通過する発散レンズと、
を有し、
前記第2サブ画素は、第2発光素子を有し、
前記第1発光素子の発光領域の面積は、前記第2発光素子の発光領域の面積よりも小さく、
前記第1発光素子からの光は、前記発散レンズを介して、前記第2基板から出射され、
前記第2発光素子からの光は、発散レンズを介さずに、前記第2基板から出射される。
【0007】
本発明に係る表示装置の一態様は、
第1基板と、
前記第1基板に対向配置された透光性の第2基板と、
を有し、
前記第1基板は、複数の画素を構成し、
前記複数の画素の各々は、
第1色光を出射する第1サブ画素と、
前記第1色光と異なる色の第2色光を出射する第2サブ画素と、
を有し、
前記第1サブ画素は、第1発光素子を有し、
前記第2サブ画素は、
第2発光素子と、
前記第2発光素子からの光が通過する集光レンズと、
を有し、
前記第1発光素子の発光領域の面積は、前記第2発光素子の発光領域の面積よりも小さく、
前記第1発光素子からの光は、集光レンズを介さずに、前記第2基板から出射され、
前記第2発光素子からの光は、前記集光レンズを介して、前記第2基板から出射される。
【0008】
本発明に係る表示装置の一態様は、
第1基板と、
前記第1基板に対向配置された透光性の第2基板と、
を有し、
前記第1基板は、複数の画素を構成し、
前記複数の画素の各々は、
第1色光を出射する第1サブ画素と、
前記第1色光と異なる色の第2色光を出射する第2サブ画素と、
を有し、
前記第1サブ画素は、
前記第1色光を発生させる第1発光層を有する第1発光素子と、
前記第1発光素子からの光が通過する発散レンズと、
を有し、
前記第2サブ画素は、前記第2色光を発生させる第2発光層を有する第2発光素子を有し、
前記第1発光層における発光スペクトルの半値幅は、前記第2発光層における発光スペクトルの半値幅よりも小さく、
前記第1発光素子からの光は、前記発散レンズを介して、前記第2基板から出射され、
前記第2発光素子からの光は、発散レンズを介さずに、前記第2基板から出射される。
【0009】
本発明に係る表示装置の一態様は、
第1基板と、
前記第1基板に対向配置された透光性の第2基板と、
を有し、
前記第1基板は、複数の画素を構成し、
前記複数の画素の各々は、
第1色光を出射する第1サブ画素と、
前記第1色光と異なる色の第2色光を出射する第2サブ画素と、
を有し、
前記第1サブ画素は、前記第1色光を発生させる第1発光層を有する第1発光素子を有し、
前記第2サブ画素は、
前記第2色光を発生させる第2発光層を有する第2発光素子と、
前記第2発光素子からの光が通過する集光レンズと、
を有し、
前記第1発光層における発光スペクトルの半値幅は、前記第2発光層における発光スペクトルの半値幅よりも小さく、
前記第1発光素子からの光は、集光レンズを介さずに、前記第2基板から出射され、
前記第2発光素子からの光は、前記集光レンズを介して、前記第2基板から出射される。
【0010】
本発明に係る電子機器の一態様は、
前記表示装置の一態様を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す平面図。
図2】第1実施形態に係る表示装置のサブ画素の等価回路図。
図3】第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す平面図。
図4】第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す断面図。
図5】第1実施形態に係る表示装置を模式的に示す断面図。
図6】配光特性を説明するための図。
図7】第1実施形態の第1変形例に係る表示装置を模式的に示す平面図。
図8】配光特性を説明するための図。
図9】第1実施形態の第2変形例に係る表示装置を模式的に示す平面図。
図10】第1実施形態の第2変形例に係る表示装置を模式的に示す平面図。
図11】第1実施形態の第3変形例に係る表示装置を模式的に示す平面図。
図12】第1実施形態の第3変形例に係る表示装置を模式的に示す平面図。
図13】第2実施形態に係る表示装置を模式的に示す平面図。
図14】配光特性を説明するための図。
図15】第2実施形態の第1変形例に係る表示装置を模式的に示す平面図。
図16】配光特性を説明するための図。
図17】第2実施形態の第2変形例に係る表示装置を模式的に示す平面図。
図18】第2実施形態の第2変形例に係る表示装置を模式的に示す平面図。
図19】第2実施形態の第3変形例に係る表示装置を模式的に示す平面図。
図20】第2実施形態の第3変形例に係る表示装置を模式的に示す平面図。
図21】第3実施形態に係るヘッドマウントディスプレイを模式的に示す斜視図。
図22】第3実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの像形成装置および導光装置を模式的に示す図。
図23】実施例1の配光特性を示すグラフ。
図24】比較例1の配光特性を示すグラフ。
図25】実施例1および比較例1の色視野角特性を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0013】
1. 第1実施形態
1.1. 表示装置
1.1.1. 構成
まず、第1実施形態に係る表示装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る表示装置100を模式的に示す平面図である。なお、図1では、互いに直交する3軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を図示している。
【0014】
表示装置100は、例えば、有機ELを利用してフルカラーの画像を表示する装置である。なお、画像には、文字情報のみを表示するものも含まれる。表示装置100は、例えば、ヘッドマウントディスプレイなどに好適に用いられるマイクロディスプレイである。
【0015】
表示装置100は、図1に示すように、画像を表示する表示領域101と、平面視で表示領域101の周囲を囲む周辺領域102と、を有する。図示の例では、平面視とは、Z軸方向から見ることである。表示領域101の平面形状は、例えば、四角形である。
【0016】
表示装置100は、複数の画素Pを有する。画素Pは、表示領域101に設けられている。画素Pは、画像の表示における最小単位である。図示の例では、画素Pは、X軸方向およびY軸方向にマトリックス状に配列されている。
【0017】
表示装置100の複数の画素Pの各々は、赤色光を出射する赤色サブ画素PRと、緑色光を出射する緑色サブ画素PGと、青色光を出射する青色サブ画素PBと、を有している。サブ画素PR,PG,PBは、互いに異なる色の色光を出射する。図示の例では、1つの画素Pにおいて、サブ画素PR,PG,PBは、1つずつ設けられている。サブ画素PR,PG,PBは、カラー画像の1つの画素Pを構成している。赤色サブ画素PRから出射される赤色光の波長域は、580nmより大きく700nm以下である。緑色サブ画素PGから出射される緑色光の波長域は、500nm以上580nm以下である。青色サブ画素PBから出射される青色光の波長域は、400nm以上500nm未満である。なお、便宜上、図1では、サブ画素PR,PG,PBを簡略化して図示している。
【0018】
表示装置100は、素子基板2と、透光基板4と、を有している。素子基板2および透光基板4は、Z軸方向に積層されている。表示装置100は、いわゆるトップエミッション構造であり、透光基板4から光を出射する。素子基板2は、複数の画素Pを構成している。
【0019】
素子基板2は、例えば、データ線駆動回路103と、走査線駆動回路104と、制御回路105と、複数の外部端子106と、を有している。データ線駆動回路103、走査線駆動回路104、制御回路105、および複数の外部端子106は、周辺領域102に設けられている。データ線駆動回路103および走査線駆動回路104は、サブ画素PR,PG,PBの駆動を制御する周辺回路である。制御回路105は、画像の表示を制御する。制御回路105には、図示しない上位回路から画像データが供給される。制御回路105は、当該画像データに基づく各種信号を、データ線駆動回路103および走査線駆動回路104に供給する。図示しないが、外部端子106には、上位回路との電気的な接続を図るためのFPC(Flexible printed circuits)基板などが接続されている。素子基板2には、図示しない電源回路が電気的に接続されている。
【0020】
透光基板4は、素子基板2を保護するカバーである。透光基板4は、素子基板2に対向配置されている。透光基板4は、例えば、ガラス基板、石英基板である。透光基板4は、透光性を有する。
【0021】
図2は、表示装置100のサブ画素PR,PG,PBの等価回路図である。素子基板2は、例えば、複数の走査線11と、複数のデータ線12と、複数の第1給電線13と、複数の第2給電線14と、を有している。
【0022】
走査線11は、例えば、X軸方向に延びている。データ線12は、例えば、Y軸方向に延びている。なお、図示はしないが、複数の走査線11と複数のデータ線12とは、格子状に配列されている。走査線11は、図1に示す走査線駆動回路104に接続されている。データ線12は、図1に示すデータ線駆動回路103に接続されている。
【0023】
サブ画素PR,PG,PBは、図2に示すように、発光素子20と、発光素子20の駆動を制御する画素回路15と、を有している。発光素子20は、例えば、OLED(Organic Light Emitting Diode)である。発光素子20は、例えば、画素電極40と、有機層42と、共通電極46と、を有している。
【0024】
画素電極40には、画素回路15を介して、第1給電線13が電気的に接続される。共通電極46には、第2給電線14が電気的に接続される。第1給電線13には、図示しない電源回路から高位側の電源電位Velが供給される。第2給電線14には、図示しない電源回路から低位側の電源電位Vctが供給される。画素電極40は、陽極として機能する。共通電極46は、陰極として機能する。発光素子20では、画素電極40から供給される正孔と、共通電極46から供給される電子とが、有機層42で再結合する。これにより、有機層42は、光を発生させる。
【0025】
画素回路15は、例えば、スイッチング用トランジスター16と、駆動用トランジスター17と、保持容量18と、を有している。スイッチング用トランジスター16のゲートは、走査線11に電気的に接続されている。スイッチング用トランジスター16のソースおよびドレインのうちの一方は、データ線12に電気的に接続され、他方は、駆動用トランジスター17のゲートに電気的に接続されている。駆動用トランジスター17のソースおよびドレインのうちの一方は、第1給電線13に電気的に接続され、他方は、画素電極40に電気的に接続されている。保持容量18の一方の電極は、駆動用トランジスター17のゲートに電気的に接続され、他方の電極は、第1給電線13に電気的に接続されている。
【0026】
画素回路15では、走査線駆動回路104が走査信号をアクティブにすることで走査線11が選択されると、選択されるサブ画素PR,PG,PBに設けられるスイッチング用トランジスター16がオンする。そうすると、データ線12からデータ信号が、選択される走査線11に対応する駆動用トランジスター17に供給される。駆動用トランジスター17は、供給されるデータ信号の電位、すなわちゲートおよびソース間の電位差に応じた電流を発光素子20に対して供給する。そして、発光素子20は、駆動用トランジスター17から供給される電流の大きさに応じた輝度で発光する。走査線駆動回路104が走査線11の選択を解除してスイッチング用トランジスター16がオフした場合、駆動用トランジスター17のゲートの電位は、保持容量18により保持される。そのため、発光素子20は、スイッチング用トランジスター16がオフした後も、発光素子20の発光を維持できる。
【0027】
なお、画素回路15の構成は、図示の例に限定されない。図示はしないが、画素回路15は、例えば、画素電極40と駆動用トランジスター17との間の導通を制御するトランジスターを有していてもよい。
【0028】
図3は、表示装置100を模式的に示す平面図である。図4は、表示装置100を模式的に示す断面図であり、赤色サブ画素PRおよび緑色サブ画素PGを通る断面図である。
【0029】
1つの画素Pは、図3に示すように、赤色サブ画素PRと、緑色サブ画素PGと、青色サブ画素PBと、を有している。図示の例では、1つの画素Pにおいて、緑色サブ画素PGは、赤色サブ画素PRおよび青色サブ画素PBの+X軸方向に設けられている。青色サブ画素PBは、赤色サブ画素PRの-Y軸方向に設けられている。
【0030】
素子基板2は、図3および図4に示すように、例えば、基板10と、発光素子20と、封止層50と、着色層60と、透光層62と、レンズ70と、被覆層72と、を有している。素子基板2は、例えば、半導体製造プロセスを用いて形成される。透光基板4は、図4に示すように、接着層6を介して、素子基板2に接合されている。
【0031】
なお、便宜上、図3では、発光素子20の発光領域22、反射層30、画素電極40、およびレンズ70以外の部材の図示を省略している。このことは、後述する図7,9~13,15,17~20において、同様である。
【0032】
基板10は、例えば、シリコン基板上に、上述した画素回路15が設けられた配線基板である。基板10は、図4に示すように、例えば、Z軸に平行な垂線Qを有している。なお、シリコン基板の代わりに、例えば、ガラス基板、樹脂基板、セラミックス基板が用いられてもよい。画素回路15が有するトランジスター16,17は、例えば、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)型トランジスター、薄膜トランジスター、電界効果トランジスターである。画素回路15が有する各要素および各種配線の材料としては、例えば、ポリシリコン、金属、金属シリサイドおよび金属化合物などの導電材料が挙げられる。
【0033】
発光素子20は、基板10上に設けられている。発光素子20は、基板10と封止層50との間に設けられている。発光素子20は、複数のサブ画素PR,PG,PBに対応して複数設けられている。図3に示すように、赤色サブ画素PRは、発光素子20として第1発光素子20Rを有している。緑色サブ画素PGは、発光素子20として第2発光素子20Gを有している。青色サブ画素PBは、発光素子20として第3発光素子20Bを有している。
【0034】
発光素子20は、図4に示すように、例えば、反射層30と、絶縁層32と、光路調整層34と、素子分離層36と、画素電極40と、有機層42と、共通電極46と、を有している。
【0035】
反射層30は、基板10上に設けられている。反射層30は、基板10と絶縁層32との間に設けられている。反射層30は、複数の発光素子20の各々において個別に設けられている。反射層30は、例えば、アルミニウム(Al)層、銀(Ag)層などである。反射層30は、有機層42で発生した光を反射させる。反射層30は、例えば、画素回路15と電気的に接続されている。
【0036】
絶縁層32は、反射層30上に設けられている。絶縁層32は、反射層30と光路調整層34との間に設けられている。絶縁層32は、さらに、隣り合う反射層30の間に設けられている。絶縁層32は、例えば、窒化シリコン層、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層である。
【0037】
光路調整層34は、絶縁層32上に設けられている。光路調整層34は、絶縁層32と画素電極40との間に設けられている。光路調整層34は、反射層30と共通電極46との間の距離Dを調整する層である。光路調整層34は、例えば、窒化シリコン層、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層である。
【0038】
光路調整層34は、例えば、第1調整層34aと、第2調整層34bと、を有している。第1調整層34aは、赤色サブ画素PRに設けられ、サブ画素PG,PBには設けられていてない。第2調整層34bは、サブ画素PR,PG設けられ、青色サブ画素PBには設けられない。赤色サブ画素PRにおいて、第2調整層34bは、第1調整層34a上に設けられている。光路調整層34によって、緑色サブ画素PGの距離Dを、青色サブ画素PBの距離Dよりも大きくし、赤色サブ画素PRの距離Dを、緑色サブ画素PGの距離Dよりも大きくすることができる。
【0039】
画素電極40は、光路調整層34上に設けられている。画素電極40は、光路調整層34と有機層42との間に設けられている。画素電極40は、複数の発光素子20において個別に設けられている。画素電極40は、平面視で、反射層30と重なる。画素電極40は、有機層42で発生した光を透過させる。画素電極40の材質は、例えば、ITO( Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)である。
【0040】
画素電極40は、コンタクト電極41を介して、反射層30と電気的に接続されている。コンタクト電極41および反射層30により、画素電極40は、画素回路15と電気的に接続されている。コンタクト電極41の材質は、例えば、タングステン(W)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)である。コンタクト電極41と絶縁層32との間には、絶縁層35が設けられている。絶縁層35は、窒化シリコン層、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層である。
【0041】
画素電極40上には、素子分離層36が設けられている。素子分離層36は、例えば、窒化シリコン層、酸化シリコン層、酸化窒化シリコン層である。素子分離層36には、開口部37が形成されている。開口部37は、素子分離層36を貫通している。開口部37は、発光素子20の発光領域22を規定している。発光領域22は、画素電極40と有機層42とが接触している領域である。図3に示す例では、発光領域22は、四角形であるが、その形状は、特に限定されない。第1発光素子20Rの発光領域22の面積は、第2発光素子20Gの発光領域22の面積よりも小さい。図示の例では、第3発光素子20Bの発光領域22の面積は、第1発光素子20Rの発光領域22の面積よりも大きく、第2発光素子20Gの発光領域22の面積よりも小さい。
【0042】
有機層42は、図4に示すように、画素電極40上に設けられている。有機層42は、例えば、複数の発光素子20において共通の層である。有機層42は、画素電極40と共通電極46との間に設けられている。
【0043】
ここで、図5は、有機層42を模式的に示す断面図である。有機層42は、図5に示すように、例えば、正孔注入層42aと、正孔輸送層42bと、電子輸送層42cと、電子注入層42dと、積層発光層44と、を有している。
【0044】
正孔注入層42aは、積層発光層44に正孔を注入する。正孔輸送層42bは、正孔注入層42aと積層発光層44との間に設けられている。正孔輸送層42bは、積層発光層44に正孔を輸送する。
【0045】
電子輸送層42cは、積層発光層44と電子注入層42dとの間に設けられている。電子輸送層42cは、積層発光層44に電子を輸送する。電子注入層42dは、積層発光層44に電子を注入する。
【0046】
積層発光層44は、正孔輸送層42bと電子輸送層42cとの間に設けられている。積層発光層44は、例えば、赤色発光層44Rと、緑色発光層44Gと、青色発光層44Bと、赤色発光層44Rと青色発光層44Bとの間に設けられた第1スペーサー層45aと、青色発光層44Bと緑色発光層44Gとの間に設けられた第2スペーサー層45bと、を有している。赤色発光層44R、緑色発光層44G、および青色発光層44Bは、有機発光材料からなる。有機発光材料は、発光性の有機化合物である。積層発光層44は、例えば、赤色発光層44R、緑色発光層44G、および青色発光層44Bによる発光により、白色光を発生させる。
【0047】
赤色発光層44Rは、正孔輸送層42bと第1スペーサー層45aとの間に設けられている。赤色発光層44Rは、赤色光を発生させる。赤色発光層44Rで発生する光の波長域は、例えば、600nm以上620nm以下である。赤色発光層44Rにおける発光スペクトルの半値幅は、緑色発光層44Gにおける発光スペクトルの半値幅、および青色発光層44Bにおける発光スペクトルの半値幅よりも小さい。赤色発光層44Rにおける発光スペクトルの半値幅は、例えば、15nm以上25nm以下であり、好ましくは20nmである。
【0048】
緑色発光層44Gは、第2スペーサー層45bと電子輸送層42cとの間に設けられている。緑色発光層44Gは、緑色光を発生させる。緑色発光層44Gで発生する光の波長域は、例えば、500nm以上550nm以下である。緑色発光層44Gにおける発光スペクトルの半値幅は、例えば、青色発光層44Bにおける発光スペクトルの半値幅よりも大きい。緑色発光層44Gにおける発光スペクトルの半値幅は、例えば、45nm以上55nm以下、好ましくは40nmである。
【0049】
青色発光層44Bは、第1スペーサー層45aと第2スペーサー層45bとの間に設けられている。青色発光層44Bは、青色光を発生させる。青色発光層44Bで発生する光の波長域は、例えば、460nm以上500nm以下である。青色発光層44Bにおける発光スペクトルの半値幅は、例えば、35nm以上45nm以下であり、好ましくは40nmである。
【0050】
なお、発光スペクトルの半値幅は、発光層44R,44G,44Bで発生したピーク波長の発光強度の50%となる波長の幅のことである。発光スペクトルの半値幅は、例えば、スペクトル測定装置によって測定される。
【0051】
共通電極46は、図4に示すように、有機層42上に設けられている。共通電極46は、有機層42と封止層50との間に設けられている。共通電極46は、例えば、複数の発光素子20において共通の電極である。共通電極46の材質は、例えば、MgAgなどのAgを含む合金である。
【0052】
発光素子20は、共通電極46と反射層30との間で所定の波長域の光を反射させて共振させる光共振部24を有している。光共振部24は、有機層42で発生した光を反射層30と共通電極46との間で多重反射させ、所定の波長域の光を選択的に強める。第1発光素子20Rは、赤色発光層44Rで発生した光を共振させる光共振部24を有している。第2発光素子20Gは、緑色発光層44Gで発生した光を共振させる光共振部24を有している。第3発光素子20Bは、青色発光層44Bで発生した光を共振させる光共振部24を有している。
【0053】
発光素子20の光共振部24における共振波長は、距離Dによって決まる。当該共振波長をλとするとき、下記式(1)の関係が成り立つ。なお、式(1)において、nは、反射層30と共通電極46との間の各層の屈折率に、光路長を計算し合算したものである。mは、共振次数であり、0以上の整数である。また、共通電極46の反射による位相シフトは、波長換算でλ/2としている。
【0054】
2nD=(m+1/2)λ ・・・(1)
【0055】
取り出したい波長域の光のピーク波長が波長λとなるよう、距離Dが設定される。距離Dの設定により、取り出したい所定の波長域の光が増強され、当該光の高強度化およびスペクトルの狭幅化を図ることができる。
【0056】
図4に示す例では、上記のように、発光素子20R,20G,20Bごとに光路調整層34の厚さを異ならせることにより、距離Dが調整されている。なお、距離Dの調整方法は、光路調整層34の厚さによる調整方法に限定されない。例えば、発光素子20R,20G,20Bにおいて画素電極40の厚さを異ならせることにより、距離Dが調整されてもよい。
【0057】
なお、図示はしないが、第1発光素子20R、第2発光素子20G、および第3発光素子20Bは、距離Dが互いに等しい共通の光共振部24を有していてもよい。この場合、発光素子20R,20G,20Bの光共振部24では、共通の波長域の光が増強される。この場合、着色層60において、所定の波長域の光以外の光が減衰される。このような共通の光共振部24では、表示装置100の製造の簡略化を図ることができる。ただし、色純度を向上させるためには、発光素子20R,20G,20Bにおいて、距離Dが互いに異なる個別の光共振部24を有していることが好ましい。
【0058】
封止層50は、複数の発光素子20上に設けられている。封止層50は、複数の発光素子20と、着色層60と、の間に設けられている。図示の例では、封止層50は、共通電極46上に設けられている。封止層50は、複数の発光素子20を覆っている。封止層50は、発光素子20からの光を透過させる。封止層50は、絶縁性を有する。
【0059】
封止層50は、発光素子20を保護する。具体的には、封止層50は、発光素子20を外部から保護するために発光素子20を封止する。封止層50は、例えば、ガスバリア性を有している。封止層50は、発光素子20を、外部の水分、酸素などから保護する。封止層50は、発光素子20の劣化を低減できる。これにより、表示装置100の品質信頼性を高めることができる。
【0060】
封止層50は、例えば、第1層52と、第2層54と、第3層56と、を有している。第1層52は、発光素子20上に設けられている。第1層52は、発光素子20と第2層54との間に設けられている。第2層54は、第1層52上に設けられている。第2層54は、第1層52と第3層56との間に設けられている。第3層56は、第2層54上に設けられている。第3層56は、第2層54と着色層60との間に設けられている。
【0061】
封止層50の第1層52および第3層56の材質は、例えば、窒化シリコン、酸化窒化シリコンなどの無機化合物である。第3層56は、無機化合物を有し、かつ、上面が樹脂によって構成されていてもよい。第2層54は、第3層56に平坦な面を提供するための平坦化層である。第2層54の材質は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂である。
【0062】
着色層60は、封止層50上に設けられている。着色層60は、封止層50と透光層62との間に設けられている。着色層60は、所定の波長域の光を選択的に透過させるカラーフィルターである。当該所定の波長域は、上述した距離Dによって決まるピーク波長λを含む。着色層60は、例えば、色材を含むアクリル系の感光性樹脂材料などの樹脂材料で構成される。当該色材は、例えば、顔料、染料である。着色層60は、ポジ型のカラーレジストであってもよい。
【0063】
着色層60は、複数のサブ画素PR,PG,PBに対応して複数設けられている。赤色サブ画素PRの着色層60は、平面視で、第1発光素子20Rの発光領域22と重なる。赤色サブ画素PRの着色層60は、第1発光素子20Rからの光のうち赤色光を選択的に透過させるカラーフィルターである。緑色サブ画素PGの着色層60は、平面視で、第2発光素子20Gの発光領域22と重なる。緑色サブ画素PGの着色層60は、第2発光素子20Gからの光のうち緑色光を選択的に透過させるカラーフィルターである。青色サブ画素PBの着色層60は、平面視で、第3発光素子20Bの発光領域22と重なる。青色サブ画素PBの着色層60は、第3発光素子20Bからの光のうち青色光を選択的に透過させるカラーフィルターである。
【0064】
透光層62は、着色層60上に設けられている。透光層62は、着色層60と被覆層72との間に設けられている。透光層62は、着色層60を覆っている。透光層62は、発光素子20からの光を透過させる。透光層62は、例えば、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層である。透光層62は、着色層60を保護する。
【0065】
レンズ70は、透光層62上に設けられている。レンズ70は、透光層62と透光基板4との間に設けられている。レンズ70には、第1発光素子20Rからの光が通過する。図3に示すように、レンズ70は、平面視で、第1発光素子20Rの発光領域22と重なる位置に設けられている。赤色サブ画素PRは、レンズ70を有している。第1発光素子20Rからの光は、レンズ70を介して、透光基板4から出射される。レンズ70は、例えば、マイクロレンズである。
【0066】
レンズ70は、第1発光素子20Rからの光を発散させる発散レンズである。図示の例では、レンズ70の上面は、凸面である。この場合、レンズ70の屈折率は、被覆層72の屈折率よりも低い。なお、図示はしないが、レンズ70の上面は、凹面であってもよい。この場合、レンズ70の屈折率は、被覆層72の屈折率よりも高い。レンズ70の材質は、例えば、ガラスなどである。レンズ70の屈折率は、添加物などによって調整できる。
【0067】
レンズ70は、平面視で、緑色サブ画素PGの発光領域22と重なる位置に設けられていない。第2発光素子20Gからの光は、レンズ70を通過しない。緑色サブ画素PGは、レンズ70を有していない。第2発光素子20Gからの光は、発散レンズを介さずに、透光基板4から出射される。
【0068】
レンズ70は、平面視で、青色サブ画素PBの発光領域22と重なる位置に設けられていない。第3発光素子20Bからの光は、レンズ70を通過しない。青色サブ画素PBは、レンズ70を有していない。第3発光素子20Bからの光は、発散レンズを介さずに、透光基板4から出射される。
【0069】
被覆層72は、レンズ70上および透光層62上に設けられている。被覆層72は、透光層62と接着層6との間に設けられている。被覆層72は、レンズ70を覆っている。被覆層72は、発光素子20からの光を透過させる。被覆層72は、例えば、酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層である。被覆層72は、レンズ70を保護する。
【0070】
1.1.2. 作用効果
表示装置100では、第1基板としての素子基板2と、素子基板2に対向配置された透光性の第2基板としての透光基板4と、を有する。素子基板2は、複数の画素Pを構成する。複数の画素Pの各々は、第1色光としての赤色光を出射する第1サブ画素としての赤色サブ画素PRと、赤色光と異なる色の第2色光としての緑色光を出射する第2サブ画素としての緑色サブ画素PGと、を有する。赤色サブ画素PRは、第1発光素子20Rと、第1発光素子20Rからの光が通過する発散レンズとしてのレンズ70と、を有する。緑色サブ画素PGは、第2発光素子20Gを有する。第1発光素子20Rの発光領域22の面積は、第2発光素子20Gの発光領域22の面積よりも小さい。第1発光素子20Rからの光は、レンズ70を介して、透光基板4から出射され、第2発光素子20Gからの光は、発散レンズを介さずに、透光基板4から出射される。
【0071】
ここで、発光領域の面積が小さいと、発光素子の配光特性が低下する。表示装置100では、上記のように、発光領域22の面積が小さい第1発光素子20Rからの光は、発散レンズであるレンズ70を通過し、発光領域22の面積が大きい第2発光素子20Gからの光は、発散レンズを通過しない。そのため、表示装置100では、赤色サブ画素PRから出射される光と、緑色サブ画素PGから出射される光と、で配光特性の差を小さくすることができる。これにより、色視野角特性を向上できる。
【0072】
例えば、図6に示すように、Xで示す赤色光の配光特性が、Yで示す緑色光の配光特性、およびZで示す青色光の配光特性よりも低い場合、発散レンズによって、赤色光の配光特性を向上させる。これにより、X、Y、Zにおいて、配光特性の差を小さくすることができ、色視野角特性を向上できる。なお、図6において、破線は、赤色サブ画素が発散レンズを有していない場合の配光特性である。
【0073】
なお、図6は、配光特性を説明するための図である。図6において、横軸は、角度であり、角度=0°は、真正面から見た場合である。縦軸は、角度=0°の強度を1として規格化した強度である。このことは、後述する図8,14,16において、同様である。
【0074】
さらに、例えば、複数のサブ画素の各々にレンズを設け、発光素子の配光特性に応じて、レンズの曲率を調整することは、難易度が高い。表示装置100では、発光素子20の配光特性に応じてレンズ70の曲率を調整することなく、色視野角特性を容易に向上できる。
【0075】
表示装置100では、赤色発光層44Rで構成された第1発光層3aにおける発光スペクトルの半値幅は、緑色発光層44Gで構成された第2発光層3bにおける発光スペクトルの半値幅よりも小さい。
【0076】
ここで、発光スペクトルの半値幅が小さい色光は、発光素子において配光特性が低い。表示装置100では、上記のように、発光スペクトルの半値幅が小さい色光を出射する赤色サブ画素PRでは、第1発光素子20Rからの光は、発散レンズであるレンズ70を通過し、発光スペクトルの半値幅が大きい色光を出射する緑色サブ画素PGでは、第2発光素子20Gからの光は、発散レンズを通過しない。そのため、表示装置100では、赤色サブ画素PRから出射される光と、緑色サブ画素PGから出射される光と、で配光特性の差を小さくすることができる。これにより、色視野角特性を向上できる。
【0077】
なお、第1発光層3aは、図4に示すように、赤色発光層44Rの、第1発光素子20Rが有する部分であり、例えば、平面視で、赤色発光層44Rの、第1発光素子20Rの発光領域22と重なる部分である。第2発光層3bは、緑色発光層44Gの、第2発光素子20Gが有する部分であり、例えば、平面視で、第2発光素子20Gの発光領域22と重なる部分である。
【0078】
表示装置100では、第1発光素子20Rは、赤色発光層44Rで発生した光を共振させる第1光共振部24Rを有し、第2発光素子20Gは、緑色発光層44Gで発生した光を共振させる第2光共振部24Gを有する。そのため、第1発光素子20Rおよび第2発光素子20Gは、色純度の高い光を出射できる。なお、第1光共振部24Rは、第1発光素子20Rの光共振部24である。第2光共振部24Gは、第2発光素子20Gの光共振部24である。
【0079】
表示装置100では、第1発光素子20Rは、緑色光を発生させる緑色発光層44Gで構成された第3発光層3cを有し、第2発光素子20Gは、赤色光を発生させる赤色発光層44Rで構成された第4発光層3dを有する。そのため、表示装置100では、第1発光素子20Rと第2発光素子20Gとで、例えば、同じ積層構造の積層発光層44を用いることができる。これにより、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0080】
なお、第3発光層3cとは、緑色発光層44Gの、第1発光素子20Rが有する部分であり、例えば、平面視で、緑色発光層44Gの、第1発光素子20Rの発光領域22と重なる部分である。第4発光層3dとは、赤色発光層44Rの、第2発光素子20Gが有する部分であり、例えば、平面視で、赤色発光層44Rの、第2発光素子20Gの発光領域22と重なる部分である。
【0081】
1.2. 表示装置の変形例
1.2.1. 第1変形例
次に、第1実施形態の第1変形例に係る表示装置について、図面を参照しながら説明する。図7は、第1実施形態の第1変形例に係る表示装置110を模式的に示す平面図である。
【0082】
以下、第1実施形態の第1変形例に係る表示装置110において、上述した第1実施形態に係る表示装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。このことは、後述する第1実施形態の第2,第3変形例に係る表示装置において同様である。
【0083】
上述した表示装置100では、図3に示すように、青色サブ画素PBは、レンズ70を有していなかった。
【0084】
これに対し、表示装置110では、図7に示すように、青色サブ画素PBは、レンズ70を有している。青色サブ画素PBのレンズ70は、平面視で、第3発光素子20Bの発光領域22と重なる位置に設けられている。青色サブ画素PBのレンズ70には、第3発光素子20Bからの光が通過する。第3発光素子20Bからの光は、レンズ70介して、透光基板4から出射される。表示装置110では、1つの画素Pに、2つのレンズ70が設けられている。
【0085】
表示装置110では、青色サブ画素PBは、レンズ70を有しているため、第3発光素子20Bからの光を発散させることができる。
【0086】
例えば、図8に示すように、Xで示す赤色光の配光特性、およびZで示す青色光の配光特性が、Yで示す緑色光の配光特性よりも低い場合、発散レンズによって、赤色光の配光特性および青色光の配光特性を向上させる。これにより、X、Y、Zにおいて、配光特性の差を小さくすることができ、色視野角特性を向上できる。なお、図8において、破線は、赤色サブ画素が発散レンズを有していない場合の配光特性、または、青色サブ画素が発散レンズを有していない場合の配光特性である。
【0087】
1.2.2. 第2変形例
次に、第1実施形態の第2変形例に係る表示装置について、図面を参照しながら説明する。図9は、第1実施形態の第2変形例に係る表示装置120を模式的に示す平面図である。
【0088】
表示装置120では、図9に示すように、平面視で、サブ画素PR,PG,PBは、デルタ配列されている点において、上述した表示装置100と異なる。
【0089】
発光素子20R,20G,20Bの発光領域22の面積は、例えば、同じであってもよい。発光素子20R,20G,20Bで発光領域22の面積が同じであったとしても、上記のように、発光スペクトルの半値幅の際により、発光素子20R,20G,20Bから出射される光の配光特性は異なる。図示の例では、発光領域22の形状は、正六角形である。
【0090】
なお、図10に示すように、平面視で、第3発光素子20Bの発光領域22と重なる位置に、さらに、レンズ70が設けられていてもよい。
【0091】
1.2.3. 第3変形例
次に、第1実施形態の第3変形例に係る表示装置について、図面を参照しながら説明する。図11は、第1実施形態の第3変形例に係る表示装置130を模式的に示す平面図である。
【0092】
上述した表示装置100では、図3に示すように、1つの画素Pは、1つの緑色サブ画素PGを有していた。
【0093】
これに対し、表示装置130では、図11に示すように、1つの画素Pは、緑色サブ画素PGとして、2つの緑色サブ画素PG1,PG2を有している。
【0094】
図示の例では、1つの画素Pにおいて、緑色サブ画素PG1は、赤色サブ画素PRの+X軸方向に設けられている。緑色サブ画素PG2は、赤色サブ画素PRの-Y軸方向に設けられている。青色サブ画素PBは、緑色サブ画素PG2の+X軸方向に設けられている。発光領域22の形状は、例えば、八角形である。
【0095】
上記のように、発光領域22の面積が小さいと、配光特性が悪くなる。表示装置130のように、1つの画素Pに、同じ色を出射するサブ画素が複数ある場合、配光特性は、同じ色を出射する複数のサブ画素のうち、最も大きな面積の発光領域22を有するサブ画素が支配的になる。
【0096】
図示の例では、緑色サブ画素PG2の発光領域22の面積は、緑色サブ画素PG1の発光領域22の面積よりも大きい。したがって、緑色サブ画素PGでは、緑色サブ画素PG2の発光領域22の面積が支配的になる。
【0097】
赤色サブ画素PRの発光領域22の面積は、緑色サブ画素PG2の発光領域22の面積、および青色サブ画素Bの発光領域22の面積よりも小さい。そのため、平面視で、赤色サブ画素PRの発光領域22と重なる位置にレンズ70を設けることにより、色視野角特性を向上できる。
【0098】
なお、図12に示すように、平面視で、第3発光素子20Bの発光領域22と重なる位置に、さらに、レンズ70が設けられていてもよい。
【0099】
2. 第2実施形態
2.1. 表示装置
次に、第2実施形態に係る表示装置について、図面を参照しながら説明する。図13は、第2実施形態に係る表示装置200を模式的に示す平面図である。
【0100】
以下、第2実施形態に係る表示装置200において、上述した本実施形態に係る表示装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0101】
上述した表示装置100では、レンズ70は、発散レンズであった。
【0102】
これに対し、表示装置200では、レンズ70は、集光レンズである。表示装置200では、図13に示すように、レンズ70は、平面視で、緑色サブ画素PGの発光領域22と重なる位置に設けられている。レンズ70には、第2発光素子20Gからの光が通過する。緑色サブ画素PGは、レンズ70を有している。第2発光素子20Gからの光は、レンズ70を介して、透光基板4から出射される。
【0103】
レンズ70は、第1発光素子20Rからの光を集光させる集光レンズである。レンズ70の上面は、例えば、凸面である。この場合、レンズ70の屈折率は、被覆層72の屈折率よりも高い。レンズ70の上面は、凹面であってもよい。この場合、レンズ70の屈折率は、被覆層72の屈折率よりも低い。レンズ70が集光レンズであることにより、角度=0°、すなわち真正面から見たときの輝度を高くすることができる。
【0104】
レンズ70は、平面視で、赤色サブ画素PRの発光領域22と重なる位置に設けられていない。第1発光素子20Rからの光は、レンズ70を通過しない。赤色サブ画素PRは、レンズ70を有していない。第1発光素子20Rからの光は、集光レンズを介さずに、透光基板4から出射される。
【0105】
表示装置200では、緑色サブ画素PGは、第2発光素子20Gからの光が通過する集光レンズとしてのレンズ70を有し、第1発光素子20Rからの光は、集光レンズを介さずに、透光基板4から出射され、第2発光素子20Gからの光は、集光レンズとしてのレンズ70を介して、透光基板4から出射される。そのため、表示装置200では、上述した表示装置100と同様に、色視野角特性を向上できる。
【0106】
例えば、図14に示すように、Yで示す緑色光の配光特性が、Xで示す赤色光の配光特性、およびZで示す青色光の配光特性よりもよい場合、集光レンズによって、緑色光の配光特性を低下させる。これにより、X、Y、Zにおいて、配光特性の差を小さくすることができ、色視野角特性を向上できる。なお、図14において、破線は、緑色サブ画素が集光レンズを有していない場合の配光特性である。
【0107】
2.2. 表示装置の変形例
2.2.1. 第1変形例
次に、第2実施形態の第1変形例に係る表示装置について、図面を参照しながら説明する。図15は、第2実施形態の第1変形例に係る表示装置210を模式的に示す平面図である。
【0108】
以下、第2実施形態の第1変形例に係る表示装置210において、上述した第2実施形態に係る表示装置200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。このことは、後述する第2実施形態の第2,第3変形例に係る表示装置において同様である。
【0109】
上述した表示装置200では、図13に示すように、青色サブ画素PBは、レンズ70を有していなかった。
【0110】
これに対し、表示装置210では、図15に示すように、青色サブ画素PBは、レンズ70を有している。青色サブ画素PBのレンズ70は、平面視で、第3発光素子20Bの発光領域22と重なる位置に設けられている。青色サブ画素PBのレンズ70には、第3発光素子20Bからの光が通過する。第3発光素子20Bからの光は、レンズ70を介して、透光基板4から出射される。表示装置210では、1つの画素Pに、2つのレンズ70が設けられている。
【0111】
表示装置210では、青色サブ画素PBは、レンズ70を有しているため、第3発光素子20Bからの光を集光させることができる。
【0112】
例えば、図16に示すように、Yで示す緑色光の配光特性、およびZで示す青色光の配光特性が、Xで示す赤色光の配光特性よりもよい場合、集光レンズによって、緑色光の配光特性および青色光の配光特性を低下させる。これにより、X、Y、Zにおいて、配光特性の差を小さくすることができ、色視野角特性を向上できる。なお、図16において、破線は、緑色サブ画素が集光レンズを有していない場合の配光特性、または、青色サブ画素が集光レンズを有していない場合の配光特性である。
【0113】
2.2.2. 第2変形例
次に、第2実施形態の第2変形例に係る表示装置について、図面を参照しながら説明する。図17は、第2実施形態の第2変形例に係る表示装置220を模式的に示す平面図である。
【0114】
表示装置220では、図17に示すように、平面視で、サブ画素PR,PG,PBは、デルタ配列されている点において、上述した表示装置200と異なる。
【0115】
なお、図18に示すように、平面視で、第3発光素子20Bの発光領域22と重なる位置に、さらに、レンズ70が設けられていてもよい。
【0116】
2.2.3. 第3変形例
次に、第2実施形態の第3変形例に係る表示装置について、図面を参照しながら説明する。図19は、第2実施形態の第3変形例に係る表示装置230を模式的に示す平面図である。
【0117】
上述した表示装置100では、図13に示すように、1つの画素Pは、1つの緑色サブ画素PGを有していた。
【0118】
これに対し、表示装置230では、図19に示すように、1つの画素Pは、緑色サブ画素PGとして、2つの緑色サブ画素PG1,PG2を有している。緑色サブ画素PG1,PG2は、レンズ70を有する。レンズ70は、平面視で、緑色サブ画素PG1の発光領域22と重なる位置、および緑色サブ画素PG2の発光領域22と重なる位置に設けられている。緑色サブ画素PG1の第2発光素子20Gからの光は、緑色サブ画素PG1のレンズ70を介して、透光基板4から出射される。緑色サブ画素PG2の第2発光素子20Gからの光は、緑色サブ画素PG2のレンズ70を介して、透光基板4から出射される。
【0119】
なお、図20に示すように、平面視で、第3発光素子20Bの発光領域22と重なる位置に、さらに、レンズ70が設けられていてもよい。
【0120】
3. 第3実施形態
3.1. 全体の構成
次に、第3実施形態に係る電子機器としてのヘッドマウントディスプレイについて、図面を参照しながら説明する。図21は、第3実施形態に係るヘッドマウントディスプレイ900を模式的に示す斜視図である。
【0121】
ヘッドマウントディスプレイ900は、図21に示すように、眼鏡のような外見を有する頭部装着型のディスプレイである。ヘッドマウントディスプレイ900は、観察者の頭部に装着される。観察者とは、ヘッドマウントディスプレイ900を使用する使用者のことである。ヘッドマウントディスプレイ900は、観察者に対して虚像による映像光を視認させることができるとともに、外界像をシースルーで視認させることができる。
【0122】
ヘッドマウントディスプレイ900は、例えば、第1表示部910aと、第2表示部910bと、フレーム920と、第1テンプル930aと、第2テンプル930bと、を有している。
【0123】
第1表示部910aおよび第2表示部910bは、画像を表示する。具体的には、第1表示部910aは、観察者の右眼用の虚像を表示する。第2表示部910bは、観察者の左眼用の虚像を表示する。表示部910a,910bは、例えば、像形成装置911と、導光装置915と、を有している。
【0124】
像形成装置911は、画像光を形成する。像形成装置911は、例えば、光源や投射装置などの光学系と、外部部材912と、を有している。外部部材912は、光源および投射装置を収容している。
【0125】
導光装置915は、観察者の眼前を覆う。導光装置915は、像形成装置911で形成された映像光を導光させるとともに、外界光と映像光とを重複して観察者に視認させる。なお、像形成装置911および導光装置915の詳細については、後述する。
【0126】
フレーム920は、第1表示部910aおよび第2表示部910bを支持している。フレーム920は、例えば、表示部910a,910bを囲んでいる。図示の例では、第1表示部910aの像形成装置911は、フレーム920の一方の端部に取り付けられている。第2表示部910bの像形成装置911は、フレーム920の他方の端部に取り付けられている。
【0127】
第1テンプル930aおよび第2テンプル930bは、フレーム920から延在している。図示の例では、第1テンプル930aは、フレーム920の一方の端部から延在している。第2テンプル930bは、フレーム920の他方の端部から延在している。
【0128】
第1テンプル930aおよび第2テンプル930bは、ヘッドマウントディスプレイ900が観察者に装着された場合に、観察者の耳に懸架される。テンプル930a,930b間に、観察者の頭部が位置する。
【0129】
3.2. 像形成装置および導光装置
図22は、ヘッドマウントディスプレイ900の第1表示部910aの像形成装置911および導光装置915を模式的に示す図である。なお、第1表示部910aと第2表示部910bとは、基本的に同じ構成を有している。したがって、以下の第1表示部910aの説明は、第2表示部910bに適用できる。
【0130】
像形成装置911は、図22に示すように、例えば、光源としての表示装置100と、結像用の投射装置914と、を有している。
【0131】
投射装置914は、表示装置100から出射された映像光を、導光装置915に向けて投射する。投射装置914は、例えば、投射レンズである。投射装置914を構成するレンズとして、軸対称面をレンズ面とするものを用いてもよい。
【0132】
導光装置915は、例えば、投射装置914の鏡筒にねじ止めされることにより、投射装置914に対して精度よく位置決めされている。導光装置915は、例えば、映像光を導光する映像光導光部材916と、透視用の透視部材918と、を有している。
【0133】
映像光導光部材916には、投射装置914から出射された映像光が入射する。映像光導光部材916は、映像光を、観察者の眼に向けて導光するプリズムである。映像光導光部材916に入射した映像光は、映像光導光部材916の内面において反射を繰り返した後、反射層917で反射されて映像光導光部材916から出射される。映像光導光部材916から出射された映像光は、観察者の眼に至る。反射層917は、例えば、金属や、誘電体多層膜で構成されている。反射層917は、ハーフミラーであってもよい。
【0134】
透視部材918は、映像光導光部材916に隣接している。透視部材918は、映像光導光部材916に固定されている。透視部材918の外表面は、例えば、映像光導光部材916の外表面と連続している。透視部材918は、観察者に、外界光を透視させる。映像光導光部材916についても、映像光を導光する機能の他に、観察者に外界光を透視させる機能を有している。なお、ヘッドマウントディスプレイ900は、観察者に、外界光を透視させない構成であってもよい。
【0135】
第3実施形態に係る電子機器は、上述した表示装置を有すれば、ヘッドマウントディスプレイに限定されない。第3実施形態に係る電子機器は、EVF(Electronic View Finder)、プロジェクター、スマートウォッチなどのウェアラブルディスプレイ、車載用のヘッドアップディスプレイであってもよい。
【0136】
4. 実施例および比較例
実施例1として、図3に対応する表示装置を用意した。すなわち、実施例1では、赤色サブ画素だけが発散レンズを有している。比較例1として、赤色サブ画素、緑色サブ画素、および青色サブ画素が発散レンズを有していない表示装置を用意した。
【0137】
実施例1および比較例1について、配光特性および色視野角特性を測定した。測定機として、大塚電子株式会社製の分光視野角測定機「LCD5200」を用いた。測定項目を、「三原刺激[X][Y][Z]」、「色度xy」とした。そして、実測値を基にシミュレーションを行った。
【0138】
図23は、実施例1の配光特性を示すグラフである。図24は、比較例1の配光特性を示すグラフである。図23および図24において、縦軸は、角度=0°、すなわち真正面から見た場合の値で規格化した強度である。
【0139】
図23および図24に示すように、実施例1は、特に、角度20°~30°で、比較例1よりも、X、Y、Zの差が小さくなった。したがって、実施例は、比較例1よりも配光特性がよいことがわかった。
【0140】
図25は、実施例1および比較例1の色視野角特性を示すグラフである。図25において、縦軸のΔu´v´は、角度=0°からどれだけ色が変化したかを示している。Δu´v´が小さいほど、色視野角特性がよく、Δu´v´が0.020以下であると、人の眼には、色の変化がないように感じられる。
【0141】
図25に示すように、実施例1では、角度が30°以下で、Δu´v´が0.020以下であった。比較例1では、角度が25°以下で、Δu´v´が0.020より大きくなった。したがって、実施例1は、比較例1よりも色視野角特性がよいことがわかった。
【0142】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0143】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0144】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0145】
表示装置の一態様は、
第1基板と、
前記第1基板に対向配置された透光性の第2基板と、
を有し、
前記第1基板は、複数の画素を構成し、
前記複数の画素の各々は、
第1色光を出射する第1サブ画素と、
前記第1色光と異なる色の第2色光を出射する第2サブ画素と、
を有し、
前記第1サブ画素は、
第1発光素子と、
前記第1発光素子からの光が通過する発散レンズと、
を有し、
前記第2サブ画素は、第2発光素子を有し、
前記第1発光素子の発光領域の面積は、前記第2発光素子の発光領域の面積よりも小さく、
前記第1発光素子からの光は、前記発散レンズを介して、前記第2基板から出射され、
前記第2発光素子からの光は、発散レンズを介さずに、前記第2基板から出射される。
【0146】
この表示装置によれば、色視野角特性を向上できる。
【0147】
表示装置の一態様は、
第1基板と、
前記第1基板に対向配置された透光性の第2基板と、
を有し、
前記第1基板は、複数の画素を構成し、
前記複数の画素の各々は、
第1色光を出射する第1サブ画素と、
前記第1色光と異なる色の第2色光を出射する第2サブ画素と、
を有し、
前記第1サブ画素は、第1発光素子を有し、
前記第2サブ画素は、
第2発光素子と、
前記第2発光素子からの光が通過する集光レンズと、
を有し、
前記第1発光素子の発光領域の面積は、前記第2発光素子の発光領域の面積よりも小さく、
前記第1発光素子からの光は、集光レンズを介さずに、前記第2基板から出射され、
前記第2発光素子からの光は、前記集光レンズを介して、前記第2基板から出射される。
【0148】
この表示装置によれば、色視野角特性を向上できる。
【0149】
表示装置の一態様は、
第1基板と、
前記第1基板に対向配置された透光性の第2基板と、
を有し、
前記第1基板は、複数の画素を構成し、
前記複数の画素の各々は、
第1色光を出射する第1サブ画素と、
前記第1色光と異なる色の第2色光を出射する第2サブ画素と、
を有し、
前記第1サブ画素は、
前記第1色光を発生させる第1発光層を有する第1発光素子と、
前記第1発光素子からの光が通過する発散レンズと、
を有し、
前記第2サブ画素は、前記第2色光を発生させる第2発光層を有する第2発光素子を有し、
前記第1発光層における発光スペクトルの半値幅は、前記第2発光層における発光スペクトルの半値幅よりも小さく、
前記第1発光素子からの光は、前記発散レンズを介して、前記第2基板から出射され、
前記第2発光素子からの光は、発散レンズを介さずに、前記第2基板から出射される。
【0150】
この表示装置によれば、色視野角特性を向上できる。
【0151】
表示装置の一態様は、
第1基板と、
前記第1基板に対向配置された透光性の第2基板と、
を有し、
前記第1基板は、複数の画素を構成し、
前記複数の画素の各々は、
第1色光を出射する第1サブ画素と、
前記第1色光と異なる色の第2色光を出射する第2サブ画素と、
を有し、
前記第1サブ画素は、前記第1色光を発生させる第1発光層を有する第1発光素子を有し、
前記第2サブ画素は、
前記第2色光を発生させる第2発光層を有する第2発光素子と、
前記第2発光素子からの光が通過する集光レンズと、
を有し、
前記第1発光層における発光スペクトルの半値幅は、前記第2発光層における発光スペクトルの半値幅よりも小さく、
前記第1発光素子からの光は、集光レンズを介さずに、前記第2基板から出射され、
前記第2発光素子からの光は、前記集光レンズを介して、前記第2基板から出射される。
【0152】
この表示装置によれば、色視野角特性を向上できる。
【0153】
前記表示装置の一態様において、
前記第1発光素子は、前記第1発光層で発生した光を共振させる第1光共振部を有し、
前記第2発光素子は、前記第2発光層で発生した光を共振させる第2光共振部を有してもよい。
【0154】
この表示装置によれば、第1発光素子および第2発光素子は、色純度の高い光を出射できる。
【0155】
前記表示装置の一態様において、
前記第1発光素子は、前記第2色光と同じ色の光を発生させる第3発光層を有し、
前記第2発光素子は、前記第1色光と同じ色の光を発生させる第4発光層を有してもよい。
【0156】
この表示装置によれば、第1発光素子と第2発光素子とで、例えば、同じ積層構造の積層発光層を用いることができる。
【0157】
本発明に係る電子機器の一態様は、
前記表示装置の一態様を有する。
【符号の説明】
【0158】
2…素子基板、3a…第1発光層、3b…第2発光層、3c…第3発光層、3d…第4発光層、4…透光基板、6…接着層、10…基板、11…走査線、12…データ線、13…第1給電線、14…第2給電線、15…画素回路、16…スイッチング用トランジスター、17…駆動用トランジスター、18…保持容量、20…発光素子、20R…第1発光素子、20G…第2発光素子、20B…第3発光素子、22…発光領域、24…光共振部、24R…第1光共振部、24G…第2光共振部、30…反射層、32…絶縁層、34…光路調整層、34a…第1調整層、34b…第2調整層、35…絶縁層、36…素子分離層、37…開口部、40…画素電極、41…コンタクト電極、42…有機層、42a…正孔注入層、42b…正孔輸送層、42c…電子輸送層、42d…電子注入層、44…積層発光層、44R…赤色発光層、44G…緑色発光層、44B…青色発光層、45a…第1スペーサー層、45b…第2スペーサー層、46…共通電極、50…封止層、52…第1層、54…第2層、56…第3層、60…着色層、62…透光層、70…レンズ、72…被覆層、100…表示装置、101…表示領域、102…周辺領域、103…データ線駆動回路、104…走査線駆動回路、105…制御回路、106…外部端子、110,120,130,200,210,220,230…表示装置、900…ヘッドマウントディスプレイ、910a…第1表示部、910b…第2表示部、911…像形成装置、912…外部部材、914…投射装置、915…導光装置、916…映像光導光部材、917…反射層、918…透視部材、920…フレーム、930a…第1テンプル、930b…第2テンプル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25